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平成29年  6月 定例会(第328回) 06月27日−05号




平成29年  6月 定例会(第328回) − 06月27日−05号







平成29年  6月 定例会(第328回)



 平成二十九年

        第三百二十八回定例奈良県議会会議録 第五号

 二月

   平成二十九年六月二十七日(火曜日)午後一時開議

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          出席議員(四十二名)

        一番 亀田忠彦          二番 池田慎久

        三番 猪奥美里          四番 山中益敏

        五番 川口延良          六番 松本宗弘

        七番 中川 崇          八番 佐藤光紀

        九番 川田 裕         一〇番 井岡正徳

       一一番 田中惟允         一二番 藤野良次

       一三番 森山賀文         一四番 大国正博

       一五番 岡 史朗         一六番 西川 均

       一七番 小林照代         一八番 清水 勉

       一九番 松尾勇臣         二〇番 阪口 保

       二一番  欠員          二二番 中野雅史

       二三番 安井宏一         二四番 田尻 匠

       二六番 荻田義雄         二七番 岩田国夫

       二八番 乾 浩之         二九番 太田 敦

       三〇番 宮本次郎         三一番 和田恵治

       三二番 山本進章         三三番 国中憲治

       三四番 米田忠則         三五番 出口武男

       三六番 新谷紘一         三七番 粒谷友示

       三八番 秋本登志嗣        三九番 小泉米造

       四〇番 中村 昭         四一番 山村幸穂

       四二番 今井光子         四三番 梶川虔二

       四四番 川口正志

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欠席議員(一名)

       二五番 奥山博康

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        議事日程

 一、当局に対する一般質問

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○副議長(小泉米造) これより本日の会議を開きます。

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○副議長(小泉米造) ただいまより、当局に対する一般質問を行います。

 順位に従い、三番猪奥美里議員に発言を許します。−−三番猪奥美里議員。(拍手)



◆三番(猪奥美里) (登壇)民進党の猪奥美里でございます。

 まずは、ウイルス性の肝炎について質問をいたします。

 肝臓の病気と聞くと、お酒の飲み過ぎと頭に思い浮かべる方もたくさんいらっしゃると思います。実際は、肝がんは、アルコール性は七・二%、肝炎ウイルスからが八五%、圧倒的にウイルスによる感染で発症している人が多いのです。ウイルスにかかると、誰でも発症する可能性を持ち、発見がおくれ、適切な治療を行わないまま放置していくと、慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと進行することもある恐ろしい病気です。

 肝炎ウイルスは一体どのようにかかるのか。一つは、垂直感染と言われる出産の際の母子感染です。もう一つが、血液等からうつる水平感染。この水平感染の大きな要因が注射器の回し打ちです。当然、注射針を使い回したり、注射針を取りかえても筒を取りかえないまま回し打ちをしたりすると、肝炎に感染する可能性があることは戦前から知られていました。それにもかかわらず、日本で行われていた集団予防接種では、学校の体育館などに集められ、ツベルクリンの検査などでは、多い場合は十人分のワクチンを一本の注射器に入れ、それを八人から九人に連続で注射していく、そのような方法で行われていました。一九四八年に予防接種法が制定された当時は、罰則つきで断ることのできない強制でもありました。WHOからも、針・筒の使い回しをやめるよう勧告を受け、危険性を十分認識していたのにもかかわらず、安全性よりも効率性を優先し、一九八八年ごろまで、集団予防接種の針の使い回し、筒の使い回しが行われ続けていました。その結果、現在、日本のB型肝炎ウイルス感染者は百十万人から百四十万人くらいと厚生労働省は推計しています。先進国でこれほどまでに患者さんが多い国は日本以外にありません。親は子を思い予防接種を受けさせ、それが原因で子どもが知らない間にB型肝炎ウイルスに感染、その子どもが大人になって子を産んだときに母子感染でさらに被害が拡大していったのです。悲劇としか言いようがありません。国の責めによるものですが、国はその責任を容易には認めませんでした。

 注射器の連続使用でウイルスが広がる危険性を認識していたのにもかかわらず、国は一九八八年まで使用禁止の具体的な措置をとらなかったとし、国を相手取り、北海道に住むB型肝炎キャリアと慢性肝炎患者五人が損害賠償責任を求める裁判を起こしたのは一九八九年のことです。一審は敗訴したものの、二審の札幌高等裁判所で、予防接種以外の感染原因は認められないとして国の責任が認められました。しかし国は予防接種とB型肝炎ウイルス感染の因果関係を認めたものの、全国のB型肝炎被害者への救済策を迫られましたが、原告五人以外への対策をとらなかったため、二〇〇八年、札幌を皮切りに、ほかの感染被害者が国を相手取り全国の地方裁判所に集団訴訟を起こしたのです。長い闘いを経て、基本合意書の調印が行われたのはごく最近の二〇一一年のことです。

 沈黙の臓器とも言われる肝臓は、細胞が七割壊れて初めて自覚症状が出ると言われています。そのため、三十歳代、五十歳代になり、初めて感染を知ったときには、既に肝硬変や肝がんにまで進行していることもあります。全国推定感染者数は、B型で百十万人から百四十万人、C型で百九十万人から二百三十万人と推計されています。できるだけ早い時期に、肝炎ウイルスに感染していないか、一生に一度は検査を受けるよう勧めていますが、約半数の国民しか受検していないのが現状です。

 奈良県の現状はというと、非常に悪く、市町村実施肝炎ウイルス検査と保健所での肝炎ウイルス検査の両方の検査の受検者数の合計を対二十歳以上の人口で比較をいたしますと、奈良県のウイルス肝炎の受検率はわずか〇・四%、全国平均一・一五%の半分にも満たず、全国最下位となっています。

 そこで、知事にお伺いいたします。

 こういった状況に鑑み、B型肝炎ウイルスの検査体制の整備及び受検勧奨を推進することをはじめ、患者さんに寄り添った医療の提供体制を構築することが必要と考えますが、県のお取り組みについてお伺いいたします。

 次に、ユニバーサルツーリズムについてお伺いしたいと思います。

 日本を訪れる外国人観光客の数は増加の一途をたどっている一方、実は、日本人の国内観光旅行は減少しています。今後の見通しも厳しく、二〇一〇年から二〇三〇年にかけて、宿泊旅行に行く回数が一七%減少との将来予測もあり、観光県であり、観光を主要産業の一つとする奈良県にとって、真剣に取り組まないといけない課題、それがユニバーサルツーリズムであると私は考えています。

 ユニバーサルツーリズム、バリアフリーツーリズム、ツーリズムフォーオール、さまざまな呼称がありますが、観光庁の定義では、ユニバーサルツーリズムをこのように定義しています。全ての人が楽しんで旅行できる。高齢者や障害の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅。けれども、実態はといいますと、障害のために諦めたことは何かという調査によると、旅行がその第一位に挙がってきています。障害者だけでなく、高齢者も同様の傾向にあります。

 一方、内閣府の二〇一一年度の、高齢者の経済生活に関する意識調査によると、六十歳以上が今後優先的にお金を使いたいものは、健康・医療が第一位で最も多く、次いで旅行が三八%と続いています。この二つの調査から、行きたいけれども、行けない、このことがわかります。旅行は生きがいや人生の張り合いです。それを誰もが楽しめるという観点はもとより、マーケットとして見ることも重要であると考えます。

 二〇二五年には高齢化率が三〇%を超えると予想されています。二〇一五年、公益財団法人ちゅうごく産業創造センターによる、高齢化社会におけるユニバーサルツーリズムを軸とした観光振興施策の検討調査によりますと、国内観光市場は、人口減少の影響により、二〇一〇年の八兆九千四百億円をピークに、二〇二〇年には八兆六千六百億円に減少すると見込まれています。

 一方、ユニバーサルツーリズム市場は、高齢化の進展により、二〇一〇年の九千二百億円から、二〇二〇年には一兆一千九百億円と一・二倍に増加すると推計されています。さらに、潜在的な需要を含めると二〇二〇年には三兆九千三百億円という推計がされ、こうなると国内旅行市場の四割以上を占めると推計されています。ユニバーサルツーリズムは、既存の観光客を奪い合うのではなく、今まで観光旅行の少なかった人々の新しいマーケットを開拓していくことにつながるのです。しかし、十分な体制がつくられておらず、先ほどの、行きたいけれど、行けないという状況を生んでいると考えます。

 先ほどの調査によると、セクターごとに課題の整理がされました。観光関連産業においての課題は、利益獲得の市場とみなされていない、そのため、ハード整備を障壁とみなしているなど、取り組む前の課題がありました。県の観光施策の課題としては、一つ目に、県の観光施策においてユニバーサルツーリズムを推進するための事業の優先順位が低いこと。二つ目は、介護、福祉、住宅、道路交通等のセクションで、障害者向けに行われてきた事業で得られた情報や知見を観光セクションで共有する動きが見られないこと。そして、情報が最も大事でございます。情報が集約されているか、オープンになっているか。情報にアクセスできる状態になっていて初めてユニバーサルツーリズムが成り立ちますが、この情報の共有の仕組みがないこと。奈良県でも同様の課題があると感じます。

 さて、奈良県においては、九月一日より国民文化祭が開催されます。国民文化祭だけでなく、全国障害者芸術・文化祭も一体開催され、この二つの一体開催は全国で初めてとのことです。まずは、第三十二回国民文化祭・なら二〇一七、第十七回全国障害者芸術・文化祭なら大会の開催に当たりまして、障害者や高齢者に気兼ねなく来ていただき、楽しんでいただくための受け入れ体制についてお伺いいたします。

 また、これを一つの契機とし、県として、障害者や高齢者をはじめとし、誰もが楽しめるユニバーサルツーリズムを推進すべきと考えますが、知事の意気込みとこれからの具体的な取り組みについてお伺いいたします。

 次に、さい帯血の採取についてお伺いしたいと思います。昨年の九月議会に引き続きまして、白血病などの治療に関係する造血幹細胞移植関連の質問としてです。

 さい帯血とは、へその緒と胎盤に含まれている血液で、造血幹細胞を多く含みます。不思議なことですが、骨髄移植よりも、白血球の型であるHLAを厳密に一致させる必要がなく、移植後の免疫反応も少ない、非常に有効な治療法であるとされています。移植例も加速度的にふえ、一昨年には、骨髄移植を超えるさい帯血移植が実施されました。

 さい帯血には、造血幹細胞移植への利用以外にも、IPS細胞などの再生医療の分野でもこれから未知の可能性があり、期待が持たれているところです。出産時に採取できるため、提供者さんには何の負担もありません。しかし、メリットばかりではありません。デメリットとして、採取できるタイミングが出産のときしかない。保管にコストがかかる。さい帯血の医学的な利用について周知がされ、妊婦さんが積極的に提供できる状態にない。今、奈良県内でさい帯血を採取できる協力病院は、民間病院二つにとどまっています。

 そこで、医療政策部長にお伺いいたしますが、さい帯血バンクを推進していくに当たりまして、県内公立病院を含め、さい帯血を採取できる医療機関をふやすことが必要であると考えますが、いかがでしょうか。

 次に、戦略的な広報についてお伺いしたいと思います。

 田尻議員の代表質問で、国民文化祭の認知度がまだ低く、広報をどのように考えていくのか、こういった趣旨の質問がありました。ほかの議員の質問または答弁でも、広報について議論される、そのようなことがたくさんありました。また、広報だけでなく、私たちもふだんの生活で、奈良はアピールが下手ね、PRが下手ねと言われることも多々あるかと思います。奈良県が県民の皆様に伝えなければならないこと、また、伝えたいことは、たくさんあります。しかし、この広報、容易ではありません。社会にあふれる情報は、人々がとることのできる情報量の五百倍あると言われています。つまり、発信したとしても、九九.八%の情報は日々捨てられているので、単に発信しているだけでは意味がありません。その一方、インターネットやSNSの普及に伴いまして、おもしろい情報や有益な情報は広がっていくようにもなっています。

 県の広報は、ツール媒体として、県の広報紙、県民だより奈良や県ホームページ、奈良テレビには県政フラッシュの番組があり、SNSではフェイスブックやツイッターがあります。また、一つ一つの事業ごとにチラシやビラ、または動画なども用意されています。広報は、英語ではPRと言いますが、パブリック、つまり一般社会と、リレーション、関係をつくっていくことであり、よい関係をつくっていくことこそが広報の根幹にあります。よくキャッチボールに例えられますが、情報をボールとすれば、投げるときに相手をよく見て投げ方を考えて投げれば、相手は受け取ることができ、そして、こちらに返してくれることができる。しかし、子どもに剛速球をただ投げつけても、キャッチできませんし、返ってはきません。情報のわかりやすさやターゲットに合った手法を考えて発信することで初めて相手が受け取れる情報となり、さらに、相手が欲しい情報を投げることで期待する変化がもたらされると考えます。単に発信して終わりだけでなく、伝えたい人に伝わって、行動に移すことができたかが問われています。

 先ほどの肝炎のウイルス検査に例えますと、集団予防接種で肝炎ウイルスにかかっている可能性のある世代に向けて、事の大変さにまず気づいてもらって、そして、肝炎ウイルスの検査に行かなければと思ってもらって、そして検査に至り、初めてPRの効果が出たと言えるのではないでしょうか。しっかりと効果を高めるPRを送るためには、事業を構築する担当課だけでなく、広報広聴課がPRのプロとしていかに並走し、戦略的に広報を展開できるかが事業成功につながり、それが県民福祉の向上につながると考えます。

 また、広報は自前だけではありません。新聞、テレビに取り上げられるように働きかけるパブリシティーも重要です。また、あらかじめ目標を明確にしておくこと、これが非常に大事だと思います。知事も常々おっしゃるように、目標がないと検証する体制はつくれません。効果が想定より出なかったら、事業の情報を届ける伝達方法が悪かったのか。伝達はできたけれども、表現が悪かったのか。よく言われるPDCAサイクルを広報の分野でも設定し、回していくことが、広報の力を強くすることにつながると考えます。

 奈良県広報の戦略的あり方について、知事のお考えをお聞きいたします。

 最後に、県警本部長に、外国人観光客の安全確保に向けた取り組みについてお伺いしたいと思います。

 四年前につくられました日本再興戦略では、二〇三〇年の訪日外国人観光客数三千万人という目標が設定されましたが、予想を上回る勢いで増加を続け、昨年、二〇一六年、政府の明日の日本を支える観光ビジョン構想会議では、東京オリンピック・パラリンピック開催の二〇二〇年には四千万人、二〇三〇年には六千万人と大きく目標が引き上げられました。奈良県の訪日外国人の訪問実績も、二〇一四年から二〇一五年の一年で比べましても、対前年度比五五.七%と驚くべき率で増加しています。

 このような中、旅行の形態も変化し、ツアー旅行のみならず、個人旅行を楽しむ外国人もふえてきており、これに伴いレンタカーやレンタサイクルの需要もふえてきています。しかしながら、言語や交通ルールにふなれな外国人観光客が増加すれば、道に迷ったり落とし物をしたりするほか、時には犯罪被害や交通事故に遭ったりし、警察に助けを求めてくる機会もふえることと思います。急増する訪日外国人が安心して奈良県を訪問することができる環境を整備することが奈良県警察に求められていると考えます。

 現在、日本語を解さない外国人からの一一〇番通報は、全国で平成二十六年では千二百件と決して多いとは言えませんが、そもそも訪れた外国人が一一〇番という仕組み自体をはっきり認識しているとは考えにくく、周知が不十分であるから利用が少ないという側面もあると思います。現在、奈良県警察においても、警察官の通訳人を介した三者通話ができる仕組みや、交番等で絵を指さし、コミュニケーションをとる方法等が用いられていますが、良好な治安を県民と同様に体感できるようにするには、より一層の取り組みが必要だと考えています。もちろん、交通案内や観光情報の多言語化も重要なのは当たり前ですが、生命・身体・財産を守る警察が多言語化することによる安全・安心の確保の重要度も極めて高いと考えます。

 県警本部長にお伺いいたします。

 県警察では、県民とひとしく、急増する外国人観光客の安全・安心を確保するため、どのような通訳体制をとっているのか。また、日本語によるコミュニケーションが困難な外国人による一一〇番通報や、交番への来訪を受けた場合、どのように対応されているのか。さらには、一一〇番通報や交通ルールの周知の方法についてもあわせてお伺いしたいと思います。

 以上で、壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)



○副議長(小泉米造) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) (登壇)三番猪奥議員のご質問にお答え申し上げます。

 最初のご質問は、B型肝炎に対する体制でございます。肝炎訴訟の歴史にもお触れになりました。

 肝炎につきましては、近年、治療方法が進歩してきて、適切な治療を受けることで症状が改善することになってきたと聞いております。そのためには、検査を受け、早期発見につなげることが重要でございますが、ことし一月に発表された国の分析結果では、本県の肝炎ウイルス検査の受検率は、議員お述べのとおり、非常に低い数値となっております。残念なことでございます。市町村が検査を実施しておられますが、本県の受診率を向上させるためには、この市町村が実施されている検査を多くの方に受けていただくことがもちろん必要でございます。受診率の向上を図るための具体的な方策として、対象者個人に直接働きかける個別勧奨が有効であるとされてきております。平成二十八年度に個別勧奨に取り組んでいただいた市町村では受検者数が大きく増加してきたという報告も受けております。奈良県といたしましては、国の補助制度がございますので、それを活用した個別勧奨の取り組みを促進したいと思っております。また、市町村のこのような取り組みと受検率の関係を分析して、より効果的な受検勧奨の取り組みを市町村に助言していきたいと思っております。がん検診の取り組みと同じ手法でございます。また、広報でございますが、県民だより奈良でも取り上げ、また県民の啓発につなげていきたいと思っております。

 医療の提供体制が検診の次に重要でございます。県の肝疾患診療連携拠点病院というのがございますが、県立医科大学附属病院でございます。肝疾患相談センターを設置しておりますが、患者様や家族からの相談に対応してきております。この拠点病院に専門の医師を配置し、県内医療機関と連携を深めまして、また、良質な肝炎治療が提供できるようにしていただきたいと思っております。このように、検査から適切な治療へとつなぐためには、市町村や医療現場の人材養成も必要かと思って取り組んでおるところでございます。

 二つ目のご質問でございますが、ユニバーサルツーリズムの推進という点についてのご質問がありました。障害者も健常者と同じように旅行ができるようになってきておりますが、それを一層奈良県で推進したらどうかという観点のご質問でございます。また、この九月から、国民文化祭と全国障害者芸術・文化祭を奈良県で一体開催いたしますので、県内外から多くの障害のある方もご参加されますので、その方々が、バリアが少なく、奈良県は行きやすいところだったと思っていただけるように、さまざまな対応を準備しているところでございます。

 具体的な点でございますが、開会式をはじめ、各イベントにおきまして、車椅子で来場される方々に対する会場近くの駐車場の確保は当然でございますが、聴覚障害の方への手話通訳者の配置、視覚障害の方への点字資料の作成も行いたいと思っております。また、応援サポーターというものを現在募集しておりますが、まちなかやイベント会場などでサポートしていただく県民の方々でございますが、障害者の方々にもお声がけやサポートも行っていただく予定でございます。また、トラベルセンターは、健常者の旅行の対応が本来の仕事でございましたが、障害者や高齢者の個々の状態に応じて対応していただくようにグレードアップを図っていただきたいと思っております。旅行会社と連携して障害者交流事業の体感型展覧会というものもいたしますが、その実施に合わせて、視覚障害者向けツアーも実施していきたいと思っております。今回の第三十二回国民文化祭・なら二〇一七、第十七回全国障害者芸術・文化祭なら大会をきっかけに、ユニバーサルツーリズム、ツーリズムフォーオールの考え方の実践に一層取り組みまして、奈良県が障害者や高齢者を含めた誰にも優しい観光地になることは、本県の観光行政の今後の発展のためにも大きな意義があると思っております。

 障害者の皆様への情報提供が大事だと議員におっしゃっていただきました。本県で平成二十六年度に作成いたしました、おでかけ安心サポートマップというものがございますが、主要観光地三百五十施設のバリアフリー情報がございます。それに、今回のトラベルセンターで蓄積いたします施設のバリアフリー情報や、障害者、高齢者の方のニーズを追加して載せて、情報の更新・充実を図っていきたいと思っております。それを十分に活用して、県の観光案内所でもうまく使っていただき、来訪者の求めに応じて適切な情報提供ができるように取り組みを進めたいと思います。

 観光客を受け入れていただきます民間の宿泊事業者や交通事業者などのご対応も重要でございます。研修等を通じまして、バリアフリー対応がおもてなしの充実と集客拡大につながる投資になるという認識を持っていただくとともに、点字案内や段差の解消、トイレの設備、障害者の受け入れ体制など、具体的な基準を示しまして取り組みを進め、それが表現され、認証されるよう、継続的な働きかけを行っていきたいと思います。

 パブリックスペースであります鉄道駅などの段差解消、ノンステップバスの導入も奈良県では進んでおりますが、鉄道駅のエレベーター、エスカレーターの設置等はおくれているところもございます。第三十二回国民文化祭・なら二〇一七、第十七回全国障害者芸術・文化祭なら大会の奈良県開催に合わせまして、鉄道事業者の格段の奮起をお願いしたいと思っております。

 観光地整備といたしましても、奈良公園内を快適に周遊いただけますように、大仏殿前交差点までの北側歩道をバリアフリー化して整備いたしましたが、トイレの洋式化などの整備も引き続き進めております。今後とも、市町村や観光事業者、交通事業者と連携して、全ての人が制約を感じず、気兼ねなく、また、温かく迎えていただけたと感じる奈良の観光地づくりを目指していきたいと思っております。

 さい帯血の採取については医療政策部長がお答え申し上げます。

 私に対しまして次のご質問は、戦略的広報についてということでございます。

 議員お述べのとおり、事業を実施する際、要は、いかに効果的に広報を行うかということは、事業の内容を盛り上げるコンテンツの面と同様、重要なことであろうかと思います。その際には、議員もお述べになりましたが、ターゲットを明確にすること、タイミングをはかること、広報媒体を効果的に選択するということも大事であろうかと思います。また、例に挙げられました肝炎ウイルス検査でございますが、個別勧奨という具体的な勧奨も大事でございますが、広報も大事だと思います。その際の広報意思、どのような意思を持って広報するのか、また、連続して広報する、広報対象を絞るといったことも大事でございます。その際、内容の中で、この肝炎ウイルスのケースを挙げますと、早期発見の大切さを広く県民にお知らせする。県民の方に知られていないことをどのように知ってもらうか。気づきを促すという広報もとても大事かと思っております。県民だより奈良を毎月発行しておりますが、この七月号では、あなたは肝炎ウイルス検査を受けましたかという直接的な質問の形での特集を組んでおります。県民だより奈良のテレビ版でもございます、ならいいね!という放送でも七月に放送いたします。

 このように、広報の媒体を適宜適切に、集中的に活用するのも効果があると思いますが、議員もお述べになりましたように、事業の取り組み、受診勧奨のような広報意思の明確化とともに、広報意思を住民の方々と共有するというパブリックリレーションズの考え方も基本的に大事でございます。奈良県では、二十を超えるジャーナル、地域ジャーナル、ターゲットジャーナルと言っておりますが、発行しております。地域のジャーナルは、大宮通りジャーナルのような例でございます。また、テーマジャーナルは、きれいに暮らそうというテーマのジャーナルを発行しております。目標を明確にして、ターゲットを絞ってジャーナルを発行して、ポスティングをするなど、お手元に届くようなことをしております。また、県のさまざまな分野の取り組み内容だけでなく、実際に取り組んできていただいております県民の方々に誌面なりジャーナルに登場していただきまして、パブリックリレーションズの形をとるようにしております。また、事業の現場に直接職員が出向きまして、報道機関の方に取り組み内容を丁寧に説明することも行っております。地域への発信だけでなく、県の取り組みが全国に発信されるケースも多くなってきております。このような広報活動もこれからの大事な広報活動だと思います。

 また、広報媒体の多様化という点にも触れられました。コミュニケーションの仕方が変わってきておりますので、県政情報、観光情報など、奈良県の地域ニュースを無料配信いたしますスマートフォンアプリ、ナラプラスという奈良県広報拠点を昨年の七月につくりました。まだダウンロードしていただいている方が少ないと思っておりますが、ぜひダウンロードしていただきたいと思います。ナラプラスとともに全国ニュースもあわせて見られるようになっております。また、広報媒体の多様化の中で、ツイッターやフェイスブックなど、SNSでの情報が若い人たち中心に多く広がってきております。そのような発信の仕方にも力を入れていきたいと思っております。さまざまな形での広報の努力を戦略性を持って進めていきたいと思っているところでございます。

 以上でございます。



○副議長(小泉米造) 林医療政策部長。



◎医療政策部長(林修一郎) (登壇)三番猪奥議員から私には、さい帯血バンクについてのご質問をいただきました。

 さい帯血の採取は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律に基づき、国の認可を受けて、奈良県内では日本赤十字社近畿さい帯血バンクが行っています。近畿さい帯血バンクでは、近畿四府県の十七の医療機関に委託し、その施設で出産される方の同意を得て、年間約七千件の採取を行っています。そのうち、県内では、二つの医療機関で年間約六百件の採取を行っているということです。より多くの方のさい帯血を確保することは有用でございますが、さい帯血の採取には、高度な技術と設備が整い、また、限られた時間内でバンクへの搬送が可能な距離にあるといった条件がございます。また、さい帯血には幹細胞の数が少ないといった課題もあり、現在のところ、需要の急激な増加は見込まれていない状況でございまして、さい帯血バンクは、こうしたバランスを見ながら確保を行っており、現時点では採取医療機関を拡大する状況にはないと聞いております。県といたしましては、県内でのさい帯血の確保が継続的にできるように、近畿さい帯血バンクに協力をしてまいります。また、今後、近畿さい帯血バンクから採取医療機関の拡大の求めがございましたら、必要な協力をしていきたいと考えております。



○副議長(小泉米造) 安田警察本部長。



◎警察本部長(安田浩己) (登壇)三番猪奥議員から私には、外国人観光客の安全・安心を確保するための県警察の取り組みについてご質問をいただきました。お答えを申し上げます。

 議員ご指摘のとおり、増加の一途をたどる外国人観光客等の安全・安心を確保することは、県警察にとっても大変重要な課題であると認識しております。そのため、本年策定をいたしました安全・安心の確保のための奈良県基本計画においても、重点的に取り組む七つの方向性の一つとして掲げまして、各種取り組みを推進しているところでございます。

 まず、通訳体制についてでございますが、現在、県警察では、警察職員の通訳人を九言語・三十六名、外部の通訳人を三十四言語・百三十三名確保いたしまして、事件・事故発生時の通訳対応を行っているところでございます。

 次に、日本語によるコミュニケーションが困難な外国人から一一〇番通報があった場合の対応についてでありますが、当該外国人と一一〇番を受理した警察官、これに通訳人を加えた三者で通話いたします三者通話システムによって対応しているところでございます。本年六月からは、この通訳人を六言語・十二名から八言語・十五名に増員するなど、体制を強化するとともに、実際の通報を想定した訓練を行うなど、練度の向上にも努めているところでございます。

 また、外国人が交番等に来訪した際には、警察官と当該外国人がイラストを指さし合いながら意思疎通を図るコミュニケーション支援ボードを活用したり、県との協定による多言語コールセンターを活用して対応しているところであります。

 今後は、対応言語の一層の充実と通訳人到着までの初期対応に活用するため、翻訳用タブレット端末の導入も検討しているところでございます。加えて、外国人に緊急時の一一〇番通報や交通ルールの周知を図るため、英語、中国語などの外国語で表記された啓発資料を作成いたしまして、ホテルやレンタサイクル店など、外国人がよく利用する事業者に配布を依頼するとともに、同じ資料を県警察ホームページにも掲載しているところであります。また、交通規制標識を外国人にも理解していただけるように、STOP、SLOWなど、英語を併記した標識の整備も今後進めてまいりたいと考えております。

 県警察では、奈良県を訪れる外国人の皆さんに良好な治安を実感していただけますよう、今後も引き続き、関係機関や団体等と連携しながら各種取り組みを推進してまいりたいと考えております。

 以上でございます。



○副議長(小泉米造) 三番猪奥美里議員。



◆三番(猪奥美里) それぞれご答弁をありがとうございました。

 まず、肝炎から再質問をしたいと思います。

 まず、注射器の回し打ちをしていて病気になったなど、注射器の回し打ちなどと聞くと大昔の話のような気がしますけれども、一九八八年というと昭和六十三年ですので、平成元年のその一年前までそのようなことをこの日本でしていたのだということに、私は非常に驚きを隠し得ません。

 今、県のほうでもいろいろな冊子などをつくっていただいております。気がつかないうちに肝がんにという、このような冊子をつくっていただいておりますけれども、中を開いてみますと、肝がんになったらどうなるのだ、早く検査をしなさいというのは書いてはいただいているのですけれども、集団予防接種でなったのだということには一つも触れられていないのです。ただでさえ、ウイルス性より飲酒による肝臓の病気などという誤解が広まっている中で、そこのところをきちんと押さえていただくようなお取り組みをしていただかないと、なかなか検査につながらないのではないかと思っています。

 先ほどのご答弁の中で、ウイルスの検査というのは、県がしている分と市町村がしている分があって、市町村の検査がメーンなので、市町村さんにどのようにお取り組みをしていただくかということに県は苦心をしたとおっしゃられたように思いました。市町村は市町村で頑張っていただくとして、市町村がどう頑張るかを県にサポートしていただくのはサポートしていただくとして、県でも独自に検査をしていただくことはできるのか、そこのところをお聞きしたかったのです。

 市町村実施分と県の検査分とを合わせた検査で一番受検率が多いのは佐賀県でございまして、しかしながら、佐賀県の市町村実施分は全国平均よりも少ないのです。というと、佐賀県は県として力を入れて検査をされているということがわかります。平成二十七年度の先ほどの奈良県の数、市町村実施分が四千九百四十二件で、奈良県実施分が三百五十六件ですけれども、佐賀県の県実施分が幾らかというと、この同じ年で一万一千五百三十九件だということでした。お聞きをするとこのような数字が返ってきました。奈良県が三百五十六件で、佐賀県が一万一千五百三十九件。これは、県として力を入れるとウイルス検査をしていただく方がぐっと伸びるということを佐賀県は教えてくれているのだと思います。

 佐賀県さんにお聞きをいたしますと、奈良県でやっている保健所実施分だけではなくて、県のほうで予算をおつけになられて、病院機関と連携をとって、連携をとっている二百六十の病院があると教えていただきました。二百六十の病院でウイルス検査をしていただいたら、その分は県のほうで出しましょうという事業をプラスアルファで県で行っているということでした。県として、この検査をしなければいけないと思って非常に力を入れて取り組んでおられるのだと思うのです。事業を進めるには何でもそうだと思いますけれども、目標を設定して取り組みを進めていくことが大事であると思うのですけれども、この点、まずは再質問したいと思います。



○副議長(小泉米造) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) 佐賀県の例を挙げられまして、県も頑張れば大いに受診率は向上するということでございます。おっしゃるとおりだと思いますので、県、特段力を入れたいと思います。



○副議長(小泉米造) 三番猪奥美里議員。



◆三番(猪奥美里) ありがとうございます。先ほども質問の中でも申し上げましたけれども、やはり検査をしないとわからないですし、一九八八年ということは、ここにおられる皆さんがもしかしたらウイルスにかかっているかもしれないという状況ですので、ぜひとも検査を受けていただく体制をまずはつくっていただきたいと思います。

 次は、ユニバーサルツーリズムについてお伺いしたいと思います。

 議事録を見ておりますと、ちょうど四年前の六月議会で、ユニバーサルツーリズム、そのときはバリアフリーツーリズムとお聞きいたしました。そのときに、知事からはご答弁として、県として何から取りかかるのが一番いいかを考えて、小学校一年生になったつもりで、できることから着実に実行していきたいと思います、とお答えをいただきました。しかしながら、この四年間の取り組みを見ておりますと、奈良県は、バリアフリーツーリズム、ユニバーサルツーリズムに力を入れて取り組んでいただけていなかったのではないかと思いまして、このたび改めての質問といたしました。

 いろいろな分野があります。民間主導でやるべき分野、行政主導でやるべき分野。私は、このユニバーサルツーリズムという分野は、ある一定、行政が主導して取り組むべき分野だと思うのです。取り組みが進んでいるのは、三重県とか沖縄県とかがよく挙げられますけれども、この両県に共通しておりますのは、観光の施策の中に条例ないしは計画なりでしっかりと位置づけがあること。それと、これは行政だけでやってもうまくいかなくて、民間事業者さんとの連携が必ず必要なのです。その連携をとるための協議会を一つ形として持っておられること。この二つが挙げられるかと思います。この四年間、一つずつ取り組みを進めていきますと言っていただいて、例えばバリアフリーマップの更新はしていただきました。それは一つ進展したかと思います。しかし、そのほかの分野であまり進展がないようにも見えますし、私は、バリアフリーツーリズム、ユニバーサルツーリズムを進めていくことは県の施策にとってプラスになると思いますので、この取り組み、協議会、条例ないしは計画での位置づけ、知事のお考えをお聞かせください。



○副議長(小泉米造) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) ツーリズムには熱心になってまいりました。先日、車椅子の方が来られまして、奈良は大変よくなったなと私の前で言っていただきました。例えば奈良交通のバスは、私の経験からしても、随分親切にやってくれているなと思います。車椅子の駐車場も、少なかったのがだんだんふえてきたと思います。もう一つは、民間事業者の方、旅館などのバリアフリーが進まないという弊害がございます。恥ずかしいことだと思っております。協議会をしたらできるのか、あるいは、近鉄とかのエスカレーター、バリアフリーがなかなか進まないのですが、民間の方をどのように巻き込めばいいですか。協議会をすればできるということであればいたしますけれども、なかなか今までの経験からは難しいと。しないというわけではないのですけれど、ぜひ、民間の方、旅館の方も含めて、バリアフリーは大事だと、この議場で聞いて、テレビを見ておられる方に賛同していただいて、民間の事業者の方が、猪奥議員が言ったから、やろう、と私のところに出てきていただくと、協議会どころか、いろいろな予算をつけてでもしようという気になるのですが、この四年間、格闘してきたつもりでございますけれども、民間の事業者のせいにするつもりではございませんが、なかなか難しい奈良県だと今思っております。何かしなくてはいけないと格闘していると。気持ちだけ述べて大変恐縮でございますが、そのような状況でございます。



○副議長(小泉米造) 次に、十六番西川均議員に発言を許します。−−十六番西川均議員。(拍手)



◆十六番(西川均) (登壇)葛城市選挙区選出の自民党奈良の西川均でございます。本日、一般質問に際しまして、奈良テレビを視聴の皆様方並びに本日傍聴においでをいただきました葛城市民の皆様方に、心からお礼と感謝をまず申し上げたいと思います。

 議長のお許しをいただきましたので、通告いたしております項目について質問をさせていただきたいと思います。

 先輩議員から、住民の小さな要望に応えて、それをかなえるのが政治だということをお教えいただきました。これまでも、小さなことを見逃さないように日々の行動をさせていただいてきておるところでございます。その心がけのおかげでしょうか、二年前、県議会議員に地元の皆様からお送りをいただき、ちょうど二年が経過をして折り返しとなりました。

 日々、小さなこと、達成できないことへのいら立ちと反省の繰り返しでございますが、残る二年、少しでも県民の皆様のお役に立てるように、また、我も人もの幸せを願い、県民の喜びを我が喜びとしての私の政治信条でございます。微力ではございますが、日々頑張ってまいりたいと思いますので、皆様方のご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 では、まず初めに、先ごろ日本遺産に認定されました竹内街道・横大路(大道)を活用した葛城地域の観光誘客の取り組みについてお伺いいたします。

 私の地元であります葛城市は、二上山から葛城山に連なる豊かな山並みに抱かれた自然豊かな土地柄であります。また、古くから歴史の舞台となり、市内には、當麻曼荼羅をはじめとした数多くの国宝、重要文化財を伝える當麻寺や、神武天皇の世に創建されたと言われる葛木坐火雷神社、通称笛吹神社をはじめとして、数多くの歴史的な遺産が残り、伝統行事も連綿と受け継がれておるところでございます。葛城地域全体を見ても、古事記や日本書紀にも登場する魅力的な歴史文化遺産が数多く存在いたしております。また、このエリアには、三路線の鉄道が走るほか、南阪奈道路を経由して関西国際空港からも直接アクセスができ、国道二四号などの主要道路により県内外からのアクセスも良好であります。しかし、県の調査によりますと、奈良県への観光客は、平成二十四年の三千四百二十九万人から、平成二十七年には四千百四十六万人へと大幅に増加しております。しかし、葛城市などを含む県西部エリアでは、ほぼ横ばいの状態で推移いたしております。

 このような状況の中で、去る四月二十八日に、竹内街道・横大路(大道)が日本遺産に認定されるといううれしいニュースがありました。今回は、全国から七十九件の新規申請があった中で十七件が認定されたのですが、その中の一つが、千四百年にわたる悠久の歴史を伝える最古の国道、竹内街道・横大路(大道)であったわけであります。奈良県内では、さきに、飛鳥地域、吉野地域の二つの日本遺産が認定されており、今回の竹内街道・横大路(大道)は奈良県として三件目の認定となりました。県内に数多くの文化財が残る奈良県ならではの特徴ではないかと思います。

 県では、これまで、街道の沿線に所在する葛城市を含む県内五市村、大阪府、大阪府内の五市町と連携して、竹内街道・横大路(大道)活性化実行委員会を設置し、日本遺産認定へのPR活動とパンフレットの作成、竹内街道・横大路(大道)まつり、ウオークイベントなど、街道の魅力を広く発信し、地域活性化につながる取り組みを行ってこられました。さらに、実行委員会では、今回の日本遺産認定をきっかけにして、ホームページの充実やイメージソングの作成、旅行者のニーズ調査、案内板の設置等のさまざまな取り組みを企画されているとのことであります。しかしながら、世界遺産が三カ所も存在する奈良県の中においては、葛城地域を含む中南和エリアの魅力が県内外に十分に認識されていないように見受けられます。

 そこで、観光局長にお伺いいたします。

 日本遺産認定を機に、市町村と連携して葛城地域の活性化や観光誘客の取り組みを進めることは、大仏様や鹿というイメージが強い本県の観光において、葛城地域を含む中南和地域への魅力的な周遊ルートへの注目度を高め、県全体の観光客や宿泊者数の増加にもつながると考えますが、県では、今後どのような取り組みを進めていかれるのか、お伺いいたします。

 次に、さきの二月定例県議会において全会一致で可決・成立をしていただきまして、ことし四月から施行された奈良県手話言語条例の推進に当たって、本年度の具体的な取り組みについてお伺いいたします。

 この条例は、ご承知のとおり、奈良県障害のある人もない人もともに暮らしやすい社会づくり条例が昨年四月から全面施行されたことに加え、本年度から、奈良県議会の本会議のテレビ中継において手話通訳が本格実施されること、さらには全国の条例制定状況などを踏まえ、委員会提案により制定された条例でございます。提案までには、厚生委員会において、関係の理事者の出席を求め、当時先行して制定している八つの県における条例や施策の内容を調査するとともに、実効性のある条例を制定するため、当事者や関係団体の方々から要望や意見等も聞かせていただき、さらにパブリックコメントの手続を経て条例案を取りまとめたものでございます。

 聴覚障害のある方は、日常生活、社会生活において、さまざまなご不便を感じておられます。また、生まれたときから音が全く聞こえない方や小さな音が聞き取りにくい難聴の方、また、病気などで中途で聴力を失った方もいらっしゃいます。例えば、テレビやラジオなどの放送を聞くことができない、また、呼びかけや自転車のベルなどが聞こえず、危険に遭遇する場合もあります。他人とコミュニケーションをとったり意思表示を行いたくてもできないといった、さまざまな生きづらさを感じておられます。そのような中、手話を理解する人同士であれば意思疎通ができます。そのような方にとって、手話は自分の考えを率直に表現できる大切なコミュニケーションの方法となっております。聴覚障害のある方や関係の方からは、この条例が制定され、手話の普及等が進むことにより、今感じておられる生きづらさが少しずつでも解消・改善されるものとご期待いただいているものと思います。この条例を実効性のあるものとするためには、当事者や関係者等の意見や要望等を踏まえ、幅広い分野での効果的な施策や取り組みを総合的・計画的に推進することが肝要と考えます。

 そこで、健康福祉部長にお伺いいたします。

 県では、奈良県手話言語条例の推進に当たって、条例施行初年度である本年度は具体的にどのような取り組みで進んでおられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

 次に、国道一六五号大和高田バイパスの整備についてお伺いをいたします。

 大和高田バイパスは、南阪奈道路とつながり、奈良県の中南部と大阪中心部の経済圏や関西国際空港へもアクセスするとともに、葛城市、大和高田市等における現国道一六五号の交通混雑の緩和や交通安全を目的に計画された道路と伺っております。計画延長十四・四キロメートルのうち、現国道一六六号の香芝市穴虫から當麻寺交差点までの北側、約四・九キロメートルが平成七年度に開通され、大和高田バイパスランプの太田から橿原市四条町の県立医科大学前までの高架部も平成十五年度に全面開通いたしました。これにより、中南和地域の東西のアクセスが大幅に向上いたしました。

 また、大和高田バイパスと連絡する南阪奈道路を通じて、大阪と奈良県中和地域を結ぶ東西交通の大動脈として広域的な道路ネットワークを形成しており、平成十六年度には橿原市内でも大型ショッピングモールが出店され、遠方からも買い物客が訪れるなど、大変盛況とお聞きいたしております。

 大和高田バイパスの未完成区間は、大和高田バイパスランプの太田から北側、當麻寺交差点までの区間二・三キロメートルのみとなっております。この区間が完成すると、並行している県道御所香芝線の渋滞緩和が図られ、地域医療、高齢者への福祉に貢献すると考えております。さらに、この区間が完成し、広域的な道路ネットワークが完成することで、これまで以上に中南和地域が活性化して、経済圏が大きく変化するのではと期待いたしております。

 そこで、県土マネジメント部長にお伺いいたします。

 現在国が進めている国道一六五号大和高田バイパス整備事業の進捗状況と今後の見通しについてお教えをいただきたいと思います。

 最後に、河川や道路の維持補修の充実についてお伺いいたします。

 よりよい奈良、本県の地方創生を実現するために、広域的な幹線道路の整備や、観光振興や企業誘致などに資するインフラ整備を進めていくことは必要なことであり、このようなインフラ整備を限られた予算の中で選択と集中により進められていることはよく理解しているところであります。

 河川改修や幹線道路の整備等による防災、安全・安心の確保は、県民の生命・財産を守るといった県政の重要な使命ではありますが、県民の身近な安全・安心を確保する河川や道路の維持補修の充実は、地方創生の取り組みを下支えするものであると同時に、県民の安全・安心に直結する事業であり、県民が生活する上での最大の関心事であるとともに、こうした地域のニーズにしっかり対応していくことがよりよい奈良を実現するために非常に重要であると考えております。しかしながら、私の地元である葛城市の実情となれば、河川に土砂が堆積しており、大雨のたびに、あふれないか心配だと地域にお住まいの方々から不安の声を聞きます。また、生活道路においても、草が生い茂って見通しが悪くなっていたり、舗装の傷みが激しく、特に自転車やバイクでは走りにくいとの声も聞きます。地域住民にとって安全・安心を最も身近に実感するのは、住んでいる地域が河川の洪水で浸水しないことや、生活で使う道路がきれいに草刈りされて見通しがよく、舗装の傷みがなく、快適に走行できることであります。

 河川改修や幹線道路の整備等のインフラの整備はもちろん重要なことでありますが、地域住民が生活する上で今求められている身近な安全・安心を確保し、このことを実感することができるきめ細かな河川や道路の維持補修を充実させる必要があると考えます。

 そこで、県土マネジメント部長にお伺いいたします。

 県では、県民の身近な安全・安心を確保する河川や道路の維持補修の充実に向けてどのように取り組みをされているのか、お伺いいたしたいと思います。

 これで壇上からの質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)



○副議長(小泉米造) 森田観光局長。



◎観光局長(森田康文) (登壇)十六番西川議員のご質問にお答えいたします。

 私には、日本遺産に認定された竹内街道・横大路(大道)を活用した葛城地域の観光誘客の取り組みについて、県として今後どのような取り組みを進めていくのかということでございます。

 議員お述べのとおり、葛城地域は、国内でもひときわ古い由緒を誇る歴史文化資源の宝庫であると考えております。周辺の自然景観とともに、魅力ある観光素材が豊富な地域であると思います。この歴史文化遺産を含めまして、竹内街道・横大路(大道)が今回日本遺産に認定されましたことは、千四百年も前の時代から、大陸の仏教文化、先進技術がもたらされました日本最古の国道であるというストーリーが高く評価されたものでありまして、大変意義のあることだと考えております。国内外の観光客から葛城地域への注目を高め、観光地としての認知度を高める絶好機になるのではないかと期待しておるところでございます。

 県といたしまして、奈良の奥深さを感じていただける観光資源の強みを生かして誘客を促進するためには、ターゲット、対象層を的確に捉えたプロモーションが重要であると認識しております。そこで、奈良県観光キャンペーンを中心としまして、重点となる顧客層ごとに、特別感のある着地型の旅行商品の造成・販売に取り組んでおります。

 葛城地域におきまして一例を挙げますと、歴史文化へ関心の高い層には當麻寺奥院の特別拝観、あるいは、若年女性、食通の方には、地元の酒造会社での酒蔵体験などの企画を提供しております。また、最近では、奈良県ビジターズビューローが、外国人を対象としまして、葛城市にあります相撲館けはや座で相撲体験ができる商品を販売しましたところ、昨年度は、七回、百四十名の外国人の方が参加いただいたツアーを催行させていただきました。今年度もさらに増加の見込みで、この相撲体験、欧米を中心に非常に人気が高まっているところでございます。

 今後、さらなる国内外の観光客の周遊・滞在につなげるためには、来訪者へのおもてなし向上を進めまして、観光地葛としてのブランドを確立することが重要だと考えております。このため、統一された多言語案内看板の設置でありますとか、ガイドの育成ですとか、良好な景観形成など、市町村をはじめ、地元関係者の方々が一丸となって行われます取り組みに県としても積極的にかかわりまして、支援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。ご質問ありがとうございました。



○副議長(小泉米造) 土井健康福祉部長。



◎健康福祉部長(土井敏多) (登壇)十六番西川議員のご質問にお答え申し上げます。

 私には、奈良県手話言語条例の推進に当たって、条例施行初年度である本年度、具体的にどのように取り組んでいくのかとのお尋ねでございます。

 議員お述べのように、奈良県手話言語条例に基づく施策の推進に当たりましては、条例の基本理念にのっとり、聴覚障害のある方が感じておられる生きづらさが少しずつでも解消・改善されるよう取り組んでいくことが重要でございます。このため、条例施行の初年度である今年度は、条例及び手話の普及・啓発といたしまして、啓発用ポスターやチラシ、手話ハンドブックを作成するとともに、手話を身近に感じ、子どもから大人まで誰もが楽しめ、そして手話のことを広く知ってもらうためのイベントを、第三十二回国民文化祭・なら二〇一七、第十七回全国障害者芸術・文化祭なら大会に合わせて開催いたします。

 また、手話を学ぶ機会を確保するため、医療機関や警察、消防等の専門職の方を対象とした手話講座や、中途で聴力を失った方や難聴の方を対象とした学習会を開催することといたしております。

 一方、来年度以降におきまして、より効果的な施策を総合的かつ計画的に推進するため、奈良県障害者施策推進協議会に、聴覚障害者団体など、手話の普及に関係する団体等で構成する部会を設置いたしまして、当事者目線からご意見等をお聞かせいただくとともに、県庁内の障害者政策推進本部会議におきましても、幅広い分野での施策推進につきまして検討を進めていくこととしているところでございます。

 このような検討をもとにいたしまして、奈良県障害者計画にも今後の施策の推進方向を位置づけまして、引き続き施策の着実な推進とさらなる充実に取り組んでまいります。

 以上でございます。ありがとうございました。



○副議長(小泉米造) 加藤県土マネジメント部長。



◎県土マネジメント部長(加藤恒太郎) (登壇)十六番西川議員のご質問にお答えいたします。

 私には、国道一六五号大和高田バイパスの事業進捗状況と今後の見通し、そして、河川や道路の維持補修の充実に向けた取り組みの二点についてお尋ねがございました。

 まず、国道一六五号大和高田バイパスの事業進捗状況と今後の見通しについてお答えを申し上げます。

 国道一六五号大和高田バイパスは、現道の交通混雑の緩和や交通安全の確保を目的とした、香芝市穴虫から橿原市四条町に至る十四・四キロメートルの道路でございます。議員お述べのとおり、平成十五年度までに、葛城市の當麻寺の交差点から大和高田バイパスの弁之庄ランプまでの間の約二・三キロメートルの区間を除きまして、おおむね整備を終えております。この未整備の約二・三キロメートルの区間につきましては、平成二十五年度以来、奈良国道事務所が地元との協議を進めてまいりました。平成二十八年十月に、沿線六自治会に対しまして合同の事業計画説明会を開催いたしまして、計画案をお示しすることができましたことから、個々の自治会との調整を進めまして、用地幅ぐいも全体の五割までその設置が進んでいるところでございます。

 今後の見通しでございますが、平成二十八年度までに用地幅ぐいの設置が完了している大畑、太田、南今市の三地区につきましては、今年度から用地買収が進められると聞いてございます。また、長尾地区、竹内地区の国道一六六号までの区間につきましては、今年度は、地元と設計協議を進めまして、了解が得られたところから用地幅ぐいを設置すると聞いてございます。また、一番北になりますけれども、国道一六六号より北側の竹内地区と當麻地区におきましては、測量に実施に向けて、地元説明会の開催など、地元地域との調整が進められると聞いてございます。

 事業主体である奈良国道事務所からは、今後も、地元地域の皆様方に対しまして丁寧に説明をさせていただき、十分にご理解をいただきながら事業を進めていくと聞いてございますので、本県といたしましても、円滑な事業の推進に向けまして積極的に協力してまいりたいと考えてございます。

 次に、二点目でございます。河川や道路の維持補修の充実に向けた取り組みについてお答えを申し上げます。

 ご指摘をいただきました河川の堆積土砂の撤去ですとか道路の草刈り、舗装の補修といったような維持修繕に要する経費につきましては、これは補助対象とか交付金の対象になってございませんので、県単独費で事業を実施しているところでございます。これらの予算につきましては、平成二十八年度に約三十五億円をお認めいただき、平成二十七年度の約三十一億円から約四億円、割合にいたしまして約一三%もの大きな伸びとなったわけでございます。今年度につきましても、県土マネジメント部の県単独公共事業費が対前年の〇・九七という状況ではございますけれども、この道路・河川の維持修繕につきましては、伸ばしていただいた予算を減らすことなく、対前年一・〇一を確保させていただいているところでございます。

 このような状況のもと、地域の皆様方からのご要望にお応えしていくためには、なお一層のコスト縮減を図るとともに、限られた予算をより効率的、効果的に活用することが重要でございます。このため、新たな取り組みといたしまして、本県が管理をいたします道路照明、約七千五百基ございますけれども、これを、耐用年数が長く、電気代も従来の約三分の一に抑えることができるLED照明に置きかえることにつきまして、現在、検討を進めているところでございます。

 また、細分化されておりました河川や道路に係る緊急的な維持修繕工事につきまして、河川と道路で束ねたりエリアを統合したり、あるいは契約期間の通年化を図るなど、この業務の効率化等も進めているところでございます。平成二十八年度の発注件数は六十八件ということで、前の年の約四割まで減らすことができました。

 また、従来から推進しております地域の河川サポート事業、あるいは、道路の関係では、みんなで・守ロード事業といったような、地域の皆様方と一緒に進める協働事業につきましても、平成二十八年度も引き続き二百七十九団体にご協力をいただいたところでございます。ご協力をいただきました皆様方に、この場をおかりして感謝を申し上げたいと思います。

 引き続き、河川や道路の維持修繕につきまして、さまざまな工夫を凝らしながら、安全・安心で快適な環境を求める県民の皆様方のご期待にお応えできるよう、努力してまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。



○副議長(小泉米造) 十六番西川均議員。



◆十六番(西川均) ご丁寧な回答をいただきまして、誠にありがとうございました。

 観光局長には、一つ、まだそれほど當麻寺自身が県内外に知らされていないということもございますので、積極的に私も葛城市とともにPRしていきたいと思いますし、包括的に観光客を誘客できるという形の取り組みを、もう一段ご協力を賜りたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 そしてまた、土井健康福祉部長には熱意のあるご回答をいただきました。奈良県手話言語条例の推進に一生懸命になっていただいておりますこと、よくわからせていただきました。今後とも、障害のある人もない人もともに共生して住みよい社会生活が送れますように、一段のご尽力を賜りたいと、このように思うところでございます。

 県土マネジメント部長に自席からお願いを申し上げたいと思います。といいますのは、非常に高齢化が進んでまいりまして、今まで、私ども、七・六キロメートル南北の長さがございます葛城市において、六本もの一級河川が存在をするという現状にございます。そのことにつきまして、一本ずつ毎年堆積物を除去していただいても六年かかるという勘定になるわけでございます。そしてまた、上のほう、山側のほうで、源流のほうで土砂の堆積を取らないと、それが下流に流れていく。下流になってくると今度は大変な労力と経費が要るということになりますので、できるだけ源流のほうで除去していただきたいということを一つ切望いたしておきたいと思います。

 それと、河川や道路の維持管理に積極的に取り組んでいただいていることをありがたく思うわけでございますが、今回、私は、維持補修の面から質問をさせていただいたのですが、本県は、やはり、河川改修や幹線道路の整備といった根幹的な部分が他府県に比べ非常におくれていると感じます。本県は、根幹的な整備を進めていただくとともに、既存のインフラをきちんと機能させることが重要であろうと思いますし、したがって、既存のインフラをきちんと機能させるために、河川や道路の維持補修の取り組みに予算をもう少しつぎ込むべきと考えております。維持補修に着実に取り組んでいただけるよう、維持補修予算のさらなる充実をさせていただきたいことを要望しておきたいと、このように思います。

 これをもちまして私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。



○副議長(小泉米造) しばらく休憩します。



△午後二時二十二分休憩

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△午後二時三十九分再開



○議長(川口正志) 休憩前に引き続き会議を開きます。

 次に、十七番小林照代議員に発言を許します。−−十七番小林照代議員。(拍手)



◆十七番(小林照代) (登壇)日本共産党の小林照代です。最後の質問になりましたが、皆様、ご協力よろしくお願いいたします。

 初めに、精神障害者の医療・福祉につきまして、知事にお尋ねいたします。

 人々に衝撃を与えた、神奈川県相模原市の障害者支援施設津久井やまゆり園で起きた元職員による大規模な障害児(者)殺傷事件から、間もなく一年になります。二月二十八日、厚生労働省は、このような事件を二度と起こさないようにと、また、主に措置入院制度の強化を図る精神保健福祉法の改正案を閣議決定し、さきの第百九十三回国会に提出されましたが、六月十六日の衆議院本会議の議決で継続審議となりました。改正案について、日本精神神経学会は、精神科医療の役割は、病状の改善など精神的健康の保持・増進であり、犯罪の防止を目的とした法改正は行うべきではなく、措置入院者が退院後に医療等の継続的な支援を確実に受けられる仕組みの整備であり、支援が有効になされるためにまず必要なことは、地域資源をふやし、市町村、保健所・保健センター、精神保健福祉センターなどの精神障害者支援機能の拡充です、との学会見解を出しています。日本障害者協議会は、精神障害者の差別・偏見を助長し、さらに権利侵害が起こっていくことを懸念する、との意見を発表しました。きょうされんの意見は、今、日本に求められていることは、措置入院制度の見直しではなく、精神科医療の抜本的改革、すなわち社会的入院の解消、精神障害のある人への権利擁護の仕組みづくり等です、と述べています。

 私は、一九七三年四月、医療ソーシャルワーカーとして、奈良市内の精神科と一般科併設の病院に就職しました。精神障害者を支援したい、これは心の病で苦しむ家族と暮らした私の強い思いでした。病院の中庭をうつろな表情で散歩する患者さんの姿に、あの人はもう三十年も入院されています。帰る家も身寄りもないです。あの人だけではありません。何人もいます、と先輩に言われ、何とかならないのかとの思いに胸を熱くしたことが今もよみがえってきます。

 日本の精神障害者の歩んできた道は、大変苛酷でした。戦前の日本では、精神障害者の多くは、鍵のかかった自宅の座敷牢という暗い部屋に閉じ込められてその一生を過ごさなければなりませんでした。「我邦十何万の精神病者は実に此病を受けたるの不幸の外に、此邦に生まれたるの不幸を重ぬるものと云うべし」、これは、東京帝国大学医科大学教授、日本の精神病学の創立者であり、小説家夏目漱石の主治医として知られている呉秀三氏が、精神病者私宅監置の実況及び其統計的観察の前文に書かれたフレーズです。呉秀三氏のこの言葉について、日本障害者協議会の藤井克徳代表は、九十年以上も前に、障害者の捉え方について時代を先取りしていたことへの驚きをご自分の著書で語っておられます。

 精神障害者の医療や福祉については、精神障害者に関する法律の変遷を見るとよくわかります。日本における精神病者に関する最初の法律は、一九〇〇年に制定された精神病者監護法で、精神病者は社会にとって危険であり監禁の対象であるとみなし、座敷牢を認めるものでした。一九一九年になって精神病院法が制定され、道府県が精神病院を設置し、地方長官が精神病者を入院させることができるようになりましたが、この私宅監置、座敷牢は、一九五〇年、基本的人権の尊重をうたった新しい憲法のもとで制定された精神衛生法まで続きました。都道府県に精神病院設置が義務づけられ、同時に措置入院・同意入院が規定されましたが、この時点では、精神障害者に対する保健・福祉の観点はありませんでした。

 一九八七年、精神保健法は、社会復帰促進を明記。入院患者の人権擁護の整備、社会復帰施設が初めて規定されました。一九九三年、障害者基本法において、精神病者が初めて障害者として位置づけられ、一九九五年、精神保健福祉法により精神保健福祉手帳が創設され、社会適応訓練事業の法制化、自立・社会参加の時代へと進んできました。

 このように、病院から地域への流れが少しずつ動き、精神障害者の地域生活を可能にして、人として生きる権利を獲得していく歩みが一歩ずつ前進していこうという矢先、今回の法改定はそれに冷や水を浴びせるものです。障害者権利条約は、強制入院の全廃を求めています。しかし、日本の精神科医療においては、病気の治療のために入院したはずが、鍵のかかった部屋で過ごしたり、ベッドにくくりつけられるなどの隔離収容や身体拘束がふえ続けており、国際基準と照らし、精神科医療の抜本改革が求められています。今こそ、措置入院、医療保護入院、任意入院などの入院形態に関係なく、精神障害のある人への退院後の支援が必要になっています。

 知事にお尋ねします。

 一、精神科病院での社会的入院について、奈良県の現状はどうなっているのでしょうか。また、退院後の支援はどのように行われているのでしょうか。

 次に、病院から地域への流れを進めるために、保健所・精神保健福祉センターによる支援、肪問看護や相談事業所の量・質の拡充が求められますが、進んでいるのでしょうか。

 次に、退院後の生活の場の確保について、グループホームの整備状況と今後の計画についてお伺いいたします。

 次に、住まいの貧困についてお尋ねします。

 私は、この十年ほどの間に、奈良公園やJR奈良駅や近鉄新大宮駅などで路上生活を送る十数人のホームレスの人との直接の出会いがありました。年齢は三十歳代から六十歳代、中には女性もいました。高等学校を卒業して就職したものの会社の寮を追われた人、会社が倒産して失業に追い込まれた人、自営の仕事がうまくいかず、借財を抱え家も家族も失った人、障害者、夫の暴力に耐えられず家出をした女性などでした。

 一九九〇年代ごろは、家を失うというのは、主に中高年の土木建築現場で働く日雇い労働の問題だとされており、路上生活者は五十歳代から六十歳代の男性労働者でした。二〇〇〇年代になると、全国的に二十歳代、三十歳代の働いていて貧困に陥るワーキングプアと呼ばれる若者がふえ、ネットカフェ難民という言葉が流行語になり、窓のない二畳、三畳ほどの部屋を脱法的に貸し出す脱法ハウスが問題になりました。二〇〇八年から二〇〇九年のリーマンショックによる派遣切りが問題になった際、最初に生活に困窮した人というのは、派遣会社が用意した寮を追い出された人たちでした。仕事と同時に住まいも失ってしまう。これは労働や雇用の問題であると同時に、住宅政策の問題でもあります。

 かつての日本には、住宅すごろくと呼ばれる住宅のモデルがありました。振り出しは単身用賃賃アパート、新婚時代の小さなアパート、子どもが生まれるころには少し広めの賃貸マンション、やがて分譲マンションを手に入れ、それを売り払って、庭つき一戸建て住宅を手に入れて上がりというものでした。これが今まで一般に典型的と信じられてきた住みかえパターンでした。しかし、バプルの崩壊やリーマンショック、さらに、年功序列で定年まで当たり前であった雇用形態が変わり、一九九九年と二〇〇三年の労働者派遣法改悪をきっかけに非正規労働者がふえ、不安定な仕事を転々とせざるを得ない人たちが増加したため、生活の変化に合わせた住まいの確保ができない方が多くなりました。

 低所得者だけではありません。高齢者や障害者の住宅問題も深刻化しています。二〇一四年度に公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が全国ベースで行った調査では、高齢者の入居に拒否感があると答えた大家さんが約六割、障害者の入居に拒否感があると答えた大家さんが約七割。低所得の高齢者や障害者の家賃の不払いや、孤独死とそれに関連するリスクへの不安等が入居制限の要因となっています。さらに、子育て世帯に対しても約一割が拒否感があると答えるなど、今や住まいの確保に関する問題は、低所得者の若者や高齢者だけでなく世代を超えて広がっていると考えます。

 奈良県は、持ち家比率が約七四%と全国でも高い一方、約一八%の方が民営借家にお住まいという状況にあります。民営借家では、家賃だけでなく、敷金、礼金、手数料、火災保険料、保証料等が必要となり、不安定な雇用で収入が少ない人などは、住環境の劣る住宅に住まざるを得ない現状があるのではないでしょうか。

 住まいの安定は、人の暮らしの最も大切な基盤です。住まいは人権であることを基礎にした住宅政策が求められます。国においても、単身高齢者など、住宅の確保が困難な方が増加する一方で、空き家が増加していることなどを踏まえ、民間賃貸住宅を活用した新たな住宅セーフティーネット制度の創設に伴う法改正が行われました。

 まちづくり推進局長にお尋ねします。

 ことし三月に奈良県住生活基本計画を改定され、全ての県民が、健康で文化的な住生活を営めるよう、公的賃貸住宅や民間賃貸住宅による居住の安定の確保を図る、と記載されておりますが、具体的にはどのように取り組まれるのでしょうか。また、国が進める新たな住宅セーフティーネット制度について、今後どのように対応される予定でしょうか。また、県は、住宅セーフティーネットの核として県営住宅を管理・運営されておりますが、エレベーターのないところが多く、入居されている方の高齢化などに伴い、日々の階段の上り下りが困難になっている入居者もおられます。このような状況では高齢者や障害者が安心して住める県営住宅とは言えないのではないでしょうか。

 まちづくり推進局長にお伺いします。

 高齢者や障害者などが安心して住み続けられる県営住宅とするため、今後、バリアフリー対策等についてどのように取り組まれるのでしょうか。

 最後に、防災についてお尋ねします。

 自分たちのまちは自分たちで守らなければ。南海トラフ巨大地震がここ二十年から三十年に起きる危険があるということで、今、私たちの周りの地域やまちで自主防災組織の結成や活動が活発に行われてきています。活動に熱心に取り組んでいる皆さんが口々に言われることは、避難所はみんなを受け入れられるのだろうか。昨年の熊本地震では市役所が崩れたが、避難所の建物は大丈夫か、などです。二〇一六年三月現在の総務省消防庁国民保護・防災部の、防災拠点となる公共施設の耐震化推進状況調査によると、奈良県の耐震化率は、社会福祉施設耐震率七三・五%で全国順位が四十三位、文教施設は耐震率九五・四%で三十五位など、まだまだ耐震化が必要な状況です。

 特に、その多くが避難所となる学校施設では耐震化は喫緊の課題です。二〇一六年四月現在の文部科学省の、公立学校施設の耐震改修状況調査によると、奈良県の公立小中学校の耐震化率は九八・六%で二十八位ですが、公立高等学校の耐震化率は八二・八%で四十六位です。一〇〇%を目指して急速に進めるべきです。

 また、奈良県では、昨年三月、奈良県耐震改修促進計画の改定を行ったと聞いています。

 まちづくり推進局長にお尋ねします。

 奈良県耐震改修促進計画に沿って、県内の公共施設の耐震化を進めるため、県として、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

 次に、避難生活を送る避難所は安心できるところでなくてはなりません。奈良市の防災計画によれば、避難者数は最大十三万人を想定しているので、食料は約三十九万食、生活必需品は約十三万セットが望まれますが、奈良市の指定避難所の備蓄品は三万五千人分の一日分、備蓄品のない避難所や飲み水のない避難所もあります。飲料水を含む食料、生活物資の提供等は行政の役割です。避難所で安心して過ごすためには、避難生活に欠かせない水・食料・毛布・トイレなど、十分な備蓄が必要です。昨年の熊本地震では、大量に送られた物資が人手不足で仕分けと発送に手間取り、山積みにされていたというニュースが伝えられましたが、物資の山積みに加え、救援物資の分配の遅延やばらつきなどにより、避難所の差が生じるケースが多発するなど、たびたび問題になりました。

 そこで、危機管理監にお尋ねします。

 災害に備えるため、備蓄の確保と支援物資の受け入れについてどのように取り組んでいかれますか。

 以上で壇上からの第一問を終わります。ご静聴ありがとうございました。(拍手)



○議長(川口正志) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) (登壇)十七番小林議員のご質問にお答え申し上げます。

 最初のご質問でございますが、精神科病院での社会的入院と退院後の支援についてでございます。

 昨年六月末現在、約二千四百名の方が県内の精神科病院に入院されておりますが、そのうち約一千四百人の方は一年以上の長期入院でございます。一年以内に退院される方の約七割は家庭復帰されるのに比べまして、入院期間が長くなるにつれ、自宅への退院が難しくなってきております。退院が困難となる理由としては、ご本人の病状以外にも、家族や地域における支援体制の要因が複雑に絡まっているように聞いております。退院後の支援が必要だということでございますが、医療機関での治療や精神科デイケア等の保健医療サービスだけでなく、障害福祉サービスの提供も必要でございますが、日中活動の場や居宅介護などが提供されるのが通常でございます。これらのサービスについては、障害者総合支援法に基づいて給付がなされている状況にございます。

 また、議員がお述べになりましたように、病院から地域への流れを円滑に進めるための状況についてのご質問でございます。

 このような精神保健福祉を取り巻く最近の状況も議員はお述べになりましたが、病院から地域へという流れは基本的な流れでございます。流れに沿って障害福祉サービスや訪問看護を提供される民間の事業所が増加しております。例えば、奈良県では地域移行支援事業所というのがございますが、平成二十四年度に四十四カ所ありましたのが、四年後の平成二十八年度には六十カ所にもなっております。精神障害者の地域生活を支援する活動は充実する方向にございます。

 県の役割でございますが、精神科病院、市町村、地域援助事業者等による地域移行支援が円滑に実施できるような総合調整の役割と、人材育成を進める役割が重要だと認識しております。具体的な取り組みでございますが、保健所におきましては、管内の精神科病院へ働きかけまして、地域移行への取り組みを促したり、市町村や関係機関等を交えました連携会議の開催など、コーディネーションに努めております。これらによりまして、退院後の保健医療サービスや生活支援が確実に生活の場に近いところで提供されますよう努めているところでございます。また、精神保健福祉センターにおきましては、地域移行を推進するために人材育成をしております。その一環といたしまして、精神医療従事者、障害福祉サービス事業者等を対象に研修会などを開催しているところでございます。このような取り組みによりまして、県の役割を果たし、市町村や民間の関係機関がよりきめ細かな支援を進め、病院から地域への円滑な移行が実行できるように努めてまいりたいと思います。

 さらに、グループホームの整備状況についてのご質問もございました。精神障害を含む障害のある人が地域で暮らすための住まいでございますグループホームの整備は、病院から地域へという流れのためには大変重要でございます。奈良県では、奈良県障害者計画におきまして、市町村が見込んだ必要量をもとに、グループホームの目標定員数を一千三百五十五人と設定して整備の促進に取り組んでおります。具体的には、グループホームの整備を促進するため、新設や建てかえのほか、スプリンクラーの設置など、施設整備に対して補助を行っております。また、市町村等と連携して、地域住民に対しまして、障害者への理解や意識啓発を促すなど、グループホームが地域に受け入れられるような環境づくりにも取り組んでおります。

 このような結果、平成二十八年度末の整備状況でございますが、定員数が九百八十三人になりました。前年度に比べまして四十五人増加しております。目標に比べましてはまだ至っておりませんが、約七三%の進捗となっております。議員お述べになりましたように、グループホームの整備は大変重要だと思っておりますので、その整備促進に努めてまいりたいと思っております。

 私に対する質問は以上でございました。



○議長(川口正志) 金剛まちづくり推進局長。



◎まちづくり推進局長(金剛一智) (登壇)十七番小林議員から私へは、大きく二つお尋ねがございます。

 まず最初に、住まいにつきまして、居住の安定の確保を図るために具体的にどのように取り組んでいるのかということ、また、国が進める新たな住宅セーフティーネット制度について、今後どのように取り組んでいくのかということ、そして、住み続けられる県営住宅とするために、バリアフリー対策等について今後どのように取り組んでいくのかというお尋ねでございます。お答えいたします。

 県におきましては、低所得世帯、また高齢者世帯、ひとり親世帯といったものが増加の傾向にございます。これらの方々への住宅の確保につきまして、配慮を要する方々への居住の安定の確保は課題であると認識しているところでございます。このため、本年三月に改定しました奈良県住生活基本計画におきまして、公営住宅の入居の促進や公営住宅ストックの有効活用と計画的な供給、それから民間賃貸住宅の活用を位置づけたところでございます。

 これまで、県営住宅を住宅セーフティーネットの核として整備・供給しておりまして、耐用年数が残る県営住宅では長寿命化を図るための外壁等の改修を、また、老朽化が著しいものは建てかえを順次行っているところでございます。また、住宅確保要配慮者に適切に供給するために、募集時には、高齢者世帯やひとり親世帯などを対象に、一般の募集とは別に枠を設けまして優先的に入居できるようにしているところでございます。さらに、昨年三月に設立いたしました奈良県居住支援協議会を活用いたしまして、県と市町村の住宅部局及び福祉部局、そして不動産関連団体と連携を図っております。例えば、福祉部局に対して、県営住宅の募集開始の周知及び関係機関への周知の依頼を行いまして、情報が必要な方々に届くように努めているところでございます。今後は、福祉部局や不動産関連団体とさらに連携を図りまして、県内の住宅確保要配慮者や民間賃貸住宅の構造・設備、そういったものの実態把握に努めてまいります。また、本年秋には、住宅セーフティーネット改正法が施行される予定でございます。改正法に基づきまして、構造・設備などの登録基準に適合したものを住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として登録いたしまして、それらの情報提供を行うとともに、住宅確保要配慮者の入居に関しまして賃貸人の指導監督も行ってまいります。

 次に、県営住宅のバリアフリー対策につきましては、老朽化した県営住宅を建てかえる際、バリアフリー仕様を原則としております。例えば、平成二十六年度に建てかえ工事を完了いたしました県営小泉団地では、バリアフリー化を行っております。また、今年度工事着工予定の県営桜井団地におきましても、同様に行ってまいります。また、三階以上の既存の県営住宅におきましては、共用階段などへの手すりの設置、また、階段の昇降に支障のある入居者の方に対しては、一階の空き住戸をあっせんし、住みかえる取り組みなどを進めております。なお、エレベーターの設置につきましては、設置スペースの有無や設置方法など、技術的にも難しい課題がございます。

 県としましては、引き続き、こうした取り組みを継続することによりまして、県民が安心して暮らせる住まいの確保に取り組んでまいりたいと考えております。

 続きまして、防災についてのお尋ねでございます。

 奈良県耐震改修促進計画に沿って、県内公共施設の耐震化を進めるため、県としてどのような取り組みを行っているのかということでございます。お答えいたします。

 県では、県内の住宅・建築物の耐震改修を促進するため、平成十九年三月に奈良県耐震改修促進計画を策定いたしました。この計画をより一層推進するため、昨年三月に同計画を改定したところでございます。この中で、県有の建築物につきましては、目標耐震化率を平成三十二年度までに九五%以上としております。

 耐震改修は、この計画に位置づけました県有建築物の耐震改修プログラムに基づきまして、施設の将来計画や耐震改修の優先度を勘案し、計画的に進めているところでございます。本年四月現在の耐震化率は、耐震改修プログラムを策定した平成二十年三月から一六%増の八九%となっております。今後も、目標耐震化率を達成すべく、県有建築物の耐震改修を進めてまいります。

 また、市町村におきましては、現在、二十九の市町村で耐震改修促進計画の改定を終えております。県としては、毎年開催しております、建築物の耐震化促進に係る市町村連絡会議ですとか、奈良県住宅・建築物耐震化促進協議会で、市町村に対して耐震化に関する情報提供を行うとともに、国の防災・安全交付金などの活用を勧めるということによりまして、市町村有の建築物の耐震化を促しているところでございます。さらに、市町村の県の技術研修への参加に加えまして、必要に応じて積算や入札制度についての技術支援も行っているところでございます。

 今後、総合的な地震対策の推進を図るため、県では引き続き、市町村とともに県内公共施設の耐震化に取り組んでまいる所存でございます。

 以上でございます。ありがとうございました。



○議長(川口正志) 中危機管理監。



◎危機管理監(中幸司) (登壇)十七番小林議員のご質問にお答えいたします。

 私には、災害に備えるために備蓄の確保と支援物資の受け入れについてどのように取り組んでいくのかとのお尋ねでございます。お答えをいたします。

 大規模な災害が発生した直後は、交通遮断などの不測の事態によりまして、議員お述べのとおり、救援物資が避難所等に行き届かない可能性がございます。こうした事態に備えるために、市町村におきましては、あらかじめ食料や生活必需品などの物資を備蓄するとともに、県におきましても、市町村の物資不足に対応するため、十一万食の食料や飲料水をはじめ、毛布やおむつといった生活必需品を、奈良県文化会館や広域防災拠点である消防学校など、各地に分散して備蓄しております。このほか、県や市町村の備蓄で対応することができない場合に備え、コンビニエンスストア、スーパーマーケットや食品製造業者など、三十五社と協定を締結いたしまして、必要な物資を供給できる仕組みを構築しているところでございます。

 また、国や他府県からの救援物資が遅滞なく避難者の方々に届けられるよう、奈良県倉庫協会や奈良県トラック協会と連携した分配・輸送体制を構築しておりまして、昨年十月二十三日、本県で開催されました近畿府県合同防災訓練に合わせまして、両協会と実践的な訓練を行い、避難所ごとの求めに応じて物資を輸送する手順などを確認したところでございます。

 今後、県といたしましては、物資輸送を円滑に行うため、運輸事業者が有する配送システムの活用も視野に入れた救援物資対応マニュアルの見直しを行うとともに、関西広域連合や関係団体による関西災害時物資供給協議会とも十分連携しながら、避難所へ必要な物資が迅速に届けられる仕組みを確立し、避難者の方々に対し、物資不足による不安を抱かせることのないように努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。



○議長(川口正志) 十七番小林照代議員。



◆十七番(小林照代) ご答弁ありがとうございました。防災についてと住まいの貧困については、主張といいますか、要望させていただきます。

 防災についてですが、二〇一七年五月現在で、市町村が避難場所として指定しております県立学校は四十四校あります。一年前の四月の耐震化の状況が八二・八%で、全国四十六位です。先ほど述べましたように、耐震化の促進を急いでいただいて一〇〇%を目指すべきです。

 また、住まいの貧困についてですが、住宅確保困難者がふえる一方で空き家が増加していくという状況の中で、空き家活用の住宅セーフティーネットを今回、国が初めて打ち出されました。空き家を使った住宅のセーフティーネットは、三年前に、路上生活者などの支援活動に当たっておりました民間団体が立ち上げて、東京都の数カ所で三十室ほどの個室を確保され、貸し出しているという、このような事業が、取り組みといいますか、これがモデルにもなっているように思います。奈良県でもこの事業が有効的に展開されるように期待したいと思います。

 なお、高齢者、障害者などが県営住宅に住み続けられる対策といいますか、バリアフリー化、さらに工夫して強めていただきたいことを要望しておきます。

 それでは、精神障害者の医療と福祉につきましては、知事に二問目を質問させていただきます。

 病院から地域への流れを進めていくために、地域での支援の量もふやしてということ。また、関係者の方々の人材育成、スキルアップの研修など、このような取り組みがされているわけですけれども、私は、精神障害者の地域生活を可能にしていくため、このような取り組みとあわせて量の拡大がどうしても必要、とりわけ保健所の厚い体制というものが必要だと思っております。

 先日、以前勤めておりました病院の院長に会い、お話を聞いてきました。長期入院されていた患者さんを含めて、何とか地域に出したいと保健所や相談支援センターの相談員さんと協議を重ねて、昨年は、三十年以上入院されていた六十歳代の男性も退院できましたと。今、グループホームで生活介護とヘルパーさんに訪問していただいて地域で生活されていますと言われました。私が顔も名前も覚えていたAさんも退院できたということを聞きました。関係行政機関と関係者などが一緒になって地域移行にかかわる地域資源をふやしていくことが必要だと確認をすることができたわけですが、後日、精神障害に特化した相談支援事業所の管理責任者をまた訪ねました。奈良市で地域移行支援を行っている相談支援事業所は九カ所。先ほどは全県の数字を言っていただきましたが、精神障害者に特化した事業所、その中で奈良市の場合ですけれど、わずか三カ所です。その中では、地域定着支援を行っている事業所は、またその中の一カ所だけということで、まだまだ不足をしております。それで、二〇一六年度、奈良市内の管轄でいいますと二つの病院があるのですけれども、そこで地域移行支援を受けた人は十六人で、そのうち退院につながった人が八人、残りの八人も退院予定で支援は継続されております。この十六人の皆さんが退院できなかった要因というのは、両親が亡くなった、家に戻れない、家族の強い反対、退院後の生活が難しい、病状の不安定など、どの人をとっても緊急的・継続的・専門的支援が必要な方ばかりだと思います。

 それで、地域移行を進めていくために、奈良市の地域生活支援部会は地域移行グループをつくっておりまして、二カ月に一度ぐらいの頻度で開催されております。そこには、相談支援事業所、障害福祉サービス事業所、医療機関、訪問介護ステーション、社会福祉協議会、保健所、障害課、福祉課などが参加しております。個別的なカンファレンスも行われておりますが、その中で、保健所の保健予防課、機関と機関、家族と当事者をつなぐ、先ほどのお答えにありましたコーディネーターとして総合調整役をされているわけです。地域移行をするために中核的な役割をしておりますから、十分な体制が必要になると思います。

 そのような意味で、お尋ねしたいのは、精神保健福祉にかかわる保健所の精神保健相談員並びに保健師などの人の確保や体制の強化がこのような状況で求められていると思うのですけれども、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。



○議長(川口正志) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) 精神福祉の面で、病院から地域へという流れの中で、保健師の充実、量・質の充実というご質問でございます。

 保健師の方にはいろいろな役目を果たしていただいておりますが、訪問力、コーディネート力がおありになるとともに、いろいろな力があって、一言で言えばオールマイティーでございます。いろいろな役目をこれまでも担ってきていただいております。かつては感染症や健康づくりなど、その時代に応じていろいろと役目が変わってきております。今、精神福祉の面で保健師への期待が大きいということを議員がお述べになりましたが、そのとおりだと思います。精神福祉の面で、特にサポート、担い手、助っ人がやはり要るということでございますが、ある面、精神福祉の専門性、精神医療の知識あるいはケアの仕方、ソーシャルスキルのようなものも要りますので、専門性があるということと、一人ではやはりできない。精神科の医者が一人いればできるというわけでもございませんので、連携が必ず要るわけでございますが、そのような連携をされる力を保健師は持っておられる。そこで、保健師の数とか配置とか、精神福祉に向ける保健師の充実ということになりますが、正直、県と市町村の保健師の数は十分ではございません。精神福祉だけではなく、いろいろな面で保健師への期待が高い反面、量も十分でございません。どのようにするかということは課題でございます。市町村では保健師の募集をしても来てくれないということでございますが、県もそのような事情が発生しております。とりわけ精神福祉の面での保健師への期待が高いということは、議員お述べのとおりでございますので、民間事業所の方の協力、あるいは市町村との連携など、また、県としては、精神福祉に迎える保健人材の充実というのに努めていきたいと思います。どのようにするか。まず、採用あるいは配置ということが基本的なことでございますが、今申し上げましたように、採用もなかなか受けてもらえない状況であることは事実でございますが、全力の努力をしたいと思っております。



○議長(川口正志) 十七番小林照代議員。



◆十七番(小林照代) 保健師の充実ということで前向きにお答えいただいたのですが、この中には精神保健福祉相談員の福祉士もぜひ考えていただきたいと思います。

 それで、個別の保健所の体制について一つお聞きしたいと思います。

 三年前に桜井と葛城保健所が集約されまして、中和保健所となりました。十八の市町村を管轄して管内人口五十七万五千人という広大な地域になったわけですが、先日、家族会の役員さんから要望がありました。家族も当事者も相談に行くのが大変。保健所の保健師さんは地域訪問に時間がかかって負担が大きいようです。ですから、相談もゆっくりと聞いてもらいにくいという、このようなことがありまして、保健師さんや相談員さんをふやしてほしいということがありました。中和保健所の体制強化についてはどのようにお考えになっているのでしょうか。また、現在、南部地域再配置計画が示されまして、吉野保健所と内吉野保健所が集約されようとしておりますけれども、精神保健福祉にかかわる人の体制はこの場合どのようにお考えでしょうか。ここは精神保健福祉相談員は一人だけです。吉野だけです。内吉野にはおられません。保健師さんは合わせて十三人になるのですけれども、この辺の体制をどのようにお考えになっているのか、お尋ねいたします。



○議長(川口正志) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) 保健師は、桜井保健所が十三名、葛城保健所が十二名で二十五名おられましたが、中和保健所になりまして、二十五名の人員は維持しております。それで、統合されると遠くなるということのご苦情があるということでございますが、保健師の力の一つは訪問力でございます。一つ、二つ保健所があるから行きやすいと。市町村の保健所と県の保健所はやはり身近さが違いますので、県の保健所は訪問力を発揮してもらうというのが大きな特徴でございます。できるだけ専門性を高めてもらい、市町村の保健師、保健所と連携して、より幅広い、奥の深い仕事をしてもらうということでございます。その中で、精神保健福祉相談員などの配置は、ご案内のように、今の利用に対しましてなかなか供給量が足りません。保健師をふやす必要があると思っておりますが、保健師の仕事は、今申し上げましたように、必要だということを申しておりますので、削減しようとか集約して業務を減らそうという考えではございません。保健師を充実させるとともに、市町村の保健業務とできるだけ奈良モデル的に一体的にやっていきたいと思います。保健師の仕事はいろいろな分野にわたっておりますので、新しい需要があるのが精神福祉の分野だということは議員お述べのとおりでございますけれども、そのような新しい事業の需要にも取りかかっていきたいと思っております。統合したからといって人員が減ったりサービスが低下したりということはないと思っておりますけれども、保健師の数も充実、質も向上というのは、先ほど申し上げましたように多少困難が伴っておりますが、今後とも充実に努めていきたいと思うところでございます。



○議長(川口正志) 十七番小林照代議員。



◆十七番(小林照代) 先ほど、吉野保健所と内吉野保健所の集約のことでお聞きしたのですけれども、そのご答弁がなかったのですけれども、この体制についてはどのようにお考えになっているのでしょうか。特に、言いましたのは、精神保健福祉士の相談員は吉野しかおられませんから、一人になってしまうわけですけれど、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。



○議長(川口正志) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) 吉野、内吉野などの保健所の統合なども、先ほど申し上げましたような事情でございます。県の保健所の訪問力あるいはコーディネート力を発揮しようということでございます。

 精神保健福祉相談員の数でございますけれども、吉野の保健師は三名おられますが、相談員は一人ということでございます。そのバランスなどについては、一人は寂しいということは確かにあると思いますけれども、実情それで足りないのか、本当に難しいのかという事情にはまだ接しておりませんので、調べてみたいと思います。



○議長(川口正志) 十七番小林照代議員。



◆十七番(小林照代) 調べてみたいということですが、実態を、いろいろケース等も調べていただきたいと思いますし、先ほどから言っていますように、やはり保健所は当事者、家族が一番頼りにしているところなのです。日ごろ寄せられる相談にもしっかりと対応できる体制、それから、病院から地域への流れを推し進める体制、そのためにそれにかかわる精神保健福祉相談員とか保健師は充実させていただいて、しっかりとそれができるようにということを強く要望しておきます。

 これで終わります。



○議長(川口正志) これをもって当局に対する一般質問を終わります。

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○議長(川口正志) 次に、平成二十九年度議案、議第四十七号から議第五十七号及び報第一号から報第二十号、並びに平成二十八年度議案、報第三十一号及び報第三十二号を一括議題とします。

 この際、報告します。

 議第四十八号については、地方公務員法第五条第二項の規定により、人事委員会の意見を求めましたところ、回答がまいりました。

 その写しをお手元に配付しておりますので、ご了承願います。

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△奈人委第四十六号

 平成二十九年六月二十一日

  奈良県議会議長 川口正志様

                   奈良県人事委員会委員長 馬場勝也

     職員に関する条例の制定に伴う意見について(回答)

 平成二十九年六月十六日付け奈議第四十七号で意見を求められたこのことについては、下記のとおりです。

               記

 議第四十八号 奈良県職員に対する退職手当に関する条例の一部を改正する条例

 上記の議案に係る条例案は、適当と認めます。

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○議長(川口正志) 以上の議案三十三件については、調査並びに審査の必要がありますので、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託します。

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○議長(川口正志) 三十一番和田恵治議員。



◆三十一番(和田恵治) 常任委員会開催のため、明、六月二十八日から七月二日まで本会議を開かず、七月三日会議を再開することとして、本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。



○議長(川口正志) お諮りします。

 三十一番和田恵治議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。

     (「異議なし」の声起こる)

 それでは、さように決し、次回、七月三日の日程は、各常任委員長報告と同採決及び各特別委員長報告とすることとし、本日はこれをもって散会します。



△午後三時三十二分散会