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奈良県 奈良県

平成28年  9月 定例会(第325回) 09月27日−04号




平成28年  9月 定例会(第325回) − 09月27日−04号







平成28年  9月 定例会(第325回)



 平成二十八年

        第三百二十五回定例奈良県議会会議録 第四号

 九月

   平成二十八年九月二十七日(火曜日)午後一時一分開議

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          出席議員(四十四名)

        一番 亀田忠彦          二番 池田慎久

        三番 猪奥美里          四番 山中益敏

        五番 川口延良          六番 松本宗弘

        七番 中川 崇          八番 佐藤光紀

        九番 川田 裕         一〇番 井岡正徳

       一一番 田中惟允         一二番 藤野良次

       一三番 森山賀文         一四番 大国正博

       一五番 岡 史朗         一六番 西川 均

       一七番 小林照代         一八番 清水 勉

       一九番 松尾勇臣         二〇番 阪口 保

       二一番 上田 悟         二二番 中野雅史

       二三番 安井宏一         二四番 田尻 匠

       二五番 奥山博康         二六番 荻田義雄

       二七番 岩田国夫         二八番 乾 浩之

       二九番 太田 敦         三〇番 宮本次郎

       三一番 和田恵治         三二番 山本進章

       三三番 国中憲治         三四番 米田忠則

       三五番 出口武男         三六番 新谷紘一

       三七番 粒谷友示         三八番 秋本登志嗣

       三九番 小泉米造         四〇番 中村 昭

       四一番 山村幸穂         四二番 今井光子

       四三番 梶川虔二         四四番 川口正志

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        議事日程

一、当局に対する代表質問

一、当局に対する一般質問

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○副議長(小泉米造) これより本日の会議を開きます。

 会議時間を午後六時まで延長します。

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○副議長(小泉米造) ただいまより当局に対する代表質問を行います。

 順位に従い、十四番大国正博議員に発言を許します。−−十四番大国正博議員。(拍手)



◆十四番(大国正博) (登壇)それでは議長の許可をいただきましたので、公明党を代表いたしまして通告いたしました数点について、荒井知事並びに関係理事者にお尋ねをいたします。

 初めに、県内消費の拡大についてお尋ねします。

 今、世界経済の不透明感が増す中、日本経済は経済再生・デフレ脱却に向けた基調にはあるとしながらも、企業収益が賃金や設備投資に波及する動きの遅れがあり、生産性向上や賃金上昇、働き方・休み方改革などを通じて、可処分所得を引き上げ国内消費を喚起し、内需の底上げにつなげる好循環を生み出していく必要があります。

 一方、本県では昨年十二月、国の総合戦略を勘案しつつ奈良県人口ビジョンを策定するとともに、本県独自の地方創生に必要となる政策分野を、住んで良し、働いて良し、訪れて良しという三つの基本目標とされ奈良県地方創生総合戦略を策定されました。

 荒井知事は県政の目指す姿を、地域の自立を図り、暮らしやすい奈良を創るため、経済の活性化や暮らしの向上に向け、持続可能な県政運営を維持しつつ、直面する県政諸課題に積極果敢に取り組んでおられます。持続可能な奈良県を構築するためには、若者をはじめ雇用人口の増加のための取り組みが重要で、そのためには県内企業を元気にしていくことが重要であります。つまり私は、何と言っても、県内消費が拡大していくことが奈良県の地方創生に直結することであると考えます。

 これまで、県外消費が全国一位である状況で、県政課題の一つとして県内消費の拡大に取り組んでこられました。本県における県外への消費流出額は、平成二十三年度の奈良県内消費実態調査によると約四千億円であり、消費額の二三・五%にのぼります。この県外に流出している消費額を抑制し、地域経済・産業の活性化に資する施策の検討を行うため、平成二十五年度には県外への流出の状況について調査を行い、奈良県消費流出実態調査をまとめられました。この中では県外通勤・通学者が、通勤・通学途中に県外の買い物先を選ぶ理由として、男性は利便性を重視する傾向にあるほか、値段の安さをポイントにしている商品もあるようです。それに対して女性は利便性だけでなく、自分好みの商品が置いてあるかどうかや品揃えなども重要と考えている、との実態が浮き彫りになりました。

 さて本県は地域の消費喚起、地域経済の活性化を図ることを目的として、過去四回にわたりプレミアム商品券の発行を行ってまいりました。その効果としては、平成二十七年度の商品券事業の成果として、約十億円の経費に対して消費喚起額が約二十一億七千万円に、また消費流出抑制額が約十億七千万円になったとの実施結果がまとめられており、地域内での活性化につながったと考えられるとも報告されています。また、プレミアム旅行券により、国内観光需要を掘り起こす取り組みにも力を入れてこられました。他地域を追随させない観光資源を強みとして、県内外の方々により一層の奥深い奈良の魅力を感じていただくことも重要です。

 私は、平城遷都一三〇〇年祭のボランティア活動に参加していましたが、その際にも、多くの県外の方々から奈良の魅力を教えていただきました。日ごろ、普通に見ている風景が、県外の方々からは大変貴重なものであったり、私自身がまだ行ったことがない場所を詳しく知っておられたりと、反省させられたことがあります。

 私と同じように、奈良県にお住まいになりながら、奈良県内の魅力ある場所に行かれたことのない方もたくさんいらっしゃるかと思います。県民の皆様にも、もっと奈良県内で旅行し、地元奈良の奥深い魅力をもっと知っていただきたいと考えています。そして、その魅力を積極的に発信していただくことは力強い奈良県のPRにつながるものと考えています。広い、深い県内の魅力を知っていただくためには、県内外の方々に足を運んでいただく、そのためのインセンティブが必要であると考えます。

 そこで、荒井知事にお伺いします。

 県外消費の多い本県にとっては、利用範囲が県内に限られるプレミアム商品券・旅行券の発行や、観光をはじめとした奈良の魅力を県民の方々にもっと知っていただくことにより、県民の消費を促し、さらには消費者となった県民からも県内外へ奈良の魅力を情報発信していただくことが重要と考えますが、県では、県内消費の拡大に向けどのように取り組んでおられるのでしょうか。

 次に、地域包括ケアの推進についてお尋ねいたします。

 世界一の超高齢社会である日本は、世界のどの国も経験したことのない課題に直面しようとしています。国立社会保障・人口問題研究所による将来推計人口を見ますと、二〇二五年における七十五歳以上人口は約二千百七十九万人で、全国のおよそ五人に一人が七十五歳以上の高齢者となります。その増加率は都市部ほど顕著ですが、二〇一〇年比では、全国が五三・五%増なのに対して、奈良県が六三・四%増という状況です。現役世代の減少で、年金や医療、介護、福祉などさまざまな面で、きしみが生じることになり、これまでの医療・介護のパラダイムシフトの転換を図り、二〇二五年までに強力な改革を推し進めていく必要があります。

 これまで公明党は、地域包括ケアシステムの早期構築に全力を挙げてまいりました。同システムの特徴は、地域の特性や実情に応じたサービスが提供できることです。しかし、地域によって取り組みの進捗状況には差があり、整備が立ちおくれている自治体もあります。誰もが住みなれた地域で暮らし続けられる体制を速やかに整備していくことが求められています。

 私は、今年八月に行われた東アジアサマースクールで講師を務められた辻哲夫東京大学高齢社会総合研究機構特任教授の聴講に参加いたしました。辻先生は、高齢になれば病気で入院しても完全には治らなくなる。そうした状況の中では、病気を抱えても生活の場で好きなことをしながら人生を全うする生き方が大事になる。しかしそのためには、在宅医療や介護、看護サービスが連携して、住まいにやってくる体制を確立しなければならない。この体制が地域包括ケアシステムであり、これをいかに地域に定着させるかが、当面の課題であると話されました。

 さて県が進める地域包括ケアシステム構築の取り組みについては、私自身、奈良市平松町での取り組みに大いに注目し、機会あるごとに質問をしてまいりました。これからこの取り組みを着実に進め、県内に広げていく必要があると考えています。そのためには、これまで積み重ねてきた取り組みやノウハウを市町村の職員にしっかりと伝えていくことも重要ではないでしょうか。

 そこで、荒井知事にお伺いします。

 県では、奈良市平松地区以外にも四つのプロジェクトで地域包括ケアの取り組みを進めていますが、地域包括ケアの構築には、市町村が責任を持って主体的に取り組む必要があると考えます。今後、県はどのように市町村の取り組みを促し、県全域に広げていかれるのでしょうか。

 次に、健康寿命日本一に向けた取り組みについてお尋ねいたします。

 私たち公明党議員団は、先月福岡県庁を訪問し、福岡県が進める働く世代の県民健康づくり事業を学んでまいりました。この事業は、中小事業所は、産業医の配置義務がなく職場における健康管理が行き届きにくいことや、大規模事業所と比較して健康診断実施率が低いことなどから、中小事業所において健康づくりに取り組みやすい環境をつくるための支援を行い、働く世代の健康づくりを推進するものであります。

 具体的には、健康づくりの必要性について理解を深めてもらうために、経営者が集まる団体の会合等に出向き講演等を実施するとともに、アドバイザー派遣を希望する事業所を募集・登録するものであります。また福岡県では、十年後の自分に健康を届けようと、健康ポータルサイトを開設し、身近に気軽に自身の健康度をチェックできるようになっています。

 奈良県では、健康寿命の延長に効果的な健康行動について、統計学により研究した結果、がん検診、野菜の摂取と減塩、それと運動の促進、たばこ対策の四つの健康行動が健康寿命の延長に最も効果があるという結果を得ているところであります。

 また、先ほどお話しいたしました八月の東アジアサマースクールにおいて、辻先生は、年をとっても閉じこもらないことが大事で、一日に一回以上出かける人は、週一回しか出かけない人に比べて、歩行障害のリスクは四分の一、認知症の発症のリスクは三・五分の一だと言われております。そういうことで、いかに閉じこもらないことが大切であるか、逆に言えば社会参加、出かけて社会に交わることが最も重要であり、これはもう本当に今後の超高齢社会の基本中の基本だと思います。

 また講義の中で、フレイルという言葉を覚えてくださいとも話されました。フレイルとは、健常な状態と要介護状態の中間の状態として、老年医学会が提唱しているものです。多くの方は、健常な状態からフレイルの時期を経て要介護状態に至ります。フレイルの状態を早期発見し、早期に対応することで、要介護に至る方を減らし健康寿命を延ばすことができるのではないかとさまざまな研究が行われ、さまざまな提案がなされています。ここでも、閉じこもらない・お出かけをするというのが、一番のフレイルの予防法であると強調されていました。

 先ほどの健康行動もフレイル予防も生活習慣にかかわる内容であり、日ごろからの取り組みで効果が出るのではないか。また、その健康づくりに取り組む人口を一人でもふやし、元気で長生きできるよう取り組んでいくことが、結果的に健康寿命日本一につながるのではないかと考えています。

 そこで、荒井知事にお伺いします。

 健康寿命日本一を達成するためには、取り組みの裾野を広げ、広く県民に取り組みを浸透させる必要があると考えますが、県ではどのような取り組みを行っておられるのでしょうか。

 次に、認知症の方への対応について三点お尋ねいたします。

 厚生労働省の推計によると、高齢者の四人に一人が認知症、あるいはその予備群とされ、認知症の人は二〇一二年の四百六十二万人から、二〇二五年には約七百万人に達すると見込まれています。一方、全国で認知症の行方不明者は二〇一三年から三年連続で一万人を超え、徘徊等による事故も問題となっています。認知症は今や社会全体で向かうべき課題であり、その対策は待ったなしの状況です。しかし残念ながら、現状では認知症を根治する特効薬は開発されていません。となれば、認知症になっても自分らしく、希望を持って暮らせる社会をいかに築くかということが重要になってきます。

 世界においても、高齢化社会の進展に伴い、認知症対策は重要な課題とされ、先日、神戸市内で開催された先進七カ国、G7保健大臣会合においても、高齢化社会を迎えてふえ続ける認知症の対策として、早期診断の必要性や、薬と治療法の開発加速化などを盛り込んだ神戸宣言を採択して、二日間の日程を終了いたしました。

 さて国では、二〇一五年一月に策定した認知症施策推進総合戦略、新オレンジプランに基づき、認知症の人や家族などをきめ細かく支える施策に取り組んでいます。この中では、認知症の専門医や臨床心理士などのスタッフ、検査機器が整い、関係機関とも連携を行うことや、地域における治療の拠点として、認知症疾患医療センターを現在の三百六十六カ所から四百三十三カ所へ増設、あわせて地域で医療機関などとの連携や相談を支援する認知症地域支援推進員も配置するなどに取り組んでいます。

 そこで、荒井知事にお尋ねします。

 まず一点目として、今後の高齢化の進展による認知症患者の増加を見据え、医療と介護がより一層連携して、認知症の高齢者を支えることが必要と考えますがいかがでしょうか。

 次に二点目として、若年性認知症対策についてお尋ねします。

 六十五歳未満で発症する若年性認知症の推定患者数は、全国で約三万八千人とされ社会問題化しております。現役世代での発症では、物忘れが出始め、仕事や生活に支障を来すようになっても、まだ若いという思いで認知症であるとは気づかなかったり、病院で診察を受けても、鬱病や更年期障害などと間違われることもあります。また症状によっては離職を余儀なくされる場合もあるため、経済的に困難な状況となり家族の生活にも深刻な影響を与えます。しかしながら、企業や医療、介護の現場においては、まだまだ若年性認知症への正しい理解が不足している状況であります。まずは、早期受診・診断を推し進めることができる体制の構築や、若年性認知症であっても、本人や家族がそれぞれの持ち味や能力を生かして、存分に活躍できる社会の実現が求められています。

 公明党は、全国で医療・福祉・就労などの相談に対応し関係機関の調整役を担う若年性認知症支援コーディネーターを各都道府県に配置するなどの取り組みを進めているところであります。

 そこで、荒井知事にお伺いします。

 若年性認知症の本人や家族は特有の課題を抱えておられ、十分な支援が必要と考えますが、県ではどのような取り組みを行っていかれるのでしょうか。

 次に三点目として、警察本部長に認知症やてんかん等の病気を有するドライバーが関係する交通事故の防止についてお尋ねします。

 全国では、認知症と思われるドライバーによる高速道路の逆走や、てんかんの発作等で意識を失ったドライバーの運転する車が歩道に突っ込み多くの歩行者が死傷するといった事故が発生しております。昨年六月に、臨時認知機能検査や臨時高齢者講習等、高齢運転者対策の推進を図るための規定が整備された改正道路交通法が公布され、来年三月に施行される予定ですが、七十五歳以上を対象としているため、これだけでは認知症等の症状を有するドライバーの交通事故を防ぐことはできないのではないかと考えています。やはり、年齢にかかわらず病気等により運転に不安を感じる方々、そのご家族の方からの相談を受理する体制の充実、それから運転免許証を自主的に返納した場合における日常生活の足の確保など、さまざまな対策が必要になるのではないでしょうか。

 熊本県警察では、昨年二月から地域医療介護総合確保基金を活用して、運転免許センターの運転適性相談窓口に看護師二人を配置し、さらに今年度からは一名増員して三名体制で、専門的見地から認知症等の病状を早期に発見して症状を有するドライバーによる事故を未然に防ぐ取り組みを実施しています。

 先月、公明党県議団は、熊本県警察の運転免許センターへ視察にいきましたが、熊本県ではこの取り組みを開始してから運転適性相談の件数が増加し、特に家族からの相談が大幅に増加するとともに、専門的知識を有する職員が対応することで、病状の早期発見につながっているとの説明を受け、私はこのような効果的な取り組みをぜひ、奈良県でも行っていただきたいと感じました。

 そこで、警察本部長にお伺いします。

 認知症等の症状を有するドライバーによる交通事故を防止するため、地域医療介護総合確保基金を活用するなどして、運転適性相談窓口に専門的知識を有する職員を配置すべきと考えますが、警察ではどのように取り組んでおられるのでしょうか。

 次に、平城宮跡周辺のまちづくりについてお尋ねいたします。

 特別史跡平城宮跡は、世界遺産古都奈良の文化財の構成資産の一つでもあって、平成二十年度に国営公園として事業化され、現在、同年度に策定した公園基本計画をもとに事業が進められています。また基本方針としては、一、特別史跡・世界遺産である歴史・文化資産としての適切な保存・活用、二、古代国家の歴史・文化の体感・体験、三、古都奈良の歴史・文化を知る拠点づくり、四、国営公園として利活用性の高い空間形成の四つとされています。

 事業化が決定される前年の平成十九年八月、当時の冬柴鐵三国土交通大臣は、大臣就任会見で平城宮跡を次のように述べられています。

 二〇一〇年というのは、ちょうど平城遷都一三〇〇年という佳節を刻む年にあたります。そして、西暦七一二年には古事記が編さんされているし、七二〇年には日本書紀が編さんされている。そのように七〇〇年代の初頭は、日本のまさに始まりということがいえると思いますし、その足跡は今もなお残っています。大極殿もあれば朱雀門もあります。私は、時間はかかるかもしれないけれども、この国有地は国営公園にするとか、そういうことで日本の歴史がいかに深くて、古くてすばらしいものであるということを世界に知っていただくものすごく貴重な機会ではないかと思います。と奈良への思いを語られています。私も、このようなどこにもないすばらしい歴史・文化遺産が奈良に残っていることに誇りを感じます。

 さて去る九月七日、石井啓一国土交通大臣が平城宮跡を視察されました。私も荒井知事と共に同行させていただき、夜には、荒井知事から石井国土交通大臣に五項目の平成二十九年度政府予算編成等に関する提案・要望をされました。その中で、知事は平城宮跡歴史公園及び奈良公園の整備促進について県の取り組みを説明され、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会を目指した平城宮跡歴史公園の整備促進を要望されました。二〇二〇年春に開業予定の新ホテルの整備の他にも、将来を見据えた近鉄大和西大寺駅周辺の渋滞対策の検討など、国際観光都市・奈良としてのブランド価値も上がり、期待は大きくなってまいりました。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに合わせて、奈良県にも多くの観光客に訪れてもらうことが重要であり、このためには平城宮跡が持つ歴史的特性を生かしたまちづくりを行なうことにより、奈良の魅力をさらに高めることが必要と考えます。

 そこで、荒井知事にお伺いします。

 平城宮跡周辺のまちづくりを進めるため、近鉄大和西大寺駅周辺の渋滞対策などとの一体的な検討等とあわせて、県が魅力を高めるよう取り組んでいる平城宮跡歴史公園の整備や新ホテル・交流拠点整備について、その進捗状況をお聞かせください。

 次に、食品ロス削減についてお尋ねします。

 食べられるのに食品が無駄に廃棄されてしまう、いわゆる食品ロスが家庭やスーパー、ホテルやレストランなどあらゆるところで見受けられます。循環型社会の構築、資源の有効利用、貧困家庭の支援などの観点から、食品ロス削減への取り組みは重要です。農林水産省によると、日本では年間二千七百九十七万トンの食品廃棄物が発生しており、このうちの六百三十二万トンが食品ロスと推定されています。

 既に先進的な自治体では、さまざまな食品ロス対策が行なわれており、長野県松本市では宴会の食べ残しを減らすため、乾杯後三十分と終了前の十分は自席で食事を楽しむ三〇、一〇運動を進めています。またNPOの活動としても、消費期限が迫った食品を引き取り、生活困窮者へ無償提供するフードバンクの取り組みが進められています。また、国連は二〇三〇年までに世界全体の一人当たり食品廃棄物を半減させる目標を採択しています。

 そのような中、公明党の食品ロス削減推進プロジェクトチームは、本年五月、政府に食品ロスゼロを目指し、国を挙げて取り組むことを求める提言を行ないました。その後、消費者庁が七月二十日に発表した消費者基本計画工程表の改定では、未利用食品を活用したフードバンク活動に必要な支援を実施することや、飲食店などで削減に向けた取り組みを推進することが初めて明記されるなど、公明党の主張が随所に反映されています。加工食品などを製造・流通・販売の各過程で過剰生産しないように促す仕組みづくりや、家庭での削減に向けた取り組みの普及啓発も追加されています。また我が党の国会での質問に対し、安倍晋三首相は、消費者の意識向上などに幅広く取り組む必要があると答弁し、削減目標の設定も検討していく考えを示しておられます。

 公明党では現在、食品ロス削減に向けた国民運動の抜本的強化を図るため、今年中に法律案を作成していくことを目指しています。一方県でも、平成二十五年三月に奈良県廃棄物処理計画を策定し、廃棄物削減に向けた取り組みをされていると聞いています。

 そこで、荒井知事にお伺いします。

 国では、消費者庁を中心に各省庁連携して食品ロス削減に向けた取り組みが進められていますが、県では今後どのように対応していかれるのでしょうか。

 最後に県立学校の老朽化への対応についてお尋ねいたします。

 公明党はこれまでも学校耐震化を一貫して推進し、安全安心の学校づくりをリードしてまいりました。具体的には、平成十三年党女性委員会が学校施設改善対策プロジェクトを、平成十四年八月には党文科部会に学校施設耐震化推進小委員会を設置いたしました。その後、徐々に耐震化は進められてまいりましたが、平成二十年五月に中国・四川大地震が発生し、多くの子どもたちが学校の倒壊により命を落としたことが、その後の耐震化を加速させる大きな契機となりました。

 そのような中で、現在、奈良県教育委員会は、平成二十五年度から平成二十九年度までの五カ年を県立学校施設の耐震化整備集中期間として、重点的に耐震整備に取り組んでおられ、平成二十九年四月一日時点での耐震化率は九〇・一%となる見込みであると承知しています。しかし、早期一〇〇%の耐震化率と非構造部材の対策や空調設備の設置などの課題もあり、特に県立高等学校の校舎等の老朽化は深刻な状況であります。

 特に私が今回の質問で取り上げるのは、学校のトイレの問題です。

 特別支援学校を除く、県立高等学校三十三校のうち、トイレの洋式化率が半分以上の高等学校はなく、洋式化率は二七・一%となっています。県立学校では、まだまだ和式が大半であります。一方で、今の生徒たちの大多数は、生まれたときから自宅のトイレは洋式です。国鉄からJRになって、真っ先に変わったのはトイレです。県立高等学校を総合庁舎として使用している郡山庁舎、橿原庁舎は洋式に改修されています。コンビニエンスストア、デパート、ファミレス、どこに行っても洋式トイレが当たり前です。しかし、学校は変わっていません。

 この質問を行なうにあたり、生駒高等学校、奈良北高等学校、高田高等学校、奈良朱雀高等学校を調査いたしました。和式か洋式かというほかに、トイレについては、においが強い、水が漏れる、トイレの水が詰まる、したがって使えない等、どの学校も老朽化に伴う課題を話してくださいました。加えて、けがをした生徒や妊娠をされた女性職員さん、また地域をはじめ高齢者の方々が学校に来られた際、トイレの使用について大変困っておられると聞きました。毎年、学校側から施設面の改善について、教育委員会に要望されているようですが、どの学校も老朽化に伴う課題があり、学校側から要求するということではなく、教育委員会が全校を調査する必要があるのではないかと考えます。

 そこで、教育長にお伺いします。

 学校施設の老朽化に伴い、各学校が抱えている課題をしっかりと把握したうえで、計画的に対応していくことが必要と考えますがいかがでしょうか。特に学校のトイレについては、災害時の避難場所として地域の住民にも利用されること等を踏まえ、洋式化をはじめとした質の向上が必要と考えますがいかがでしょうか。

 以上で、壇上からの質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)



○副議長(小泉米造) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) (登壇)十四番大国議員のご質問がございましたので、お答え申し上げます。

 最初のご質問は、県内消費の拡大についてでございます。県内消費の拡大は、地域創生に直結するとお述べになりました。そのとおりだと思います。

 県外消費率が高い本県におきましては、県内消費拡大を実現するためには、県民の消費機会をふやすこと、本県への来訪者・宿泊者をふやして観光消費の拡大を図ること、また消費地としての魅力を高めること、これら三つが最も重要な観点だと考えております。さらに時宜を得た直接的な消費刺激策も有効と考えてきております。

 県内での消費機会増につながらせるためには、食や音楽などを楽しめるにぎわいづくりのイベントが好評を博しております。町なかへの新しい人への流れを生み出し地域の消費を拡大させるのに、役に立ってきていると思います。また、消費地としての魅力向上のため最も必要な魅力あるお店づくりでございますが、県では昨年から空き店舗を有効活用した街の華となるような実験店舗の展開を行うとともに、経営感覚にすぐれた商店主の育成も重要と考え、商業の本質を学ぶ商人塾を開講してきております。

 昨年度の国交付金を活用したプレミアム商品券の発行では、消費喚起に加え県内小売店舗のサービス改善への努力を促すという目的がございました。県民に県内の小売店舗に関心を高めてもらうきっかけづくりにもなったと思います。このようなことで、持続的な消費拡大効果が、商品券によってもたらされているように認識をしております。

 昨年六月、七月に実施いたしました宿泊者限定キャッシュバックキャンペーンでございますが、参加されました宿泊施設の宿泊者数が前年度比で約四万六千人、二一・五%も増加いたしました。本年一月、二月のネットクーポンキャンペーンにおきましては、同じく約二万九千人、五〇・四%の増となりました。このうち出発地が把握できる一月、二月のキャンペーンでは、県民の方の利用が全利用者の七・五%ございました。県内宿泊者に占める県民割合は、通常であれば二%程度でございますので、この面でも宿泊者限定キャッシュバックキャンペーンは県民の県内の消費・宿泊喚起に効果があったように思われます。

 昨今、ツイッター等のSNSや口コミサイトから観光情報を入手する旅行者がふえてきております。民間事業者の調査によりますと、地元の方々から得る観光情報の信頼性が、特に高いとされております。議員お述べになりましたとおりでございますが、県民の皆様から奈良の魅力を発信していただくことは非常に有効なので、まず県民の皆様に県内をゆっくり観光し、奈良の魅力を県民の皆様自身が体感していただけることが必要ではないかと思います。

 県民の皆様にとっても、訪れていただける観光客にとっても、県内での消費の満足度が高まり評判が評判を呼ぶように、今後も取り組みを進めていきたいと思います。

 地域包括ケアの推進についてのご質問でございます。市町村の責任と市町村の取り組みを促す政策についてのご質問でございます。

 地域包括ケアシステムは、地域の実情に応じて構築するものであると言われております。本県といたしましては市町村とともに、みずから県庁人が、みずから現場に学びながら、このシステムの構築に必要な仕組みづくりに取り組むようにしております。地域包括ケアシステムにおきましては、病院から在宅へとスムーズに移行でき在宅生活が続けられることが重要でございますが、そのためには医療と介護、その他の関係者が連携することが必要となってきております。本県では、ことし一月に東和医療圏域におきまして、全ての市町村と病院、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などの関係者が、医療と介護の関係者が、顔の見える関係を築きながら退院調整ルールを策定いたしました。

 退院調整ルールは、大変重要なポイントでございます。この退院調整ルールは病院の看護師等と地域でのケアマネジャーが双方の役割を理解し、必要な情報を提供し合うことにより、おのおのの方が退院後も、医療と介護は切れ目なく続き在宅生活を支えていくことを目指しております。

 引き続き、今年度は橿原地区におきまして、このルールづくりに取り組んでいるところでございます。

 また高齢者の在宅生活を支えるためには、医療や介護サービスが必要な場合には、いつでも提供できる体制が望まれます。地区医師会と連携して在宅医療・介護連携拠点の整備にも着手しております。今年度は、天理市をモデルといたしまして、在宅医療を複数の医師で担当していただく主治医・副主治医制の導入やICTを活用して、ケア関係者に情報共有をしてもらい、医療・介護の連携を進める取り組みを行っているところでございます。

 今後とも、市町村と連携・協力して、退院調整ルールの策定や在宅医療・介護連携拠点の整備を推進していくことによりまして、県内各地域は事情は異なりますが、県内全域において地域の実情に合ったシステムの構築に努めていきたいと思います。

 そのような中で、議員は奈良市平松町での地域包括ケアシステムの構築に関心をお持ちでおられます。この地域は県立病院が移設する跡地、県有地跡地になるものでございますので、地域まるごと新しい地域包括ケアが行き届いたまちづくりが可能な地域でございます。他の地域にない斬新なまちになりますよう、知恵を深めていきたいと考えております。

 その次のご質問は、健康寿命の取り組みの裾野を広げて浸透させることを強調されました。どのような取り組みを行っているのかというご質問でございます。

 健康づくりや県民一人ひとりがみずから意識して日常的に実践をされることが基本でございます。本県では生活習慣病予防につながるがん検診、運動、減塩、たばこ対策の健康行動が有効と考え取り組む人の拡大を推進してきており、その数は徐々にふえてきているのが実情でございます。しかし一方では、自覚症状がないと改善の意欲が湧かないといった無関心層も存在しております。よく理解ができることではございますが、そのような状況でございます。

 このようなことから生活習慣病の予防対策におきましては、病気を経験された人だけではなく病気の予感のない人も含めた広く県民全体を対象として、予防を働きかけるポピュレーションアプローチといわれるアプローチが必要かと思います。このポピュレーションアプローチにおきましては、効果を数値で示したり日常的に実践しやすいものを提供するなど、県民にとってわかりやすく、しやすい、行動につながるような内容や手法の工夫と繰り返しの粘り強いアプローチが必要と思います。

 例えばがん検診におきましては、個別の受診勧奨につきましてモデル的取り組みを行いましたところ、大変効果があるということがわかってまいりました。本年度からは補助制度を創設して、全市町村に対して取り組みを促しております。されたところと、されていないところの受診率が大変差があるということがわかってまいりました。また運動の面では、十数年にわたる研究に裏打ちされておりますおでかけ健康法の普及を進めております。橿原と王寺の健康ステーションを活動拠点として運営するとともに、本年度から市町村営の健康ステーションの拡大にも取り組んでおります。減塩対策でございますが、減塩食に興味を持ってもらい、食生活の改善を図るため紙芝居など県が独自に開発したツールを活用して、市町村の連携のもと普及・啓発に取り組んでおります。

 このほか、わかりやすく手軽に入手できる情報の発信にも努めております。県民だより奈良では、養生訓を毎号連載して大変好評でございます。日常生活の中で取り組める健康情報を発信しておりますが、スマートフォンの積極的な活用など新たな方法も検討していきたいと思っております。このような活動を通じまして、充実させまして、健康づくりを実践する人の裾野を、議員お述べのように裾野を広げて健康寿命日本一の実現を目指したいと思います。

 その次のご質問は、認知症の方への対応についてでございます。まず医療と介護が一層連携する必要があるのではないかというご質問でございますが、議員お述べのとおり、認知症の高齢者とそのご家族を支えるためには医療と介護が連携して、認知症の容態の変化に応じて適時・適切な医療のみならず、ケアを提供していくことが重要でございます。

 このため、認知症の早期発見・早期対応を推進するため、認知症の専門医や介護福祉士など複数の専門職で構成されます認知症初期集中支援チームを全ての市町村で設置していただき、早い段階から訪問による支援を実施できるよう、必要な人材育成に取り組んでいるところでございます。また認知症の方やそのご家族の相談に応じまして、専門の医療機関や介護サービスにつなぐ役割を担っていただいております認知症地域支援推進員につきましては、全市町村で配置できますよう、その養成に取り組んでいるところでございます。

 さらに認知症専門医以外の内科医や歯科医、看護師などの医療職に対しまして、認知症対応力向上研修を実施しているところでございます。また認知症介護に従事されます介護職員に対する研修を拡充するなど、今後とも多様な職種が連携して認知症への理解を深め、認知症の方々とその家族を支える体制を整備していきたいと思っております。

 また、認知症で若年性認知症についてのご質問がございました。特有の課題があるので特別の支援の取り組みが必要ではないかという趣旨のご質問でございます。

 若年性認知症の方は、仕事を継続することの困難性にも直面され経済的に困窮されたり、また認知症の原因となる疾患が多様で診断が難しくなることなど、高齢者認知症とは異なる固有の課題を抱えておられます。

 このため、本県では若年性認知症に関するワンストップの相談窓口でございます若年性認知症サポートセンターの設置を目指して検討を進めております。現在、若年性認知症の支援に先駆的に取り組んでおられる県内NPO法人をはじめ関係者の協力を得ながら、必要な機能や役割など若年性認知症サポートセンターのスキームづくりに取り組んでおります。

 認知症は、医療関係者だけでなく家族や職場、地域の人々の適切な理解が必要でございます。社会全体で取り組むべき課題と捉えております。その意味で、広く県民に対しまして認知症に関する正しい理解等の普及啓発が必要と思います。今後も医療や介護の専門職と市町村、地域住民等が連携して、認知症の方、ご家族を支えることにより、年代を問わず、たとえ認知症になられましても安心して暮らし続けられる奈良県のコミュニティーづくりに努めてまいりたいと思います。

 その次の私への質問は、平城宮跡周辺のまちづくりについてでございます。また近鉄大和西大寺駅周辺の一体的な検討、新しいホテル・交流拠点の整備の進捗状況についてのご質問でございます。

 平城宮跡歴史公園につきましては、現在、国と県が連携して整備を行っております。このうち県整備の朱雀大路西側地区でございますが、交通ターミナルや団体集合施設、観光案内・飲食施設を設置することにしておりますが、それとともに、ランドマークとなります実物大復原遣唐使船を大宮通りそばに移設しまして、歴史公園の玄関口としての機能を整えようとしております。進捗状況でございますが、造成工事など本年九月から本格的に着手いたしました。施設の新築工事につきましては、この九月議会にて契約のご承認をいただきましたら、工事に着手し、平成二十九年度内の完成を目指したいと思います。

 次に、平城宮跡の東側におきまして新たな観光交流拠点の形成に取り組んでおりますが、新ホテル・交流拠点の進捗について申し上げます。現在、コンベンション施設や屋外多目的広場などの基本設計を行っております。平成二十九年度中の工事着手を目指しております。またこの交流拠点でともに事業を行いますホテル事業者及びNHKを交えて、タウンマネジメント協議会を立ち上げまして、賑わいを創出していくための協議も開始し、平成三十二年春のまちびらきを目指して着実に事業を推進してまいりたいと思います。

 平城宮跡の最寄り駅になります近鉄大和西大寺駅周辺の渋滞などの対策でございますが、県におきまして、駅の立体化と平城宮跡内の近鉄線の移設を一体的に考えてきたところでございます。この検討におきましては、非常に多くの課題が存在しておりますが、現在は線路の平面交差を改善すべく、駅の二層化を前提とした場合の課題などについて、さらに検討を深めているところでございます。本県としては、できるだけ早期に検討の成果が得られるよう、心をこめて検討を進めたいと思っております。

 平城宮跡は、古代律令国家形成の中心でありました。冬柴国土交通大臣のことを言っていただきましたが、繰り返しそのようなことを申されておりました。そのようなことを思い出させる資源が、世界のほかにはございません。比類のない良好な状態で現地に残されている本当に数少ない場所でございます。こうした優位性を生かしながら、この地域は本県の文化観光、または日本の文化観光の拠点となるよう、全力を挙げてまちづくりに取り組んでまいりたいと思います。

 食品ロスの削減について、ご質問がありました。

 食品ロスは、農林水産省の調査によりますと議員お述べのように、年間約六百三十二万トン、全国であるとされております。国民一人当たりに換算いたしますと、おにぎり約一個か二個分が毎日捨てられている計算だそうでございます。食料の大半を輸入に頼っている我が国において、食べられるのに大量に捨てられている現実があることは、大変もったいないことでございます。食べ物を無駄なく大切に消費することにより、食品ロスをできる限り削減していくことは重要な課題だと思います。

 本県の状況につきましては、国が都道府県別の数値を示されておりません。また食品ロスは、製造業者や卸・小売店、飲食店、家庭など、食べることに関係するさまざまな場所で発生いたしますので、県内の発生量を把握するのは難しいのが実情でございます。そこで今年度実施しようとしております産業廃棄物実態調査の中で、食品関連事業者から排出される食品残さ物の発生量を調査し、今後の取り組みの基礎資料として活用したいと思っております。

 食品ロスを削減するためには、製造、流通、消費、廃棄といった各段階において、排出抑制や再生利用の観点から、多様な主体による自主的な取り組みが望まれるところでございます。その方向での普及啓発には努めておりますが、具体的には県ホームページや関連イベント等における情報発信、学校給食における食べ残しをなくす指導や栄養教諭に対する研修の実施、また生産・製造業者等への環境カウンセラーの派遣や食品廃棄物の再生利用等にかかる研究開発費の助成などを行ってきております。そのほか、食品製造副産物や余剰食品調理残さ等を利用して、製造された家畜用飼料でございます、エコフィードと言われる家畜用飼料の利用促進に向けた取り組みの検討も進めたいと思っております。今後とも引き続き、市町村や関係機関等と連携を図り、広く県民が理解できるようなエビデンスも提示しながら、普及啓発を継続・充実させるなど、さらなる食品ロスの削減に向けた積極的な取り組みをしていきたいと思います。

 私に対する質問は以上でございます。ご質問ありがとうございました。



○副議長(小泉米造) 安田警察本部長。



◎警察本部長(安田浩己) (登壇)十四番大国議員から認知症等の症状を有するドライバーによる交通事故を防止するため、運転適正相談窓口に専門的知識を有する職員を配置すべきとのご質問をいただきました。お答えを申し上げます。

 身体の障害や一定の症状を呈する病気等により、自動車の運転に不安をお持ちの方、または、そのご家族から問い合わせにつきましては、運転免許センター及び警察署に運転適正相談窓口を設置して対応しているところであります。平成二十七年中には、六百七十五件の運転適正相談を受理して対応いたしました結果、十六人の方が自主的に運転免許証を返納され、十四件の免許取消しを行ったところであります。

 高齢運転者の増加に伴い、今後も運転適性相談の増加が見込まれますことから、県警察では本年春、運転適性相談を担当する係を一名増員するなど、相談体制の充実を図っているところでございます。しかしながら現時点、医療系専門職員の配置には至っておりません。

 議員ご指摘のとおり、運転適性相談窓口に医療系専門職員を配置できれば対応が困難な認知症等の相談業務により適切に対応することが可能となり、交通事故の未然防止にも資すると考えております。県警察といたしましては地域医療介護総合確保基金の活用も含めまして、医療系専門職員の配置に向けて今後とも関係部局と調整を図ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。ありがとうございました。



○副議長(小泉米造) 吉田教育長。



◎教育長(吉田育弘) (登壇)十四番大国議員のご質問にお答えをいたします。

 私には、県立学校の老朽化への対応について、課題を把握し計画的に取り組むことと、特にトイレについても洋式化を含めた対応が必要と考えるがどうかとのお尋ねでございます。

 学校施設の老朽化は全国的な課題でございまして、本県においても、県立学校施設の多くが築三十年を越え、老朽化が進行をいたしております。

 県教育委員会では、喫緊の重要課題である県立学校施設の耐震化に取り組んでいるところでございますが、これらの耐震整備工事とあわせて屋上防水や外壁改修などの大規模改修工事を実施いたしております。またこれ以外にも、優先的に対応が必要な箇所や消防設備の改修など緊急を要するものについては、各県立学校長からの要望も踏まえ随時改修を行うなど、施設整備の維持管理に努めております。

 学校施設は、生徒の学習の場のみならず非常災害時には避難所となるなど、その安全性の確保は重要であると認識をいたしております。今後とも県立学校施設の耐震化を促進することに変わりはございませんが、各学校施設の老朽化の状況や昨今の教育内容に対応した整備の必要性などについては、県教育委員会みずからが調査をするなど、把握に努めてまいります。その上で、学校施設の老朽化対策については、国が平成二十七年四月に示しております学校施設の長寿命化計画策定に係る手引等に基づき検討すべきと考えております。

 特にトイレをはじめ、県立学校施設の整備にあたっては、これまでから、各学校での優先順位を踏まえ取り組んでまいりましたが、今後は、生徒の健康面や快適に利用できる教育環境の整備を図るといった観点から検討をしてまいります。

 以上でございます。どうもありがとうございました。



○副議長(小泉米造) 十四番大国正博議員。



◆十四番(大国正博) それぞれご答弁をいただきましてありがとうございます。

 ちょっと順不同になりますけれども、少し意見あるいは若干の質問をさせていただきたいと思います。

 地域包括ケアシステムの推進につきましては、やっぱり市町村によってすごい差があると思ってございます。やっぱり、その担当をされる職員の方々の熱意、また地域の方たちとのコミュニケーションも含めて、やっぱり人材の育成が必要ではないかということを、もう今、強く感じている次第でございます。ぜひとも、そういった観点でよろしくお願いしたいと思います。

 健康寿命日本一に向けた取り組みにつきましては、裾野を広げということで地域からもご答弁がありましたけれども、特に前回、前々回の代表質問でも質問をさせていただいてまいりましたが、今、奈良県が目指す、追いかける長野県では前回も申し上げました、信州ACEプロジェクトという県民運動に取り組まれるということでございます。静岡県は、ふじ三三プログラムと通じて県民運動をされている。広島県は健康づくり県民運動推進会議、栃木県は健康長寿とちぎづくり県民運動、いろいろな県民運動が展開されてございます。特に、小さい子どもさんから高齢者の皆さんまで、やっぱり楽しく健康づくりができるという意識をいかに広げていけるかという、ここが重要ではないかと思います。朝、歩いていらっしゃる方、自分で健康を一生懸命管理をされている方々とは、少しまだ挑戦をされていない方たちにどうアプローチをするかというのが、非常に重要だと思います。

 こういった県民運動について、知事はどのようにお考えになっているのか、一点お尋ねしたいと思います。

 認知症の方への対応については、非常にまだまだ、これから、県は取り組まないといけない課題がたくさんあるかなと思ってございます。しっかりときめ細かく認知症の方、またご家族に寄り添う、そういった取り組みが必要ではないかと思います。特に若年性認知症につきましては、サポートセンター等の設置等も計画をしていただいておりまして、本当に感謝を申し上げる次第でございます。本当に地域ぐるみで、安心して県内で住み続けていただけるような体制をお願いしたいと思います。

 県内消費の拡大については、非常に知事もずっと、県の課題として取り組んできていただいております。その中で質問で申し上げましたプレミアム商品券・旅行券、これまで四回発行していただいておりまして、今年度は一旦ストップをいたしておりますが、プレミアム商品券・旅行券に特化しての知事のお考えがあれば、これだけ質問をしたいと思います。

 平城宮跡の周辺のまちづくりについては、非常に県民の皆さんも、このプロジェクトを聞いていただければ、非常に楽しみなプロジェクトではないかと思ってございます。またあわせて近鉄大和西大寺駅からのアプローチ等も抜本的な対策が必要だと、繰り返し知事は取り組んでいただいておりまして、去年の十二月の我が党も代表質問の答弁でも、知事みずからが近畿日本鉄道株式会社さんと協議を始めたいというような答弁もございまして、その後、本当に誠実に知事は動いていただいております。心から敬意を表したいと思います。本当に、今の駅周辺の渋滞緩和とともに、この国営公園化される平城宮跡が、本当に国内外の方々が安心して訪れていただけますように願っているところでございますので、今後とも、何とぞよろしくお願いしたいと思います。

 食品ロス削減につきましては、世界的には食事ができない、飢えて苦しんでいる子どもたちがいる一方で、日本には多くの食品が廃棄されている。食品自給率が低い我が国ですが、一問目で述べましたように、たくさんの食品が廃棄されていると。食品ロスはメーカーや小売店、レストランなどの事業所の利益率を下げています。裏を返すと生産性を下げている。さらに廃棄された食品の多くはごみとなって、その処理費は自治体の財政にも大きな負担となっています。焼却時にCO2を排出して、地球環境にも負荷をかけているという実態もございます。

 今後、知事のリーダーシップ等で県民の皆様にも広く、まず食品ロスというこの言葉をまず県民の皆さんによく知っていただいて、自分でできること、また、たくさん買いすぎて冷蔵庫の中でもう期限が切れていて、いつの間にかもう形が変わっていたというようなことが、私もあるわけでございますけれども、そういったことがないように、ちょっとこういう入り口の今回は質問になりましたけれども、お取り組みをお願いしたいと思います。

 それから、あっちに行ったり、こっちに行ったりで申しわけございません。警察本部長でございますが、熊本県に視察に行って、ちょうど認知症と思われる方が相談をされているシーンを視察させていただきました。最初、警察関係者の方が対応されましたけれども、なかなからちがあかない。運転免許更新に来られているのですけれど、本人さんは更新をして帰れるものだと、帰るのだと、強い決意のもと来られていたのですけれど、職員の方から見れば、あの人は認知症かもしれないというのはすぐわかるそうでございまして、そういった方をうまくスペースにご案内をして相談をされているシーンをじかに見てまいりました。できましたら、こういった地道な活動を通して一人でも悲惨な事故をなくしていく、そういった取り組みが必要ではないかと思います。基金等を活用してと申し上げましたけれども、ぜひとも関係各部局におきましては、こういったことも含めてご検討をいただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 最後の県立高等学校の老朽化の対応でございますけれども、随分学校が古くなってございます。特に高田高等学校、行ったところは築九十六年ということでございまして、もう雨が漏って、ずっと漏ってましたと。ようやく、今、工事をしていただいているということでございまして、そういった問題であったり、先ほど申し上げたようにトイレが非常に臭いと。もう授業をしてても、これは何ごとだというぐらいの臭さだと。もっと言えば、トイレを見ましたけれども、女子トイレが奥までも、廊下歩いているだけでずばっと見えてしまうという、もう今の若い人たちにとっては、これどうなのだろうという思いのトイレも、学校もありました。ぜひとも、こういったことも含めて調査をしていただいて、先ほどおっしゃられました長寿命化計画策定の手引等もありますけれども、ぜひとも県教育委員会としてもみずから、この長寿命化計画というものも、耐震化とあわせて、調査とあわせて行っていただきたいと思いますけれども、この長寿命化計画の策定についての教育長のお考えをお聞きしたいと思います。お願いします。



○副議長(小泉米造) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) 最初でございますが、健康づくりを県民運動、他県の例から県民運動で展開したらどうかというご質問でございます。

 健康づくりは市町村で差があるからと、市町村の差があるのは、今までのやり方でございますと、市町村別差異を詳細に紹介してまいりました。市町村の自覚を促すと。随分、差があることはわかっています。がん検診率も本当に差があるということはわかって、それをあなたのところはどべですよと言ったら、やはり市町村、頑張られるといういった傾向があります。

 また、これは地域包括ケアシステムの構築とも関係いたしますが、個別にやる気のある市町村は協定をしたり連携したりして、一緒にやろう、財政的な助成もするよといったようなことをしてまいりました。これは、奈良モデルといわれる統計で差違を提示する、やる気のあるところは手を結んでやるというのは奈良モデルで原点でございます。それは、なぜそういうことをしたかというと、何でも県にやらせておこうという風潮を打ちどめにしたいという思いでございます。それではこの地域包括ケアとか健康づくりは現実に進展いたしませんので、個別的に小さな地区から協同してやる必要があるというのがこの課題でございますので、奈良モデル的に進めるということでやってまいりましたが、県民運動というのが効果があるかどうか、否定的に考えているわけではございませんが、そういうやり方でやってきました一方、県民運動的には、例えばビューティフルシニアの表彰とか、全体で表彰するいいほうを持ち上げましょうと、こういってまいりました。県民運動は県の安全とか、環境について、清掃とかで運動化しております。この健康づくりで、他県の例を勉強いたしまして、今、議員の言葉ではっと県民運動ももしかしてあるのかなというふうな感じもいたしましたので、ちょっと勉強してよければ進めたいと思いますが、基本は個別に市町村が頑張っていただくと県も応援しますよというのが、奈良モデルの基本で進めるのがとりわけ地域包括ケアなんかは必要かと思いますが、理解を進めることが大事だという観点から、県民運動の手法がとれるかどうか検討してみたいと思います。

 消費の拡大につきまして、プレミアム商品券・宿泊券が今後とも役に立ちそうだが進める方向はどうかというご質問だと思います。

 プレミアム宿泊券・商品券は、一過性になる可能性がありまして、一過性にならないように、持続性を発揮できるように商品券を配るようにということを心がけてまいりまして、多少、その持続性についても効果があったように思いますが、しかし基本的には今使うのを得したなといって大売り出しのようなものでございますので、まだ効果がばっちりというところがどうか、まだわからないところがございますが、決して有効でない手法でなかったと。効果のある手法だということはわかってきております。もう一つ消費喚起で県が行ってきておりますのはイベントでございますが、観光客の方が来られて、いろいろな、秋はとりわけでございますが、来られるのは東京方面の、奈良の理解をされる方が多くて、この前もイタリアのオペラが来たときは、ほとんど東京のお客さんで、奈良の方が参加されないのは寂しいなというぐらいのものでございましたが、その分、奈良市内のホテルは随分いっぱいになりました。これは、宿泊自身も消費ですし、その際、消費が伸びるように地元が努めるというイベントをしたり、出かけてもらうことで消費につながるという手法をとってまいりました。イベントによりましてオフがなくなって、消費が随分伸びてきたという声は聞いております。商品券の発行による直接的にやるのと、一緒に冬季でやったことはありまして、大変大きな効果がありました。イベントと抱き合わせにやるとか、イベントがあって商品券があるよというのも効果が倍化するわけでございますから、商品券単体あるいは季節、あるいはその目的をもう少し変化をさせてやるといった工夫も必要かと思いますが、消費喚起は極めて重要なことでございますので、消費者の方との知恵比べ、消費者の方はいやがっておられるわけではありませんが、やはり将来の不安などを抱えて消費性向が落ちるということにどう立ち向かうか、日本経済の全体の問題でございます。奈良県として、今の商品券の発行を含めまして、消費喚起の知恵をさらに絞っていきたいというふうに思います。



○副議長(小泉米造) 吉田教育長。



◎教育長(吉田育弘) 国の示しております学校施設の長寿命化計画でございますけれども、これは例えば安全面でありますとか機能面でありますとか、さまざまな面から、さまざまな観点から施設整備を見直していこうとするものでございます。従いまして、安全面が終われば機能面ということではなくて、複合的に安全面・機能面というものを全体的な中で捉えて見直していきたいと考えております。



○副議長(小泉米造) 十四番大国正博議員。



◆十四番(大国正博) ありがとうございました。県内消費の取り組みについても、本当に奈良県にとっては非常に大きな課題でもございますし、果敢に挑戦をしていただいている荒井知事でございます。また、今後の取り組みにつながるように商品券もあわせてご検討いただければと思います。

 トイレ、また学校の老朽化でございますけれども、先ほど教育委員会みずから調査をするというご答弁もございました。現場は非常に苦労されております。これを言えばこっちを引っ込めるというような現状がありますので、そうではなくて、やっぱりトイレというのは、また雨漏りとか基本的なものというのは、それはもうしっかりと教育委員会として把握をしてやっていくのが必要かなと思います。生徒さんは一生懸命、古いトイレを掃除をするらしいけれど、掃除が終わったら水がたまっているというね。流れないのです。だから、そういう生徒たちの思いも含んでいただいて、ぜひともきめ細かに調査をお願いしたいと思います。

 以上です。終わります。ありがとうございました。



○副議長(小泉米造) これをもって、当局に対する代表質問を終わります。

 しばらく休憩します。



△午後二時十四分休憩

   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



△午後二時三十四分再開



○議長(川口正志) 休憩前に引き続き会議を開きます。

 次に、当局に対する一般質問を行います。

 順位に従い三番猪奥美里議員に発言を許します。−−三番猪奥美里議員。(拍手)



◆三番(猪奥美里) (登壇)民進党の猪奥美里です。

 東日本大震災、紀伊半島大水害から五年がたちました。ことしになってからも四月の熊本地震、そして台風十号災害、大きな災害が幾度となく襲ってまいります。一つ一つの災害の度に、計画や運営や想定が不十分で課題が浮き彫りになります。それでも一つ一つ検証し乗り越えていくことで、災害に強く命を守るまちをつくれると信じています。

 東日本大震災で起きた出来事です。運良く避難所に避難できた耳が不自由な方。ところが補聴器のハウリング音がうるさいと言われ、終日避難所の外で時間過ごし寝るときだけ避難所に戻ってくる。そんな人がいました。ハンドマイクで食事やお風呂の時間の連絡があるため、ごはんも食べられずお風呂に入れない。そんなときもあったとのことです。また自閉症のお子さんを持つご家族。命からがら津波を逃れ避難所に行ったけれども、大勢の人たちに困惑し大声を出してしまう。周りの人たちから怒鳴られ、避難所を後にし自宅へ戻らざるを得なくなり、情報も食事等の支援も受けられなくなった。このような事例が数多くありました。

 対応すべく、平成二十五年には災害対策基本法が改正され、その後避難所における良好な生活環境の確保に向けた取り組み指針が策定をされ、ことしの四月には内閣府から避難所運営ガイドラインが提示をされました。その前文のタイトルはこうなっています。避難者の健康を維持するために「避難所の質の向上」を目指す。ここで言う質とは、人がどれだけ人間らしい生活を送ることができるかを問うています。避難所には大勢の、そしていろいろな方が来られます。必要な人に必要な支援を届けるためには、現状についての適切な把握、これを行なうことがまずもって大事です。住所や名前、けがの有無などの情報を被災者に記入してもらう避難者カードが有効とされています。熊本地震、台風十号災害でも、このカード情報がとても役に立ったとのことです。

 この避難者カードは基本的な情報だけでなく、介護の必要度やアレルギーの有無、障害についてなど災害弱者情報を把握する項目や、住宅の状態やどこに避難しているかなどの項目についても設けることができます。これらの情報は、災害発生時必要だったというのが、これまでの災害で明らかになったものです。避難者カードに入れ込むことで、災害発生時から避難者から情報を得られ支援につなげることができるのです。

 さて、奈良県内のカードは一体どういったものがつくられているのかと、県には十分な情報がありませんでしたので奈良県内の全ての市町村の避難者カードの様式を集め、今回調査をいたしました。まずそもそも避難者カード自体の策定状況ですが、八つの市町村でつくられてさえいませんでした。つくられている自治体も中身を見てみると、災害弱者を把握する項目が盛り込まれていない自治体も多くあったことから、災害発生時十分な情報を得ることが難しく、十分な支援や対応が行き届かないのではないかと考えます。

 避難所の設置時における市町村の事務として避難者カードの作成がありますが、被災者に対し支援を行なう重要かつ基礎的な情報源となるにもかかわらず、その様式は市町村によってさまざまで、災害弱者への対応も不十分と思われるものが多くありました。この状況について、県はどのように市町村を支援していこうと考えているのかお伺いをいたします。

 次に、福祉避難所についてです。福祉避難所は、障害者や高齢者、妊婦さんなどのために設置され、一般の避難所では避難生活を送ることが困難な方のために設置をされます。現在、県内では二十七市町村で、二百六カ所の指定がされています。まだ指定ができてない、つまり災害が起こっても福祉避難所の設置ができない市町村が十二あります。また、一カ所のみの指定も七市町村あり、果たしてこのような指定状況で、災害発生時十分な受け入れが可能なのか、私は疑問に思います。

 熊本県では、県内全ての市町村で福祉避難所が指定され、四百六十一カ所、七千人を超える受け入れ態勢がつくられてはいました。けれども今回の熊本の震災で開設できたのは、四分の一。指定するだけでなく、受け入れのルールづくりや施設の職員以外の人的支援体制など福祉避難所の開設・運営を進めていくための体制づくりが重要な課題と考えます。福祉避難所で受け入れられるはずの方が、行くことができない。避難所で避難生活をすることもできない。不安な思いを持ちながら車の中で寝泊まりをされる。奈良県でも災害発生時、同様の課題にぶつかると考えるべきです。

 県内市町村における福祉避難所の指定状況について、県はどのように考えているのかお考えをお伺いいたします。また災害時において、円滑な福祉避難所の開設・運営を行えるよう、県としてこれからどのように取り組もうとされているのかお伺いをいたします。

 この問題の最後に、外国人避難所についてお伺いをいたします。

 熊本地震においても日本人優先となりがちで、ほとんどの避難所で日本語以外の案内がなく、言葉の壁、文化の違いなどで一般の避難所では、いることができないという外国人支援の課題もありました。結局、熊本市国際交流会館が外国人避難所のように利用され、口コミで集まってこられた延べ八百人、そして、約五十人の方が避難をされました。ただし、あらかじめ避難所として指定はされていなかったため周知はできず備蓄もない。そんな状況でございました。内閣府に問い合わせをすると、いまだ外国人避難所を指定できている自治体はないということです。観光県である奈良県です。ここ数年は、この県庁を一歩出ると広がる奈良公園には外国人のほうが多い。そんな状況がありますし、居住されている方もたくさんいらっしゃいます。

 そんな方に対し、避難する際、外国人避難所が必要になると考えます。そこで、外国人観光客に向けた情報発信やおもてなし、交流を促進するための拠点施設である猿沢インを災害発生時には外国人避難所として活用するべきと考えますが、知事のお考えをお伺いします。

 次に、骨髄バンクについて、お伺いをしたいと思います。

 九月十七日は、世界骨髄バンクデーでした。日本で骨髄バンクができてから二十五年。骨髄バンクを介して骨髄移植を受けられた方が、来月には二万人に達するということです。骨髄バンクの質問に入る前に、まずは献血についてお伺いをしたいと思います。

 献血で得られた血液は、交通事故などによる緊急の輸血に三・五%。八三%、残りの大部分ががんや白血病、再生不良性貧血等の治療のために使われています。人工的に血液はつくれない。輸入もしない。皆さんの、自分の血を人に提供してもいい、そんな気持ちによって支えられている仕組みです。

 近鉄奈良駅でも、ピンチです!と書かれたカードを持って声をかけている献血センターの方をよくお見かけをしますが、献血は今、本当に大変な状態になっています。毎年、献血者の数は減り続け、このままいけば二〇二七年には、全国で八十五万人分の血液が足りなくなるとの推計もあります。

 奈良県ではどうかいうと、特にこの数年の減少は著しく、平成二十三年には延べ約五万七千五百人でしたが、昨年には約四万七千七百人と、たった四年間で一万人近くも減少しているのです。献血にも少子高齢化の影響があります。若者が減り献血する人が減る一方、血液を使う側の高齢者はますます多くなる。そこで若い人にはじめの第一歩を踏み出してもらうことを、積極的に行なうべきと考えます。献血は十六歳からしていただけます。奈良県の昨年度の高校生の献血は七百九十一名。一方、高校生献血ナンバーワンの埼玉県では一万三百三名、率に直しても三倍の開きがあります。

 毎年献血者の数及び献血量が減っていく中で、若者、特に高校生への献血促進の働きかけが必要と考えますが、知事のお考えをお伺いをいたします。

 そしてこの六月、ショッキングな新聞報道を目にしました。日本骨髄バンクに登録し、移植を待つ白血病などの患者さんのうち、昨年度末までの五年間で一千六百五十五人がお亡くなりになられていたということです。これまでの、なら骨髄バンクの会をはじめ全国のボランティア説明員の熱心な働きかけにより、骨髄バンクには約四十五万人がドナー登録し、今では移植を待つ患者さんの九割以上に適合ドナーが見つかるようになりました。しかし実際に移植に至るのは、このうちの六割程度にとどまります。運良く適合し最終同意にまで至ったが、マッチングに時間がかかりすぎ、その間に病状が悪化した方も多くおられるようです。

 移植適合ドナーを今か今かと待っておられる患者さんにとって、ドナー登録者数が増加しマッチングの短縮化が図られることは、命にかかわることです。いまだ人口割りで全国四十六位の奈良県もドナー登録者数の増加に、より強く取り組まねばなりません。一方、適合九割、移植六割という背景には、ドナー登録者の断念もあります。

 骨髄の提供にあたっては、三泊四日の入院に加え前後数日の通院が必要となります。最近は、ドナー休暇やボランティア休暇の制度を整え従業員に積極的に後押しする会社や団体もふえてはきていますが、その数はいまだ限られています。有給で休みをとってもらわないといけません。四割を超える非正規社員、派遣やパートアルバイトで働く方には経済的な負担となり、より高い壁になっていることは想像にかたくありません。こんな事態を解消したい、自治体の助成があればドナー登録や実際の提供をふやせるのではないか。新潟県加茂市の息子さんを白血病を亡くされたご夫婦からの強い働きかけによって、加茂市での全国初の提供ドナーへの助成金が創設をされました。現在では、百八十二の自治体へと広がっています。

 そこで、知事にお伺いをいたします。

 献血と同時に骨髄バンクのドナー登録を行なう併行型登録会を積極的に開催をしていくには、登録会開催時に不可欠となりますドナー登録説明員の育成に県としても取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。

 また、せっかく見つかった適合ドナーを移植へと結びつけるためには、奈良県も骨髄バンクドナー助成金を設けるべきと考えますが、お考えをお聞かせください。

 最後に、さい帯血バンクについて要望を申し上げたいと思います。骨髄移植だけでなく、白血病などの治療に近年特に注目が集まっておりますのが、臍帯血移植です。臍帯血とはへその緒と胎盤に含まれている血液で、造血幹細胞を多く含みます。ドナーへの負担が全くないこと、骨髄移植よりもHLAを厳密に一致させる必要がなく、移植後の免疫反応も少ない非常に有効な治療法です。移植例も加速度的にふえ、昨年度は骨髄移植を超える臍帯血移植が実施をされました。しかしこの治療法は認知度が低く、奈良県内で臍帯血を採取できる協力病院は二カ所にとどまっています。

 さい帯血バンクを推進していくにあたりましては、今後、県内公立病院での臍帯血採取を視野に入れて、日本赤十字社近畿さい帯血バンクと県の関係機関との連携を強化していただきますように、要望を申し上げます。

 最後に、赤ちゃん養子縁組についてお伺いをしたいと思います。

 日本では今、二週間に一人、生まれたばかりの赤ちゃんがなくなっています。トイレで産み落とされた子や、生まれてきても愛情を持ってうまく育てることができなかったからか虐待を受けて亡くなる子です。さまざまな理由で実の親が育てることができない、そんな子のために社会的養護があります。しかし、日本では九割をいまだ施設養護に頼っている、そんな現状がございます。

 奈良県でも現在、施設で養護されている子は二百九十七名、昨年の十二月議会において施設養護から家庭的養護へと振りかえていくべきという質問をいたしました。今議会ではさらに、子どもにとって望ましい環境である赤ちゃん養子縁組について質問をいたします。

 赤ちゃん養子縁組は、特別養子縁組を前提とした出産直後からの里親委託で、三十年前、愛知県の児童相談所で誕生しこれまで百七十組以上の親子が結ばれました。その大まかな流れを説明しますと、妊娠をして自分は育てられない女性がいるという連絡が、医療機関や学校などから児童相談所に入るようになっており、妊娠中から相談を受けます。次に、妊娠中の女性に対しては安心して出産を迎えることができるように、赤ちゃんを迎える育ての親に対しては自然に親子関係をつくる準備ができるように支援をします。出産に立ち合い最初に抱きかかえるところから育ての親がスタートする、そんな事例もあるようです。赤ちゃんは退院すると、そのまま里親の家庭で安定した関係の中で育つことができます。その後、児童相談所が経過を見守り、六カ月たって里親は家庭裁判所に特別養子縁組の申し立てをすることになります。

 このように赤ちゃん養子縁組は、生まれてすぐ里親に委託するものですが、これまでの里親委託は一旦乳児院に入所するのが一般的に行なわれています。その理由は、後になって産みの親があらわれるかもしれない、産みの親がやはり自分で育てたいという気持ちになるかもしれない、子どもを託した親がきちんと育てられるか安心できない、子どもに障害や病気があるとわかると里親が育てられないと返してくるケースがあるからなどです。

 そこで愛知県では、こうした事態にならないよう事前にさまざまな確認を行なって、はじめて赤ちゃん養子縁組が成立するようになっています。事前の確認には、障害や病気の可能性があること、赤ちゃんの性別は選べないこと、縁組みが成立するまでは産みの親の気持ちが変われば赤ちゃんを返すこと、子どもには将来適切な時期に事実を告知することなどがあります。育ての親には、どんな環境で芽生えた命でも自分の子どもとして愛情豊かに育てていく決意が必要だとされています。

 養子縁組が成立した後のアフターケアも行なわれていますが、育ての親とのきずなは赤ちゃんとの橋渡しが早ければ早いほど結ばれやすくなるのです。最近の研究では、生まれてすぐの三カ月間が、赤ちゃんにとって愛着のきずな形成の視点から見ても最も重要だと、そんな事例も報告されています。

 そこで、知事にお伺いをいたします。

 厚生労働省でも家庭的な養護を全国に広める政策をとっており、愛知県方式の赤ちゃん養子縁組を全国に広めようとされています。愛知県での長きにわたる取り組みの結果、手続等の整理も進んでいる特別養子縁組前提の出産直後からの里親委託、いわゆる赤ちゃん養子縁組について本県でも取り組みを進めるべきと考えますが、知事のお考えをお伺いします。

 以上で、壇上での質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)



○議長(川口正志) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) (登壇)三番猪奥議員のご質問にお答え申し上げます。

 避難所についてのご質問でございます。大変時宜を得た重要なポイントだと感じました。

 避難所の設置及び運営は、災害対策基本法で市町村の責務と定められております。しかし本県では避難者対策は非常に重要であると思ってきておりまして、市町村が避難所を適切に運営できるように、その指針となるガイドラインを策定するとともに、市町村に対する説明会を開催し、避難所運営マニュアルの作成を支援してきております。

 議員ご指摘の避難者カードは、このガイドラインの中で様式を示しておりますが、市町村は県が示した避難者カードの様式をもとに地域の特性や実情に合わせ使いやすいように変更し、おのおのの避難所運営マニュアルに掲載されているところでございます。

 一方、本年四月の熊本地震での避難者対策について、勉強をさせていただきました。支援を行なった府県や市町村の職員及び現地を調査した専門員からの聞き取りなどで学んだところの課題でございますが、一つでございますが、車中泊やテント泊の避難者の把握方法が難しいと言われております。二つ目には、住民による避難所の自主的運営の必要性があるということが言われております。三つ目には、避難所でのプライバシーの確保方法など避難所運営についての課題があるというようなことも指摘して学習いたしました。

 本県では、熊本地震のこれらの教訓を踏まえまして、専門家のご意見もお聞きしてわかってきた、これらの課題への新たな対応策を検討した上で、避難者がより安全で快適な避難所生活が過ごせるよう、避難者カードを含む避難所運営ガイドラインを見直して市町村にお示ししたいと考えております。

 今後、全ての市町村が改定後のガイドラインに沿って、災害弱者対策を含めてより実際的で実効的な避難所運営マニュアルを作成され、適切な避難所の開設・運営ができるようにするために必要な支援をしてまいりたいと思います。

 避難対策の奈良モデルといったようなものを目指していきたいと思っております。その中で、福祉避難所の開設・運営と外国人の避難所の必要性についてご質問がありました。これも極めて重要なポイントだと認識をいたします。

 福祉避難所でございますが、主として高齢者や障害者など特に配慮を要する方々が、相談したり助言を受けながら安心して避難生活をするための施設でございますが、このため、平時から福祉避難所を指定し準備を整えておく必要がございますし、災害発生時には速やかに開設してスムーズな運営を開始することが重要でございます。福祉避難所の指定は市町村が行ないますが、本県では議員ご指摘のとおり十二町村で未指定となっております。このうち八町村では、指定に向けて具体的な調整を行なっていただいていると聞いております。また残り四村では、施設のバリアフリー化などについての検討段階にあるというふうに伺っております。

 このため本県では、指定に至らず苦慮されている市町村に対しまして個別の助言を行なってきております。地域の実情に応じた対応策をアドバイスするといった形でございますが、一般避難所における福祉避難スペースを別途確保するということや民間の福祉施設等と協力協定を結ぶことなどをお勧めしている状況でございます。

 また災害時に福祉避難所が円滑に設置・運営できますよう、市町村向けの災害時要援護者避難支援のための手引きというものを作成しておりまして、その説明会を開催するなどの支援を行なっております。今後はこれに加えまして、熊本地震に学びましたスタッフ要員や物資の十分な確保、民間施設の借り上げ等による福祉避難所の十分な確保、利用対象者の周知徹底などの事前準備につきまして、市町村に対して働きかけを行なってまいりたいと思います。

 さらに災害発生時には、市町村のスタッフが不足することが通例でございます。このような場合には、県社会福祉協議会をはじめ、さまざまな団体等と連携し職員やボランティアを派遣してもらうほか、被災していない他の福祉施設等への被災者の受け入れ調整をする必要もあると思っております。また日常的に必要となる医療の確保も福祉避難所に必要なことと考えております。

 次に奈良へ来られた外国人観光客への避難対策でございますが、このような方々は日本語理解が十分でなく文化・習慣が違う方々でございます。このような方々、外国人被災者に対する支援も重要な避難対策の一つだと思います。

 猿沢インの利用についてアイデアをいただきました。猿沢インは外国語対応のできるスタッフが常駐しております。災害時には、これら配慮を要する、とりわけ言葉上の配慮を必要とする外国人に適切な対応ができると考えております。年内にはシャワー設備を備えた宿泊所や多目的スペースを設ける予定にしており、かなりの人数を受け入れることができるようになりますので、外国人の避難場所とすることは適切な考え方のように思いました。積極的に関係者に周知し、活用に向けて努めてまいりたいと思いました。外国人向け避難所の指定が必要でございますが、奈良市でされますが、今後、地元の奈良市との調整を進めたいと思います。

 骨髄移植・臍帯血移植の促進についてのご質問でございます。

 まず献血につきまして、高校生の献血促進の働きかけが必要ではないかというご指摘がございました。そのとおりだと思います。議員お述べのとおり、献血者数及び献血量はここ数年減少してきております。その原因の一つとして、若者献血の著しい減少が挙げられております。今後、少子化の進展による献血可能人口の減少、また高齢化に伴った輸血医療の増加を考えますと、将来の献血を支えてくれる高校生をはじめ若年層の方々の献血が一段と重要になっていくものと思います。

 高校生献血につきましては本県では教育委員会と協力いたしまして、日本赤十字社に働きかけ、高等学校での献血セミナーの開催や学校行事に合わせた献血の実施を推進してきておりますが、学内での献血者数は、平成二十四年度には二校六十二名に過ぎませんでした。その後、平成二十六年度には六校二百十四名に上がりまして、平成二十七年度は八校三百五十九名と増加をしていることでございます。このような傾向には感謝いたしますが、引き続き校内献血をふやす取り組みを進めたいと思います。

 また将来献血可能となる小・中学生への啓発も重要でございます。大型ショッピングモールなど献血バスの配車先において、キャラクターを使ったイベントも開催しております。特に今年度からは、プロバスケットボールチームでありますバンビシャス奈良と連携したイベントを開催し、若者への浸透を図ってきているところでございます。高校生の献血機会をふやすには、学校関係者の協力は不可欠でございます。今後、教育委員会と協力しながら高校生の献血拡大を図ってまいりたいと存じます。

 さらに骨髄移植の骨髄バンクドナー登録を積極的に行なうために、登録説明員の育成が必要だというご指摘でございます。

 骨髄移植は白血病等の治療に有効な治療法の一つでございますが、患者の白血球の型が適合するドナーと呼ばれる提供者の存在が必要でございます。多くの方にドナー登録をしていただく必要がございます。本県のドナー登録は献血と同時に登録をしていただく、議員お述べの献血併行型の登録会が主流でございます。昨年度から回数をふやしておりますが、登録状況は依然として全国四十六位でございます。ドナー登録説明員不足が課題の一つと思われます。

 登録説明員の養成配置は、登録会の回数増、さらには登録者増につながるものと考えます。今後、養成研修会の実施をするなど、登録説明員の増加を図ってまいりたいと思います。

 また移植の際には、ドナーの方に事前の健康診断、骨髄採取等で七日から十日程度の通院や入院が必要でございます。身体的な負担だけでなく仕事を休むことでの心理的負担や経済的負担を含め、多くの負担がかかってくる実情がございます。

 ドナーに対する助成をするのも一つの方策ではございますが、金銭面以外にもさまざまな負担がございますので、その導入の効果は必ずしも明らかではございません。ドナーの方々を支援する環境づくりがまず重要だと思います。そのためには、骨髄移植の必要性について県民に理解をしていただく必要がございますし、またドナー提供しやすい環境づくりとして、民間事業所におきましてドナー休暇制度の導入についての理解が必要とも考えます。そのための啓発にも努めてまいりたいと思います。

 赤ちゃん養子縁組についてのご質問でございます。出産直後からの里親委託、いわゆる赤ちゃん養子縁組についての取り組みのご質問でございます。

 本県におきましては、社会的養護が重要だというふうに当然思っておりますが、その内容は、児童養護施設等のケア単位の小規模化を図ることや里親による養育など、家庭的環境の中での養護を推進したいという方向でございます。とりわけ、家庭での生活を通じて子どもが成長する上で、極めて重要な特定の大人との愛着関係の中で養育を行なう里親制度は、子どもの健全な育成を図る有意義な制度と理解・認識をしております。その中でも、議員お述べの特別養子縁組を前提とした新生児の里親委託は、児童虐待死の背景の一つとされます望まない妊娠など特定妊婦への、妊娠中からの切れ目のない支援の観点から有効な方法であると認識をしております。

 県こども家庭相談センターにおきましては、未婚、若年出産、また他の要因が重なるなどやむを得ない理由で実の親が養育できない場合には、妊娠中からの相談に応じているところでございます。その際、施設入所ではなく里親委託に重きを置いて実親との話し合いを進め、意思が確認できれば新生児委託を実施してきております。これまで三件の里親家庭をお願いすることができました。

 委託にあたりましては、子どもの福祉が最も優先されるべきでございます。実親からの相談を受けた際にはまず、さまざま子育て支援の制度を利用して実親や祖父母等の親族が養育できないかの方策を検討しておりますが、その上でどうしても養育できない場合は、特別養子縁組を希望する最も適した里親に対して、子どもの多様な事情について丁寧な説明と意思確認を行いながら進めているところでございます。

 今後も、特別養子縁組を前提とした新生児の里親委託につきましては、妊娠期からの支援を円滑に進めるため産科医療機関等との連携も図りながら、子どもの幸せな生活を第一に考えて実親と里親の意向に十分配慮し、慎重な配慮も要すると思いますが、積極的にも進めていく必要があると認識をしているところでございます。

 ご質問は以上でございました。ありがとうございました。



○議長(川口正志) 三番猪奥美里議員。



◆三番(猪奥美里) 非常に積極的なご答弁も含めてありがとうございました。

 まず外国人の避難所ですけれども、奈良県の国際観光都市としてこれから格を上げていく、維持していくためにも、とっても必要なことだと思っておりますので、積極的にぜひ奈良市と協議を進めていただきたいと思います。

 次に、福祉避難所についてです。まずは私は、量的拡大をまず持っていくことが必要だというふうに思っています。今、奈良県内の特別支援学級は九校ございますけれども、福祉避難所に指定できているのは奈良市に所在します三校のみでございます。残りの六校は指定されておりません。今、通われている生徒さん、もしかしたら学校中に被災するかもしれませんし、やっぱり通いなれているところが一番、そういった方々にとっては安心して避難生活が送れているということです。もちろん市町村が指定するべきことですけれども、先ほど、それぞれ指定できていない市町村には個別の助言を地域の実情に合わせて差し上げるのだということをおっしゃっていただきましたので、ぜひこの残りの六校について、福祉避難所に指定していただくようにご助言をいただけないか。ご答弁を頂戴したいというふうに思います。

 設置できたとしても、その後の運営がしっかりできていないと実施にはなかなか結びつかない、うまく運営できないというのが、熊本の例でございました。同じように同様の災害を持っておられて困られているところ、各県調査をされておりまして、例えば人的支援がうまくいかない。先ほども、知事ご答弁いただきました人的支援が少ないところには、フォローアップをしていくのだ。これ、それぞれフォローしていただける専門家の方々。例えば相談員ですとか、支援員ですか、介護職員さんですとか、お声かけいただけると思うのですけれども、ぜひ協定という形で形に結んでいただいて、奈良県としてはこういう協定を持っていますから、おたくの市町村さん、もし運営が不安であっても、いざというときにはできるから、ぜひ数をふやしていってほしい。そんなご助言も県として、していただけるのではないかなというふうに思っております。ご所見があれば、ぜひお願いをしたいと思います。

 続きまして、その大前提となります避難所の運営マニュアルをつくっていただいて、ガイドラインをつくっていただいて、各市町村さんにご提示をいただいている現状がございます。今、県下、県内全部の市町村の避難者カードを見ますと、避難者カードには二つの意味合いがあると思うのです。一つは、基礎的な情報を取ること。もう一つは、あったらよい情報を積極的に取っていくこと。この二つの要素があるにもかかわらず、この二つ目の様式を全く満たしてない市町村がたくさんございました。これは、マニュアルをつくって説明会を開いても、市町村さんにうまく落ちてないことのあらわれだと私は見ました。さらに県のガイドラインでちょっと間違っているところがあったのですけれども、間違っているものがそのまま載っているというのも九例ございまして、マニュアルをつくってご提示していくだけでは、なかなか次のステップに移れないのかなというふうに思います。ぜひともマニュアルをつくっていく、ガイドラインを練り上げていく、その段階から、奈良県にも被災した市町村さんがございますので、そんな実態をうまく折り込んでいけるような次回、つくっていただく、ガイドライン、マニュアルに反映をしていただきたいというふうに思っております。

 次に、臍帯血のお話です。ドナー登録説明員さん、今、奈良県内で活躍いただいている方、およそ十名でとっても大変というお話を伺いました。今、県からドナー登録説明員を育成していただくというお返事をいただきました。本当にありがとうございます。これで拡充の方向に推進していけるというふうに願っております。

 次に、助成金なのですけれども、もちろんドナー休暇をつくっていただく会社さんがふえるにこしたことはありません。けれども今、ドナー休暇を導入しておられる会社さんというのは、もう一部上場企業ばっかりなのですね。奈良県には中小企業がたくさんございます。そんなところでドナー休暇をお願いするよりも、私は、ぜひともドナーの助成金を、これを奈良県で設置をしていただきたいなと思うのです。助成金には三つの役割があります。一つは、経済的な補助です。もう一つは、公的な後押しがあるということでドナーさんがお休みできる。もう一つ、これも大事なのですけれども、ドナー登録をするときに登録員さんが説明できるのです。七日間お仕事休んでいただかないといけません。けれども、ちゃんとその分行政が面倒をみます。そんな後押しがあるこのドナー助成制度、私は何としても奈良県に設立すべきだと考えますが、知事のお考え、再度お聞かせをください。ご家族の方に白血病の患者さんがいる方もいらっしゃいますでしょうし、息子さんが非正規で働いている方、そんな方には一週間休めなんてなかなか言えないこの現状、お休みすらも取りにくい中で後押しができる、非常に重要な制度だと思っております。

 以上で再質問終わります。



○議長(川口正志) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) 幾つかのご質問でございましたが、特別養護学校の避難弱者の問題でございますが、避難指定されていない六校があるということで、福祉避難を含めまして避難は具体的にしないといけないと。市町村が基本的にされるということでございますが、県はガイドラインを出すだけとか、高みの見物ではいけないというふうに思っております。避難の奈良モデルというのはまだ言葉としては使っておりませんが、県と市町村が協力して命を助けようということをさらに深めていきたいと考えます。避難弱者にも、より重要な対象だと思います。そのような中でガイドラインというのは、こちらからの一方的なことでございますが、協定をする、民間の団体と市町村が協定されることもあるのですけれども、奈良モデルの考え方で、このようなケースには協定をしてやりましょうと。避難後は一律にどこでも同じことをしないといけないというのは、最低は必要でございます。さらに工夫をしたところは、協定をして県がとりわけ厚く応援するという考え方も取れるのではないかなというふうにも考えますので、その方向で検討してみたいと思います。

 その中で避難者カードというのは、有効なデバイス、用具だと思いますが、この避難される場合に、災害のときの避難者カードは私はだれ、どういう薬を飲んできた。あるいはどういう既往症があるなどの情報が必要でございますので、県がこれまで研究してきておりました健康カードの発行と相通ずるものがございます。ICTを利用できたら余計いいわけでございますけれども、そのような方向での研究を進めたいと思います。避難者カードの内容の検討という、その効果を検証するということも含めまして内容の検討をしていきたいと思っております。

 ドナー休暇制度に助成金を設けて進めたらどうかということでございます。経済的なご負担もあることは承知しておりますし、また全国で百八十余りの市町村で設けられているようでございます。この内容と効果がまだ把握していないというふうに職員から聞いております。このような助成制度のその内容と効果について、まず検討してみたいと思います。効果があれば、助成制度を採用するという考えもさらに進む可能性がございます。ドナー登録と移植の増加につながる手法、理解、それと休暇制度、それと経済的な後押し、公的な後押しとおっしゃいましたが、そのようなことを今後、研究をしていきたいと思います。



○議長(川口正志) 三番猪奥美里議員。



◆三番(猪奥美里) それぞれありがとうございました。

 ちょっとドナーへの助成金について、一言申し述べたいと思います。

 先ほど三つの効果があると申し上げましたが、効果をこれから検証していただいて、効果があれば実施の方向で検討してくださるというご答弁をいただきましたが、今、ドナーの助成金がないということで、ドナーの登録をそもそもためらわれている方がたくさんいらっしゃると。一週間お休みできるかもわからない。その上、経済的な補填もない。そんな中で、なかなか説明員さんがお願いをしづらい現象にあるということも加味していただいて、効果のほどを検証していただきたいと思います。

 私の質問は以上です。ありがとうございました。



○議長(川口正志) 次に、十番井岡正徳議員に発言を許します。−−十番井岡正徳議員。(拍手)



◆十番(井岡正徳) (登壇)議長のお許しを得て、議席番号十番自由民主党の井岡正徳が一般質問をさせていただきます。

 まず初めに、地方独立行政法人奈良県立病院機構についてお伺いいたします。

 奈良県立医科大学は平成十九年度から、奈良県立病院機構は平成二十六年度から、県の組織から切り離され地方独立行政法人化されて、それぞれの理事長のもとで運営されている状況です。独立行政法人化することで病院については、奈良県が直営のときと比較して、医療環境の変化や県民の医療ニーズなどに応じて柔軟で弾力的な病院運営ができる、また地方公務員法の適用外になることにより、法人が独自に職員採用できるため迅速な採用が可能となり、職員の増員も独自にできるため、本来は経営の自由度が増し、安定的・継続的に果たせる仕組みと言われています。

 経営については、奈良県立医科大学は比較的順調であると認識しておりますが、病院機構については、代表質問で我が党の池田議員から質問があったように、発足後、二年間の決算は大幅な赤字で累積損失が約五十一億円であり、病院機構の経営改善は喫緊の課題であると危惧しております。

 そうした中、ことしの二月議会において病院機構の短期借入金枠を四十億円から八十億円に増額する議案が提案されました。私はわずか二年の間に何が起こったのかと疑問に思い、ことしの予算審査特別委員会や六月定例会の厚生委員会でも、今後の経営健全化について厳しく質問をさせていただきましたが、いまだ経営改善の説明責任を果たしておられません。

 また奈良県立病院地方独立行政法人評価委員会からも、財務状況については改善されていない。県民の期待に応える質の高い医療を継続的に提供していくためには、財務状況の改善は不可欠。早急に経営改善を実施し、財務状況の改善を図る必要ありと指摘されています。一体、何のために独立行政法人化したのか疑問に思う次第であります。私は新病院ができるまでの間に、総合医療センターや西和医療センターなどの抜本的な改革が必要であると思います。地方独立行政法人化になると、議会はもちろんのこともはや県も経営には直接に関与できないなど、地方独立行政法人の経営責任は極めて重要であると考えます。

 病院機構設立当初の県が病院機構に示す中期目標については、平成二十六年二月議会に議案提案されておりますが、病院機構が中期目標に基づき作成する中期計画は、病院機構発足日の平成二十六年四月一日に、議会の議決を得ないで専決処分されております。その中期目標の中で期待する成果として、県と法人が連携し中期目標の達成を図ると書いてありますが、一方で中期計画には、県と法人との連携について明確な記載はありません。

 このようなことで、果たして県のガバナンスが効いているのか疑問に思います。例えば奈良県立医科大学には、県から現職の部長級の理事が出向されていますし多くの幹部が県から出向され、一定の県のガバナンスが効いていると思われますが、奈良県立病院機構には理事としての出向者がおりません。私は、このことにも重大な問題があるのではないかと思います。

 私は、平成二十四年九月議会の代表質問において、県立病院の地方独立行政法人化の検討に向けたガバナンス、運営費交付金、新病院建設費の起債償還の基本的な考え方について伺いました。そのとき知事は、法人化の検討の中で十分議論を深めていきたいと答弁されました。

 そこで知事に改めて、今回お伺いします。

 病院機構の経営改善が喫緊の課題でありますが、これらの現状を踏まえて、病院機構に関するガバナンス、抜本的な経営改善の方策についての具体的な考え方を改めて伺いたいと思います。

 次に、公立大学法人奈良県立大学についてお伺いいたします。

 公立大学は、地方公共団体が設置・管理するという性格から、地域における高等教育機会の提供と地域社会での知的文化的拠点として中心的役割を担っており、今後ともそれぞれの地域における社会・経済・文化への貢献が期待されています。

 近年は公立大学を取り巻く高等教育再編の動きも活発化しており、平成十六年度の公立大学法人制度の導入後、平成二十八年四月一日現在、公立大学八十八大学のうち七十二大学が法人化し、自主・自律的な環境のもと教育研究を積極的に展開しています。少子化やグローバル化の進展など社会経済システムが変革期を迎える中、県は平成二十七年四月一日に奈良県立大学を公立大学法人に移行させ、大学の改革を進めておられます。そして今議会において、法人化の初年度に当たる平成二十七年度の奈良県立大学の業務報告や奈良県公立大学法人奈良県立大学評価委員会による大学の業務実績に関する評価結果のご報告があったところであります。

 奈良県立大学の改革を推進するためのさまざまな具体的取り組みを実行する主体は大学であり、また公立大学法人化に伴い制度上、大学は県から独立した組織と位置づけられているところです。しかし大学の改革の推進については大学任せにするのではなく、設立団体である県も支援する必要があると考えます。

 そこで、知事にお伺いいたします。

 設立団体である県として、奈良県立大学の予算・決算の現状をどのように認識しておられるのでしょうか。また県立大学におけるガバナンスに対する県の関与について、どのように考えておられるのかお尋ねします。

 次に、本県の技術職員の人材確保についてお伺いいたします。

 総務省が公表している平成二十七年四月一日時点の全国の都道府県における総職員数のうち、教育・警察・消防・公営企業を除いた一般行政部門の職員数は、対前年比四百八十六人減少し二十三万八百六十四人となり、平成六年をピークに、平成七年以降二十一年連続の減少となっています。同様に本県の状況は、同じく一般行政部門で平成二十七年四月一日現在、三千六十九人となっており、平成六年の三千九百二十人から八百五十一人の減少となっています。

 このように本県においても、行政の合理化や効率化を目指して外部の委託の推進や執行体制の見直し等を積極的に推進され、執行体制のスリム化が図られてきました。

 他方では限られた人員の中で、行政サービスの質の低下を招くことなく多様化、複雑化する県民ニーズに応えるため、必要な人材を確保していかなければなりません。とりわけ専門性の高い技術職員の確保が課題であると認識しています。例えば土木・建築系の技術職員については、災害やインフラ老朽化等による公共事業の増加や東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備の増加などから、大都市圏での土木・建築系の技術者のニーズが高まっている一方で、学生数は増加しているものの土木・建築・工学系の学生数が減少していることから確保が難しい状況にあります。

 これらの理由だけではなく、現在の土木・建築系の技術職員の業務内容は昔に比べて大規模な公共工事も減り、建設現場でのトラブル、地元の住民との折衝、業者との現場でのやり取りなど、これらの業務がふえ、日常的チェック作業がふえているという面もあり、ゼネコンのように実際にものをつくり上げるといった達成感と比較すると、県を目指す動機づけとしては、必ずしも高くないように思われます。

 また別の例で、獣医師について申しますとと畜検査、狂犬病予防、動物愛護等、法令に基づいて必ず配置しなければならない職種でありますが、地方ほど獣医師不足が深刻化しているため人手の足りていない地域では、募集を複数回行なったり年齢要件を緩和したりと、採用数の確保に苦慮しています。

 私は、ある県職員の獣医師のお話を聞いたことがあります。その方は、出身は鳥取県、大学は東京なのですが、当時の奈良県に、本県に数年勤めることで返済免除になる奨学金の制度があったことや、もともと奈良が好きだということもあり、それが魅力で奈良県に就職されたとのことでした。私は、このような取り組みも必要ではないかと感じておりますが、そこで総務部長にお伺いいたします。

 本県の職員採用において、技術職員の人材確保のためにどのような取り組みを行なっておられるのでしょうか。お尋ねします。

 次に、管理職の資質向上について、お伺いいたします。

 県庁をはじめとする役所や公務員に対する批判の一つとして、前例主義だとよく耳にします。前例を金科玉条のごとく捉え、柔軟性のある対応がなかなかできないといったことです。窓口対応を行なっておられる職員の皆様方は行政マンとして、一定の裁量の中で県民や事業者に対して指導や指示をされているわけですが、事案ごとに事情が異なるものについて、前例がないからということで受け付けてもらえないといった例を聞いたことがあります。

 県民の側からすれば客観的な資料がそろえてあるのだから、それでちゃんと判断をしてほしいと思うわけですが、管理職と相談した結果、前例がないからと断られてしまう。これら行政マンの一言は、県民にとっては最後通告になるのですから、前例にないからと言うことだけではなく、なぜだめなのかという理由を県民に納得できるように詳しく伝える、説明責任を果たすということが必要ではないでしょうか。また、管理職は先頭に立って窓口の職員の手本となるとともに、きちんと対応することができるよう指導する必要があると考えています。

 私が思うに、意思決定をつかさどる管理職の在任期間が非常に短いことが、原因の一つではないかと考えています。県庁の管理職の在任期間は通常二年から三年というのが一般的であり、これだけの短期間で業務をこなすことになるため、そのポストでの専門的な知識が蓄積されないことになります。このため、判断材料を十分に持ち合わせないまま業務に当たることとなるために、前例に沿って判断をするという傾向につながっているのではないかと考えています。公務員が比較的短期で人事異動をしていくことについては、不正の温床になる、関係者との癒着が生まれる、などを防ぐことを意図とされていると認識しており、そのものを否定する考えではありませんが、それがゆえに管理職の判断の機敏さや柔軟性といった大切なものが失われているようにも思われます。

 そこで、総務部長にお伺いいたします。

 市町村とは違って直接県民に触れる機会が少ない県においては、行政窓口での対応をはじめとして県民の立場に立った温かい行政が必要であり、そのためには管理職の資質が非常に重要となると考えますが、管理職の資質を向上させるためどのような取り組みを行なっておられるのでしょうか。

 最後に、若者の起業支援についてお伺いいたします。

 新たな産業と雇用を創出することは、県内経済の発展の大きな原動力となります。特に地域の将来を担う若者の起業を支援することは、地方創生を実現するためにも極めて重要と考えます。しかしながら平成二十五年度の中小企業白書によると、起業時における課題として、起業・事業運営に伴う各種手続きが五五・九%と最も高く、次いで資金調達、経営に関する知識・ノウハウの修得が挙げられており、このことは、本県もまた同様の状況と思われます。

 いざ若者が起業を決意し行動しようとした場合、例えば税務署や県税事務所、社会保険事務所やハローワーク、労働基準監督署など、起業時に必要な手続、各種許認可や届出など、各種手続は多岐にわたっています。また事業計画の立案には、経営全般に関する幅広い知識やノウハウが必要です。事業計画が具体的となったとしても、補助金や融資制度など活用可能な支援制度の情報、不動産面では候補地の選定、銀行や日本政策金融公庫等からの資金調達など、多岐にわたる手続等がさらに必要となります。私は、これらに一元的に対応できる窓口を設置するなどの支援が必要ではないかと考えております。

 そこで、産業・雇用振興部長にお伺いいたします。

 県においても、起業促進に取り組まれているところではあると思いますが、若者の起業を支援するため、どのような取り組みを行なっておられるのでしょうか。

 以上、壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)



○議長(川口正志) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) (登壇)十番井岡議員のご質問がございました。

 最初のご質問は、地方独立行政法人奈良県立病院機構の経営状況についてでございます。

 当機構として法人化されてこの二年間、大幅な赤字を計上いたしまして大変遺憾なことだと感じております。これは法人化の結果ではなく、これまでの経営体質が反映された面が大いにあるようにも感じております。この際、抜本的な改革が必要だと思いますが、ピンチをチャンスに変えることに念頭に進めたいと思います。

 また議員は、県と法人との関係についても考えていく必要があるのではないかということもご指摘になりました。県とこの病院機構の法人との関係でございますが、この病院機構は平成二十六年度に地方独立行政法人として設立いたしました。知事が病院機構の理事長及び監事を任命するとともに、業務運営に関する中期目標を指示いたしまして、病院機構においては、その達成のための中期計画を作成し、それに沿って理事会が重要事項を決定し業務を遂行する体制になっております。これは、県立医科大学と同じ仕組みでございます。

 なお各事業年度の業務実績は、県の附属機関でございます奈良県立病院地方独立行政法人評価委員会が評価を行ないますが、必要に応じ業務運営の改善を勧告することも可能となっておりますし、評価結果は知事への報告と公表、知事から県議会への報告が義務づけられているものでございます。これが、仕組みの面でございます。

 病院機構の経営悪化の原因についてでございますが、収益に比して給与費や材料費等の費用がかさんでいることが大きな要因と分析しています。病院はにぎわっておりますが、経営成績が伴わない状況でございます。このため今後、新病院建設のための医療人材の確保にも留意する必要がございますが、業務の効率化を進め持続可能な経営体制を整えることが極めて重要な時期になってきていると思います。

 今後の経営改善の手法でございます。やり方でございますが、平成二十七年三月に総務省から新公立病院改革ガイドラインが示されました。そのガイドラインにまず基づきますとともに、地域医療構想を踏まえまして、県立病院機構の各病院、三つの病院がございます。総合医療センター、西和医療センター、総合リハビリテーションセンターが、それぞれ当該地域で果たすべき役割の明確化を図る必要がまずありますし、その医療提供の内容を適切化することも必要かと思います。

 同時に各病院間の連携・ネットワーク化を進め、医療の質を確保しつつ、無駄のない医療提供体制を構築して、個別の病院のガバナンス構築にとどまらず病院機構の組織全体の経営が改善される取り組みにしたいと思っております。経営改善を実行に移すため、本年八月には経営改善検討チームとして、評価委員会に病院経営に精通されております六名の有識者を新たに臨時委員に任命いたしました。新公立病院改革ガイドラインに沿った有効な改善策を提言していただくことを期待しております。それを受けまして、今年度中に具体的な経営改善策を策定したいと考えております。病院機構の経営改善は喫緊の課題でございます。病院機構みずからが責任を持って取り組むのは当然のことでございますが、設立者としての県も積極的に関与していきたいと考えております。

 公立大学法人奈良県立大学についても、ご質問がございました。経営の状況、ガバナンスの状況についてのご質問でございます。

 本県では、迅速かつ柔軟な意思決定により大学を運営し、地域の未来づくりに貢献する人材の育成を図るという観点から、平成二十七年四月一日に奈良県立大学を公立大学法人に移行させ、改革を推進する体制を整えたところでございます。公立大学法人奈良県立大学におきましては、県が示しました中期目標に対しまして、これを達成するための中期計画と各年度の計画を定めて業務を推進されております。本県では中期計画の認可や年度計画の届出等の過程において、法人の予算や毎年度の具体的な取り組みを確認してきております。

 また決算に関しましては、法人が事業年度ごとに事業の実施状況や財務諸表を作成し設立団体の長であります知事に提出・承認を受けることとなっておりまして、その過程で業務の状況を確認することとしております。法人化して二年目ではございますが、現状では、優秀な成績を修めた学生に対する給付型奨学金制度を構築するなど、中期目標に沿った大学運営を着実に進めていただいているものと認識をしております。

 また外部の委員で構成されております評価委員会におきましても、平成二十七年度の業務実績について、中期目標・中期計画の達成に向けておおむね順調に進んでいるとの評定をいただいたところでございます。

 法人のガバナンスにつきましては県が定め指示した中期目標を踏まえまして、理事長と学長がリーダーシップを発揮し効率的な法人運営や改革が推進されるよう、県も積極的に助言するなど支援をしているところでございます。また運営交付金や中期目標補助金などの財政的な支援を通して、業務の円滑化を図っているところでございます。

 県立大学におきましては、地域から学び、地域に貢献するための改革を実行されようとしておりますが、その改革が着実に進むよう、県として引き続き支援をしていきたいと考えております。

 私に対する質問は以上でございます。残余は、関係者がご答弁申し上げます。ありがとうございました。



○議長(川口正志) 一松総務部長。



◎総務部長(一松旬) (登壇)十番井岡議員のご質問にお答えいたします。私には、二つの質問がございました。

 まず本県の職員採用において、技術職員の人材確保のためにどのような取り組みを行なっているかとのお尋ねでございます。お答え申し上げます。

 本県では職員採用全般に対しまして、大学などの実施する就職説明会への参加をはじめ、学生等を対象にいたしまして県庁見学会、幹部職員ら講演・対談を行うフロントランナー講演会、個別の職場訪問等に対応する県庁ナビを行うなど、年間を通して切れ目なく採用試験への応募者確保に向けた取り組みを実施しております。

 技術職員に関しましても、受験者の増加に向けまして大学のゼミナール等に積極的な求人活動を行うほか、大学三年生などを対象といたしまして、土木・建築業務セミナーの開催や県施工の工事現場を視察するツアーを実施するなど、土木技術職員としてのやりがいを実感してもらうことにより受験意欲を高める取り組みを行っているところでございます。

 採用試験の実施におきましても、土木・建築の分野で民間企業等を経験した優秀な人材を確保するため、昨年度から採用時年齢三十歳から三十五歳までを対象とした社会人経験者採用試験に土木・建築分野を追加し、即戦力が期待できる人材の確保に努めているところでございます。

 議員から言及のありました獣医師につきましても、近年、必要数を充足できるだけの採用が確保できていなかったことから、他県の例を参考に昨年度、受験年齢や試験科目などの試験方法を見直した上で追加募集を実施いたしました。今年度からは獣医師の初任給、調整手当を創設する処遇の見直しも行い、さらなる人材の確保に向け取り組んでいるところでございます。

 今年度実施いたしました職員採用試験におきましては、土木・建築職や獣医師等の技術職員につきまして採用予定人数を確保することができる見込みであることから、これらの取り組みが一定の成果につながったものと考えております。今後とも、さまざまな工夫を重ねまして必要な人材の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 次のお尋ねでございます。次は、管理職の資質向上について、市町村とは違って直接県民に触れる機会が少ない県においては、行政窓口での対応をはじめとして県民の立場に立つ温かい行政が必要であり、そのためには管理職の資質が非常に重要になると考えるが、管理職の資質を向上させるためにどのような取り組みを行っているかとのお尋ねでございます。お答え申し上げます。

 管理職にある職員には、議員お述べのとおり、前例に過度にとらわれることなく機敏に状況に応じた判断をすることや柔軟な対応力が求められます。このため、管理職に対する人事評価にあたりましては新しいことに前向きに取り組んだかという積極性といった項目とあわせまして、県民の視点に立った適切な判断を行えているかを評価の対象としているところでございます。

 さらに管理職として的確に情報を収集・分析を行い、大局的かつ柔軟に意思決定を行うスキルの向上を図るため、事例を用いて判断を行う演習を実施したり、民間企業の管理職経験者から実体験を踏まえてリーダーの心構えを、あるいは心得を伺う講義を実施したりするなど、さまざまなカリキュラムを取り入れた研修を実施しているところでございます。

 今後、人口減少社会において資源が限られる中で県が果たすべき役割は重要になっており、奈良モデルの取り組みに見られますように、これまで市町村が担ってきた役割であっても県が担う場面もふえてくるものと思われます。

 こうしたことも踏まえまして、一層県民目線に立って、柔軟かつ的確な判断を行える資質を備えた管理職を育成できるよう、今後とも取り組んでまいりたいと思っております。

 ご質問ありがとうございました。



○議長(川口正志) 森田産業・雇用振興部長。



◎産業・雇用振興部長(森田康文) (登壇)十番井岡議員のご質問にお答えいたします。

 私への質問は、若者の起業支援、起こす業でございますが、起業支援につきまして県でも起業支援に取り組んでいるが、若者の起業支援をするためどのような取り組みを行っているのかということでございます。お答えいたします。

 平成二十六年経済センサスにおきまして、本県の事業所数が二年間で四百二十九社増加しております。全国で八番目の増加率となっております。このように、奈良で働く仕事の場をさらに創出していくためには、県内での起業が重要な役割を果たすと考えています。

 このためには起業について、手続も含めましてワンストップで相談でき、ビジネスプランの立て方を学びそれをブラッシュアップできるような支援体制を構築し、ビジネスプランの発表や評価を受ける機会の創出、あるいは融資制度など、実際の起業につなげる仕組みづくりが必要と思います。さらに起業者が、意欲ある起業者仲間から刺激を受け、切磋琢磨できる環境をつくり出すことも大切と考えております。

 そこで、県では奈良県地域産業振興センターの中に設置しております中小企業向けのよろず支援拠点や商工団体、金融機関などで構成します創業支援ネットワークを平成二十六年度に構築いたしまして、起業希望者に対してきめ細かな支援を行っております。平成二十七年度の支援実績は、一千三百四十八件となっております。

 具体的な取り組みとしまして、県ではビジネスプランづくりの勉強会であります創業サロンや女性のための起業セミナーを実施しておりまして、そのほか、商工会議所等でも創業スクールが開催されているところでございます。

 さらに若者を中心としまして、起業家の発掘と起業気運の醸成を図るためのビジネスプランコンテストを実施しております。五回目となります本年二月のコンテストの入賞者が、二つの事業、外国人向けの日本文化体験サービス、あるいは小学生向けのプログラミング教室ということで開業されたところでございます。金融面の支援としまして、県の制度融資に利子及び保証料を県が全額負担します女性・若者創業支援資金を本年度新設したところでございます。

 今後も、多くの若者がチャレンジ力、プレゼンテーション力、経営力を身に付け、社会から必要とされる事業を起業できますように応援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。ご質問ありがとうございました。



○議長(川口正志) 十番井岡正徳議員。



◆十番(井岡正徳) ご答弁ありがとうございました。

 今回、大変ちょっと厳しい質問をさせていただきましたけれども、これは三月の予算審査特別委員会におきましても、四十億円から八十億円の借入金の引き上げの議決のときにおきましても、この経営改善策、どうなっているのかということで言いましたけれど、具体的な説明がない。そして六月議会においても、厚生委員会においてもなかった。そしてまた計画においても、平成二十六年時点で専決処分され、そして今回の議案の問題の件の、西和医療センターの件も先行議決されたということで、大変、議会のチェック機能、監視機能が効かない独立行政法人の悪い面が見えてきたかなと思って質問をさせていただきました。

 医療、特に、知事は常々おっしゃっていますように、やっぱり経営が一番、ちょっと狂うと、ちょっとでも経営を間違うとすぐに赤字に転換になる。これは、どこの市町村の経営する病院にあっても、公立病院でも言われております。例えば、私の地元の国保中央病院では二年前まで赤字でございました。それを抜本的に改革するということで、看護師を七対一から十対一の看護に変えたり、それから随意契約をやめて、経営改善をされたということで去年は黒字に転換されています。それでもやっぱり三十名の医師が今、二十三名に減らされたということで、県から、医科大学から、頼っておりますけれども、大変今年も苦しいと言っておりますけれども、例えばこの病院機構においては、県からも医師も派遣され、地域的にもへき地もなくて大変恵まれた場所でもあるのに、なぜこれだけ大きな赤字を出されているのかというのは疑問に思っておりましたし、今後もその辺を十分に考えていただきたいなと思っておる次第でございます。

 評価委員会、先月、八月に意見を出されておりますけれども、その評価委員会からの意見の中でも、新病院が三十年春オープンであるけれども、新病院への移転は大変な作業、今から、その準備が必要であることとか、財務面では、短期借入金を増額して回している状況、まずは短期借入金の抑制が重要である。新病院ができて病床が増加する機会に、三病院の病院機能の役割の分担の見直しや整理が必要というふうに意見を言われております。具体的には、やはり診療科の再編など抜本的な改革が私は必要だと思っておりますし、今後とも見守っていきたいと思っている次第でございます。知事が先頭に立って、独立行政法人ではありますけれども、大変県も関与しにくいところがございましょうが、経営改善に向かって頑張っていただきたいなと思う次第でございます。

 公立大学法人、県立大学のことですけれども、私は当初、法人化されるときに、単科大学からユニバーシティー、まとめて教育大とか一緒になって合併でもされて大きくされるのかなと思っておりましたけれども、今後、小さい大学でございますので病院機構の二の舞にならないように頑張っていただきたいなと思っています。

 以下のほか、残余の議案はまた予算審査特別委員会で質問をさせていただきます。ありがとうございました。



○議長(川口正志) 答弁、要らないのですね。



◆十番(井岡正徳) はい、要らないです。



○議長(川口正志) しばらく休憩いたします。



△午後三時五十五分休憩

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△午後四時十四分再開



○副議長(小泉米造) 休憩前に引き続き会議を開きます。

 次に、十七番小林照代議員に発言を許します。−−十七番小林照代議員。(拍手)



◆十七番(小林照代) (登壇)日本共産党の小林照代です。一般質問を行います。

 初めに、地域包括ケアシステムの構築についてお尋ねします。

 二〇一四年六月成立した医療保険制度改革関連法により、医療・介護の提供体制を再編する計画が進められています。第一の柱が二〇二五年度を目標に地域医療構想に基づき、病院の病床数を再編、機能分化と連携を推進していくことであり、第二の柱が地域包括ケアシステムの構築で、病院から退院した人、施設に入れない人に在宅生活をしてもらおうとするものです。

 医療介護総合確保推進法では、地域包括ケアシステムについて、地域の実情に応じて高齢者が可能な限り住みなれた地域でその有する能力に応じて自立した生活を営むことができるよう、医療・介護・介護予防・住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制をいうと規定しています。厚生労働省は、全国一千七百四十二市区町村において、三十分以内、日常生活圏域で、医療・介護・保健・福祉・住まいが提供されるネットワークという構想を示しています。しかし地方では、マンパワーの確保も含め効率的ネットワークが成り立つような状況ではなく、大都市部と地方の医療・介護の提供体制を無視したものと言わざるを得ず、これでは市町村間に大きな差が生まれることになります。

 貧弱な医療・介護の基盤はそのまま、介護保険制度の改定で、要支援サービスを受けられた人が市町村の行う介護予防・日常生活支援総合事業に切りかえざるを得ない状態では矛盾は拡大し、在宅で暮らす条件を確保することがより困難になり、住みなれた家で、住みなれた地域で住み続けることはできません。

 また、在宅サービスの土台は住まいです。厚生労働省・国土交通省は、現在、要ケア高齢者の住まいの受け皿の整備として、サービス付き高齢者向け住宅を位置づけ、補助金や優遇税制などによって積極的に進めていますが、サービス付き高齢者向け住宅は、単身月額十五万円程度必要となり、多くの年金生活者、低所得者は利用できません。足や腰が痛くて、階段の上り下りは怖いです。転居を考え家を探していますが、払える家賃の家が見つかりません。介護を受けていますがUR住宅に一人暮らしです。ここでずっと暮らしたいと思っています。訪問入浴をお願いしましたが、そこまでは行けませんと断られました。身近なところからこのような悲痛な声が次々寄せられています。

 奈良県では、地域包括ケアシステムの構築に向けて、県立病院の跡地を利用したまちづくりなど、五つのモデルプロジェクトを中心に進めていますが、奈良県全ての地域で地域包括ケアをどう進めていくかがまず必要ではないでしょうか。

 県内の市町村の状況を見ると、奈良市など北部と東部・南部の山間地域では、医療機関や介護事業所などのサービス基盤に大きな違いがあります。全ての市町村で、日常生活圏域を単位として地域包括ケアシステムを構築するには、それぞれの地域の高齢者の実態や必要とされるサービス量や質、社会資源を把握し、計画的にサービス基盤の整備を進め連携体制をつくっていくことが必要です。

 そこで知事にお尋ねします。

 県では、地域包括ケアシステムの構築に向けて、市町村の在宅医療や介護サービスの基盤整備をどのように支援していくのでしょうか。

 次に、地域包括ケアシステムを構築するためには、医療と介護のサービス基盤の整備に加えて在宅サービスのベースとなる住まいの確保が大変重要です。年金生活の高齢者、低所得者は高い家賃は払えません。要介護の高齢者・障害者など住宅の確保に特に配慮を要する方が、地域で住み続けることができるよう住まいの確保にどのように取り組んでいかれるのでしょうか。

 次に、国民健康保険制度についてです。

 二〇一五年五月、異例の早さで可決、成立した医療保険制度改革関連法により、国民皆保険制度の柱ともいえる国民健康保険の都道府県単位化が進められ、二〇一八年度から新制度に移行されます。本年四月に厚生労働省より、都道府県国民健康保険運営方針策定要領、国民健康保険における納付金及び標準保険料率の算定方法について、ガイドラインが示されました。こうして奈良県でも各市町村と協議をして、二〇一八年度実施に向け取り組みが進められています。

 一方、現行の国民健康保険は高すぎて払えない保険料により滞納が生じ、短期被保険者証のとめ置きや被保険者資格証明書の交付となってしまい、医療の必要な人が医療機関に行けないという状況が各地で起こっています。加えて、保険料の滞納世帯は減少しているのに、差し押さえ件数が激増しています。二〇〇九年度から二〇一五年度までの、厚生労働省が公表している全国の国民健康保険滞納世帯数、差し押さえ件数、差し押さえ金額の推移を見ますと、この六年間で、滞納世帯は四百四十二万世帯から三百三十六万世帯へと減少していますが、差し押さえの件数が十八万二千件から二十七万七千件へと九万五千件もふえ、差し押さえ率は四・一%から八・二%と倍増しています。

 二〇一三年十一月、広島高等裁判所は、鳥取県が、滞納している自動車税、個人事業税を回収するために前日七十三円しかなかった滞納者の預金口座に児童手当が振り込まれた直後に差し押さえたことから、児童手当の差し押さえ禁止を定めた児童手当法第十五条に反するとして、児童手当相当額十三万円の返還を認めました。鳥取児童手当差し押さえ事件です。その後も、全国で差し押さえがふえ、禁止財産の一方的差し押さえや生活保護受給者からも滞納税を取り立てるなど法令違反の事例が発生しており、奈良県内の市町村でも違法とはいえないまでも、手順を踏んだ丁寧な相談と対応が求められる厳しい取り立ての事例が数々あります。

 これらの問題のもととなっている高い保険料となった根本原因は、国民健康保険財政に対する国庫負担率の低下にあります。国民健康保険法は第一条で、この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とすると規定して、さらに第四条では、国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならないとしています。国民健康保険は、国民同士の助け合い制度ではなくて国が財政責任を負う制度です。

 二〇一四年の七月、自由民主党、社会保障制度に関する特命委員会・医療に関するプロジェクトチームが開かれ、都道府県単位化に関しての地方関係団体のヒアリングがあり、そこで全国知事会から、協会健保並みの保険料負担率まで引き下げるには約一兆円必要と国民健康保険の財政基盤の必要性が訴えられました。結局二〇一五年二月、国と地方の協議で、三千四百億円、法定外繰り入れ相当分の財政投入を国が約束をして議論が取りまとめられました。三千四百億円の半分の一千七百億円は、保険料の軽減対象となる低所得者数に応じて、二〇一五年度から市町村に配分されています。

 そこで、健康福祉部長にお尋ねします。

 国が昨年度から拡充した全国で一千七百億円の国民健康保険財政支援策について、県内市町村に対する昨年度の支給総額は幾らになったのでしょうか。また市町村に対して、保険料の負担を抑制するために拡充された財源を活用するよう指導すべきと考えますがいかがでしょうか。

 次に、県内市町村国民健康保険の滞納世帯数、差し押さえ件数、差し押さえ率及び差し押さえ金額はどれぐらいでしょうか。また、市町村が行う差し押さえに関して県はどのように指導されていますか。

 次に、放課後児童クラブ、学童保育についてお尋ねします。

 保育園落ちたのは私だというSNSの書き込みから始まった保育所待機児童問題は、瞬く間に全国に広がりましたが、連動して放課後児童クラブも利用者急増で施設が追いつかない状況になっています。

 放課後児童クラブは、一九六〇年代、各地域で学童保育として保護者らが自主的に運営する形で広まり、保護者と指導員が一九六七年に結成した全国学童保育連絡協議会が国や自治体の施策の充実を求め、制度化の運動を推進し、一九七六年に厚生省の要綱による市町村事業として進められることになりました。一九九七年に児童福祉法において、放課後児童健全育成事業として法制化されました。また二〇一五年から施行された子ども・子育て支援新制度において、事業を総合的かつ計画的に実施する市町村の責務が明確になり、放課後児童クラブの設備や運営の基準についても、国の省令に基づいて市町村が条例で定めることとなりました。

 全国学童保育連絡協議会が毎年、共働き・ひとり親家庭などの小学生の生活の場である学童保育、放課後児童クラブについて、実施箇所数や入所児童数などの調査を行っており、今年五月一日現在の実施状況が過日公表されました。それによりますと、学童保育を利用する児童数は百七万六千五百七十一人、実施箇所は二万七千六百三十八カ所、把握できた待機児童は一万五千八百三十九人で、いずれも過去最多となり増加傾向が続いており、原則三年生以下だった対象児童が昨年四月から六年生までに拡大され、四年生、五年生のふえ方が目立っていました。

 国は厚生労働省令、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準により、適切な育成支援が確保できるように、一カ所の児童数はおおむね四十人以下とされていますが、四十六人以上の大規模なクラブは七千八百十一カ所、特に大規模な七十一人以上での実施が一千三百七十六カ所もあります。大規模な学童保育では、指導員の目が全体に行き届かず子どもの様子を把握できない、騒々しくて落ち着けない、ささいなことでけんかをする、遊びや活動を制限せざるを得ない、事故やけががふえることなどが起こっており、子どもたちに深刻な影響を与えています。利用者がふえる中、待機児童がふえ、施設が追いつかず、すし詰め状態のクラブもあります。

 そこで、こども・女性局長にお聞きします。

 放課後児童クラブについて、全国的に待機児童や大規模クラブが問題となっていますが、県内の実施状況はどのようになっているのでしょうか。また、政府は二〇一四年度に策定した放課後子ども総合プランにおいて、二〇一九年度末までに放課後児童クラブ約三十万人分の新たな受け皿を整理することを目標にしていますが、県としてはどのように取り組みを進めていかれるのでしょうか。

 最後に、秋篠川の浸水対策についてお尋ねします。

 六月二十五日、奈良市の西部地域、富雄・中山地域等で集中豪雨が発生しました。土曜日の未明、午前三時ごろで、気象庁の警報は出ていませんし、雨量も四十ミリメートル前後との記録発表でした。ところが秋篠川が溢水し、周辺の住宅は床下浸水が三十三軒、道路陥没二カ所、農地は浸水、冠水して使用不能になった車もありました。秋篠川が溢水したところは、中山町の小出上橋付近です。この場所は、過去にも数回溢水が発生しています。先日、この問題が奈良市議会で取り上げられ、奈良市は県と連携・調整して、当面、目に見える臨時的対策を講じたいと答弁されています。

 そこで、県土マネジメント部長にお尋ねします。

 本年六月二十五日に奈良市の中山町で集中豪雨が発生し、秋篠川が溢水し周辺の住宅で浸水被害が発生しましたが、これに対してどのような対策が行われていますか、お伺いいたします。

 以上で、私の第一問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)



○副議長(小泉米造) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) (登壇)十七番小林議員のご質問がございました。

 私に対しましては、まず第一に地域包括ケアシステムの構築についてのご質問でございます。そのもとになります医療介護総合確保の法案のご説明がございましたが、その意義は議員のお述べのとおりだと思います。その上で、市町村のサービスの差を意識されてのご質問のように理解いたします。

 その中で、地域包括ケアシステムが本県では五つのモデルの地区を想定して進めようとしておりますが、県域全体にどのように展開できるかは、まだこれからの課題でございます。理想的な形は、地域包括ケアシステムの理想的な実例は、まだ目に見えない状況でございます。

 お答えになりますが、議員お述べのように地域包括ケアシステムの構築は、市町村がみずからの地域の高齢者や医療・介護などの社会資源の実情を把握して、必要となる在宅医療と介護サービスの基盤整備に取り組むことが基本となっております。

 地域包括ケアシステムの構築に向けての県の役割についてでございますが、まず地域医療介護総合確保基金を活用いたしまして、地区医師会などが行います在宅医療専門医の養成や他職種連携の核になる人材の育成などに対する財政的支援を行いまして、在宅医療の推進に取り組もうとしております。また在宅医療と介護の連携には、訪問看護の充実が不可欠でございます。eラーニングを活用した訪問看護師養成講習会や新規就業者に対する研修を開催するなど、訪問看護師の確保に努めようとしております。加えまして山間へき地におきまして、訪問看護事業所の整備を行う事業者に対する補助を実施しているところでございます。

 そして医療とともに在宅生活を支えるため、介護や看護のサービスを二十四時間三百六十五日提供する地域密着型サービスの整備について、市町村に対する財政的支援を行っております。また市町村や介護事業者を対象としたセミナーを開催し、地域密着型サービスの積極的な誘致と新規参入の促進に取り組んでいるところでございます。

 このように県は地域包括ケアシステムの担い手に対しまして、それぞれの地域の実情に応じた支援の試みをしているのが実情でございますが、県内全域で地域包括ケアシステムが構築する、できるためには、市町村をはじめ多様な主体が連携して、地域の実情に応じた在宅医療、介護サービスの基盤整備の推進が必要でございます。県といたしましては、そのような方向に向けまして、県の役割を果たしていきたいと考えているところでございます。

 二つ目の質問でございますが、地域包括ケアシステムの中で住まいの確保が重要だが、住まいの確保をどのように進めるのかという点でございます。ご指摘のように、地域包括ケアシステムのベースになるのが住まいの確保だと思います。高齢者・障害者だけでなく、地域の人が住みなれた地域で安心して暮らせるには、まず住まう場所の確保は基本になると思います。

 県の計画におきましては、平成二十六年九月に高齢者居住安定確保計画を策定しております。低家賃で入居可能な県営住宅の提供やサービス付き高齢者向け住宅の供給促進などの取り組みを進めてまいりました。ことし三月には、住宅の確保に配慮を要する方の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進等を目的として、県と市町村の住宅部局及び福祉部局、不動産関連団体から成ります奈良県居住支援協議会を設立いたしました。

 県といたしましては、この協議会の取り組みを推進いたしまして、県営住宅に加えまして民間賃貸住宅におきましても、高齢者や障害者などが住まいを確保しやすい環境整備に取り組んでいるところでございます。

 残余の質問は関係部局長がご答弁させていただきます。



○副議長(小泉米造) 土井健康福祉部長。



◎健康福祉部長(土井敏多) (登壇)十七番小林議員のご質問にお答えを申し上げます。

 私には、国民健康保険制度について昨年度から拡充された財源を保険料の抑制に活用すべきと考えるがどうか、また差し押さえ等の現状と市町村が行う差し押さえについて、どのように指導をしているのかとのお尋ねでございます。

 議員お述べのように、国民健康保険の財政基盤の強化を図るため、平成二十七年度から保険者支援事業について、全国ベースで約一千七百億円が追加投入され、平成二十七年度は総額約二千六百四十億円となっております。お尋ねの本県における平成二十七年度の保険者支援事業の額は、前年度に比べ約十七億二千万円増加し、総額で約二十八億六千万円となっております。

 また医療費総額がふえる中、平成二十七年度の単年度収支赤字の市町村数は、前年度に比べて四市町村減少し、赤字額も県全体で約四億円減少しております。このことから、このたび拡充された公費につきましては、市町村国民健康保険財政の改善や保険料の抑制に活用されているものと考えております。

 県といたしましては、低所得者の多い保険者の財政基盤を強化するため、公費拡充された趣旨を十分踏まえまして、国民健康保険財政の運営が健全に行われるよう、引き続き市町村に対して、助言・指導を行ってまいります。

 次に、お尋ねの県内の市町村国民健康保険の滞納状況等につきましては、平成二十六年度では県全体の滞納世帯数は約二万七千世帯、そのうち差し押さえ数は六・二%に当たる約一千七百世帯、差し押さえ金額は約四億二千万円でございます。いずれも前年度より減少をいたしております。また保険料の収納対策は、国民健康保険の安定的な運営や被保険者の公平性の観点から大変大事な取り組みでございます。そこで市町村におきましては、保険料の未納者への対応が画一的、機械的にならないよう、個別の納付相談等を行うとともに、支払い能力があるのに納付しない方には適正な手順で滞納処分を行うことが求められております。

 このため県といたしましては、法令に従い個々の滞納者の実情に応じた丁寧な対応が取られるよう、毎年度、市町村職員を対象に収納対策の研修を実施しているところでございます。引き続き、法令に従い適正な手順で滞納処分が行われるようさまざまな機会を捉えて、指導・支援に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。



○副議長(小泉米造) 福西こども・女性局長。



◎こども・女性局長(福西清美) (登壇)十七番小林議員のご質問にお答えいたします。

 私には、放課後児童クラブについて全国的に待機児童や大規模クラブなどが問題になっているが、県内の実施状況はどのようになっているのか。また政府は二〇一九年度末までに、約三十万人の新たな受け皿を整備することを目標にしているが、県としてどのように取り組みを進めていくのかとのお尋ねでございます。

 放課後児童クラブは、子どもの安全安心な居場所の確保や仕事と子育ての両立支援として、重要な施策と考えております。県内の放課後児童クラブ数は、平成二十八年五月現在、三十五市町村で二百八十四カ所運営され、一万三千四百六十八人の児童が利用されています。待機児童数は六市で七十六人、また利用児童数が四十六人以上のクラブは百十四カ所、そのうち七十一人以上のクラブが三十四カ所となっています。

 待機児童につきましては、奈良こどもすくすく・子育ていきいきプランにおきまして、二〇一九年度末までに解消する目標を立てており、今年度は十一カ所の新設や増設により三百六十二名の定員が増加する予定となっております。また、このような受け皿の確保を行うとともに、放課後児童支援員研修を実施し放課後児童クラブの質の向上にも努めているところでございます。

 今後とも、子どもの健全育成とともに希望する全ての人が安心して子どもを預けて働くことができる環境を整えるため、引き続き放課後児童クラブの計画的な整備と適切な運営ができるよう、実施主体である市町村への働きかけと支援を行ってまいります。

 以上でございます。



○副議長(小泉米造) 加藤県土マネジメント部長。



◎県土マネジメント部長(加藤恒太郎) (登壇)十七番小林議員のご質問にお答えいたします。

 私には、六月二十五日の集中豪雨を踏まえまして、奈良市中山町における秋篠川の浸水対策についてお尋ねがございました。

 議員ご指摘のとおり、ことしの六月二十五日には秋篠雨量観測所におきまして、午前一時五十分からの三十分間に四十二ミリメートルという集中豪雨が観測されました。奈良市中山町では秋篠川の水位が上昇し、溢水や内水排水の不良によりまして三十三戸の床下浸水が発生をいたしました。秋篠川上流部につきましては、県道奈良精華線の中山橋の手前まで河川改修を終えておりますけれど、その上流部であります中山町の区間約一キロメートルにつきましては河川改修が進んでおらず、必要な流下能力を確保できていないため、こうした浸水被害が発生したものと考えております。

 応急対策につきましては、どのような対策が可能なのか奈良市とも協議をしてまいりたいというふうに考えておりますが、こうした浸水被害を抜本的に解消していくためには、流域でのためる対策にあわせまして、河道の掘削等により秋篠川の流下能力向上を図る必要がございます。

 今年度は、中山橋直下の河道掘削工事を行いますとともに、中山橋から上流に向けた工事に伴って改修が必要となります第一井堰の管理者との調整、さらにその上流部での用地買収を進めてまいります。これらの調整、用地買収を精力的に進めまして、工事実施に向けた環境が早期に整うよう努めてまいりますので、お力添えのほうをよろしくお願いをいたします。

 以上でございます。



○副議長(小泉米造) 十七番小林照代議員。



◆十七番(小林照代) 再質問と、そして意見と要望をさせていただきます。

 地域包括ケアシステムの構築について、知事に再質問を二点いたします。

 今、訪問看護ステーションとか二十四時間サービスについての支援といいますか、それというようなお答えもありましたし、医師会の協力を得て在宅の医療の点で基盤をつくっていきたいということもお答えいただいたのですが、奈良県の地域医療構想の中で、病床再編によって在宅医療の要素が高まり二〇二五年在宅医療の必要量が現在の一・五倍に増加すると推計をされております。

 そうしますと数量的には何もご答弁なかったのですが、まだまだこれでは必要量が、もっともっと必要かと思います。それで、在宅医療、在宅介護の充実のために地域医療介護総合確保基金や地域包括ケア推進基金がもっともっと積極的に活用されたいと思っているのですが、この点はいかがでしょうか。それが一点目です。

 それから二点目は、市町村間、どこでも必要だということで、知事もご答弁、あったのですけれども、基盤整備が、冒頭でも言いましたように、奈良県の北部と東部・南部では、医療の機関とか介護事業所など社会資源にかなり開きがあります。

 二十四時間対応の定期巡回随時対応型訪問介護看護は、県下で現在十七あるのですけれども、そのうち奈良市は十二カ所で、大和郡山市が三カ所、生駒市一カ所、香芝市一カ所で、東南部には一カ所もありません。訪問看護ステーションは、県で百十七カ所ですが、奈良医療圏が三十九カ所、西和医療圏二十八カ所、中和医療圏二十七カ所に対して、南和医療圏では七カ所、東和医療圏十六カ所です。また、先日の厚生労働省の集計によりますと、在宅療養支援診療所は奈良県に十五町村、空白なのですね。これも南和地域が多いのです。

 奈良県のこの在宅医療、在宅介護の現状を、先ほどちょっと触れられましたけれども、もう一度、どのように認識されてこの格差をどうしてなくしていこうと考えられているか、それをお伺いしたいと思います。

 それから、国民健康保険につきましては意見と要望にしたいと思います。ただ一千七百億円のこの奈良県での市町村へ来ましたこの支援金ですね。軽減のために、おそらく活用されているのではないかという答弁でしたが、昨年度、一町だけですね、引き下げに実質使われたのは。非常に少ないです。だから、よく全体の把握をもっとしていただいて、値下げに活用されるように指導をお願いしたいと思います。

 それから、差し押さえについてご答弁いただいたのですが、この奈良県の市町村で私ども日本共産党市町村議員に寄せられました事例で、このような事例がありました。

 父親の死亡後、住民票を移さず建築現場を転々としてきた五十歳代の男性が、過去の滞納税は分納中だったのですが、督促状の送付に返答がなかったとして差し押さえ手続が進められ、生活費と分けて両親の永代供養として積み立てていた預金の全額を差し押さえられています。

 また別の方は、このような訴えがあります。督促状が届いて相談に行ったところ担当者が不在で、後日再相談に行った。そのときに悪質滞納者と言われた。きちっと相談に行って支払いを続けてきたのにと、とても怒りの声が寄せられております。

 生活の窮状を訴えても聞いてもらえない。単なる滞納の事実のみで悪質滞納者と決めてしまうなど、取り立ての厳しい自治体がよくあるのですが、本来、滞納者に必要なのは、一刻も早く生活再建を進めるために一緒に考えてくれる役所の職員ではないでしょうか。差し押さえ停止措置もあるわけですから、苛酷執行とならないように、差し押さえのルールが守られて、滞納処分の停止などの滞納者保護制度が正しく適用されなければならないと思いますので、今後の丁寧な指導、そういうことにぜひ力を入れていただきたいと思います。

 最後に、この問題で、国民健康保険の問題ですけれど、冒頭に言いました国民健康保険は国民同士の助け合いではなくて、国が財政責任を負う制度です。高すぎて払えない保険料を引き下げ、誰もが安心して利用できる国民健康保険制度とするため、県単位化に当たりまして、改めて国民健康保険財政の国庫負担率の引き上げを国に強く要請されるように要望しておきます。

 以上です。



○副議長(小泉米造) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) 小林議員からは、地域包括ケアシステムについての二つのご質問がございました。基金の活用と施設の偏在の対策ということでございますが、いずれも、この地域包括ケアシステムだけではなしに医療の関係するものについての本質的な部分に触れるご質問だというふうに感じます。

 まずこの地域包括ケアシステムのみならず、医療、介護、日本は保険制度が大変充実しております。国民皆保険と言われるものでございますが、二〇一八年、二年後には診療報酬と介護報酬が同時期にスタートをいたします。在宅医療、地域包括ケアにおいて、診療報酬と介護報酬はどのように適用されるのかというのは大変大きな課題でございます。

 その中で、この基金がどのように入っていくのか。基金は保険のかわりになりませんので、基金は個別的にこの地域に、いろんな施策を展開するための性格でございますので、基金が保険にかわるということはないものと思いますが、保険でございますが、実際は包括ケアにしろ医療にしろ、現物サービスがあるからその費用の負担をするよということでございます。基金ないし財政が直接サービスして解決する問題ではございませんので、どのように基金を活用して地域包括ケアという地域ごとに、議員もお述べにように、医療支援が異なるところでサービスを均てんした、均質なサービスが展開できるかという、もう世界でも例のない知恵が必要だというふうに感じるところでございます。

 ご質問にありました地域医療介護総合確保基金の積極的活用ということについて、多少、実情を申し上げさせてもらいたいと思いますが、この地域医療介護総合確保基金は、効率的かつ質の高い医療提供体制の構築と議員のご質問にありました地域包括ケアシステムの構築のための基金でございますが、現実には、病床の機能分化、在宅医療の推進、医療従事者の確保のために直接役に立つ基金になっておりますし、県もそのように使っております。また平成二十七年度、昨年度からは、介護施設の整備や介護従事者の確保にも基金を活用しております。

 また、国が設営いたしました基金だけでなしに県独自の地域包括ケア推進基金も設けておりますが、他の基金や補助制度の対象とならない取り組みに穴埋めしようという観点でしております。例えば、在宅医療介護連携拠点の整備や先ほどの退院調整ルールなどの取り組みに活用しております。システムの構築について、この基金が使えるなら、ぜひしてくださいということをしております。

 このように現実のシステム化、あるいはサービスの展開に対して刺激を与えて、その触媒になるような基金の使い方を、今しております。そのような意味では積極的な活用をしているということでございますが、やはり医療資源、介護資源がなかなか均てんしないという本質的な問題はございます。その点は、二番目のご質問でございますが、地域間格差をどのように解消するのかというご質問にもなるわけでございます。実情が違うというのは、ニーズも違うし供給の資源の内容も違う。偏在をしているのではないかと言われているように、医師が過疎地にはいない。これをどのように解消するのかは、国を挙げての大問題でございますし、奈良県でも大問題でございます。施設の偏在、ここにはこういう施設がないよというようにご指摘がありましたが、それは需要がないという面と提供、サービスする人がいない、と二つがあります。それをどのように解消できるのかということを、自身、大変本質的な質問だと思います。

 そのような地域間格差を解消するためのささやかなと言いますか、わずかな試みもしておりますが、ご紹介してよろしければさせていただきますが。ことし四月の天川村におきまして、地域医療介護総合確保基金を活用して訪問看護事業所の新設に対して支援を行いました。これ全部解決するわけではないですけれど、天川村でちょっとでも、サービスが回復するようにという試みでございます。また広域的な観点、または単独の市町村で取り組むことが難しいサービスにおきましては、例えば南和地域は、先ほどの地域包括ケアの五つのモデルの一つでございます。大変広い地域でございますので、南和地域全体で地域包括ケアシステムの展開をしようという試みでございますが、在宅医療を推進するための協議会を立ち上げていただきまして、南奈良総合医療センターが核になり地区医師会の参画を得ながら、在宅医や訪問看護の確保に向けた検討を開始していただいております。これは、南和地域は大変広いけれども、医療資源、介護資源が少ない。それを南奈良総合医療センターが中心となってやってやるよと、検討するよというところまできましたので、このような広い地域の奈良のいいモデルができますと、全国でこのような問題が解決した地域はまだどこもございませんので、大変、うまくいけば有意義になると思います。そのような際に、この地域医療介護総合確保基金が何かで役に立つなら喜んで出していきたいと思いますけれど、何せ、人がいない、山間地で不便だという中で、地域完結型のケアシステムを確保するという、また、在宅医療で離れたところに高齢者が一人で住んでおられるようなことにも見守りをする。救急の場合は医療機関にアクセスするというようなことが大事でございますので、大変チャレンジングな試みでございますが、南和地域の地域包括ケアシステムにも取り組もうとしているところでございます。

 一端のご紹介に過ぎませんが、そのような実情を報告させていただきました。



○副議長(小泉米造) 十七番小林照代議員。



◆十七番(小林照代) 非常に気になっておりますのが地域間格差です。打ち出されましたのが、三十分以内で駆けつけられるというスローガン、医療・介護が受けられるという、そういうことで出されておりますので、ぜひ、そこには、何ていうのですか、これからも心を寄せていただきたいと思います。

 それで残されました時間、許す限り私の思いを少し述べさせていただきます。

 私は不定期ですけれども、今、一人暮らしをされております七十歳代、八十歳代の方々、女性ばかりなのですけれど、十五人ほどの訪問を時々しております。お住まいはURの住宅であったり、公営住宅であったり、民間のマンションであったり、軽費老人ホーム、老人福祉法に基づきます軽費老人ホームなどで生活をされています。介護保険で介護を受けている方もいれば、認知症の方もあります。元気な方もいます。UR住宅に住んでおられます七十六歳のAさんは、要介護度が二です。入退院を繰り返しながら、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリ、通所介護はデイサービスです。それから、通院には介護タクシーを利用して、お弁当を届けてもらって、幾つものこうした居宅サービスを組み合わせて日々を送っておられます。室内の移動は、つえを使ってゆっくり歩けますが、外出は自分一人ではできません。ヘルパーさんと話をするのがとても楽しみなのですと。施設へ行くのはいやです。ずっとここで頑張って暮らしたいですと、私が訪問をするたびに、いつもこのように言われます。

 私は、Aさんが急にぐあいが悪くなったらどうしよう、駆けつけられるかな。それから、いつまでここで暮らせるかなと二、三年先どうなるかなと、いつも言われるたびに、このことが脳裏をよぎります。これは医療機関が身近にあります奈良市内のことです。そして介護事業所が近くにあります。さらに、それでも在宅で暮らしていくためには、まだサービスの量を、そして質も必要だなと、求められているなということをいつも考えております。

 先ほどもご答弁いただいたのですが、私は奈良県ではどこに住んでいても、どこに住んでいてもです。三十分で駆けつけてもらい医療や介護が受けられると、そして住みなれた地域で生活ができるという、この医療・介護の基盤の整備を、もう資源の少ない東部・南部に光を当てていただいて、整えていくための取り組みの推進が、この奈良県では地域包括ケアシステム構築にはとりわけ必要ではないかというふうに思っております。

 以上のことを申し上げて、私の質問を終わります。

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○副議長(小泉米造) 三十一番和田恵治議員。



◆三十一番(和田恵治) 本日は、これをもって散会されんことの動議を提出します。



○副議長(小泉米造) お諮りします。

 三十一番和田恵治議員のただいまの動議のとおり決することにご異議ありませんか。

     (「異議なし」の声起こる)

 それでは、さように決し、明、九月二十八日の日程は当局に対する一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。



△午後五時二分散会