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平成28年  2月 定例会(第323回) 03月07日−03号




平成28年  2月 定例会(第323回) − 03月07日−03号







平成28年  2月 定例会(第323回)



 平成二十八年

        第三百二十三回定例奈良県議会会議録 第三号

 二月

   平成二十八年三月七日(月曜日)午後一時一分開議

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          出席議員(四十三名)

        一番 亀田忠彦          二番 池田慎久

        三番 猪奥美里          四番 山中益敏

        五番 川口延良          六番 松本宗弘

        七番 中川 崇          八番 佐藤光紀

        九番 川田 裕         一〇番 井岡正徳

       一一番 田中惟允         一二番 藤野良次

       一三番 森山賀文         一四番 大国正博

       一五番 岡 史朗         一六番 西川 均

       一七番 小林照代         一八番 清水 勉

       一九番 松尾勇臣         二〇番 阪口 保

       二一番 上田 悟         二二番 中野雅史

       二三番 安井宏一         二四番 田尻 匠

       二五番 奥山博康         二六番 荻田義雄

       二七番 岩田国夫         二八番 乾 浩之

       二九番 太田 敦         三〇番 宮本次郎

       三一番 和田恵治         三二番 山本進章

       三三番 国中憲治         三四番 米田忠則

       三五番 出口武男         三六番 新谷紘一

       三七番 粒谷友示         三八番 秋本登志嗣

       三九番 小泉米造         四〇番 中村 昭

       四一番 山村幸穂         四二番 今井光子

       四四番 川口正志

          欠席議員(一名)

       四三番 梶川虔二

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        議事日程

一、当局に対する代表質問

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○議長(中村昭) これより本日の会議を開きます。

 会議時間を午後六時まで延長します。

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○議長(中村昭) ただいまより当局に対する代表質問を行います。

 順位に従い、四十一番山村幸穂議員に発言を許します。−−四十一番山村幸穂議員。(拍手)



◆四十一番(山村幸穂) (登壇)日本共産党の山村幸穂です。日本共産党を代表して質問します。

 先月二月十九日、日本共産党、民主党、維新の党、社会民主党、生活の党の野党五党首の党首会談が開かれ、戦争法廃止法案の国会提出とともに、一つ、安保法制の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回。二つ、安倍政権の打倒。三つ、国政選挙で現与党及びその補完勢力を少数に追い込む。四つ、国会における対応や国政選挙などあらゆる場面でできる限りの協力を行う。この四点が確認されました。新しい戦争法、消費税増税強行など暴走する安倍政権を打倒し、新しい政治局面を切り開く上で画期的な合意です。立憲主義を取り戻す国民の闘いを前進させ、この目的の達成と参議院議員選挙の勝利へ全力を上げるものです。その決意を表明いたしまして、質問に入ります。

 まず初めに、消費税の増税について質問します。

 我が党の国会質問で安倍首相はリーマンショック、大震災級の事態がない限り予定どおり来年四月に消費税を一〇%へ引き上げると言明し、大増税路線を突き進んでおります。しかし、この道は日本と奈良の経済も財政も暮らしも破壊する道です。断じて行うべきではありません。一昨年の四月に消費税を八%へ引き上げたところです。その直後から国内総生産、GDPはマイナスに落ち込み、今に至ってもマイナス成長です。アベノミクスで大企業は確かに栄えました。二年連続で史上最高の利益を上げ内部留保、ため込み金が三百兆円を超えました。しかし、労働者の実質賃金は三年間でマイナス五%です。年収四百万円のサラリーマンなら年間二十万円も賃金が目減りしています。家計調査報告では、二年連続世帯当たりの消費支出も減少しています。さきの国会質問でも安倍首相は八%への増税が予想以上に消費を冷え込ませ、長引かせていることを認めています。そのもとで麻生財務大臣が言明したように、五%から一〇%への増税で一人当たり八万三千円、一世帯十八万四千円の負担増になるというものです。すさまじい負担です。これでは、暮らしも県経済も根底から直撃されます。これまで知事は、増税は必要と述べてきましたが、県民の暮らしと営業を守るために今こそきっぱりと増税中止を求めるべきです。

 そこで知事に伺います。

 政府の経済政策が行き詰まる中で、さらに景気を悪化させ、格差と貧困に追い打ちをかける消費税の増税は中止すべきと考えますが、知事のご所見を伺います。

 次に、地域に根差した中小企業の支援についてお聞きします。

 知事は新年度予算の提出に当たって、住んで良し、働いて良し、訪れて良しの奈良県の実現、地域経済の発展と仕事の場の創出を図るとして地方独自の取り組みを目指すと述べられました。そのためには、県経済を支えて頑張っている中小企業支援の抜本的な強化がどうしても必要です。ところが新年度予算を見ますと、県内中小企業・既存産業活性化のための予算として、生活関連製造業や小売業、医療、介護、福祉など九つの重点分野の産業育成と意欲ある企業、起業家への重点支援の二つの分野の事業予算の合計額はわずか二十二億四千万円です。

 一方、県外資本を呼び込む企業誘致の推進や、そのためのインフラ整備の費用には百六十五億円の予算を計上しています。また、十七億円もかけて整備した桜井市のなら食と農の魅力創造国際大学校と併設のオーベルジュの運営を県外資本に任せ、さらに学生寮やゲストハウスの建設、温浴施設など癒やしのリゾート開発も計画するとしています。観光客の増加を図る大型プロジェクト事業では、県営プール跡地へのホテル誘致と賑わいと交流の拠点整備に二百二十億八千万円を投資する計画です。(仮称)登大路バスターミナルの工事には四十一億円を投資します。平城宮跡周辺の魅力向上や平城宮跡内のイベント開催など、平城宮跡の利活用に今年度だけでも二十七億円の予算を計上しています。大型開発めじろ押しで、ここには巨額の税金が注ぎ込まれようとしております。これらに比べても中小企業の活性化のための予算額があまりに少ない。企業誘致のための予算と比べてもわずか一三・六%でしかありません。予算の転換が必要だと思います。知事は中小零細企業の皆さんの声に耳を傾けていただきたい。県内の中小零細企業の団体である民主商工会での調査でも事業者の悩みは仕事の確保、事業の持続への支援、後継者問題が切実な課題になっております。県内企業への仕事の発注をふやす仕組みや、経済波及効果の大きい住宅リフォーム助成制度の拡充など、仕事をふやす対策や地域内の企業間ネットワークづくりで地域内経済循環の仕組みをつくる、小さい事業者だけではできない販路開拓への支援、人材の確保、育成など、当事者の悩みに寄り添ってきめ細かい支援を求めます。

 そこで、知事に伺います。

 県内の中小企業が直面している諸課題を克服できるよう今後どのように取り組もうとしているのでしょうか。

 次に、子どもの貧困対策について伺います。

 雇用の破壊、社会保障の改悪、消費税増税と暮らしを追い詰める政治のもとで貧困と格差が広がっております。とりわけ厚生労働省の発表では、子どもの貧困率が過去最悪の一六・三%となり六人に一人が貧困、ひとり親世帯では五四・六%が貧困、二人に一人以上と深刻な事態が奈良県でも広がっています。対策を求める市民の運動が全国に広がり、政府も子供の貧困対策に関する大綱を閣議決定しました。しかし、多くの人々が要望した給付型奨学金、就学援助の拡充、子どもの医療費の窓口負担をなくすことなどは盛り込まれておりません。ある母子家庭のお母さんは、障害のある二人の子どもさんを懸命に育てておられました。体調を壊して入院、ぎりぎりの生活でもうどうしたらいいのかと相談に来られました。想像を絶する困難が広がっています。母子家庭のお母さんが子どもと接する時間も犠牲にして仕事を三つもかけ持ち、幾ら頑張って働いても賃金は安く、生活はぎりぎり、光熱費も食費も衣料費も切り詰め限界と訴えられています。子どもが病気になっても受診できない不安がいっぱいです。全日本民主医療機関連合会の調査では、貧困世帯では平均世帯と比べて入院四回以上が一・七倍、経済的理由で受診を控えたが四・四倍など、貧困が健康にも悪影響を及ぼしています。急病のときもお金の心配なく子どもを病院に連れて行きたい、子どもの医療費無料化制度とともに窓口負担を無料にしてほしいということは切実な願いです。また就学援助の制度がありますが、活動費など部活の費用には適用されません。文部科学省の学習費調査では、学校給食費、学校教育費、学校外活動費に係る総額の平均は公立小学校で年間三十万六千八百七円、公立中学校で四十五万三百四十円と義務教育にも大変お金がかかる実態です。親に心配をかけまいと我慢をする子どもがふびんだと、つらい相談もふえております。貧困世帯では、大学等進学率にも大きな差があります。奈良県でも全世帯の進学率が七八・八%に対し、生活保護世帯の子どもは二九・二%、児童養護施設の子どもは二四・五%と大変大きな差があります。決して自助努力で解決できない問題です。学費の値下げ、全ての奨学金を無利子にする、給付制の奨学金制度の創設、奨学金返済免除制度の創設で全ての子どもたちの学ぶ権利を保障して、貧困の次世代への連鎖を断ち切らなくてはなりません。和歌山県、長野県、沖縄県など、給付制奨学金制度をつくっています。奈良県でも給付制の奨学金や奨学金返済のための支援制度はどうしても必要です。どの子にも三度の温かい食事の確保、学習する権利の保障、大学等の進学機会の保障、貧困世帯の経済支援を強めるときです。奈良県では、子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づき、県独自の計画を策定されています。思い切った対策の実施を期待いたします。

 そこで、知事に伺います。

 全ての子どもが将来に希望を持って人生を歩めるよう、子どもの貧困をなくすために県はどのように取り組もうとしているのでしょうか。

 次に、人口減少と少子化対策について伺います。

 国勢調査の速報値が発表されましたが、日本の人口が減少に転じ、五年間で百万人近くの減少が明らかになりました。奈良県では三回連続減少です。これまでの日本が目指してきた社会は大量生産、大量消費による高度経済成長です。海外から大量に輸入された食料、石油、資源により臨海部での工業生産と都市部での大量消費が進むことで発展し、それまでの小さいながらも多彩な中山間地域農林漁業は衰退して、昭和一桁世代は大量に都市へと移り住んで、大規模集中型の国土をつくってきました。この結果、中山間地域で地域を守ってきた高齢者の引退がいよいよ迫り、集落の維持が難しくなるとともに、都市部でも一気に住宅地の高齢化が進んでいます。奈良県でも同様ではないでしょうか。大都市のベッドタウンとして発展したニュータウンの団地では急速な高齢化が進み、ひとり暮らし世帯がふえています。中山間地域での人口減少も続いています。何らかの対策を進めなければ住み続けることができない地域となってしまいます。今、これまでのような国づくりでいいのか、大企業中心の経済発展を追い求め大切なものを見失っているのではないか、自然の恵みの中でゆったりとした暮らし、人と人との温かいつながりを実感できる暮らしにこそ本当の豊かさがあると考える人がふえています。

 私自身、県南部豪雨災害の復興を目指す十津川村でお聞きした村長の言葉、日本の生き方が問われている、効率優先では日本がなくなる、山や川を守って住み続けられる山村を目指したい、この思いに深く共感いたしました。仕事や雇用をふやし、いつまでも安心して住み続けることができる村や町をどうやってつくるのか、どんな奈良県を目指すのか問われております。私たち自身の課題でもあります。

 こういうもとで島根県の取り組みは、奈良県にとっても学ぶべき点が多いと思います。島根県はもともと過疎が生まれた県と言われ、中山間地域では人口がピーク時の半分になっています。しかし現在、多くの中山間地域で四歳以下の子ども、三十歳代の増加で人口の社会増や合計特殊出生率の改善が進んでいます。これは早い時期から県と市町村が一体で少子化対策、人口定住対策に本気で取り組んだ結果です。私たち県議会でも視察させていただきましたが、地域の特性を生かした仕事と雇用、住宅、教育、子育て支援等、多彩な取り組みに驚きました。特に感心したのは、幼稚園、学校は絶対に統廃合しないで守っていること、教育の内容で魅力を高め生徒がふえていることです。また地域の自治会がコミュニティーを大切に、移住する若者を支援する体制をつくっています。ここでなら住んでみたい、子育てしやすいと思える温かい地域になっています。こうした先進県に学び、県民的にも地域ごとに大いに議論が必要だと思います。

 県では政府の方針に従って人口ビジョン、地方創生総合戦略をつくり、今後の人口減少を見通して、何もしなければ二〇六〇年に八十三万九千人と人口が半減するが、合計特殊出生率を二・〇七に引き上げ、社会増減が均衡すると百五万人になると推計しています。現在の合計特殊出生率、一人の女性が生涯に産む子どもの数は一・二七で全国ワースト三位です。よほど本腰を入れて少子化対策に取り組まなければなりません。

 そこで、知事に伺います。

 人口減少問題は避けて通れない喫緊の課題であり、地方創生総合戦略の中でも特に少子化対策が重要だと考えます。安心して産み育てることができる奈良県にするためにどのように取り組もうとしておられるのでしょうか。また少子化の問題の原因の一つは、正社員が当たり前の社会から、グローバル大企業の利益最優先で雇用のルールを規制緩和して大量の労働者の不安定な雇用、非正規化が進んだことです。今や若者と女性は五割が非正規雇用です。また、雇用者の報酬が下がり続けています。所得別、雇用形態別の男女二十歳代、三十歳代の既婚率を見ると、全国では非正規雇用の三十歳代男性はわずか五・六%です。奈良県では、若者の非正規雇用の割合は全国ワースト五位です。結婚したくても経済的な不安から結婚できない、子どもを産みたくても産めない状況があります。人口減少に立ち向かうためには、子どもを産み育てる若者世代の雇用対策を子育て支援とセットで進めることが不可欠です。

 そこで、知事に伺います。

 非正規雇用の正規化など県内における若者の雇用対策に、今後どのように取り組もうとしておられるのでしょうか。

 次に、在宅医療の体制づくりについて伺います。

 団塊の世代が後期高齢者になる二〇二五年には、六十五歳以上の高齢者が三人に一人を超える、どの国もまだ経験したことがない超高齢化社会を迎えることになります。問題は、政府がこのような超高齢化社会を理由に危機感をあおり、さらなる医療費の抑制を目指して各県に医療費適正化計画の推進、病院の病床を削減する地域医療構想の実現を強力に進めていることです。政府の方針では、二〇二五年には全国の病床数を今より十六万床から二十万床も削減する計画です。政府からガイドラインが示され、各都道府県で推計され計画に反映されます。このような医療費抑制のための病床削減に不安の声が寄せられています。計画では実際の入院患者数で推計しておりますが、受診したくてもできない、潜在的需要は見込まれていないという問題もありますし、療養病床の入院受療率は独居老人が多い山間へき地で入院せざるを得ない事情がある。入院するところがないために受療率が低いなど、地域によって事情が違うことが考慮されているのか疑問です。奈良県では、圏域によって大きな格差があります。県内の病院長や医療関係者からも、政府のガイドラインどおり強引に計画をつくるのではなく、地域の実情、患者の受けたい医療の要望に即した計画であるべきと意見が出されています。これまでの病院完結型の医療から地域全体で支える地域完結型医療への転換を目指しているとのことですが、政府の専門調査会の報告書でも、本来入院が必要とされる患者約三十万人を在宅医療などに移行させるとしています。奈良県の構想でも在宅医療の需要は約一・五倍にふえると見込んでいます。多くの方が住みなれた地域、自宅で最期を迎えたいと希望されているように、住みなれた地域で最後まで人間らしい暮らしを続けることができるよう、医療や看護、介護、生活支援が一体的に提供されることは望ましいことです。

 しかし、在宅での療養、みとりは簡単ではありません。経済的にも、住宅等の環境、家族の条件が整っている場合でも相当の苦労です。私自身、地域で保健師として働き、往診、訪問看護でも在宅でのみとりを体験しました。高齢のご夫婦だけの世帯では、医療も介護も一体で、それこそ二十四時間目が離せないこともありました。寝たきりの患者さんのご家族の苦労は、はかり知れません。厚生労働省の課長も狭い意味での公的な医療・福祉費に限定しても在宅ケアは施設ケアに比べて安くはなく、むしろ高くなることは日本でも、世界でも、学問的にはもちろん、政策レベルでも確認されていると述べています。政府は本気で在宅医療へ転換するのなら、医療や介護のための公費を削減するのではなく、増額する姿勢を示さなくてはなりません。奈良県の在宅医療の現状はどうでしょうか。訪問診療で頑張っておられる医療機関もありますが、地域によって開業する医師は偏在しており、高齢化も心配されています。訪問看護も小さいステーションが多く、病院と同じように二十四時間の見守りができる体制はありません。在宅医療を支える訪問診療、訪問看護の体制、マンパワーは全く足りない深刻な状況です。誰もが希望する場所で安心できる医療を受けられる体制づくりは医療・介護関係者や県民の願いをよく聞いて、しっかりと県民的議論を尽くしていくことや、政府に対しても医療費削減路線を改めることを求めていただきたいと思います。

 そこで、知事に伺います。

 安心できる医療を提供するために、県内における在宅医療の体制づくりに向けてどのように取り組もうとしておられるのでしょうか。

 次に、平城宮跡の整備と活用についてお伺いします。

 平城宮跡は当時の建造物は残っていませんが、当時の痕跡が今日まで地下に残り、多くの遺物が埋蔵物として残っていて、木簡、木製品などは地下水によって守られてきました。平城宮跡は埋蔵文化財として日本で初めて世界遺産として認定された貴重な遺跡です。幾多の破壊の危機を乗り越え、市民、県民が守ってきたものです。この遺産を確実に保全して、次の世代に継承していくことは今を生きる世代の責任です。とりわけ県等遺跡を管理する立場にある行政の責任は大きいと思います。そのために何が必要なのか、私たちの提案を紹介します。

 まず第一に、平城宮跡の環境も含め埋蔵文化財の保存に責任を負うことです。

 最近、平城山丘陵の大規模な宅地開発が行われており、そこを源流とする地下水は平城宮跡にも流れてくると思われます。高速道路、大和北道路の計画に当たってつくられた文化財検討委員会でも、宅地開発などの地下水への影響が懸念されています。木簡を保護してきた地下水の保全、涵養対策を国とも協力して進めるべきです。また平城宮跡の周辺地域の現状変更に当たっては、世界遺産平泉で確立されている遺産影響評価の仕組みをつくる必要があると思います。さらに日本野鳥の会奈良支部は、昨年、平城宮跡に希少種の生息を新たに観測しておりますが、自然環境を含めた環境保全に責任を持って当たるべきではないかと思います。

 第二には平城宮跡の整備活用は科学的な調査、研究の成果に基づいて行うことです。

 第一次朝堂院は、奈良時代には礫敷きで南北の通路があったことが調査でわかっています。しかし、実際はこの知見とは異なる土系舗装が行われました。文化庁は私たち党県議団の交渉の中で、土系舗装自体が何かをあらわしたわけではないと、学術的に根拠がないことを認めています。平城宮跡の整備活用がこんなことでいいのでしょうか。これは、ここをイベント会場として活用することを最優先した結果にほかなりません。このようなことは二度とあってはなりません。もちろん平城宮跡が多くの人に愛され、活用されることは我々としても願っているところです。しかし整備と活用に当たっては、調査研究の成果から外れた整備、史実と違う情報の発信は厳に慎むべきです。その上、先月は平城宮跡とは全く縁もゆかりもない奈良大立山まつりが平城宮跡を会場に開催されました。奈良大立山まつりはもともと奈良の伝統行事として江戸時代に始まった広陵町の立山、橿原市の八木の愛宕さんの立山、御所市天満神社の立山の祭りに倣ったものですが、これとは全く異なる観光客集めのイベントとして二億円も県税を使ってつくられたものです。地域の人々が大切に守り、親しみと誇りを持って取り組んできた祭りの意味を変えてしまったと多くの県民から批判の声が寄せられています。しかもなお問題なのは、奈良大立山まつりでは配布されたチラシに神様、仏様が集まる大極殿へお参りしましょうと来訪者に呼びかけたことです。言うまでもなく平城宮は天皇の住まいであると同時に、多くの役人が働く政治、行政の中心でした。大極殿は国家的な儀式が行われた空間だとされています。大極殿は神様、仏様の集まる場所というのは、科学的な知見と全く異なるもので、遺跡を管理し、学術的な知見を伝える立場の県が誤解を招く情報を発信することではないかと思います。このような祭りは中止して、改めて県民にも広く意見を聞いて実施すべきです。

 第三には、整備は県民の願いに応えて進めることです。

 子どもたちの学校教育との連携をはじめ、幅広い世代が憩い、学べる史跡公園としての整備を進めることを目指すべきではないでしょうか。今後、国と県で一千億円に上る巨費、巨額が投じられる事業です。一つの史跡整備にこれだけ莫大な費用を投じることが国民的合意を得られるでしょうか。さらに、公園整備の将来像には住民の意見が分かれる平城宮跡内を通る県道やみやと通りの移設、近鉄線の移設まであり、これに倍する費用をつぎ込むことになりかねません。整備に当たっては、現在の国土交通省のコンサル委託で実質的な整備内容が決まる進め方を改め、改めて県民や外部の有識者が参加する整備委員会をつくり、巨額の費用を見直し、県民の願いにしっかり立った保存と管理、活用することが求められます。

 そこで、知事に三点伺います。

 まず特別史跡平城宮跡については、今後県として保存活用計画を策定し、責任ある保存管理の体制づくりを進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。また国や県が行う平城宮跡歴史公園の整備のあり方について、行政が一方的に整備を進めるのではなく、県民や外部の専門家などの意見を広く聞く機関を設け、その意見を受けて進めるやり方に変更すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 奈良大立山まつりを来年度も継続して開催するとのことですが、神仏を祭る宗教施設とは異なる平城宮を舞台に誤解を招く情報を発信することは取りやめて、地域の活性化に向けて地元の人々が主催し、地域の資源や風土を発信する祭りとなるようあり方を根本的に見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 以上、壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)



○議長(中村昭) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) (登壇)四十一番山村議員のご質問がございました。お腕を大事にしてください。

 一番目のご質問は消費税の増税でございます。

 消費税の増税は中止すべきと考えるがというご意見でございます。これまで申し上げてまいりましたが、社会保障の財源のため、消費税率の引き上げが必要だという基本的な考えは変わっておりません。社会保障に必要な経費は、今生きている我々が健やかに生活するためのものでございます。世代間の公平を重視すると後世にツケを残すことなく、現世代に生きている我々が助け合う制度が我が国の基本となっております。そのような制度を維持させるためには、借金で社会保障を行って、後世にその借金を払わせることがないよう現世代が安定的な財源を確保することが根本的に必要でございます。消費税率の引き上げは、そのような観点から避けて通ることはできないものと認識をしております。消費税率の引き上げに伴う増収分は、社会保障施策に要する経費に充当することとされております。本県の新年度予算におきましては、通院に係る子どもの医療費助成の対象年齢を中学校卒業まで拡充する経費などにも充当し、本県における社会保障の充実を進めることとしております。全国でもトップレベルの通院費助成になっております。これも先般の消費税増税によって地方の財政が豊かになり、社会保障施策に充当できる財源ができたことによるものと考えております。消費税率一〇%への引き上げは、関係法令において来年の四月に実施することとされております。この引き上げにつきまして安倍内閣総理大臣は、引用いたしますが、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するため、リーマンショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り確実に実施すると述べられております。我が国の社会保障制度の持続と経済の安定の両立を図る考えと受け取っております。私もその考えに賛同し、現時点での消費税率の引き上げを中止すべきとは考えておりません。

 次のご質問は、地域に根差した中小企業への支援についてでございます。

 ご所論をうかがっておりますと感じますのは、企業活動の活性化が予算の規模だけで進展するなら富める県はますます経済がよくなるはずでございますが、そうはならないのが現実でございます。各地域の経済活動を発展させるには、知恵と努力と時間が必要だと思います。奈良県もそのようなチャンスは十分あるように思います。本県の県内中小企業の振興を図るために、販路開拓の支援が重要な課題だと認識をしております。県及び奈良県よろず支援拠点におけます平成二十七年度の相談件数約四千件ございますが、そのうち三五%が販路開拓に係るものでございます。販路開拓は中小企業が単独で行われるのは難しゅうございますので、中小企業の団体や県の支援が必要な分野であろうと考えております。販路開拓を進めるためには、国内市場全体への波及効果が高い首都圏への展開が有効であると思います。日常の営業活動では出会えない目ききバイヤーに対してチャレンジングな商品提案をされることで、新たな販路が獲得できることが随分あります。本県では、首都圏開催の展示会に県内企業の出展機会を提供するとともに、大都市圏のホテルや百貨店などを対象にした商談会を引き続き開催していきたいと考えております。

 また国内マーケットの縮小がずっと進んでおりますが、海外市場の開拓も同様に重要だと思います。そこで海外見本市、展示会への出展支援や海外のマーケット調査に対する支援も継続して実施していきたいと思います。県内中小企業の売り込む力を強化する支援をさせていただきたいと思います。また一方、県内中小企業の人材育成、とりわけ後継者の確保が大きな課題でございます。信用調査機関の平成二十六年度企業情報データベースにおきましても、県内の主な中小企業約一万一千三百社のうち、六十五歳以上の経営者の割合は四三・四%も占めております。本県でも経営者自身の高齢化が顕著になっております。

 そこで本県では来年度予算におきまして県内企業に対し実態調査を行い、業種別、地域別、経営形態別に後継者に関する状況をデータベース化したいと思っております。さらに県や金融機関、経済団体などで後継者育成支援隊を組織いたしまして、後継者となり得る人材を発掘し、後継候補者バンクを設置したいと思っております。その上で県が、両者をマッチングすることで県内企業の円滑な事業継承を支援していきたいと思っております。

 子どもの貧困対策についてのご質問がございました。

 子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右され、経済的困難な状況が世代を超えて連鎖することのないよう願っております。必要な施策の充実を図っていきたいと思っております。このような考え方から、今年度本県は経済的困難な環境にある子どもの家庭の生きづらさに寄り添っていこうと考えまして、子どもの健やかな育ちを支援する総合的な施策を推進するため、仮称でございますが経済的に困難な環境にある子どもを支援する奈良県計画を策定しているところでございます。この計画におきましては、支援の対象となる子どもを分類しております。生活保護、就学援助を受給する生活困窮所帯のお子様、またひとり親所帯で経済的困難なお子様、また社会的養護のお子様でございます。またこれらのお子様が抱えておられる課題とそれを解決するための方策として、有識者による奈良県子どもの貧困対策会議で検討を進めているところでございます。これらのお子様が抱える課題といたしましては、県が実施いたしました実態調査から見てみますと、まず、学力の不足や将来への希望を抱けないなどの心理的な、非常に悲観的な影響がございます。またひとり親家庭におかれましては、親の就労により自宅において子どもだけで過ごすことが多いのが通例でございますので、子ども様の安心・安全の確保が十分でないという結果も出てまいりました。このような課題の解決に向けました具体的な取り組みをさらに進めたいと考えております。

 まず学力の向上や生きる力を育成するため、学習ボランティアによる学習支援や地域との協働による体験活動の実施による学びの機会の提供でございます。また児童養護施設を退所し、大学などに進学されます児童に生活費の貸し付けを行いまして、卒業後、一定期間就業につかれますと返還が免除になるなど、貧困から進学、高等教育を目指される若者を支援したいという取り組みも始めようとしております。また安心・安全を確保するため、経済的困難な環境にあります子どもが気楽に集い、食事なども一緒に行える地域の居場所づくりをつくりたいと思っております。またご家庭を支える観点から、支援が必要な家庭に対する乳幼児期からの子育て支援など、家庭に寄り添った支援の充実を図ってまいりたいと思っております。また今後、福祉、教育と地域が横断的に連絡する取り組みも重要だと考えております。

 人口減少と少子高齢化につきましてのご質問がございました。

 最初は子育て支援のご質問でございます。

 子育て実態調査を行ってきておりますが、本県ではご夫婦が希望される子どもの数の平均は二・四二人とされておりますが、実際の子どもの数は二・一七人で、差が生じております。現実には理想とされる子どもの数を持てておられない状況でございます。また子育て中のお母様のうち、約半数が子育ての心理的、精神的な不安、負担感を感じておられる調査結果が出ております。安心して子育てができる環境を整え、ご夫婦が理想の子どもの数を持てるようにするためには、社会全体で妊娠、出産と子育てを切れ目なく支援することで、子育てのさまざまな不安感、負担感を軽減する必要があろうかと思います。

 そこで妊娠、出産に関する取り組みでございますが、将来子どもを産み育てる大学生など、プレ親世代を対象にいたしまして、妊娠、出産に関する正しい知識を身につけていただくためのリーフレットの作成や健康教育を従来から実施しておりますが、新年度におきましては、早い年代から自分のライフプランがイメージできるようこれらの取り組みの対象を高校生に広げていきたいと考えております。また、妊娠期から子育て期までの切れ目のない相談支援の充実が重要でございますが、これらは身近にございます市町村の役割も重要でございます。新たな取り組みといたしまして、市町村がワンストップ拠点として子育て世代包括支援センターといったものを開設される場合に、スムーズに設置ができますよう研修会の開催などの支援を申し上げたいと思っております。

 また子育ての経済的支援を充実させる観点からは、子どもの通院にかかる医療費の助成の対象年齢を中学校卒業まで拡充することを申し上げました。県下全市町村の賛同のもとに行うものでございますが、全国のトップレベルの助成となります。また、社会全体で温かく子育てを応援する機運を醸成する必要があろうかと思います。新たな取り組みといたしましては、地域の店舗などが子育て家庭に対しまして、料金の割り引きなど独自のサービスを提供するなら子育て応援団の制度の広報を強化し、登録団員数をふやすとともに、市町村や子育て関係団体との協働により、子育て支援を呼びかける啓発イベントを実施していきたいと思います。市町村、また民間の方と協働で社会のみんなで子育てを応援するという考え方を根づかせていきたいと考えております。

 人口減少と少子化対策の次のご質問は、非正規雇用の正規化などの取り組みでございます。

 人口減少・少子化対策に非正規雇用の正規化は大変重要な課題と認識をしております。就業構造基本調査によれば、平成二十四年の本県の二十五歳から三十四歳の若者の非正規雇用率は二九・一%でございます。全国平均は二八・九%でございますので、やや高い状況でございます。現在働く若者にとりまして、よい雇用環境と言えない状況だと認識をしております。また、本年度に県が実施いたしました正規雇用化推進セミナーの参加企業から非正規雇用を行う理由を聞き取りました。人件費を抑制できるが最も多いわけでございますが、その一方、人材不足が深刻化する中、良質な人材を確保するためには正社員化が必要であるという理由から、正規化への移行を示される企業もございました。また、平成二十二年三月の県内高校卒業生に県が昨年十月に行った調査におきまして、卒業後一年間非正規就業であった若者は、希望する会社で正社員募集がなかった、または採用されなかった、また正社員として働くことを希望しなかったということが理由として挙げられている実情でございます。若者の雇用の安定のためには、県内企業の正規雇用化を進める動きを拡大していくことが必要だと考えております。正規雇用への転換を直接促す試みとして、県内の企業に社会保険労務士を派遣して経営合理化の支援を行っておりますが、今年度は二十社において三十六名の正規雇用への転換が行われる予定でございます。このやり方は来年度も続けたいと思っております。

 また若者に対しましては、働く意味、なぜ働くのか、また働く喜びを感じられるよう職業意識、働く意識の向上や職業観の確立が必要でございます。進学教育だけではなく、キャリア教育や実学教育の充実が必要だと考えております。また離職者も多いわけでございますので、若者が職場に定着し、県内で働き続けるためには仕事と家庭を両立しながら、生き生きと働ける職場環境も必要でございます。ワーク・ライフ・バランスが必要でございます。本県におきましては、県内企業は長時間労働が多い企業が多いわけでございますが、その長時間労働の削減など、働き方改善の取り組みを始めているところでございます。

 次は、在宅医療の体制づくりのご質問でございます。

 在宅医療の促進は医療費抑制という観点もございますが、高齢者の方々が長年住まわれた自宅での生活を中心に終末期を迎えられることが生活のパターンとしてより望ましいという考え方が基本になっていると思っております。奈良県ではそのような観点から、地域包括ケアシステムを推進する必要があろうかと思っております。高齢者の多くは疾病が完治することなく、複数の疾病を抱えながら病とともに生活をされるのが普通でございます。地域包括ケアシステムの構築に当たりましては、在宅での医療が不可欠になります。今、策定中の地域医療構想におきましても在宅医療の充実を重要な課題として取り上げようとしております。高齢者、高齢化などの影響を反映いたしました地域医療構想の現在推計しております結果によりますと、今後、在宅医療などにより対応すべき医療需要は大きく増加すると予測されております。そのため、質の高い在宅医療を充実させるためには、二十四時間、三百六十五日対応できます在宅医療介護の受け皿づくりが必要だと考えております。切れ目のない在宅医療の提供体制の構築を目指したいと思っております。そのような在宅医療の体制構築の重要な事項でございますが、四つほど上げられると思っております。

 まず退院時における病院と在宅医療・介護関係機関との調整と十分な情報共有が大事でございます。間に切れ目が入らないようにということでございます。二つ目は、患者のニーズに応じた医療、介護を包括的に提供できる日常の療養支援の確保でございます。これは供給体制のほうの問題でございます。三つ目は、在宅患者の急変時にも対応できる体制の整備でございます。在宅に戻られても急変した場合の救急の受け方ということにもなります。四つ目は、患者が望まれる場所でみとりが可能な体制構築でございます。

 奈良県は自宅みとりが割と多いほうでございますが、体制の構築、終末期の過ごし方には十分気を使う必要がございます。このような四つが重要な要素だと考えておりますが、このような取り組みを進めるためには、県内でも地域ごとに医療提供体制や住民の年齢、所帯構成などが異なっております。また、在宅での介護の充実は市町村や医師会が中心となって進めていただくことが望ましいことでございますので、より小さな地域ごとに包括的かつ持続力のある体制づくりが必要かと考えております。

 奈良県におきましては、市町村や地区医師会による取り組みが進むように、地域医療介護総合確保基金による財政支援や保健所による体制整備の支援のほか、在宅医療を担われます医師や訪問看護師などの養成を推進していきたいと考えております。

 平城宮跡の活用と整備についてのご質問がございました。

 最初は、保存活用計画を県として策定したらどうかというご質問でございます。

 特別史跡平城宮跡につきましては、土地所有者は文化庁でございます。文化庁が全般的に管理を行う一方、国土交通省が国営公園事業として大極殿院回廊基壇や便益施設などを整備する役割を担っております。また、奈良文化財研究所が学術的な発掘調査や研究を行っております。また奈良県は同史跡隣接地におきまして、交通ターミナルやゲートウエー施設の整備を行っております。こうした管理運営の実態がございますので、現在、国土交通省、文化庁、奈良文化財研究所、奈良県、奈良市の五つの関係機関によって設置されました平城宮跡保存・活用連絡協議会、いわゆる五者会議におきまして、個々具体的な保存、管理及び活用に関する連携、調整が円滑に進められているところでございます。

 なおご承知のことと思いますが、文化庁が平成二十年五月に策定いたしました特別史跡平城宮跡保存整備基本構想推進計画が、今後二十年間を想定した実質的な保存活用計画の役割を果たしていることもございますので、保存活用計画の策定につきましては、拙速な対応ではなく、五者会議において整備事業でつくられた施設の今後の管理主体や役割分担の協議が進むことを踏まえまして、県も参加した形で検討を進めていくのが望ましいと考えております。

 また議員お述べの保存管理の体制づくりにつきましては、今申し上げましたとおり、それぞれが責任を持ちながらも一体的に平城宮跡保存・管理・活用に当たるという趣旨で五者会議が設けられ、大変バランスのとれた有効な、有力なやり方だと思われますので、五者会議がその役割を十分果たせるように県としても尽力をしてまいりたいと思っております。

 平城宮跡の整備のあり方についての意見を聞くやり方についてのご質問でございます。

 平城宮跡歴史公園の整備は、昭和五十三年に文化庁が策定いたしました特別史跡平城宮跡保存整備基本構想や、その後随分たって策定されました平成二十年五月策定の推進計画を踏まえまして、平成二十年十二月に国土交通省により策定されました国営飛鳥・平城宮跡歴史公園平城宮跡区域基本計画に沿って進められているものでございます。この国土交通省策定の基本計画は、古都奈良の歴史的・文化的景観の中で、平城宮跡の保存と活用を通じて、奈良時代を今に感じる空間を創出することを基本理念とされております。日本古代史、造園、都市計画、文化財等に関する有識者や関係行政機関で構成される委員会で検討され、パブリックコメントにより幅広く国民の方々からご意見をお聞きした上で策定されたものでございます。

 この基本計画を踏まえまして、県が平成二十一年三月に平城宮跡歴史公園の都市計画を決定する際にも地元説明会や公聴会の開催、計画案を広く縦覧した上での意見聴取等を実施しております。これらの意見を踏まえて県の都市計画審議会に諮り承認をいただいたものでございます。具体の整備計画策定に当たりましても、適宜外部有識者の意見聴取やパブリックコメントを実施しております。また施工に当たっても発掘調査結果を踏まえ、地下遺構の確実な保存を図りながら適切に整備を進めており、今後も引き続きこれまでと同様に幅広い国民の方々から意見を聞く形でしっかりと歴史公園の整備に取り組んでまいりたいと思っております。

 奈良大立山まつりについてのご意見、ご質問がございました。

 今のやり方をやめたらどうかというご意見と承りました。今回の奈良大立山まつりでは、県内各地域において伝統行催事を担う多くの方々のご協力、ご参加をいただきまして、平城宮跡大極殿院の特別ステージや展示スペースでたくさんの来場者に伝統行催事の奥深さを体験していただくことができました。特に現地を訪れる機会が少ない県外の観光客からは多くの感激のメッセージをいただいております。地域の祭りや行催事の魅力を奈良大立山まつりに合わせてどのように表現するかにつきましては、職員が幾度となく各地域に足を運び、議論を重ねてまいりました。地域の行催事の担い手の方々からは、地域の誇りとして県内の各地ごとに連綿と続く行催事を奈良から全国発信する絶好の場所で、最高の機会だと圧倒的な賛同をいただきました。自発的に参加をしていただき、平城宮跡会場に応じた工夫も凝らしていただきました。

 今後も奈良大立山まつりにおきまして、地域の伝統行催事を実演いただき情報発信することで、年中行事として県内各地でとり行われる時期に、多くの観光客に現地に足を運んでいただく流れをつくりたいと考えております。今回の実施で明らかになった課題につきましては、実行委員会において改善に向けた議論を深め、来年度の開催に生かしてまいる所存でございます。

 議員から誤解を招く情報発信とのご指摘がございましたが、奈良大立山まつりは年の初めに平城宮跡にお越しいただき、大極殿院において四天王をモチーフにした大立山に一年の無病息災を願うことがコンセプトであり、我々、新年の行事としてごく普通の考え方によっております旨をご理解願いたいと存じます。

 ご質問に対する答えは以上でございました。



○議長(中村昭) 四十一番山村幸穂議員。



◆四十一番(山村幸穂) 知事、お答え、またお見舞いありがとうございます。頑張って再質問させていただきます。

 最初の消費税増税に関することでありますけれども、知事は何度もこの場で申されておりますけれども、社会保障の財源に借金を充てられないと、私もそのように思っております。消費税でなければならないのではなく、借金で賄うのでもなく、別の財源をきちんと集めるべきだというふうに思います。今、不公平な税制をただす会というところが試算を毎年行っておりますけれども、応能負担、負担能力がある富裕層や大企業の負担を応分に求める、そういうことをやりましたら、今でも十八兆九千億円の税収を得ることができるというふうに言われております。きちんとこうした対応をまずやるべきではないでしょうか。それから社会保障にこの財源を充てるのだからと、このようにおっしゃいました。しかし現実はどうでしょうか。どんどんと消費税の増税がされて国民負担はふえているにもかかわらずに、実際の社会保障のほうは削減をされていく、非常に厳しい状況が続いております。医療費も介護保険も、また入院費用、年金給付の引き下げ、あるいは生活保護給付の切り下げ、こういう形で国会の中でも堂々と麻生財務大臣が消費税を引き上げるにもかかわらず、これから自然増として伸びてくるその分を一兆五千億円も削るんだと、このようなことを述べられておりますように、これでは国民に消費税を上げるという理由の説明にはならない。本当に負担をふやしていくということで、私は間違ったやり方だというふうに思っています。

 そこで知事にお伺いしたいのですけれども、消費税の増税ということが一〇%に引き上げられるということになりましたら、今でも大変大きな負担を感じていらっしゃる奈良県内の中小企業の方々にとって大きな打撃になるということについてどのようにお考えになっているのか。中小企業の方々が今言われておりますのは、消費が低迷する、そういう中で価格競争にさらされて利益が上がらない、施設の設備投資も進まない、そういうような個人消費が大きく冷え込んでいるということの影響が非常に大きいんだということを述べられておりますけれども、そういう中小企業に対して県は支援を行っていくと言っておきながら、片方で消費税増税ということになったら、もとのもくあみではないかと思います。貧困についてもそうです。貧困をなくそうということで努力をされておりますにもかかわらず、貧困世帯に追い打ちをかける増税をさらに進める、これは逆行しているというふうに思うのですが、その点について知事、どのようにお考えなのかお伺いしたいと思います。

 それから次に、中小企業支援についてもお答えがございました。販路開拓ですとか、後継者の問題とか抱えている問題について対応されるということであります。私は予算の枠組みの中でいろいろ努力をされているけれども、その配分があまりにも少ないのではないかというふうに思っております。額が多ければいいというものではないと思いますけれども、その投資したお金がやはり地域で循環されて、地域の経済活性化に役立つというような形での努力が要るのだろうなというふうに思っておりますけれども、それでもこの間、私のところにも相談がありましたけれども、例えば奈良靴下工業協同組合の支援の予算についても削られるというふうなことで、どうしてこんなことになったのかというふうに言われております。やはり、希望されるこうした要望に応えられるように予算の枠組みそのものを、もっとふやさなくてはならないのではないかというふうに思いますが、その点についていかがですか、お聞かせください。

 それから次に、平城宮跡の活用のことについて伺いたいと思います。

 私は平城宮跡の保存活用計画を県として作成してほしいというふうに述べましたが、今のやり方でも十分守られているのだというふうに知事がおっしゃいました。しかし、問題は起こっていると思います。第一次朝堂院の舗装の問題でも事実と違う土系舗装という形での舗装になってしまった。そういうふうになってしまったのは、結局はきちんとした保存活用計画を持って科学的な調査と研究の成果に基づいて史跡の整備を行うというところがおろそかにされているという点があるのではないかというふうに思うわけです。そういう点で、きちんとした保存活用計画の策定というのは必要だと思います。国がつくられました平成二十年のその構想の中でも保存管理の活用計画というのは県が策定するものというふうに述べられております。

 それで知事にお伺いしたいのは、この平城宮跡もそうですが、史跡、こういうものの整備や活用というのは原則科学的な調査と研究に基づいて行うべきだと、そういう認識をお持ちなのかどうか、お伺いしたいというふうに思います。

 それから、大立山のことであります。

 奈良大立山まつりを来年も継続して行われると、私も広陵町の方々のお話もうかがっておりますけれども、ああいう場所でこれまでみんなに知られていなかった広陵町の昔から続いてきたそういうお祭りを知らせてもらって、多くの人に知ってもらえることができてありがたかった、そういう声もお聞きしております。しかし私が問題に思っておりますのは、県が行ったこの奈良大立山まつりというのは、そうした長年伝統として受け継がれてきた地域の大立山まつりとは全く異なるものであるということですよね。

 知事も述べておられますように、特に冬に観光客が減るからその人たちに来てもらうためのイベントを県はやらなくてはいけない、そういうことで行われたもので、そういう神様や五穀豊穣ですとか、無病息災ですとか、そういうことを長年願ってこられた地域のお祭りとは内容を異にする、そういうイベントであったというふうに思っております。そういうもので、事もあろうに奈良県が保存、管理をしなくてはいけないそういう平城宮跡で、しかも大極殿という発掘調査など長年の研究に基づいて真実を明らかにする中でつくられてきたものを神様や仏様が集まる場所だというようなことで発信をするということは、全く事実と違うことを伝えているということで、こういうことなら行うべきではないというふうに思っているわけです。

 ですので、そういう発掘調査の真実ということと、この奈良大立山まつりで県が発信されたこととの違いというのを認識されていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。



○議長(中村昭) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) 最初のご質問は、消費税の増税の負担は中小企業に負担を与えるのではないかというご質問であろうかと思います。

 消費税でございますので、中小企業税でないのですね。負担するのは消費者なのですね、よくご存じの上でご質問されていると思いますが、中小企業税ではないのです。消費者が現在の消費に対して払おうよと、中小企業者は転嫁をされるわけで、中小企業者が転嫁されないのは益税として残る部分もあるよと言われているぐらいでございますので、中小企業負担税ではないということだけは申し上げておきたいと思います。中小企業の支援、奈良の中小企業がどうして振興しないのかということは、予算のせいでは私はないと思います。いろんな地域で民間活力がどんどんあって振興している地域もございますし、奈良県の中小企業は頑張っておられるところもございますが、総じて伝統的産業に依拠して、それが今も生きるように頑張っているというパターンが比較的多いように思います。イノベーションが必要だと思います。県の予算はイノベーションを進捗させるためにグローバルニッチトップというような小さくてもすぐれた世界に冠たる企業もおられるわけですから、昔のままでやっていて、はやるようにしろと、これは無理ですね、この今の世界では無理です。そういうことを考えておられるかどうかはわかりませんが、お言葉からは一律にはできません。頑張る企業だけが生き延びる社会でございますので、頑張る企業もおられますので、それを支援するというやり方が唯一の方策だと思います。

 平城宮跡の保存管理についての結果、科学というよりも、あんまり既成概念で考えてはいけない世界だと私は思っております。その結果、舗装ともおっしゃいましたが、その結果がこれでよかったか悪かったのかということを既成概念ではなしに、いつも反対されたことをもう一度見直されるのがいいのではないでしょうか。これでよかったのか悪かったのかということ、水がどうなのかということは、これから取り返しのつかないことになるといけないと、そんなことにはならないと思いますので、よくお互いに反省をするというのが民主主義の基本ではないかというふうに思います。

 最後の大立山は、おかしなことではない、事もあろうにという山村議員らしくない言葉がたしか聞こえたように思いますが、事もあろうにですか、そのようなものではないと思いますよ。冬、行催事を行うときに地域の伝統に根差したものを素材として使うのはどこの地域でもやっておりますし、大事なことでございます。奈良県は地域の伝統を余り生かさなかった県でありますので、このような反対があるのが奈良の観光が振興しなかった一つの理由ではないかと私は思います。壊してはいけないですけれど、伝統の精神を生かしながらオフに展開するというのはとても大事なことで、各地がこぞってやっていることでございますので、事もあろうになんて言葉を発せられないで、ぜひ賛同していただきますようにお願いを申し上げたいと思います。



○議長(中村昭) 四十一番山村幸穂議員。



◆四十一番(山村幸穂) 消費税のことについてお答えというのか、知事のお考えを述べられましたけれども、消費税は確かに消費者が支払っております。しかし、転嫁ができない企業もあるということですよね。それは益税になっているのではなく、営業上、本当に今のこういう消費が冷え込んでいる中で価格を上げることができないという非常に厳しい状態があるという実態であります。消費税は、私たちが払っていますけれども、納税するのは中小企業です。企業の方が納税されています。輸出大企業は還付されておりますからね。そういうことで本当に重い負担になっていると思います。

 私が懸念しておりますのは、この中小企業の方にとっても、あるいは貧困世帯の方にとっても今以上の増税ということになりましたら、せっかく頑張っていることが本当に打ち消されてしまう。暮らしも経済も維持できない状態になって、社会保障の制度は残っても、生きていくことができないような状況になるという不安が広がっているということだと思います。特に貧困世帯では、総務省が調査した結果でも、今でも月九百四十四円赤字になっているという状態です。そういうところで増税が追い打ちをかけるということになりましたら、いろいろ手当てをしたとしても生きていく希望が失われてしまう、そういうふうなことになってしまうのではないかということで、本当にやめるべきだというふうに強く思います。

 それから、知事は予算が少ないから奈良県の企業がうまくいかないのだということではないというような趣旨のことをおっしゃったのではないかと思うのですけれども、私も予算が多ければいいというものであるというふうには思っていません。けれども、県が税金を投入して大企業にどんどん土盛りをしております。一方では、二百二十億円もかけるような大公共事業をやられるということをやりながら、本当に懸命に頑張って努力をされている零細企業や小さな企業の皆さん、頑張らないからといって支援をしないと、そういうことは間違っているというふうに思います。二百二十億円もかけるこの大型の公共事業、あるいは企業誘致、そういうものを全くやめよというふうなことを思っているわけではありません。そのうちのほんのわずか一割回すだけでも今の中小企業の予算というのは倍にふえることになるわけです。そのことによって、地域の循環がよくなれば中小企業も正規社員をふやして、さらに将来に希望が持てるような営業をしていくこともできると思います。そういうことを県としてやるべきではないかと思います。

 そして最後に平城宮跡の活用の問題ですけれども、知事は遺跡の整備というのは科学的な調査と研究の成果に基づいて行うという原則というものをお認めになりませんでした。こういうことで本当に奈良県の遺跡を守っていくことができるのかということで、私は非常に不安を持ちました。

 最後に大立山ですけれども、県が進めたこの奈良大立山まつりは、地域で長年続けられてきた大立山まつりとは全く別のものであるということで私はとんでもないということを申し上げたわけです。広陵町の立山というのをこれがもとになっているということは言えないということを、奈良新聞でも民俗通信という形で報道されておりましたけれども、そういうふうにお考えになっていらっしゃる方がいらっしゃるわけです。本当にそういうことから言いましても、平城宮跡で誤った発信を県が主体となってするということは今後もやめるべきだということを申し上げておきたいと思います。



○議長(中村昭) しばらく休憩します。



△午後二時十五分休憩

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△午後二時二十九分再開



○議長(中村昭) 休憩前に引き続き会議を開きます。

 次に、九番川田裕議員に発言を許します。−−九番川田裕議員。(拍手)



◆九番(川田裕) (登壇)なら維新の会の川田でございます。私の前回の質問は維新の党としての代表質問でございましたが、昨年十月末のおおさか維新の会の結党により、おおさか維新の会に参加し、会派名をなら維新の会と改め、本物の身を切る改革、実のある改革の推進のために、正直者が損をしない政治、オープンで公正公平な政治、権力者に偏らない質実剛健な行政をつくる政治、その他、県民に軸足を置いた政治、ぶれない政治を身を粉にして今後も活動してまいる所存でございます。議会の諸先輩、県民の皆様には改めて今後ともご指導を賜りますようお願いを申し上げまして、代表質問に入ります。

 一番目の質問として、奈良大立山まつりの経済効果等の検証について知事にお聞きいたします。

 去る一月二十九日から二月二日の五日間にかけて、奈良市の平城宮跡地において、奈良大立山まつりが開催されました。開催結果の内容では、荒井知事は二月三日、水曜日の知事定例記者会見において、来場者が五万一千人となり目標の三万人を超えたと報告されました。また無事に終わり大変好評だった、寒さ対策や会場の暗さなど考えないといけないこともあったが、喜んでいただいたと思う。来年も工夫を凝らしてやっていきたいと継続して開催する意向を示されました。その後に開催された委員会でも、理事者から同様の答弁がなされておりました。

 今回、どうしてなら維新の会として奈良大立山まつりについて代表質問を行うかといいますと、祭りやイベントを行い奈良県に人を呼び込む、総論には賛成ですが、国税または県税を使って行う事業に対し厳格な検証を行うことは当たり前であり、どんぶり勘定や過去の古い慣習により国に報告を行うような時代錯誤の行為は現代では絶対に許されるものではありません。経済効果の分析は非常に重要であり、今後の税の執行の意思決定にも大きく関係するものであります。

 そこで三点、統計分析を重視される知事にお聞きいたします。

 質問の第一点目は、奈良大立山まつりは昨年急遽開催が決定されました。計画策定における統計分析は具体的にどのような手法で行われたのでしょうか。

 質問の第二点目は、奈良大立山まつりの開催中における今後の統計分析に使用するデータの収集は具体的にどのようなデータの種類を選定されたのでしょうか。また、取得方法についても具体的にお聞きいたします。

 質問の第三点目は、奈良大立山まつりにて取得されたデータをもとにどのような統計分析手法において、経済効果等を計算されるのかをお聞きいたします。また統計分析もまだ終了していないのに、どうして来年度も開催すると既に公表されているのかについてもあわせてお聞きいたします。

 次に二番目の質問として、県営水道料金の値下げと奈良県経済についてを知事にお聞きいたします。

 奈良県の経済低迷を考えると、近隣の大阪府と比較いたしますと、奈良県営水道料金は約一・五倍以上も高く、関西圏でも最上位クラスの水道料金であり、多くの住民の皆さんから、どうして奈良県の水道料金はこんなに高いのか、また、大阪から引っ越してきて料金の高さにびっくりした、さらに、もう箱物やイベントは要らないから生活にかかわる公共料金を安くしてほしいとの声が、世代は関係なく本当に多くの声をいただいております。特に子育てを行うお母さんの声は切実であります。なぜなら、景気を知るにはスーパーに立てとの教えのとおり先日に各スーパーで数日間立ってまいりました。PTA会長を三年間担当していた関係もあり、多くのお母さんたちとも会話ができました。しかし、不思議なことに皆さんはスーパーのサービスにより無料で配付している飲料水をスーパー指定のタンクを複数個抱えてお持ち帰りになっておられます。理由をお聞きすると、子どもの体操服が小さくなって、塾代が高いから、子どもを旅行に連れて行ってあげたい、その他多くの子育てや家計に関する理由であり、非常に高い水道代を少しでも節約しようとする行動であることを教えていただきました。県内総生産、GDPが関西最低にある奈良県の経済状況を真剣に考えるならば、水道料金の引き下げは減税と同様に最大の地域経済効果を持つと考えます。

 そこで、奈良県の子育てに頑張るお母さんの代弁として知事に二点、お聞きいたします。

 質問の第一点は、奈良県の水道料金を引き下げようと思えば、県営水道のさらなる徹底的な経営改善と一般会計からの財政支出が必要であると思います。奈良モデルの市町村との関係は一切別にして、単体の県営水道として経営改善の余地が非常に大きいと思いますが、どのようにお考えになられておられるのでしょうか。また経済対策として、水道料金の値下げは特に子育てに頑張る家計に多大な効果を生むと思いますが、一般会計からの繰り入れも含めてお考えをお聞きいたします。

 質問の第二点目は、水道料金の値下げによる県民の可処分所得増により、イベントを行う周辺地域の利益だけではなく、公正公平な奈良県の全体的効果を生むことはもちろん、統計分析を推奨される奈良県では、既に経済効果の統計分析も行われていると思いますが、その分析手法と考察結果をお聞かせください。

 次に、三番目の質問であるマイナス金利による地方経済に与える影響と租税理論を知事にお聞きいたします。

 この質問も切実に頑張っておられる子育てのお母さんたちの声、円安による生活品の物価上昇に困惑される年金を生活の糧とする皆さんの声を県に届ける意味であります。経済活性化を政策として取り組むにおいて、経済活性化を予算上に計上しているにおいて、経済活性化の分析は専門的に行われていて当たり前、知事がいつも多用されるエビデンスの確認と専門性の確認をする意味で、どのような分析をしているのかの皆さんの疑問を代弁するものであります。

 皆さんの周知のとおり、平成二十八年一月二十九日に日本銀行からマイナス金利政策を行うことが決定されました。実質に二月十六日から実施されております。戦後最大の非伝統的金融政策が行われる中、低金利の影響も含み、銀行資本は今後確実に減少すると考えられます。住民に直結する地方経済を考えるならば、歳出ベースでは国が四割、地方が六割の実態を鑑みますと、地方経済に対する地方公共団体の責務は非常に大きく、重大と言えます。

 そこで、統計分析を重視される知事に三点お聞きいたします。

 第一点目の質問は、総務警察委員会にて総務部長へも申しておりましたが、日本銀行の金融政策の動向も含めて地域経済のマクロ的な分析の回答をお願いしてきました。既に数カ月が経過していることから、経済活性化を主な重点施策とするならば、奈良県全体の経済効果の分析も行わずに増税を継続するはずもなく、具体的にどのような統計的分析を行ったのか、奈良県経済の活性化に向けてマクロ的、すなわち奈良県全体の分析の結論、または検討事項を導き出されたのか。分析手法も含め、演繹的にお答えいただきたいと思います。

 第二点目の質問は、具体的な施策案として、銀行の貸し出しリスクを考えた場合、奈良県の経済及び県民総生産がせめて平均レベルに回復するまでの間、可能な限り県では、民間金融機関から資金調達に徹する政策が必要だと考えられます。なぜなら民間金融機関の資金調達がふえることにより、金融機関の優良債権が増加し、貸し出しに対するリスクの緩和の方向になると考えます。日本銀行が三月に発表した数値では、平成二十八年一月末現在において、奈良県の金融機関の預金量に対する貸出金の率は、四十七都道府県の中で全国最下位であり、驚くべき数値であります。ここでは詳しく申しませんが、これは奈良県の県民総生産が低迷する理由の一つでもあります。銀行資本の減少による資金流通等の影響も鑑み、県は可能な限り民間金融機関から資金調達を行う指針を策定すべきだと考えますが、知事のご所見をお聞かせください。

 第三点目の質問は、二番目の質問の本旨も含み、奈良モデルの事業として市町村連携事業に対し無金利で高額な資金を貸し出す施策を行っておられます。金融機関の預金量に対する貸出金の率が奈良県は全国最低という環境の中で、これは納税者でもある金融機関の業務を圧迫する行為であり、優良債権の確保の機会を奪う行為でもあるため、地域経済の基本的なマクロ経済の分析では、経済に対しマイナスの方向性を持つ施策でもあります。また納税者から集めた資金をもって、納税者の業に介入する行為を行政が行ってよいのか、金融機関に働く多くの方からも怒りの声を聞いております。これは非常に重要な租税理論に反する行為と思いますが、知事のご所見をお聞かせください。

 次に最後の質問として人事委員会勧告による公務員給与引き上げについて、人事委員会委員長と知事にお聞きいたします。

 この質問も切実に頑張っておられる子育てのお母さんたちの声、円安による生活品の物価上昇に困惑する年金を生活の糧とする皆さんの声、または気持ちを代弁するものであります。

 まず、人事委員会委員長にお聞きいたします。

 全国都道府県の中で平成十七年を起点とした十年統計において、奈良県の現金給与総額は下落率が全国最大であります。円安による日用品を中心とする物価の上昇の中であっても県民の所得は上がっておらず、他の都道府県と比較しても可処分所得の乖離は埋まっていないのが現状であります。人事委員会の勧告では、産業別、企業規模別の調査事業所数の規模合計で百四社を対象に調査をなされております。内訳では五百人以上の規模が三十五社、百人から五百人未満が五十一社、五十人から百人未満は十八社の調査結果であります。ウエート率を計算すると五十人以上百人未満の企業は約一七%しか含まれておらず、基本的または初歩的にも統計分析手法に大問題があると考えられます。統計的問題は重要かつ明らかな瑕疵と思えますが、一部の例では、平成二十四年度の経済センサスの統計では、人事委員会の調査対象と同様の枠で算出した場合、五十人以上百人未満のウエート率は約五六%を占めており、統計調査手法に明らかな有意差が算出されました。

 ちなみに経済センサスの統計では、企業全体数が三万六千四百九十五社に対し、従業員五十人以下の企業数は三万五千六百五社であり、全体の九七・六%を占めております。人事委員会の調査対象は最上位、たった二・四%の企業に対して行われており、ましてその中身を見ても、先ほど申し上げたとおり、さらに上位に偏った統計分析であることが判明いたしました。

 そこで、人事委員会委員長にお聞きします。

 この勧告の数値を我々も統計分析いたしましたが、確率論からあまりにも実態からかけ離れております。今回の勧告の対象数値が奈良県民の対象所得の中央値、すなわち平均ではなく所得順位の真ん中からどの程度離れているのか、初歩的、常識的な基本事項ではありますが、中央値からの乖離率をお聞きいたします。

 また、このような所得上位の抽出に偏る不適切な調査の結果が妥当だと言える統計分析上のエビデンスをお示しください。また、統計上の有意差が発覚した中で県民が納得すると思っての勧告と考えておられるのか。さらに、奈良県の現金給与総額が平成十七年以降の十年統計で下落率が最大であるということは、どのような議論をなされたのか。この勧告と県民所得の実態に大きく乖離している中で、公務員給料だけを引き上げる勧告を県民に対してどのように説明しようと考えておられるのか。切実に頑張っておられる子育てのお母さんたち、円安による生活品の物価上昇に困惑される年金を生活の糧とする皆さんに向けお答えください。

 最後に人事委員会の勧告を受け、そのまま提案された知事にお聞きいたします。

 大阪市では人事委員会の勧告を見送り、その財源を保育所無償化という地方創生総合戦略の達成に向け、住民主体の地域経済対策に取り組んでおられます。近畿ブロックで県内総生産、GDPが最低であり、奈良県の現金給与総額の十年統計で下落率が全国最大という事実からして、現実をどのように認識し、公務員の給料を引き上げることに関し県民にどのように説明をされるのか。切実に頑張っておられる子育てのお母さんたち、円安による生活品の物価上昇に困惑される年金を生活の糧とする皆さんに向け知事のご所見をお聞きいたします。

 以上、壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございます。(拍手)



○議長(中村昭) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) (登壇)九番川田議員のご質問がございました。お答え申し上げます。

 奈良大立山まつりの経済効果などの検証についてのご質問がございました。本県観光の最大の課題は宿泊観光客数の少なさでございます。中でも一月、二月の落ち込みは他の観光地に比べて際立っております。温泉もない、冬のおいしい料理もないというのがハンデになっております。この落ち込みの激しい時期に効果的な観光客の増加策を講じることは奈良の長年の懸案となってきております。訪日外国人観光客が急増し、地域間競争が激しさを増す中、本県としても一刻も早く誘客に向けた手だてが必要でございますので、奈良大立山まつりをこの冬季に開催することを決定したわけでございます。来場者数の予測でございますが、過去の夏の平城京天平祭での実績をベースにしつつ、気候条件の厳しい一月末に実施することを勘案いたしまして、三万人の集客を目標といたしました。結果として初日が雨で客足が鈍りましたが、五日間の合計では五万一千人の皆様に来場をいただきました。まずこの来場者数の調査方法でございますが、大極殿院の南門入り口三カ所においてのスタッフによるカウンターでの実数把握に加えまして、平城宮跡北側、また西側からなど他の入り口からの大極殿院内への入場者やあったかもんグランプリ会場の人だまりなどに対する目視による観測数、黒山の人だかりでございましたが、勘案して算出したものでございます。

 また、一月から二月にかけて実施いたしました今回の冬季誘客キャンペーンの経済効果予測につきましては、奈良県での観光客一人当たりの観光消費額をベースとして積算をいたしたものでございます。

 まず宿泊による効果といたしまして、同時期のネットクーポンキャンペーン利用者数を四万人と見込みまして、およそ十億円の観光消費額の増加が見込まれると試算をいたしました。また入り込み客数による効果につきましては、奈良大立山まつりの集客を三万人と見込み、およそ一億円として試算いたしまして、全体で十一億円程度の経済効果と想定いたしました。実績を踏まえました経済効果は現在集計中でございますが、相乗効果もあり、上振れする可能性もございますが、集計が完了する三月中旬には改めてご報告をさせていただきたいと思います。

 今回の奈良大立山まつりにつきましては、県内外から多くの観光客がお越しになり祭りをご堪能いただいたと考えております。私に届きました来場者の方々の声も、またイベントに参加されました市町村長の声も一様に大変好評でございました。これから伸びるよいイベントになるものと確信し、新年度の予算にも計上したところでございます。次回開催に向けて、平城宮跡での防寒対策や会場の照明、食事の提供体制、会場へのアクセスの強化などの課題も見えてまいりました。これもお客様がたくさん来られるがゆえでの課題というふうに思っております。早期に実行委員会を開催し、改善に向けて議論を重ねていきたいと思っております。

 県営水道料金の値下げと奈良県経済についてのご質問がございました。

 この大和平野では、大和豊作、水要らずという言葉が近隣の府県から言われておりまして、大和は常態的に水不足の地でございますので、大和が豊作になるということは雨がたくさん降るので、ほかは水が余ってしまうといったこと、多少奈良の水不足をやゆする言葉でございました。今はすっかりその言葉は死語になりまして、大和は水余りの県になりました。水道料金の基本的な考え方でございますが、公営企業でございますので事業運営に係る費用はみずからの収入で賄う独立採算制をとられております。料金はサービスを受けた者が利用した量に応じて負担する受益者負担が原則でございます。このため、料金はサービスの提供に必要な原価を賄うだけの収入が得られるような水準といたします。一般会計からの補助金、すなわち税金を投入してこれを引き下げるという手法はなじまない分野であろうと考えます。

 本県県営水道の供給単価は一立方メートル当たり約百二十五円でございます。お述べになりました大阪広域水道企業団の七十五円と比較してみますと差がございます。全国レベルで一般会計の水道料金を比較いたしますと、最大で約十倍の料金差がございます。この点、電気代などほかの公共料金とかなり事情が異なっております。このような差ができる原因でございますが、立地条件によるものが大きいと思われます。まず、水源の場所とか種類が大きな条件だと思います。二つ目は、地域の人口密度が大きく影響していると思っております。大阪府の水源は近くを流れている淀川でございますが、本県の水源は供給区域から遠く離れた吉野川、宇陀川でございますし、利水のための大滝ダムの多額の投資費用を奈良県はこれまで払っております。また本県は大阪府の三分の一の人口密度でございますので、水道の配管の施設整備の効率性が悪い地域でございます。そのようなことから、供給水量一立方メートル当たりの減価償却費など水道インフラの施設を整備するために要した費用は本県が七十八・七円に対しまして、大阪は三十三・六円と大きく差がございます。ほぼこの差額が水道料金の差になっているように見受けられます。

 次に県営水道の経営改善につきましてでございますが、これまでも組織のスリム化、施設のダウンサイジングや長寿命化などの取り組みを行ってまいりました。経営改善がある程度達成された結果になりましたので、平成二十二年度と平成二十五年度の二回にわたり県営水道料金を引き下げることができました。特に平成二十五年度の改定では、市町村が計画以上に受水されますとさらに料金が安くなる、いわば需要を促進する二段階従量料金制というものを全国で初めて導入し、市町村への供給量の拡大につながりました。地下水で供給される市町村もございますが最近大変水質が悪くなってきておりますので、大変水質のいい県営水道がある程度の料金になりますと、そのことだけで転換される市町村も出てまいります。加えてさらなる効率化を目指すために、県水道局単体ではなく、市町村水道も含めて広域的な連携や協力により施設の相互利用等を図り、施設の利用効率を高めるという全国的にも珍しい取り組みを進めております。県営水道だけのことを考えるのではなく、県域水道の考え方という発想の転換をしたわけでございます。県域水道ファシリティマネジメント、いわゆる水道版奈良モデルの取り組みでございまして、具体的な取り組みの内容を磯城郡の例をとって紹介させていただきますと、老朽化した施設の更新時を迎えた市町村水道の広域化の取り組みでございますが、まず、三町が有しております三カ所の老朽化した浄水場を廃止することができます。このことは三町とも県営水道一〇〇%に転換することで実現可能でございます。また、同じく老朽化した川西町及び三宅町の配水池を廃止することができます。その一方、緊急貯留機能を田原本町の配水池に集約することになります。さらに、県の水道管と各町の水道管を直接結ぶことができます。このことで、県営水道の持つ位置エネルギーを利用して直接各家庭にこの配水ポンプなしに県営水道の配水が可能となるものでございます。

 これら県と市町村の施設の統廃合や配水の効率化及び国庫補助金の導入によりました経済的な効果でございますが、三町がそれぞれ単独で水道施設を更新していく場合には、施設の更新費が三町の負担で約百十億円かかりますが、県の施設を利用してされる場合には四十三億円にも下がってしまいます。百十億円が四十三億円になりますので、六十七億円もの削減が可能となります。これは、奈良モデルのファシリティマネジメントの効果でございます。

 また維持管理費でございますが、広域化後、二十五年間の試算をしてみましたが、百八十五億円かかるところが百七十七億円で、約八億円削減されると試算をしております。施設の整備費の削減効果が大変大きいものでございますが、県営水道と三町で広域化のための計画づくりに平成二十八年度には着手をさせていただきたいと思っております。このような磯城郡での取り組みは他の地域でもうまくいく形として広げていきたいと思います。水道は県民生活に不可欠なインフラでございます。このような取り組みにより、長く安定した供給を続けていくことが最も重要なことだと考えております。また、料金だけでなく奈良の水は大変おいしくなってきております。現在、高齢化、人口減少などで水需要、収入源が先細っているのは各地とも同じでございます。また、過去に整備した施設が更新時期を迎えているのも各地とも同じでございます。このような厳しい将来の経営環境を踏まえますと、県域全体で水道事業を捉えました、県と市町村が共同して行う奈良モデルの取り組みが最も有効な取り組みであると考えております。

 次は、マイナス金利による地方経済に与える影響ということでございます。

 地域経済のマクロの分析を幾つかのやり方でやっておりまして、ある程度のことはわかっておりますが、議員お述べの金利政策の地域のマクロ経済への影響という点については、まだよくわからないところが多い事情にあるように思っております。現在、奈良の地域経済についてわかっていることを多少述べさせていただきたいと思いますが、本県経済の実態を捉えるために消費、生産、投資、金融、雇用、景気という六つの側面からデータを集積して、全国や他府県との比較検討も行いながら分析を行ってまいりました。現在も毎月主要データの動向は私自身のところに届いて把握しております。見せないでちょっとちらつかせますが、このような資料をいつも見ております。各比較データもたくさんございまして、大変有益で動向がよくわかる、毎月次のデータでございます。

 その結果本県は、構造的な分野でございますが、経済の推進力となります投資、消費、雇用の力が弱いように思われます。県内でうまくお金が回らない産業構造であることが、毎月見ておりますが、明らかになっております。例えば投資に関するデータでございますが、域外交易力は弱いものでございまして、域際収支、国でいいますと貿易収支が常に赤字になっております。消費に関するデータでは、県民の消費金額が高い、消費は旺盛でございますが、県民一人当たりの県内商品販売額は低いものでございます。県民の方の消費が県外へ流れる、県外で消費されるといったような県外消費率が全国一高い県であることもわかってきております。

 雇用でございますが、県内で雇用の場が少なく県内就業率は全国で最も低い率でございまして、このようなことは構造的な指標として捉えております。こうした本県経済の構造的な分析をもとに本県経済を活性化するためには、県内企業の域外交易力を強化し、県民の県内消費に向かう消費の拡大により域内経済循環力を高め、県内での働く場をふやしていくことが最も重要な課題として捉えております。これは、そのように構造的な面を見ると当然導かれる結論でございます。

 また別の観点から一つ申し上げますと、県民所得という面でございますが、雇用者報酬がその大きな源泉でございます。県民の県外からの雇用者報酬が県民報酬所得の約四割を占めております。これは、本県がベッドタウンとして奈良は寝床で稼ぐのは大阪という方が多かった、その発展の形態をとってきたことによることが大きいものでございます。これまで高い所得を稼いできて県民住民税として支払われてきた方々が退職されますと、県民所得が減少してまいります。実際そのような傾向が出てきております。県内の雇用者報酬、そして企業所得をともに高めまして、県民所得を増加させることが奈良県経済構造の重要な課題だと認識されるわけでございます。

 一方、県民所得を増加させるためには、県内総生産をふやす必要がございます。そのためには、投資、消費、移輸出を活発化させることで県内経済の構造を力強いものに、貿易体質を力強いものに変えていく必要がございます。そのため、生産や所得につながる具体的な数値による成果目標と行動目標を定めまして、県内企業を力強い体質に改善するインパクトのある施策を発見して実行しようというのが産業興しの取り組みでございます。構造的な指標と成果的な指標と行動的な指標と、その三つの種類分けをしながらデータを集積し、分析しているものでございます。

 今後とも経済データの動きに注視し、その要因を分析し、経済活性化施策に生かしてまいりたいと思います。そして、経済の環境変化に負けない力強い企業を奈良県で育成し、投資、消費、雇用が県内で好循環をして、県内の若者が県外に行かなくても県内で就職して、十分所得があるような本県の経済構造に向ける努力をしていきたいと思います。

 債権の話のご質問がございました。県債の借り入れ先のご質問でございます。

 県債の借り入れ先につきましては、国の財政融資資金や地方公共団体金融機構資金などのいわゆる公的資金と呼ばれておりますのと、銀行資金や市場公募債等の民間資金の大きく二つに分かれるわけでございますが、本県の例をとりますと、昨年度の県債借り入れは民間資金が七八%を占めている状況でございます。公的資金と民間資金が事業ごとにどれだけ割り振られるかは、毎年度国が策定する地方債計画によって定められるものでございます。公的資金は長期間で固定的で低金利でございますので、通常民間資金に比べて有利な条件で借り入れることができます。どの地方公共団体も公的資金を優先して借りるのが通常でございます。毎年の県債の借り入れに際しましては、将来の金利負担をできる限り抑えるという観点から、地方債計画の枠組みの中で公的資金をできる限り優先して借り入れるという方針で取り組んでおります。

 残りの借り入れにつきましては民間資金からの借り入れとなりますが、その借り入れに際しましては、各民間金融機関から利率や期間などの条件を提示していただき、その中で最も有利な借り入れ先を選定しているところでございます。なお民間金融機関にとって県債の引き受けは安定した運用である一方、民間企業への貸し出しと比べると県は信用度が高いことから、かなり低い金利で引き受けているのが現状でございます。このため、県債の引き受け額がふえたとしても県内企業への融資拡大には直接つながらないと県内の複数の民間金融機関から聞いているところでございます。

 また県内の民間金融機関は、もともと預金と貸し出し額の比率でございます預貸率が相当低い状況が続いております。奈良県は金余りの状況にございます。国関係機関からも域内企業に積極的に融資を行うよう求められておられます。県内企業の投資意欲が低調であり、あまり融資は伸びていない状況と聞いております。預貸率がなかなか改善されない、預貸率の数字もいつも見ております。このような状況を踏まえますと、地域経済の活性化に向けては、県内企業の投資意欲が高まるよう産業構造を改革する各般の取り組みを着実に一歩一歩推進していくことが重要なことと考えられます。

 次のご質問は、奈良モデルによる市町村連携事業に対する融資についてのご意見がございました。

 一般論として議員お述べの民業としての競合に留意する必要はございますが、他方で県内の市町村におきましては、人口減少と少子高齢化が進む中で公共交通の確保、ごみ処理施設の老朽化など、さまざまな課題が山積しております。できるだけ借金、公債費の負担を減らしたいことを念じておられます。こうした状況の中、県と市町村、または市町村同士の連携、協働する奈良モデルを推進することにより、地域の活力の維持・向上を図ることは本県のような財政的に弱い市町村が多い県では、大変必要な作業だと思っております。本県では奈良モデルを推進するための財政支援の一つとして、複数の市町村が連携して取り組む大規模な施設整備を対象に無利子の奈良モデル推進貸付事業を昨年の六月議会に提案し、お認めいただいたところでございます。対象となる事業は、国の補助金や地方交付税措置のない事業でございます。県が独自に支援することで、市町村の連携協働が促進され、公債費負担が減るものでございます。この貸し付け事業につきましては、平成二十八年度も当初予算案で十五億円を計上しておりますが、平成二十六年度普通会計決算における国の財政投融資資金を除く県内市町村の地方債の借入額は三百三十九億円ございますので、奈良モデル推進貸付事業十億円による民間金融機関への影響は限定的であると考えております。民間金融機関からの借り入れも市町村の資金調達手法としては重要でございますので、県では来年度、市町村の金融リテラシー向上のための研修会の開催や複数市町村による共同資金調達フレームを検討し、その構築に取り組みたいと思います。市町村の民間金融機関からの資金調達力の強化と公債費の負担軽減、効率化の取り組みをさせていただきたいと思っております。

 人事委員会勧告に対する公務員給与の引き上げについてのご質問がございました。人事委員会委員長のご答弁がございますが、そちらのほうが先の答弁がいいかと思いますが、もう立っておりますのでお許しを得て私の答弁をさせていただきます。

 人事委員会勧告を受け入れることに対してどのように県民に説明するのかと、県の立場のご質問でございます。議員お述べのように平成十七年を起点とした十年統計におきまして、奈良県の現金給与総額の下落率は全都道府県で最大となっております。昨年九月議会でも答弁いたしましたように、平成十七年当時は給与水準の高い大規模事業者、事業所、大手の家電メーカーなどが本県の平均給与を引き上げておりましたが、その後の経済環境の変化による大規模事業所の従業員の減少や非正規雇用者の割合の増加が現金給与総額の下落の最大の要因だと考えております。それにどう対処するかということでございますが、大規模事業所だけに寄っておりますと造船所であれ、鉄工所であれ、臨海工業地帯であれ、今、人口減少を一番襲っているのはそういう地域でございます。本県はそのような産業構造、バラエティーのある、下支えのする企業を多くふやすための努力は必要であったかと思います。本県は道路や工業団地等のインフラ整備に十分取り組んでいなかった面があろうかと思います。その結果、企業の集積が十分進まない弱い産業構造のままになっていたと思います。そのツケがこの十年間の下落率に反映されているものであろうかと観察をしております。

 しかしながら平成二十六年度におきましては、本県の現金給与総額の対前年度比較におきましては、プラス一・二%ということでございまして、全国でも中位程度の伸び率になってまいりました。十年間のこの大きな下落は多少回復されて、これからいよいよ奈良県の経済ももう少しは順調になろうかと、この経済の伸長にやはり押す力が必要かと思います。

 そこで給与の改定でございますが、地方公共団体は給与等の勤務条件が社会一般の情勢に適応するように随時適当な措置を講じなければならないという旨を地方公務員法に規定されております。地方公共団体の責務として法上規定されております。また、人事委員会の給与勧告制度は、憲法で保障されている労働基本権が公務員においては制約されておりますので、その代償措置として社会一般の情勢に適応した適正な給与水準を確保するための機能を有しているものと一般的に認められております。地方公務員法の規定や人事院の給与勧告制度の趣旨に鑑み、本県では従来から勧告を真摯に受けとめ給与改定を行ってまいりました。マイナス勧告が続いた時期もありましたが適正に実施された人事委員会の民間給与実態調査に基づき、勧告どおり実施してきた県でございます。なお昨年度は全ての都道府県におきまして、勧告どおり給与改定が行われたと聞いております。

 以上のようなことから今年度においても、人事委員会の勧告どおりの内容を盛り込んだ給与条例案を提出させていただいているところでございます。今後もこのような地方公務員法の規定を受けました地方公共団体の長といたしまして、人事委員会勧告を十分に尊重して給与改定を行ってまいりたいと考えております。

 もう一つの質問は、人事委員会委員長がご答弁申し上げるところでございます。ご質問ありがとうございました。



○議長(中村昭) 松村人事委員。



◎人事委員(松村二郎) (登壇)九番川田議員のご質問にお答えをいたします。

 人事委員会勧告による公務員給与引き上げにつきまして、数点のご質問をいただきました。お答えをいたします。

 人事委員会勧告の基礎資料とします民間給与実態調査は、国の機関であります人事院と都道府県、市、特別区の人事委員会とが共同しまして、事業所の規模が五十人以上の県内の民間事業所を企業規模でグループ分けをしまして、各グループから無作為に事業所を抽出の上、給与月額などを調査するものであります。なお対象となります企業規模につきましては、民間給与をより広く把握し公務の給与に反映させるため、平成十八年に企業規模を百人以上から五十人以上に見直しを行ったところであります。平成二十七年の調査では、調査対象となる全事業所は三百九事業所あり、内訳は百人以上の事業所が二百四十四事業所、百人未満の事業所が六十五事業所で、この中から同等の割合により実際に調査する事業所数を決定したところであります。

 ご指摘されました統計上の有意差につきましては、経済センサスの従業員数には民間給与実態調査で対象といたします正規職員以外のものが含まれていることから生じるもので、抽出の偏りによる不適切なものではありません。また議員お述べの平成十七年以降の十年間での現金給与総額の下落率につきましては、議論いたしておりませんが、当委員会の調査でも民間の平均給与額は平成十七年以降、三万八千五百八十八円減少しており、県職員の平均給与額は同様に見ましたとき、四万一千九百三十四円減少している状況であります。民間給与実態調査の結果を用いた公民較差の算出に当たりましては、公務に当たっては行政職、民間に当たってはこれに相当する職種の者につきまして、職務の種類別に責任の度合い、学歴、年齢が対応すると認められる者の相互の諸手当を含む給与を比較していく、いわゆるラスパイレス比較によりまして、その較差を毎年算定しているところであります。平成二十七年四月分として支払われました民間の平均給与は三十七万四千六百九円であり、一人当たり平均千五百四十八円、民間の給与が職員の給与を上回っており、職員の給与につきまして所要の改定をするよう勧告いたしました。給与勧告制度は公務員の労働基本権が制約されていることの代償措置であり、職員に対し社会一般の情勢に適応した適正な給与水準を維持、確保する手段として重要な役割を果たしていると考えております。

 以上でございます。ご質問どうもありがとうございました。



○議長(中村昭) 九番川田裕議員。



◆九番(川田裕) ご答弁、ありがとうございました。

 まずたくさんありますので、ちょっと一点目から聞いていきたいと思います。

 まず奈良大立山まつりのことでありますが、これについてはご答弁を聞いていて、この数字で経済分析結果ができるのかなというのが実際の感想なのですけれども、もうちょっと現実には経済分析、質問でも言いましたが、分析の手法を言っていただけるものだと思っていましたが、そういった答弁はなかったということで、これは予算審査特別委員会などでもまた聞いていきたいと思います。ただし奈良大立山まつりをやっていることに対して、我々、中身に別に反対しているわけでもなくて、今後、やっぱり大きく、今、知事のご答弁でもおっしゃいましたが、ローマは一日にして成らずで、やはり数年かかってよいものになっていくということもございますから、やはり一年目よりも二年目、二年目よりも三年目ということが非常に重要ではないかと思っております。

 ただ我々が聞いている視点というのは、これ、国からの補助も受けていますよね、たしか受けていたと思うのですけれどね、間違っていたらごめんなさい。だけれど、そういった環境の中で正しい統計分析を行って、予算を組んで予算を使った、それで何人来ました、どういったことをやりましただけではなくて、果たしてそれが本当に経済に対して利益になっているのかどうかという、やっぱりこの分析というのは分析手法がそんなに難しいものではないと思いますから、だから、それによっては集めていくデータというのも専門的には大体もう似通ったものがあるのですけれども、そういったものを集めていかないと、データもないのにどうやって分析するのかと。知事にそこまでのご報告は上がっていないと多分思うのです。行政の組織論からいきましたらね。

 だから、これも不足するところは予算審査特別委員会で聞いていきたいのですが、まずこの件につきましては、我々も調査をいたしました。この奈良大立山まつりをやられた一月二十九日から二月二日にかけて、我々も調査員を雇いまして現地に派遣して、置いて、人数から全て実数カウントをとりました。それが我々の調査結果では、この一月二十九日から二月二日にかけて、これはベビーカーに乗っておられる赤ちゃんも、出たり入ったりする方も全部含めていますので、入っていく方は全てカウントをとっていると。出てきてもう一回入られる方も全部カウントをとっています。そのカウントも全部入れたから、スタッフも全部入っていますので、マックスと思っていただいたら結構だと思うのですけれど、最大値と言いますけれど、その最大値の数字から我々が出した数字では、二万六千二百三十人なのです。この奈良大立山まつりの実際にスタッフも込みで。ちょうど二倍ぐらいの数字が違うのですよ。

 先ほどご答弁をいただきましたし、委員会でも答弁がありましたが、これの数字は南門の三カ所でとっておられて、あとは目測でやったと。我々はカウントをとっていたけれどこんな数字は出ていない。実態としてこれ、僕はいつも委員会とかでも言っていますけれど、統計分析というのはこの数値が本当に命みたいなものなのですよ。これがなかったらもう全部が狂ってきますから、冬に観光客を呼ぶとか、それは知事の方針に我々も賛成でいいと思うのですけれど、僕、なぜこんなことを言うかというと、知事はもうご記憶ないかもしれませんが、議員になる数年前、私が市議会の議長になったときに知事のところへご挨拶にお伺いしました。そのときに統計分析のお話を知事から初めてお聞きしたのですね。今後、奈良県で統計分析を重視しなければいけない。統計分析は私もずっと長年やっていますから、非常にあのとき感動したのを覚えているのですが、やっと行政でもそういった時代が来たなと。我々、市町村にいたときでも市の議員をやっていたときでも、なかなか統計の話をしても伝わる方がいなくて、あのときの知事のコメントに非常に感動したのは覚えているのですが、ところが知事があのとき言っておられたのは、そういった分析ももって、統計分析手法があるからそれをやって積分確率的に出していかなければいけない、ほかの書物で書かれておるのも私は読みました。だけれど、これ、職員の方が全く統計分析というのをわかっていないと思うのですよ、これが実態だと思います。だって分析手法を聞いても手法も言ってくれないし、今回のこのカウントの数字もそうではないですか。どうやったらこれ、五万一千人もカウントもしていない目視だけで出てくるのかなというのは、我々も不思議に思っているのです。我々の数字が全て一人も間違っていないとは言い切れませんけど、我々もカウントをきっちり七カ所でとっていますので、正確性はこちらのほうが高いと思いますので、そのことについて、ここで言い合いをしても仕方がないので、もう一度調査をいただきたいのですよ。根拠というのは必ず分析方法からいったら、それで誰がやっても同じ結果が出るというような調査方法というのは、必ずそれは専門家に見てもらったらわかりますのでね。あまりにもちょっと違うので、そのあたりをどのような調査手法の中で多く見積もっているのか、それとも何かのカウントがかぶっているのか、そのあたりの内容はわかりませんが、そのあたりをぜひ調べていただかないと、こういった数字が大きく報道されるということは、間違っていればあってはならないことだと思っておりますので、それをまず一点目にお聞きさせていただきたいと思います。



○議長(中村昭) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) 平城宮跡の入場者数でございますが、今、川田議員のお話を聞いていて、それは分析というよりも数の収集の手法ということだと思いますが、収集の手法はいろんなムジークフェストならのイベントでもなかなか全体の広がった会場には入場者数を取りにくいものでございますけれども、今聞いていて思いましたのは、一つは、あったかもんグランプリをしたときのおわんの数ですね。あれは随分売れたのです。少なくともその数、何食も一挙に食べられる方もおられると思いますが、一人一食は食べられたという、食べられた数は出ていますので、これは参考になると思います。もちろん五万食売れたわけではございませんが、相当売れて黒山の人だかりでおわんが全部完売したということでございますので、足らなかったということで、これは一つの最低限この数だけは入られたというような数は収集の方法としてあるのかと思います。

 そのような方法も一つでございますが、もう一つは、きょうの答弁では答えておりませんが、冬の観光客、宿泊客を増加させるということで、その点は調べました。奈良県で統計報告をすぐに出していただける主要十一ホテルの統計がございますが、前年同月同日の宿泊者数とことしの奈良大立山まつりの宿泊者数を比較したものでございます。これは奈良大立山まつりの効果が割と直接的に反映された効果のように思うわけでございますが、それによりますと、宿泊者数は三〇%ふえているのですね、三〇%何もしないでふえるということはないと思いますので、これは大きな直接的効果ではないかというふうに思います。その経済効果は最初に試算した中には実績はまだ出ていませんでしたので反映されておりませんが、私は上振れするかもしれないと思いましたのは、この主要十一ホテルですけれども、この宿泊者数の対前年度伸びが大変大きなものがあると、予想より大きなものがあったというふうに感じておりますので、そのようなのも分析の中に入ってくると思います。

 また、これははっきり出る数字でございますが、主要十一ホテルの稼働率は、前年度、冬枯れが毎年続いておりまして、五〇%の稼働率だったのが七〇%まで、二十ポイントも伸びたのですね。冬場に七十ポイントまで伸びるというような日は、奈良市の観光ホテルであってもなかったようなことでございますので、奈良大立山まつりの人気がこのようなことで反映され、わかるように思っております。

 議員お述べの全体の経済効果を金額でどういうのかというのに担当が腐心をして答弁資料を書いたように思いますが、その個別のいろいろなところでわかります指標を私が今ここで思い出して申し上げても、そのような大変上向きな資料が出ておりますので、ご披露を申し上げたいと思います。そんなようなことを積み重ねながら、たくさん入ったかというのは目視でございますので、それが決して結果としてどうこうありませんが、多分現地に行かれますと、いろんな担当が平城遷都一三〇〇年祭以来のにぎわいだと思うと、そのように言っていました。しかも、夜なのにあんなににぎわったと。特にあったかもんグランプリはもう列をなして、このような光景は考えられないといったような光景でございましたので、それは大変驚きの光景でございました。それを指標化するのが大事でございますので、それをとって、これだけの経済効果がありましたよということを議会に説明したいというふうに思っておりますが、金額的にはいろんな計算がいると思いますが、宿泊客数がこれだけ伸びたとか、おわんがこれだけ売れたとかというのはじかにわかる資料でもございます。目視はいろんな、どちらがどうかというのは、最終的にわからないものがあろうかと思います。県から上乗せをしろと言ったことは全くございません。担当がこれだけふえたのはびっくりしているような実情でございますので、まずはこんなに盛況だったことを、予算をいただいた議会の皆様も喜んでいただきたいなというような成果の報告でございます。



○議長(中村昭) 九番川田裕議員。



◆九番(川田裕) ホテルの実績というのは、それは分析を今後やっていくということで、その話は今触れていないのですが、聞いているのが今回のこの奈良大立山まつりのカウントの問題、来場者の発表の問題なのですね。今あったかもん広場と言いましたが、県が今回この五万一千人の数字を発表された中には、あったかもん広場は千八百人のカウントしか入っていないのです。合計は一万八千食が売れたけれどもこの五万一千人のカウントの中には一千八百人しか入れていないと。これは県からお出しになった資料を今見て言っております。だから、それを足したとしたって三万人以下という勘定になるので、あまりにもちょっと、知事、違いますのでね。これ頑張っていただいているのもわかっているし、ホテルも活況になったら、それはもううれしいの一言に尽きるわけですけれども、そのことを言っているのではなくて、この統計を重視していくということは、こういった発表の数字とかそういったものをやはり正確にやっていかなければいけないと。南門の三点でしかカウントもとっていなかったと、そのほかは目視でやっていたのだという答弁を受けてびっくりしているのですけどね。我々でも七点の箇所でやって、一部目視もありますが、本当にほとんど人が来ないようなところは目視でやっていたというような形でやっていますので、そこはもう一度ちょっと点検し直していただいて、この数字というのは県が予算を使われて行われたものであって、公式に発表された数字というのがそれを統計上、今後我々も使っていくので、そこは正式に調査をいただいて、またご報告をいただきたい、このように思うわけですね。

 もうこれは結構です。予算審査特別委員会でまたやりますが。

 それと二番目の質問で県営水道、もちろん奈良モデルの話は知事から前からお聞きしておりますので、それは重々理解もしておりますし、我々、市町村にいたときでも水道局を広域化できないかということは、当然これは昔から議論があったことであって、別に今初めて聞くような話でもありませんので、それはまた連携をとってやっていけばいいと思うのですが、私が言っているのが経済的な政策の意味を持って、受益者負担というのは当然わかっていますし、ほかのものでも受益者負担はたくさんあるでしょう。だけれどそういった中において奈良県が水道料金を下げたと言うけれども、CPIの指数で、これ県別で国からも出ていますが、平成元年を基準とした場合でいけば、当初これは奈良県が水道料金が高いのだと言うけれど、CPIは平成元年をゼロの点として合わせた場合、その時点からどれだけ右肩上がりになっているか、下がっているかというのは平準化して出てくるわけですね。それからいけば奈良県は平成九年から平成十五年、平成十六年、平成十七年までにかけては、全国平均よりもわずかに高かったと。そして、そこから平成十九年から平成二十四年までにかけてはやっと全国レベルの平均と一応肩を並べたと。それから、この平成二十五年、平成二十六年、平成二十七年、この三カ年で奈良県の水道料金がまた上がっているわけです。なぜ上がっているかというのはちょっとそこまでは分析していないのですが、これは国から出ているCPIの統計なので、完全に民間からの乖離が上に離れているわけですね。だから、そういったことも経済分析全体に考えるのであれば、マクロ的に考えるのであれば、やはりそういう公共料金的なものは全員の方が使われるものであって、一部の地域に何かをやったからそこだけの地域がまた潤うのだというような問題ではありませんので、その辺の一般会計からの繰り入れをもって景気が回復するまでの間やってみるとか、それと別に知事がおっしゃっていたことはどんどんやっていただいて進めていただいたらいいと思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。



○議長(中村昭) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) お答えいたします。

 最初の統計については、ぜひ川田議員が出された統計資料の積算の実態も参考にいただくと大変比較できていいかと思いますので、今後のこともありますので、一方的ではなしに比較しながら情報収集の道を探っていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 水道料金値下げによる経済刺激効果ということでございます。

 大阪府の広域水道企業団と比較されました、一立方メートル当たり五十円の差がございますので、奈良県の料金を五十円引き下げるということで考えてみますと、県の水道料金だけではなしに市町村もそれに応じて下げるということでございますと、県営水道を引いている三人家族の家庭では、一人当たり月に百七十円の減になります。年では二千百円の水道料金が下がります。二千百円の可処分所得が発生するということになるわけでございます。この二千百円の可処分所得の経済効果はいかんという、これは経済循環の中での試算ということになりますが、この二千百円の可処分所得を発生させるために、県が一般会計から県営水道に補助する金額は年間三十九億円になります。これは政治的判断でございます。各ご家庭に年間二千百円の可処分所得を発生させるために三十九億円を使うかどうかという我々の予算の判断ということになりますので、私は大変消極的に受け取らせていただいております。

 なおこの県営水道エリアの水道料金、可処分所得を上げるために県が補助金を出しても、大和平野地域だけに限られておりますので、南などは恩恵を受けることはできないので、地域の格差が県の予算によって発生するということも申し添えさせていただきたいと思います。



○議長(中村昭) 九番川田裕議員。



◆九番(川田裕) 時間がもうありませんので、水道に関しては、今マイナス金利ということで非常に金利も安くなってきて、これは次のところも重なるのですが、先ほど預貸率とおっしゃっていましたけども、これはグラフをつくっていますけれど、奈良県は本当に一番最低なのですね。日本銀行の知り合いの方とかにも聞いたけれども、やはり地域経済を活性化させるにはここが大きくならないと、行政とこれは関係ないのだということは一切ありませんので、やっぱり直接的に関係してくるものですから、例えば長期債の話もありましたが、国の財政投融資等からの貸し出しというのは長期的に、長期といったって十五年とかそういった形になってくると思うのですけれど、そういったものも今この中で銀行でも交渉すれば、その辺の対応が可能かどうか、ちょっと答えはわかりませんが、そういった取り組みというのも可能ではないかと思うのですね。ましてや今、マイナス金利までやってイールドカーブを下げて、どうにか銀行の持っているお金を世の中に出回そうとしているのが今の政策の方向性ですよね。

 その中で先日、これも日本銀行だったですかね、から発表されているM3の数字を見ても、M3で二・五%ですから、結局マネーストックは全然ふえていないのですよ。だから、簡単に言えば世の中に出回っているお金が一切ふえていないのです。二〇一四年、二〇一五年で約三%近くまでいきまして、今また二・五%まで下がってしまっているという状況の中で、それが背景にマイナス金利という行為もあったと思うのですが、だからやっぱり奈良県はよその都道府県より、東京なんかだったら九〇%以上の貸し出し率ですね。ほかでも大体六〇%以上は占めているでしょう。だけれど奈良県の場合は四〇%を割っているわけで、だからこれはやっぱりどうにかして、奈良県全体の経済を考えるならばこの預貸率、貸出金率と我々は呼んでいるのですが、これをふやすような方策何らかの形で考えていく必要が絶対にあると思うのですね。そうでないと、ずっと預貸していて、銀行は県外にもお金を貸せるわけですから、そのあたりを知事、今後ちょっとご検討をいただきたいと。本当にこれは大事な話だと思いますので、ご検討、研究をいただきたいと思うのですが、ご答弁はいかがでしょうか。



○議長(中村昭) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) 奈良県の金融機関の貸し出しの話がございました。

 先ほどちょっと見せました経済動向で、貸し出し残高の推移がずっと載っております。これも注目して見ております。奈良県の国内銀行の貸し出し残高の実数は、平成二十七年十一月で二兆五千二百二十八億円でございます。それが去年の暮れの期間、ぴょんと飛びはねるように上がっているのですね。対前年同月比で上がっているものですから、どうして上がったのかということをちょっと調べました。それは奈良発祥のある大きな企業が工場をつくるのに県内の機関から借りられたということが、この貸し出しの結果ではないかというふうにわかりました。ですからこれは一過性といいますか、一時のことであろうかと思います。また信用金庫の貸し出し残高は、平成二十七年十一月では五兆五千八十九億円なのでございますけれども、信用金庫の貸し出し残高は近畿の波の中で対前年同月比トップをずっと走っているのですね。上向きの貸し出しの、これはトレンドですから全体の中での構造的な指標は改善するまではいっておりませんが、信用金庫は中小、小規模事業者に対する貸し出しでございますが、この近畿の中で断トツの貸し出し対前年同月比なのです。これが数年続いておりますので、これはどうしてかなということを不思議に思って調べております。もし楽観的、いいように考えますと、県内の小規模事業者が投資とかに回すための借り入れを最近は数年間されているという、そういうハッピーシナリオであれば大変いいことかなというふうに思っております。

 金融機関の貸し出しの構造的には、やはり奈良県の金融資産は全国でも有数の、全国でも三位から五位ぐらいまでずっとあります。お金がたまっている県でございますので、預貸率は預金の預け入れをしてもらうには割と楽な地域、金融機関としまして。しかし貸し出すのは厳しい地域、それが預貸率の大変低いのにあらわれております。その預貸率が四割をずっと切っておる、前からそのように注目をしておりましたが、それには県内で優良な貸出先がないといけません。悪い貸出先をあんまりあっせんするようなことがあってはならないわけでございますが、いい貸出先を育ててやらなければいけませんので、先ほどおっしゃいましたが、県はここに貸せというようなことはあまりしてはならない行動ではないかと思っております。焦げついたときの責任は県のようなものはとれませんので、そういうことはしてはいけない。それは金融機関の審査に任せるのが最も大事なことでございますが、優良な貸出先がふえるように企業を育てるということには十分意を尽くしていきたいというふうに思っております。

 この金融の状況を見ておりましても、対前年同月比では多少希望が持てるような動きになってきているのかなというふうにも見える面もございますが、それに注目しながら優良な貸出先がふえているのかどうか、いろんな指標を見ながらフォローしていきたいというふうに思っております。



○議長(中村昭) 九番川田裕議員。



◆九番(川田裕) いや、ちょっとそういう議論ではないのですけれどね。僕らが言っているのが公共団体として民間の資金の借り入れ、どうせどこからか借りなければいけないのだったら、民間の借り入れをふやそうということと、そして、これは今知事がおっしゃっていたことでも、四半期に一回レポートが出ていますから、南都銀行のディスクロージャーレポートでも公共団体等の借り入れがふえてくれたので、その預金貸出率が上がったということで先日のレポートでも出ていますよね。僕、四半期に一回なのでいつも読んでいるのですけどね。

 だから、あそこの銀行が全てではありませんが、そういった形に今なってきているので、何しろこれ全国的に平均レベルで、そしてこういう金融論を考える場合には、目先のあしただ、来年だとかいう短期ではなくて、やっぱり長期的な視野というのは必ず必要になってきますので、だから長期金利のイールドカーブも下げようと、そういった動きも今やっているというのはそのあたりだと思います。短期はちょっと読めません、はっきり言って。だからそのあたりをまた今後ご研究いただいて、県もできるのだったらこれを上げるような努力をしてあげればいいのではないですか。

 それで最後に奈良モデルの事業、僕は何も事業の内容について反対を申し上げているわけではありませんで、別に銀行から市町村、公共団体が借りられて、その金利だけ県が奈良モデルとして負担したって同じではないですか。それだったら銀行の業務に対して一切の介入をしたことにもなりませんし、企業にお金を貸すとか、例えば企業の信用保証をするとか、それも県はほかの産業等でやっておられますよね。それと同じ考え方を持てばいいのではないかと思うんです。ただし無金利でお金を貸してしまうというのは金貸しになってしまうので、これは銀行の業務ではないですかと。銀行も納税をいただいているわけだから、その業務に介入していいのかと、このような意見を私は聞いていたわけですが、その点はまた今後、手法というのを変えれば効果は全く同じなのですから金利だけ負担をすれば、地方自治法の中にも貸出金という項目は想定されていないのですよね、書かれていないのですよね。だから書かれていないということはもともと想定されていないということですから、やはりそのあたりは想定された範囲で補助金は想定されていますので、補助金の対応でいいのではないかと、このように思います。それを一点、申し上げておきたいと思います。

 最後に人事委員会に聞きたいのですが、先ほど聞いていたら、経済センサスの数字の中で、これは非正規が含まれているから違うのだと言っていたけれど、それを引いたとしたってあまりにも乖離が出ていますよ。だから、それはないとおっしゃったのだったら、何を根拠にないとおっしゃったのか数字でお答えいただけますか。



○議長(中村昭) 松村人事委員。



◎人事委員(松村二郎) 先ほど申し上げましたように、私ども、民間の給与に対しまして、この民間給与実態調査、ラスパイレスを前提にして、いわゆる正規職員に対して正規社員のふさわしい対象事業者と正確にその給与を比較していくというのが大前提になってまいります。そういう面で、私どもはこの職種に応じて、そして、いわゆる雇用の責任の重さ、そして年齢、また学歴というものが非常に給与に与える影響が大きいという中において、確実に民と官との調査をして対比していくということが大前提になってまいります。それだけに、私どもこの調査においては、正規の社員と私どもの職員の給与を対比していくということを大前提にしているわけでありまして、そういう意味で、先ほどのご質問に対して大きくこの、我々の寄って立つところが違うという意味で答弁をさせていただいたという面と、それからやはり経済センサスの中には非正規関連とかが多く含まれておりますので、そういう意味で、この統計上の有意差というもの、そこにあらわれている隔たりがあるということで答えたことではございません。

 それと先ほど中央値のお話もございましたけども、これも同様に私どもとして、このラスパイレスを公民較差を正確に運営していくに当たっての調査のベースということにしておりますので、そういう観点から先ほどお答えをさせていただきました。



○議長(中村昭) 九番川田裕議員。



◆九番(川田裕) 公民較差とおっしゃいますが、それは何の定義があるわけですか、誰が決めるわけですか、それは。給与条例主義で、給料というのは議会が最後に条例を認めてなっていくものなのですけれど。だけれど官民較差はわかるし、法律の内容も当然わかっています。制限があられるので、そういったものを保障していくというところでも、それはもちろん法理的な解釈はわかっております。しかし私が聞いているのは、統計的になぜ上位のわずかの範囲内で、大学卒といったって今、五〇%ぐらいが大学卒なのだから、従業員が少ない範囲の会社の方にも大学卒の方はたくさんいらっしゃるではないですか、そういうことでしょう。それも調べられたのですか、全部の割合も多分調べていないと思うのですね、この間の勧告書を読む限りはそこまで書いておりませんでしたので。

 だから聞いているのが、なぜその上の数パーセントだけでそれを全部公務員の給料と妥当だと、ましてこれ、東京とか大阪とか、ほかのところにいったら五十人以上の会社の数というのはそれは相当多いですよ。だから、それだったらそれ以上のところで調査しようというのはまだわかるかもしれない。有意差もどんどん緩くなるでしょう、有意差なんか出ないでしょう。だけど奈良県の場合は、そういった五十名以上の会社、企業が本当に少ないわけでしょう。先ほども言いましたけど、非正規も入っているかもしれませんが二・四%のその枠の中から選んでいるから、これは完全に偏り過ぎであると、このようなことを申しているわけでありまして、勧告書はもう提出されているので内容が変わるわけでもないのはわかっているわけですが、今後その辺、やっぱり県民でも給料が下がっている方もいるし、本当に切実に今、節約しながら子どもの塾代やいろんなお金を払っていらっしゃる方もいるし、給料が上がらないという話もよく聞くし、やっぱりもうちょっとみんなが納得できるような、誰が計算してもこれは中央値からこれぐらいの範囲なのだから妥当だなと言えるようなものを、これは各公共団体ごとに違うのですから。極端に言ったら、アメリカで幾らもらっているから日本もこれだけもらってもいいのだというような話はちょっと違うと思いますので、そのあたりまた今後、委員会の中でぜひご開示いただいて、会議で議論もいただいた中で、制度的な変更を求めてひとつまたやっていただければと、このように申し上げて代表質問を終わります。



○議長(中村昭) しばらく休憩します。



△午後三時五十五分休憩

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△午後四時十三分再開



○副議長(山本進章) 休憩前に引き続き会議を開きます。

 次に、十二番藤野良次議員に発言を許します。−−十二番藤野良次議員。(拍手)



◆十二番(藤野良次) (登壇)民主党の藤野です。お疲れのことかと思いますが、最後までおつき合いくださいますようお願い申し上げます。なお、民主党という名前での代表質問はもしかすると最後になるかもしれません。悔いのないよう努めたいと思います。

 最初に新年度予算についてお聞きいたします。

 荒井知事は、新年度予算案を今議会に提出されるに当たり、これまでの手法で我が国を地域格差なく発展させ得る時代ではなくなった。地方も中央に追随するだけではなく、地域ごとに自主的・自立的に地域の発展を考えていかなければならない時代に入ってきているとの認識のもと、住んで良し、働いて良し、訪れて良しの奈良県の実現を目指してまいりたいと所信を述べられました。現在の日本は、人口減少、高齢化という大変難しい局面を迎え、人口減少による経済、社会に対する影響が懸念される中、本県の高齢化率は平成二十一年度以降、全国平均を上回っており、今後も全国より早いスピードで高齢化が進むことが見込まれています。このような状況の中、特に住んで良し、働いて良しの奈良県の実現に関して新年度予算ではどのように取り組もうとされているのかお伺いしたいと思います。

 まず人口減少、人口流出に歯どめをかける取り組みの充実についてお尋ねします。

 先月二月二十六日に発表された平成二十七年国勢調査人口速報集計結果は、平成二十二年から九十四万七千人減少、率に直すと〇・七%減となり、大正九年の調査開始以来初めての減少という、予想はされたものの大変ショッキングな内容でした。奈良県も平成二十二年の百四十万人から百三十六万五千人に減少、平成二十七年十二月に作成された、奈良県地方創生総合戦略及び奈良県人口ビジョンによると、一九六〇年代から人口増加が続いたが、一九九九年にピークの百四十四万九千人に達して以降、二〇〇〇年から人口減少に転じています。人口減少には、出生数が死亡数を下回る自然減と転出数が転入数を上回る社会減とがありますが、奈良県では一九九八年から社会減に、二〇〇五年から自然減に転じ、人口減少が加速しています。自然減については、合計特殊出生率が二〇一四年で一・二七と全国平均の一・四二を下回り、全国ワースト三位となっていますのは、きょうの代表質問でも述べられました。また出生数も減少傾向にあり、二〇一四年に一万人を割っています。そういった少子化対策として、子どもを産み、育てやすい環境づくり、つまり若い世代に対する結婚、出産、子育てや安定した雇用など、ライフステージに応じた支援が重要であることは言うまでもなく、今議会の他党の代表質問においても取り上げられているところであります。

 中でも特に私が重要と考えるのが、保育環境の整備、充実についてであり、人口減少による労働力の減少が懸念される中、女性の社会進出が今後ますます必要となっていくことは明らかであり、これからの時代を生きる若い世代が安心して子育てをするためには、女性が働きながら子育てができる環境づくりが欠かせないと思うところです。

 そこで、荒井知事にお尋ねします。

 保育環境の整備、充実について、保育士等の人材確保策も含め、新年度においてどのように取り組もうとされているのか、お伺いいたします。

 一方で社会減については、以前から地方から三大都市圏、特に東京圏への人口流出に歯どめをかけることが議論されてきましたが、今回の国勢調査人口速報集計結果を見ると、人口が増加した八都県のうち、東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県の四都県が東京圏であり、愛知県は増加しているものの大阪府は減少に転じるなど、より東京への一極集中が目立つ結果となっています。これまでのような典型的なベッドタウンからの脱却は必須であり、県民、特に若者が県内で就労することができるよう、雇用対策を進めることが重要であることは言うまでもありません。加えて、大学への進学等で一度都市部に転出された方に県内に戻ってきてもらうような、また東京圏にお住まいの他府県出身の方で、奈良の歴史や文化に興味を持たれている方に実際に奈良県に住んでみようと思っていただけるような取り組みも必要であると考えます。

 このような人口の社会減に歯どめをかける取り組みの一つとして、県外から県内に移住、就労していただくような取り組みが重要と考えますが、新年度においてどのように取り組もうとされているのか、あわせてお伺いいたします。

 次に、ふえ続ける社会保障関係経費の抑制に対する取り組みについてお伺いいたします。

 言うまでもなく、今日、我が国の高齢化は急速に進んでおり、国や地方の財政においても医療費や介護費の増加が今後深刻な問題になると予想されます。例えば、国民医療費は平成元年度には二十兆円でしたが、平成二十五年度には既に約四十兆円にまで膨らんでいます。四半世紀で二倍になりました。今後もさらにふえ続けると予想されています。奈良県も同様で、奈良県医療費適正化計画によりますと、平成二十年度には三千七百七十億円であった県民医療費は、平成二十九年度には五千百七億円になると推計しています。わずか十年間で約一・四倍になる勘定です。また介護費については、介護保険制度が始まった平成十二年度には三百二十三億円であった奈良県の介護給付費は、平成二十五年度には既に九百十二億円、約二・八倍になっています。このまま医療費や介護費がふえ続けると、国、地方公共団体の財政を圧迫するとともに、国民負担額もふえ、生活に悪影響を及ぼすゆゆしき事態に陥りかねません。私は県民一人ひとりが健康で自立した生活を送り、なるべく医療や介護のお世話にならなくても済むようにすることこそ、増大する医療費や介護費の抑制につながるのではないかと考えています。そのためには、県民がみずから健康づくりにしっかりと取り組んでいただけるよう、県としても健康づくり施策を充実させていく必要があると思うところです。

 そこで、知事にお尋ねします。

 今後ますます高齢化が進展し、医療費や介護費がふえ続けることが予想される中、増加を少しでも抑制するためには県民の健康づくりに積極的に取り組むことが重要と考えますが、新年度においてどのように取り組もうとされているのかお伺いいたします。

 次に、介護離職ゼロ社会の実現についてをお聞きいたします。

 介護を理由とする離職者は毎年約十万人前後発生しているとともに、特別養護老人ホームへの入所申込者のうち、在宅で要介護度三から五の人は約十五万人存在しており、いずれも減少傾向にはない状況であると言われています。そのような中、国においては、働く人の家族介護による離職をなくすために施設や在宅サービスなどの充実を目指すとした介護離職ゼロの実現に向けた取り組みを行おうとしています。自治体がつくる介護サービス施設の整備計画の算定方法を見直すことや、自治体向けの指針を変更し、それらの供給を計画より大幅に引き上げることとしています。施策の柱は十万人分の在宅・施設サービスの整備であり、対象は特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、認知症高齢者グループホーム、ケアハウス、小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護のこの七サービス、これに国土交通省が整備を進めるサービス付き高齢者向け住宅二万人分が加わり、計画の三十八万人に加えて、二〇二〇年代初頭までに合計五十万人分以上のサービス基盤を整備するとのことです。

 しかし一方では、負債額一千万円以上の介護サービス事業者の倒産件数が昨年一年間に前年比一・四倍の七十六件に達し、二〇〇〇年の介護保険制度開始から最多を記録したことが信用調査会社のまとめでわかったという記事が本年一月の新聞で掲載されていました。景気回復で他業種に人材が流れ、人手不足が深刻化していることや、事業者に支払われる介護報酬が昨年二・二七%引き下げられたことが主な要因と言われており、介護事業の環境の厳しさがあらわれた状況であります。また、今のままで推移すれば二〇二〇年には介護職員の不足数が約二十五万人になるおそれがあるとして、厚生労働省は深刻な現状である介護職員の不足について、再就職支援などの人材確保策に力を入れようとしています。このような介護事業の現状とともに、企業における取り組みも急がれるところです。冒頭申し上げた、介護のために離職する人は年間十万人おられます。働き盛りの社員が両立を断念すれば、企業にとって大きな損失であり、そういった意味でも働き方の見直しを進めていかなければならないと思うところです。また介護に関する研修などを企業内で積極的に行ってもらうことの働きかけや、介護離職ゼロを目指す企業に対して、インセンティブ的に評価及び公表することなど、行政ができる取り組みもあるかと思います。

 そこで、知事にお尋ねいたします。

 介護のために離職せざるを得ない人をなくすためには、介護サービスの整備や介護人材の確保が必要でありますが、県ではどのように取り組もうとされているのか。また介護休業、介護休暇を取得しやすい職場環境の整備などについて企業側の対応も重要であることから、県ではどのように働きかけを行おうとしているのかお伺いいたします。

 次に、経済的困難な環境にある子どもへの支援についてお聞きいたします。

 この件につきましては、きょうの代表質問と重なりますが、ご容赦いただきますようお願い申し上げます。

 貧困撲滅に取り組む国際NGO、オックスファムは本年一月、世界の資産家の上位六十二人が持つ富は、全人口の下位半分三十六億人が持つ資産の総額に匹敵するというショッキングな報告書を発表しました。まさに富の偏在という問題が顕在化しており、格差、不平等の拡大が深刻さを増す中で、疾病や災害は貧しい人たちを直撃し、それが格差、不平等の拡大に拍車をかけるという悪循環に陥っています。

 貧困には絶対的貧困と相対的貧困という捉え方がありますが、私たちはえてして絶対的貧困に目を向けがちで、我が国には食うに困る人は皆無だと言い、貧困対策には消極的な方々もおられます。格差という問題に対しても社会生活にはついて回るものだという有識者もおられます。今日の社会は格差が拡大し、二極化し、貧困が世代間連鎖をしているという問題であります。とりわけ子どもたちの貧困問題は社会の大きな課題であると認識しています。子どもの貧困指標として、OECDや厚生労働省では、国民一人ひとりの可処分所得を計算し、中央値の半分に満たない人を貧困と認定。子どもの貧困率は十八歳未満について示したもので、二〇一二年は一六・三%と過去最悪であると厚生労働省が公表しました。実に六人に一人の子どもが相対的貧困状態にあり、特にひとり親家庭の半分以上が貧困状態にあり、先進国の中では最悪の水準であることも明らかになりました。母子家庭の八割で母親が働いており、平均年間就労収入は百八十一万円にすぎず、二つ以上の仕事をかけ持ち長時間働くことによって子どもの食事や日常の世話に手が回らず、子どもの生活や学習意欲に悪影響を及ぼす原因にもなっています。

 かつては地域で支え、見守ってきた地域のきずなが崩壊した今日、制度として支えていく、社会として子どもを育てていくことが求められています。国においては、親から子への貧困の連鎖を食いとめ、子どもが健やかに成長するため、子どもの貧困対策の推進に関する法律、いわゆる子どもの貧困対策法が二〇一三年六月に成立し、二〇一四年八月には基本方針を定める大綱が閣議決定されました。法律では、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、教育の支援、生活の支援、また親への就労の支援など総合的に推進することが定められています。

 一方、奈良県においては現在、(仮称)経済的困難な環境にある子どもを支援する奈良県計画を策定されようとしています。その素案の中で、平成二十二年の国勢調査による父子、母子家庭世帯は約九千百七十四世帯、ひとり親世帯のうち年収が二百万円未満の世帯が五一・一%を占めており、これらの世帯の子どもは約八千人で児童人口の四%となるそうです。子どもの貧困対策は、第一義的に国としての責務は重大ですが、実際の施策の推進は地域の特性や社会的資源を踏まえ、きめ細かに支援策を届けるための広域自治体である都道府県の役割は非常に重要と考えます。

 そこで、知事にお尋ねいたします。

 国が発表した子どもの貧困率において、特に厳しい状況とされるひとり親家庭の実態を踏まえ、課題の解決のために具体的にどのような取り組みをされるのか、お伺いいたします。

 次に、障害者虐待の防止についてお聞きいたします。

 本年四月から奈良県障害のある人もない人もともに暮らしやすい社会づくり条例が全面施行されます。この条例では、障害を理由とする差別の解消、障害のある人の権利擁護及び県民の理解の促進に関する基本的な事項が定められています。障害のある人に対する虐待行為は言うなれば、障害を理由とする差別事案であり、障害のある人の尊厳を侵す人権侵害の最たるものであると思います。障害者虐待防止法が施行されて三年余り経過しますが、昨年、マスコミ等で大きく取り上げられた山口県の障害者福祉施設で起こった虐待事案は記憶に新しいところです。平成二十六年度の障害者虐待の状況は、全国では二千件を超える障害者虐待があり、奈良県内では十四件の虐待があったと新聞報道されていました。全国でも数少ない条例の制定や、県内の障害者雇用率が全国三位など、障害のある人に対する熱心な取り組みを進める奈良県にとっては、障害者虐待ゼロを目指さなければならないと思うところです。

 そこで知事にお尋ねいたします。

 奈良県障害のある人もない人もともに暮らしやすい社会づくり条例が全面施行となる中で、県として障害者虐待の防止について、どのような取り組みを進めようとしているのかお伺いいたします。

 次に、消費者行政の充実に向けた消費生活相談員の処遇改善についてをお聞きいたします。

 平成二十七年版消費者白書によりますと、平成二十六年度の全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談件数は約九十四万四千件と前年度を上回り、二年連続して増加しております。この相談件数が高水準になった要因の一つとして、インターネットの利用者層が広がっていることなどによる情報化に関連するトラブルや、主に高齢者が巻き込まれる詐欺的なトラブルに関する相談の増加が挙げられます。このように、複雑多様化する消費生活相談に対し、各地の消費生活相談窓口の消費生活相談員は自主交渉のための助言や情報提供を行い、また相談者自身による自主交渉が困難な場合には、相談者からの依頼に基づきあっせんを行うなどの対応をされています。ますます複雑、巧妙化する悪質商法や専門、高度化する消費者問題に日々対応される消費生活相談員のご苦労は大変なものであると認識しています。

 このような中で今般、消費者安全法が改正され、消費生活センターの組織及び運営等の基準が示され、その中で、消費生活相談員の人材及び処遇の確保が求められています。また、消費者庁長官からも再度任用する回数に関して一律に制限を設ける、いわゆる雇いどめをすることなく、消費生活相談員の専門性に配慮した任用や消費生活相談員の処遇改善について格別の配慮をお願いしますという旨の依頼文が各都道府県知事宛てに出されています。しかし、今議会に上程されている奈良県消費生活センター条例の一部を改正する条例では、消費生活相談員の人材及び処遇の確保はうたわれていません。やはり、消費生活相談員の存在は消費者行政の推進に必要不可欠なものであり、その消費生活相談員の専門性に鑑み、適切な人材及び処遇の確保を図っていくことが重要ではないかと思われます。

 県民の消費生活向上に向け、市町村の消費生活相談窓口との連携や啓発事業として、出前講座や中学校、高等学校等への消費者教育などもされておられますし、冒頭申し上げましたように複雑、多様化する消費生活相談に対し、センターが主催する研修以外にも自主的に講座や研修にも出かけておられます。こういった相談員の努力があるからこそ消費者安全の確保が図られるものと確信するところです。

 そこで、知事にお尋ねいたします。

 奈良県消費生活センターにおいて、複雑、多岐にわたる消費生活相談に対応するためにも消費生活相談員の処遇の確保、充実が必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。

 次に、奈良県の産業人材の確保についてお聞きいたします。

 最初の質問に人口減少のうち転出数が転入数を上回る社会減、いわゆる人口流出についてお伺いをさせていただきました。多くの若者が県内で就業せず、県外に職を求める傾向は今も昔もあまり変わりません。県外の企業に就職し、通勤や生活の利便性からそのまま県外に移ってしまう方は私の周りにも数多くおられます。

 今回、奈良工業高等専門学校の平成二十六年度卒業予定者就職状況をお聞きいたしましたが、卒業される生徒数百六十名のうち就職者数は約五〇%の八十一名であり、そのうち県内就職者数は四%の六名から七名ということです。条件が合わないから、あるいは魅力がないから、選ぶ企業数が少ないからということが理由であると想像いたしますが、やはり働いて良しの奈良県づくりを行うためには、積極的な企業誘致や県内企業のさらなる優遇策によって雇用の創出や充実を促すことが大切であり、加えて働く環境の充実も求められており、現在、知事が進めている施策については大いに評価をするとともに、さらに前へ進めていただきたいと願うところです。

 さて他府県では、特に大学との産官学連携により産業分野の成果を企業と共有し、学生に県内就職、定着につなげている取り組みがございます。しかし、残念ながら奈良県には工業系の大学及び大学の工学部は存在しません。この研究部門の存在と役割を果たす機能は、まさしく奈良県産業振興総合センターではないかと思うところです。創業支援や経営における人材育成、販路拡大、ブランド化などのマーケティング支援をはじめ、研究開発や受託・共同研究、依頼試験、設備機器の開放などによる技術支援、研究支援、適正計量推進などさまざまな事業の展開を図っています。また、そのための多種多様な設備も保有されています。特に研究開発は、県内産業界のために生活・産業技術研究部の研究員がそれぞれの専門分野において、県内産業のニーズを踏まえて研究活動を行っておられますが、さらに高めていくとなると研究員不足が課題となってまいります。こういった問題をクリアしながら、魅力あるセンターのもと魅力ある企業の育成と人材の確保を願うところです。

 そこで、知事にお尋ねいたします。

 県内には奈良工業高等専門学校をはじめ、優秀な工業高等学校があり、多くの優秀な産業人材が育っていますが、卒業生の多くが県外に就職しています。県内で学ばれた優秀な技術系産業人材が県内で就職していただくためには、職場としての県内企業の魅力を高めることが重要であると考えますが、県の産業振興総合センターではどのように取り組もうとされているのかお伺いいたします。

 次に、近鉄郡山駅周辺地区、昭和工業団地地区のまちづくり連携協定についてお聞きいたします。

 先日、配付いただきました奈良モデルジャーナルを拝読させていただきました。分権の基本は自立自存。だから連携・協働をやるんですという荒井知事の言葉は、みずからのリーダーシップのもと奈良モデルにおける取り組みを全力で推進していこうという決意を感じ取ったところです。今回、同冊子に連携と協働のまちづくりの内容も掲載されていました。県と市町村が共通の目的のもとで役割分担を行い、対等なまちづくりを進めようとするのがこの連携協定の特長です。まちづくりに前向きで、アイデアや熱意のある市町村と県の方針が合致すれば、県と市町村で連携協定を締結し、協働でプロジェクトを進めていきますと記されており、改めて県の思いを確認したところです。

 さて地元である大和郡山市との連携協定も、近鉄郡山駅周辺地区と昭和工業団地地区と二つにわたって結ばれました。近鉄郡山駅周辺地区については、過去の代表質問あるいは一般質問でも明らかにされているとおり、駅舎の移動や歩行者と自動車を分ける東西のアクセス整備、商店街や郡山城址、市役所などへのアプローチ向上に向けての取り組みなどの構想案が進められようとしています。また昭和工業団地地区については、産業振興による工業団地のさらなる発展や地区内の交通対策などによる環境の充実で工業団地の活性化を促すこと。従業員の健康増進や通勤の利便性の向上など、働きやすさの向上。さらには防犯灯や防犯カメラの設置。花いっぱいやクリーンキャンペーンなど工業団地の環境整備に、三者それぞれの役割を確認しながら対等な立場で協働して進めていくということです。

 現在、開催中であります大和郡山市議会定例会で審議されています平成二十八年度一般会計予算の中で、かねてより昭和工業団地協議会の重点項目であった防犯灯の設置が予算化されています。こういった取り組みが市によって進められていますが、県としての役割は具体にどうなのかが現在見えてこないところです。

 そこで、知事にお尋ねいたします。

 まずは近鉄大和郡山駅周辺地区について、現在の地区全体の進捗状況や今後の取り組みの方向性についてお伺いいたします。また昭和工業団地地区については、県と市と昭和工業団地協議会の三者で協働・連携し、まちづくりを進めていくこととされていますが、県ではどのように取り組むのかお伺いいたします。

 次に、教育問題についてお聞きいたします。

 先般、国は経済的に苦しい家庭の子どもたちが教育の機会を奪われないよう、支援策の強化に乗り出すとの新聞報道がございました。高校中退を防止するため、支援員が学習指導や生活相談するなどの取り組みを行う自治体に対して支援をするということです。親の経済状況が将来を左右する貧困の連鎖はあってはならないことであり、教育は未来への先行投資であることを再確認しながら、四点にわたって質問を行います。

 まず一点目は、いじめ問題についてです。

 全ての子どもたちにとって学校は、安心・安全で楽しい場所でなければなりません。しかし、その学校内であるいは学校外でいじめが起こる。今はインターネットなどを通じた陰湿ないじめも数多く見受けられ、なかなか解決の糸口も見出せない状況であると言われています。現在いじめ防止対策推進法が制定され、いじめの未然防止や早期発見のためのアンケート調査やいじめへの対処なども含め、県教育委員会においてもさまざまな取り組みを行っていることは承知いたしております。しかし教育現場でも大変評価が高く、効果のあるスクールカウンセラーの配置状況などは、近隣の各府県に比べてもかなり少ない状況です。こういった効果の高い取り組みは大いに進めていかなければならないと思うところです。

 そこで、教育長にお尋ねいたします。

 現在策定中の(仮称)奈良県いじめ防止基本方針を踏まえ、県教育委員会として今後どのようにいじめの問題に取り組むのか。また、いじめの早期発見や被害生徒等の支援のためにスクールカウンセラーの果たす役割は大きいと考えますが、今後、スクールカウンセラーの充実をどのように進めていくのかお伺いいたします。

 二点目は、食育についてです。

 現在、学校給食においては地産地消に向けての取り組みや、食からつながる健康づくりなどの取り組みが行われています。私の地元であります大和郡山市においても使用する野菜が全て大和郡山産の大和郡山カレーを献立に入れ、生産者と子どもたちをつなぐ食育の推進を行い、感謝の心の育成に努めています。また平成二十六年度には治道小学校において、文部科学省の委託事業であるスーパー食育スクール事業を行い、心と体の健康は充実した食からをテーマに、食を通して感謝の気持ちを育み、自他の命を大切にする心の育成を図っています。食は食だけにあらず、食からあらゆる教育へとつながっていくことに改めて感動を覚えるところです。

 そこで、お尋ねいたします。

 学校における食育の充実・推進は、子どもたちの心身ともに健全な育成を図るために最も重要だと考えますが、学校での取り組みの現状と県教育委員会の今後の支援についてお伺いいたします。

 三点目は、教員の勤務環境の整備についてです。

 二〇一四年のOECD国際教員指導環境調査では、調査対象国の中で日本の教員の労働時間が最も長いという結果が公表されたことは以前もこの場で申し上げました。日本の教員は忙しいと内外で指摘され、昨年七月、文部科学省は教員が子どもと向き合える時間を確保し、教員一人ひとりが持っている力を高め、発揮できる環境を整えていくため、各教育委員会における学校現場の業務改善に向けた支援に資するという趣旨の、学校現場における業務改善のためのガイドラインを公表されました。こういった勤務環境の整備や仕事と家庭の両立支援、健康管理などは目の前の課題として全力で取り組んでいただきたいと願うところです。

 そこで、お尋ねいたします。

 昨年十月、人事委員会から職員の給与等に関する報告及び勧告についてにおいて、ワーク・ライフ・バランスの推進に向けた勤務環境の整備に関して報告がありましたが、これを踏まえて教員の労働時間や勤務環境の改善に向けてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

 四点目は、県立学校の空調設備についてです。

 学校の施設整備は行政が責任を持って取り組まなければならないことは言うまでもありません。地域で一番安全な場所は学校であるがゆえに、地域の避難場所にもなっています。その校舎の老朽化については、前回の一般質問でお伺いするとともに、耐震化についても早急に対応いただきたいと常日ごろ申し上げているところであります。そういった施設整備の一つであります空調設備については、過去にも取り上げたところでありますが、平成二十七年度予算で県内五校のモデル実施を行い、今後、検証を行っていくという状況です。しかし検証ということなら五年前、既に育友会等で設置されている高等学校で十分に検証できるはずだということは、文教くらし委員会でも指摘させていただきました。温暖化が厳しい今日、教育環境を守るという観点からも一日も早い設置を望むところです。

 そこで、お尋ねいたします。

 県立高等学校の空調設備については今後どのように取り組もうとされるのか。また、育友会等で空調設備を設置したところはその費用負担を早急に公費に切りかえるべきと考えますがどうか、お伺いいたします。

 最後に、認知症の方への対応についてお聞きいたします。

 平成十九年に愛知県内で認知症の方が列車にはねられた事故をめぐり、家族が鉄道会社への賠償責任を負うかが争われた訴訟の上告審判決が今月一日、最高裁判所でありました。高齢の妻、そして別居されている実の息子への賠償責任を認めず、鉄道会社の訴えを退ける判決が言い渡されました。息子さんは判決前、認知症の方が地域で安心して暮らせる前提となるような判決をお願いしたいとおっしゃっておられ、判決を受けて最高裁判所への感謝の言葉とともに、父も喜んでいるはずです、八年間いろいろありました、これで肩の荷がおりましたと安堵されていました。

 認知症の方の意思やともに過ごしたいという家族の思いが尊重され、できる限り住みなれた地域という環境のもとで自分らしく暮らし続けることは誰もが願うことであり、多くの県民の希望ではないかと思うところです。そのためには、地域社会における見守り体制づくりが重要かつ急務であると考えます。

 そこで、警察本部長にお尋ねいたします。

 認知症の高齢者がひとり歩きされ行方不明になられるという事案が、一昨年全国で一万人を超えたと聞いていますが、奈良県ではどれぐらいの方が行方不明になっているのか。また、認知症の方に対し警察としてどのように対応されているのかお伺いいたします。

 以上で、壇上における質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)



○副議長(山本進章) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) (登壇)十二番藤野議員のご質問がございました。お答え申し上げます。

 新年度予算関連で人口減少、人口流出に歯どめをかける取り組み、二問ございました。まず、保育環境の整備の観点でございます。

 女性の就業率が全国最下位であり、合計特殊出生率もワースト三位であります本県にとりまして、若い世代、とりわけ女性が働きながら安心して子育てができるよう、保育を充実させることは少子化対策の重要な柱でございます。本県ではこれまで、安心こども基金を活用して保育所整備を推進してまいりましたが、平成二十一年度から平成二十七年度までの七年間で、定員は約二千九百人増加いたしました。この結果、昨年の十月一日現在では、待機児童数は前年同時点よりも四十八人減少いたしました。しかし、依然として二百九十五人の待機児童が発生している状況でございます。こうしたことから平成二十八年度は、安心こども基金による認定こども園の施設整備支援や国の交付金を活用した保育所の創設や増改築を促すことにより、平成二十九年度末までに待機児童を解消し、県全体の必要な保育の定員を確保してまいりたいと考えております。保育の受け入れ児童数を拡大するためには、あわせて保育士の確保も必要でございます。平成二十六年七月から奈良県保育士人材バンクにおいて、潜在保育士の就職支援を行ってきております。平成二十八年二月末時点で、保育所等への就職件数は延べ百四十六人までになりました。平成二十八年度は新たに求人側の施設において、より働きやすい職場づくりを行っていただくため、施設長など管理職向けのマネジメント研修を実施したいと思っております。

 また県内の保育士養成施設の卒業生のうち、保育士の仕事におつきになるのは約半数にとどまっているのが現実でございます。このため平成二十八年度の新たな取り組みといたしまして、保育士養成施設が在学生を対象に保育所等への就職を促す講座等を開催し、就職率が上がった場合に必要経費を補助する制度を創設したいと考えております。

 以上のような取り組みのほか、手厚い保育士の加配による障害児保育に対する支援や単独の市町村では実施が困難な病児保育の広域実施への支援等を進めたいと思います。保護者が安心して子どもを預け働くことができるように、保育の充実に努め続けてまいりたいと思っております。

 二つ目のご質問が、社会減に歯どめをかける取り組み、若者のUターンなどの取り組みについてでございます。

 若者の県外流出が続いております。議員お述べのように人口が社会増も含めて伸びておりますのは、一部の大都市に限られているのが日本の現実でございます。平成二十七年十二月に策定いたしました奈良県人口ビジョンによりますと、平成二十五年一年間の二十歳から二十九歳の若者の転出超過数は約三千三百人となっております。また奈良県年齢別人口調査では、平成二十三年に大学在学年齢の十八歳から二十三歳でありました若者が、四年後二十二歳から二十七歳となられました時点で、約九千人が減少しております。県外に住居を移されたわけでございますが、これらは就職による転出が主な要因であると考えられますので、若者の流出をとめるためには県内就労をふやすことが大きな課題でございます。

 そこで県内在住の大学生を県内企業へ就職するよう促すこれまでの取り組みに加えまして、県内から東京圏の大学に進学された若者を対象に、就職の際に奈良へのUターンを促すことも必要だと思います。就職の際にUターンをしてもらうという取り組みも必要かと思います。昨年来、東京圏の六十大学を訪問し学生の意向聴取を進めております。奈良への就職を希望されているものの、県内企業の情報が少ないため、奈良での就職活動に踏み切れない学生も少なくないという状況もわかってまいりました。

 そうした学生さんたちに奈良県の企業を身近に感じてもらうために新年度におきましては、東京圏での県内企業説明会の開催や就職フェアなどでの県による無料職業紹介ブースの開設など、若者と企業との出会いの場を多く設けることにより、具体的な就職活動へつなげていきたいと考えております。またデザインやIT分野など東京圏での業務経験を積まれた方には、地方での起業を志向する方もおられます。そういった方々には、昨年東京に設置いたしましたUIJ相談窓口を通じて、奈良で住み、働く魅力情報を発信して本県で起業していただくよう働きかけていきたいと思います。就職は難しいわけでございますが、起業というのはある程度選択的にできるというふうに狙っております。少しずつでも努力を重ねてまいりたいと思っております。

 新年度予算の中での社会保障関係費の抑制のために、健康増進に積極的に取り組む必要という観点のご質問がございました。

 高齢になられても日常的に介護を必要とせず健康で自立した生活ができるようにすることが、社会保障関係費の経費の抑制につながるものと信じております。本県では、県民の健康寿命を平成三十四年度までに日本一にすることを目標に取り組みをこれまで進めているところでございます。健康寿命を延ばすために何をすればいいのかということになりますが、新年度におきましては、特にがん検診の受診率向上と減塩・野菜摂取の促進、運動の促進に重点を置いて取り組むこととしております。議員も私もお互いにこの健康寿命のエクササイズを心がけたいと、このような席で申し上げて恐縮でございますが、していきたいと思います。

 まずがん検診でございますが、平成二十五年度から受診対象者への個別受診勧奨、未受診者への再勧奨等を実施する市町村を支援してまいりました。平成二十六年度に取り組んでいただいた市町村では、実施前に比べまして受診者が一・七倍から二・四倍までふえるなど、確実に成果がございました。このような取り組みが県内全市町村に広がるよう、平成二十八年度から個別受診勧奨、再勧奨に対する県独自の助成制度を創設したいと考えております。

 次に減塩、野菜摂取でございます。県民の食習慣の実態を詳細に把握して、どこが野菜の摂取が少ない市であるとか、町であるとか、それと健康寿命がどのように結びついているのかということを詳細に把握することができたらという思いでございます。本県では初めてとなる食に関する大規模な調査を実施することといたしております。この調査により、県内各地域の食習慣の違いや市町村別の塩分摂取量、野菜摂取量などを明らかにした上で、その実態に合わせたきめ細かな施策展開を図ってまいりたいと思います。健康寿命一位の長野県は野菜摂取量全国一位でございますが、奈良県は全国四十六位でございまして、そのような観点からの調査でございます。また運動でございますが、歩くことによる健康づくりは大事でございます。その拠点として健康ステーションを県内二カ所に設置しております。橿原市と王寺町でございますが、オープン以来既に延べ十万人を超える方に来場をいただいて好評を得ております。平成二十八年度は、新たに市町村営の健康ステーションの設置、運営に対する支援制度を創設して、健康ステーションが県内各地で展開され、ありきたりの風景になるように取り組んでまいりたいと思います。健康寿命延長の取り組みは議員申されましたように、医療費及び介護費の抑制、ひいては医療保険料、介護保険料の低減等も期待できることで重要な施策だと考えております。

 介護離職ゼロの実現を目指す取り組みについてのご質問がございました。

 今後ますます高齢化が進む中、介護をめぐる施策は重要な事項でございます。その中でも介護をされる家族が安心して働き続けられ、介護離職者が発生しない社会を実現することは極めて重要な課題ですが、議員もそのことを目標にすべきとお述べになっておられます。

 まず介護サービスの整備につきましてでございますが、特別養護老人ホーム等の施設整備を計画的に進める必要がございます。ひとり暮らしの要介護高齢者でも在宅生活ができるよう市町村と連携して、地域包括ケアシステムを支える二十四時間、三百六十五日対応の在宅サービスの充実に努めたいと思います。

 次に介護人材の確保でございますが、昨年九月に設置いたしました福祉・介護人材確保協議会を核にいたしまして、教育機関をはじめ、国や社会福祉法人などと協働しながら、教育、養成から職業紹介、就労まで一貫したより効果的な取り組み、養成と就労の接続をうまくするといった取り組みを進めていきたいと思います。例えば一定基準をクリアされました事業所を知事が認証して、その情報を公表して見える化する事業所認証制度の導入により、新たな人材の確保や介護職員の定着につなげていきたいと思います。優良事業所を見える化することにより、人材の確保がスムーズにいくようにという観点でございます。さらにスキルアップの面でございますが、より質の高い介護サービスを提供するためには、認知症や医療を必要とする高齢者にも適切に対応できる介護サービスが必要となってきております。介護従事者に対する認知症ケアや、たんの吸引などの研修の実施など、人材の資質向上にも力を入れる必要があろうかと思います。

 次は、介護現場の働き方改革でございます。

 介護離職ゼロに向けた県内事業者の対応につきましては、労働者が介護と仕事を両立することができるように長時間労働を是正する必要があろうかと思います。長時間労働が大変問題だと言われております。多様で柔軟な働き方ができるように、マネジメントできるようにというような考え方でございます。そのような職場づくりを進めようとされている事業所を奈良県社員・シャイン職場づくり推進企業として登録、表彰して情報発信をして、他の事業所もまねるように仕向けてまいりました。シンポジウムやセミナーなどを通じて、介護休業等を取得しやすい職場を広げるための働き方の改善に向けた取り組みをさらに進めていきたいと思っております。介護と仕事を両立できる環境づくりというのはまだ道半ばだと思っておりますが、いろんな工夫を重ねながら努力を重ねていきたいと思います。

 次のご質問は、経済的に困難な環境にある子どもへの支援ということでございます。特に厳しい状況とされるひとり親家庭に対する具体的な取り組みはどうかという重要なポイントでございます。

 近年、増加の傾向にありますひとり親家庭は、親が就労と子育ての両立を強いられる立場にございます。経済的な困窮のみならず、子どもに十分なかかわりを持てないことなどの困難が重なっておられるご家庭でございます。そのようなひとり親家庭の実態について、平成二十六年度に県は調査を実施いたしました。その内容を簡単に紹介申し上げますと、ひとり親家庭では親の九割が就労されておりますが、その半数が年収二百万円未満でございます。また、ひとり親家庭の子どもは大学等の進学率で他の世帯との格差が生じております。また小学生の約六割が放課後を自宅で過ごし、その多くが子どもだけで過ごしていることなど、家庭の中のひとりぼっちの課題も明らかになってきております。そのことから、今策定の作業をしております(仮称)経済的困難な環境にある子どもを支援する奈良県計画におきましては、ひとり親家庭での経済的困難な子どもを支援の対象として位置づけ、子どもの学力の向上や安全・安心の確保を図るとともに、家庭を下支えする親の就労等の支援の充実を図ることを目標としております。

 具体的な支援の内容のアイデアでございますが、ひとり親家庭の子どもに対する支援といたしましては、学習ボランティア等による学習支援や、放課後に気軽に集え食事等も提供される地域の居場所づくり等ができないかという観点で取り組もうとしております。家庭を支える支援といたしましては、就職に有利な資格取得のために養成機関に入学されるひとり親に、卒業後、一定期間就業することにより返還免除となる入学準備金等の貸し付けを新たに実施いたします。返還免除つきの貸付金ということでございます。また、ひとり親の就業、自立の相談窓口でございます奈良県スマイルセンターにおきまして、子育てに関するひとり親の悩みに対応するセミナーの開催や調理師等さまざまな資格取得に係る講習会実施時の託児サービスの実施、離婚前からの養育費や面会交流の相談等について新たに取り組んでまいりたいと思っております。これらにより、ひとり親の相談、支援のワンストップ機能の充実を図りたいと思っております。コンパクトなサービスを心がけていきたいと思います。

 県といたしましては、地域において孤立しがちなひとり親家庭に寄り添いながら、子どもの健やかな育ちと自立に向けた支援の充実にお役に立ちたいと考えております。

 次のご質問は、障害者虐待の防止についてでございます。

 議員お述べのように、障害のある人の人権を尊重し、権利を擁護する観点から、また障害の有無にかかわりませず暮らしやすい社会づくりを推し進める上で、障害者虐待の防止や虐待を受けた障害のある人に対する支援等は重要な課題でございます。具体的な取り組みでございますが、本県では障害者虐待防止法が施行されました平成二十五年十月から奈良県障害者権利擁護センターを稼働させておりますが、県内全ての市町村に設置されました障害者虐待防止センターと連携を図って、虐待事案に関する相談対応や支援等に取り組んでまいりました。この取り組みは大事かと思っております。また平成二十六年度の相談・通報件数は、県と市町村の合計で五十一件でございます。そのうち、虐待と認定されたものは十四件ございます。内訳といたしまして、養護者による虐待が十四件のうち十二件を占めております。類型別には心理的虐待が最も多く七件となっておる実情でございます。このような実情でございますので、県は三百六十五日、二十四時間体制で通報・相談の受け付けを行うとともに、アドバイザーとして委嘱しております弁護士などから専門的な助言をいただきながら、迅速かつ適切な対応に当たろうとしております。急を要するご相談もあり得るものでございます。

 また市町村からの相談にも応じ、事案によっては市町村と共同して対応することも考えております。市町村職員を対象とした研修を行い、県域における対応力の向上に取り組んでおります。また、障害福祉施設等の従事者を対象に障害者虐待防止・権利擁護研修を実施し、虐待の未然防止にも努めております。

 今後も、ことし四月に全面施行になります障害のある人もない人もともに暮らしやすい社会づくりの条例の推進と虐待防止の取り組みを連動させ、より効果的な広報、啓発に取り組むとともに、引き続き、市町村、労働局や関係機関と連携強化を図り、相談・通報事案に対して迅速かつ適切な対応に努めてまいりたいと考えております。条例ができたのに事態は改善しないと言われることのないように取り組みの体制を強化していきたいと思っております。

 消費者行政への充実に向けた消費生活相談員の処遇改善についてのご質問がございました。

 近年、悪質商法の手口はますます複雑、巧妙化しております。消費者問題も専門、高度化しております。日々消費生活に関する県民からのさまざまな相談に応じている消費生活相談員は、消費者行政の推進に欠かせない中心的な存在であると認識をしております。本県の消費生活相談員につきましては、任用期間を一年以内とするものの、客観的な能力の実証に基づき再度の任用を行ってきている実情にございます。また、その報酬額は消費生活相談員の専門性等を踏まえ、順次改定をしており、現在では本県の報酬額は全国平均を上回る水準まで達しております。これまで消費生活相談員のさらなる資質の向上を図るため、国民生活センター主催の研修に派遣をしておりますが、さらに本年四月の消費生活センターの移転に伴いまして、相談コーナーの拡充など相談対応がしやすい環境の整備にも努めてまいりたいと思います。

 今後も消費生活相談員がその職能を最大限発揮できる環境づくりに努めて、県民が安全で安心して消費生活を営むことができるよう消費者行政の充実強化を図るとともに、消費者行政の担い手であります消費生活相談員の処遇の確保、充実についても検討したいと思います。

 産業人材の確保についてご質問がございました。大変重要な点だというふうに思います。

 工業系高等学校や理系大学を卒業されました技術系人材はブランド力があり、研究開発体制が整った都市部にある大手企業への就職を希望される傾向にございます。そういった優秀な技術系人材が地方にとどまり、産業の活性化を担うことが我が国全体にとっても、また本県にとっても極めて重要でございます。本県では、平成二十六年三月に県内工業系高等学校を卒業された就職者は三百七十六人おられますが、その人たちのうち県内の就職者は五割にすぎない状況でございます。製造業が必要とされる優秀な技術系人材を確保するためには、議員お述べのとおり県内企業の魅力と実力を高めることが重要であろうと認識をしております。県内には先端分野でございますロボット関連や医療器具、高機能食品といった製造企業もございます。製品開発力に一層磨きをかけること、そしてブランド力を高めていくことによって、奈良県の企業も成長される可能性が随分あるように思います。

 そこで県内企業の技術力を高め、新たな産業の芽を生み出すために研究開発の充実は極めて重要でございますので、その取り組みとしてこのたび奈良県産業振興総合センター中期研究開発方針(案)を取りまとめ、特定の分野において国内外での市場占有率が高い製品をつくり出す、いわゆるグローバルニッチトップと言われる企業の創出、育成を目指す志を非常に高くした研究・開発を開始したいというふうに思っております。また、県内中小企業の新技術の開発や自社製品のブランド化、高付加価値化を図ろうとする新たな取り組みに対しましても技術支援や補助を継続して実施していきたいと思います。また、このような県内企業の高度化が進んでいることを県内、また県内出身の若者たちにもっと知っていただく努力も必要と考えております。本県ではこうした取り組みにより、県内工業系高等学校の卒業生をはじめ、貴重な若い産業人材の県内中小企業でのより一層の活躍を促していきたいと考えております。

 近鉄郡山駅周辺地区と昭和工業団地地区のまちづくり連携協定の進捗について、方向性についてのご質問がございました。お答え申し上げます。

 近鉄郡山駅周辺地区におきまして、これまで県と市で六回の検討会を行って議論を重ねてまいりました。またこの間、市民が参加されますワークショップを二回開催いたしまして、市民視点でのまちの課題や理想のまちの姿をお聞きしてまいりました。県としては、広い視点から提案をお示しすることも大切であると考え、まちづくりの核となる近鉄郡山駅の北側への移設や鉄道による地域の東西分断解消のための連絡道路及び自由通路の検討、周辺の公共施設の集約化なども検討に値するのではないかという提案をしているところでございます。今月末でございますが、県、市、地元、近畿日本鉄道株式会社など関係機関、学識経験者などをメンバーとする第一回まちづくり委員会が開催されます。ここでさらに検討を深めまして、来年度上半期の基本構想の策定を目指していきたいと考えております。

 次に、県下最大の産業集積地でございます昭和工業団地地区のまちづくりでございますが、平成二十七年六月に県と市とのまちづくりに関する包括協定に追加をいたしました。工業団地の活性化、従業員の働きやすさの向上、環境整備、企業と地域との連携に向けたまちづくりの協定でございます。県、市、昭和工業団地協議会の三者による連携協定も同時に締結をいたしました。現在、市が昭和工業団地協議会の協力を得られて、団地内の各企業からまちづくりに関する意見や要望をお聞きするために、企業訪問やアンケート調査を行っていただいております。その調査結果は今後、整理をして体系的に見られるようにしていきたいと思っております。具体的な取り組みはこれからでございますが、そのようなアンケート調査を踏まえた検討になろうかと思います。県、市、昭和工業団地協議会、それぞれの役割についても協議しながら団地の将来像の構想案の策定につなげていきたいと思います。

 先ほども申し上げましたが、近鉄郡山駅周辺地区のまちづくりは、駅周辺のにぎわいを取り戻すとともに、公共公益施設の再配置や快適な移動環境を実現するための最後の機会ではないかと感じております。また、昭和工業団地地区のまちづくりは、県下最大の工業団地のさらなる発展と働いて良しの実現のために大切な取り組み、県内の他の団地のモデルになる大切な取り組みと考えております。

 県といたしましては、大和郡山市や関係の方々と議論を重ねまして、よりよいアイデアが発生するように、結果がいい将来像が得られますように全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 残余の質問は教育長、警察本部長がお答え申し上げます。ご質問、ありがとうございました。



○副議長(山本進章) 吉田教育長。



◎教育長(吉田育弘) (登壇)十二番藤野議員のご質問にお答えをいたします。

 私には四つの質問をいただいており、一問目は、奈良県いじめ防止基本方針を踏まえた取り組みとスクールカウンセラーの充実についてのお尋ねでございます。

 現在、策定をいたしております本県のいじめ防止基本方針では基本的な考え方といたしまして、子どもの自尊感情や社会的な規範意識を高める取り組みを推進すること。学校、家庭、地域や関係機関が連携協働して取り組むこと、いじめを生まない環境づくりを推進することなどが重要であると示しております。県教育委員会といたしましては、このことを踏まえまして、県独自に作成をいたしました学習資料等を活用し、人権教育や道徳教育の充実に取り組んでおります。また今後は社会の中で生きていくために必要な資質、能力を培うシティズンシップ教育でありますとか、体験活動やボランティア活動等の児童生徒が自主的に行う活動を地域と連携して推進することによりまして、いじめをしない、いじめをさせない、いじめを許さない子どもの育成に努めてまいりたいと思っております。

 議員お述べのスクールカウンセラーにつきましては、本年度から全公立中学校に配置をし、校区内の小学校へも支援を行える体制づくりをいたしております。また小学校には児童の相談相手となり、見守りを行う児童相談員を二十校に配置をし、加えて来年度からはいじめや不登校の未然防止、早期対応のため、心理学等を大学で学んでおります学生ボランティアを小学校を中心に三十校へ派遣をいたします。また高等学校におきましては、本年度より四校増となります十五校にスクールカウンセラーを配置する予定でございます。今後、これらの取り組みをさらに充実させ、本県で学ぶ児童生徒の誰もが安心して豊かに生活できる学校づくりを推進してまいる所存でございます。

 二問目は、食育の充実への取り組みについてのお尋ねでございます。

 学校における食育は、小学生は食生活の基礎の確立を、中・高校生は自立した食生活を実践できる力の習得を目指しておりまして、学校教育活動全体を通じて取り組むことが重要でございます。とりわけ小・中学校におきましては、学校給食を生きた教材として活用することは食育を推進する上で果たす役割は大変大きいものであると認識をいたしております。

 具体的に申し上げますと、児童生徒は地域の農業を理解するために、農業体験を通して生産農家との交流を行ったり、学校給食に地元で収穫された野菜等を献立に取り入れ、地場産物や郷土料理の学習をするなど、地域の特性に応じた食育が展開をされております。県教育委員会では、食育の充実を図るために栄養教諭の採用を本年度より三名から六名に拡充をいたしました。また、より専門的な栄養教諭の研修会を引き続き実施をいたしまして、指導力の向上に努めてまいります。今後も児童生徒が、食に関する正しい知識や感謝の心、望ましい食習慣などを身につけることができるよう積極的な食育の充実、推進に取り組んでまいります。

 三問目は、教員の労働時間や勤務環境の改善に向けての取り組みについてお尋ねでございます。

 人事委員会の勧告では、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けまして、職員の勤務実態を的確に把握し、総実労働時間の短縮でありますとか、仕事と家庭の両立の支援、職員の健康及び安全管理の取り組みが重要であるとの報告がなされました。県教育委員会では、従前より教員の多忙化解消の取り組みといたしまして、学校の業務改善の優良事例をまとめた実践事例集でありますとか、また、議員お述べの学校現場の業務改善のためのガイドラインを県立学校及び市町村教育委員会などに周知をし、活用を働きかけてきたところでございます。来年度は多忙化解消に向けた具体的な対策を検討していくために、県独自に教員の勤務実態を把握するための調査を実施することといたしております。また労働安全衛生法に基づきまして、労働安全衛生管理体制の整備が求められており、その一環といたしまして、全ての県立学校において長時間労働で疲労の蓄積が認められる教職員に対する医師の面接指導体制を整えております。それとともに県内小・中学校に対しても、この体制整備に向けた助言や技術的支援なども行っております。今後は、従業員五十人以上の事業所に義務づけられましたストレスチェック制度を全ての県立学校に導入し、メンタルヘルス不調の未然防止に努めるとともに、県内小・中学校にも導入を働きかけてまいります。教員の心身の健康が児童生徒への教育の質にも直接影響が及ぶとの認識を持ちながら、今後とも市町村教育委員会と十分連携を図り、教育現場の環境改善に取り組んでまいる所存でございます。

 最後に、県立高等学校の空調設備についてのお尋ねでございます。

 県立高等学校の空調設備は、現在十四校で育友会等により設置をされておりますが、県教育委員会では議員お述べのように今年度、大和中央高等学校をはじめ五校をモデル校に指定をし、来年度からの使用に向けて現在設置を進めているところでございます。既に設置されている学校からは、学習面での効果など定性的な効果は報告をされておりますので、モデル校では保健室の利用状況、また夏季休業期間中における補習等への参加の状況、加えまして維持管理経費等を詳細に調査をするために今年度は空調設備設置に係る導入前調査を実施いたしまして、継続して来年度も調査を行うなど、空調設備の定量的な効果について測定をしてまいりたいと思っております。教育の環境整備は、奈良県総合教育会議での主要なテーマの一つでもございますので、同会議での議論を踏まえながら、既に育友会等で設置された空調設備の費用負担のあり方などもあわせて空調設備設置について今後検討を進めてまいります。

 以上でございます。どうもありがとうございました。



○副議長(山本進章) 羽室警察本部長。



◎警察本部長(羽室英太郎) (登壇)十二番藤野議員のご質問にお答え申し上げます。

 私へのご質問は、認知症の方が行方不明になっておられる状況と、警察としての対応に関するお尋ねであります。お答え申し上げます。

 平成二十七年中に県警察に届け出のあった行方不明者数はちょうど一千人で、うち認知症またはその疑いのある行方不明者数は百九十五人と全体の一九・五%であります。認知症またはその疑いのある行方不明者届けを警察で受理した場合には、事件事故に遭遇する可能性が高いことを踏まえ、早期発見、保護のために隣接警察署などへの手配やご家族の承諾を得て県警察ホームページに手配チラシを掲載し、情報提供のお願いを行っております。

 なお捜索活動におきましては、必要に応じて県警察ヘリコプターや警察犬の出動、さらには地元自治体や消防団のご協力を求めるなどしているところであり、昨年は受理した百九十五人のうち百九十四人を発見、保護しておりますが、一人についてはまだ発見に至っておりません。県警察では認知症の方に対する適切な対応を行うため、昨年七月に警察本部の女性警察官三名に認知症サポーター養成講座の講師となることができる資格である、認知症サポーターキャラバン・メイトの資格を取得させております。この三名が県健康福祉部地域包括ケア推進室職員などと連携して、警察本部や警察署、警察学校におきまして、認知症サポーター養成講座を開催し、認知症の方への対応の心得である、驚かせない、急がせない、自尊心を傷つけないといった基本姿勢を指導しているところでございます。

 今後も自治体や関係機関、団体とも連携して、行方不明事案をはじめとした警察活動における認知症の方への対応を適切に行うための取り組みを一層推進してまいりたいと考えております。

 以上です。ありがとうございました。



○副議長(山本進章) 十二番藤野良次議員。



◆十二番(藤野良次) 二回目です。順番は逆になりますけれども、警察本部におかれましては認知症の方への行方不明に対してはさまざまな取り組みを行っていただいていることには敬意を表します。

 今朝のNHKの番組でも痴呆症の町なかにおける事故等についての、そうした放映の番組がございました。まさしく高齢化社会に入りまして、こういった事案というのは行方不明とかも含めて、今後ますますふえてくるというふうに思います。見守りも含めて今後一層の警察本部の取り組みもぜひともよろしくお願いを申し上げます。

 次に教育問題についてですけれども、教育環境の充実というのは、やはりハード面、ソフト面の両方を求めていって、また現場のさまざまな課題も解決をしていくということがございます。

 一点はやはり空調設備の設置については少し対応が遅いのかなというふうに思いますし、また、そこもしっかりともっとスピードを上げて取り組むべき課題ではないかなというふうに思っております。これは、文教くらし委員会に私は所属いたしておりますので、また随時、委員会の中で追い求めてまいりたいと、このように思います。

 荒井知事に対しての質問は、数多くございましたので、一つ一つ取り上げて聞こうとは思いませんが一点だけ、消費生活相談員に関してその処遇の確保ということについて質問いたしましたが、やはり複雑多様化しているさまざまな消費生活の問題の中で、相談員の方々がそれに合わせてみずからも研修なり勉強なりをしていかないといけないという状況が現在のさまざまな取り組みであります。課題でもあります。

 したがって、こういった方々のやはり処遇を確保する、充実をしていくというのは本当に行政がしっかりとその辺を支えていくというのが大事だというふうに改めて思いますので、知事の答弁の中でそういった確保という部分においても検討していきたいというようにおっしゃられました。条例の中身を含めて、もう一度さまざまな検討を加えて、ぜひともその充実に向けて働きかけを行っていただきたいと、このように思います。

 全般的には、減り続けている人口に対しての歯どめ策、あるいはさまざまな高齢化社会における問題、そしてまた格差社会という今の現実の問題、障害者の問題等々ですけれども、国のこの問題からつながる地方の課題を私は今回取り上げて質問をしたつもりです。しかし改めて荒井知事の言葉をおかりしますと、地方も中央に追随するだけではなく、地域ごとに自立的、自主的に地域の発展を考えていかなければならない時代に入ってきていると、私もまさしくそのように思うところです。

 そういった意味においては、県と市町村の連携、これは奈良県は一つであるという意味においての奈良モデル、これは荒井知事のアイデアの最たるものであるというふうに思うのですが、こういったアイデアを用いながら県政のさらなる発展、あるいは充実をさらに望むところであり、どうかこれからも頑張っていただきたいと、このように申し上げながら私の代表質問を終わります。ありがとうございました。



○副議長(山本進章) 十九番松尾勇臣議員。



◆十九番(松尾勇臣) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出いたします。



○副議長(山本進章) お諮りします。

 十九番松尾勇臣議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。

     (「異議なし」の声起こる)

 それでは、さように決し、明、三月八日の日程は当局に対する代表質問及び一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。



△午後五時二十八分散会