議事ロックス -地方議会議事録検索-


奈良県 奈良県

平成27年 12月 定例会(第322回) 12月07日−03号




平成27年 12月 定例会(第322回) − 12月07日−03号







平成27年 12月 定例会(第322回)



 平成二十七年

        第三百二十二回定例奈良県議会会議録 第三号

 十二月

   平成二十七年十二月七日(月曜日)午後一時二分開議

   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

          出席議員(四十四名)

        一番 亀田忠彦          二番 池田慎久

        三番 猪奥美里          四番 山中益敏

        五番 川口延良          六番 松本宗弘

        七番 中川 崇          八番 佐藤光紀

        九番 川田 裕         一〇番 井岡正徳

       一一番 田中惟允         一二番 藤野良次

       一三番 森山賀文         一四番 大国正博

       一五番 岡 史朗         一六番 西川 均

       一七番 小林照代         一八番 清水 勉

       一九番 松尾勇臣         二〇番 阪口 保

       二一番 上田 悟         二二番 中野雅史

       二三番 安井宏一         二四番 田尻 匠

       二五番 奥山博康         二六番 荻田義雄

       二七番 岩田国夫         二八番 乾 浩之

       二九番 太田 敦         三〇番 宮本次郎

       三一番 和田恵治         三二番 山本進章

       三三番 国中憲治         三四番 米田忠則

       三五番 出口武男         三六番 新谷紘一

       三七番 粒谷友示         三八番 秋本登志嗣

       三九番 小泉米造         四〇番 中村 昭

       四一番 山村幸穂         四二番 今井光子

       四三番 梶川虔二         四四番 川口正志

   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

        議事日程

 一、当局に対する代表質問

   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



○議長(中村昭) これより本日の会議を開きます。

   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



○議長(中村昭) ただいまより当局に対する代表質問を行います。

 順位に従い、三十番宮本次郎議員に発言を許します。−−三十番宮本次郎議員。(拍手)



◆三十番(宮本次郎) (登壇) 生駒郡選出、日本共産党の宮本次郎でございます。テレビ中継をごらんの皆様にもご挨拶申し上げます。

 安倍内閣が平和安全法制を強行してから二カ月がたちましたが、国民の怒りはおさまらず、ますます広がりを見せています。この法律は、自衛隊のあり方を百八十度転換させ、戦闘地域での兵たん活動や武器の先制使用を認め、アメリカの戦争につき従わせるものであり、どこからどう見ても戦争法と言わなければなりません。

 日本共産党は、直ちにこの法律を廃止し、憲法解釈の変更を行った一年前の閣議決定を撤回する政府をつくる、すなわち国民の手に政治を取り戻すことを呼びかけました。日本の政治を憲法に基づいた民主的な制度に回復するために、全ての個人、団体、政党にこの国民連合政府の樹立を呼びかけるものであります。日本の立憲主義を取り戻すことは全ての政策課題に優先すべきことであり、当面の政策の違いを脇に置き、共闘することを改めてこの場から呼びかけます。

 それでは、日本共産党を代表しまして、県政課題について数点質問いたします。

 まず初めに、県民生活を支える経済政策についてです。

 間もなく年末を迎えますが、県民の暮らしの実態は、格差と貧困の広がりが深刻で先行きが見えません。県が毎年実施している県民アンケートではそのことが明らかです。平成二十六年のものを見ますと、前年と比べ、生活が苦しくなったと答えた人は四〇・三%に上り、前年度までの減少傾向から増加に転じました。これは、楽になったと答えた七・五%の五倍以上になります。苦しくなった理由のトップは、給料や収益の減少で六六%です。この十年間で県民一人当たりの年間所得がどれぐらい減ったか。平成二十四年度県民経済計算によりますと、全国平均がマイナス十二万九千円に対し、奈良県はマイナス四十二万七千円となっています。また県民アンケートでは、子育て世代の七九・八%が物価の上昇などで生活費がふえたと回答しています。消費税の増税の影響についても、購入する物を減らす、安い商品を購入する、不要不急の物は購入しないなど、何らかの工夫を考えている人が全体の七〇・八%に上っています。

 安倍政権が進める経済政策、アベノミクスは、三本の矢として、一、大胆な金融緩和、二つ目に約十兆円規模の公共事業、三つ目に聖域なき規制緩和というものでしたが、結局は大企業の利益が膨らんだだけで国民の暮らしはよくならず、さらに昨年四月からの消費税増税でますます苦しくなったというのが圧倒的な県民の実感です。

 今、安倍内閣は新三本の矢として、一つ目にGDP六百兆円、二つ目に希望出生率一・八、三つ目に介護離職ゼロなどの目標を掲げていますが、全く期待できないとの受けとめが広がっています。日本共産党は、今必要なのは三本の矢でも新三本の矢でもなく、県民の所得をふやす取り組み、この一本の矢が必要だと考えます。

 政府は大企業中心の、いわゆる経済界の要請を受けて、これまで法人税率の引き下げを行ってきましたが、設備投資や賃金引き上げには全く結びついていないのが実情です。そんな中、自由民主党の一部からも、ことし六月末時点で三百四十三兆円に達したと推計される企業の内部留保に対して課税すべきだとの声が出てきています。これまでの大企業優先のアベノミクスが失敗であったことを事実上認めた動きです。

 本県に目を向けますと、大企業が多いわけではありませんが、行政のトップが直接企業経営者に呼びかけて、内部留保を活用するなどし、賃上げを進めることは大変意義あることであり、また必要不可欠と考えます。奈良県の最低賃金は七百四十円、大阪府の八百五十八円と百円以上の開きがあることは大問題です。内部留保の活用などによる賃金引き上げで消費の拡大、企業の業績アップ、そしてまた賃金が上がるという好循環が生まれれば、奈良県内で働く労働者の最低賃金を時給千円に引き上げることも不可能ではありません。今こそ知事がイニシアチブを発揮し、県内企業に対し内部留保を活用するなど労働者の賃金引き上げを呼びかけるべきと考えますが、いかがでしょうか。知事の所見をお伺いいたします。

 同様に正規雇用を拡大することが欠かせません。今、労働法制の規制緩和により、働く人の約四割が非正規雇用という実態です。本県でも非正規雇用の比率は全国平均よりも高い三九・七%となっています。非正規の場合、正規雇用の労働者と同じように、一カ月二十日以上、一日八時間以上働いても、その約八割が月収二十万円に届かず、年金、社会保障など将来の不安がつきまといます。一方、正社員に変わりたいと考えている労働者は三〇・七%に増加し、契約社員、派遣労働者では五割前後に達しています。

 これに対して政府は、非正規雇用労働者のキャリアアップを図り、正規雇用へ転換するという助成金制度を設けていますが、一人当たり最高でも五十万円支払われるに過ぎません。大体、正社員よりもキャリア、スキルがある非正規雇用者は少なくありません。キャリアがないから正社員になれないのではなくて、雇用の調整弁として使い捨てにされていることが問題ではないでしょうか。政府に対し、これ以上の労働法制の規制緩和を中止し、正規雇用拡大のための支援メニューを実効性あるものに改めるよう求めるべきではありませんか。また本県としても、奈良労働局と連携して正規雇用の拡大に積極的に取り組むことが必要ではないでしょうか。知事の所見をお伺いいたします。

 次に、奈良公園周辺で進められている開発行為についてです。

 私たち日本共産党は、これまでも奈良らしさを壊す新たな開発の中止や見直しを求めて、奈良にしかない本物の魅力を生かした取り組みで観光事業の活性化を図ることを訴えてきました。

 第一は、県庁の隣に建設されようとしています(仮称)登大路ターミナルについてです。当初、この計画はバスターミナルというものだったのが、今は大型商業施設になっていると言わなければなりません。地下一階地上三階建て、延べ床面積七千八百平方メートル、六種類の飲食物販施設、三百人規模のレクチャーホール、屋上庭園などを兼ね備え、総事業費二十八億円というものです。

 この地域は、古都保存法に基づく歴史的風土保存区域です。名勝奈良公園の一部として現状変更を行うには文化庁長官の許可が必要となっている地域であり、世界遺産のバッファゾーン、緩衝地帯でもあります。また、この地域は周辺からの眺望がすばらしく、近鉄奈良駅から登大路を東に歩きますと、ちょうど県庁の建物の隣に若草山が見えます。京都方面から南へ向かって雲居坂を歩きますと興福寺五重塔が見えて、これは南都八景にも数えられている美しい景観です。ところが、今回計画をされている大型施設の建設によって、これらが遮られてしまいます。

 文化庁が開発の認可を図る委員会は来年五月に行われる予定で、許可されるかどうかはまだ不明です。ところが、建設現場に行きますと、平成三十年オープン予定とイメージ図まで示した大きな横断幕が掲げられています。まだ工事に係る予算も通っていないのに既成事実かのごとく宣伝し計画を進めることは、県議会を軽視し、先走っていると言わざるを得ません。

 この建物が建つことによって、商店街への影響はどうでしょうか。近鉄奈良駅周辺の商店街の人たちが毎年行っている通行量調査によりますと、商店街全体の通行量は減り続けていると分析をしています。その結果、商店街を歩いただけで奈良らしさを感じられるように、各商店街らしさがにじみ出るような雰囲気をつくろうと現在努力をしておられます。奈良公園の入り口とも言えるこの地域に大型施設を建設して観光客をとどまらせるということになると、せっかく始まった地域商店街の努力に水を差しはしないでしょうか。ターミナルや売店、トイレなどの施設は必要ですが、大型商業施設は必要ないと考えます。

 そこで知事にお伺いします。

 景観に大きな影響を及ぼし、奈良公園の魅力を損ねかねない大型施設は建設を見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、高畑町裁判所跡地の整備についてです。

 この地域は、奈良公園の南の端、鷺池と浮見堂の南側に位置し、北東には飛火野園地が広がり、南側には閑静な住宅地、そして県道を南下すれば奈良教育大学や奈良女子大学附属中学校などの文教施設が立地する地域です。私たち日本共産党県議団はこの高畑町裁判所跡地に調査に入らせていただきましたが、南の高台は中世の時代に興福寺の子院であった松林院があったとされ、非常に見晴らしのいい空間でした。北の広場とそこにつながる斜面は、大正時代に当時の大富豪、山口家が所有し、財力に物を言わせて整備をした豪華な庭園跡でございます。大きな加工石や灯籠、池とそれにかかる石橋、滝の跡なども見られました。

 県が公表している計画では、この地域に歴史・文化、食と賑わい、交流・滞在という三つのテーマで庭園の復元、あるいはオーベルジュ、あるいは上質な宿泊施設の整備が検討されています。しかし、この庭園を復元するとなりますと、予算ははかり知れない規模になりはしないでしょうか。また、この周辺地域における高級レストランは、例えば新公会堂の奈良迎賓館でありますとか、シルクロード記念館のクイーンアリスが相次ぎ閉鎖するなど、うまくいきませんでした。これから整備しようとしました、例えば県立大学内のレストランですとか、この県庁六階のレストランなども高級路線からの計画変更を余儀なくされています。上質な宿泊施設を高台に設置して庭園を見下ろすという計画にも私は大変違和感を覚えます。

 そこで、知事にお伺いします。

 高畑町裁判所の跡地については、その歴史的値打ちを多くの人が共有し、当地を訪れる全ての人に触れてもらえるようにすることが大切と考えます。拙速な整備は行わずに調査、研究を優先させて、地域住民や県民がその成果を共有し、意見を出し合う中で計画を立てるべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 次に、大立山まつりにかかわっての質問です。

 さきの九月議会で二億円の補正予算が組まれた大立山まつり。来年一月二十九日、もう来月に迫っていますが、二月二日までの間、冬の宿泊観光客をふやすことを狙って、青森のねぶた祭りを模倣したイベントを平城宮跡で行うというものです。橿原市や御所市、広陵町に江戸時代から伝わる立山祭りがあります。この祭りは、等身大の人形や模型である立山を作成し、それをみずからの身がわりに見立てて無病息災や五穀豊穣を願う祭りです。この立山を高さ七・四メートルに巨大化して、ねぶたに似せた、いわゆる大立山を四基作成し、平城宮跡に並べてイベントを行おうというものであります。

 なぜねぶた祭りなのか。奈良県の担当者にお聞きしますと、旅行代理店の調査で観光客に最も人気のある祭りがねぶた祭りであるということ、そして模型という点で県内の立山祭りと共通することから具体化に至ったということです。私は、奈良県という一つの行政機関が、あの祭りが人気があるからとイベント会社のごとく、しかも億単位の金を使ってほかの祭りをまねた巨大人形をつくって人寄せを行うというのは、観光県としての品格が問われるものではないかと思います。

 全国各地で伝承されている祭りは、その地域の風土から生まれて、地域住民が主体となって支えて伝えてきたものです。その地域の農耕ですとか生産活動、あるいは精神活動と切っても切り離せないものであります。いわゆる立山祭りの地元である広陵町や御所市の人々の声を聞きますと、地域の祭りや伝統文化の保存運動こそ、もっと支援してほしい。平城宮跡での一過性のイベントではなくて、地域に人が訪れるような取り組みを考えてほしいというものでした。地域の活性化のためにも実際に伝統文化の保存・活用に携わっておられる人々の声には耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。

 また、お祭りをはじめ郷土の風俗・慣習及びこれに伴う生活用具などを収集している県立民俗博物館、ここは伝統文化の保存や展示でも一定の役割を果たしていますが、現在、大変老朽化が著しく、大規模な改修も必要となっており、十分活用できていないのではないでしょうか。

 そこで知事にお伺いします。

 地域にある本物の伝統文化を活用して地域のにぎわいづくりを進めるためには、一過性のイベントではなくて地域に根差した祭りや伝統文化などに対する支援、あるいは県立民俗博物館の活用を積極的に進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、鉄道駅の駅員無配置化、いわゆる無人駅の問題とバリアフリー対策についてです。

 私の地元にあります近鉄東山駅、近畿大学医学部奈良病院の最寄り駅でありますが、近鉄生駒線の中で最も段数が多い四十八段の階段構造となっています。途中二カ所の踊り場があるものの、急勾配のために利用者は一段一段手すりにしがみついて上り下りしている状況です。上りのエスカレーターが設置されていますが、駅員さんにお願いすれば、ほかの乗降客がいなくなったときに下り運転に切りかえてくれますが、駅員は一名しかいらっしゃらないので、実際にはなかなかお願いできません。

 同時に、近鉄竜田川駅、ここは平群町の保健福祉施設プリズムへぐり、あるいは今春開園したゆめさとこども園の最寄り駅ですが、約三年前に駅員無配置化されました。その上、スロープが設置されていません。ベビーカーと幼い子どもを抱きかかえて階段を上り下りするお母さん方の姿を何度もお見かけし、胸が痛みます。

 このように、奈良県内では鉄道駅のバリアフリー化がおくれている上に駅員の無配置化がどんどん進められているという状況です。

 二〇〇〇年に通称交通バリアフリー法が施行されました。二〇一〇年度末までに一日五千人以上の利用者がある駅で段差解消することを目標に整備が進められてきました。エレベーターが設置されるなどして段差が解消された対象駅が九割程度まで前進したことから、二〇一一年三月に国土交通省は移動等円滑化の促進に関する基本方針を新しい方針に改正しました。今度は一日三千人以上の利用者がある鉄道駅にも対象が広げられて、二〇二〇年度までにバリアフリー化を進めようとしています。

 県内には、近鉄東山駅を含めまして近鉄とJRを合わせて乗降客三千人以上の駅が六十四駅あります。すなわち、新しいバリアフリー化の対象になった駅が六十四駅あるわけですが、残念ながらバリアフリー化が進んでいない駅がまだ二十駅も残されており、今後の取り組みが課題となっています。また三千人に達しない近鉄竜田川駅のような駅でも、駅員無配置化されたことによって、これがまた新たなバリアとなって安全面で非常に不安の声が強まっている駅が幾つもあります。

 そこで知事に伺います。

 県として鉄道事業者に対し駅員無配置化対策を求めるとともに、バリアフリー化がおくれている問題を真摯に受けとめて、エレベーターやスロープの設置などバリアフリー化を積極的に進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 次に、子どもの意見表明権を保障した学校運営についてです。

 いよいよ来年夏の参議院議員選挙から十八歳選挙権がスタートいたします。今、世界百九十一カ国のうち百七十六カ国が十八歳選挙権で、世界の流れです。来年新たに有権者となる十八歳から十九歳の人口は全国で約二百四十万人、奈良県で約二万八千人となります。

 私たち日本共産党は、日本民主青年同盟奈良県委員会の皆さんとともに十八歳選挙権に関するアンケートに取り組み、県内の学生、高校生、約百二十名分の回答を得ました。十八歳選挙権について、よいと答えた人は四八・三%、よくない八・三%、どちらとも言えない四三・三%という結果で、自由記述欄を見ますと、国民の意見が広く反映される、早い年から政治にかかわれるなど歓迎する声がある一方で、政治の知識が乏しいなど戸惑いの声もありました。また、政治に望むことのトップはといいますと、若者の政治活動の自由をもっと保障すべき、これが四二・五%、政党、候補者が政策を明確に伝えてほしい、これが三五・八%と、積極的な志向もうかがえました。この声に応えることが私たち政治に携わる者に求められます。

 十八歳選挙権を機に文部科学省は、政治活動を全面禁止した一九六九年の通知を廃止し、このほど新たな通知を発表しました。全面禁止の通知を廃止するのは当然ですが、新しい通知は禁止、制限を強調する内容になっており、高校生の政治活動や意見表明活動を萎縮させかねないものです。これまで日本の教育は、子どもの意見表明権を十分に保障せずに、生徒会活動なども生徒が主体となっていない場合が多かったのではないでしょうか。十八歳選挙権を機に、憲法で保障され、また子どもの権利条約に刻まれた意見表明権を全面的に保障することが必要と考えます。

 そこで教育長にお聞きします。

 今後、県内でも具体化される主権者教育については、公民教科での実践に限定するのではなく、学校生活のあらゆる場面で児童生徒を主体とした活動を保障することが大切と考えますが、いかがでしょうか。教育長の答弁を求めます。

 最後に、学校図書館司書配置への支援を含めた学校図書館の充実についてです。

 学校図書館は、一人ひとりの子どもの豊かな育ちと学びを支援する機関です。ことし四月施行の改正学校図書館法は、初めて学校司書を明記しました。同法によれば、自治体の努力義務とはいえ、学校図書館の利用の一層の促進に資するために、専ら学校図書館の職務に従事する職員、学校司書を置くように努めなければならないと定めています。

 しかし、予算措置は位置づけられずに、使い方を特定しない交付税措置にとどまりました。その基準も一週三十時間の職員をおおむね二校に一校配置するという不十分なものです。その結果、公立小・中学校の学校司書配置状況は、全国平均で小学校四七・九%、中学校四七・六%。本県の場合はさらにおくれて、小学校一五%、中学校一八・一%という状況です。配置されている場合でもほとんどが非常勤という不安定な身分であり、複数校を兼務するなど、幾つも問題を抱えています。

 私の地元、平群町では、この三年間に三つの小学校全てで学校司書を常勤配置しました。どの学校でも図書館に来館する児童がふえ、図書の貸出数が伸びるなど、子どもの読書活動が前進しています。先日、私が委員長を務める奈良県PTA協議会の教育問題委員会で平群北小学校の図書館を視察、調査いたしましたが、休憩時間になると飛び込むようにして来館し、思い思いに読書しながら過ごす子どもたちの姿に驚きました。教師たちは、授業に必要な資料を司書の方が探してくださり、授業準備に大いに役立っていると話しており、学習環境の改善に司書の果たす役割は非常に大きなものがあると感じました。

 子どものころからの読書活動は、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高めて想像力を豊かにするなど、生きる力を身につけていくために必要不可欠なものです。また、その活動の拠点になる小・中学校の図書館の充実は極めて重要な取り組みです。

 そこで教育長にお伺いします。

 小・中学校の学校図書館における司書配置に対する支援を含め、学校図書館の充実や読書活動の推進に向け、県教育委員会としてこれまでどのように取り組んできたのか、また今後どのように取り組もうとされているのか、お伺いいたします。

 以上で壇上からの質問を終わります。答弁によりましては、自席から再質問をいたします。ご清聴ありがとうございました。(拍手)



○議長(中村昭) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) (登壇) 三十番宮本議員のご質問がございました。

 最初は、賃金引き上げのために内部留保を活用してはどうかというお考えのもとでのご質問でございます。

 奈良県の賃金水準が大阪府などに比べて低いことにつきましては、本県企業約三万三千社のうち九九・九%が中小企業であること、また近年の経済状況の変化により、大手電機メーカーなどの従業員が減少し、本県の非正規労働者の割合が増加していることがまず原因だと思います。また、大阪の経済低迷が本県の県民所得に対して影響を与えている面もあろうかと思います。

 労働者の経済的安定を図り、地域経済の好循環につなげるため、賃金の引き上げは本県にとっても大きな課題であると認識しております。議員お述べの企業の内部留保を活用して労働者の賃金引き上げを求めるのは、自由民主党政権の安倍内閣総理大臣が言っておられることでありますが、私はこのことには一般的に賛成しているものでございます。しかし、企業の内部留保を賃金原資にすることは大企業の場合比較的容易でございますが、中小企業が大部分を占める本県の経済構造を考慮いたしますと、企業の内部留保の活用について働きかけを行ってすぐに賃上げにつなげるということは難しいと思っています。

 中小企業主体の本県産業の収益力は大変弱いのが実情でございます。賃金上昇のためには、本県の経済構造を改革し、産業の収益力を高める努力を重ねることがまず必要であると考えております。そのため本県では、産業興し、企業誘致の取り組みにより、本県産業の域外交易力の向上と域内経済循環力の強化を進めているところでございます。

 また雇用対策といたしましては、非正規雇用から正規雇用への転換が賃金上昇につながりますので、労働者、特に若年者の処遇改善を促す取り組みや若年者の正規雇用としての就労を支援するマッチングに努めているところでございます。

 県内で働く方々の雇用の安定と賃金の上昇のためには、奈良県の経済産業の体質と収益力の強化を進める必要があり、粘り強く努力をしていく必要があると考えております。

 次は、非正規雇用者を正規雇用拡大に向けるべきではないかというお立場からのご質問でございます。

 非正規雇用の割合が高いと、地域の賃金水準が低くなります。域内での消費の活性化や経済循環にとってもマイナスの影響になります。また、若年労働者の非正規雇用の割合が高いことによりまして、若年者の所得が不安定になり、未婚、晩婚につながって少子化の大きな原因になっておると認識しております。このため、正規雇用の割合を高めることは、経済政策だけでなく社会政策として地域の重要な課題と考えております。

 一方、企業にとりましては、非正規労働者の雇用を続けるより、安定的な正規雇用へ転換を図ることで労働者の意欲を一層高め、より付加価値の高い商品やサービスが提供できることになり、企業の収益向上にも効果があることについて理解を広げていく必要があると思っております。

 そのため本県におきましては、今年度、県内の企業を対象といたしまして、非正規労働者の正規雇用への転換による企業への効果について認識を促しますセミナーの開催をしております。また、正規雇用への転換を進めようとする県内企業二十社に社会保険労務士を派遣し、経営分析等の支援を行い、正規雇用への転換を県みずからが直接促す試みを行ってきております。

 そういった取り組みを通じまして、福祉、運輸などの人手不足が深刻な業種におきまして安定的に人材確保を行うとともに、経験、ノウハウの蓄積を生かしてサービス水準を維持するという観点から、現在、今申し述べました二十社において三十六名の正規雇用への転換が進められております。

 また国におきましては、本年九月に厚生労働大臣を本部長とする正社員転換・待遇改善実現本部が設置されました。正規雇用への転換に向けた支援を強化されているところでございます。

 奈良県におきましては、奈良労働局と連携し、労働団体や経済界との間で正規雇用への転換をはじめ雇用に関する諸課題について協議する場を年度内に設けることとしております。企業への働きかけをこの面でさらに進めていくこととしたいと思います。

 奈良公園の整備についてのご所見、ご質問がございました。

 今、県内雇用について前向きなご質問がありましたが、観光産業は大きな雇用力を発揮する可能性があり、県内産業の雇用の安定、雇用の質の改善のためには、その振興は重要なものであると認識しております。

 (仮称)登大路ターミナルは、観光客をお迎えするという強い姿勢を奈良県が実現、表現する場として重要な拠点として位置づけているものでございます。具体的な目的は、奈良公園周辺の交通渋滞の緩和と周遊環境の向上でございます。

 このターミナルは、奈良公園の玄関口に位置するものでありますので、お迎えする多くの来訪者の方々に満足いただけますよう、十分な利便性と快適性を提供する機能が必要と考えております。また周遊環境アメニティーの向上のためにも、ゆっくりとくつろいでいただく必要がある施設だと思っております。

 本県では奈良公園基本戦略を策定し、名勝地としてのアメニティーの向上、環境の保護、老朽化対策などに努めているところでございます。この中で、春日山原始林を後世に残すための保存計画や、奈良公園の景観や魅力向上を目的とした植栽計画の策定など、名勝地内の自然環境の保護にも努めているところでございます。

 (仮称)登大路ターミナルの整備による交通環境向上の取り組みの面でございますが、県庁東交差点から東側への観光バスの流入を抑制することによりまして名勝地内の渋滞緩和を図り、名勝奈良公園の交通環境改善に大きく貢献するものと考えております。

 また、今申し上げましたことの繰り返しになりますが、周遊環境アメニティーの向上には、奈良公園を訪れる訪日外国人旅行者をはじめ多くの観光客や県民の方にゆっくりくつろいでいただき、奈良県の魅力ある文化・歴史資産の意味を学んでいただける施設が必要だと考えております。奈良は二時間もおれば観光地としていいんだと悪口を言われることがないように、ゆっくりと滞在していただく施設は今必要であろうかと思います。このターミナルの完成後は、効果的な運用を行うことで来訪者の奈良における滞在時間を延ばし、周辺民間施設も含め地域が活性化するようになることを期待しているところでございます。

 なお施設の整備に当たりましては、奈良公園地区整備検討委員会や文化庁と継続して協議を行ってきております。名勝奈良公園の風致景観と調和のとれたものとなるように検討を進めているものでございます。

 二つ目に高畑町裁判所跡地についてのご質問がございました。

 当該地は土地利用がなされなくなって以来、未利用地となっているところ、平成十七年に奈良県が買い入れたものでございます。七年前の平成二十年度には倒木による事故が発生いたしました。それ以来、早期の整備と管理が必要となっているものでございます。そこで、平成二十四年に策定いたしました奈良公園基本戦略にも位置づけ、維持と利活用の観点からの検討を行ってまいりました。

 この敷地には、室町時代に興福寺の子院でございます松林院がありました。また、大正時代には大阪の財閥である山口家の南都別荘があったところであります。また、その敷地の中の一つとして、大正時代の作庭と見られる庭園も存在しているものでございます。平成二十六年度に文化財発掘調査及び庭園遺構調査を実施いたしまして、中世の遺構が残っていたことや近代の庭園遺構が良好な形で残っていたことが確認されました。

 これらのことを受けまして、さらに庭園の造園史の観点も含めました学術上の分析を行うため、地下遺構の状況を確認する調査などを行ってきております。庭園遺構の歴史的・文化的価値の整理と評価も今後続けて行っていきたいと考えております。

 また敷地内の他のエリアにつきましては、松林院や山口家の南都別荘が存在しておりましたので、往時をほうふつとさせる宿泊施設や交流施設等の整備を図ることも有意義なことと思われますので、静ひつな状況を維持しつつ民間活力を活用して環境整備を図ってまいりたいと考えています。

 これらのことを奈良公園地区整備検討委員会や文化庁に報告し、ご意見をいただいた上で、庭園の復元方法を含めました敷地の整備計画として取りまとめていきたいと考えております。その状況につきましては、議会や地域住民の方々にも報告をさせていただく所存でございます。

 大立山まつりについてのご質問がございました。

 本県では地域の伝統文化を保存、活用し、地域のにぎわいづくりを進めるためにさまざまな支援を行ってまいりました。例えばお祭りに使う道具などの修理、新調に対する補助や報告書と映像による記録保存と普及、公開を実施してまいりました。近年は、伝承者の育成のため、市町村と協力してさまざまな取り組みを行っております。

 具体的な例を挙げますと、御所市の立山祭りや茅原のとんど、天理市のちゃんちゃん祭りなどでは、現地調査に基づいた映像やイラストによる伝承マニュアルの作成に取り組みました。また五條市大塔町の篠原踊りなど、山間部で存続が危ぶまれていた保存会の再興等に協力してきております。今後は、学校の生徒等に後継者になってもらうことを視野に入れまして、教則本、教則ビデオの作成やワークショップの開催を計画しております。

 さらに議員お述べの大立山まつりでございますが、宿泊観光客数が一年で最も減少する一月、二月に大規模でインパクトのある誘客イベントとして平城宮跡において実施するものでございますが、その際、広陵町の立山祭や御所市のススキ提灯など、県内各地域の伝統的な行催事を集結していただき、多くの人々の前で実演していただくことにより、これらの行催事の本番が行われる時期に多くの方々に再度その本拠地を訪れていただくきっかけにしたいと考えているものでございます。

 また、民俗博物館についてのご所見がございました。多くの方々に民俗文化に対する理解を深めていただくために、奈良盆地の稲作、大和高原の茶業、吉野山地の林業の用具展示を柱とした常設展示が行われています。また、ひな祭り展などの企画展、講演会やワークショップなどを常時開催しております。そのほか、無形民俗文化財をビデオで見ることのできる学習室や古民家も利用していただいているものでございます。

 あわせまして、平成二十六年度からは、博物館と大和民俗公園を一体として活用した、なら民博ふるさとフェスタを新たに実施しております。今年度は約三千百人に来場いただくなど、地域のにぎわいづくりが始まったものでございます。

 今後は、来年初めて開催いたします大立山まつりを奈良のイベントとして定着させるとともに、今後ともご指摘のような伝統文化に対する支援や民俗博物館の活用についても、今までどおり取り組んでまいりたいと思っております。

 鉄道駅の駅員無配置化対策とバリアフリー化対策についてのご質問がございました。

 鉄道駅における駅係員の無配置化につきましては、現行の法令上、県に対しましては何ら権限が与えられておりません。鉄道事業者の裁量、判断に委ねられているのが現実でございます。しかし、利用者であります県民の皆様の利便性や防犯、安全と密接に関係いたしますので、鉄道事業者に対しまして地元地域に対し十分な説明を行い理解を得るように、また要望などがあれば真摯に受けとめ、十分に検討していただくようにお願いをしてまいりました。

 このようなお願いの結果、例えば安全・安心のための監視カメラにつきましては、要望があった全ての駅二十六駅でございますが、設置をしていただきました。現時点で新たな設置要望はございません。地元地域から具体的な要望が出てくれば、改めて鉄道事業者に働きかけてまいりたいと思います。

 次に鉄道駅のバリアフリー化についてでございますが、一日当たり三千人以上の利用がある鉄道駅のエレベーター等の設置につきましては、昨年度末時点で二十の駅で実施されていないのを確認しております。進捗率にいたしますと六九%でございまして、全国平均の八五%と比較しておくれている状況でございます。

 法律上、鉄道駅のバリアフリー化は鉄道事業者に努力義務が課されておりますが、県では鉄道事業者の取り組みを支援しており、今年度は近鉄の尺土駅と平端駅において合計五基のエレベーター設置を進めているところでございます。

 また、来年二月議会での上程を目指しまして現在策定作業を進めております公共交通基本計画におきましても、無人化された鉄道駅の再活性化に向けた取り組みの検討やバリアフリー化を含む公共交通の利用環境の整備について位置づけてまいりたいと考えております。

 残余の質問は、教育長が答弁申し上げます。



○議長(中村昭) 吉田教育長。



◎教育長(吉田育弘) (登壇) 三十番宮本議員のご質問にお答えいたします。

 私には二つの質問をいただいておりまして、一つ目は、主権者教育について、児童生徒を主体とした活動を保障することは大切と考えるが、私の所見を伺いたいとのことでございます。

 高等学校の教育は、各教科・科目の学習と総合的な学習の時間及び特別活動により教育課程が編成されております。特にその中の特別活動では、ホームルーム活動や生徒会活動、また学校行事など広範囲にわたる活動において、生徒の自発的、自治的な活動を効果的に展開することにより公民的な資質を育成することが期待されております。

 このことから、今後、政治的教養を育む教育を推進するに当たりまして、公民科等の教科における学習だけではなく、特別活動等によりまして主権者としての資質を育成することが重要でございます。具体的に申し上げますと、生徒会活動やホームルーム活動の中で生徒みずからが主体的に意見を表明する、また議論し決定する、このようなプロセスを体験できる機会を多く設け、生徒の自発的、自治的活動を促す取り組みが必要であると考えております。

 現在、国が作成いたしました副教材、私たちが拓く日本の未来の各学校への配布が始まっておりまして、県教育委員会といたしましても、年度内にこの副教材を活用するための手引書を作成する準備を進めております。この中では、公民科の現代社会や政治経済の科目において取り扱う授業時間数でありますとか、また特別活動の中での具体的な取り組み例も示しながら、政治や選挙の意義、選挙の具体的な仕組みなどについて生徒に理解を深めさせるとともに、話し合いや討論など主体的な活動を積極的に取り入れてまいります。

 今後も、公民科などの教科の学習だけではなく、特別活動を含む学校教育全体を通しまして社会的自立と社会参画の力を育む教育を推進してまいります。

 二つ目は、小・中学校の学校図書館の充実に向け、これまでどのように取り組み、また今後どのように取り組もうとしているのかとのお尋ねでございます。

 読書活動は子どもの感性を磨き、表現力を高め、想像力を豊かなものにする上で欠くことができないものであり、このような子どもの活動、読書活動を支えるのが学校図書館でございます。この学校図書館の利用計画を立案し、子どもの読書活動に対する指導の中心となるのが司書教諭でございまして、これは教諭をもって充てる司書教諭でございますけれども、学校図書館法では十二学級以上の学校に必ず置くこととされております。県教育委員会では、これまでから司書教諭の配置に努力してまいりました。十二学級未満の学校に対しましても、昨年度の配置状況でございますけれども、小・中学校は全国平均が二七・六%のところ、本県では六六・四%となっております。

 議員お述べの学校図書館法の一部を改正する法律はことし四月から施行されまして、図書の貸し出しなど学校図書館の運営を専門的に行う学校司書の配置が市町村の努力義務となりました。また文部科学省の通知の中では、学校司書の配置に係る地方交付税措置がこれまでから講じられていることや、司書教諭がその職責を十分果たせるよう担当授業時間数の軽減等の工夫を図ることを留意事項といたしております。

 今後は子どもの読書活動の充実に向けまして、司書教諭等を対象に研修を実施するほか、改正学校図書館法の趣旨を市町村担当者に伝える説明会を開催いたしまして、司書教諭が職責を果たせるよう担当授業時間数を軽減することや学校司書の配置などを促してまいりたいと思っております。

 また国語科等の学習におきましては、単元の学習の中に教材に関連した本も並行して読書する活動、これは並行読書と呼んでおりますけれども、この活動を積極的に取り入れるよう機会を捉えて指導し、子どもが主体的に本に触れる機会をふやしてまいりたいと思います。

 以上でございます。どうもありがとうございました。



○議長(中村昭) 三十番宮本次郎議員。



◆三十番(宮本次郎) 何点か再質問をいたします。

 知事に対しまして、ぜひ私は、格差と貧困の広がり、これが深刻な中で県民の暮らしに本気で心を寄せるということが必要だと常々思ってきました。特にきょうの質問もそうなんですが、知事の答弁の中で観光がにぎわうと、特に先週金曜日の代表質問の初日の答弁でもそうでしたが、富裕層という言葉がたくさん出てまいりました。私は非常に違和感を覚えました。

 確かに富裕層がふえております。この二年間で二割以上ふえたと言われている所得一億円以上の富裕層ということですが、税金を使って投資をして富裕層を呼び込むことによって雇用がふえるという理屈もわからないわけでもないんですが、ただ、ホテル誘致あるいは高級レストラン、一泊十万円以上の上質な宿泊施設と、こういうところに税金をつぎ込むと。一方で、働いても働いても貧困から抜け出せない世帯がふえ続けているということで、年間所得二百万円未満の貧困層が今四人に一人となっていると、こういうところにどう心を寄せるのかということをぜひ予算編成の上で軸足に置いていただきたいなと思っております。この点についてのお考えを一度お聞きしておきたいなと思います。

 二つ目に大立山まつりについてなんですが、これは平城宮跡でイベントを行って集客をするということなんですが、この平城宮跡の国営公園としての基本計画を見ますと、往時を彷彿としたイベントを行うとあります。今回の大立山まつりで四基作成をされる大立山なんですが、モデルとなっているのは和歌山県高野山の四天王だとされています。持国天、増長天、広目天、多聞天と。これは往時を彷彿ということと比べますと随分とかけ離れているなという印象を持ちましたし、また青森のねぶた祭りというものが平安時代の坂上田村麻呂の東北征伐が源流だという一説はありますけれども、これも平安時代ですから、奈良時代とは無関係だと思いますし、そういう点でこのイベント一つとっても奈良らしさというものを大事にしていないんじゃないかと感じるところがございますので、その点どう考えるのかということを再度お聞きしたいと思います。

 知事にもう一点お聞きしたいのが、鉄道駅のバリアフリー化の問題ですが、近鉄東山駅につきましては、現在、平群町住民を中心にエレベーター設置を求める会という住民団体が発足しまして、瞬く間に署名が広がっています。ところが、この駅が立地しているのは平群町と生駒市の境目、厳密に言えば生駒市になるわけです。利用者は平群町住民と近畿大学医学部奈良病院の患者が多いと。立地しているのは生駒市ということですので、エレベーター設置となりますと、生駒市がどう費用負担するのかという問題も生じます。

 近鉄東山駅周辺は、まだこれから分譲される予定の住宅地もありますし、まちづくりという観点でも積極的な県のかかわりが求められると思うんですが、こういうまちづくりという観点から駅のバリアフリー化、あるいは無人駅によって新たなバリアが生じるという問題もあるわけですが、そういう点で県のかかわりをどう持っていくのかという点で知事の考えを問うておきたいと思います。

 知事には以上の三点を再度お聞きします。

 それから、教育長に一点だけお聞きをしたいのですが、私は司書教諭の方々の頑張りも非常に大切だと思うんですが、我々がさまざまな学校図書館を見学して実感したのは、司書配置が決定的だということです。その点で例えばモデル校を五校から十校配置して、市町村を支援して司書の常駐を図って推進するというふうにすべきだと思うんですが、その点で教育長の考えはどうかお聞きしておきたいと思います。

 以上です。



○議長(中村昭) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) ちょっとわからないのは、富裕層を呼び込むのと貧困と格差のバッティングというのは、富裕層に金を与える予算じゃないんですよね。富裕層に金を使わせる予算なんですね。金を使わせて消費をしてもらって、ここで雇用を発生させようという予算をお願いしているので、ぜひ混同されないようにしていただきたい。富裕層に予算を与えて貧困層から回すという、そんなのと違うんですよね。理解して富裕層、貧困層というこの二つの言葉を並べておられるように聞こえるんですけども、県民の皆様の前に誤解をされないように、ぜひおっしゃってくださいね。富裕層にお金を使わせるというビジネスモデルは、各地が競争してやってるんですよね。奈良が一番おくれていると言われている。

 奈良には富裕層が泊まる場所がないんですよね。富裕層が京都で十万円、十五万円のホテルに泊まって、奈良は二時間行きゃいいところだと、こう宣伝されているんですから。宮本議員、どうですか。それでいいと思われますか。そうじゃないと思います。まだ答弁しておりますので、どうぞご辛抱ください。

 だから、貧困層と格差というのはまた違う話ですが、先ほどの非正規雇用を解消するには、経済を活性化して富裕層がたくさん、世の中めぐってくるところは経済が活性化する。それを取り込む競争が今始まっています。富裕層の泊まるところがないところには行かないよと言われているわけなんです。そういうのにお金を与えるわけじゃないんです。来てもらって、しかも今度のホテルは民間がみずから建ててくれるホテルですから、それを雇用に結びつけるというのは、奈良で今まで、宮本議員がおっしゃっていたような理屈で排斥していた歴史があるので、もうこれ以上やめようじゃないですか。奈良がおくれる一方になりますよ。というのが私の所見であります。富裕層を呼び込むのと貧困層の拡大とは関係ございません。

 それから、大立山まつりの根っこですけれども、大立山まつりは、奈良の立山祭りに発祥があるという説もあります。ねぶたをまねしてるんじゃないんですね。奈良の立山祭りを復興させようというのが大立山まつりの原点なんです。だから、ねぶたを模倣してとおっしゃいますが、そうじゃないということを皆さんの前で申し上げておきたいと思うんです。模倣じゃないんですよ。奈良のもとからあった発祥文化を今までほったらかしにしてたじゃないですか。発祥文化をよみがえらせるのが大立山まつりの一つの考え方の根っこです。

 もう一つは四天王ですけれども、ご存じのように、四天王は中央アジアから奈良に初めて伝わってきたものなんですよね。元来、奈良の四天王。奈良が初めての到着地なんです。四天王とか十二神将をもっと大事にしなきゃいけないと思いますが、その四天王を出すのがどうして奈良とゆかりのない仏像なんですか。奈良に最もゆかりにある仏像じゃないですか。それをぜひ認識したいと思います。

 それと四天王、とりわけ十二神将は、無病息災の薬師如来のそばにはべっていた神様方、薬師如来が奈良にあるのは、奈良より以前にあったところはないじゃないですか。無病息災を言うのは、このような場所で堂々と展開するのは恥ずかしいどころか、胸を張ってしたいお祭りだと私は思っております。全く意見が違うように思います。

 バリアフリーについては、平群町の近鉄東山駅についておっしゃいました。まちづくりの観点からというのも大事ですけれど、これ、公共事業じゃありませんので。先ほど言いましたように、鉄道事業者の鉄道施設の一部なんですね。これは何度も近畿日本鉄道株式会社にお願いして、やっとつくってくれる。大変足の遅い鉄道事業者ですけれども、あれやこれやでお願いをしているわけでございますが、しかし、この地域、議員は大変お強い地域でございますので、ぜひ近畿日本鉄道株式会社にもともに働きかけていただいて、実現に向けて努力しようではありませんか。



○議長(中村昭) 吉田教育長。



◎教育長(吉田育弘) 先ほど申し上げましたように、我々の教育委員会は司書教諭の配置にまず努力をしてまいりました。司書教諭に対しましては、やはり授業時間が軽減されていないということで、なかなか読書活動が充実できないというような声も市町村から聞いております。片や学校司書のほうは交付税措置ということでございますので、今、私が考えているのは、司書教諭をどのように授業軽減することによって読書活動を充実させるのか、それにまずは重きを置きたいと思っております。



○議長(中村昭) 三十番宮本次郎議員。



◆三十番(宮本次郎) 富裕層にお金を使わせるためとはいえ、ホテル誘致のためのまちづくりに二百二十億円ですとか、オーベルジュに何億円だとかいうところに私は非常に違和感を感じる。それほど県民の暮らしが今、貧困の中で苦しんでいる、行き詰まっているというところにもっと心を寄せていくべきじゃないかなというふうに思った次第です。そのことを強調して質問を終わりたいと思います。

 以上です。



○議長(中村昭) 次に、三番猪奥美里議員に発言を許します。−−三番猪奥美里議員。(拍手)



◆三番(猪奥美里) (登壇) 皆さん、こんにちは。民主党の猪奥美里でございます。民主党の綱領には、目指すべき社会像の第一にこう記してございます。私たちは、一人一人がかけがいのない個人として尊重され、多様性を認めつつ互いに支え合い、すべての人に居場所と出番がある、強くてしなやかな共に生きる社会をつくります。奈良県でも実現すべく、民主党会派を代表して質問に入ります。

 この四月から生活困窮者自立支援法が施行されました。この法律は、困っている人に金銭的援助から、困窮を社会的問題と捉え、当人だけの問題ではなくケアする必要性を持たせた戦後の大いなる転換でもあります。民主党が政権をおあずかりしたときになすことができた成果の一つでもございます。この法律によって全国の福祉事務所を設置する全ての自治体が生活困窮者に対する自立支援に取り組むこととなりました。

 生活困窮者とはいかなる人で、なぜこうした制度が必要なのか、まずは整理をしてまいりたいと思います。今、日本では生活保護世帯の数が過去最高を更新し続け、所得が平均の半分以下の相対的貧困と呼ばれる層が一六・一%にも達しています。しかも、今日見られるのは、貧困が支え合いや頑張りを生むのではなく、逆に孤立やあきらめを生み、ますます貧困から脱却できなくなるという悪循環です。

 さかのぼること六年前、北九州市で三十九歳の男性の遺体が発見されました。孤独死で餓死でした。枕元には「助けて」とだけ書かれた封筒。この事件を受けてNHKクローズアップ現代で「助けてと言えない」という番組がつくられました。働ける世代の人が餓死する。しかも、生活保護の申請すらしていない。このことに対し三十代から四十代の大きな反響がありました。共感のポイントは、自己責任、人様に迷惑をかけてはいけない。これが要求され続けた人生の中で、助けを自主的に外部に求めることの難しさです。

 日本の社会保障制度は、企業に強く頼る構造になっています。しかしリーマンショック以降、特に顕著ですが、終身雇用の幻想が崩れ、急に仕事がなくなるおそれが生じ、そもそも正社員ではなく非正規雇用が増加の一途をたどっている、誰でも生活困窮につながる可能性が今あります。ところが、これまでは生活が著しく困窮したときに頼ることができる制度は生活保護しかありませんでした。

 今や日本の社会保障は、イギリスを抜いてオランダ並み。では、結果はどうかというと、オランダと比較しますと、子どもの貧困率は二・五倍、女性の貧困率は二・七倍、高齢者の貧困率で申し上げますと十四倍にもなっています。五人に一人にも上ってまいります。お金は使っているのです。けれども、貧困をとめる施策は不十分で、貧困を生み出し続けています。そして、生活保護を受けるにも難しさがある。

 困窮に陥っている人たちが直面しているのは失業だけではありません。家庭の不安定さや家族の介護、ご自身が十分な学習を受けてこなかったことやひきこもり、心身の障害等、複数の問題が複雑に絡み合った状況です。そこで単に金銭的な保障ではなく、複合的な問題に対応できるよう、生活困窮者自立支援法がつくられました。生活保護の前にもう一つのセーフティネットが張られ、困窮の根本原因を解決すべく、寄り添い型、伴走型の支援が行われるようになったのです。

 制度の具体的な取り組みとしては、まずは、就労その他の自立支援に関する相談支援を行う自立相談支援事業が必須事業として行われることになりました。本当に効果のある取り組みにするには、まず地域と県全体の課題とし、福祉だけの分野と捉えず、雇用の部局、教育委員会など県庁内各部はもとより、市役所や保健所等さまざまな組織と連携を密接にとり、障害、雇用、介護など、既存の縦割りの制度をうまく連携させることが必要です。

 さらに、支援が必要な生活困窮者を早期に発見していく重要性です。自立相談支援事業への相談件数で見ますと、人口十万人単位で見たとき、月平均の新規件数は全国平均で十六・六人です。奈良県はというと、新規月平均十一・五人と、全国平均を大きく下回り、恐らく生活困窮者の方にまだ支援の存在すら知られていないのではないでしょうか。窓口で待っているだけでは困窮の方々の実態をつかむことはできません。

 先進的な取り組みとしては、相談支援の窓口と税、保険、年金、子ども家庭の部局が相互のつながりを密接にし、税の滞納があった家庭に相談支援の窓口につないで早期に支援を開始されている市もありますし、福祉と障害の支援センターを共同で設置されようとしている、そんな市もございます。生活困窮者自立支援制度は、福祉と雇用の連携、縦割り行政の克服など、これまでの自治体行政のあり方の転換を迫られていると考えます。

 この必須の相談事業のほかに四つの任意事業が準備されました。就労に必要な訓練を行う就労準備支援事業、住居のない方に対し一定期間宿泊場所や衣料の提供等を行う一時生活支援事業、家計や家計管理に関する相談指導を行う家計相談支援事業。仕事がないと困窮からは抜け出せません。仕事を得ても全くお金の使い方がなってないと、またすぐに困窮に陥ってしまう。いずれも重要な施策です。

 私が特に大切だと考えておりますのが、四つ目の困窮家庭の子どもさん向けの学習支援事業です。なぜ学習支援の事業が必要か。それは、学歴が貧困に密接に関係しているからです。今、保護を受けておられる方の世帯主の学歴を見ると、七二・八%が中学校卒か高校中退です。生活貧困は子どもたちの進学や就労に大きな影響を及ぼしています。親の年収と子どもの学力に相関関係があることはさまざまな調査で明らかになっています。もちろん高校卒業後の進路にも格差が出ていますが、中学校卒業後の進路にも大きな格差が出ています。保護世帯では中学校卒業後一割の子が進学をしません。学歴だけが全てではありません。けれども、中卒で社会に出て仕事を見つけてしっかりと社会の中で生きていく。非常に困難であることは言うまでもありません。

 この事業は、世代を超えた貧困の連鎖、貧困世帯で育つ、低学力になる、低学歴になる、自立困難になる、貧困に陥る、このサイクルをとめるため、親の経済状況がどのようであれ、幅広い進路選択を可能にし、将来の自立への基盤をしっかりと築くために高校へは進学してほしい、そんな思いをもってこの制度がつくられました。

 任意の事業ですので、まだまだ全ての自治体で実施というわけにはまいっておりません。全国平均で申し上げますと三三%。一方、この奈良県では七%の実施です。県が王寺町で実施している一つしか実施されておりません。全国一律の支援といえども、実際は大きく地域間格差が出ています。

 知事にお伺いいたします。

 まずは、奈良県の生活困窮者対策について、関係機関との連携や人材の確保等、制度運営に関する課題認識及び対応についてお伺いをいたします。また、県内で生活困窮世帯の子どもの学習支援などの任意事業の実施を広げていくべきであると考えますが、知事のお考えをお願いいたします。

 虐待ですとか死別ですとかの理由で家族とともに暮らすことができない、施設で生活する子が、今、日本で四万人程度いらっしゃいます。一方、里親さんなどに委託され、家庭に近い環境で養育される子どもは五千六百人弱に過ぎません。まだまだ日本では里親制度は浸透しておらず、ほとんどの子どもたちが乳児院や児童養護施設で過ごしているのが現状です。

 施設で暮らす子どもたちの直面している問題や施設で暮らす子どもたちの約半数が虐待を受けていた子どもであること等、日本の児童養護における課題は、プライバシーの観点から見てもあまり知られておりません。彼らの問題を里親や養子縁組だけで解決することはできませんが、しかし、無条件に愛されて戻りどころになる家庭があるということは、子どもたちにとっても必要なことであろうと考えます。

 日本ではほぼ施設養護に偏っているその一方、例えばアメリカでは年間十二万組の養子縁組が行われています。保護されている児童の七七%が里親や養子縁組などの制度により新たな家庭を得ているのです。浸透している背景には親権剥奪の仕組みがあることかもしれません。アメリカでは児童虐待が疑われる場合、警察による保護、調査の後、家族機能を正常化するためのプログラムが適用され、状況が改善しない場合は、親の意図にかかわらず子どもは親の手を離れ、里親や養子縁組などが行われるような制度になっているようです。結果、里親や養子縁組の選択肢も当たり前のこととして受け入れられるようになりました。子どもたちも特別視されることなく、多様性のある家族の形の一つと受けとめられているようでございます。

 生みの親が育てることができない、そんな子どもたちを社会の中で育てていく社会的養護の中で、施設養護から家庭的養護へと転換していく必要性がありますが、奈良県の現状と今後のお取り組みについて知事にお伺いいたします。

 次に、性的マイノリティの理解促進についてお伺いしたいと思います。

 性のあり方のことをセクシュアリティといいますが、それは生物学的な体の性、自分をどう認識しているかという性別認識の心の性、そして性的指向の好きになる性、この三つの要素によって成り立つと言われています。昨今はLGBTという言葉を目にすることが多くなりました。LGBTは、女性同性愛者レズビアンのL、男性同性愛者ゲイのG、両性愛者バイセクシュアルのB、性同一性障害を含む概念であるトランスジェンダーのTから構成されていますが、そのほかにも多様な性のあり方が存在します。

 ことしの電通ダイバーシティ・ラボの調査によりますと、七・六%の方が性的マイノリティに該当するとの調査結果もあります。数値については諸説ありますが、少なくともどの国にも人口の五%はおられる、これが数字的な定説になっています。計算上は三十人学級に一人。この議場にも、数字でいうと三名程度はいらっしゃる、そんな計算になるわけです。まだまだ身近に感じることが少ないのは、カミングアウトされる方が一〇%以下とごくごく少数であり、そこには偏見や差別が存在するからです。

 閣議決定もされています自殺総合対策大綱には、性的マイノリティが自殺の要因として取り上げられ、無理解や偏見等がその背景にある社会的要因の一つであると捉えて、理解促進の取り組みを推進すると記載されました。一九九〇年にWHOが国際疾病分類での削除を決定し、改訂版でいかなる意味でも治療の対象にならないとされるまで精神障害の対象とされていたなど、非常に長くつらい時代が続いてまいりました。

 現在では、性的指向は本人の意思で変えられないものであり、変えるべきものでもない。多様性があって当たり前という考え方が欧米を中心に広がってきており、今日では西欧を中心に約二十カ国で同性婚が認められ、アイルランドでは国民投票を経て可能に、また、ことしはアメリカの連邦最高裁判所が、結婚を男女に限る、同性間の結婚を禁止する、これはアメリカ憲法の平等のもとに反し違憲である、そんな判決を出しました。日本においても、その時期、フェイスブックのプロフィール写真が虹色に染まった、覚えておられる方もたくさんおられると思います。表明する政治家もどんどん続き、アイスランドの首相に続き、ルクセンブルグの首相が同性婚をしたのもことしでありました。

 一方、日本では、二〇〇四年、性同一性障害特例法により、厳しい条件を満たした場合のみ戸籍上の性別変更が可能となる等、権利や理解についてはまだまだ後進国であると言えます。そんな日本でも、地方自治体では世田谷区のパートナーシップ宣言等、新たな芽吹きも出てきています。きのう、宝塚市も続いて表明をされました。

 奈良県は二〇〇四年、奈良県人権施策に関する基本計画において人権課題として捉えられています。しかし分野で見ると、同和問題や女性、そして子どもと十一の分野で章立てされている一方、性的マイノリティは十二分野目のその他の項目の中でわずかに取り上げられているにすぎません。性的マイノリティの方々が直面する問題の深刻さや人口を考えると、今後大きな人権テーマとして挙げるべきであり、積極的な対応策を講じるべきと考えています。

 この性的マイノリティの問題をどのように解決していくのか。人格の形成の早い段階で多様性の一つとして、当事者も周りの人も受けとめられるようになるそのためには、教育現場における取り組みが非常に重要であろうと考えます。内閣府の調査でも、課題認識のトップは理解不足です。岡山大学の調査では、自分の性への違和感を自覚したのは、大半が小学生までであり、そのうち四人に一人が不登校を経験し、五人に一人が自傷、自殺未遂を経験しているとのことです。

 ただでさえ非常に多感で悩みが多いこの時期に、子どもたちが自分の性自認や性的指向についてさらに思い悩み、自己肯定感を持てず、死という選択をしてしまうことは非常につらいことです。にもかかわらず、これまで学校で十分な性的マイノリティの学習が行われることはありませんでした。結果として、言葉によるいじめ被害を受けた生徒の割合は約六割に上っていることからも、十分な知識と寛容性が子どもたちに伝わっていないことが偏見やいじめにつながり、その後の社会生活や人生にも大きく影響していることが考えられます。

 そこで、まず知事にお伺いいたします。

 性的マイノリティの人々に対する差別、偏見、社会的不利益について、人権上の課題としてどう捉えておられるのか、そして今後どのような対策を推進していくのか、ご所見をお伺いいたします。

 さらに教育長には、教育現場において、性的マイノリティの児童生徒に対する対応についてどのように行われているのか、また児童生徒に対する教育、教職員に対する研修はどのように行われているのか、今後の方針も含めてお聞きしたいと思います。

 次に、ふるさと納税についてお伺いをいたします。

 ふるさと奈良県応援寄付、納税と名前はついていますが、実際は自治体への寄附でございまして、二〇〇八年の税制改革で都市部と地方の収入格差を是正することを目的に、通常の寄附金控除に特例控除を加えて控除額を大きくする制度として導入されました。基本的な制度としては、年間の寄附金額から二千円を引いた額を控除限度額の上限の範囲内で所得税・住民税から全額控除するもので、確定申告を通じ、所得税は寄附をした年の納税額から還付し、個人住民税は翌年度の六月以降に納める分から減額するという形で控除されます。

 ことしは特にふるさと納税の特例控除額上限二倍引き上げ、そしてまた、五つの自治体まで控除に必要な確定申告を不要とするふるさと納税ワンストップ特例制度が新設されたりもしています。この上限の引き上げによりまして、世帯構成にもよりますが、現在、年収七百万円の世帯で控除額上限が十一万八千円。単純に一万円寄附をして四千円程度のお礼の品がもらえると考えると、たった二千円で四万円以上の商品がもらえる。プレミアム商品券のお得度とは比べものにならないほどの制度で、盛んに紹介されることも納得がいきます。ちなみに、年収一千万円になりますと控除額は十八万八千円となり、収入の大小による控除限度額の格差には批判がありますが、これが高額所得者からは節税の一環として注目される理由の一つでもございます。

 これに伴いまして、平成二十四年度、ふるさと納税は総数約十一万人の寄附者、金額では総額百三十億円だったものが平成二十五年は約十三万人、寄附額総額百四十二億円で、この数字は今年度さらに上がっていくものと予想されています。寄附をいただきます行政にとっては、寄附金であるふるさと納税は歳入増となります。地方交付税の算定には影響せず、ふるさと納税がふえても国からの交付税は減らされない。つまり、奈良県へのふるさと納税がふえればふえるほど、県の自主財源がふえ、独自施策が展開できるようになります。

 さて昨年、最も多くの寄附金を集めたのは長崎県の平戸市でした。総額十四億六千二百万円。次いで、佐賀県の玄海町が十億六千六百二十万円と、こちらも十億円を超える寄附金を集めています。平戸市を除く上位四自治体が集めた寄附額は、それぞれ個人住民税の四倍以上とのことです。

 奈良県の個人の方からの寄附の実績はといいますと、昨年は七百四十三万円の寄附で、額でいいますと都道府県の中では三十一位、全国の自治体の中では五百七十位というところです。低調という思いは否めません。

 では、どのようにしてふるさと納税をより集めていくのか。金額だけを追って実績を上げるのには、単に返礼品の還元率を上げるという手法があります。実際、ふるさと納税上位の自治体の中には還元率が高いところも多く、採算度外視で七〇%というようなところもございます。高い還元率の返礼品を出しているところは、雑誌なんかでお得度ランキングのような記事などへの露出も高まり、寄附も集まりやすくなる。特産品を売り出すツールの一つとして割り切って捉えている。そんな面もあるようです。

 しかし、加熱するお得戦争に対し総務省は禁止事項を載せた大臣通達も出され、プリペイドカード等を出していた自治体では見直しが行われました。県としても還元率競争には参入しないという方向のようですし、私も還元率競争にはむやみに参入すべきでないと考えます。そうすると、どのように差別化を図って、どのように実績を伸ばしていくのかということは、それ以上に知恵や工夫や戦略が必要なのではないかと思います。

 知事にお伺いをいたします。

 これから奈良県がふるさと納税を進めていくに当たり、返礼品となる特産品の商品開発やPR戦略等に工夫を重ねていくべきと考えますが、奈良県の取り組みと今後の方針についてお伺いいたします。

 最後になります。県では、奈良公園を訪れる外国人観光客などへの利便性の向上や情報発信力向上のため、JR奈良駅及び近鉄奈良駅から奈良公園に至るエリアで、四月一日から公衆無線LAN、奈良 Free Wi‐Fiのサービスをスタートさせました。欧米、アジアの各国ユーザーにとっては、公共施設や観光施設のWi‐Fi利用の経験は、自国のほうが圧倒的にアクセス環境が整備されていてよいという傾向があり、日本の乏しいキャリアフリーのインターネット接続環境には兼ねてより不十分さが指摘されておりました。さらに、自国ではないからこそ得られる情報があるかどうかによって観光満足度も大きく変わってきます。そんな中、まだまだ行政によるWi‐Fi設置は実施が少ない。とりわけ都道府県による実施が少ない中で、奈良県が思い切って実施をしてくださったことをうれしく思います。

 Wi‐Fiの整備を進めていきますことは、利用者の利便性を高めるだけでなく、大きな可能性を秘めていると考えます。それは、ビッグデータの活用です。奈良に来られた方がどこへ行き、どのような動線をたどり、どこを訪問しているかなど、これらの情報を生かし、次なる観光政策やまちづくりに生かせるのではないかと考えています。また県自前で活用が難しければ、こんな情報を県としては持っているけれどもと働きかけをし、民間とともに有効利用を行う等のオープンデータへの取り組みも今後の取り組みとして考えられるのではないかと思います。

 そこでまずは、奈良公園周辺地区において整備されました無料Wi‐Fiの利用状況についてお聞かせください。またWi‐Fiは、インターネット環境を提供するだけにとどまるのではなく、得られたデータを観光振興に活用する等、新たな展開につなげていく必要があると考えますが、知事のお考えをお聞かせください。

 以上で、壇上での質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)



○議長(中村昭) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) (登壇) 三番猪奥議員のご質問がございました。

 最初のご質問は、生活困窮者自立支援制度についてでございます。

 生活困窮者自立支援制度は、生活困窮者が生活保護に陥る前に手を差し伸べ、自立の保護を図るという観点から重要かつ不可欠な制度だと思います。議員も述べられましたが、生活保護制度とは着眼点が違う制度だよというふうにおっしゃいました。生活保護制度は生活のセーフティネットの機能があると思いますが、生活困窮者自立支援制度は、ネットに落ちないようにするためのいろんな制度だというふうにも思うところでございます。

 このような制度の運用には、議員お述べのように、知恵と工夫が要る面がより多いものだと思います。また、真に困窮している方ほど相談ができず社会的に孤立していることも多く、その抱える課題は多様で複合的であるように思われます。早期発見、早期支援とともに、個々のニーズに合ったきめ細かなご支援、議員おっしゃいました寄り添って支援を行う感覚はぜひとも必要だというふうに認識をしております。

 本県では、本年四月に県社会福祉総合センター内に奈良県中和・吉野生活自立サポートセンターを開設いたしまして、相談、支援に当たっておりますが、その実施運営には高い専門性とスキルを備えた人材の確保と育成が重要だと思われます。また、それとともに幅広い関係機関等が連携した支援体制の構築が重要だと認識をしております。人材確保・育成と連携の構築ということが二つ大事かと思います。

 このため、生活困窮者が困難を乗り越え自立していただくためには福祉と就労の両面から一体的な支援が必要でございます。このサポートセンターに相談支援員といたしまして社会福祉士、精神保健福祉士などの専門スタッフを配置しております。また、ご相談に来られた入り口から相談の内容を克服して出口の就労、自立までの道筋を総合的かつ円滑に進めるためには、相談支援員のスキルが欠かせないわけでございますので、国が実施しております人材養成研修に参加させるなど、支援員の資質向上にも努力をしております。

 また連携強化の面でございますが、民生委員をはじめとする地域の方々と連携して、生活困窮者の早期発見、早期支援に努めるとともに、福祉、雇用、教育など庁内の連携も大事かと思います。ハローワークや弁護士会など関係する機関とのネットワークも大事かと思っております。今後とも、このようなネットワークを活用して、個別の課題に対応したチームの編成も必要かと思っております。

 さらに、議員ご質問ありました生活困窮者自立支援制度における任意事業でございます子どもの学習支援事業や就労準備支援事業でございますが、お述べのように県内における実施状況は低調であろうというふうに認識しております。制度の拡大、展開が重要な課題だと捉えております。

 まず、市町村に対しまして担当者会議や研修会等の機会を捉えて、大事な課題だということを認識してもらうための取り組みを、任意事業でございますが、そのような取り組みを始めております。

 一方、県が実施しております子どもの学習支援につきましては、県福祉事務所に就学支援員を配置し、学校と連携して高校進学や高校中退の防止に向けた支援を行っております。高校は人生にとってとても大事な時期でございますので、この点は県が直接力を入れるライフステージだというふうに認識をしております。また、県福祉事務所管内の生活困窮世帯の子どもを対象に、学力向上と社会性を育む学習支援教室を実施しております。また市町村に対して、県が実施している学習支援を参考に導入していただくように促しております。県と市町村がそれぞれの役目を果たすべき分野で切磋琢磨をしていこうというふうに呼びかけているところでございます。

 議員お述べのように、貧困の連鎖を防止するということに対する取り組みでございますが、義務教育は市町村の教育分野では役目が多いわけでございますが、県と市町村が連結して連携・協働が必要かと思います。学習支援により子どもが将来の貧困から脱却するというのは、大変重要な事業だと改めて感じております。

 二つ目のご質問は、家庭的養護の推進でございます。施設養護から家庭的養護への転換の必要性を訴えられました。

 まず、奈良県における社会的養護の状況につきまして述べさせていただきます。現在、児童の入所施設としては、乳児院が二カ所、児童養護施設が六カ所あります。里親は百十八組の方々を委託先として登録をしていただいております。また対象の児童数は、十二月一日現在では乳児院と児童養護施設に二百九十八名が入所されまして、里親には四十四名を委託している状況でございます。近年、施設入所児童が減少している傾向にございますが、里親委託児童は増加傾向にございます。

 このような社会的養護の対象となる児童につきましては、児童虐待により心に傷を負われたり、何らかの障害を持つ事例が増加している実情にございます。集団生活を基本とした児童養護施設での養育が困難になる状況も発生しているわけでございます。また、児童は可能な限り家庭的な環境の中で特定の大人との継続的で安定した愛着関係のもとで育てることが望ましいことは言うまでもございません。こうしたことから、心理的ケアの充実など、一人ひとりの子どもの状況に応じたきめ細かなメンタルなサポートケアが求められていると思います。その点、里親による養育や施設においても家庭的な養育環境づくりなどが必要であろうと思います。

 家庭的養護のうち里親への児童の委託を進めるためにはいろいろな取り組みが必要で、そのように進めております。こども家庭相談センターには里親委託等推進員を配置しております。短期間家庭での宿泊体験をしていただくことなどにより、里親と施設入所児童との交流や里親と施設等関係機関とのパートナーシップ・連携の構築など、円滑な里親委託の推進を図っております。また広く一般県民に対しまして、里親についての理解を深めてもらうための啓発を行ってきております。里親を希望される方々への研修を行うなど、里親の委託先の増加に努めているところでございます。

 また児童養護施設におきましても、児童との密接なかかわりを図るため、施設内での小規模なグループで養育を行うユニット化というようなものも進めております。地域の民間住宅の活用など、家庭的な養育環境づくりに工夫して取り組んでいただいております。

 全ての子どもたちが健やかに育つ環境を整えていくことは、人によりまして容易ではございませんが、社会的な責任であるというふうに思い、本県の社会的養護の充実を図ってまいる所存でございます。

 次は、性的マイノリティ問題を取り上げられました。性的マイノリティという、今まであまり大きく取り上げられなかった問題を取り上げていただいたように思います。性のあり方にかかわって、どのような性で暮らし、誰と生きていくかということは、もとより尊重されるべき基本的人権でございますが、最近まであまり大きく取り上げられることはなかった課題のように思います。議員お述べのように、性的マイノリティの方々が日常生活を送られる上で、偏見を持たれ、さまざまな差別を受けておられるのは、基本的人権を侵害する問題であると認識いたします。

 性同一性障害につきましては、奈良県人権施策に関する基本計画において人権課題の一つとして捉え、県で作成している人権情報誌であるかがやき・ならなどにより県民の方々に啓発を行い、理解を促しているところでございます。

 性同一性障害以外の性的マイノリティにつきましても、マスメディアなどで取り上げられ、課題が顕在化してきた状況を踏まえまして、地域や職場で人権問題の解決に取り組む人材の要請を目的といたしました人権パートナー養成講座で性的マイノリティ問題を新たに研修カリキュラムに取り入れたところでございます。また、人権相談にかかわっていただいている方々を対象とした研修会でも、性的マイノリティの問題をテーマとして取り上げていただき、相談に適切に対処できるように計らっているところでございます。

 本県といたしましては、県民の方々に対しまして、この問題を正しく認識し、身近な人権問題としてありますよということをご理解いただくための啓発を引き続き行っていきたいと思いますし、性的マイノリティの当事者に対しましては、そのお立場に立って真摯に相談、支援を行うことが重要だと考えているところでございます。

 教育長への質問の後、ふるさと納税についてのご質問がございました。さらなる工夫を重ねるべきだがどうかということでございます。

 ふるさと納税促進のために工夫を重ねるべきとのご意見はもっともなことだと受けとめます。特に豪華返礼品競争以外の知恵を絞るべきではないかということもご示唆に含まれているように思いました。本県では平成二十年五月にふるさと奈良県応援寄付金制度を設けておりまして、これまでの受け入れ額は、平成二十年度から平成二十六年度までの七年間の合計は、九百五十五件、五千八百万円余となっております。今年度は十月末現在で四千万円余のご寄附をいただいております。ありがとうございます。寄附していただいた方々の希望に応じまして、医療提供体制の充実、文化財の保存と活用や観光の振興などの事業の財源として活用してきたところでございます。

 寄附を集めるに当たりましての豪華な返礼品を贈呈する風潮がありますが、本県はそのような方向でなく、奈良県の振興に寄与したいと思っていただいている方々に心を込めて感謝することが必要だと思ってまいりました。実際に奈良の今を感じていただき、奈良県の取り組みを見ていただくような、理解した上でのご寄附ということを基本に考えたいと思っております。

 具体的には、一定金額以上のご寄附をしていただいた県外にお住まいの方々に、大和牛や大和肉鶏などの県の特産品などの中からご希望の品を特典として贈呈しておりますが、今年度からは県産材のPRにもつながるよう、温かみのある奈良の木を使ったランチョンボードなどを特典に追加いたしました。さらに、五万円以上の寄附をしていただいた県外の方々につきましては、現行の特典に加えまして全員に奈良県ビジターズビューローが運営いたします奈良ファン倶楽部の会員資格をお贈りし、奈良を訪れていただくきっかけになるよう、一年を通じて奈良の今を感じていただく旬の情報を提供しております。

 また先月、東京で開催いたしましたふるさと奈良の集いにおきましては、首都圏で活躍されている奈良県出身の方や奈良県にゆかりのある方々に対しまして、現在、国において検討されている企業版ふるさと納税やふるさと奈良県応援寄付金へのご協力をお願いするなど、一人でも多くの奈良ファンがふえるようなPRを実施しております。

 ふるさと納税というツールを活用して県外の人とコミュニケーションを図る、また奈良を応援していただけるようにするということはとても大事なことでございます。県産品のPRや観光振興にも役立つよう、今後とも工夫を凝らしたいと思います。有用な制度だと思っておりますので、議員指摘のように工夫を凝らす面が必要かと思っております。

 最後のご質問でございますが、奈良 Free Wi‐Fiについてのご質問がございました。

 まず、その利用状況についてのご質問でございます。奈良 Free Wi‐Fiは、ことしの四月から運用を開始いたしたものでございます。近年急増する訪日外国人にとって、あると便利な情報の一位が無料Wi‐Fiであると言われておりますので、世界に誇れる公園を目指している奈良公園には不可欠なサービスとしていち早く整備をしたものでございます。

 このWi‐Fiは、JR奈良駅や近鉄奈良駅から奈良公園に至る主要動線上において、旅行者が歩きながらでも無料で手軽にインターネットを利用いただける環境を整えたものでございます。無料Wi‐Fiは屋内を中心にスポット的な整備が一般的でございますが、屋外においてこれだけ広い地域で連続的に利用可能な整備は全国初の取り組みと聞いております。

 現在の利用状況でございますが、一日当たり平均利用者は約千二百人おられます。アクセス数は約一万九千回となっております。今後もさらに多くの観光客、特に外国人観光客に利用していただきたいと思っています。

 そこで、奈良 Free Wi‐Fiの認知度を高めるためにPRロゴマークを観光案内サインや照明柱、公衆トイレなどさまざまな場所に掲示するようにいたしております。また、観光案内所でのチラシの配布や近鉄奈良駅構内のデジタルサイネージでの広報、訪日外国人向けの携帯アプリへの登録などの取り組みを行っているところでございます。

 今後もインバウンドに向けた情報発信ツールを活用したいと思います。また駅などの交通結節点や商店街など、観光客が集まる場所でしっかりPRを行い、奈良 Free Wi‐Fiの認知度の向上に努めたいと思っております。

 このFree Wi‐Fiは、データの活用も大事だよというご意見でございます。そのように思います。Wi‐Fiデータの観光振興などへの有効活用の視点を持つべきとのご指摘はもっともだと思います。お述べのとおり、Wi‐Fiを利用した際には位置や時刻の情報が蓄積されますので、そのデータを活用すれば利用者の動線などの情報を得ることができます。利用者の動線がわかれば、例えばその動きに合わせた案内サインの設置や観光情報の提供を行うべきということになります。周遊環境の向上につなげたり、民間と連携することにより、周辺の商店街等のにぎわいづくりに生かすことも可能になってまいります。

 さらに、Wi‐Fi接続時に国籍や年齢などの入力条件を追加することができれば、もっと深い分析が可能となり、より適切なサービスの提供ができ、観光振興や地域の活性化につなげていくことが可能と思います。しかし、情報の取り扱いについては十分な注意が必要でございます。どのような取り組みが可能かどうかにつきましては、民間との連携も考えながら積極的に検討してまいりたいと思っている分野でございます。

 ご質問は以上でございました。ありがとうございました。



○議長(中村昭) 吉田教育長。



◎教育長(吉田育弘) (登壇) 三番猪奥議員のご質問にお答えいたします。

 私には性的マイノリティの児童生徒に対する対応について、今後の方針も含めてお尋ねでございます。

 性的マイノリティへの対応は、教育現場においても大変重要な課題と受けとめておりまして、性的マイノリティの児童生徒、あるいは成長過程の一時期に自分の性や性的指向に違和感を持つ児童生徒がいじめに遭うことがなく、自己の存在を肯定的に捉え、安心して学校生活が送れるよう、学校現場の理解促進を図るとともに、学校の環境づくり、雰囲気づくりを進めているところでございます。

 この取り組みを推進するためには、まず教職員が正しい認識を持つ必要があり、平成二十三年度から毎年度、大学の教授や当事者の方を講師として招いた研修会を県教育委員会主催あるいは研究団体と連携しながら実施をしております。また、本年五月には性的マイノリティの児童生徒に対してきめ細かな対応を実施する趣旨の通知を各県立学校や市町村教育委員会宛てに発出をし、服装や更衣室等の工夫などについての具体的な配慮事項等を示したところでございます。

 あわせて、児童生徒が性的マイノリティについて理解するとともに、一人ひとりの違い、個性や特性を豊かさとして捉えることができる人権感覚、人権意識を身につけることも重要であると考えております。そのため、小・中・高校別に作成をいたしております人権教育学習資料集、なかまとともにの中にこの問題を取り上げ、その活用などを通じて理解を促進するとともに、さまざまな教育活動を通じて多様性を受容できる児童生徒の人権感覚、人権意識の醸成を図っているところでございます。

 また当事者である児童生徒が通学する学校におきましても、これまでから本人や保護者の意向を十分に受けとめながら、きめ細かい配慮のもと、自認する性の制服の着用、トイレや更衣の場所の工夫、呼称の工夫などの対応を行ってまいりましたが、県教育委員会といたしましても、学校現場が柔軟な対応を行えるように支援してまいりました。

 今後も、性的マイノリティの児童生徒あるいは自分の性や性的指向に違和感を持つ児童生徒にとって、生活しやすい学校づくりに向け、各学校等への支援、助言の充実を図ってまいる所存でございます。

 以上でございます。ありがとうございました。



○議長(中村昭) 三番猪奥美里議員。



◆三番(猪奥美里) それぞれありがとうございました。

 まず生活困窮者自立支援法、本当に大事な制度だと思うんです。民主党が制度設計をいたしましたときに、学習支援に関しては必須で取り組みたいと、そう制度設計をしてたんですけれども、なかなかうまくいかなくて、今、任意の事業としてスタートしました。ところが、奈良県の中で実施の数が少ないというのは、恐らく市町村の予算的な問題があるかなというふうに思うんですけれども、熊本県などではほぼ一〇〇%実施ですとか、栃木県や鳥取県なんかでもかなり高い実施数を誇っておられます。栃木県とか鳥取県ですとかは、県で協議会をつくって、そこで市町村の方にも入っていただいて実施をというスタイルになっているようでございますが、そうやって一致をしていくだけではなくて、やっぱり厳しい取り組みの中で進めていくには、先ほどもおっしゃっていただきました協働や連携した取り組みを進めていきたいとご答弁をいただきましたが、これ、知事のお得意の奈良モデルで何とか実施をできないだろうかと思っております。この点についてご所見をお願いしたいと思います。

 次に、家庭的養護についてです。おとといに児童養護施設を出られた方をケアするNPOを滋賀県でされている方にお話を伺いました。児童養護施設では虐待を受けた子に対応することはできないんだということをサポートの実感として持っておられました。まずは児童養護施設というのは、そもそも戦後、孤児院からできたものであって、今、虐待を受けてきた子の率がどんどんと児童養護施設の中でふえてきている現状の中では、必ずしも児童養護施設が適していると思わないと。やっぱり里親さんのもとで適切に愛情いっぱいに育てていただいて、心のケアは専門の方にやっていただく、その二段構えが一番望ましいというふうにご所見をいただきました。

 奈良県の里親委託率というのは、今一五・一%で、全国の中では決して高いとは言えません。里親委託をふやしていこうとする過程の中で、今、一番都道府県単位で多いのは新潟県で、里親委託率が大体五割ぐらいございます。市町村単位でいうと福岡市が四割程度ございます。必ずしも、今、こんなに高いんじゃなくて、新潟県の場合、十年前だと二六%、五年前で三二%、今五割と、どんどんと上げてこられています。福岡市に至っては、十年前は六・九%が五年前二〇%、今四割と、どんどん上げてこられているのは、やっぱり里親さんをふやしていくという明確な目標と数字設定をされてきて取り組まれたという背景が多いんじゃないかなと思います。必ずしもどなたでもいいということは、これ、いずれの市町村においてもその取り組みをされていると思いますので、数のターゲッティングをして取り組みを行っていくことについてご所見をいただきたいと思います。

 また一方で、里親さんはふやしていくんだけれども、施設養護の質も上げていく必要は当然あるかと思います。施設であっても虐待を受けた子のニーズに合った養育を追求していくためには、おとといお話を伺った方もおっしゃっていたのですけれども、虐待を受けるなど特に心に傷を負った子を受け入れる施設として、滋賀県ではさざなみ学園という施設がございます。これ、情緒障害児短期治療施設と申しまして、全国に三十八カ所ございますが、奈良県には一つも設置がございません。全国三十八カ所の中で二カ所は都道府県設置のところもございますので、虐待が、去年でも三千八百件ですか、毎年毎年五年間右肩上がりに伸びていく、この現状を受けて、ぜひ県としてもご検討していただきたい。新しい施設が難しかったら、今ある児童養護施設の中でこの機能をしっかりと持たせた施設に変えていくことが、より子どもさんたちに寄り添った施設になるのではないかなというふうに思います。

 次、性的マイノリティです。教育長、ご答弁ありがとうございました。私も当事者の方に奈良県教育委員会がつくっておりますなかまとともにを見ていただきました。こんなにすばらしい教材でやっていただいているのかと、そんなお褒めの言葉もいただきました。ただ難しいのは、副教材でございますので、それを使っていただいて子どもたちに教えていただくのは、やっぱり先生個人個人の判断になるかと思うんですね。当事者の方々は、こういう本の中に入れていただくのは構わないんだけれども、発達障害のハンドブックのような、どなたでも手にとっていただけるようなアイテムがあれば、理解も非常に広がるのではないかなとのことでした。

 教育委員会で非常に積極的にお取り組みを進めていっていただいている一方で、県のほうの人権施策に関する基本計画は二〇〇四年なんですね。時代がどんどん変わってきていますから、ぜひ、これ、改定していただきたいというふうに思います。

 最後、ふるさと納税ですけれども、県の方でどんどん入ってきますと、それは単純に増加になります。けれども、その一方で奈良県民の方がよそに寄附されていると収支が赤になってしまうんですね。県で統計をとっているかと聞いたら、とっていないと言われました。ふるさと納税の貿易収支、赤字になっているか、黒字になっているか。奈良市のほうの数字が出てまいりましたので、ぜひご紹介したいと思います。奈良市では、昨年、赤字が一億二千四百万円だったということです。この点も含めてぜひ検討していただきたいと思います。



○議長(中村昭) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) 子どもの学習支援でございますが、市町村ごとに差があるのは、いろんな分野でもございますが、それをなだらかにするのに、市町村がやらないのを県がかわりにやれというご意見は、時々市町村から、うちはできんからおまえやれと言われる。それには頑強に抵抗しております。それは市町村の役割でしょうと。市町村がされるのを手伝いをしますよということと、それと、意識がいっていないと、そういう事情にあるということをご存じない市町村長さんあるいは職員の方がたくさんおられるということがわかってきて、いろんな分野でですね。したがいまして、この子どもの学習支援についても奈良県・市町村長サミットで資料として提供して取り上げて、意識を持っていただくようなことから始めさせていただこうかな。市町村の差があると、やはり市町村長、角遂されますので、競争から促すという手法でございますが、奈良モデルの入り口でございます。

 二つ目の家庭養護、社会的養護でございますが、議員の話をお伺いしておりますと、児童虐待された人の入り口へ来ていただくこども家庭相談センターへの相談は県が一生懸命、担当がしてくれておりまして、入り口は大変いいと思うんですけど、出口でちょっとよくなってすぐに戻したら、またしんどい目に遭われるということで、出口が、議員のご意見でございますと、里親と施設とがあるけど、いずれにしても家庭的な養護が要るんじゃないかということは、そのとおりだと思います。実際の親さんだけじゃないし、里親だけじゃない。施設自身の扱い方によっては親にかわる環境ができるかもしれないというような思いも持ちます。子どもさんが出口に向かって、そこでいっとき、いっときのことでございます。根強い力を持った大人になっていただくことが何よりでございますので、いっとき、大変ナイーブな時期を温かい環境の中で過ごしていただくというのはとても大事なことでございます。その出口の整備ということについて、今までは入り口の整備に、ご指摘を受けまして、こども家庭相談センターの相談をしっかりしようということに力を入れてきたように思いますが、これからは出口についても、もう少し配慮を深めていきたいというふうに改めて思いました。

 性的マイノリティについては、理解の難しい面がまだあるように感じております。昔、参議院議員時代、性同一性障害の議員立法をするときに、南野知恵子さんが主催されまして私は法律をもって説明にお伴をしたり、自分で回ったりしておりました。中身がわからないまま、しかし、お手伝いすることによって内容の理解が進んだことを覚えております。そのようなことを職員にやったんだぞと言っておりませんでしたので、これはやった仕事だから、さあ充実してくれということを改めて、言い方は変かもしれませんが、ちょっと職員にお願いしたいと思います。

 最後にふるさと納税でございますが、商品の販売促進の道具だと割り切る地域も出ているようには思いますが、そういうことじゃなしに、何かふるさとへ寄附していただくというのが非常にいいファッションになるように、奈良県出身で大変成功されている方、あるいは奈良県への思いが強い方が結構おられるということがわかってまいりました。東京でのゆかりの会もどんどん人数が膨らんでまいりまして、ことしは二百八十名の方に参加していただきました。その際にふるさとの思いが皆さん強いなということは改めてわかってまいりましたが、それがふるさと納税のような形につながる風習までまだいっておりませんので、何か工夫をして、納税された内容が形になるようにするのも一つかなというふうに思ったりしております。

 企業版ふるさと納税というのも、どのような設計になるのかわかりませんが、奈良県がお願いをしていい一つの大きな制度になり得るのかなというふうにも考えて、もう少し勉強したいと思っております。

 以上でございます。



○議長(中村昭) 三番猪奥美里議員。



◆三番(猪奥美里) ありがとうございました。社会保障はもう既に未来への投資として捉えていただいて、積極的な推進をお願いしたいと思います。

 終わります。



○議長(中村昭) しばらく休憩します。



△午後三時一分休憩

   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



△午後三時二十分再開



○副議長(山本進章) 休憩前に引き続き会議を開きます。

 次に、十四番大国正博議員に発言を許します。−−十四番大国正博議員。(拍手)



◆十四番(大国正博) (登壇) それでは、議長の許可をいただきましたので、公明党を代表いたしまして、通告いたしました数点について荒井知事にお尋ねいたします。

 初めに、国土強靭化地域計画についてお聞きいたします。公明党が提唱する防災・減災ニューディールの考え方を反映した防災・減災等に資する国土強靭化基本法が平成二十五年十二月四日に成立し、その後、巨大地震などの大規模災害が発生した場合、壊滅的な被害を免れるための政策大綱が決定し、防災・減災の取り組みが本格的にスタートいたしました。

 政策大綱では、一、人命の保護、二、国家の重要機能維持、三、国民の財産、公共施設の被害最小化、四、迅速な復旧復興を基本目標として規定し、住宅密集地での大規模火災や市街地の広域浸水など、国として避けなければならない事態への対策を分野別にまとめています。政策大綱をもとにより詳細な国土強靭化基本計画を平成二十六年六月に策定されるとともに、国土強靭化アクションプラン二〇一四を決定され、都道府県、市町村に対する国土強靭化地域計画の策定支援も開始されました。そして、本年六月十六日には国土強靭化アクションプラン二〇一五を決定されたところであります。

 アクションプランは、各種対策ごとに数値目標を設定しています。住宅や建築物の耐震化率、橋りょうの耐震補強完了率、社会的重要施設等における燃料タンクの導入目標達成率、大企業及び中堅企業のBCP策定割合、農道橋、農道トンネルを対象とした点検、診断の実施割合、信号機電源付加装置の整備台数、ごみ焼却施設における災害時自立稼動率、下水道による都市浸水対策達成率など、多岐にわたっています。このアクションプランは、毎年度策定することとされ、プログラムの進捗管理、毎年度の施策の検討に活用されます。

 防災・減災等に資する国土強靭化基本法第四条では地方公共団体は、第二条の基本理念にのっとり、国土強靭化に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有すると、計画策定や施策についての地方公共団体の責務が明記されています。さらに第十三条には、都道府県又は市町村は、国土強靭化に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、当該都道府県又は市町村の区域における国土強靭化に関する施策の推進に関する基本的な計画を、国土強靭化地域計画以外の国土強靭化に係る当該都道府県又は市町村の計画等の指針となるべきものとして定めることができるとされています。

 このように国は、基本計画とアクションプランの策定を受け、各都道府県及び市町村に地域計画の策定を求めています。努力規定ではありますが、国や市町村と連携した本県の強靭化対策を進める上で必ず必要になると考えます。内閣官房国土強靭化推進室の公表によりますと、平成二十七年十一月現在で計画策定済みが九道県、計画策定中は奈良県を含め三十五都府県で、国土強靭化地域計画の策定が進んでいます。

 住民から見て地域計画はわかりやすいことが重要です。例えば災害発生により地域が孤立化する事態に対し、公共事業として全道路を改良することは困難であります。よって、孤立化しても、それを問題としない住民や事業者などによる地域での取り組みが大切だと考えます。

 そこで、荒井知事にお伺いします。

 地域の災害対応力を充実させる観点から、公共事業などのハード対策のみではなく、自主防災組織の強化や防災リーダーの養成などのソフト面の取り組みが不可欠であると考えますが、検討を進められている国土強靭化地域計画の基本的な考え方についてお尋ねいたします。

 また、とりわけ安全性の確保が必要な緊急輸送道路の安全対策についてお聞きいたします。

 国の国土強靭化アクションプラン二〇一五の第四章プログラム推進のための主要施策の八、交通・物流には緊急輸送道路としての機能を発揮し、実働部隊が迅速に活動できるよう、代替性確保のためのミッシングリンクの整備、三大都市圏における環状道路の整備、橋梁の耐震性能向上、道路法面の対策、路面下空洞調査の実施、倒壊による道路閉塞を回避するための無電柱化等を推進するとともに道路施策への防災機能の付加を推進すると明記されています。

 ご承知のとおり、道路は医療サービス、産業、観光など平時には暮らしを支え、災害時には避難、救急救命、復旧などの命を守るという機能を持っています。危機を克服していくために、今、公共事業に求められているものは、命を守る公共事業であり、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化などの整備が重要です。

 私は、七月三十日、同僚議員とともに国土交通省道路局国道・防災課を訪れ、今後の道路のメンテナンスについての意見交換をしてまいりました。また、同日行われましたレジリエンスジャパン推進協議会が開催する国土強靭化シンポジウムにも参加いたしました。その中では、古屋圭司初代国土強靭化担当大臣による国土強靭化と今後の展望〜交通・物流の強靭化へ〜と題した特別講演や大石久和国土政策研究所所長による交通・物流レジリエンスの課題と展望と題した基調講演などが行われ、道路メンテナンスは重要だと強く感じたところであります。

 さて、本県ではこれまで五回の奈良県道路インフラ維持管理連絡協議会を開催されるなど、道路のメンテナンスに積極的に取り組まれているところであります。またこの協議会では、平成二十六年七月の道路法施行規則の施行を受けて、全ての道路管理者が橋りょう、トンネルなどの道路施設について計画的に点検を行うとともに、診断、計画、措置、記録のメンテナンスサイクルを確実に回す仕組みづくりを議論されているとも聞き及んでおります。特に橋りょうにおいては、緊急輸送道路をまたぐ橋りょうや緊急輸送道路を構成する橋りょうの点検を最優先に位置づけられているとのことであります。

 そこで、荒井知事にお伺いします。

 交通ネットワークの強靭化を推進していく上で、緊急輸送道路の機能確保は極めて重要であり、そのためには橋りょうやトンネルなど緊急輸送道路上の道路施設の点検、橋りょうの耐震化、のり面からの落石対策を進める必要があると考えますが、国土強靭化地域計画策定に向け、緊急輸送道路の安全対策についてどのように進めていこうとお考えなのかお尋ねいたします。

 次に、健康寿命日本一に向けた取り組みについてお聞きいたします。

 我が党は、これまで機会あるごとに、健康寿命の取り組みについて質問、要望をしてまいりました。平成二十五年九月の定例会の代表質問では、静岡県の取り組みを通して健康づくりの拠点の必要性を求めさせていただき、現在、橿原市内と王寺町内に健康ステーションが設置され、大いに健康づくりの取り組みが進んでいると承知しています。平成二十六年六月定例会では、健康長寿世界一復活に向けて取り組んでおられる沖縄県の減塩の取り組みや、県民の意識改革などを通して質問してまいりました。そして昨年十二月の代表質問では、新潟県見附市のスマートウエルネスみつけを通して、ふだんから健康づくりに取り組んでおられない方に対するきっかけづくりについて質問いたしました。

 今回は、去る十一月五日、六日両日で六年ぶりの訪問となる長野県での調査内容を踏まえ、質問をさせていただきます。長野県は、厚生労働省の平成二十二年の調査によると、平均寿命が男性は八十・八八歳、女性は八十七・一八歳で、男女とも全国一位となっています。同県の男性では、平成二年からずっと平均寿命の全国一位を重ねています。また、〇歳の日常生活動作が自立している期間の平均は、男性七十九・四六歳、女性が八十四・〇四歳で、ともに健康寿命日本一であります。

 なぜ長野県は長寿県になれたのか。県は、医師や大学教授ら七人をメンバーに研究チームを立ち上げ、平成二十五年、平成二十六年に研究を実施されました。これまでは、長野県の平均寿命や健康寿命が上位にランクインする要因として、高齢者の就業率が全国トップでボランティア活動も積極的。生きがいを持って生活している。男女とも野菜摂取量が全国一位。郷土料理、伝統料理を活用している。保健師、食生活改善推進員、保健補導員ら健康ボランティアの活動が盛ん。医師、歯科医師、薬剤師、保健師、管理栄養士など専門職による地域保健医療活動が活発などが挙げられてきましたが、これらをデータを用いて検証しようする取り組みであります。

 結果、分析した八十一の指標のうち、就業率の高さや肥満者の割合、野菜の摂取量など三十一の指標で上位になった都道府県が平均寿命や健康寿命も上位になる傾向があることがわかりました。長野県は、県民一人ひとりが健康に対する意識が高く、さまざまな主体が連携した活動の積み重ねが健康寿命に結実しており、今後も継承し発展させていく必要があるとまとめています。

 現在、長野県では健康長寿世界一を目指し、信州ACE(エース)プロジェクトと称した取り組みをされています。ACEは、生活習慣病予防に効果的に取り組む県民運動の名称です。Aはアクションで、体を動かす。Cはチェックで、健診を受ける。Eはイートで、健康に食べる。広く県民に取り組んでもらうためには、誰でもわかりやすく取り組める内容が必要だと感じました。

 また私は、長野県の調査にあわせ、保健師、食生活改善推進員、保健補導員が行う健康ボランティアの活動の現状調査を行うため長野市を訪問し、保健所で関係団体の活動状況についてお聞きしてまいりました。長野市すこやかリーダー会は、保健所及び保健センターを拠点に健康づくり実践のための自己学習や普及啓発活動を通じて地域の健康づくりを推進されています。長野市食生活改善推進協議会は、私たちの健康は私たちの手でを合い言葉に、健康によい食生活をみずから実施、普及するため、地域においてボランティア活動を実施されています。また、歯を守る市民の会などの活動もありました。これらの活動の内容をお聞きする中で、健康ボランティアである健康補導員や食生活改善推進員などが住民との橋渡し役として活動を支えている様子がわかりました。

 私は、今回の長野県の調査を通じ、県は科学的根拠に基づいた具体的な取り組み方策を示すこと、また、草の根の取り組みの中心である各市町村との連携や各市町村のやる気度を上げていくことが重要な役割であると感じた次第であります。

 奈良県は、平成三十四年度までにこれらの取り組みをされている長野県を超えて初めて健康長寿日本一となります。これはなかなか簡単な道のりではないことを感じました。

 そこで、荒井知事にお伺いします。

 奈良県の目標であります平成三十四年度までに県の健康寿命を日本一にするためには、市町村のモチベーションを高めつつ市町村と連携・協働し、県民にわかりやすい施策を積極的に展開していく必要があると考えます。知事は、健康寿命日本一達成のために今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか。

 次に、奈良県総合医療センター跡地活用プロジェクトについてお聞きいたします。

 高齢化が進む一方、社会保障費の見直しや介護の担い手不足も予想される中、高齢者が住みなれた地域で自分らしい生活を続けられる地域包括ケアシステムの構築は、これからの深刻な超高齢社会への対応に欠かせない喫緊の課題です。

 我が会派は、平成二十四年二月、定例議会において、奈良市平松周辺地区の病院移転後の跡地利用について、長野県佐久総合病院の取り組みを紹介させていただき、奈良県においても病院での治療だけではなく健康づくりまで含めた取り組みを求め、地域の方が安心して暮らしていけるまちとなるよう提案し、平成二十四年四月には千葉県柏市豊四季台団地地域における長寿社会のまちづくり、平成二十五年十月には東京都新宿区内にある暮らしの保健室、平成二十六年二月には公立みつぎ総合病院の取り組みなどを視察し、質問や要望を行ってまいりました。

 これまで県は、地域包括ケアシステムの構築については、地域包括ケア推進支援チームを編成し、全市町村に出かけていく支援を行い、さらには奈良県・市町村長サミットを通じて地域包括ケアシステムの構築に向けて県内市町村長に対して働きかけをいただいております。

 荒井知事が特に力を入れていただいている奈良市平松周辺地区は、日本でも最先端のアイデアが満載されたまちづくり構想の取りまとめに力強く取り組んでいただいております。本年一月二十三日に締結された奈良市とのまちづくりに関する包括協定において、平松周辺地区が協定の対象地域として位置づけられ、県と市が連携して奈良県総合医療センター跡地活用プロジェクトチームを立ち上げられました。既に平松周辺地区におきましては、住民の皆様が気軽に健康、医療、介護、子育て等の相談の支援を受けることができるような暮らしの保健室がスタートしたほか、附帯事業となる健康づくりや交流事業のあり方について協議されており、おおむね五年から六年後のまち開きを想定し、進められています。

 そこで、荒井知事にお伺いします。

 昨年度にまちづくりのアイデアコンペを実施されましたが、アイデアコンペには具体的なまちづくりのイメージが描かれていて、地元住民の方々に夢を与えられるものでございました。その後、庁内で検討が進められていると思いますが、改めて、奈良県総合医療センター跡地について、地域包括ケアのまちづくりという考え方のもとで具体的にどのようなスケジュールでどのようなまちをつくろうと考えておられるのでしょうか。

 次に、ひきこもり状態の若者に対する支援についてお聞きします。

 いつの時代も若者は社会の重要な担い手であり、社会の活力の源であります。景気の落ち込みを脱しつつある今こそ、若者の育成、活躍を促す取り組みを進める好機と考えます。また、若者が生き生きと働ける社会を実現することは、今後の少子化に歯どめをかけることにもつながりますし、いまだ活躍の機会がない若者が一人でも多く社会参加をし、活躍していていただくことが、本県にとりましても地方創生の大きな力になると考えます。特にひきこもりなど自立や就労に悩む若者がふえており、厚生労働省の調べでは、こうした若者を抱える家族が約三十二万世帯いるとされ、本県においては約四千人を超えると言われており、その対策が急がれております。

 昨年十二月の我が会派の代表質問において、ひきこもりの総合的な相談窓口の設置を提案させていただいたところ、荒井知事は即座に対応され、本年四月、県庁内に設置していただきました。ひきこもりで悩んでいらっしゃる県民の方々からもお声をいだいており、公明党会派といたしましても感謝を申し上げます。

 一方、約四千人とも言われるひきこもり状態にある若者が、どのようにしてひきこもりから脱却し社会で活躍していただけるかなど、今後の課題も考えられるのではないかと思います。

 本年八月三十一日にNHKで放送されたプロフェッショナルの中で、若者訪問支援に取り組んでおられるNPOスチューデント・サポート・フェース代表理事の谷口仁史さんは、若者が自分から相談施設に足を運ぶことは難しく、彼らが自立に向けたきっかけを得るにはアウトリーチが必要である。だが、アウトリーチは極めて高い援助技術を要し、熟練の支援者でも取り組むことが難しい。心を閉ざした若者との直接接触はリスクが高く、彼らをさらに追い詰め、状況を悪化させるおそれもあるからだ。また、一人の若者やその家族を支援するためには、家庭生活や学校生活、就労先など多面的に支えていく必要があり、関係機関との連携が必要であると語られています。

 ひきこもり、不登校、自殺未遂、社会の人間関係に傷つき、心を閉ざした若者たちの多くが悩みや苦しみを誰にも打ち明けられず、孤独の中で暮らしている。そうした若者たちを救うため、もっと積極的にアウトリーチを行う必要があるのではないか。また、支援の質を保つための人材の研修が必要ではないかと考えます。また、相談窓口のある奈良県庁まで距離が遠く、来庁しにくいと感じておられる方々に対する対応も必要であると考えます。

 そこで、荒井知事にお伺いします。

 本年四月、県庁に設置された奈良県ひきこもり相談窓口は、開始から八カ月が経過していますが、現在まででどのような相談状況となっているのか、また、見えてきた課題は何か、そして、その課題を踏まえて今後のひきこもり支援策についてどのような展開を考えておられるのか、お尋ねをいたします。

 最後に、近鉄大和西大寺駅周辺の交通対策についてお聞きします。

 十月十四日の報道によりますと、奈良市の商業施設、ならファミリーが二〇一六年秋に五十五億円を投じリニューアルオープンすると発表されました。これによりますます駅周辺はにぎわい、将来的にも国営公園として整備される平城宮跡の最寄り駅として駅周辺のまちづくりが重要になってまいります。

 奈良県は、本年一月二十三日に奈良市とのまちづくりに関する包括協定書を締結し、その中で大和西大寺駅周辺地区のまちづくりについて協働で検討や取り組みを進めていくことになりました。これまで荒井知事は、全国の中でも最も困難な近鉄大和西大寺駅周辺の課題に対し取り組んでこられ、感謝申し上げます。私は、機会あるたびに質問をさせていただいてまいりましたが、平成二十一年十一月定例議会の代表質問で荒井知事は、交通環境の改善をはじめ近鉄大和西大寺駅周辺地域のまちづくりを検討するため、近鉄大和西大寺駅周辺地区都市基盤整備検討会議を設置していただき、今後とも実現可能なハード・ソフト施策を検討、実施することにより、近鉄大和西大寺駅周辺の交通環境改善やまちづくりにかかわる種々の課題の解消について、比較的短期間で解決でき、手戻りのない解決法の採用に努めてまいりたい。さらに、鉄道の立体化など財源的問題も含め、またまちづくりの観点も含め、移設の実現可能性についてあらゆる角度から検討を進めてまいりたいと答弁されています。

 また、近鉄大和西大寺駅周辺地区都市基盤整備検討会議でも協議いただいた、奈良市が整備する駅東側の駅をまたぐ自由通路の整備でありますが、本年九月の奈良市議会での都市整備部長の答弁によりますと、平成二十九年度末完成に向けて取り組んでおられ、今後は屋根設計や構造計算の結果による歩行者専用道の詳細設計が完了次第、近畿日本鉄道株式会社と協議を行い、一刻も早く工事に着手できるよう努めてまいりたいと考えておりますとのことです。

 私ども公明党奈良県議団は本年七月三十日、国土交通省を訪問し、近鉄大和西大寺駅周辺整備事業に対する社会資本整備交付金の重点配分を太田国土交通大臣に要望いたしました。これまでの取り組みやあかずの踏切によりまちが南北に分断された状態を解消するための課題などについて、太田大臣をはじめ同席された関係所管課長などに対し国の協力を求めてまいりました。

 さて、この問題につきましては、十月六日に行われました予算審査特別委員会の総括質疑で荒井知事は、北と南の通路、駅周辺を整備しても将来このままになるのかどうなのか、その前に平城宮跡通過でいいのか、どっちかに振らなくてはいけないのか、根本的な大問題をどちらかにするか決めないといけないということがある。今の位置でよいということになれば、少し駅をずらすことになるかもしれないが、立体化する方向もある。近接する平城宮跡内の近鉄線の移設と一体的に検討しているところでございますと答弁されています。

 そこで、荒井知事にお伺いします。

 鉄道の立体化や近鉄線の移設については難しい課題がある中で、奈良市の駅南区画整理事業の進捗やならファミリーのリニューアルなどを考えると、本県の方針を示さなくてはならない時期が来ているのではないかと考えるところでありますが、近鉄大和西大寺駅周辺の交通対策を今後どのように進めていこうとしておられるのか、お聞きいたします。

 以上で、壇上からの質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)



○副議長(山本進章) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) (登壇) 十四番大国議員のご質問にお答え申し上げます。

 第一問目は、国土強靭化地域計画の基本的な考え方というご質問でございます。

 国土強靭化基本法は一昨年十二月に公布、施行されました。国におきましては、昨年六月に国土強靭化基本計画、国土強靭化アクションプランが策定されました。本県におきましては、事前防災・減災に係る施策を総合的かつ計画的に実施するため、同法第十三条に基づきまして、本県の国土強靭化の指針となります奈良県国土強靭化地域計画について、今年度末を目途に策定作業を進めているところでございます。

 この計画におきましては、災害により死者を出さない、災害に日本一強い奈良県の実現を目指しております。基本目標といたしまして、第一に人命を守る、第二に県民の生活を守る、第三に迅速な復旧・復興を可能にするという点を決めて定めることにしております。

 またこの目標の達成に向けて、奈良県の強靭化に取り組む際に念頭に置くべき項目を基本方針として定めますが、特に議員もご指摘のように、ソフト対策とハード対策を適切に組み合わせることは重要な観点であると考えております。奈良県地域防災計画検討委員会座長の関西大学、河田教授からも、ハード対策だけではなくソフト対策を計画に位置づけることが重要であるとのご助言もいただいているところでございます。

 施策の検討に当たりましては、本県が経験いたしました大和川大水害や紀伊半島大水害、さらには南海トラフ巨大地震という超広域的な災害を設定した上で、起きてはならない最悪の事態を想定し、これを回避するために必要な施策を検討しているところでございます。その際には、今年度で終期を迎えます県地震防災対策アクションプログラムの内容についても継承していきたいと考えております。

 これらの展開の具体的なものでございますが、大和川流域の総合治水対策や土砂災害対策、京奈和自動車道をはじめ紀伊半島アンカールート等信頼性の高い道路ネットワーク整備などのハード対策だけではなく、県民の皆様に適切な避難や日ごろの備えの重要性をご理解いただくための防災知識の普及啓発や防災教育、また防災訓練の実施、自主防災組織の強化や防災リーダーの育成など、自助、共助の取り組みを進めるためのソフト対策も計画に位置づけたいと考えております。

 計画の実効性を高めるためにはPDCAサイクルにより推進を図るとともに、重要業績評価指標と言われますKPIを設定して定量的評価も行い、原則として五年ごとに計画内容を見直すことにしたいと思います。また計画の着実な推進のために、国と同様に具体的な事業をまとめたアクションプランを毎年度策定することにしたいと思っています。このプランは、県地域防災計画の実施計画としての意味もあわせて持たせたいと考えております。このような考え方のもと、国土強靭化地域計画を策定して着実に実行してまいりたいと思います。

 国土強靭化地域計画の中での緊急輸送道路の機能確保のご質問がございました。

 緊急輸送道路は、地震等の災害発生直後の救命・救助活動やその後の復旧、避難者支援活動を円滑に実施する上で欠くことのできない非常に重要な道路でございます。本県内では高速道路、国道、県道を中心に九十八路線、約九百四十キロメートルが位置づけられております。東日本大震災や紀伊半島大水害、中央自動車道笹子トンネルでの天井板落下事故など近年の災害や事故を踏まえますと、議員お述べのとおり、安全・安心の確保、県土の強靭化に向けましては、緊急輸送道路における老朽化対策、橋りょうの耐震化、道路のり面の防災対策がこれまで以上に重要になってきていると思います。

 県が管理する橋りょうは約二千四百橋ございます。また、トンネルは約百三十カ所ございます。これらのインフラをはじめとする道路施設の老朽化対策が重要でございますが、それにつきましては、定期点検の実施、点検結果の長寿命化修繕計画への反映、長寿命化修繕計画に基づく補修工事や更新工事の実施といったメンテナンスのサイクルがしっかりと定着するよう、継続して取り組んでいく必要があると考えております。

 また橋りょうの耐震補強でございますが、建設年次の古い百八十三橋につきまして、阪神淡路大震災と同程度の地震に対しても落橋等の甚大な被害が生じないように橋脚の補強や落橋防止装置の設置などを進めてきております。平成二十六年度末時点で約七八%の進捗となっております。残りが四十橋ございますが、平成三十年度までに耐震補強を終えることができるよう、引き続き計画的に取り組んでまいります。

 さらに道路のり面における防災対策でございますが、本年七月の台風十一号の降雨により、国道一六八号の十津川村桑畑においてのり面の崩壊が発生いたしました。約二カ月間もの全面通行どめを余儀なくされました。のり面対策の重要性を改めて認識しております。防災点検や点検結果に基づくのり面対策、落石対策につきましても、着実に実施していく必要があると認識をしております。

 なお、これらの緊急輸送道路の安全対策につきましては、現在策定作業を進めております奈良県版国土強靭化地域計画にも位置づけることにしております。引き続き、防災安全交付金をはじめとする国からの支援を活用しながら、今後とも着実に推進してまいりたいと思います。

 健康寿命日本一に向けた取り組みについてのご質問がございました。

 議員お述べになりましたように、市町村のモチベーションを高める、市町村と連携・協働する、県民のわかりやすい事業展開を図る、この三つがとても大事なことだと理解しております。

 奈良県におきましては、平成三十四年度までに県民の健康寿命を男女とも日本一にすることを目標に取り組みを進めておりますが、平成二十六年の健康寿命は、男性は四位になりました。女性は三十三位でございます。一昨年の男性十三位、女性四十一位と比較すると、男女とも順位が上がりました。が、まだ先頭ランナーはたくさんおられます。長野県でございますが、男性は一位、女性四位と、依然として全国トップレベルを続けておられます。

 このように定常的に差があるのはどうしてだろうかということが研究の対象でございました。長野県を先行のベンチマークとして、奈良県と比べ何がすぐれているかを比較してきております。例えば、がん検診の受診率は、長野県はどのがんも全国平均を大きく上回っておりますが、奈良県は三十位台、四十位台と低迷しております。また野菜摂取量は、長野県が男女とも一位でございますが、本県では男性が四十位、女性が四十六位となっております。健康寿命日本一を達成するためには、このような行動の差を早急に埋めることが不可欠でございます。努力なしに成果なしというふうに思います。

 本県では、健康寿命の延長に効果的な健康行動について、統計学を使いまして研究いたしました。どのような健康行動が健康寿命にもっとも効果があるのかという観点の研究でございますが、四項目、とりあえずございました。がん検診が一つ、野菜の摂取と減塩が二つ目、それと運動の促進、たばこ対策の四つでございます。いずれも生活習慣にかかわる内容でございます。

 まず具体的な取り組みの中でがん検診でございますが、受診対象者への個別受診勧奨、未受診者への再勧奨が必要でございます。昨年度はモデル的に四市町で実施いたしましたが、川西町では大腸がん検診の受診者数が実施前に比べ二・四倍になるなど、大きな成果が出ました。本年度はこの取り組みを九市町に拡大して実施しています。今後ともこの取り組みがさらに広がるように市町村を支援してまいりたいと思います。

 次に野菜の摂取につきましては、まだまだ本格的な取り組みが不足している分野であります。まずは県民の野菜摂取の実態を把握し、効果的な施策を検討してまいりたいと思います。

 次は運動でございますが、歩くことによる健康づくりを実践する拠点として、県内二カ所に健康ステーションを設置し、多くの方にご利用いただいております。今後は、市町村営の健康ステーションが展開されるように取り組んでまいりたいと思います。

 また市町村の健康づくりに対する意欲を高めるためには、奈良モデルの手法を用いまして連携・協働を進めるとともに、市町村別の健康寿命や健康行動指標の順位を奈良県・市町村長サミットをはじめさまざまな機会を通じて公表しております。意識は確実に高くなってきているように思います。

 健康寿命延長への取り組みは、市町村にとっても医療費及び介護費の抑制、ひいては国民健康保険料、介護保険料の低減も期待できますので、今後とも市町村との連携を一層強化して、健康寿命日本一の達成のために総力を挙げて邁進してまいりたいと思います。取り組む値打ちのある分野だというふうに思っております。

 次のご質問は、奈良県総合医療センター跡地活用プロジェクトについてでございます。県立病院跡地のプロジェクトでございます。

 本県では急速な高齢化が進行する中で、奈良県総合医療センター跡地におきまして地域包括ケアの先進的なモデルとなる健康長寿のまちづくりを目指した取り組みを進めております。現在、地元の方々とのまちづくり協議会や県とまちづくりに関する包括協定を結んでいる奈良市の関係課が入った跡地活用プロジェクトチームなどで議論、検討が進められているところでございます。

 まちづくりの視点につきましては、住みなれた地域で安心して最後まで住み続けることができるまちづくりを目指しております。また、幅広い世代向けの居住環境を整備することで多様な世帯、多世代の世帯が生き生きと暮らし続けられる住まい、まちづくりを構築して、多世代が交流できてにぎわいのある元気なまちができるように目指していきたいと思います。

 このような地域包括ケアシステムの整ったまちにするためには、必要な機能、またあるべき施設は何かということがこれからの研究の中心でございます。例えば、地域で不足しております診療所、病院と在宅医や介護関係者をつなぐ役割を担う在宅医療・介護連携支援施設も重要な機能でございます。また、地域の訪問看護事業所をサポートできるような基幹型の訪問看護ステーションも重要な役割のように思われます。さらに、介護が必要な方の一時的な宿泊や相談機能の整った看護小規模多機能型居宅介護が必要な場合もあろうかと思います。また、暮らしの保健室なども必要であろうかと思います。そのような必要な機能、望ましい施設の列挙を研究の対象にしておるところでございます。

 このような奈良県総合医療センター移転後の広い県有地を活用して県が主体的にまちづくりをデザインできるのは幸いなことでございますが、社会経済構造の変化に対応できる持続的なまちづくりを目指したいと思っております。先進的で常に時代の最先端を行く健康長寿の知恵が詰まったようなまちができたらと願っております。

 今後、奈良市との協議や地元の方々の意見も聞きながら、来年度には平松周辺地区のまちづくりを具体的にイメージしていただけるような基本構想を策定したいと考えております。その上で、病院移転後速やかに事業展開が進むように、平成三十三年のまち開きを目標として事業手法の検討や事業者の選定などをスケジュール観を持って設定していきたいと思っております。

 次のご質問は、ひきこもり状態の若者に対する支援の最近の状況についてでございます。

 平成二十七年四月に開設いたしましたひきこもり相談窓口は、約八カ月たちましたが、臨床心理士の資格を持つ専任の相談員二人を配置いたしまして、ひきこもり状態のご本人及びそのご家族からの電話相談や来所相談に対応しております。十一月末日までの相談状況は、電話相談が延べ五百七十六件、来所相談が延べ二百三十八件、相談者実数が百八十人でございました。月を追うごとに相談が増加している状況と聞いております。

 相談窓口におきましては、カウンセリングを行いながら、ひきこもりご本人の状態の把握に努め、その状況に応じた必要な支援を行っております。少しずつではありますが、出口が見え、就労につながった事例も出てきております。

 しかし、そのような作業の過程で幾つかの課題も浮き彫りになってきております。貴重なケースの課題というふうに認識をしております。

 まず、さまざまな事情を持って来所される方々が増加しておりますが、そのようなご相談に的確に対応する能力を維持しなきゃいけないというふうに思います。今後、相談体制の充実を図るとともに、特に来所の少ない県中南部の方々をご支援するため、出張相談などの実施も必要かと思われます。

 また、親御さんへの対応の必要性も課題に上がっております。相談に来られる半数以上の方が親御さんでございます。子どもさんへの対応に悩んでおられる方々も少なくありません。親同士が集まって語り合うとともに、子どもへのかかわり方を学ぶ場を設けることにより、親御さんの不安を和らげ、子どもと真摯に向き合うエネルギーを持たれ、ご本人の来所につながるような取り組みについても必要かと思います。

 さらに、重症化するケースへの対応も必要だと思います。とりわけ暴力を振るわれるケースや医療措置を要するケースなど多くの重症化したケースに対応する必要がございます。このため、専門的スキルを持った臨床心理士による家庭への訪問回数をふやすなど、支援の拡充を図る必要があります。また、ケースに応じて医療などの関係機関と連携する必要もあろうかと思います。

 このような課題が浮き彫りになってきている実情でございます。今後、ひきこもりでお困りの方々が誰もが気楽に安心して相談していただけるように、この相談機能を粘り強く拡充していきたいというふうに思っております。

 最後に、近鉄大和西大寺駅周辺の交通対策についてのご質問がございました。

 本県では、大和西大寺駅周辺の交通対策について、付近の渋滞問題を抜本的に解消することを目的に、近鉄大和西大寺駅の立体化と近接する平城宮跡内の近鉄線の移設を一体的に検討してまいりました。両方とも大変難しい問題でありますが、それが複合的に集中しておる駅でございます。日本の駅問題の中で最難関と言われるような難しい状況になっている駅だと認識しております。

 そのような中、本年一月に県と奈良市との間で、大和西大寺駅周辺地区を対象地区として、まちづくりに関する包括協定を締結いたしました。協定締結時における当該地区のコンセプトであります、奈良市西部の中心地にふさわしい賑わいと魅力あるまちづくりの実現に向け、県としてはより一層力を入れて取り組みたいと思っているところでございます。

 当該地区の課題を解消するための抜本的対策となりますのは、近鉄大和西大寺駅の立体化でございます。この大和西大寺駅の立体化は、近鉄線の平城宮跡内通過の解消方法と大きく関わっているのが実情でございます。本県といたしましては、駅を高架化または地下化した場合の鉄道の線形や駅の構造、軌道を高架化した場合の景観や騒音、地下化した場合の地下水位の変動について検討してまいりました。

 一方、駅の立体化には車両基地の存在が支障になっております。移転の実現可能性や移転先の検討などもしてまいりました。さらに、近鉄線が平城宮跡の中を横断している事情をどのように解決するかについても議論がまだ分かれております。極めて難しい問題でございますが、例えば線路を平城宮跡の南側に回すという案なども含めて、考えられる選択肢を慎重に検討していきたいと考えております。

 さきの九月議会でも答弁させていただきましたが、近鉄郡山駅の移設につきましては、私みずから近畿日本鉄道株式会社に対して協力を求めた結果、非常に協力的な姿勢をお示しいただいた事例もございます。この近鉄大和西大寺駅立体化と近鉄線移設の問題は、県としても非常に重要な案件ですので、知事みずからが積極的に動いてほしいという職員の要請が強くございます。私もそのような心がけで対応していきたいと思っております。

 このように、県としては今後とも早期に成案が得られ、一日も早く一定の方針がお示しできるように全力を挙げてこの課題に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。また鉄道事業者近畿日本鉄道株式会社に対しましても、積極的に課題解決の必要性を訴え、積極的に取り組んでいただけるよう要請をしていきたいと考えております。

 ご質問への答えは以上でございます。



○副議長(山本進章) 十四番大国正博議員。



◆十四番(大国正博) 知事から答弁をいただきました。理解もさせていただきました。ありがとうございます。

 一点目の国土強靭化地域計画につきましては、今年度末までに策定されるということであります。一問目でも申し上げましたように、やっぱりソフト面、ハードはもちろんでございますけども、これまでこの本会議場でも申し上げてまいりました防災教育はじめソフト面の取り組みは必要であろうと思います。しっかりとそういったものを組み合わせながら、また県民の皆様にも本当にご理解をいただきやすい内容になればと願っているところでもございます。

 その一の二番目の緊急輸送道路の件でございます。これは要望でございますけれども、先ほど国土強靭化シンポジウムに七月三十日、出席させていただいて、その中で、全国で十年間で約四万八千件の下水道管等による原因で道路が陥没しているというような報告もありました。奈良県内でも、こういった要因かどうか承知はいたしておりませんけれども、たまに陥没する場面が見受けられることもございます。特に奈良県は非常に重要な緊急輸送道路、そしてまた、国レベルの重要な行事もございますので、今後、こういった路面下の空洞化についての調査等も検討をいただきたいと思ってございます。これは要望でございます。

 二番目の健康寿命日本一に向けた取り組みでございますけれども、長野県に行かせていただいて感じたのは、やっぱり県民の皆さんが自信を持って、健康づくりは当たり前だと、私たちの健康づくりは自分らでしっかりやっていこうということで、地域に健康ボランティアさん等を含めて随分家庭訪問されてございます。特に生活習慣病等、特定健診等、結果が少し悪いぞと言われる方については訪問活動をされておりまして、顔を見れば、じゃ、健診を受けようかというふうになるらしいです。だから、そういったきめ細かい役割はやっぱり市町村の役割かなと思います。長野市さんに行かせていただいたときにおっしゃられておりましたのは、県、市町村が連携するのは当然でありますけども、一体的に健康づくりをいかに進めるかが大事だという保健所長さんのお話もいただいてまいりました。

 ぜひともそういったことで、先ほども一問目で申し上げましたように、奈良県のがん検診あるいは野菜、運動、喫煙等、こういった課題が見えてきている中で、この積み重ねで、できましたら、先ほど申し上げましたように、長野県のACEプロジェクト、あるいはその前に紹介しました静岡県のふじ三三プロジェクト、また今、健康寿命が随分上位にランクされてまいりました神奈川県の未病を治すかながわ宣言という、そういった運動も進められているようでございます。市町村との協議の中で県民にわかりやすいこういった運動ができればと思ってございます。

 一点、長野県で課題化されていたのは、自治会に入らない方がふえてきた。この方たちにどうアプローチをかけるかというのが非常に問題だということで、このACEプロジェクトもある意味インセンティブというものも実は考えているんだというお話もいただいてまいりました。この辺のところで、再度、荒井知事に奈良県の健康寿命日本一に向けたお考えについてお尋ねをしたいと思います。

 あと、奈良県総合医療センター跡地についてもしっかりと、また住民の皆さんとご協議を続けていただいてお願いしたいと思います。

 ひきこもりの相談窓口につきましては、やっぱり市町村との連携が必要だと思いますので、ぜひともしっかりと、またアウトリーチができますようにご努力をお願いしたいと思います。



○副議長(山本進章) 荒井知事。



◎知事(荒井正吾) 健康寿命日本一に向けた取り組みでございますが、生活習慣にかかわることが大きいというのがわかってまいりました。しかも、その生活習慣の大事なところは、健診でございますとか、運動でございますとか、野菜の摂取ということもわかってまいりました。どのように生活習慣を改善するかということになるわけでございますが、特定健診、がん検診などにつきましては、市町村に交付税措置がありまして、健診費用が出ているわけでございますが、市町村には随分健診率の差があって、全体しては大変低いと。ところが、先ほど川西町の例を言いました、御所市も低いよといって資料を奈良県・市町村長サミットへ出しますと、御所市の保健師さんが腕まくりをして、やったるわと言ってぐんぐんと伸びたという実例がございます。

 やる気というのも大きく世の中を変えていくものでございます。議員もそのような例をお述べになっていたように思います。これは形だけじゃなしに我々の気迫とか情熱が世の中の生活習慣を変える面があろうかというふうに思いますので、その仕組みだけじゃなしに担当者の、あるいは我々、県・市町村の首長の意識、また市町村議員の方の意識がやはり重要かと思います。やれば変えられるわけでございますが、長野県の意識と奈良県の意識がやはり違うなと卑下しないで、議員おっしゃいましたように、自信を持ってやることはやるということが奈良県の気風になればいろんなことがよくなってくるように思います。やるぞやるぞの気風がもっと充満すれば奈良県は確実によくなってくるように、議員のお話、議論の中で改めて感じさせていただいた次第でございます。



○副議長(山本進章) 十四番大国正博議員。



◆十四番(大国正博) 終わります。



○副議長(山本進章) これをもって、当局に対する代表質問を終わります。



○副議長(山本進章) 十九番松尾勇臣議員。



◆十九番(松尾勇臣) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出いたします。



○副議長(山本進章) お諮りします。

 十九番松尾勇臣議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。

     (「異議なし」の声起こる)

 それでは、さように決し、明、十二月八日の日程は当局に対する一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。



△午後四時十六分散会