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平成28年文教委員会 本文




2016.03.17 : 平成28年文教委員会 本文


(主な質疑)
《議案関係》
【神野博史委員】
 付託議案の第1号議案、平成28年度愛知県一般会計予算、歳出第11款教育費、第7項保健体育費のうち、予算に関する説明書256ページにある第3目体育施設費の説明欄、(3)愛知県体育館整備費3,009万9,000円について尋ねる。
 ただいま理事者から、この予算は、愛知県体育館に国際的なスポーツ大会やイベント等を誘致できるよう、施設の環境改善を図るための改修工事の基本設計費であると説明があった。
 愛知県体育館に関して、現在、名古屋市で開かれている議会において話題となり、「県体育館 河村市長『移転を』」及び「県体育館 移転協議申し入れ」という新聞報道がされた。
 そこで、名古屋市はなぜ今回のような愛知県体育館の移転を求めているのか。また、名古屋市から移転に関する働きかけはあったのか、併せて伺う。

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【保健体育スポーツ課主幹(保健体育スポーツ)】
 まず、名古屋市が、愛知県体育館の移転を求めている理由についてである。名古屋城の本丸御殿の復元に当たって、文化庁からの指導の下、名古屋市が設置した有識者でつくる検討会議において、平成18年に特別史跡名古屋城跡全体整備計画が策定された。特別史跡名古屋城跡全体整備計画では、愛知県体育館が位置する区域は特別史跡の指定未告示ではあるが、史跡に準ずる扱いの対象区域となっている。また、「城の歴史的環境にそぐわない施設は、将来的に適切な場所に移転させることを検討し、関係各機関との協議・調整を進めていく」としており、計画の中・長期目標として「現在、二の丸内にある愛知県体育館は、将来的には城外に移転するよう、関係各機関と協議を行っていく」とされている。名古屋城跡の整備を進めている名古屋市としては、将来的な二の丸内の整備と併せ、愛知県体育館の城外への移転を求めているのではないかと考えている。
 次に、名古屋市からの働きかけについてであるが、特別史跡名古屋城跡全体整備計画が策定される際に、担当部局の市民経済局から話があったとの記録が残っている。
 当時、名古屋市からは、「県体育館の平成14年から平成16年に行われた耐震改修工事は承知しているが、将来的な課題として移転の協議をしたい」とのことであったが、県からは「移転する計画はない」と回答している。その後も名古屋市の担当部局等から何度か同様の話はあったが、その都度、県からは「移転する計画はない」と回答し、それ以上の話にはなっていない。

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【神野博史委員】
 愛知県体育館は、50年以上もあの場所で様々な国際大会やイベントが開催されてきた実績や知名度がある。名古屋市民を始め、多くの県民に親しまれてきている県を代表する施設であると思っているが、愛知県体育館が名古屋城内に建った経緯について伺う。

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【保健体育スポーツ課主幹(保健体育スポーツ)】
 愛知県体育館は、前回の東京オリンピック記念事業として、当時、東海地方、殊に愛知県内に国際大会にふさわしい屋内競技場がなかったことから建設計画が立ち上がった。
 二の丸内にあった名古屋大学名城内二の丸校舎の移転に伴い、関係機関と調整を行い、昭和38年1月、当時の桑原愛知県知事と杉戸名古屋市長との間で県立の体育館を名城公園内に建設することを確認する覚書を締結した後、建設に着工し、昭和39年10月に開館した。
 敷地面積は約3万7,707平方メートル、建築面積は約7,634平方メートルの地上3階、地下1階の鉄筋コンクリート造りの建物である。
 建設地の名城公園は国有地であり、名古屋市が国から契約により無償で借り受けて管理しており、県は都市公園法等の規定に基づき、土地を管理している名古屋市から公園施設の設置許可を受け体育館を設置している。
 名古屋市には5年ごとに公園施設設置許可申請を行い、許可を受けており、現在の設置許可は、平成25年4月1日から平成30年3月31日までであるため、次回の更新については、平成29年度中に申請したいと考えている。

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【神野博史委員】
 次に、来年度予算において改修工事の基本設計費を計上しているようであるが、今回の基本設計に盛り込もうとしている工事の内容について説明を求める。また、名古屋市会で改修工事計画について「知らなかった」という発言もあったようであるが、名古屋市会とは事前にどのような調整をしたのか伺う。

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【保健体育スポーツ課主幹(保健体育スポーツ)】
 愛知県体育館は昭和39年に開館して以来、50年以上が経過し、老朽化や社会状況の変化に対応できず、国際大会や国内のトップレベルの大会の誘致が難しくなってきている。これからも引き続き、県の中心的な体育館として、スポーツの持つ力と感動を与える舞台としての役割を果たすため、今回改修に着手し、競技面、大会運営面、観戦面での環境改善を図ることにより、国際大会等の誘致に努めていきたい。
 基本設計に盛り込む工事内容は、国際大会等に対応するためのロッカー室やシャワー室の再編整備、プレスルームやドーピングルーム等に利用できる部屋への改修、また、利用者の利便性等を考慮し、観客席の改修やトイレの全面洋式化を計画している。加えて、安全面からつり天井の改修も検討している。なお、今回はく体を触る工事は一切行わないとしている。
 名古屋市との事前調整については、今回予定している工事が面積増を伴う増築等ではなく、トイレの改修等利用者の利便性を向上させる内容が中心の工事であるため、予算編成過程では名古屋市との調整は行っておらず、予算がおおむね固まった時点の1月29日に、名城公園を所管している担当課に説明に伺い、その後、建物改修を所管する課室へも説明に伺った。
 今後は、基本設計を行う上で、名古屋市から意見や助言をもらうことになると考えている。また、工事に着手する際には、公園施設設置許可の条件に基づき、工事に必要な届出等を行うこととしている。

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【神野博史委員】
 さすがに50年前のままでは、国際大会や大きなイベントはできない。利用してもらう県民にとってもトイレの洋式化等、最低限の改修工事は必要であると思う。
 最後に、名古屋市会での質問の中で、愛知県体育館を「北区にある未利用の国有地である国家公務員宿舎名城住宅跡地へ移転するように」という提言があったと新聞報道にあったが、このような意見を踏まえ、今後、愛知県体育館をどのように考えていくのか。

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【保健体育スポーツ課主幹(保健体育スポーツ)】
 名古屋市会で提案のあった北区にある未利用の国有地である国家公務員宿舎名城住宅跡地への移転については、正式に話があったわけではないため具体的な検討はしていない。
 なお、仮に国有地の国家公務員宿舎名城住宅跡地へ移転するとなると、面積は約2万平方メートルと聞いているが、現在の愛知県体育館の敷地は約3万7,707平方メートルであるため、面積としては十分ではないし、愛知県体育館の建築面積は約7,634平方メートルであるが、様々な機能を必要とする最近の体育館の建築面積は1万4,000平方メートル程度であるため、屋外スペース等を考えると必要な面積を確保できず、手狭ではないかという印象を受けている。
 また、国家公務員宿舎名城住宅跡地の真下には、地下鉄の名城公園駅があるため、建設に当たっては様々な制約があると思っている。

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【教育長】
 愛知県体育館は、様々な国際大会や大相撲名古屋場所を開催するなど、県民・市民のスポーツの振興拠点として国際的にも意義の高い施設である。また、県民にとっても、身近な施設として利用されており、今回行う工事によって利便性を高め、県民の期待に引き続き応えていきたい。本来であれば、あの場所に建て替えたいが、名古屋城内にあることから文化財保護の関係等の制約が大きいことは認識している。現施設以後のことは、大きな課題ではあるが、中・長期的な課題として考えていく。

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【神野博史委員】
 愛知県と名古屋市でしっかりと協議を行い、経済の効率性や実現可能性、関係者の声を十分に考慮の上、最も良い方向へ進めることを要望する。

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【富田昭雄委員】
 再度確認するが、新聞報道で名古屋市会が、説明が事前になかったと言っているが、実際はどうなのか。

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【保健体育スポーツ課主幹(保健体育スポーツ)】
 予算編成過程では事前に説明はしていない。

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【富田昭雄委員】
 今、教育長が答弁した最後の部分であるが、話によっては移転する可能性があるということでよいか。

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【教育長】
 当面、引き続き使っていきたいということである。現施設以後は中・長期的な課題であると思う。文化財保護の規制があることは十分認識をしている。

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【富田昭雄委員】
 例えば、河村名古屋市長から、お金も土地も用意するから、そこに建てるように言われたとき、着工すると35億円が無駄になると思うが、事前にしっかりと協議をしてから進めることも大切ではないか。

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【教育長】
 あの場所でリニューアルをして、引き続き活用していきたいと思う。名古屋市にもその方向で理解をしてもらうようにしていきたいと考えている。


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《一般質問》
【辻 秀樹委員】
 子供の貧困対策について、学校、教育委員会の取り組む対策について伺う。
 本県では、昨年度に施行された子どもの貧困対策の推進に関する法律を受け、平成27年度から平成31年度までの5年間を計画期間とする、愛知県子どもの貧困対策推進計画を策定し、教育支援を始めとする直接的な貧困対策に加え、関連する子ども・子育て支援対策に一体的に取り組み、子供の貧困対策を総合的に推進するとしている。その教育支援では、家庭の経済状況にかかわらず、学ぶ意欲と能力のある全ての子供が質の高い教育を受けられるよう、学校を子供の貧困対策のプラットフォームとして位置づけ、学校教育による学力保障、学校を窓口とした福祉関連機関との連携、学校から子供の福祉的支援につなげるとしている。
 そこで、学校教育による学力保障の充実について、県は、公立小中学校において少人数指導が一層充実するよう少人数の習熟度別指導を進めるとともに、教職員の指導体制を充実し、きめ細かな学習指導の実施に努めるとしているが、現状と課題、来年度の取組について伺う。

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【義務教育課長】
 少人数指導については、本年度、児童生徒一人一人の個性や習熟度等に応じたきめ細かな指導を行い、基礎・基本を確実に身に付けさせるため、少人数指導のための常勤講師定数を1,234名、非常勤講師を週当たり1万8,000時間措置している。
 これにより、約9割の学校が、算数・数学、英語の授業で少人数指導に取り組んでいる。指導形態としては、一クラスを二つ又は三つに分割して行う習熟度別や等質集団による指導、一クラスを複数の教員で指導するティーム・ティーチング等、学年や指導内容に応じて実施している。特に、本県の小・中学校の算数・数学において、ティーム・ティーチングを実施している割合は、全国に比べて約10パーセント高くなっており、個に応じたきめ細かな指導が展開されている。
 平成27年度全国学力・学習状況調査によると、小学校算数の活用の問題、中学校数学の知識及び活用の問題において、全国よりも正答数分布の中・下位層が少なく、上位層が多くなっており、児童生徒の学習理解が進み学力の定着が図られたことは、少人数指導の成果の一つと考えている。
 次に課題についてであるが、現在、各学校で行われている少人数指導は、非常勤講師を含めた加配に支えられているところが多い。今後、こうした少人数指導をより充実させていくため、より分かりやすい授業が展開されるように支援していくことや、継続した加配教員の配置などの条件を整備していくことが課題である。
 来年度予算案でも本年度と同数の加配教員を配置するための予算を計上しているが、少人数指導の充実のためには国の支援が不可欠であるため、今後とも国へ教職員の定数の改善を要請していく。

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【辻 秀樹委員】
 学校において充実した学力保障をしていく体制を築いていくことを要望する。
 次に、学校を窓口とした福祉機関との連携について、県は各市町村に対し、スクールソーシャルワーカー等による教育相談体制が整備されるよう働きかけを行い、スクールソーシャルワーカー等と各市町村福祉部門や教育委員会との連携強化を図り、また県立高校においてもスクールソーシャルワーカーの配置充実を図るとしているが、現状と課題、来年度の取組について伺う。

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【義務教育課長】
 小中学校関係について答弁する。
 社会福祉等の専門的な知識・技術を有するスクールソーシャルワーカーを活用することで、貧困を始めとした児童生徒の置かれた様々な家庭環境等の問題を解決することが期待されている。県では、本年度、国から直接補助を受ける政令指定都市、中核市を除いて、4市町が独自にスクールソーシャルワーカーを配置している。既にスクールソーシャルワーカーを配置している市町では、家庭内のトラブルが原因で子供が問題行動を繰り返していた家庭に対して、福祉的支援を受けられるように児童相談センターと連携し、学校と児童相談センターとのケース会議を聞きながら継続的に支援した事案や、母子家庭で母親の入院をきっかけに不登校になった子供にスクールソーシャルワーカーが家庭訪問を続けて寄り添う事案などで、子供の学校生活での問題が大きく改善される成果が報告されている。
 県としては、来年度より、政令指定都市、中核市を除く市町村を対象にしたスクールソーシャルワーカー設置事業費補助金制度を創設し、スクールソーシャルワーカーの配置が今後広がっていくようにしたいと考えている。
 しかしながら、今後、市町村が地区の実情に精通した人材を確保していくことや、県として、多様化、複雑化する環境に起因する問題に対応できるスクールソーシャルワーカーの資質向上に努めていくことが課題であると考えている。ソーシャルワークの専門学部を持つ大学との連携や講師を招いての学習や事例検討を行うなどの研修会を年2回開催して、スクールソーシャルワーカーの資質向上を図っていきたい。

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【高等学校教育課長】
 県立学校については、まず、本年度からスクールソーシャルワーカーを定時制高校に2名配置して、家庭崩壊や虐待、DVなど、学校の教員の力だけでは解決が難しい事案に対し、専門的な知識と経験を活用して、様々な関係機関につなぐ役割をしたり、直接家庭に働きかけを行ったりすることで、生徒の家庭環境の改善を図ってもらっている。
 本年度、スクールソーシャルワーカーが支援した事案は、12月末時点で合わせて約50件であるが、そのうちの2割近くの生徒の状況が好転している。また、学校からは、スクールソーシャルワーカーという相談できる存在がいることが心の支えになり、学校生活が続くかどうか心配であった生徒が、学業を継続できているという報告を受けており、実際にスクールソーシャルワーカーを配置した2校では、中途退学者数が昨年度と比べて大幅に減少している。
 課題としては、一つには、高等学校には様々な事情を抱えている生徒が少なくなく、更なる配置が望まれるということである。
 そこで、来年度は本年度の2名から4名増員し、計6名のスクールソーシャルワーカーで、全日制の生徒を含めて、相談・支援を行っていきたいと考えている。
 もう一つの課題は、スクールソーシャルワーカーが対応に困るような難しいケースがしばしば発生することである。この対応について、来年度は、6名のスクールソーシャルワーカーが相互に相談し合うことができるような仕組みづくりを行っていきたいと考えている。
 スクールソーシャルワーカーは、貧困問題など、社会状況の変化を考えると、スクールカウンセラー同様に、今後ますます学校にとって、なくてはならない存在になってくる。教育委員会としては、学校のニーズにできる限り応えられるよう、国の動向も踏まえつつ、配置の拡充を目指していきたいと考えている。

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【辻 秀樹委員】
 まずは54市町村全てに配置され地域が連携できる状況、そして将来は全ての学校にスクールソーシャルワーカーが配置され、福祉部門とのつなぎの役割を果たすという充実した体制を目指していくことを要望する。
 次に、教育負担の軽減について、県は県立高校において、経済的な理由により就学が困難な場合は入学料の免除を実施し、また、高等学校就学支援金制度を周知しながら就学継続等のための経済的支援を着実に実施していくとしている。また、奨学金制度についても、各学校や保護者に対し制度の周知徹底を図るとしているが、現状と来年度の取組について伺う。

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【財務施設課主幹(振興・計画・管理)】
 入学料については、市町村民税非課税又は均等割のみ納付している世帯を対象に、愛知県独自の制度として減免を行っており、本年度は、5.47パーセントの生徒が対象となっている。なお、入学料減免制度については、合格発表後に各学校で行われる入学説明会や入学式で説明を行っているが、制度の活用を促すため一層の周知に努めていく。また、来年度も入学料減免については、現行基準を維持していく。
 高等学校就学支援金制度については、親権者の市町村民税所得割額の合計が30万4,200円未満、標準世帯の年収であれば910万円程度未満の場合に対象となり、本年度は、全日制県立高校においては、76.18パーセントの生徒が対象となっている。
 就学支援金を受けるためには申請が必要であることから、中学3年生時のパンフレット配布や、入学説明会、入学式での周知により、申請漏れがないように配慮している。
 公立学校の就学支援金制度については、昨年度から学年進行で導入されたため、3学年が対象となる来年度においては、本年度と比べて約1.5倍の予算額となっている。

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【高等学校教育課主幹(振興・奨学)】
 奨学金制度の現状等について答える。
 各学校や保護者に対しての制度の周知であるが、3月下旬に行われる合格者説明会の場においてちらしを配布し、奨学金の概要及び手続についての説明を入学者本人や保護者に対し行うように各学校にお願いするとともに、2月と5月には新聞各紙による広報あいちで広く周知するほか、奨学金の申請受付に合わせて、学校でのちらしやパンフレットの配布、ポスターの掲示を行って周知徹底を図っている。高校受験を控える中学生に対しては、6月に各中学校の奨学金担当者への奨学金予約採用の概要説明や中学3年生全員に対してのちらし配布、また家庭向け広報誌「パレット〜あいち発きょういく通信〜」の紙面で周知を行っている。
 現状であるが、奨学金貸与要件としては、4人家族の世帯で年収がおおむね650万円以下の世帯が対象となり、平成24年度の3,481名、10億5,000万円余をピークとし、年々減少しており、本年度は3,130名、高校生全体の1.3パーセント程度で貸付額は9億6,000万円余となっている。
 今後も、周知不足により貸与要件を満たす生徒が借りられないことのないよう、一層の周知を図っていく。

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【辻 秀樹委員】
 不断の検証を行い、周知方法について更なる充実を検討してほしいと思う。
 また、市町村が行う就学支援制度についても、県として54市町村全てが充実した制度となるように検証・検討を図ることを要望する。
 最後に学習支援の推進について、県は経済的な理由や家庭の事情により家庭での学習が困難であったり、学習習慣が十分に身に付いていない子供に対し、学習機会を確保し学習支援を充実するため、一体型の放課後子ども教室推進事業や学校支援地域本部事業等を活用した取組の実施を市町村に働きかけ支援するとしているが、現状と課題、来年度の取組について伺う。

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【生涯学習課長】
 まず、放課後子ども教室推進事業についてである。
 放課後子ども教室は、放課後や週末等において学校の余裕教室等を活用して全ての子供たちの安全・安心な活動場所を確保し、学習や様々な体験・交流活動の機会を定期的・継続的に提供する放課後等の支援を、地域の方々の参画を得て実施するものである。
 本年度からは、国の放課後子ども総合プランにより、留守家庭等の子供の生活の場である放課後児童クラブに通う子供たちが、学習の場である放課後子ども教室へ参加しやすいように、同じ学校内で両事業を実施する一体型での実施が推奨されている。
 本年度、本県で実施された放課後子ども教室の数は、国が直接補助をする政令指定都市、中核市を除いた50市町村のうち、30市町で251教室である。そのうち一体型での実施は9市49教室である。実施教室における一体型での実施率は19.5パーセントである。
 一体型での実施を推進するための課題としては、新たに放課後児童クラブの子供たちが放課後子ども教室に参加するようになると、これまでとは違う家庭環境の子供を含めた、多様な子供に対応することが必要となり、その資質を持った指導者を確保することが挙げられる。また、これまでも校内で放課後子ども教室を設置することができない学校も多い中、さらに放課後児童クラブも学校内に設置することになれば、その場所の確保が一層困難になる。
 来年度の取組について、県としては、事例発表やワークショップを内容とした指導者研修会を開催し、指導者の資質向上に努めるとともに、市町村に対し、学校内の余裕教室の見直しや児童の下校後の時間帯に使用していない教室等の一時的利用の促進などを働きかけていく。
 また、放課後対策に関わる様々な立場の方による放課後子ども総合プラン推進委員会において、放課後子ども教室と放課後児童クラブの一体型での実施に係る課題について検討し、全ての子供たちに対して放課後の学習機会の提供と学習支援の充実を目指す。
 次に、学校支援地域本部事業についてである。
 学校支援地域本部事業における学習支援としては、本年度から、学習の遅れがちな中学生を対象として、地域の方々が学習支援ボランティアとなり、放課後や土曜日に子供の学習支援にあたる地域未来塾を二つの市で実施している。
 地域未来塾の課題としては、地域と学校が連携・協働していく仕組みづくりやボランティアの確保が挙げられる。地域未来塾の実施に当たり、地域と学校をしっかりつなぐコーディネーターを配置することとしており、その役割が重要であると考えている。また、ボランティアの確保に当たっては、経験豊富な教員OBや、子供と年齢が比較的近く、熱意もある大学生の確保が重要であると考えている。
 来年度の取組について、事例発表や情報交換を内容としたコーディネーター研修会を開催し、コーディネーターの資質向上に努めていきたい。教員OBや大学生の確保については、地域未来塾の事業概要を記したリーフレットを作成したり、県が運営している、あいちの学校連携ネットの活用を促したりして、市町村の取組を支援していきたい。また、実施市町と有識者による学校支援地域本部運営協議会を開催し、各市町の進捗状況や課題等について意見を出し合い、有識者による指導・助言を受けながら、地域未来塾を効果的に運営していけるようにする。
 来年度については、この事業を10市町で行い、大幅に拡充していきたいと考えている。

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【辻 秀樹委員】
 一体型の放課後子ども教室や地域未来塾の施策などをスピードアップして推進することを要望するとともに、学校図書館を有効活用した学習支援等の取組を検討・推進することを要望する。

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【山田たかお委員】
 学力だけでなく、生きる力を育み、社会で役に立てる教育の現実的な方法と、愛知総合工科高等学校について、進路の観点から質問をする。
 中学校において、進路指導をするときに、幅広い選択肢の中から子供たちが望む進路指導ができているのか。また、偏差値重視の進路指導になっているとすれば、どこに問題があるかについて伺う。

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【義務教育課長】
 中学校では、3年間を見通して生徒が自らの生き方を考え、主体的に進路を選択できるよう、学校の教育活動全体を通じ、計画的・組織的な進路指導を進めている。
 具体的には、中学校1年生の進路学習で、適性検査から自分の長所や適性のある職業分野を知り、また職業調べや高等学校調べにより、多種多様な進路選択があることを学習する。
 中学校2年生では、様々な職業の方の話を聞く会や職場体験学習、高等学校訪問等の体験的活動を通して、自分の進路に対するより具体的な方向性と可能性を見いだす学習を行っている。
 中学校3年生では、卒業生との進路懇談会や高等学校等で実施される入学説明会・体験入学に積極的に参加したり、高等学校等の進路ガイドブックやパンフレットから高等学校等の卒業後の進学・就職状況や教育活動の特色、部活動等の実績等についての情報収集を行ったりしている。
 そして、進路指導を担当する3年生の教員を中心にして、生徒一人一人の進路希望を尊重した、進路指導の進め方についての共通理解を図り、定期的に行う生徒との個人面談や保護者も交えた懇談会を通して、高等学校卒業後の進路選択まで見据えた具体的な進路相談を進めている。校内で開かれる進路指導委員会において、生徒個々の進路希望を丁寧に協議し、進路決定に向けた適切なアドバイスを行っている。
 また、生徒一人一人が志望校に進学したり、少数ではあるが、就職希望の生徒が希望職種に就労したりできるように、授業でのきめ細かな学習指導のほかに、放課後や長期休業中に基礎的・基本的な学力の定着に向けた学習支援も行っている。
 仮に、偏差値重視の進路指導であれば、子供たちの進路選択の幅を狭めることになりかねず、生徒が持つ可能性を摘んでしまうことになるのではないかと考える。
 いずれにしても、中学校では、多様な進路選択が可能となるような学習や体験活動・相談活動を通して、生徒自身が進路を自己選択・自己決定できるような継続的な指導と相談・援助活動に努めており、生徒や保護者の希望に沿った指導がなされている。

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【山田たかお委員】
 高等学校で教える教育内容と多様な社会の中で必要とされ、活躍できる人材との間に、開きがあるように感じるがどうか。

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【高等学校教育課長】
 指摘どおり、そのことが学校教育においては、非常に大きな課題であると認識している。
 県としては、社会のニーズに合わせて、専門学科の学科改編なども行い、社会のニーズに合った人材育成ができるように努めている。また、国も同じような課題認識があり、例えば経済産業省が社会人基礎力を示したり、厚生労働省でも、社会に必要な力を示したり、それがキャリア教育という形になっている。
 キャリア教育については、年々高等学校の中でも浸透している一方、卒業後3年間の離職率が、4割以上あるという課題がある。

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【山田たかお委員】
 それぞれの学校が、卒業後の進路先との連携を密にして、どんな教育で、どんな人材を育成していくかということをしっかり研究をして、進路について実績を作り、それを学校の特色とし、その上で来てほしいとアピールすべきであると思うがどうか。

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【高等学校教育課長】
 出口を明確に示すことについては、中学生が高校選択をする際にも大変重要になってくる。
 専門学科の場合は、入学時から学科ごとに、在学中にどのような検定試験に挑戦し、あるいはどのような資格を取得し、そして卒業後にどのような仕事に就いていくのかということを具体的に示している。また、先輩生徒の表彰や顕彰を積極的に行うことで、ロールモデルを後輩生徒に示し、進むべき方向をできるだけ明確に示すように努めている。
 一方、普通科については、生徒が多岐にわたる分野の大学・専門学校への進学を目指しているため、出口、すなわち将来社会に出る際の仕事を一律に示すことが難しい状況がある。
 しかし、総合的な学習の時間を活用した進路研究、オープンキャンパスへの参加や大学への研究室訪問、あるいは社会の様々な分野で活躍する先輩の話を聞く機会などを設けていくことで、自分の進む道筋を考えさせることができる。
 教育委員会では、このたび策定した県立高等学校教育推進実施計画に、全ての普通科で総合的な学習の時間を活用するなどしてキャリア教育に関する授業を設けることを掲げた。この中で、生徒たちが自分の将来を考えるきっかけとなる多様な出会いができるよう、取り組んでいきたいと考えている。また、こうした取組については、保護者会等を通じて保護者にも知らせ、その意義についても理解してもらえるよう努めていきたい。

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【山田たかお委員】
 新設の愛知総合工科高等学校は、どういう進路先があるかを示していくことが大事である。特に最初の卒業生の成果というのは、保護者からすると大きな指標になることは間違いないと思う。どのようにして結果を出していこうと考えているか伺う。

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【高等学校教育課長】
 この4月に開校する愛知総合工科高等学校は、本県の工業教育の中核校となる学校であり、産業界や大学等と深く連携しながら、モノづくり県である本県の将来を担う人材を育成していくつもりである。具体的には、全ての生徒がインターンシップ等の体験学習に取り組むことや、企業や大学の方に直接授業を担当してもらうなど、社会とのつながりを積極的に取り入れ、早い時期から生徒に進路の道筋をつけられるよう取り組んでいきたいと考えている。

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【山田たかお委員】
 最初が肝腎であるから、本当に力を入れて頑張ってほしいと思う。
 多様化する社会の中で、多様な価値観を持つ子供たちが、社会の風潮に流されることなく、積極的に、幅広くそれぞれの進路へ自信を持って進み、それぞれの世界でプライドを持って働き、活躍できる社会をつくる教育、それが生きる力を付ける教育と思うが、県教育委員会としては、何が重要で、どのように進めていこうと考えているか伺う。

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【学習教育部長】
 今年の2月に、「あいちの教育ビジョン2020 -第三次愛知県教育振興基本計画-」を策定した。その基本理念として、あいちの教育に関するアクションプランIIを継承して、「自らを高めること」と「社会に役立つこと」を基本的視点とした、あいちの人間像の実現を掲げている。目指すあいちの人間像として五つ掲げており、その中に「自分を生かす」として、「互いに切さたく磨し、自らの力を社会に生かすことのできる人間」、「世界にはばたく」として、「次代を展望し、世界に視野を広げ活動することのできる人間」を掲げている。また、あいちの人間像を実現するための五つの取組の方向を定め、その一つとして、「未来への学びを充実させ、あいちを担う人材を育成します」と掲げ、「キャリア教育をはじめ、子供たちが将来生きていくうえでの羅針盤となる教育を充実させ、社会の激しい変化の中でも自分自身をしっかりと持って未来のあいちを担っていく人材を育てます」としている。
 それぞれの子供たちが、進路に自信を持って進んでいくことは、子供たちにとって、しっかりとした希望を持つということである。子供たちは、不安を抱きつつも自分の未来を明るくしたいと思っている。我々教育に携わる者としては、そうした子供たちの心に希望という明かりをともすことが必要であると思う。教育委員会としては、今後ともあいちの教育ビジョン2020に基づき、施策の実現に努めていきたい。

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【安井伸治委員】
 部活動と通信制高校について質問する。
 2020年東京オリンピック・パラリンピック大会の選手強化支援が、予算に組み込まれ、愛知県ゆかりの選手の東京オリンピック・パラリンピックでの活躍が大いに期待される。種目によっては、現在の中学生・高校生においても、オリンピック・パラリンピックへの出場の可能性があると思う。愛知県では、カヌー競技の競技人口が全国的に見ても、特別多いわけではないと思うが、県立の高校生が素晴らしい成績を収めていることに、選手育成や部活動指導のヒントがあるように思う。
 そこで、カヌー競技など、県立高校の生徒が好成績を収めている競技について、どのような環境で選手が育ってきているのか伺う。

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【保健体育スポーツ課長】
 カヌー競技については、昨年度は県立高校から3名、本年度は2名の生徒がカヌースプリント・ジュニア日本代表に選出されるなど、有望な選手が育っている。これらの選手が主に練習している三好池は、平成6年度のわかしゃち国体のカヌー競技の会場であり、みよし市、当時の三好町は、国体を契機に「カヌーのまち」として地元カヌー協会の協力の下、市教育委員会や地域を挙げてカヌー競技の推進に取り組んでいる。
 現在、みよし市内にある中学校4校のうち3校にカヌー部が設置され、放課後は、合同で三好池において、みよしカヌークラブとして練習を重ねている。このクラブからは、中学校の全国大会において、数多くの入賞者を輩出しており、高校進学後も東郷高校などの有力選手が同クラブを活動拠点として練習している状況がある。
 こうした生徒への指導体制については、国体でも優勝した豊田南高校と入賞した三好高校では、カヌーを専門とする体育の教員が顧問として指導にあたるなど、専門的な指導力を有する教員や外部指導者のもと、地域と学校が連携して競技力向上に努めている。

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【安井伸治委員】
 こういった選手が多く輩出され、2020年の東京大会では愛知にゆかりのあるオリンピック選手80名、パラリンピック選手15名という目標が達成できるよう支援を要望する。
 本会議の議案質疑において、我が党の黒田太郎議員から、県立学校部活動活性化推進事業費について質問し、教育長から事業の内容について答弁があった。
 本事業は、活動に必要となる用具等を支援するものであるが、部活動の活性化や選手の才能を伸ばしていくためには、指導力のある教員の配置を的確に行うことも大切であると思う。
 そこで、本県では、部活動を支援する外部の指導者が配置されているとのことだが、各学校への配置実績及び今後の活用について伺う。

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【保健体育スポーツ課長】
 外部指導者については、現在、県立高等学校部活動専門指導員設置事業と運動部活動の工夫・改善支援事業の両事業によって配置をしている。
 県単独の事業である、県立高等学校部活動専門指導員設置事業においては、本年度、県立高校149校のうち139校に240名を配置している。その内訳は、運動部に152名、文化部に88名となっており、技術面の指導をしてもらっている。また、運動部活動の工夫・改善支援事業については、国の委託事業であり、中学校と県立学校にスポーツ指導者を派遣している。本年度、県立学校28校へ30回のスポーツの指導者を派遣したほか、アスレティックトレーナーなどの医・科学的な知見を持った指導者を、期間中1回ではあるが各学校に派遣しており、技術指導のみならず、けが防止やコンディション調整などの指導もしてもらった。
 外部指導者の配置については、各学校からの要望を踏まえ、これまでも専門的な指導を必要とする部活動などに配慮しながら配置しているところであるが、今後、より一層効果的に配置することにより各学校における部活動を支援し、部活動の更なる活性化を図っていきたいと考えている。

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【安井伸治委員】
 部活動の指導で苦労している先生の負担を軽減したり、生徒の才能を伸ばし、部活動の専門的な技能を指導していく上で、外部指導者は大変有効な手立てであると考える。こういった取組を更に進めて、外部指導者を配置してほしいと思う。また、人事の配置や異動の際には、部活動の活性化、伝統の継承という観点に加え、子供たちとの接点を多く持つ部活動の指導をしている教員が、子供たちの家庭、友人関係、学習の悩みに気付くことも多いと思うため、教員が積極的に部活動の指導に携わることができるよう考慮することを要望する。
 続いて通信制高校について質問をする。
 三重県で就学支援金制度に絡み、ウィッツ青山学園高等学校の通信制課程に不正受給の問題が発生したが、愛知県内には通信制高校が昨年5月1日の時点で県立2校、2,874名、私立4校、5,661名が在学しており、愛知県でもこの問題を受けて国の要請により、県内に本校を置く私立広域通信制課程の調査等を行ったようであるが、公立通信制高校への調査状況を伺う。

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【財務施設課主幹(振興・計画・管理)】
 今回の国の調査は、広域通信制高校を対象とするものであり、愛知県内の公立通信制高校である旭陵高校と刈谷東高校の2校は、広域通信制高校ではないことから、国の調査対象とはなっていない。なお、県立高校においては、昨年度からの制度導入を受け、昨年度と本年度の2か年で、全日制や定時制及び通信制を含め149校全校に対して、本課職員が現地調査を行い、申請手続などが適正に処理されていることを確認したところである。
 今後についても、適正な事務処理の確認のため、定期的に現地調査をしていきたいと考えている。

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【安井伸治委員】
 県立の全日制高校、定時制高校、通信制高校の入学者の卒業率を教えてほしい。

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【高等学校教育課長】
 卒業率という形では集計を行っていないが、それぞれの課程の中退率については調査をしている。昨年度の中退率は、全日制高校0.7パーセント、定時制高校11.8パーセントである。通信制高校は、一旦学習をやめても再び学び直すことができるため、中退という形をとる者は少ない。入学した生徒のうちどれくらい卒業できているかは、正確な比率ではないが、同一年度の入学者数と卒業者数を比べると、昨年度では、入学者に対して、その年に卒業したのは61パーセント、その前年は56パーセント、さらにその前年は50パーセントで、5割から6割の者が卒業していることになる。

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【安井伸治委員】
 現在、県内の市町村が設置する適応指導教室の数は64施設、在籍する小学生約200人、中学生約1,000人いると聞いている。学校教育の多様性が進む中で、通信制やそれをサポートするサテライト校やシュタイナー学校など、フリースクールというものが社会的にも認識され、また、ある一定の役割を果たしていることは否定できない中で、家庭や学校などで様々な経験をしてきた子供たちが卒業という達成感を持ち、進学や就職といった次の段階に進めるようサポートすることを要望する。

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【岡 明彦委員】
 9月の本委員会で、学校防災に必要な教職員研修の充実と、学校BCPの取組に関する要望をした。そこで伺う。
 来年度、教育委員会関係の防災に関する取組で新たなものはあるか。

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【健康学習課長】
 県教育委員会としては、来年度に二つの事業を新たに取り組むこととしている。
 一つ目は、防災教育基礎研修会の実施である。
 愛知県に甚大な被害が予測される南海トラフ巨大地震や、各地で発生している豪雨等の大規模災害が発生した際に、減災を行うためには、人材育成により防災力を高めることが必要である。
 人材育成については、第3次あいち地震対策アクションプラン等においても重要課題として掲げられており、その実現に向けて、日々、子供たちと接する教員に対する研修を充実する必要があると認識している。そこで、これからの学校教育の担い手である、採用2年目の県立学校全ての教員を対象に、防災に関する基礎的な内容の研修会を新たに開催し、教員の防災意識を高め、各学校における実践的な取組の推進につなげていきたいと考えている。
 二つ目は、防災教育マニュアルの作成である。
 東日本大震災では、甚大な被害が発生した一方で、防災教育の取組が被害軽減に生かされたケースもあり、子供への防災教育の重要性が再認識された。県教育委員会では、学校安全の手引として、平成23年3月に、あいちの学校安全マニュアルを発行しているが、防災教育の内容を更に充実させた、防災教育マニュアルを新たに作成することとした。このマニュアルでは、発達段階に応じて指導すべき内容や方法、指導の際の留意点等を整理し明確にするとともに、気象庁や消防庁などの関係機関が作成した防災関係教材の紹介などを行い、学校における防災教育が、より深く、効果的に行われることを目指す。
 来年度は学習指導要領の改訂について、中央教育審議会の答申が出され、防災教育の充実が更に図られる予定であることから、その内容を踏まえながら、学識経験者を始め、気象庁や防災局などの防災関係職員並びに学校関係者を構成員とする委員会を開催し、マニュアルの作成を進めていく。

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【岡 明彦委員】
 続いて、東日本大震災の復興支援のため、長期派遣された本県教育委員会所属の職員の活動について伺う。
 昨秋、東日本大震災地の教育再生の取組を調査するため、辻・山田両委員と共に、宮城県女川町と東松島市を訪問した。東松島市では、同市の学校教育課に派遣されている蒲郡高校所属の県職員の活動を聞いてきた。派遣職員からは、毎月、県教育委員会へレポートが提出されており、そこには巨大地震に備える本県にとって、危機管理上準備しておいた方がよい提案やかつ目すべき問題提起があった。
 派遣職員は、県教育委員会の防災・減災対策と事業継続計画、復興計画を今後磨き上げていく上で貴重な人材である。被災地で学んだノウハウや経験は、重要な教訓となり本県にとっても貴重な財産となる。
 そこで、今後教育委員会では、これらの人をどう活用していくつもりか。また、報告された問題提起や提案を、本県の教育現場にどのように還元していくつもりか。

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【総務課長】
 東日本大震災に係る復旧・復興支援の本県教育委員会の派遣については、平成24年度から本年度までの4年間で、宮城県の東松島市教育委員会からの要請に基づき派遣した職員が延べ4名、福島県教育委員会からの要請に基づき派遣した職員が1名である。そのほか知事部局からの要請に基づき派遣した職員が延べ8名、合わせて延べ13名の職員を派遣している。
 来年度も東松島市教育委員会等から派遣要請があったため、現在、知事部局からの要請も含め、4名を派遣する方向で進めている。平成29年度以降についても、教育委員会に派遣要請があれば、できる限り協力していきたい。
 次に、派遣した職員の活用や、教育現場への還元についてである。
 派遣者の報告書にある提言を見ると、委員指摘のとおり、本県の防災教育等の参考となるような内容が記載されていると感じている。また、そういった成果を十分に生かしていくことは、大切なことであると考えている。派遣者が被災地で学んだ貴重な経験等を組織で共有することは、職員の防災意識を高めること、派遣者の有意な活用という点でとても意義があると思う。
 今後は、派遣者が教育委員会の主催する研修会で発表する機会や、職員との意見交換会などを設定するとともに、派遣者が被災地での経験をもとに提案した防災対策にかかる提言を、関係所属に情報提供し、しっかりと防災対策・防災教育等に生かせるようにするなど、派遣者の活用や現場との情報共有に努めていきたい。

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【岡 明彦委員】
 報告された懸案等は、さ細なこともあるが、小さなサインを見逃さないことが教育の基本であると思うので、教育委員会はアンテナをしっかりと張って、今後の教育委員会の防災・減災対策に生かしてほしい。
 次に、児童生徒の個性の多様化、保護者の価値観の多様化、社会から要請される学校の役割や任務の多様化など、学校を取り巻く急速な変化の中で、教員の仕事は増え続け教員の多忙化解消は社会的な問題である。
 生徒児童にとっては上下の関係、つまり「タテ」の関係となる先生でも親でもなく、同じ視点になりがちな「ヨコ」の関係である友達でもない、校外のサポーター、さきの委員会で取り上げたスクールソーシャルワーカー、家庭教育コーディネーター、家庭教育支援員、さらにスクールカウンセラー、部活動支援員等といった外部人材などの「ナナメ」の存在が、学校の教育活動、教員や児童生徒の支えとして、閉塞感のある教育現場をも変える可能性を感じる。
 そこで義務教育課、高等学校教育課、生涯学習課に伺う。
 それぞれの立場から、外部人材の活用による学校を支える仕組みづくりについて、これまでの取組状況と評価、今後の展開について考えを伺う。

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【義務教育課長】
 委員指摘のように、社会の急速な変化の中で、学校には年々多くのことが求められるようになっている。また、質的にも難しさが増しており、専門家のサポートやアドバイスがますます必要になっていると考えている。
 県が進めてきた小・中学校での活用方法として、学習指導においては、専門分野の講義や実技指導を担当する特別非常勤講師を配置したり、外国人児童生徒教育の充実のため、語学相談員を派遣したりしている。これらの事業により、児童生徒の学習意欲が高まり、外国人児童生徒については、日本語能力の向上はもちろんのこと、心の安定が図られている。
 県としては、来年度、新たに外国人児童生徒の日本語能力の向上を図るため、日本語指導の実績を持つNPO団体や大学と連携し、学校での初期指導教室を運営するモデル事業に取り組み、その成果を県内の市町村に発信して、外国人児童生徒の学習支援の充実に取り組んでいく。
 生徒指導においては、心の専門家であるスクールカウンセラーの計画的な配置を進め、学校における教育相談体制の充実に努めてきた。これにより、約半数の児童生徒の不登校の状況が改善されるとともに、教員のカウンセリング能力の向上を図る研修での活用も進み、組織的に問題解決が図られている。
 また、社会福祉等の専門家であり、児童生徒の置かれた様々な環境に働きかけて支援を行う、スクールソーシャルワーカーを配置する市町村の事業に対して補助を行い、スクールカウンセラーと連携した一層の相談体制の充実を図っていきたいと考えている。

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【高等学校教育課長】
 高等学校の外部人材について、スクールカウンセラーについては、不登校であった数多くの生徒が立ち直るなど、学校にとってなくてはならない存在になっている。しかし、現在、一人のスクールカウンセラーが3校から4校を担当しており十分な状況ではないため、国の動向を踏まえつつ、配置の拡充を目指していきたいと考えている。
 次に、本年度から定時制高校に2名配置したスクールソーシャルワーカーについては、生徒の置かれた困難な家庭環境に働きかけ、様々な関係機関につなぐことで改善の成果が見られている。来年度は4名を追加配置し、全日制も含めて対応していく。今後はその成果を検証し、更なる拡充につなげていきたいと考えている。
 次に、外国人生徒教育支援員については、取り出し授業における支援、授業後の自主学習の支援、保護者会における通訳などの活動を行っており、学校からは、外国人生徒の基礎学力の定着に欠かせない、学校と保護者との意思疎通ができ保護者にも安心感を与えているなどの報告がある。外国人生徒選抜の実施校も拡充しているため、学校のニーズに応えられるよう、更に支援を充実させていきたいと考えている。
 なお、新たな外部人材の取組として、来年度から県内4地域にキャリア教育コーディネーターを配置する。これは、学校と外部との橋渡し役となるコーディネーターを地域に配置して、インターンシップの受入事業所の確保や、社会人講師の開拓、連絡・調整にあたってもらうものである。今後、この成果を検証し、更に地域を広げていくことを目指したいと考えている。

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【生涯学習課長】
 続いて、生涯学習課は、地域人材の活用を通して地域教育力の向上に取り組んでいる。委員指摘の地域ぐるみで学校を支える仕組みとして、学校支援地域本部事業を平成20年度より実施している。これまでに津島市など11市町で事業を実施しており、本年度は5市町が取り組んでいる。事業内容は、地域人材による授業等の学習補助、学校環境整備、登下校の見守り、放課後の学習支援である地域未来塾など、学校の教育活動を支援するものである。
 次に、評価について、学校運営においては、教員の負担を軽減させ、教員が子供と向き合う時間が増えるなど、成果が報告されている。また、子供にとっては地域の人々が、利害関係のない「ナナメ」の関係となり、新たな人間関係が築かれることにより、不登校の防止・改善などの効果をもたらしている。これらの地域人材の活用は、地域の教育力の向上はもとより、人々の生きがいづくりや地域の活性化にもつながるものと考えている。これまでの補助を通して、学校支援地域本部事業がそれぞれの市町で定着しつつある。こうした中で、現在、様々な要因から家庭での学習が困難で、学習習慣が十分身に付いていない子供への学習支援を地域でも行うことが新たな課題となってきた。今後は、地域未来塾を拡充し、地域が学校を支える体制の充実に努めていきたい。

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【岡 明彦委員】
 外部の人材力を生かす今後の取組が中途半端にならぬよう、県は必要な予算確保に向けて、国へ補助を増やしていくよう要望することはもちろんのこと、市町村教育委員会の活動が拡充できるよう、本県の教育費増に向けて財務当局と粘り強い折衝を行っていくことを要望する。
 最後に、学校内において、養護教諭や実習教員、以前質問した栄養教諭、さらには事務職員等も、クラス担任や教科担任を支え、また児童・生徒の学校生活を支える大きな力となっている。
 昨年12月、中央教育審議会は、チームとしての学校の在り方と今後の改善方策についてを答申した。その中でチームとしての学校像は、「校長のリーダーシップの下、カリキュラム、日々の教育活動、学校の資源が一体的にマネジメントされ、教職員や学校内の多様な人材が、それぞれの専門性を生かして能力を発揮し、子供たちに必要な資質・能力を確実に身に付けさせることができる学校」と定義されており、その上で、「チームとしての学校を実現するためには、学校のマネジメントモデルの転換を図っていくことが必要である」とある。
 そこで、本県では、学校内の多様な人材一人一人が能力を高められるよう、今までどんな取組を行い、今後どう取り組んでいくのか。具体的に実習教員と高等学校の事務職員について伺う。
 また、多職種で組織される学校がチームとして機能するよう、管理職のマネジメント能力の開発のために、今までどう取り組んできたのか。今現在、認識している課題と併せて、今後、どのように取り組んでいくつもりか伺う。

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【総務課長】
 学校事務職員の能力を高めるための取組についてである。
 学校事務職員も含め、県の行政職員は、愛知県自治研修所において、新規採用者から管理職まで、能力開発のステージを登っていく過程で受講する研修が企画されており、この研修を通して、マネジメント力や政策形成能力の向上が図られている。また、教育委員会主催の研修としては、県立学校も含め、初めて教育委員会に配属された行政職員に対して、教育現場特有の専門的な知識を修得させることを目的とした、教育委員会新任者研修会を年1回実施している。そのほか、県立学校の適正かつ円滑な運営と、学校教育の使命達成に寄与することを目的に設置されている、愛知県立学校事務職員協会が主催する、新任事務長研修会及び新任主査研修会で、教育委員会事務局等の職員が講師となり、教育委員会の諸課題等について講義している。
 今後は、教育委員会主催の研修や事務職員協会主催の研修において、チーム学校を意識した内容を盛り込むなど工夫していきたい。

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【高等学校教育課長】
 実習教員対象の研修について、理科、農業科、水産科、工業科の実習教員に対しては、毎年又は隔年で開催される専門研修において、地区ごとに割り振られた人数の参加者が、終日日程で講義・実習を通して、必要な知識・技能を習得している。また、図書館事務に従事する実習教員には、希望者を対象に、終日日程で研修会を行っている。本年度は約30名が参加し、生徒の読書意欲を喚起させる方法についてのグループワークなどに取り組んだ。
 今後は、専門の知識・技術に関する能力の向上という視点に加えて、生徒への対応や校内のほかの職員との連携・協力など、学校がチームとして機能することに資する研修内容を更に工夫する必要があると考えている。

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【義務教育課長】
 小・中学校において、管理職である校長については、小・中学校の新任校長研修において、学校を取り巻く人的資源や学校組織を見直し、一人一人の専門性や良さを生かしたマネジメント機能の強化を図るための研修会を実施してきたところである。
 学校の抱える課題が複雑化・多様化し、学校における組織マネジメントが難しくなってきているものの、現状では、管理職を対象とした組織マネジメント力の向上を目的とした研修の機会は少なく、今後、対象者や内容の充実・改善を図るとともに、各市町村においても、組織マネジメント力向上に関する主体的な研修が実施されるように働きかけていきたい。

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【高等学校教育課長】
 高等学校に関する管理職の組織マネジメント力を向上させるための研修としては、県立学校校長研修、県立学校教頭研修、新任校長研修、新任教頭研修及び管理職員パワーアップ講座がある。これらの内容としては、例えば、県立学校新任校長研修では、受講者が事前に渡される学校改革のケースメソッド教材からレポートを作成し、当日は持ち寄ったレポートをもとに、ケースごとに学校の特色づくりをどのように行っていけばよいか、また、この学校が抱える問題をどのように解決していけばよいかなど、グループワークを行い、戦略マップを作るという取組を行っている。受講者の校長は、この研修を参考として自校の改革に取り組んでいる。校長が学校という組織をマネジメントしていく上で、得るところの多い非常に役立つ研修となっている。
 しかし、これらの研修は、チームとしての学校を考えていく視点に通ずるところもあるが、それをしっかりと意識したものとはなっていない。今後は、委員指摘のように、様々な研修の中に、チームとしての学校という視点を取り入れて実施していくことが重要であると考えている。

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【岡 明彦委員】
 学校の総合力を高めることが大事であると思うので、校内の多様な職員を、学校を支え、変えゆく人材としてパワーアップさせ、チームとしての学校の力を向上させる取組もすぐにスタートしてほしい。また、管理職のマネジメント能力の開発はもちろんのこと、校内の全ての人的資源が、愛知の教育を担う人材としての育ちができるよう、新たな研修制度を作り上げるなど、教育委員会が人材育成戦略を練り上げ続けていくことを要望する。

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【高桑敏直委員】
 肢体不自由児スクールクラスターモデル事業について伺う。
 県や市町村には、障害のある子供と障害のない子供が、可能な限り共に学ぶことができるように配慮することが求められている。そうした取組の一つとして、県では、肢体不自由特別支援学校の子供が、週1回程度、地域の小・中学校で一緒に勉強する、肢体不自由児スクールクラスターモデル事業を行っており、本年度は3名の児童生徒をモデルとして取り組み、成果を上げていると聞いている。
 そこで、肢体不自由児スクールクラスターモデル事業の現在の取組状況はどのようになっているか。また、この事業で得られた成果をどのように広めていくつもりか。最後に、今後この事業をどのように展開していくつもりか伺う。

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【特別支援教育課長】
 まず、現在の取組状況について、特別支援学校に通う児童生徒やその保護者の中には、専門的な教育を受けたい・受けさせたいと思う一方で、地域の学校でも学びたいといった願いを持っている方がいる。その児童生徒にとって、特別支援学校のみで学ぶより、地域の小・中学校でも学んだ方が一人一人の教育的ニーズに適切に対応できることがある。
 本事業では、地域の教育資源を効果的に組み合わせることにより、本人・保護者の願いや教育的ニーズに対応して支援を提供できるよう、県内の肢体不自由特別支援学校の小学部・中学部に在籍する児童生徒をモデルとして、スクールクラスターの在り方について研究している。具体的には、週1回、年間20回程度、地域の小・中学校で1日学習を行う。地域の学校で学ぶ際には、特別支援学校から教師が1名付き添い、児童生徒への支援、地域の小・中学校の教師との連携を図っている。また、特別支援学校には、付添いで出かける教師を補うための非常勤講師を配置している。平成24年度より事業を開始し、本年度は一宮市、稲沢市、豊橋市で取り組んでいる。実施に当たっては、県教育委員会、市教育委員会の担当者、両校の校長始め、担当者が集まる在り方検討会議を年3回、担当者同士が打ち合わせる連絡会議を年5回実施し、事業が円滑に進むようにしている。
 次に、本事業でモデルとなっている児童生徒は、肢体不自由特別支援学校の小学部・中学部において、小学校や中学校と同じ教科書を使用して学習している。日頃は特別支援学校において、1名ないし2名の少人数で学習しているが、地域の小学校・中学校では、30名から40名の同級生と共に学び、特別支援学校では経験できない学びをすることができている。具体的な成果として、特別支援学校の児童生徒にとっては、「グループ活動で意見交換し学びを深めることができている」、「自己の障害について考える機会となり、自分から改善に努めようとする様子が見られるようになった」、「地域の友達が増え、地元の催しに積極的に参加するようになった」といった意見がある。
 また、小・中学校においては、「児童生徒にとっては、障害のある児童生徒に対する理解が深まった」、「小・中学校の学級通信で取り上げる、入学式で紹介するなどして、小・中学校の保護者の理解も深まった」といった意見がある。
 本年度、市町村教育委員会の特別支援教育担当者を対象とした研修会において、モデル事業に取り組んだ市教育委員会担当者から事例の紹介を行った。
 最後に、今後について、来年度は稲沢市の1市で取り組み、来年度で終了する予定である。
 特別支援学校と小・中学校との交流及び共同学習は、これまでにも実施されているが、本事業で得られた成果についてまとめ、校長会や研修会などの場で、特別支援学校や小・中学校、市町村教育委員会の特別支援教育担当者へ積極的に発信をし、交流及び共同学習の取組が更に深まっていくよう働きかけていきたい。

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【高桑敏直委員】
 肢体不自由児スクールクラスターモデル事業は、障害のない子供たちにとっても大変良い人権教育になると思うので、得られた成果を一歩一歩着実に、子供たちの心に根付くように、交流・共同学習等を広めていくことを要望する。

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【鈴木 純委員】
 本年4月に愛知総合工科高等学校が開校し、本県のモノづくり教育の拠点となることが期待され歓迎しているが、愛知総合工科高等学校の開校で愛知工業高等学校の敷地内には、平成29年度に複数部制単位制高校(ステップアップハイスクール)が開校予定である。そこで、多様な生徒のニーズに応える学校づくりについて伺う。
 昨年3月策定の県立高等学校教育推進基本計画を受け、本年2月に平成31年度までを第1期とする、県立高等学校教育推進実施計画(第1期)が策定された。この計画中、4(2)の多様な生徒のニーズに応える学校づくりとして、特別な事情を持つ生徒のニーズに応えるため、興味や関心に応じた科目を選択し、自分のペースに合わせて学習することができる、昼間定時制高校や全日制単位高校の設置を検討することが記載されている。
 文部科学省の学校基本調査では、昨年度中の中学校の不登校生徒数は9万6,789名、全体の2.79パーセントで、減少傾向だったものが増加に転じているとのことだが、本県の状況及び他県との違いについて伺う。

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【義務教育課長】
 昨年度の本県の中学校の不登校生徒数は6,894名で、1,000名当たり31.4名となっている。本県の中学校の不登校生徒数は平成24年度に減少したが、その後増加に転じており、この傾向は全国の状況と大きな違いはない。

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【鈴木 純委員】
 高校の不登校及び中退の状況についてはどのような状況か。

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【高等学校教育課長】
 昨年度の愛知県立高等学校全日制の不登校率は0.8パーセントで全国の1.1パーセントより低い状況であり、定時制の不登校率は8.5パーセントで、全国17.4パーセントと比べ、かなり低くなっている。
 次に中途退学者については、昨年度の愛知県立高等学校全日制の中途退学率は0.7パーセントで、全国0.9パーセントより低い状況であり、定時制の中途退学率は11.8パーセントで、全国11.4パーセントより少し高くなっている。

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【鈴木 純委員】
 実数はどうなっているのか。

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【高等学校教育課長】
 昨年度の愛知県立高等学校全日制の不登校生徒数は926名、定時制の不登校生徒数388名、昨年度の愛知県立高等学校全日制の中途退学者数は830名、定時制中途退学者数は538名となっている。

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【鈴木 純委員】
 高校の中途退学者は、多くの自治体で高校での学び直しができるよう公立高校への編入学を認めていると聞いているが、転学は一家転住を原則としている県が多いと聞いている。本県の状況を伺う。

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【高等学校教育課長】
 本県における転入学については、ほかの都道府県からの転入学は一家転住を原則としているが、県内であっても通学が困難となるような転居の場合は転学を認めている。転居を伴わない場合でも、家庭や健康上の理由、また、いじめやDVなどにより在籍校の校長が転学が望ましいと認め、かつ、受入側の校長が教育課程上、継続的に学習を進めることが可能な場合には転学を認めている。

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【鈴木 純委員】
 転学については余り周知されていないと聞いており、中途退学者が少しでも減るよう積極的に取り組んでほしい。
 不登校生徒は全国よりは少し低いとのことだが、実数では1,300名を超えており、行政の役割は重要である。今回策定された県立高等学校教育推進実施計画(第1期)に掲げられた新たな高校の設置について、既に北海道では全日制普通科高校が26校、東京都では少人数制の全日制普通科高校であるエンカレッジスクールが5校、本県のステップアップハイスクールに相当する複数部制単位制総合学科校が5校、また、大阪府では全日制又は定時制の単位制高校が6校設置されている。
 本県でのニーズや他県の取組状況から見れば、計画を速やかに推進することが必要と考えるが、規模を含めどのように取組を進めていくのか伺う。

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【高等学校教育課長】
 多様な生徒に対する学校づくりについては、平成29年度に開校するステップアップハイスクールのほか、県立高等学校教育推進実施計画(第1期)では、計画期間である平成31年度までに、新たな昼間定時制課程を豊川市の御津高校に併設することの検討や、1年ごとの進級の区切りのない、少人数による指導を特色とする全日制単位高校を、地域バランスを考慮して3校程度の設置を検討するとしている。

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【鈴木 純委員】
 先行している自治体に量的には追いつくということでよいか。

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【高等学校教育課長】
 本県の不登校や学び直しが必要な生徒を対象とした学校について、現在、県立高校では昼間定時制課程の刈谷東高校、起工業高校の2校があり、県立高校以外では、豊橋市立豊橋高校、名古屋市立中央高校にも昼間定時制課程がある。通っている生徒のほとんどが不登校を経験しており、今週の入試でも前期試験だけでも定員を超える倍率となっている。平成29年度にはステップアップハイスクールを加えた体制となるが、状況に応じ、ニーズが高ければ、更なる計画を作成する必要があると考えている。

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【鈴木 純委員】
 本県で初めての複数部制単位制高等学校として、来年4月に開校予定のステップアップハイスクールの概要について伺う。

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【高等学校教育課長】
 不登校経験者や中途退学者など、様々な学習歴を持った学ぶ意欲のある生徒が、学び直しの機会を得て、個々の状況に応じたペースで学ぶことができる学校としていきたい。
 学級数はまだ正式には決まっていないが、昼間部に普通科3クラス、夜間部にものづくり科1クラスを考えている。学年による教育課程の区分を設けず、決められた単位を習得すれば卒業できる二部制単位制高校であり、午後の時間帯を任意で選択履修することができるようにすることで、昼間部・夜間部ともに3年間での卒業を可能としている。
 また、校長が適切と認めた事業所等でのアルバイトを一定条件の下に単位認定することや、社会人聴講生を積極的に受け入れ、そのうち希望者には学校支援の必要な生徒等へのボランティア支援として活躍してもらうことを考えている。また、若干名となるが、中途退学者への対応として秋季編入学を実施する。

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【鈴木 純委員】
 東京都では3,000名を超える中途退学者を抱えており、本年度からソーシャルワーカーや臨床心理士、教員免許を持った者など、3人をユースアドバイザーとして雇用し、高校と連絡を取り合い、中退・不登校の生徒にアドバイザーが電話や家庭訪問で直接転学を働きかける試みを始め、また、ハローワークなどと連携し、就職のあっせんを行う取組も始めたと聞いている。中退して社会から孤立した若者には情報が届きにくいといわれており、東京都では来年度以降も制度を拡大する方向と聞いているが、今後、多様な生徒のニーズに応える学校づくりを積極的に進める本県として、新たな学校や制度をどのようにPRし、こうした情報を必要とする生徒にどのように届けていくのか伺う。

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【高等学校教育課長】
 ステップアップハイスクールについては、県内全ての中学校に対し、学校の概要や教育課程の特色を説明するリーフレットを作成し、配布していく予定である。
 また、学校説明会を複数回開催し、入学を考えている生徒や保護者に対し、より丁寧な説明を行うとともに、中学校教員を対象とした学校説明会を実施し、不登校の生徒や学び直しを希望する卒業生に対して、本校の特色を説明してもらうようにしていきたい。秋季入学は若干名となるが、主な対象は、当該年度の初めに別の高校に入学し何らかの事情で学業を続けることができなかった生徒である。秋季入学は、こうした生徒が一年後ではなく、半年後に再チャレンジの機会を与える制度であり、中学校への周知だけでなく、高等学校に対して、中途退学に際しこの制度があることをしっかり伝えるようにしていきたい。

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【鈴木 純委員】
 県立高等学校教育推進実施計画(第1期)中、4(2)の多様な生徒に対する人的支援の充実の中から、外国人生徒について伺う。
 本県は日本語指導が必要な外国人児童生徒の在籍状況は、平成24年度5,878名で全国最多であり、2位の神奈川県の倍以上となっている。こうした中、日本語指導が必要な外国人児童生徒が全国12番目の兵庫県は、試験問題の読み仮名や時間延長の措置などを取っていたが、問題や選抜方法が日本人受験生と同様であったことから、新年度から特別枠を導入するとの報道があった。本県の外国人生徒等の選抜実施の現状を伺う。

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【高等学校教育課長】
 本県の公立中学校には日本語指導が必要な外国人生徒が多く在籍しており、本県では平成14年度入学者選抜より、外国人生徒選抜を実施している。
 本年度は9校で各校若干名の募集を行い、43名の志願者のうち24名が合格した。試験は、国語、数学、英語の3教科の学力検査と面接であり、学力検査は取り組みやすい基礎的・基本的な問題で漢字には平仮名でルビを付している。

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【鈴木 純委員】
 来年度予算にも外国の子供を支援する教育支援員の配置を増やすことが挙げられているが、来年度、ほかに新たな取組はあるのか。

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【高等学校教育課長】
 平成29年度から新しい取組として推薦選抜を一般選抜の日程の中に取り込んだ入学者選抜となるが、外国人生徒等選抜も一般選抜の日程に取り込んで実施する。外国人生徒等選抜の学力検査は、国語、数学、英語の3教科を一つにまとめた基礎的・基本的な問題とし、漢字には平仮名でルビを付して45分間で実施する。現行では40分で3教科、合計120分の検査のため、外国人生徒にとってより取り組みやすい入試となる。
 また、外国人生徒の進学意欲を高め、保護者の理解を促すため広報が必要であり、平成29年度からの外国人生徒等選抜の実施方法等について、ポルトガル語、スペイン語等、多言語で説明した情報を教育委員会のホームページに掲載し、一層の周知に努めていく。

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【鈴木 純委員】
 中央大学の古賀正義教授は、格差社会が進む中、高校を卒業しないと社会参加の入り口に立てないと指摘しており、言葉の壁を乗り越えなければならない外国人生徒や不登校だった生徒、また、中退した生徒への支援は社会の中間層を厚くするという意味でも大変重要であるので、県立高等学校教育推進実施計画(第1期)の策定を契機により一層の取組を要望する。

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【神野博史委員】
 文部科学省では、昨年4月21日に、子供たちへの教育指導の充実と学習状況の改善に役立てるという目的で、全国学力・学習状況調査を実施しており、その結果、全国的には学力の底上げが図られているとのことである。この調査は小学6年生と中学3年生を対象に実施されているが、本県の結果は、全国の平均正答率と比較し、中学校国語は全国と同程度であるものの、小学校国語の全国との差は大きく、漢字の書き取りや読み取りなど主に知識に関するA問題は、昨年度42位が本年度47位で全国最下位、また、主に活用に関するB問題も最下位であり、子供たちの学習意欲を高めようと頑張っている身としては大変残念な結果である。
 県教育委員会として、今回の小学校国語の結果に見られる課題をどのように捉えているのか。

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【義務教育課長】
 本年度調査では、小学校国語A問題が全国と比較して特に低い結果となり、大変重く受け止めている。小学校国語A問題では、「浴びる」や「病院」といった漢字の書き取りや、新聞のコラムを読んで、筆者の考えの根拠を書き抜く問題の正答率が低かった。平成19年度の調査開始以来、漢字の読み書きの平均正答率は連続して全国を下回り、特に本年度は全国との差が大きく開いていることから、依然として漢字学習への取組に課題があると考えている。小学校国語B問題では昨年度と比較し全国との平均正答率の差は縮まったものの、インタビュー内容を整理しながら新聞記事として書く問題や、楽器の分担を決める場面で、一つの楽器に希望者が集まっていることを表した図をもとに、より良い解決策を書く問題などの正答率が低く、資料から必要な情報を読み取りながら、自分の考えを書くことに課題が見られた。また、「自分の考えを説明したり、文に書いたりすることが難しい」と答えた児童の割合は66.3パーセントあり、書く活動や考えを発表する場を、日々の授業の中で教員が意図的に取り入れていくことが必要と考えている。

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【神野博史委員】
 現在、小学校から英語教育が導入され注目を集めているが、日本人である以上、まずは国語力を身に付けさせることが一番大切なことである。特に最近、子供たちのコミュニケーション能力の欠如が社会的に大きな問題であるといわれており、国語の学習を通じて社会について考え、自分の思いを書いたり、話し合ったりする力を確実に身に付けていけば、そうしたことも改善されていくのではないかと考えている。
 次に、子供の体力について伺うが、全国的に昭和60年頃をピークに低迷していると聞いており、この30年間で子供を取り巻く環境は大きく変わり、子供同士の遊び方も、屋外での遊びが減り、ゲームなど家の中での遊びが増えるなど、体を動かす時間が減っていると思う。
 全国体力・運動能力、運動習慣等調査での本県の結果は、小学5年生と中学2年生は男女ともに全国平均を下回り、小学校5年生男子は47位、小学校5年生女子は45位と特に小学生の体力の低下が目立っている。子供の頃に十分な体力を身に付けることは、将来の健康の礎となるだけでなく、運動習慣の確立や生涯を通じて運動・スポーツに触れ合うきっかけづくりにもなるため、運動するのを習慣にするような取組をしっかり行ってほしいが、本年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果を県としてどのように捉えているのか。また、今後、子供の体力向上に向けた取組をどのように進めていくのか伺う。

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【保健体育スポーツ課長】
 本県の子供の体力の状況は、全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果の過去3年の推移から、中学校になると男女とも改善する傾向があるものの、実施8種目の結果を得点化して合計した小学校男女の体力合計点は、全国平均を大きく下回っている。体力合計点は本県に限らず、大都市や中核都市の学校ほど低く、町村やへき地にある学校では得点が高い傾向にある。本県は大都市や中核都市の割合が多く、他県と比べて生活の中で運動する機会が少ない児童生徒が多いと推測され、体力合計点の低い要因の一つではないかと考えている。
 本県は、調査に伴うアンケートによると、運動やスポーツをすることが好きと回答した児童が少ない結果となり、運動が好きと回答した児童生徒は体力合計点が高いことから、体力を高めるには運動好きな児童を増やし、積極的に運動に親しむ子供を育てることが大切であると考えている。子供たちの体力向上には、学校が体力や運動能力の向上について目標を設定し、体育の授業や学校独自の運動への取組を行ったり、家庭に対して子供が運動する機会を多く持つよう呼びかけなどをすることが大切である。昨年11月にスポーツ庁から各学校に配布された学校用確認シートを用い、体力についての学校目標・学年目標を設定し、個人用記録シートを活用して児童生徒自身による体力の現状把握と目標設定の取組を進めるなど、体力向上に向けた意識の啓発や活動の充実について、各市町村教育委員会を通じ、学校へもしっかり働きかけていきたいと考えている。
 また、毎年実施している体力章の交付についても、小学6年生へは、これまでのカードに替えて金メダルとし、子供たちの意欲を高める工夫をするとともに、小学校向けに作成している体力向上運動プログラムが、より一層積極的に活用されるよう促していく。
 さらに、学校での体力向上に向けた取組を地域・家庭に広め、親子で運動に親しむことで、児童生徒の日常的な運動機会を増やすため、本年度、オリンピック選手などのトップアスリートを招き、遊びの要素を取り入れた様々な運動に親子で取り組む子どもスポーツふれあい事業を県内4会場で開催しているが、来年度も継続できるよう予算を計上している。本年はリオデジャネイロオリンピックが開催され、スポーツに対する更なる関心が高まることが期待されることから、こうした機会を捉え、運動が楽しいと感じられる子供、自ら運動に親しむことができる子供を育てる取組を進めていく。

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【神野博史委員】
 海上の森に隣接する林での違法開発で室町期と推定される大平窯跡が壊され、今月16日に県教育委員会は瀬戸市とともに、現地を調査した旨の報道があったが、経緯と現状を伺う。

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【文化財保護室長】
 現地は瀬戸市にあり、開発事業者が瀬戸市教育委員会に開発の届出をすることになっているが、今回の件では届出がなされておらず、無届けで開発していた事実が判明し、2月16日に初めて報道があった。そして2月17日に瀬戸市教育委員会が現地確認し、事業者に正式な届出をするよう要請したが、今月16日の新聞報道まで届出はされていない。

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【神野博史委員】
 県としては、今後どのような対策をとっていくのか。

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【文化財保護室長】
 県としては、事業者へ再度届出をするよう要請しており、届出が提出されれば手続に従い、指導していくが、現状復旧ができず、罰則規定もないことから、現状の中で現況保存などにより保護していくことになると考えている。

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【神野博史委員】
 文化財保護法や森林法、砂防法などがある中で、罰則規定がないのか。

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【文化財保護室長】
 罰則規定はない。

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【神野博史委員】
 罰則がなければ開発した方が得になる。規制など何らかの対策が必要ではないか。

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【文化財保護室長】
 同感であるが、無届けで開発されても現状では罰則規定はなく、埋蔵文化財の場合、開発されると何が文化財か分からなくなってしまうため、まずは届出をしてもらい、現況の部分で強く指導していく。

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【神野博史委員】
 罰則規定がなければ県が指導しても根拠がなく、指導に限界があるので早急に規制等考えてほしい。

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【直江弘文委員】
 公立小中学校の教科書採択に係る教科書発行者による教員買収問題について、本年1月に文部科学省から県教育委員会に対し調査依頼があったとのことだが、どのような結果だったのか。

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【義務教育課長】
 本年1月28日に文部科学省から、平成21年度から昨年度までに申請本閲覧に係る会議に延べ175名の教員等が参加したという情報提供があり、氏名や所属、職位、採択への関与の有無、採択結果への影響、謝金の受取の有無などの調査依頼があった。
 これを受け、県教育委員会から市町村教育委員会に確認を求めた結果、延べ175名のうち140名が謝金を受け取って申請本に係る会議に出席し、そのうち教科書選定のための資料を作成する調査員や採択地区協議会委員となるなど教科書採択事務に関与した延べ人数は25名である。本人及び本人以外の関係者への聞き取り、教科書採択に係る資料及び採択地区協議会の議事録等で確認作業を行い、その結果、採択に影響はなかったと判断した。

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【直江弘文委員】
 子供たちの将来を左右し、人間形成に大きく影響する教科書採択が、採択に関与した者はもとより、直接関与していない者も含め、140名という大勢に金品が配布され、教科書採択制度がゆがめられたことは看過できない。採択に影響はなかったというが、新聞報道では17件の採択替えがあり、うち14件が謝礼金をもらった会社の教科書に採択が替わったとのことであるが、事実はどうなっているのか。

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【義務教育課長】
 新聞報道のとおりである。

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【直江弘文委員】
 採択に影響があったということである。これは本年度だけの問題ではなく、6年間恒常的に行われていたということである。携わった教員は、先輩教員から閲覧会議がどのようなものか聞き、金品が渡っていたことを認識していたと思う。これは構造的な問題であり、こうしたことで大切な子供たちの教科書が決められるのは、由々しき問題であるがどう考えているのか。

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【義務教育課長】
 平成21年度から昨年度までに4回の教科書採択事務が行われており、現段階では会議議事録や採択に係る資料により判断しており、会議の内容は教科書発行者等に情報収集を進めていく必要があると考えている。

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【直江弘文委員】
 構造的で悪質な問題であり、徹底して処罰と再発防止を行う必要がある。教科書発行者と教科書発行者から金品等受け取った者の両者に対して、厳しく処分すべきと考えるが県教育委員会の対応の姿勢を伺う。

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【教職員課長】
 今回の事案のように兼職・兼業の届けなく謝金を受け取り、教科書発行者の会議に参加し、教科書採択に関与していた場合は問題であると考えるが、調査結果から教科書採択に影響がないことが確認されていることから、参加当時の役職、受け取った金額、参加した会議の内容等を十分に精査し、厳正に処分していきたいと考えている。

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【直江弘文委員】
 通常の公共事業の発注と同様、本件に関与していない会社に再度採択手続をやり直させたり、次点の教科書を採択するなど、具体的な対策を講じなければ再発防止ができないと思う。公共事業では行政担当者が業者から賄賂を受け取ったことが判明すれば、一定期間指名停止などペナルティーが課せられている。教科書採択は4年ごとのため、4年間の指名停止というような措置になると思うが、県教育委員会の見解を伺う。

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【義務教育課長】
 教科書発行者の指定の取消しについては、義務教育諸学校の教科書用図書の無償措置に関する法律(教科書無償措置法)に基づき、文部科学大臣が行うこととなっている。市町村が教科書採択を行う場合は、文部科学省が認定した教科書発行者の中から採択することを前提としており、県教育委員会では委員の指摘のような指名停止は考えていないが、今後、文部科学省等の動向を踏まえて対応していく必要があると考えている。

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【直江弘文委員】
 明らかに犯罪行為であり処分が必要である。新聞報道は子供たちも読んでおり、説明ができないと思う。構造的な問題であり、一罰百戒できちんとやらないとまた同じことが起こると思うが、教科書採択権限はどこにあるのか。

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【義務教育課長】
 公立の小中学校は設置者である市町村教育委員会が教科書採択権者である。

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【直江弘文委員】
 権限は各市町村にあるが、実際は市町村も多いため、九つの地域に分けて採択地区協議会を設置して、そこに市町村教育委員会から派遣された調査員が教科書の研究を行って採択案を作成し、市町村教育委員会の教育委員が決めることになっているということでよいか。

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【義務教育課長】
 文部科学省からの教科書採択に係る通知では、教科書の調査研究について、各教科に必要な専門性を有し、公正・公平に教科書の調査研究を行うことができる調査員を選任して体制の充実を図るよう努めることとされている。
 本県では九つの採択地区協議会を設置しており、地区ごとに専門性を有した者を調査員に選任しながら採択に係る事務を進めている。県教育委員会では、調査員が採択地区協議会の委員や市町村の教育委員の教科書研究の補助となる選定資料を作成するに当たり、各教科書の特色を学習指導要領との関連や表記・表現等の観点別にまとめ、客観的、公平に記述するよう指導している。この選定資料を参考にしながら、各地区の採択地区協議会で協議が続けられている。

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【直江弘文委員】
 採択権限は市町村教育委員会にあるものの、実際には採択地区協議会の調査員と各市町村教育委員会の事務局が教科書の絞り込みをし、それを教育委員に上げ、教育委員が追認するだけのように思える。教育委員に権限があるのであれば、教育委員に金品が渡るはずであるが、教科書発行者は調査員等に金品を渡していることから、実質的な権限が調査員等にあるということである。意見を聴くという名目で会議を開催し、飲食や金品の提供により教科書が採択されていると思われ、こうした現状を見過ごしてはいけないと思うが、どのように考えているのか。

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【義務教育課長】
 採択地区によっては、各教科書に何らかの評定を付した選定資料となっているものもあるが、あくまでも採択に向けての協議のための参考資料であり、採択地区協議会委員や教育委員がそれに縛られるものではない。このことは文部科学省通知にも示されており、選定資料に示された評定の高い教科書だけでなく、採択対象となっている全ての教科書が、採択権者の責任において、円滑に十分な審議をするよう採択地区協議会関係者及び市町村教育委員会に周知している。

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【直江弘文委員】
 県教育委員会から直接各市町村の教育委員に対し、教科書の採択権限が教育委員にあり、これまで採択に当たり、自分自身で内容を確認し、採択の判断をしてきたか直接アンケートしてほしい。

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【義務教育課長】
 教科書採択事務局に対しては、担当者会などを開催し、採択に係る法令についても十分周知に努めており、市町村教育委員会の教育委員に対しても、採択権者であることを十分に自覚してもらうため、各市町村教育委員会が教科書採択の事務に入る前に、教科書採択の仕組みを説明している。さらに、事前に見本本が教育委員に対して教科書発行者から送付されるシステムとなっており、教科書について研究する時間を十分取ったり、県内25か所の教科書展示会で、一般の方からもらった多くの意見を教育委員に見てもらったり、教科書採択の審議の場ではそうしたものも十分踏まえながら、責任を持って採択してもらうような環境づくりに努めている。
 本年度も教科書採択権者である市町村教育委員会教育委員に対して、教科書の学習会を開催しながら事務を進めた。

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【直江弘文委員】
 文部科学省は、現実にきちんと実行されないから教科書採択に係る通知を出し、留意事項として説明をしているのだと思う。昨年4月に出された通知の教科書採択の留意事項によれば、教科書の採択権限を有するものは、教育委員であると明確にされているが、このことが浸透していないということである。教科書の見本は教育委員の人数分しか渡さないとされているにもかかわらず、現実には事前に140名の者が閲覧している。調査員からの報告をうのみにしたり、教職員の登用で教科書採択が決められたりするなど、教育委員の責任が不明確となるような採択手続は適当でないとのことであるが、説明どおりに行われていないということであり、通知の趣旨が県内の各市町村教育委員会にきちんと伝わっているのか。
 全国的には、教科書採択事務局が教育委員に報告せずに握り潰していたとの情報もあると聞いており、文部科学省も承知しているのだと思う。採択地区協議会事務局に依頼すると正確に状況が確認できないため、直接、教育委員に対し、教科書採択の権限があることを伝え、教科書採択に係る一連の行動について聞き取りやアンケートを実施してほしい。
 ある強い団体の思想・信条の下に教科書が作成されるようなことがあってはならないため、実態をもっと把握し、厳しい態度を示す必要がある。全国的にはこうした実態から採択地区を離れ、単独で採択をしようという市町村が出てきているが承知しているか。

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【義務教育課長】
 把握している。採択地区協議会の構成員は校長や教員であるが、その中に保護者・市町村教育委員会の代表者として教育委員が加わっている採択地区協議会もある。教育委員は教科書採択権者としての自覚を持って参加していると考えているが、採択地区協議会の公正・公平な採択ができるよう県教育委員会としても指導していきたいと考えている。
 また、義務教育諸学校の教科書用図書の無償措置に関する法律の一部改正により、市町村教育委員会が採択地区協議会の協議の結果に基づいて採択することや採択地区の設定単位が市郡から市町村に改められ、共同採択基準によらず単独での採択が可能となった。本県では、市町村教育委員会が改正の内容を十分理解した上で、事前に教科書の特徴を調査研究し、教科ごとに採択したい教科書の協議をしている。その上で、市町村教育委員会の代表が採択地区協議会に参加して共同採択するような仕組みとなっている。県教育委員会は、毎年採択地区や共同採択の課題等を踏まえ、各採択地区の構成市町村教育委員会に対して単独採択等の意向調査を実施しているが、現時点では希望がないという回答を受けている。各採択地区では子供たちのため、教科書を活用した教科指導に関する研修会等を広範囲で実施したりしていることから、現状では共同採択を望んでいると認識している。

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【直江弘文委員】
 各市町村教育委員会が単独採択を求めてきたら、認めるということでよいか。

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【義務教育課長】
 各市町村教育委員会が単独採択等の意向調査で単独採択を希望した場合、本県では採択地区の適正規模会議を設置していることから、この会議で採択地区の在り方について検討していきたい。

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【直江弘文委員】
 大阪府では全市町村が単独採択と聞いており、全国的にこうした動きが広がってくると思う。営利主義の教科書発行者がほかに選択肢を与えず、無償配布という大義名分で違法行為をしており、少なくとも今回明らかになったものについてはきちんとペナルティーを与えるべきであると思うがどのように考えているか。

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【教育長】
 教科書採択については、県教育委員会としても、どこに問題があるのかを整理しているが、教科書発行者が検定中の教科書を外部の者に見せてはならないことは、教科書発行者に課せられているが、それを見せられたというだけで教員が悪いということではないと理解している。教員が兼職等の届出なしに謝金をもらって、教科書発行者の会議に参加していたことは問題であると認識している。なおかつ、教科書採択に関与していたとすれば大問題である。今回の調査では採択への影響はないと確認したが、金品をもらって会議に参加したことについては、教科書採択の公平性・公正性に疑念を抱かせたことから、県教育委員会として、しっかりと処分するという考えで事実関係等調査した。
 また、市町村教育委員会に教科書の採択権限がある一方で、義務教育諸学校の教科書用図書の無償措置に関する法律により、採択地区で教科書を採択することが可能となっており、かみ合ってない部分があるとも思っている。市町村教育委員会単位で、市町村教育委員がどのような教科書がよいのか内容をチェックし、判断して、その結果を採択地区協議会に上げ、採択地区協議会でしっかり議論して採択する教科書を決めてもらいたいと考えている。県教育委員会では、このことを市町村教育委員に対する研修などで実施しており、今後も実施していく。

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【直江弘文委員】
 教育委員会が誰も責任を取らない無責任な体制であり、市町村の中には首長に口を出させないというような所もあるというような話も聞いており、こうしたことがないよう、市町村に総合教育会議を設置することになったと思う。今後は、そこで教育方針が決まるようになってくると思うが、今回の問題は戦後からの悪しき習慣であり、利権のようになってしまっている。県教育委員会に具体的な権限はないが、現在の制度と方針は県教育委員会が決めたものであり、教育委員が主体性をもってきちんと教科書を採択するよう、厳しく指導してほしい。
 次に、本年度勇退される教育長は、高校の耐震化や特別支援学校の充実、また、愛知県総合工科高等学校の設置に道筋をつけるなど、教育行政において数々の功績があったと思うが、教育長在職4年間を振り返り、どのように感じたのか、また、後輩職員に対し伝えることはあるか。

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【教育長】
 教育分野については、今議会を含め、県議会議員から毎回多くの質問を受けており、その理由を自分なりに考えていたが、自分なりに考えた答えの一つは、子供たちがこれから輝き、幸せな人生を送れるよう育てていきたいという思いの表れであるということである。もう一つは、日本の将来を担うのは今の子供たちであり、これからの日本が素晴らしい国になってほしいという、日本の将来に対する期待の表れとして、教育に対する質問が多くなっているのではないかと思う。自分もこうした思いで教育行政に取り組んできたが、教育現場はある意味で社会全体の縮図であり、課題は山ほどある。また、教育は一つの課題に対処して終わりではなく、もっと良くしていかなければならないという、終わりのないテーマであり、時にはいらだちを感じながら職務に取り組んできた。
 この4年間は様々なことに取り組んできたが、幾つかを挙げる。
 まずは、高等学校の入試改革では、身近な地域で学校選択をしやすくし、思考力・判断力の評価を重視した。
 特別支援教育環境の充実では、知的障害特別支援学校の過大化による教室不足は遅々として進まず、長年の課題だったが、愛知県特別支援教育推進計画(愛知・つながりプラン)を策定し、これに基づく教室不足の解消に向けた調査の実施や工事の着手、今後の取組に向け、一定の目途が付けられたと思っており、個人的にもうれしく思っている。
 高等学校の関係では、県立高等学校教育推進基本計画(高等学校将来ビジョン)及び県立高等学校教育推進実施計画(第1期)を策定し、グローバル教育及びキャリア教育など、教育環境の整備に一定の道筋を付けられたと思う。自分は職業高校の今後の在り方をしっかり考える必要があると思っており、普通科に行けないので職業科ということではなく、職業科の魅力を高め、目的意識を持って学んでもらう職業高校づくりが大切だと思っていたが、こうした考えを県立高等学校教育推進基本計画に多少は盛り込むことができたのではないかと思っている。
 そのほか、いじめ、体罰、県立学校の施設の耐震化、スポーツ振興、文化財の保護・活用などいろいろな課題があったが、教育の理念として終わりはなく、来年度新教育委員会制度に基づき、就任される新教育長に対して、これまでの取組の成果、課題をしっかり引き継ぎ、引き続き教育環境が良くなるよう進めてもらいたいと思っている。
 文教委員には教育行政を進める上で多大な支援をいただき感謝する。