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神奈川県 横浜市

平成13年 大学教育委員会 P.1  07月31日−08号




平成13年 大学教育委員会 − 07月31日−08号









平成13年 大学教育委員会



               大学教育委員会記録

◇開会年月日      平成13年7月31日(火)

◇場所         市会第三会議室

◇時間         午前10時00分開会

            午前11時14分閉会

◇出席委員       10人

  委員長    菅野義矩君(民主党)

  副委員長   佐藤祐文君(自民党)

  副委員長   手塚静江君(公明党)

  委員     小林昭三郎君(自民党)

  委員     鈴木喜太郎君(自民党)

  委員     田野井一雄君(自民党)

  委員     川辺芳男君(民主党)

  委員     花上喜代志君(民主党)

  委員     石井義了君(公明党)

  委員     手塚勇夫君(共産党)

◇欠席委員        1人

  委員     脇田久美子君(ネット)

◇傍聴議員       なし

◇出席理事者

 (市立大学)

  学長                 加藤祐三君

  事務局長               大場浪男君

  総務部長               池田輝政君

  医学部事務室室長兼附属病院管理部長  斎藤 勲君

  医学部附属市民総合医療センター管理部長

                     荻原信吾君

  医学部長               奥田研爾君

  医学部附属病院長           松原 升君

  医学部附属市民総合医療センター病院長 近藤治郎君

                              ほか関係職員

◇市会事務局

  議事課書記              石原雅久君

  調査課書記              内牧直之君

◇議題

  市立大学関係

   1 ヒトゲノム・遺伝子研究等の倫理の確立について

   2 横浜市立大学医学部附属2病院における医療安全管理について

開会時刻 午前10時00分



△開会宣告



○(菅野委員長) これより委員会を開会いたします。

 脇田委員の方から,あらかじめ欠席の御連絡があります。

 上着の着用は御自由に願います。

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△ヒトゲノム・遺伝子研究等の倫理の確立について



○(菅野委員長) それでは,市立大学関係のヒトゲノム・遺伝子研究等の倫理の確立についてを議題に供します。

 当局の説明を求めます。



◎(大場事務局長) それでは,まずヒトゲノム・遺伝子研究等の倫理の確立について御説明させていただきます。

 なお,お手元に資料の1として,ヒトゲノム・遺伝子研究等の倫理の確立について,資料の2として横浜市立大学医学部附属2病院における医療安全管理についてを配付させていただいております。また,参考資料も添付させていただいておりますので,後ほどお目通しいただければと思います。

 それでは,まず資料の1の方をごらんください。

 ヒトゲノム・遺伝子研究等の倫理の確立について御説明いたします。

 まず,1にございますように,医学部外科学第2講座が理化学研究所との間で締結した覚書に反し,患者さんからの同意のない検体を使用した研究を行っていたことが,本年3月明らかになりました。これを反省し,人権擁護の観点から,医学部における研究倫理を確立しようとするものでございます。

 医学部では,外科学第2講座で生じたこの問題を医学部全体にかかる重要な問題と見ておりまして,1つは,人権擁護の視点から広くヒトゲノム・遺伝子に関する研究に対する審査体制を整備すること,2つ目は,教育・研究機関として,教員を初め学生や大学院生に対する生命倫理教育を充実すること,3つ目は,講座運営を改善して再発防止に取り組むことでございます。この3つの視点から検討を行い,改善策を取りまとめました。

 次に,この改善策の主な概要でございます。

 まず,横浜市立大学医学部研究等倫理規程を制定いたしました。

 アでございますが,この規程は,医学部及び附属2病院における人間を対象とした診療技術の開発や,医学研究が生命・医療の倫理に基づいて適正に行われることを目的としております。特にヒトゲノム・遺伝子研究は,医学部長の許可制としております。

 イについてでございますが,人権擁護の観点から,倫理審査の対象をヒトゲノム・遺伝子解析研究の範囲にとどまらず臨床的遺伝子診断,遺伝子診断研究及び体細胞遺伝子解析まで拡大し,ヒトゲノム・遺伝子研究を対象とした国の倫理指針よりも対象を幅広くとらえておりまして,また,手続は国の指針に沿いまして厳格に審査することとしております。

 次に,ウについてでございますが,医学部に研究倫理統括者を置くとともに,各講座,各診療科などに研究倫理指導者を置きまして,点検と改善が日常的に実践されるよう,倫理に関する取り組み体制を組織化いたしました。

 エでございますが,臓器などのヒト検体の取り扱いに関しまして,文書及び口頭で十分な説明を行い,検体提供者の理解を得た上で文書によるインフォームド・コンセントを得なければならないことといたしました。

 さらに,各部署に個人情報管理者を置きまして,匿名化や台帳整備等を行うことにより,個人情報の管理を徹底してまいります。

 次のページをお開きください。

 オの倫理委員会についてでございますが,まず,倫理委員会に学外の学識経験者の方を構成員として加えることにより,研究の透明性や公正性を確保することといたしました。また,倫理委員会の下部機関として医学部及び附属2病院に審査会を置き,倫理委員会の審議に先立つ審査を行うことといたしました。倫理面でのチェックが十分行われるように審査体制を強化したものでございます。特に,ヒトゲノム・遺伝子研究につきましては,附属2病院を含めた医学部全体の整合性が図れるように,医学部に設置いたしましたヒトゲノム・遺伝子研究倫理審査会で一括事前審査することとしております。

 次に,2の横浜市立大学医学部ヒトゲノム・遺伝子研究倫理外部評価委員会の規程について御説明いたします。

 この規程につきましては,先ほど御説明いたしましたヒトゲノム・遺伝子研究が,研究計画に従い適正に実施されているかどうかについて,透明性を高めるよう,学外の第三者の方々に点検・評価を受けるために外部評価委員会を設置するものでございます。

 外部評価委員会は,医学・医療に関する学識経験者,人権擁護に関する学識経験者,その他有識者の方々計5名の構成といたしました。現在,委員につきましては人選中でございます。委員の方々には実地調査もしていただき,医学部で行われるヒトゲノム・遺伝子研究がより適正に行われるよう御指導,御助言をいただきたいと考えております。

 次に,3の横浜市立大学医学部研究推進要綱についてでございますが,この要綱は,医学部で行われる研究を公正かつ透明性が高い研究組織のもとで,より活性化させる目的で制定したものでございます。この要綱では,各講座の教授や附属病院の診療科部長などの役割や責任を明確にいたしまして,教授を総括責任者とするとともに,研究のリーダーを研究責任者として,研究計画に基づく適正な研究が行われるよう,基本的な手続について定めております。

 以上の規程や要綱につきましては,本年7月6日から施行しております。

 次に,4番目の生命・医療倫理教育の充実についてでございますが,研究者は医学・医療にかかわる者として,生命や人権の擁護に対して深い理解を有することは当然でございます。そこで,教授,助教授,講師を対象といたしまして,生命倫理をテーマとした研修を実施し,意識啓発を図ってまいります。また,助手につきましては,大学院博士課程の生命倫理,インフォームド・コンセント及び医療安全等に関するセミナーの受講を義務づけることといたします。また,学部学生,大学院生に対する教育におきましては,理解度をチェックする評価制度の導入や,討議形式による事例検討を増強するなどカリキュラムを見直しいたしまして,ヒューマンコミュニケーションや医療安全を含む生命・医療の倫理教育を充実してまいります。さらに,研修医やメディカルスタッフにつきましては,生命・医療の倫理の重要性をさらに徹底し,従来の研修を改善した総合的な教育研修プログラムを策定・実施いたしまして,再教育を図ってまいります。

 以上,医学部における研究倫理の確立に向けた改善策についてご説明させていただきました。



○(菅野委員長) 質疑に入ります。



◆(手塚[勇]委員) 1ページの2の改善策の主な概要の中の1),ア,ヒトゲノム・遺伝子の研究に関しては,許可制としますとなっていますけれども,今まではどうなっていたんでしょうか。



◎(大場事務局長) これまで倫理委員会に研究等の申請が行われていたということでございます。大学自体が審査していたということにとどまっております。



◆(手塚[勇]委員) この研究をやっていることは何らかの形でわかっていたわけですね。そうすると,今までもいろいろな事故で,インフォームド・コンセントの重要性が強調されていたわけですから,こういう研究に関して,インフォームド・コンセントがされているかどうかは最重要のチェックポイントとして,これを審査する人たちは注視すべきだと思うのですが,これが抜けていたというのはどういうことになるのでしょうか。



◎(大場事務局長) これまでも,当然インフォームド・コンセントを行うことを前提に,倫理委員会でもチェック等を行ってきたわけでございますが,今回の案件についてはそれがされていなかった事態がありましたので,明文化し,また倫理面からのチェックを強化するために,学部長の許可制を導入したわけでございます。



◆(手塚[勇]委員) それと,同じページのエですけれども,文書によるインフォームド・コンセントを得ることとしたとなっています。今までもこういうことはやっていたのではないかと思うのですが,その点はどうでしょうか。



◎(大場事務局長) これまでも,倫理規程の中にインフォームド・コンセントをとるということはあったわけでございますが,ただ,文書によって必ずとるという形が明言されておりませんでしたので,これを今回はっきりさせたということでございます。



◆(花上委員) ヒトゲノム・遺伝子研究は,人類の将来にとって非常に有益で,大変期待の大きな分野の科学ということで期待が高まる一方,人類に及ぼす影響が不安視されている面もある。言ってみれば光と影の両面があるわけですから,倫理というのは非常に重要だと指摘されているわけです。特に現場で研究される皆さん方は,そういうものを十分理解されて研究に取り組んでいると思うのですが,それにもかかわらず,両者の覚書に反して患者から同意のない検体を使用していた,これが大きな社会問題になってしまったわけですね。

 ですから,期待と不安がある中で,倫理上の十分な理解を持っているのかどうかが,基本的にまず一番大事ではないか。ここに3点の改善策をおまとめになったのは悪いことではありませんけれども,人間が人間である以上こういうことは起こり得る可能性があると思うので,この3つの改善策の前に,倫理の重要性について皆さんがどのように理解されているのか。まず,その基本的な考え方をお伺いしたいと思います。



◎(大場事務局長) きょうは医学部の教員の方々も見えております。後ほどお話があるかと思いますけれども,人間を対象とする分野でございますので,その一番のベースにあるのは倫理でございます。これは医学教育の中でも中心的課題として行われてきたと思いますし,現在も学部生,大学院生のカリキュラムを通じて,そうした面での教育が重視されていることは事実でございます。

 しかしながら,研究が非常に新しい分野に突き進んでいる中で,研究と倫理の問題のきちんとしたバランスを崩しがちなことがままあるわけでございまして,今回の遺伝子解析については,研究の方に意識が優先してしまって,一番肝心な倫理の問題がおろそかになってしまったことは事実であろうと思います。そうした点について,実践的な立場で言うと,きちんと地についた形で倫理教育が行われていなかったことは反省しなければいけないだろうと思いまして,医学部長以下,また病院長も含めて,医の倫理という問題についてきちんとしたカリキュラム,あるいは今後の研修体制を含めて再編成しながら,もう一度原点に立ってやっていこうと皆さん方が決意を新たにしたと私は受けとめております。



◆(花上委員) 事務局長のお話はわかりましたが,医学部長のご見解はいかがですか。



◎(奥田医学部長) 今までの分子生物学あるいはヒトゲノムの発展,研究は,予測をはるかに上回る急速なスピードで行きましたために,むしろ我々は研究の方をそれに追いつくよう必死でやっておりましたが,教育も,ヒトゲノムあるいはその検体に関する事項というのを充実していかなければならないという反省点は私どもも非常に持っております。そういうことに対する学生教育あるいは医師の教育を今までよりも数倍,今後しっかりやっていくことを,今回我々医学部全体の問題としてとらえ,その方面の先生方のいろいろな知識あるいは我々の体制を数段アップさせ,今後の医学教育,もちろん研究面も含めて,さらに増強し,精魂を込めて邁進していこうと決意しているところであります。



◆(花上委員) クローンの研究も世界的に波紋を広げて,クリントン大統領もその懸念を表明したということもあったようですけれども,予測を上回るスピードでこの分野の研究が進んでいるというお話は,ある面では期待がますます大きくなるという面と,予測を上回るスピードであるがために教育がおくれてしまうというお話を聞くと,不安も増幅してくるところがあるわけです。まして,これが人体に大きな影響を与えて,生命科学全体に大きな影響を及ぼすことになってくるわけですから,当然心配が出てくるわけです。

 そこで,倫理について新たな取り組みを行って,この問題が発生しないように改善策をまとめるのはいいことです。しかし,ではこれだけ3つの改善策が実行されれば本当に十分なのかということになってくると,我々は素人ですからよくわかりませんけれども,専門家の立場で,本当にもうこういう問題が起きることがないのかどうか。このあたりに不安があるわけですけれども,ヒトゲノム・遺伝子研究についての倫理の取り組みという,世界的な水準から比べても最先端を行っているのかどうかについてはどうなんでしょうね。



◎(窪田医学部教授) この規程を制定するに当たりまして,国の3省の指針を参考にさせていただきました。それは,全世界的に見てかなり厳しい視点に立っていると思いますが,横浜市の規程の場合は,ゲノムの範囲をさらに広げまして,それを包括する規程を今回つくらせていただきました。そのことによりまして,審査と,それの実行に当たってさらに監視する体制をしっかりつくり,少なくとも私どもは厳しい体制でやっていくという決意でおります。



◆(花上委員) 今のお話を伺って,世界的にもハイレベルな改善策というふうに受けとめますけれども,ただ,先般アメリカの理化学研究所の研究員がああいう形になったという事例もあるので,日に日にこの分野の研究が進んでいる状況で,しかも国際的な競争が大変激化する中で,こういう問題がどんどん出てくる可能性があるのではないかという心配があるわけです。日本の中でも,横浜市大と理化学研究所が連携して,この分野の研究で最先端の取り組みを行っているということですから,日本国内ばかりではなくて,世界的にも非常に注目を集めているのではないかと思います。また,それだけに,この横浜市立大学からこの種の問題が発生することを我々としては非常に懸念するんです。そういったことは,この3つの改善策が実行されることによって,まず起こり得ないと受けとめてよろしいのかどうか,再度御回答をお願いしたいと思います。



◎(大場事務局長) 私どもは,そういうケースに至って,それを推進するためにこうした3つの柱を今回構築したわけでございます。しかしながら,人間が扱う研究でございますから,心の緩みなどが出てこないとは限りませんので,医学部だけでなくて,全学的に絶えず引き締めながらやっていく必要があるかと思います。同時に,研究が世界一流のことをやるだけでは困るわけでございまして,倫理も一級品でなければいけませんので,そういうつもりで全学的に,医療安全と同じように,意識の徹底を今後図っていく必要があるかと思っております。



◆(花上委員) もう一度医学部長に確認しますけれども,研究成果を上げなければならないという中での取り組みですから,こういう研究を進めていく上で,倫理の問題とのはざまで悩むことも現実問題たくさんあろうかと思うんです。倫理上の問題があるかなと思うときの判断は最終的に人間である研究者が決めなければならないということですけれども,その研究者に対して医学部全体でしっかりとフォローする,注意し合うというチームワークも重要ではないかと思います。このあたりは何か工夫はあるんですか。



◎(奥田医学部長) 先ほどから申し上げておりますように,我々は,現時点の規約や規程は,3省の指針を遵守して,もちろん国内では最も厳しい規程で今回臨もうと。さらに,今まで少し厳密でなかったいろいろな検体,リンパ球だとか,ほかの血液の昔からの検体というのにも厳しい倫理規程を新しく設けます。今まで年2回くらい開かれておりました倫理委員会を隔月に,しかもゲノムのところもまた別にやりますし,外部の高名な先生も含めて外部評価委員会も新たにつくって,いろいろ御助言いただくような形をとりまして,今のところ我々は,国内で考えられる最もレベルの高いシビアな状態で,倫理の面もしっかりやっていこうと思っております。また,学内でも,今まで既にそういう先生が来て講演会をしていただいたり,私も,例えば8月7日ぐらいに全教員を集めまして,しっかりやっていきましょうということをいろいろ末端にまで行き届くようにやっていきたい。そういう勉強会あるいは指導者会議を頻繁に開きまして,規程だけではなくてその辺を浸透させるように,我々も全力でやっていきたいと思っております。



◆(花上委員) 今の奥田先生のお話を伺って,本当に安心しました。いずれにしろ,だれもがひとしく重要性を認めている分野の研究ですので,ぜひしっかりと取り組んでいただくように,これはお願いしたいと思います。



◆(田野井委員) この諸規程が整備されて,今,奥田医学部長からいろいろ説明を受けたわけですが,その中で私は,ヒトゲノム・遺伝子の研究は,不幸にして病に倒れた人たちが一日も早くというふうに,横浜市民は本当に市大の医学部に大きく期待していると思うんです。そういった中で,規程はできたけれども,先生方が1人何役の役割を果たしている,これは私に言わせれば,いろいろな意味でミスが出てもやむを得ないような状況があるのではないかと,現場を何回も見せていただいた中でつくづく思っているんです。先生方は医学部の学生の指導も,研究も,長時間の手術もする。体力戦を辞さないような形の中で,事務職員もどうなっているのか,それに対する適材適所の人員配置がされているのか。この辺の諸規程を整備しなければ,実際の毎日のハードな,市民に対するいろいろな課題もあるわけですから,そういった意味合いで,医学部長として逆にこういうところが欠如しているというものはあるかどうか,お聞かせいただければと思います。



◎(奥田医学部長) 田野井委員がおっしゃるように,1人の先生が非常にいろいろなことをこなす。やはり相当無理もあるとは思っております。例えば,事務や秘書みたいなものも全部1人の先生がこなしたり,我々教員サイドといたしましては,研究も教育もしっかりやっていく。しかも2病院ありますし,やはり医師の数も,あるところには少し増員していただくとか,そういうこと。あるいは,我々医学部の講座制を見直して,臓器別といったものを色濃くして,新しい形の医学病院あるいは医学部にしていきたい。人員的にどうしても足りないというものも非常にあるところはあるんです。そういうことについては,議会の先生方にもいろいろご検討いただいて,私が先ほど言ったようにもう少し医師もふやしていただかなくてはいけないという部門も出てきておりますので,その辺,もう少し詳細にわたっては,先生方にまたご説明したいと思っております。



◆(田野井委員) まさに時代は,聖域なき構造改革,機構・システムの再構築,市大でも同じことだと思うんです。そういう中で,奥田医学部長が言われたように,現場の悩みというものを私たちも知りたい。また,本当にいい環境で,いい状況で,確かに病室はすばらしい。しかし,それに対して先生方があれだけのハードな仕事をこなしていく中での環境づくりも,私たちは逆に問題点の中で指摘する。あと,マスコミの過剰報道があるのは私もわかります。しかし,人の健康と命を守るんだという気概を持って,市民が一番頼りにするんだという部分の中で,ぜひそういったいろいろな意味合いの中での意見もお聞かせいただき,横浜は医療先進都市であると,文明開化の地であるという形の中で,医学も横浜から逆境をてこに再度大きく前進してもらいたいなと,こんなことでございます。



◆(石井[義]委員) こういう規程をつくっていただくのは大変結構だと思います。それで,フロー図の中で若干伺いたいと思いますが,諮問して,審議結果の通知が戻ってくる中で,研究の許可または不許可という決定がなされる。それには,ある程度の基準がなければいけないわけでございますが,その辺の基準となるものについてはどのようにお考えなのか,まずそれを伺います。



◎(窪田医学部教授) ヒトゲノム・遺伝子研究の倫理審査の基準に関しましては,国が出しました3省のゲノム・遺伝子の倫理規程にのっとるわけですが,患者さんあるいは検体提供者への説明と,それに対してちゃんと理解した上での同意を得ること,それから,それが分析された後,あるいはその検体そのものが個人情報として外へ出ていかないよう守るということで,匿名化あるいはコンピューター管理等データの厳重な管理を最も重視して行っております。そういう観点から特にやりまして,先ほど申されました,全くこれでは問題ないかというものはもう一度考え直せということですし,その辺の理解が得られていないところは,1人1人呼びまして理解させて,そして,それでなければ研究は進めてはいけないということで審査を行っております。



◆(石井[義]委員) その辺が最も大事だろう。その辺のチェックが本当になされなかったら何の意味もない。参考資料の管理及び活用という部分でも,検体提供者及びその家族並びにその血縁者の尊厳と人権を尊重し,提供者の善意に敬意を払いと書いてございます。この一線はあくまでも超えてはいけないのだろうと僕らも思うわけですが,その申請の中で,特例云々という問題がもう一つありますが,どういうことを言っているのか。この辺の基準は,第26条に関連するんでしょうか。



◎(窪田医学部教授) この特例に関しましては,特に今の個人情報の保護,個人の尊厳にかかわるものを超えるとかいうことはございませんで,事務手続上の特例でございます。何かあった場合に,その中止をどういうふうに勧告するか,そしてそれをどういうふうにするかということの特例であります。



◎(斎藤医学部事務室長兼附属病院管理部長) ただいまご質問のあった特例の件,特に26条の特例は,ほかの研究につきましては許可ではなく承認ということで行っておりますけれども,ヒトゲノムに関しましては許可という制度を新たに導入いたしました。基本的には許可を得なければ実施できない,禁止という規定でございますので,ほかの研究に比べて一段と規制を強めているという意味でございます。



◆(石井[義]委員) その辺の特例というのは,言うならば許可ということの意味を指しているんですか。そして特例と書いてあるのは,その特例そのものは何なのかを聞いているわけです。



◎(斎藤医学部事務室長兼附属病院管理部長) ほかのものは病院長が倫理委員会に諮問して,その結果を得て病院長が決定することになりますけれども,ヒトゲノムに関しましては許可を前提にしていますので,すべて医学部長に一元化いたしまして,医学部長のところで管理していくといいますか,学部全体に一元的に間違いのないようにやっていくという意味での特例でございます。例外的なものを認めるという意味ではなくて,むしろ規制を強め間違いのない方向で行っていく意味での特例と御理解いただきたいと思います。



◆(鈴木[喜]委員) このようにシステムができて,原則も明文化されて,評価するところです。そういった意味では,これから実効性が問われるところで,先生方が現場の中で,臨床医の方も目いっぱいやっている中で,検体に対する原則を守りながら,連絡を密にして,そういった形でのシステムをつくっていこうということで,こういうフロー図ができたんだと思うんです。それについては非常に私どもは評価しているところですし,こうして明文化されたことが明確であるということがまた必要であると私どもも思っております。

 ただ,ある意味では研究倫理指導者が現場レベルで指名して学部長が任命することになっているわけですね。それだけに,逆に言うと学部長が非常に大きな責任を背負う覚悟の上で責任体制もきちんとしたんだろう。かなり責任体制に対するものが明確に出てくるわけですよね。そういった意味では,指導するにしても,改善させるにしても,任命しただけではなくて,倫理指導者がきちんと指導できる立場であるということがすごく明確にフローの中には位置づけられているわけだけれども,そこがかなり僕は重要だと思うんです。そこのところがきちんとその権限も持たないと,責任は上の任命者が全部食うわけだよね。逆に言うと,きちんとした教育・研修がすごく重要だと思っていますし,重症の方たちも含めて大変な人数がいるわけだから,それに徹するということは,忙しい中でそれにもかなり時間を割かなければならない。これについては,今後の問題だけれどもこのフローに入って,言葉だけではなくて,どのぐらい研修をやるのかというものも,今想定している中でのお考えがあったら言っていただくと我々も理解しやすいので,医学部長,その点についてはどうですかね。



◎(奥田医学部長) 鈴木委員がおっしゃるとおりでありまして,私どもとしては,原則として毎月1回ずつ,この会議をやって勉強していっている。そして権限も,私のところの直属のような形で,そういうことがあったら私が責任をかけて指導するという形で臨みたいと思います。

 それで,先ほど田野井委員が質問なさったことにも共通するんですが,日本一進んでいる理化学研究所と連携大学院をやるに当たりまして,研究も日本一,それに伴っていろいろな目配りもかなりやったり,しかも臨床もそれに還元するように,ぴか一のものを出していかないと,先生方がいろいろ期待しておられるような横浜市大医学部にはならないものであります。研究者・指導者会議にいつも出ていたり,研究も理化学研究所へいつも行っていたり,もう少し教員とか人とか,我々としても,ほかのところはスクラップ・アンド・ビルドということでチェンジできることはしてその上で,新しい分野というのはどうしても少し人的な要求もしないと,それにもこたえられる成果を出せないのではないかと,田野井委員が御指摘くださった点は非常に危惧を持っているんです。私がそれで,ではどれほど勉強させるかというのを毎月1回原則としてやって,私の直属として,私はしっかりこの点もやっていきたいと思っております。



◆(鈴木[喜]委員) 倫理というのは,基本的には同じかもしれないけれども,医学の発達とともに社会の倫理観も変わってきているわけです。各学会が研究されて,それに対して倫理の問題が必ず絡んでくる状態ですよね。だから,確かにそういうところも出なければいけないし,いろいろなことがあると思うんです。その辺の社会現象的なところも含めて,いかに情報をリアルタイムで入手できるようなシステムをこしらえるかも,この倫理委員会にとっては重要な役目だと思うんです。そういった点についても,ぜひ御配慮を得て,医学部挙げて改革に頑張っていただくよう要望して,私の質問を終わりたいと思います。



◆(花上委員) 先ほど田野井委員の発言をきっかけにして,奥田医学部長から再三にわたって医学部の人的な問題についてのお話があったことは,私は極めて重要な話だと受けとめるんです。今の人的な配置の中で研究も行い,学会を初めとするいろいろな活動を行ったり,あるいは臨床をやらなければならないという内部のことは我々としては余りよくわからないですけれども,世を挙げて構造改革だと先ほど田野井委員が言われて,聖域なき構造改革は医療の分野も当然その対象になるだろうと。医学部長もスクラップ・アンド・ビルドというお言葉もお使いになりましたが,内部で改善,改革を積み重ねても,なおかつ医学部としての使命を遂行していくためには,新たな人員というものが必要になってくるだろうというように受けとめたんですけれども,それはそういう受けとめ方でよろしいですか。



◎(奥田医学部長) ぜひそう受けとめていただきたいと,私はそう思っております。



◆(花上委員) そういうお話になると,事は非常に重大ですね。我々もこれだけの倫理的なことを求め,市民全体も倫理的にハイレベルな取り組みを求めていながら,一方で今のような内部の悩みや苦労のお話を伺うと,ただこの点だけしっかりしなさいよということではなくて,横浜市立大学医学部全体にかかわる体制をどう考えるかという点に踏み込んでやらないと,議会としてもその役割を十分果たさないような気がしてきたんです。そうなると,今度は事務局の方も頭を抱える問題だと思います。これについては,きょうここがどうこうという話にはならないと思いますけれども,今のお話を聞いた以上は,このままそうですかというわけにいかないと思うので,改めてこういう話をする機会を持たなければいけないのではないかと思うんです。これは学長に伺った方がいいのか,事務局長に伺った方がいいのかわかりませんが,そのあたりのお考えを聞かせていただけますか。



◎(大場事務局長) 医学部につきましては,他の学部と若干異なった歴史的な発展形態がありまして,御存じのように講座制という形で,医学部の中に教育のベースができておりまして,各講座ごとに専門分野を,教育と研究と診療という3つが一つのバランスを持ってやってきているわけでございます。講座自体が長い歴史の中で移ってきておりまして,現在の新しい社会事情の中で適用できるかどうかという点も一つの大きな課題になってきております。これは先ほど奥田医学部長からお話しいたしました。ですから,医学部の問題につきましては,これまでの仕組みの問題と,新しい需要の問題と,人員も含めてでございますけれども,それに対する体制が非常に大きく絡んでくることは事実でございます。

 ただ,制度的な問題もありまして,横浜市単独で講座制が動かせるという問題には,制約条件がもちろんありますし,教育公務員特例法という法律の枠内の問題もあります。そういうようないろいろな状況の中で,やはりバランスをとって今までやってきておりますが,幾つか今のような倫理の問題とか新しい課題が出てきておりますので,この辺をどういう形で新たな体制の中に組み込むべきかということが大変重要だろうと思っております。そういう意味で,私どもとしても昨年来,医学部の新しい教育・研究・診療のバランスある体制をどうしたらいいかということについては,今研究を進めているところでございます。



◆(花上委員) 非常に大事な話だと思うんです。教育・研究・診療ですか,そうした横浜市大医学部としての取り組みを進めていく中で,今までみたいな形では非常に困難だという奥田部長のお話があります以上は,やはり機構改革も含めて新たな時代に対応した組織づくり,人的な配置を考えていかないと,これは本当の意味でのバランスのとれた新時代の医学部にはならないのではないかという気がしてきたんです。詳しい内容はよくわかりませんので,後日そちらの方でいろいろ議論,検討していただいて,その結果をまた議会にもお知らせいただければと,きょうのところはそこまで申し上げておきます。



◆(川辺委員) 今のに関連するかと思うんですが,人的な問題とか時間的な問題の中で,倫理委員会を含めて4つの委員会があるわけですね。こういった中での人的な問題,さらには時間的な問題をどうクリアしていくかが大変だと思うんですが,こういった人たちに必ず出席してもらわなければいけないんだけれども,こういった時間の割きぐあいについてはどう対処できるんですか。それとまた,どのぐらいの検体を数的な問題として考えていられるのか,この辺も含めてお願いします。



◎(大場事務局長) 検体につきましては,研究内容によって必要なサンプル数が決まってくると思いますので,それに応じたそれぞれの対応ということになってくるかと思います。

 体制でございますけれども,この倫理委員会等の実質的な審査あるいは審議,これにつきましては,もちろん教員のほかに事務室が一体となってやっていただく形になろうかと思います。ですから,事務処理的な問題はできるだけ事務室でやるということになろうかと思います。この辺については,これから滑り出しますので,できるだけそうしたフォローアップはするように,私からも医学部の事務室の方にはそういう形で指導していきたいと思っております。



◆(川辺委員) 検体の数によってそういった委員会が開かれるわけで,数的にどのぐらいのものを求めるかによっても,この委員会の開かれ方はおのずと違ってくるんですが,そういった中で,先ほど言ったように人的な問題,時間的な問題の部分が出てくるわけです。その辺を含めてどうあるべきかというものがもう少し明確に伝わってもらわないと,簡単に,いいのかなという話になってしまうんです。その辺がまだまだ見きわめができないという感じがあるんですけれども,今後の課題だろうと思います。



◆(田野井委員) 今,花上委員,川辺委員からもありましたけれども,時代背景の中で,今医薬分業になりました。その辺,薬剤師さんの適材適所の配置はどうなっているのか。片や,本当に何役もやるということは素人目にもわかるわけですから,そういった意味合いの中で,川辺委員が言われるようにここがポイントだと私は思うんです。そういった形の中で,まさに機構・システムを再構築していかないと,せっかくのものができても機能しないと何もなりません。こういう時代背景の中で,人をどんどんふやすというわけにいきませんから,いずれにしても適材適所の人員配置,そしてミスがないような形の中で,逆の人的なシステムを構築していくことが大事だと思います。そういったものも私たちにも知らしめていただいて,この委員会として前向きに,大いにその辺を論議していければと,こんなふうに思います。意見です。



◆(手塚[勇]委員) 患者取り違え事件以降,たび重なるこういう事故が続いているわけですけれども,ほかの医者に聞いても,こういう事故は考えられないと言う人もかなり多くいるんです。それで,こういうシステムや審査会ができても,先ほどの話にありましたように,委員なり審査会の人たちが大変な過重で,十分それが機能発揮できないということがあっては機能しないと思うんです。そういう意味で1つ伺いたいのは,いつも重要な視点で言われるインフォームド・コンセントは,得ることが難しいのかどうかというのはどうなんでしょうか。



◎(奥田医学部長) 例えば,手術をやる先生方は,手術をやるのに全力でいろいろ考えています。それで,ほかの研究をやっておられる先生も,今までまず最優先に考えていましたのは,こういう手術をこういうふうにやるということを患者さんにわかっていただくというのが,インフォームド・コンセントで一番大切なことだったんです。それと,片や医学の新しい進歩があって,こういうことを持っていったらたまたま抜けるということも不幸にしてあったわけなんですが,これからは絶対そういうことのないように,一人の患者さんを診る先生方がコンタクトしている時間は,今までより非常に多くせざるを得なくなっていることは事実だと思います。だから困難だということは言っておりません。これからそういうものも含めて一生懸命にさせると,そういうふうに私どもは思っております。



◆(手塚[勇]委員) 素人考えですけれども,今回の場合はある手術した部分を研究に使うとか,それを資料にするわけですから,患者さんに説明して,それを研究に使うということは,僕はそんなに難しい話ではないのではないかと思うんです。インフォームド・コンセントそのものが非常に大変で,それをやっていると研究がおくれてしまうということではないと思うんです。そういうことすら抜けてしまうというのは,指導する教授や指導者に本当に倫理観があるのかと疑いたくなっちゃうわけです。だから,学生や助手,大学院生に倫理観を教育するのは当然のことでありますけれども,それを教育する立場にある人たちにも,厳しい認識がこれから必要になるのではないかと思うんですけれども。



◎(奥田医学部長) おっしゃるとおりでありまして,我々は今後そういうことのないように,教員,学生,今までの数倍そういう検討をする,あるいはそういう研修会みたいなものを重ねていきたい。

 もう一つ,今は研究,診察,手術が分化してきております。こういうことがないように,やはり形も整えていかないといけないんですが,一つのことに対していろいろなことを考えている先生もおられたりして,それで不幸にも新聞に出るようなことがありました。一人の人が一人の患者さんについてやるのなら,そういう間違いは絶対あり得ないのですが,我々は決してそういうことをおろそかにしていたつもりはなかったのですが,不幸にしていろいろな新しいことが分化してやっていく時代が少し出てきたもので,そういう観点に立ってさらに厳しい指導は必要だと痛感しております。



◆(手塚[勇]委員) そのことは十分わかるんですけれども,ただ,先ほどほかの委員からも言われているように,そういう規程や審査会ができた。しかし,物理的にそれが十分機能を発揮できない状況にあるならば,それを正す努力も必要だと思います。これは私の意見です。

        (委員長交代)



◆(菅野委員) 最後に私の方から1つだけ。

 今度,外部評価委員会規程の制定ということで先ほどお話がありましたけれども,御自分たちの中だけでなくて外部からもきちんと適正に評価を受けようと。大変結構なことだと思います。こういうことがますますこれからは必要な部分だと思うのですが,ただ,ある意味では勇気が要る部分だとも思います。これは,どういうシステムといいますか,考え方としてはその都度やるのか,基本的な考え方をお聞かせください。



◎(斎藤医学部事務室長兼附属病院管理部長) 今御指摘がありましたように,外部評価委員会は研究の透明性や公正性の確保を,内部からだけではなくて外部の方にも点検をお願いしようという制度です。倫理委員会で承認を得ますと,恐らく年間を通しまして数十件あるいは100 を超える数があります。それが実際に計画書に従って実施されるわけですけれども,実施された途中で評価委員会の方に年に2回なり3回なり実地においでいただき,計画書どおりになされているか,インフォームド・コンセントがきちんととられているかを第三者の立場で評価していただいて,助言していただき,正すべきことは正していただきたいと考えております。



◆(菅野委員) これで最後にしますけれども,ここでは一応システムとしては,医学部長の委嘱でヒトゲノム遺伝子研究倫理外部評価委員会。今度はそれを医学部長が報告を受けてやっていく。問題は,評価してもらって,評価を受けて,これを適正にとらえた中で,どういうふうに改革していくか。それを受けて改革できるか,できないか。この辺だと思うんですけれども,そこら辺の奥田医学部長のお考えをお聞きしたい。



◎(奥田医学部長) ヒトゲノム遺伝子研究倫理外部評価委員会より立派な助言をいただいて,私が医学部長として各教授会あるいは指導者会議とかにおいて強く指導していくという形を,自分の職務をかけて邁進するということを思っております。

        (委員長交代)



○(菅野委員長) それでは,ほかに発言もないようですので,本件についてはこの程度にとどめます。

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△横浜市立大学医学部附属2病院における医療安全管理について



○(菅野委員長) 次に,横浜市立大学医学部附属2病院における医療安全管理についてを議題に供します。

 当局の説明を求めます。



◎(大場事務局長) 続きまして,議題2の附属2病院における医療安全管理について御説明させていただきます。資料2の1ページをお開きください。

 まず,医療安全管理の組織体制及び安全管理の推進のための委員会活動について御説明いたします。

 平成11年1月の患者取り違え事故の後,事故の再発防止,医療安全管理の確立のために,附属病院のみならず全学的に検討を行い,体制整備を進めてまいりました。医療安全管理の組織体制でございますが,両病院にそれぞれ統括安全管理者,安全管理指導者,安全管理者を置いております。

 統括安全管理者は,2名の副病院長のうちの1名を平成12年4月に任命いたしまして,病院の医療安全管理の推進責任者として位置づけております。統括安全管理者のもとに医療安全管理室を置きまして,安全管理指導者と2名の安全管理担当係長を配置しております。

 安全管理指導者は,統括安全管理者を補佐して,病院の医療安全管理全般にわたる指導,改善指示,職員研修の企画等を行うものでございまして,我が国で初めての医療安全管理学の教員であります教授と助教授を充てております。安全管理指導者は,医療安全管理についての学生教育も行っております。

 安全管理者は,いわゆるリスクマネジャーと呼ばれるものでありまして,医療安全管理に関する職場点検,業務改善,教育・指導等を行っております。平成12年4月から医療安全管理室に看護職と薬剤師の2名の安全管理担当係長を配置いたしました。

 なお,診療部門などの各部門にも安全管理者を置いております。安全管理の推進のための委員会といたしまして,安全管理対策委員会とリスクマネジャー会議を毎月1回から2回程度開催しております。

 次に,2番目のインシデント報告のシステムでございますが,これは,医師や看護婦などの医療従事者が,病院の日常業務の中で医療事故につながりかねないと感じた出来事を報告し,その情報をもとに事故を未然に防ぐための改善策を確立していくシステムとして実施しているものでございます。インシデントの報告や改善提案は,各部門のリスクマネジャーから医療安全管理室に報告され,安全管理対策委員会とリスクマネジャー会議での討議を通じまして,改善策の検討や評価,改善のための指導や助言,他病院や海外の医療安全管理情報の提供と周知などを行っております。

 2ページ目をお開きください。

 ただいま御説明いたしました,附属2病院の安全管理体制を図にしたものでございます。

 次に,3ページの医療事故の公表について御説明いたします。

 まず,医療事故の公表の意義についてでございますが,患者取り違え事故という重大な医療事故を起こしました附属病院の責務であります。また,医療事故を公表し適切な対応をとることは,公立病院としての附属2病院の社会的な責任であるとともに,このことによって病院運営の透明性を高め,市民の皆様からの信頼回復が図られるということ,さらに,医療事故を公表することは,他の病院の医療安全管理にとっても重要な情報提供になるという3点があるものと考えております。

 医療事故の公表基準についてでございますが,ここに掲げました3つの項目のいずれかに該当する医療事故が発生した場合は,患者さんと御家族の同意のもとに,これを速やかに公表することといたしました。

 第1は過失による医療事故で,死亡されたり深刻な病状悪化など患者さんに相当の有害な結果を生じた場合,第2は過失による医療事故で,有害な程度が軽微であっても医療安全管理上重大であると判断される場合,第3は患者さんに相当の有害な結果を生じた医療事故で,過失によることが明らかでなくても,公表すべきと判断される場合でございます。

 医療事故の公表の判断と判定についてでございますが,公表の判断に当たって,病院長の諮問機関として外部の有識者,他の医療機関等の医師,市立大学教職員などにより構成いたします医療事故公表判定委員会を設置しておりまして,病院長の諮問により,その事故が速やかに公表すべき医療事故であるかどうか,患者さんのプライバシー,人権への配慮,社会に対する説明責任との比較考量などについて御審議いただき,御意見を伺おうというものでございます。

 参考といたしまして委員会の委員名簿をお示ししておりますが,8名の委員で構成しております。第1回の委員会を6月に開催いたしまして,医療事故の公表基準や,医療安全管理の取り組みについて御説明したところでございます。

 4ページをお開きください。

 医療事故が発生した場合の公表までの標準的な流れを図で示してございます。医療事故が発生した場合には,このような流れで病院長と市大事務局長とが連携をとり,随時協議を行いながら対応していくことといたしております。

 以上,附属2病院における医療安全管理について御説明させていただきました。



○(菅野委員長) 質疑に入ります。



◆(佐藤[祐]副委員長) 未公表でありましたカテーテルの取り残しがございましたけれども,昨年の大学教育委員会で5,000 だか6,000 だかあるというお話を聞いておりました。具体的にカテーテルを持ってきていろいろ御説明もいただきましたが,その後,追跡調査をするというお話がありまして,委員会の中でも,これは大変なことだけれども,慎重に速やかにしっかり追跡調査してくださいという話をさせていただいたと記憶しております。その後どのようになったかだけお伺いしておきます。



◎(大場事務局長) 昨年公表いたしましたカテーテル取り残しの事故を踏まえての追跡調査ということでございます。平成3年に附属病院が福浦に開院いたしました。その時点から,中心静脈カテーテルを使用した患者さんが約5,000 人ございました。この人たちすべてを対象として年末から調査を開始いたしました。その結果,最終的に連絡をとれない方,例えば死亡されたり海外に在住されている方とか,行方不明になっている方等を除きまして,すべての調査が終了いたしまして,カテーテルの取り残しは1つもございませんでした。以上,報告させていただきます。



○(菅野委員長) ほかにございませんか。

        (「なし」と呼ぶ者あり)



○(菅野委員長) ほかに発言もないようですので,本件についてはこの程度にとどめます。

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△閉会宣告



○(菅野委員長) 以上で本日の議題はすべて終了いたしましたので,委員会を閉会いたします。

閉会時刻 午前11時14分

               大学教育委員会

               委員長 菅野義矩