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神奈川県 横浜市

平成13年 大学教育委員会 P.1  05月08日−04号




平成13年 大学教育委員会 − 05月08日−04号









平成13年 大学教育委員会



               大学教育委員会記録

◇開会年月日      平成13年5月8日(火)

◇場所         市会4階大会議室B

◇時間         午後4時02分開会

            午後6時09分閉会

◇出席委員       10人

  委員長    中川俊介君(民社党)

  副委員長   田中忠昭君(自民党)

  副委員長   加藤広人君(公明党)

  委員     佐藤祐文君(自民党)

  委員     角田和宏君(自民党)

  委員     吉原 訓君(自民党)

  委員     安藤和男君(民社党)

  委員     岡本英子君(民社党)

  委員     堀井和弘君(公明党)

  委員     中島明子君(ネット)

◇欠席委員        1人

  委員     手塚勇夫君(共産党)

◇傍聴議員    なし

◇出席理事者

 (市立大学)

  学長                 加藤祐三君

  事務局長               大場浪男君

  総務部長               池田輝政君

  医学部事務室室長兼附属病院管理部長  斎藤 勲君

  医学部附属市民総合医療センター管理部長

                     荻原信吾君

  医学部長               奥田研爾君

  医学部附属病院長           松原 升君

  医学部附属市民総合医療センター病院長 近藤治郎君

                            ほか関係職員

◇市会事務局

  議事課書記              大熊和子君

  調査課書記              梶原 豊君

◇議題

  市立大学関係

   1 市立大学医学部の共同研究にかかる問題の改善策について

開会時刻 午後4時02分



△開会宣告



○(中川委員長) これより委員会を開会いたします。

 欠席は手塚委員でございます。

 上着の着用は御自由に願います。

 また,午後4時からの開催については教授会との関係がございますので,あらかじめ御了承を賜っておきたいというふうに思います。

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△市立大学医学部の共同研究にかかる問題の改善策について



○(中川委員長) それでは,市立大学関係の市立大学医学部の共同研究にかかる問題の改善策についてを議題に供します。

 当局の説明を求めます。



◎(加藤学長) 市立大学医学部第2外科と理化学研究所との遺伝子解析研究にかかる問題につきましては,患者の皆さん並びに関係者の方々,それに市会の先生方を初め市民の皆様に御迷惑と御心配をおかけしましたことを,学長として深くおわび申し上げます。

 今回の事案につきましては,研究者としての基本的な研究姿勢を問われたものだと厳しく受けとめており,教育・研究に当たる教員として見過ごすことのできない重大な問題であると認識しております。一刻も早く市民の信頼を回復するため改善策に積極的に取り組み,かつ再発防止の実現に最善を尽くす所存でございます。

 また,文部科学省からも再発防止に向けた指導を受けていることや,理化学研究所との協力関係をさらに深めていく必要があるため,早急に再発防止のための改善策を取りまとめるよう医学部に指示したところでございます。

 本日,医学部としての再発防止策がここにまとまりましたので,今回の問題の経過につきましては事務局長から,そして再発防止の改善策につきましては医学部長から説明させることにいたします。



◎(大場事務局長) それでは,経過について御説明申し上げます。

 ヒトゲノムにおける医学部第2外科と理化学研究所との共同研究にかかる事案につきましては,医学部において3月27日に調査委員会を設置いたしまして,4月17日に調査報告書をまとめたところでございます。その調査結果につきましては,既に先生方に個々に御報告を申し上げているところでございます。

 医学部におきましては,その調査報告を踏まえまして再発防止に向けた改善策を取り急ぎ検討してまいりました。本日の医学部教授会において再発防止策がまとまりましたので,御報告をさせていただきます。

 医学研究に対する市民の信頼を回復するために,医学部においては教職員が一丸となって早急に再発防止策に取り組むとともに,事務局といたしましても,今後は教員と事務職員とのより適切な役割分担に基づくチェック機能の充実に努めるなど,二度とこうしたことが起こることのないように努力をしてまいりたいと思っております。

 再発防止策の内容につきましては,医学部長が引き続き御説明いたしますのでよろしくお願いいたします。



◎(奥田医学部長) 御説明に先立ちまして,今回の第2外科の問題では,患者さん並びに関係の方々,市会の先生方を初め市民の皆様に御迷惑と御心配をおかけしたことを,医学部長として深くおわび申し上げます。

 私は,今回の問題を単に第2外科の問題としてではなく,医学部全体の問題として重く受けとめ,再発防止に向けた改善策を講じてまいる所存でございますので,よろしくお願いいたします。

 それでは,説明させていただきます。

 お手元にお配りいたしましたヒトゲノム研究における倫理問題の再発防止策についての1ページをごらんください。

 今回問題となりました第2外科と理化学研究所とのヒト遺伝子発現に関する共同研究につきましては,平成10年7月,両者の間で覚書を結んだことを皮切りに,本格的なヒト検体を使った研究を平成12年1月から順次,大腸がん,乳がんなどの研究を開始していました。

 覚書の中では,研究対象を第2外科で手術を施行したものであること,インフォームド・コンセントの取得は第2外科が責任を持って行うことを定めておりましたが,実際は理化学研究所との覚書に反して,一部民間病院で採取した検体を研究に用いており,またインフォームド・コンセントのない検体も研究に用いていたことが明らかとなりました。

 詳細な調査結果につきましては,参考資料として配付させていただいております調査報告書のとおりでございます。

 この原因につきましては,研究チームのリーダーであった第2外科の助手がみずからもインフォームド・コンセントを得ないで検体を採取し研究に用いた上,大学院生への指導や関連病院への説明などが不十分,不徹底であったことにあります。

 また,インフォームド・コンセントなど人権の擁護に対する認識が十分でなかったこと,さらには総括責任者であり,覚書の当事者であった教授が,その指導・監督を徹底していなかったことにもあると考えております。この背景といたしましては研究優先の姿勢が見られ,人権擁護の認識が希薄であったことから,研究者としての資質や姿勢が問われているものと考えております。

 このため,再発を防止する改善策を検討するに当たりましては,第2外科のみならず医学部全体の問題として,1つ,人権擁護の視点から広くヒト遺伝子に関する研究に対する審査体制を構築すること,2つ,教授を初めとするすべての教員や学部学生,大学院生に対する生命倫理教育を充実すること,3つ,医学部における講座運営を改善すること,という3つの視点に立って検討,立案いたしました。

 それでは,具体的な改善策について御説明いたします。

 2ページ目をごらんください。

 まず,1のヒトゲノム・遺伝子研究における人権擁護の確立に向けた取り組みについてですが,国の3省倫理指針を踏まえ,人権擁護の観点からヒトゲノム・遺伝子を幅広く対象とすること,必要な規程整備等指導監督体制を整備すること,個人情報の保護,管理を徹底することを目指し,ヒトゲノム・遺伝子研究を適正に実施するため改善策を講じます。

 まず,(2)の緊急に実施する具体的改善策についてですが,アの研究計画の審査及び研究の適正実施のための体制の整備につきましては,現行の医学部倫理委員会を充実させ,この4月から施行された国の3省倫理指針よりも対象範囲の広いヒトゲノム・遺伝子研究を審査する倫理委員会といたします。

 具体的には臨床遺伝子診断,遺伝子診断研究,ヒト遺伝子研究及び体細胞遺伝子解析を審査対象とするものでございます。この委員会には審査の適正性や公正性を確保するため外部の有識者を構成員に加えます。これらの研究を行う場合には,研究責任者は研究計画書を作成し,医学部長にその許可を求め,医学部長は倫理委員会の意見を聞いた上,諾否を決めるという仕組みを構築いたします。

 3ページをお開きください。

 医学部倫理委員会の専門的審査部会として,新たにヒトゲノム・遺伝子研究倫理審査会を設置いたします。

 倫理委員会は,研究開始に当たって医学部長に意見を述べるだけでなく,実施中の研究に対しても,その研究計画の変更や中止などの意見を述べることができることとし,医学部長はこの倫理委員会の意見を尊重して研究責任者に対して変更や中止などを命令することができるようにし,チェック機能を強化いたします。

 次に,(イ)においては,ヒトゲノム・遺伝子研究倫理外部評価委員会を新たに設置し,研究の適正性や透明性を確保する観点から,遺伝子研究等が研究計画に従い適正に実施されているかを実地調査することといたします。

 さらに,(ウ)においては研究倫理統括者を医学部に置くとともに,各講座,診療科に研究倫理指導者を置き,これらの倫理面の責任者が随時点検・指導を行います。これらのことは,早期に規程を整理して6月から実施いたします。

 次に,イの検体の提供及び保存・管理の適正化についてでございますが,検体の採取,保存,管理は提供者の人権が最大限保障されている必要があるとの観点から,新たに要領を整備し,実施するものでございます。

 この要綱では,まず遺伝子研究などに使用する検体の採取及び保存・管理の原則を定めます。検体提供者の同意,検体の匿名化,そして検体受払簿による管理を,その内容といたします。

 4ページをごらんください。

 インフォームド・コンセントについては,検体の提供者に対して事前にその研究などの意義や提供者がこうむる可能性のある不利益,試料等の保存,使用方法や個人情報の保護などについて十分な説明を行い,理解を得た上で文書による同意を受けることとし,研究目的以外には使用できないことといたします。また,この同意は不利益を得ることなくいつでも撤回することができることといたします。

 (ウ)の個人情報管理者についてですが,試料または遺伝情報を匿名化するなど個人情報の保護を確立するとともに,(エ)においては既に保管している検体について遺伝子等の研究に使用する場合には,研究の事前に同意を取得することといたします。

 次に,ウの遺伝カウンセリングにつきましては,病院における診療の際などに相談者の立場から,専門的に不安や生活支援が行われるよう体制を整備していきます。

 (3)の今後さらに検討し改善する事項につきましては,人権擁護の観点から検討を引き続き行います。

 5ページをお開きください。

 次に,2の生命倫理教育の充実に向けた取り組みにつきまして御説明いたします。

 (1)の改善すべき方向についてですが,再発の防止に向け医学・医療にかかわるものは生命倫理,人権擁護に対して深い理解を有するのは当然のことであり,これをなくしては研究者としては不適格であることを医学部として改めて認識することを基本に,教員を初め学生,大学院生や研修医,メディカルスタッフを対象に生命倫理に関する教育,研修を充実いたします。

 (2)の緊急に実施する具体的改善策について御説明いたします。

 まず,アの教員の生命倫理教育への参加につきましては,今回の問題を真摯に受けとめ,生命倫理に関する認識が高まるよう医学部の教員すべてを対象とした生命倫理に関する研修を行い,徹底を図ります。

 次に,イの助手等の生命倫理教育への参加につきましては,大学院生博士課程で実施している大学院セミナーに生命倫理等に関する講義を加え,受講を義務づけ,再教育のシステムをつくることといたします。

 次に,ウの大学院生に対する生命倫理教育の充実についてでございますが,今回の問題における大学院生の教育を強化するため,先ほども説明いたしました大学院セミナーに生命倫理教育の講義を義務づけることといたします。特に,研究に従事する博士課程の大学院生におきましては,指導教官が実習形式で評価できるようにいたします。

 6ページをごらんください。次に,エの学部学生に対する生命倫理教育の充実につきましては,附属病院の取り違え事故以後,教育課程の充実を図っておりますが,さらに生命倫理に関する理解度を高めるため,教育方法の改善を図り,講義方式から討議方式を大幅にふやしていきたいと思っております。

 次に,オとカの研修医やメディカルスタッフに対する生命倫理教育を実施できるよう研修制度を整えます。また,キにおいては,学内外へ倫理に関する取り組みを周知するためホームページを活用いたします。

 (3)の今後さらに検討改善する事項につきましては,学部学生からメディカルスタッフまで一環した生命倫理に関する教育体制についてさらに検討いたします。

 7ページをお開きください。

 3の講座運営の改善に向けた取り組みについて御説明いたします。

 (1)の改善すべき方向についてですが,今回の事案は第2外科という講座の中で責任者等の管理・監督が徹底されていなかったなど,講座運営にも問題があったという認識に立ち,適正手続や研究の透明性・公正性の確保の観点から,講座運営を改善いたします。

 まず,(2)のア,講座における研究責任体制の確立についてですが,今回の問題が,講座の運営において発生したことから,改めて講座の責任者を明確にし,あわせて大学院生に対する指導,監督を徹底すべきものとしております。(ア)の研究責任者の指名についてですが,すべての研究の総括責任者である教授は,研究ごとに研究責任者を指名し,研究責任者は研究計画書を作成して教授の承認を得ることを義務づけるなど,講座における責任体制を明確にいたします。

 また,総括責任者のもとに研究計画書の作成と教授の承認など,研究のシステム化を図ります。

 次に,(イ)の講座と事務室の役割分担についてでございますが,研究における事務手続を明らかにし,その適正化を図るとともに,研究における事務室の役割を明確にしたものであります。

 8ページをごらんください。

 次に,(ウ)の教員に対する管理者研修等の実施についてでございますが,講座運営において教授などの管理職としてのスキル等を習得させるため,リーダーシップやマネジメントなどの管理者研修及び生命倫理研修などを行い,いずれも出席を義務化いたします。

 なお,この管理者研修については事務職員の管理職も参加することとします。

 また,特に生命倫理研修では,出席者にレポートを提出させ理解度を評価し,研修効果が不十分な者には再度の受講を命じます。

 次に,イの遵守事項,重要項目の徹底についてですが,教授会の決定事項などを効果的に講座内に周知徹底するため,文書等の取り扱いなどの重要性に応じた周知方法や対策をあらかじめ検討します。また,学部運営の透明性を確保し,活性化を図るため教員が幅広く教授会に参加できるようにするとともに,教授会決定事項に対して学部の構成員から建設的な意見が寄せられるよう新たな提言システムを導入します。

 次に,ウの協力病院とのパートナーシップに基づく連携についてですが,地域医療への貢献の中での各講座と協力病院との連携については,より透明性・公正性を確保できるよう具体的なあり方の検討を行うとともに,協力病院との共同研究や協力病院の検体等を活用する場合には,事前に研究計画等を明らかにした上で文書でこれらの申し入れを行うなどその手続の改善を行います。

 9ページをお開きください。

 エの教員と事務職員との役割分担・チェック体制の確立についてですが,教育・研究という組織目的が適正かつ効率的に達成できるよう教員と事務職員とがパートナーシップに基づく適切な役割分担を確立いたします。事務職員は,教員の円滑な教育・研究の適切なサポートができるよう諸手続の確認や諸規程の適合性のチェックなどの役割を担い,教員は適宜必要な情報を提供し,相互に密接な連絡調整を行い,協力して良好な教育・研究環境を整えるためにそれぞれ積極的な役割が担えるようにいたします。

 (3)の今後さらに改善すべき事項につきましては,研究の活性化と明確な責任体制の確保を両立させる方策や,教育・研究・診療のバランス並びにこれに対する評価のあり方などを今後引き続き検討し,さらなる講座運営の改善を目指します。

 以上,再発防止に向けた改善策の御説明をさせていただきました。今後,医学研究における生命倫理の確立,市民からの信頼確保に向けて医学部全体が一丸となって,緊急にこれらの改善策に取り組むことにより,より一層,地域医療へ貢献するとともに,医学水準の向上に寄与していくことを教職員一同強く決意しております。



○(中川委員長) 質疑に入ります。



◆(佐藤[祐]委員) 具体的なところを聞いていきたいと思っております。今回の事件というのは直接的には大学院生と助手が起こしたことでありますけれども,そういう観点からするとまず教育研究者としての資質の問題を指摘するのが必要だと思うんですが,大学院生になる基準はどうなっているのか。

 また,医学部の教授というのは総括責任者でありますし,最高の権威が必要であるわけです。生命倫理に関する教育というのも受けてこられているはずですが,同じように教授の選考基準はどのようになっているのかお伺いいたします。



◎(奥田医学部長) 前段の大学院生のことですが,博士課程で申しますと大学の医学部を卒業した者,あるいはこれと同レベル,大学院の博士課程などを卒業した人などが出願できるということになっております。入学者は,主に英語なんですが,語学と志望する専攻のそれぞれの専門科目により選抜し,大学院医学研究科委員会で合否の判定が行われる手順であります。

 その次、後段の教授の選考についての御質問ですが,大学において教授,助教授または専任講師の経験があり,博士の学位を有し,研究上,教育上それぞれ業績があると認められ,かつ10年の期間,教育または研究に従事した経験を有する者を対象として全国公募を行い,研究業績,研究歴,診療実績,学会活動,人物評価などを総合的に判断して評価いたします。



◆(佐藤[祐]委員) 今お答えいただきましたけれども,判断評価の中で生命倫理に関して何ら基準がないように思われるわけです。学長に伺いますけれども,医学部の教授にはどのような資質が備わっていることが求められていると思うのか。



◎(加藤学長) ただいま教授選考の手続と資格要件のような最低基準のお話がありましたが,私は教授として常に新しい知識とそれから高い医療技術,それが1つ。それから2つ目は,同時に大変豊かな人間性といいましょうか,自分に厳しい倫理観の持ち主であること。それに加えまして3つ目ですが,こういう分野の研究が急速に展開している時代でございますので,そうした多様化する社会環境,それから価値観を敏感に理解して適切な対応ができる,そういう資質を私としては求めていくところであります。



◆(佐藤[祐]委員) 医学部の教授を初めとした教員が高い倫理観を有することは当たり前のことではないのかなと思っていたわけです。そこで今回,教授や大学院生の倫理観などの資質の向上についてどのように取り組まれようとするのか具体的にお伺いしたいと思います。



◎(奥田医学部長) 今後,教育研究者としての資質向上には自己研さんをしていくことが重要と考えております。そこで教授,助教授,講師,助手には生命倫理をテーマとしたセミナーを実施し,参加を義務づけることといたします。また,大学院生に対しては,大学院セミナーにおいて生命倫理,ヒューマンコミュニケーション,インフォームド・コンセントなどを必須化し,その理解度の評価制度を導入してまいることにいたします。



◆(佐藤[祐]委員) 今回の問題では教授の管理体制,チェック機能が働かなかったというのが原因にあると言わざるを得ないわけであります。研究者が研究遂行のため手続や事務処理を軽視していると受け取られることにもあると思いますけれども,医学部長はどのように考えていらっしゃるのかお伺いいたします。



◎(奥田医学部長) 今回の共同研究につきましては,適正な事務手続に関する認識が希薄であったことを率直に反省すべきであると考えております。



◆(佐藤[祐]委員) 事務室と教員の役割という話も出てまいりましたけれども,今回の共同研究を例にするとどのように考えていられるのかお伺いしたいと思います。

 また,改善策に事務室と教員の役割分担がうたわれておりますが,研修において教員と事務職員の管理職も参加するとございますけれども,そのねらいは何なのかお伺いいたします。



◎(奥田医学部長) 共同研究における教員と事務室の役割についてでございますが,教員は研究を推進する役割を担い,一方事務室は研究が円滑に進められるよう契約や経費執行などの手続を担っております。また,教育,研修に事務職員が一緒に参加することにより相互理解と意思疎通が深まるものと考えております。



◆(佐藤[祐]委員) 次に,講座運営の改善に向けた取り組みというのがございましたけれども,いろいろ今お聞きしましたが,講座制のメリット,デメリットはどうなのかお伺いしたいと思います。



◎(奥田医学部長) 講座制は教授を中心とした教員,研究者の組織で,特定の研究領域における研究と教育の効果を高めるメリットがあり,医学教育の分野でも多く採用されております。

 一方,各講座がそれぞれの専門領域を主張し過ぎますと組織全体の運営に支障を来すなどデメリットが生じてくると考えております。



◆(佐藤[祐]委員) 今お聞きした中でも特定の研究目的には非常に効果があるシステムと考えられるんですけれども,教授,助教授,講師というように縦の関係が運営上強く見られまして,なかなか外部から見えにくいシステムと言われております。この辺についてはどのようにお考えなのかお伺いいたします。



◎(奥田医学部長) 御指摘のとおり,講座は教授を頂点にした教員の組織で,講座の構成員を中心とした教育研究活動がなされ完結していくという側面があることも否定できません。



◆(佐藤[祐]委員) そこで,具体的には講座制を改善していくお考えがあるのかお伺いしておきたいと思います。



◎(奥田医学部長) 医学研究を活性化することは,医学水準の向上を図る上には重要なことと考えております。そこで,講座制につきましては,研究の活発化の方向,方策及び研究,教育,診療のバランスや評価のあり方などの検討を進める中で議論を深めてまいりたいと思っております。



◆(佐藤[祐]委員) その見直しというのをぜひ検討していただきたい。これは強く要望しておきたいと思います。

 ところで,免疫アレルギーセンターの誘致,決定が先送りになっていまして文部科学省の厳しい対応が明らかになっているわけですけれども,今回の問題について文部科学省の反応はどうだったのか学長にお伺いいたします。



◎(加藤学長) 文部科学省は今回の事態について,適切なインフォームド・コンセントをとらずにヒトゲノム研究にかかわる試料を採取したということについて大変遺憾であるという表明をされております上に,1カ月以内に再発防止に係る万全の措置を講じるよう学長あてに指導,要請が来ております。



◆(佐藤[祐]委員) 1カ月以内にというお話がございましたけれども,今回の改善策はある意味では正直申し上げて,今までは当たり前のことなんじゃないのというふうに思っている部分もあるんですが,相当踏み込んで検討されたということもあると思います。そこで,今回の改善策について文部科学省はどのように受けとめていると考えていらっしゃるのか学長にお伺いいたします。



◎(加藤学長) 今回の改善策は,3省の倫理指針を踏まえて組織としては遺伝子研究倫理審査会を設置したこと,さらに対象を広くヒト遺伝子に関する研究に係る審査体制としたこと,その意味で3省指針より広く対象をつかまえており,それに関する具体的な改善策を準備できたと私は考えておりますが,この点で文部科学省から御理解をいただければうれしいというふうに思っております。



◆(佐藤[祐]委員) 今回の問題というのは市大にとっても非常に大きな問題でもあるわけですけれども,市民,あるいはいろいろな各方面に対して多大な迷惑をかけているわけです。特に市民の医学に対する信頼というのは大きく傷ついたんではないかと僕は思うわけです。今回の問題についてこれだけで決着つけようとするのであればこれは医学部の甘い考え方で大きな間違いになると思われるわけでございます。今回の問題に対してどのような処分を考えていらっしゃるのか,これも学長に聞いておかなければいけないと思うんですが,いかがでしょうか。



◎(加藤学長) 関係しました病院は研究に対する倫理意識が希薄であったかと,そしてその結果として市民の医学に対する信頼を損ない,かつ市大の名誉を傷つけたというふうに考えております。そこで厳正に対処するつもりであります。



◆(佐藤[祐]委員) 今,市大の名誉を傷つけたという話がございましたけれども,ある意味では市民にとっての市立大学だと思いますので市民の名誉も傷つけたんではないかと,僕は率直に申し上げたいと思います。

 きょうここでこのように改善策の御説明を受けたわけでございますが,既に処分内容について一定の結論が出されていると思うんですが,どのようになっていらっしゃるのかお伺いいたします。



◎(奥田医学部長) 教員の処分は教育公務員特例法の規定により決定されることになっており,現在処分の方向で手続を行っておるところであります。



◆(佐藤[祐]委員) そうしますと,決まり次第発表されるということでよろしいんですか。早急にいつぐらいというお考えがあるのかお伺いしたいと思います。



◎(奥田医学部長) 評議会で最終的に決定しまして,それから2週間の期間があり,それ以降に決定されると皆さんに御報告できるということです。



◆(佐藤[祐]委員) この1年間の中でいろいろな医療事故もございましたし,今回も教授会でこういう決定がされましたよと示されているわけですけれども,教授会あるいは教職員すべての方が今回の問題は自分たちが関係ないではなくて,自分たちを含めた問題だと受けとめて,今後信頼回復をしていくように努力するようにぜひお願いしたいということを申し添えて,これは意見で結構です。質問を終わります。



◆(堀井委員) 横浜市立大学の医療関係の問題については,先ほど学長,また大場事務局長,医学部長の方から,大変ゆゆしきことであり,また再発防止のために今後努めていくというごあいさつがあったわけでございます。加藤学長の先ほどのあいさつの中に,重大な問題として見過ごすことができないことであるとありましたが,恐らく身の切られる思いできょうの委員会に臨んでおられるんではないのかなというふうに思うわけです。

 そういう観点からきょうの奥田医学部長の御説明で,この事案を単に第2外科の問題として処理するのではなく医学部全体にかかわる信用の問題と受けとめていかなければいけないとありましたが,確かにそのとおりだと思うんです。第2外科の教授である嶋田教授に対する処分については,先ほどもしかるべき厳しき処置,対処のような感じで今考えておられるというお話があったように理解するわけですけれども,一連の問題からしまして,医学部として私は精神的に非常に弛緩しているんではないかと思います。だから本当に厳しき対処で行っていくことが今後の横浜市立大学の医学部の資質の改善にもつながっていくんではないのかなということを最初に感想として言わせていただきたいと思うんです。そういう意味からして,今回の重要な観点は,研究用の検体の採取に問題があったことは明らかである。まず,研究用検体の採取はだれがどのように行うかを伺っておきます。



◎(奥田医学部長) 研究用の検体の採取は,手術などの治療の場で治療を担当する医師が採取するのが基本でございます。



◆(堀井委員) 私の経験上なんですけれども,私の父親が胃がんの手術を受けるときに担当の先生の方から,いついつ手術を行いたいと,それで家族の方に来ていただいて内容を理解して合意をしていただきたいということで,それでよろしくお願いしますということでお願いするわけです。今の奥田医学部長の答弁からしますと,担当の先生が患者さんに対して研究用の試料として行いたいから了解を得たいという回答だと思うんですけれども,その前に手術するためにその了解を得なければ検体というか研究用のものについてつながっていかないわけなんですけれども,両方一緒に聞かれるのかどうかを伺います。



◎(奥田医学部長) もちろん現在手術をやる場合は,市大病院ではどういう場合でもここをこういうふうに手術しますと説明して,手術にとりかかります。我々は今後もちろん,出てきた検体につきましては,これをこういうふうな研究があると使わせていただくということをインフォームド・コンセントに入れてやっていく,手術の同意に合わせてとることにいたします。



◆(堀井委員) 手術の同意とそれから研究に関しての検体用の同意を,患者さんの状況によって手術だけの同意を得る場合もあるだろうし,または手術の状況,患者さんの臓器の内容によっては検体用の同意も得なければいけないということだろうと思うんですけれども,それは患者さんによって説明の仕方がそれぞれ違うというふうに理解していいですか。



◎(平原医学部教授) お答え申し上げます。基本的には,まず手術を受けられる方の手術の同意ということで,例えば臓器を手術でとらせていただく同意をいただきます。その折にあわせまして,もし研究ということがございましたら,診療で診断のためにその臓器は使わなければいけませんのでがんがどのぐらい進行しているのかということを判断する必要があります。そういうこと以外に使わせていただく部分がもしあれば,検体として使わせていただくという内容で同意をいただく場合がございます。

 ですから,基本的には手術のときに手術で診療をし,診療で必要とされたもの以外に使わせていただくという場合が生じた場合は研究として使わせていただくという意味合いの同意はいただいているところであります。基本的には同時にいただくのは原則だと思いますが,診療上必要としない臓器が残っていた場合には,後になって研究用として使わせていただけないかというようなことを患者さんに説明することもございます。

 基本的には,先ほど申し上げましたように,手術の前にとらせていただくと同時に,もし病状が合えば研究用に使わせていただくことをお許しいただくというような形の同意が原則でございます。



◆(堀井委員) 参考のためにちょっとお聞かせ願いたいのですが,今の御回答でかなり時間がかかることもあるのかなと思いました。私も体験上あるんですね。手術は当然お願いしなければいけないし,本当に心から家族一同が先生に対してお願いするわけですけれども,研究用なり検体に使うとなると,その説明もそれなりにやはりされて受けたときに,それだけは勘弁してもらいたいとか,それでもまた何としてもやらせていただきたいとかいろいろ議論があるんではないかと思うんですが,そういう中で断る例も中にはありましたか。



◎(平原医学部教授) これは全部を調べたわけではございませんので何とも言えませんけれども,一般的には手術の前に手術の同意というのを大変時間をかけて行うのが通常でございます。手術そのものに関しても治癒、あるいは手術によって失われるようなものとか,手術によって起こる出来事だとかいろいろなことをお話しするのは時間がかかります。

 それにあわせましてまたさらに検体をというようなお話ですが,これはその検体をどう使わせていただくのか、あるいはそのことによってどういうことが我々にとって必要なこと,あるいは得られたことというのもまたこれも時間をかけてお話しするのが通常でございます。私自身の経験では,それだけの時間をかけてお話し申し上げてお断りされたという方はいらっしゃらなかったですけれども,全体は正直申し上げて調べたわけではございませんのでわかりません。一般的には時間をかけてお話しすると患者さんの御理解はある程度いただけるというふうに思っております。



◆(堀井委員) 今回の調査報告書によりますと,231検体のうち161検体のインフォームド・コンセントがとられていないことが判明しているということがわかったわけですよね。今答弁をいただいて,助手の先生,大学の医師の資格を持つ大学院生,それで231検体のうちの161の検体が,いわゆる合意を得ないで検体であった。絶対人間ですから医術の場に従じる教育を受けた医師の立場の人が生命倫理の欠如とか人権擁護の無視ということは言いがたいと思うんですよ。今のようなやりとりをしている中で,手術の了解を得ることはお願いしたことですけれども,検体についてのお願いについてはそれほど重みを置かなくて,了解を得なくても臓器をとって,大学病院にお世話になっている患者さんは大学に少しは協力してもらってもいいんではないかというような感じもあるんではないかなと。これは感じですけれども,その辺の状況から見てどのように起きたのかということをちょっとお聞きしたいんですけれども。



◎(平原医学部教授) ただいま先生の御指摘がございましたようなことは,少なからずあっただろうというふうには感じております。かつて大昔は,医療行為の中に例えば研究に使うということもある意味含めて患者さんには手術をすることに同意をいただいていたというふうな時代が確かにあっただろうと思います。ただ,現代に至りましてはそういう物の考え方よりも患者さんが中心であり,患者さんに手術を受けていただくに当たっても,あるいは我々が研究するに当たっても患者さんの御理解をいただくのがまず第一でありまして,そのあたりの意識が多少なりとも欠けていた部分もあっただろうと思います。先生の御指摘のとおり,私どもも反省しております。



◆(堀井委員) 奥田医学部長の説明の中で,報告の共同研究の体制で5ページですか,共同研究の総括責任者であり,覚書締結当事者でもある第2外科の教授は覚書の履行とインフォームド・コンセントの重要性を意識していたが,実際の研究遂行はチームリーダーであった助手に任せており,これが研究チームに浸透しているものと思い,みずから研究従事者や検体採取者に対する指導監督を徹底していなかった。

 また,この研究チームのリーダーであった第2外科の助手らは,インフォームド・コンセントの重要性を意識していた旨証言しているが,みずからもインフォームド・コンセント取得の徹底ができず,実際に同意書を得ていないなど手続面において不備があった。こういうことで嶋田教授は助手または大学院生にしっかりと物は言っていたけれども,言い方についてどういう言い方をしているのか。私はきょう教授が見えていれば直接お聞きしたい気持ちなんですけれども,そんなに徹底というのは弱かったんですか。



◎(平原医学部教授) 私,今回のこの件に関しては調査委員会の委員長を仰せつかっておりましたので,わかる範囲でお答え申し上げますが,調査した範囲では教室の中では覚書に基づきまして同意書が要るというようなことはアナウンスはあったということであります。しかしながら,実行段階におきまして必ずしも手術の主治医というのは研究者という特定の者以外の主治医の手術の同意に伴いまして研究の同意もいただかなければいけない場合が多々生じていたということでございますので,そのあたりのところも徹底が十分でなかった。その徹底が十分でなかったということをさらに確認する作業がまたなかった。そのような幾つかのプロセスのところでやはり十分な認識が全体に抜けていた部分があったということも相まって,最終的にかなりの数の検体を患者の御同意がいただけずに使われてしまったというのが実態だと思っております。

 したがいまして,会議ではそのような形で進めるというアナウンスはあって行われていたのが実態ですが,現実には十分な連絡ないし確認作業が欠けていたということでございます。



◆(堀井委員) 今答弁をいただきまして,基本的に検体の採取に当たっては,インフォームド・コンセントを行うことが必要となってきているということは理解していかなければいけないのかなと思うわけです。そうしますと,検体採取の責任を明確にすることが必要であると考えますけれども,インフォームド・コンセントはいつ,だれが行うことが適切であるかということをお伺いいたします。



◎(奥田医学部長) インフォームド・コンセントは検体を採取する前に必ず取得しなければいけないものと考えています。インフォームド・コンセントを取得するのは研究責任者の責任のもとに原則として主治医が行い,研究責任者がそれを確認することが必要である,そういうふうに考えております。



◆(堀井委員) 今の答弁に関連しまして,検体の今後の管理について,匿名の受払簿というんですか,改善策として挙げているわけですけれども,どのような意味でこういうことを記載されているのか。



◎(奥田医学部長) 受払簿の整備は検体管理の適正化を図るために検体の管理方法を統一しようとして行っているものであります。また,匿名化につきましては,検体を研究に使用する段階でコード番号をつけるなどしてそれがだれのものかわからないようにして個人情報を保護しよう,そういう目的でやるものであります。



◆(堀井委員) 今ずっとお聞きしていますが,検体の遺伝子研究を行っていくわけですけれども,研究者が提供者に無断というか断りもなく検体を遺伝子研究に利用することは人権擁護委員会においても,生命倫理の上においても大きな問題が当然あるわけです。しかし,医学の中で将来的にもまだまだ解明されていない,また解明しなければならない問題等を考えますと,医学の発展のためには貴重なものであるわけです。今回のような既に保存した検体を遺伝子研究に使用した場合に,インフォームド・コンセントの処理についてはどのように考えておられるのか伺います。



◎(奥田医学部長) 今回のように保存してある検体を遺伝子研究に使用する場合には,まずその検体についてインフォームド・コンセントが取得されているかどうかを確認する必要があります。このため,インフォームド・コンセントが取得されていない検体について研究に不可欠なものとして利用する場合には,研究の開始前によく説明して御理解いただき,インフォームド・コンセントを取得するよう努力してまいります。これにより研究の推進と提供者の人権擁護との調和を図っていきたいと考えております。



◆(堀井委員) 今,合意の取得をしていく上において,当然事前に合意を得るわけですけれども,事後になってしまうことも中にはないとも言えないわけですけれども,それが今後の規制の中に入れていくことが望ましいんではないのかと思いますが,どのようにお考えですか。



◎(平原医学部教授) ただいまの件に関しまして,今回の遺伝子研究の私どもの大学における指針の中には既にとらせていただいた検体を改めて研究に使うということに関しましては改めて患者さん,あるいはもし万が一亡くなられていた場合には御遺族の方たちに,こういう目的で研究に使わせていただきたいと御説明をいたします。その場合は研究に対する拒否ももちろんあり得るわけですが,許諾をいただくという形で進めていく方向で整備をする,そういう形でやるのが原則だというふうに認識しております。



◆(堀井委員) 次に,市大病院とはどういう関係にあるかという位置づけなんですけれども,協力病院というんですか,一般市民病院というんですか,そこでも日々いろいろ治療行為が行われているわけでございますけれども,そこで検体を開始したということについて市大の先生方にとってみれば,やはりいろいろな意味で情報交換なり,言葉の扱い方いろいろありますけれども,人間的なつながりの中にそちらの病院ではどういう患者さんでどういう手術をしているのが多いとか,そういう中で一般の病院のところでは研究するということは基本的にはあり得ないわけですけれども,大学病院とすれば研究的なそういう検体というか試料をよりいいものを求めていく上においては欲しいということが考えられると思うんです。そういう意味からした場合に,協力病院のかかわりの中で大学病院は今後どうされていくのか,この辺のところをちょっとお聞きしたいんですけれども。



◎(奥田医学部長) 協力病院の要請については,各講座から医師を推薦することとしております。また,地域医療の水準を確保し専門的な医療を地域に供給する役割を担っているため,協力病院への適切な人材の推薦は市大病院の責務であるとも考えております。そこで,今後は協力病院の意向を尊重し適切な手続を行うよう医学部全体として改善策を進めていきたいと思っております。



◆(堀井委員) 国というか厚生労働省というんですか,医学の中で市立大学は大学という位置づけもありますから研究が当然かかわってくる。一般の病院というのは治療行為が基本であって,研究ということはないわけですが,インフォームド・コンセントの部分,手術をするためには今こういう状況ですから理解していただき,研究をしたいということについては市大病院以外というか協力病院の場合はそういうことを患者さんや家族の方に言えないですよね。そういう場合において,病院の方の主治医の先生方はどのように対応されているんですか。



◎(平原医学部教授) ただいまの御指摘の点に関しまして,協力病院,つまり外の市中の病院というのはまず診療が中心ということでございますけれども,大変レベルの高い病院が今多うございますので,ある意味では診療を中心にしながらの研究という意味合いも含まれてきているような時代にはなりつつあると思います。もちろんそういう場合でも患者さんにとりましてはその病院のやっている診療の内容とか,あるいはその内容から含まれる臨床的な研究というふうな表現がよろしいかと思うんですが,そういったような研究に関しましては患者さんを中心に御理解いただいて協力いただけるだろうというようなことをやっていくのが原則だろうと思います。

 それ以外の一般的な病院に関しましては,一応堀井委員がお話しされましたように診療が中心でございますので,診療を中心に行っていくというようなことです。逆の意味で大学病院というのは今まで研究中心といっていたものが,市民への医療の提供をする重要な役割を果たす医師を養成するという意味でやはり患者さん中心,研究中心よりも患者さん中心にその中で研究させていただくんだというふうな姿勢を持ち合わせるような方向になりつつあると私は感じております。



◆(堀井委員) 今の答弁を聞いていて非常に懸念するというか,例えば高度な技術を持っている診療所というんですか病院で患者さんが説明を受けその患者さんの立場からした場合に,病院の主治医の先生とのやりとりの中で研究に使ってもらって将来のいろいろな意味で貢献したいと理解します。それがほかのところで使われていくところまで,A病院なりC病院なり行くということがルール的にちゃんと整理されているのか,1つの病院で合意をとっているんだからどこでその研究をされてもそれはもういいんだとなっているのか,その辺はどうなっているか。



◎(平原医学部教授) ただいまの件に関しましては,あるところで研究用に使わせていただくといった場合は,その研究がどこの研究機関と協力するのか,そういったことも含めて同意をいただくと今回の国の3省指針の中ではっきりと明言されております。ですから,A病院で採取されたものが例えば横浜市大病院と一緒の研究であれば横浜市大病院にその検体が持ち込まれて研究がなされるということを御了承いただけるのかどうか,ノーなのかイエスなのかということの確認をいただいてから研究に使わせていただくというようにルール化されておりますので,私どももそのようなルールでこれからははっきりと進めていきたいというふうに考えております。



◆(堀井委員) そこで,医学部学生に対する生命倫理教育について,どれくらいのコマ数が実施されているのか,また大学院についてどうなのか,ちょっとその辺をお尋ねいたします。



◎(奥田医学部長) 医学部学生につきましては,平成11年1月の患者取り違え事故以来,生命倫理教育の充実を図り,1年次から6年次まで倫理関係103コマ,そのうち生命倫理に関するものは13コマ実施しております。大学院修士課程については,生命倫理を必須科目としておりますが,博士課程については特に実施しておりませんでした。1コマというのは90分で行っております。



◆(堀井委員) 博士課程において生命倫理教育の学科はないことは重大な問題であると考えざるを得ないわけです。先ほども佐藤委員からも質問があって明らかになっておりましたけれども,将来先生になろうとする人材に,その基本となる自己の努力にのみ頼っていることは理解ができないというか,本来やはり相手の命を思うという意味からすれば生命倫理教育をしていかなければいけないわけですけれども,大学院博士課程において生命倫理教育を実施していない理由,それはなぜなのかを伺います。



◎(奥田医学部長) 博士課程では,研究指導の中で倫理教育を行うべきものと考えてきたからによると思います。しかしながら,今回の問題に大学院生もかかわっていたことを踏まえ,博士課程においても生命倫理教育を必須化していきます。



◆(堀井委員) やる意味は当然あったんでしょうけれども,全体的な学習をしていく中に現場の時期もあるだろうし,それでできなかったのか。今度これを入れますとどこかが欠けていくのか,今までのものにさらにプラスしてやっていくのか,その辺はどうなんですか。



◎(佃医学部教授) 今までも確かにおっしゃるとおり大学院の教育の中に入れるべきものだと大きく反省しております。今まである大学院セミナーの中に,今回の報告書にもありますように反省に基づいて人間性のある教員を育てるということですので,我々どんな努力を払ってでも生命倫理,あるいはインフォームド・コンセント,ヒューマンコミュニケーションという患者さんの対話を大切にするという教育をつけ加え,あるいはどこかほかの最先端医療を削ってでも入れていくことを考えております。



◆(堀井委員) また,助手に対しても生命倫理の研修を義務づけるとございますけれども,助手となると相当キャリアというか年数を積んでおられて,その上プライドというか能力をお持ちだと思うんです。医学の世界だけではなくて,どこの世界も日進月歩でいろいろな意味で革新とかなっているわけですけれども,こういう問題が起きているがために助手の人も初心に返り,学習を積んでもらうということだと思うんです。そのねらいと効果というのはちゃんと出していただきたいと思いますけれども,その辺はどうでしょうか。



◎(佃医学部教授) まさに先生の御指摘のとおりで,本来,医師としてインフォームド・コンセントや患者さんとの対話というのは一番大切にしなければならないことだと思います。今回の問題を踏まえまして研究重視の余りその点を大いに忘れたことを反省した上で,生命倫理教育を繰り返すことで大いに反省の上に基づいた人間性を大切とした医療を心がけたいと考えております。



◆(堀井委員) 今まで患者中心の医療を展開していくために医者の立場というか先生のことを中心にお聞きしましたけれども,看護婦などのメディカルスタッフに対する研修も当然大事ではないかと思うわけです。医師を含めた医療職がチームとなって患者に対応することはまさに患者中心の医療を行うことだと思うわけです。そこで,メディカルスタッフに対しても生命倫理教育の充実を図ることが改善策にも当然ありますけれども,真に医療実施の徹底を図ることは医療事故を防止する上で重要と考えます。そこで,現在チーム医療の徹底を図るためにどのような職場研修を行っているのか伺います。



◎(松原附属病院長) 多くの職種の人がかかわっています医療現場におきましては,横断的な職場研修をしなければいけないということになります。その中で今日的な課題を取り上げてディスカッションを行い,良好なコミュニケーションを醸成していくように努力しているところでございますが,今後は医師を含めまして生命倫理のディスカッションをする場を設けましてよりよいチーム医療に向けて職場研修を行っていきたいと考えております。



◆(堀井委員) 最後にちょっと要望させていただきたいと思いますけれども,生命倫理教育については医学部学生から教員まで充実していくということは非常に評価できるわけですけれども,今回のような問題を二度と起こさないように学部として生命倫理教育に責任を持ってもらいたい。そのためにも生命倫理教育の体制が強化されることを要望させていただいて,質問を終わらせていただきます。



◆(岡本委員) 今御答弁を大分伺わせていただきながら,やはり今回の問題というものは患者に対する人権擁護の倫理観が希薄だったこと,それと医学部という組織の中で生命倫理を確立するシステムが十分に機能していなかったことによって起きた問題ではないかと思っているんですけれども,そこでまず伺っていきたいのが,医学部の倫理委員会は平成元年4月に設置されたと聞いているんですけれども,この設置以後の審査件数はどのぐらいあったのか,またそのうち承認されなかったものというのはどのぐらいあったのか伺いたいと思います。



◎(斎藤医学部事務室長兼附属病院管理部長) 申請件数でございますが,累計で113件ございました。そのうち承認されなかったものが3件となっております。



◆(岡本委員) 承認されなかったものが3件ということですけれども,どのような理由で承認されなかったんでしょうか。



◎(奥田医学部長) 不承認となった案件は平成7年から9年にかけて3件ありました。申請内容は,HIV陽性男性の精液による人工受精,あるいは小児神経疾患に対する大脳磁気刺激の有効性を探る,のものでした。もう一つ不承認となった理由は,安全性に対して十分なカップリングができるまで一時承認を見送ることといたしました。3つ目は,ソディウムジクロロアセテートによるメーラスの治療というのもありましたが,いずれも時期尚早という理由で見送りさせていただきました。



◆(岡本委員) 現行の倫理委員会の委員構成というのはどうなっているんでしょうか,またこの委員会はどのぐらいの頻度で開催されているのか伺いたいと思います。



◎(斎藤医学部事務室長兼附属病院管理部長) 委員長は内科学の第3講座の関原教授が現在務めておりますけれども,その構成といたしましては医学部長,附属の両病院長,それに基礎関係の教授が2名,臨床関係の教授が2名,さらに医学分野以外の学識経験者の方3名にお願いいたしまして,合計10名となっております。現在は大体2カ月に1回ということで開催いたしております。



◆(岡本委員) 今回問題となりました共同研究についてですけれども,共同研究を始める時点で倫理委員会の審査を受けていなかったと聞いているんですが,その理由はどういうものなのでしょうか。



◎(斎藤医学部事務室長兼附属病院管理部長) 現在の医学部の倫理委員会規定でございますけれども,本件のような遺伝子発現研究,これは現在申請の対象となるかどうか明確に規定されてございません。また,国の3省臨時指針のガイドラインもなかったことから,研究開発当時,申請がされておりませんでした。昨年12月,理化学研究所の方で研究所内の倫理委員会に申請がありまして,それに合わせまして医学部の倫理委員会にも申請されましたけれども,現在書類の書式に不備がございまして,継続という形になっております。



◆(岡本委員) この3月の末に,文部科学省など3省によってヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針というものが定められたと聞いているんですけれども,そこでこの3省の倫理指針の目的と概要を伺いたいと思います。



◎(斎藤医学部事務室長兼附属病院管理部長) 3月の倫理委員会でございますが,国の通知によりますと,指針の目的は人間の尊厳及び人権が尊重され,社会の理解と協力を得てヒトゲノム・遺伝子解析研究の適正な推進が図れることというふうになっております。

 主な内容でございますけれども,検体の採取等についてインフォームド・コンセントを基本とすること,個人情報の保護を徹底すること。さらに,倫理審査委員会が適切に構成され,適切に運営されること,そして研究の適正性と公平性を必ず確保するなどとなっております。



◆(岡本委員) 今の御答弁いただいた内容からしますと,国の倫理指針どおりに倫理委員会の審査を受けるとしますと,今後設置するこの委員会の責任と負担というのは相当重くなってくると思うんですが,委員会の運営についてはどのように考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。



◎(奥田医学部長) 今後改組する倫理委員会では,遺伝子研究の公正性と透明性を確保するため約80項目に及ぶ厳格な審査を行うこととしております。この審査は,人権擁護等個人情報保護の観点から必要な手続であると考えており,医学部として全力を挙げて取り組んでまいりますが,人権擁護と研究の推進の調和を図るという観点から,委員会の運営方法について検討する必要があるものと考えております。



◆(岡本委員) 今回の改善策を実施するに当たって,現行の倫理委員会では対応できないということで医学部倫理委員会規定を改正するということになると思うんですが,主な改正点は何か伺いたいと思います。



◎(奥田医学部長) 改正の主な内容につきましては,1,遺伝子研究を実施するためにはその許可を受けるために医学部長への申請を義務づけること。2,倫理委員会の審査対象を国の倫理指針の審査対象よりも幅広くとらえること。3,自己点検を図るため研究倫理統括者及び研究倫理指導者を設置すること。以上3点でございます。



◆(岡本委員) 先ほど説明をいただきました遺伝子研究倫理外部評価委員会の設置に当たりましてどのように考えていらっしゃるのか,またその委員の構成はどういうふうに考えているのかあわせて伺いたいと思います。



◎(奥田医学部長) 遺伝子研究倫理外部評価委員会は,研究の透明性,公正性を確保するという観点から,医学部で行われているヒトゲノム・遺伝子研究の実施状況を点検し,研究計画に従い適正に実施されているかどうかを外部の第三者の立場で調査をしていただくものであります。また,委員構成につきましては,医学部以外の有識者を想定しておりますが,具体的な人選につきましては今後早急に検討していきたいと思っております。



◆(岡本委員) 改善策の中で,研究倫理指導者会議を設置し,研究倫理統括者と研究倫理指導者を置くことにしておりますけれども,その目的は何なのか,またその効果はどのようなものであると考えているのか伺いたいと思います。そしてまた,統括者と指導者にはどのような人が当たるのかもあわせて伺いたいと思います。



◎(奥田医学部長) 医学部において行われるヒトゲノム・遺伝子研究が研究計画に従い適切に実施されているかどうかを医学部として組織的に点検し,改善,指導することをねらいとしてこのような仕組みを考えたわけでございます。これは今回の第2外科の共同研究では,研究開始後の組織的なチェック機能がなかったことを最大の反省点としてつくり出されたものでございます。このようなことを二度と起こさないとの強い決意のもとに,医学部を挙げての点検指導体制を確立しようとしたものでございます。

 また,研究倫理統括者は教授のうち1人を指名することと考えております。各講座診療科などに置く研究倫理指導者は助教授,講師クラスから指名することを考えております。



◆(岡本委員) ぜひ組織内のチェック機能を発揮して,患者さんの人権を擁護することを徹底していただきたいと思います。今3ページと言いましたけれども,2ページ,3ページにある改善後の倫理委員会の権限を見てみますと,インフォームド・コンセントの取得内容や検体管理,個人情報の保護の徹底などについての調査,審査ですとか,また研究を許可してよいか否かを審議し,その意見を医学部長に述べることになっておりますけれども,医学部長は倫理委員会の意見を尊重して申請した研究責任者に対して許可するか否かの権限を持つことになるようですが,この医学部長にそのような権限を付与する意義は何か伺いたいと思います。



◎(奥田医学部長) 医学研究の透明性や公正性を確保するために医学部長の権限と責任を明らかにし,医学部全体として人権擁護に基づく研究体制を確立しようとするものでございます。



◆(岡本委員) 今回の問題となりました第2外科の共同研究について伺いたいと思うんですけれども,理化学研究所を共同研究者の相手にした理由というのはまず何か伺いたいと思います。



◎(奥田医学部長) 今回の共同研究は,がんの新しい診断法や治療法の開発に向けcDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現をテーマとしたものでございます。理化学研究所はcDNAマイクロアレイのノウハウにおいて世界的なレベルのものと理解しております。また,共同研究者の相手方として最適であると判断したものでございます。



◆(岡本委員) 今回の問題で,新聞報道などは目を通させていただいたんですが,第2外科が起こした問題について理化学研究所の反応はどうであったのか伺いたいと思います。



◎(奥田医学部長) 覚書に反してインフォームド・コンセントを取得していない検体で研究をしたことに対しては,厳しい反省と再発防止の改善策への取り組みを求められました。



◆(岡本委員) 今言ったように,新聞などを見ても,今の御回答の御答弁を伺っても大変厳しい反応であったということですけれども,今回医学部がまとめました改善策について理化学研究所はどのように受けとめると医学部長は思っているのか伺いたいと思います。



◎(奥田医学部長) 理化学研究所にはこれから十分説明したいと考えておりますが,国の3省倫理指針に基づき,その指針よりもさらに広い範囲を対象とし,人権の擁護に立脚した適正な遺伝子研究体制を整えるなど医学部としては最善を尽くしたと考えております。この改善策を徹底することにより御理解をいただけるのではなかろうかと考えております。



◆(岡本委員) 現在のところ,理化学研究所との共同研究が中断していると聞いているんですけれども,研究を開始することはできるのでしょうか,伺いたいと思います。



◎(奥田医学部長) 今回の問題につきましては,生命倫理に対する認識が希薄であったことを深く反省し,まず医学部として改善策を徹底し,今後理化学研究所と共同研究の進め方について相談していきたい,このように考えております。



◆(岡本委員) 最後に要望といいますか意見といいますか述べさせていただきたいんですけれども,問題がありました第2外科の共同研究もその目的は患者さんのためのものであり,研究の成果ががんの診断や治療につながること自体は大変重要であると思います。そうすると,やはり研究は患者さんのためにあるものだということを医学部の教員には十分自覚していただきたいし,また生命倫理とはこれが基本だと私は思っております。今回相当厳しい倫理規定をつくるということでありこのことは評価いたしますが,やはりその運営が重要だと思いますので,十分徹底した取り組みをしていただけますように要望するとともに,もう1点心配なことがございます。

 何か起きますと委員会を設置する。この委員会というものが大変多く設置されてきているのではないかと思います。この委員会にやはりかけ持ちで教授並びに助教授,講師などが当たっているということになると思うのですが,この方たちもおのおのの仕事を持ってまた委員会をかけ持ちで駆け回るということになっていくと,委員会がしっかりと運営されていくかということが一番心配になってくると思います。ですから,委員会ができてこれが対応策だということでそこにとどまらず,委員会がしっかりと運営されるように配慮していただくことと,確実に中身のある委員会を実行していただけることを強く要望していきたいと思っています。

 以上です。



◆(中島[明]委員) このメンバーが大学教育委員会の委員になりましてからずっとこの間,医療ミス,医療事故のことで続いてまいりまして,今回またかという感じでした。いろいろな委員会の委員についても外部,医学部以外とはおっしゃいますけれども,実際にメンバーを拝見させていただくと市立大学以内にとどまっているということがこれまであったと思います。医療事故の外部評価委員会のときは違ったと思いますけれども,ほとんどが大学内部の中で行われてきたということがあって,先ほどから奥田医学部長の言葉の中に透明性と公正性という言葉が何度も出てきたと思うんですけれども,そういう内部だけで検討されているときに本当に透明性と公正性が確保されているのかというところは,私たちはずっと疑問に思ってまいりました。

 さきの予算特別委員会の中でも,医療公表基準のところでも病院長の権限だけがかなり大きいのではないかということを指摘させていただいたわけですけれども,やはり外部の本当に客観的に第三者として当たり前だと思っていることを当たり前じゃないという目で見る人がいないと,根本的な解決はできないんではないかなと思うんです。そこのところをこれまでも再三再四言わせていただいたと思うんですけれども,もう一度ここで,例えば先ほどの3ページの遺伝子研究倫理外部評価委員会は医学部以外という御説明はありましたが,実際に医学部以外ではどういう方たちがということは今お答えいただけますでしょうか。



◎(斎藤医学部事務室長兼附属病院管理部長) 外部評価委員会については,基本的には学外の方をお願いするということで検討してまいりたいと考えております。



◆(中島[明]委員) やはり学内にとどまるのかなというふうに思うんですけれども,そこを思い切って打ち破らないと,本当に透明性と公正性が確保できるのかということは大変疑問に思います。やはり身内が身内をかばってしまうというようなことがどうしても起きてきて,これでもかこれでもかと今まで続いてきたと思うんです。そこを打ち破らないと本当の意味での意識改革とか体質改善というのはできていかないんではないのかなというふうに考えるんですけれども,そこを学長の考えをお聞きしたいと思います。



○(中川委員長) 斎藤医学部事務室長兼附属病院管理部長,確認です。学外という説明だったと思いますが、それでよろしいですか。



◎(斎藤医学部事務室長兼附属病院管理部長) 学外でございます。



○(中川委員長) 学外とのことです。



◆(中島[明]委員) ちょっと聞き間違えました。



○(中川委員長) では,いいわけですね。



◆(中島[明]委員) 今までに比べたら一歩前進かなというふうに思いますけれども,ただやはり本当に私はこの問題は幾らシステムをつくっても,もちろんシステムをつくることがいけないと言っているわけではないんですけれども,根本的な解決にはつながらないと思っています。やはり市立大学の体質そのものといいますか,意識改革そのものが必要であって,そうするためにはどうしてもさっきから申していますように純粋に第三者的な立場で客観的な目で見られる方が必要だというふうに思います。ですから学外ということがこれからどういうふうにして実際に人選されていくのかということには注目していきたいと思います。本当にシステムをつくるとか,小手先のことと言ったら語弊があるかもしれませんけれども,そういうことだけで解決することだけではないと私たちはずっとこれまでも申し上げてきたと思うので,ぜひ意識改革とか体質改善ということについての学長のお考えを最後に伺わせていただきたいと思います。



◎(加藤学長) みずからを律するということだけでは不十分,透明性,公平性という意味では外部の方の厳しい目があって初めて自覚できるという点は,私もそのとおりだと思っております。そして,制度をつくっただけではだめというのもおっしゃるとおりで,これからの進行管理については既に検討を開始しております。ここに書かれたものが,書いた途端に終わってしまうというふうには絶対にしたくない。そして,どういう格好で進行管理をしていくのかという各論についてはきょうの段階ではまだちょっと申せませんけれども,私としてはぜひこれはきちっと実現させたい,そういうふうにかたく決意しております。



◆(中島[明]委員) 今お伺いしましたけれども,市民もみんなこの間1年近くずっと医療ミス,医療事故,それで今回の問題というふうにやはり注目していると思います。市民の目は大変厳しいと思いますし,市民,それから患者にとってもこれからの市立大学の取り組みというのが本当に重要になってくると思いますので,そこをやはり私たちは厳しい目で見守っていきたいと思っていますので,本当によろしくお願いしたいと思います。



◆(加藤副委員長) まず,今回の事故についてと,それから生命倫理について確認の意味も含めて伺います。今回こういう事故が起こって非常に残念だなという思いがしておりますが,また今回二度とこういう事故が起きないように改善策を取りまとめた。また,日本でも模範になるようなものを大いに期待しながら確認の意味も含めて1点伺います。

 今後そういったことが100%起きないという事後確認をすることは絶対に必要なことだと思っているんですが,そうならないその裏づけを簡単にお願いをしたいと思います。チェック機能の話です。



◎(平原医学部教授) 今回の研究の一連の出来事に関しましては,私ども深く反省しましてきょう御提出させていただきましたような改善案を作成しましたが,この中にございますように私どもは研究する段階でまず厳しい審査をする。審査がまず通ったらそれを実行する段階でさらに研究,倫理の指導者ないしは統括者が見張る。さらに,それが実行されていく段階で調査報告書の提出を義務づけています。これは実地調査というのが途中で入る形になりまして,そこのところに先ほど申し上げましたような外部調査委員会という方々が入られて,実際に適正に研究が約束どおり行われているかどうかということをチェックするというような形で,ある意味では二重,三重の安全面を満たすというような形でやるということをぜひとも強い決意で臨みたいと思っておりますので,そういう意味では今までに比べれば特段,はるかに優れた形でやらせていただけるというふうに思っております。



◆(加藤副委員長) 文書で提出ということになっているわけですが,その文書はどこで保管をしていくのか。もし義務違反が起きたときにはどのような対処をしていくのか。義務違反はしないという前提でやるべきことではないと思いますので,違反をした場合にはどうするのか,そこまで考えていらっしゃるのか,その辺について伺います。



◎(斎藤医学部事務室長兼附属病院管理部長) ただいま御指摘がございましたように,公文書の扱いになるというふうに理解しております。したがいまして,一定の書類,共同研究計画書などは,複本を必ず事務室へ提出ということで事務室の方で保管いたしまして,それが適正かどうかチェックしていきたいと思っております。

 それに違反した場合なんですけれども,一定の市の遵守事項ということがございますので,当然教育の時点でそういったものをきちっと管理,そして責任を持って提出するよう事務サイドとしても十分チェックしてまいりたいと考えております。



◆(加藤副委員長) それでは生命倫理教育についてお聞きしたいんですが,最近非常にクローズアップされてきたことだと思うんです。市大においても大学院で今までやっていなかったけれども,これからやっていこうということなんですが,今回の事故についてもやはり指導者,多くの人たちをきちんと指導,導いていく人の,ずばり言えば教授ですけれども,教授の意識の原因が非常に多いところだなと思います。また,医学部全体としてとらえるというお話がありましたけれども,医学部を支えているのはやはりある意味では教授である。

 ここに教授のセミナーの参加を義務づけるとあったわけですが,これは先ほどの公文書と違いまして出なければいけないというようなものなのか。やはりどうもいろいろ考えますと講座制もありましてどうしても研究が中心になって,こういった生命倫理の方も常にだれかがきちんと何か働きかけないとどこかで飛んでしまう。これは私は大いに指摘をしなければいけないところだと思っているんです。今回講座の義務づけ,テーマとしては研修を義務づけるとなっていますが,これはどのくらいの頻度でやって,これに参加しない,そんなものに行かないよというような教授,教員に対してはどのようなことを考えているのか,これをお聞きをしたいと思います。



◎(佃医学部教授) 卒後の教育に関しましては,教授会は非常に大きな責任を持っていると思います。それから,今回改善案の中で書いてありますように,卒後教育だけではなくて6年間の教育が大切であるということです。

 それから後の御質問ですけれども,今のところは年間二,三回必ず出てもらうということですが,例えば学会等で春秋で3名,教授,助教授,講師のうち必ず2名には出てもらう。2年,3年のうちで二,三回,あるいは掛け合わせますと9回でクレジット制というんですが,半数以上,あるいは6割以上出ない場合には何らかの違反ということで何かを義務づけるということを考えております。



◆(安藤委員) 文部科学省より指導内容云々という話をさっき話したけれども,具体的にどういう話をされてきているのか。



◎(加藤学長) 再発防止策を1カ月以内に提出されたいという趣旨でございます。



◆(安藤委員) 皆さんがいろいろ細かく質問していますからこれ以上は特にないだろうと思うんですが,感想を言うと,今回の事故というのは実害がない。だから,非常にそういう意味ではきちっとできているという感じがする。患者を取り違えて云々なんていうようなことですと少し及び腰のような形があるような気がした部分はあるんですけれども,今回の改善策というのは非常にきちっとできている。だから,ある意味で言えば実害がないという感じがあるものだから,かなりびしびしできたんだろう,こういうふうな感想を持っているんです。だから全体がそういうふうにきちっと余り杓子定規でやらなければいけない部分ではない部分も,人の命の部分ということになると多少はっきりしない部分があったというような形があったとしてもそれはしようがないだろうと思いますけれども,とにかく杓子定規ではいかない部分があるだろうと思いますから。今回のこれはかなり杓子定規でぴしゃっといっている。ずっとこういうふうになるといいなと思うけれども,前の幾つかのそれと比較して,つくった人はどう思うか。



◎(大場事務局長) 私が全部つくったわけではありませんが,まずそういう前提でお話しさせていただきますが,医療ミスにつきましては単純ミスから始まりまして措置的な問題も含めてこれまでのやり方にメスを入れませんと現実にそういう医療ミスを根絶するといいますか,なくしていくということは非常に難しいという面で思い切った方策は出したつもりでございますけれども,一部まだまだ将来の課題として残ったものもございまして,それは今一生懸命やっている最中でございます。

 今回につきましては,先ほど佐藤委員からもお話がありましたけれども,本来当然やるべきことだったのではないかというところがきちっと制度化されていなかった。システムとしてもやっていなかった。それから意識としても希薄だったということで,医学部全体がすべてについて反省をしているということが出発点にあるかと思います。そういう意味では,全員がそういう立場に立って今回医学部として今日考えられる最善の対策をまとめたというふうに私は理解をしております。



◆(安藤委員) ぜひ一生懸命やってもらいたいと思うんですが,1つだけ聞きたいのは,検体は匿名でやるということになっているんですが,そういうことなんですか。



◎(平原医学部教授) 今回の指針では検体は匿名ということです。これはどういうことかと申しますと,患者さんから同意をいただいて検体の提供を受けた場合に,その検体に例えば会社の名前が書いてございますが,そこのところを全く無関係の番号を送るとか何かの記号を送る。その記号を振られた検体が研究室の中に入って,後は研究の中に使われていく。検体の振られた番号と記号と患者さんと1対1で確認できる人をセクションならセクションでたった1人そのことのアクセスできる人を決めなさい。その人はキーがついたコンピュータでしかそのことを実際には理解できない。ほかの人たちには勝手にそれが知られないようにする。今回の遺伝子研究の中で,遺伝子ということのプライバシーにかかわる問題ですので,そこのところがクローズアップされて匿名化,検体が匿名されるという意味合いになったと理解しております。



◆(田中副委員長) 2点ばかりお伺いをさせていただきます。

 この1年間,非常にさまざまな医療事故の中で医学部当局,事務当局とも力を合わせてさまざまな事務的な流れ,あるいは医療関係の対応の仕方というようなものが変わってきているわけですが,私ども何回か医学部関係施設を視察させていただきました。その中で感じた点を1つだけ取り出しまして,改善型の要望をひとつしたいと思っております。

 手術スタッフ,特に教授,教員等の中心になる方々が手術時,終了後に仮眠する部屋があるとは聞いているんですけれども,実際にはないような状況もある。こういうような部分に関してやはり早急に施設関係の改善をお願いしたい。

 大変恐縮ですけれども,みなとみらいホールへ行きますと常任指揮者なり指揮者の部屋というのはすばらしいものです。2時間の演奏をするのに神経を集中するような部屋がございました。それが幾つもの部屋に分かれておりまして,市大にはそういうものがあるだろうか。加藤学長も申されていましたように,今後とも非常にスピーディな社会の中でスピーディな判断を求められる。さまざまな仕事がふえる中で医療スタッフが神経的に集中できる,あるいは安息できる場を早急に改善していくこともこういう事故から学ぶ点ではなかろうかというふうに思うわけですが,その点を大場事務局長にお伺いをしたいと思います。



◎(大場事務局長) 確かに医療ミス等,あるいはよりよい医療サービスを行うという中でのミスの防止という問題を含めまして,我々が現在医学部附属病院を見た場合に,大変医師の方々,そして関係のスタッフの方々が真剣に,そして神経をすり減らして長時間にわたって実務に携わっているというのが実情でございまして,それに対して十分な就業環境ができているかどうかという点につきましては,今先生がおっしゃられたような部分を含めまして多々私どもとしてももう一度きちっと点検をする必要があろうかと思っております。

 特に手術後,あるいは手術前のそうした携わる方々の休息の場であるとか,あるいは医療スタッフの方々のコミュニケーションの場であるとか,そうした面での対応というのは緊急を要するものであるというような理解をしておりますので,病院だけに任せないで,私といたしましても医療スタッフの関係者の皆さん方の率直な意見も伺って具体的な対策を考えていきたいと思っております。



◆(田中副委員長) ぜひ早急に取り組みまして,平成14年度にでも実施に移せるようなそういう改善策も片方では必要だろうと思っておりますので,ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 もう1点は,やはり今回のさまざまな改善策につきましても事務当局,それから教授,あるいは助教授,講師,助手,大学院,そういう方々とのコミュニケーションとかさまざまなもので事務的な仕事,あるいは事務的なものを管理する仕方等の仕事量もこの1年間で相当にふえているんではないだろうかというふうに思うわけでございまして,この点におきましても事務当局の改編といいますかあるいは見直しといいますか,新たなセクションを設けるといいますか,そういうさまざまな部分での創意工夫等も対医学部関係者との関係におきましても必要ではなかろうか,こういうふうにも思います。また先生方の教授陣の事務的な仕事に対するヘルプ事務に対するフォローのあり方というものも変えていかなければいけない部分が発生しているのではないか。こういうさまざまなことがあると思いますが,この辺を早急に改善していくことが市民の信頼にこたえていく非常に大きな基礎的な部分ではないか,こういうふうに思うわけですが,その点大場事務局長にお伺いをしたいと思います。



◎(大場事務局長) 教育研究の具体的な中身におきましてもこれまでのように教員の方々と,そして事務部門が従来からの固定的な考え方で役割分担を果たしてきているということが幾つか具体的な問題においてチェックシステムとして問題が起きてきたりしていることも事実だろうと思います。やはり新しいニーズに沿って大学の教育研究は進んでいくわけでございますので,そういう立場から教員と事務部門とのかかわり方についてももう一度きちっと整理し直して教育研究が大学の目的に沿ってきちっと行われるように事務部門のバックアップ体制,それから事務部門全体としての責任ある行動も起こさないといけませんので,そういう意味での機構なりあるいは体制づくりについても具体的な検討をしてみたいと思っております。



◆(田中副委員長) 全国的に横浜市大は有名になりました。有名になる災い転じて福にするのには,これを過去1年間振り返ってぜひ21世紀初年度ですから,公立の大学病院として新たに有名になる努力を一丸となって全力を挙げていただくことをお願いして質問にかえさせていただきます。今後よろしくお願いいたします。



◆(吉原委員) 1点だけお伺いしておきたいんですが,生命倫理教育を大学院でもというふうな御答弁もありましたけれども,それよりも何よりも人様の情報,あるいはサンプルを借りるなりもらうなりということですから承諾をもらうのは当たり前の話でして,これは原理原則なわけです。そういう意味からいって,大学の1,2年生の段階で倫理の講座というのは今あるんではないですか,学長に伺います。



◎(加藤学長) さまざまなある点で特に情報管理,機械や何かでどうやってその人の当病院に入ったとか,そういうたぐいのものは相当入っております。



◆(吉原委員) これは結局ある程度大きくなって人が大学に入ってきてそれが大学院生になって,よその都市から来られる方,よその大学を出てから来る人もいっぱいいると聞いているんですが,そこへ来たときにもう既に基本的なものはマスターされて入ってくるのが当たり前だと私は思うんです。ということは横浜の市立大学だけの問題ではなくて,教育全体がおかしくなってしまっていると,こういうとらえ方も私はすべきだと思うんです。これを大学当局が文部科学省に対して,今度の計画はどうです,改善策はこうですと随時する。その中に私が今申し上げたことをつけ加えると,責任回避だというふうにもなってしまいますから,関係の常任委員会の中でそういう意見も出たというとらえ方で,必要があれば市会議員のある者が言っていたと,こういう表現でいいわけです。それが正しいわけですが,やはり大学当局と文部科学省が子供の教育まで含めた教育の原点,こういうものの連携を心して大学,すなわち教育だの医学部だとか病院だとかというのは治療,研究の機能をお持ちですけれども,もともと大学で教育機関ですから,そういう観点でのこれからの指導をぜひお願いをしたいということを私の意見として申し上げさせていただきます。お答えは結構でございます。



○(中川委員長) 最後になりますけれども,1点だけ委員長から質問をさせていただきますので,委員長を交代しないでひとつ質問をさせていただきます。

 先ほど奥田医学部長から調査報告なり,再び事件を発生させないための説明があったわけであります。そういうことを考えますと,今回のこの問題については3月29日に示された国のヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する臨時指針のような具体的なものがなかったころから実は発生したということがよくわかったわけでありますが,基本的には理化学研究所との覚書,これに大きく違反をしてしまった。これからは一番心配するのは共同研究をやる理化学研究所の和田所長との関係でございます。その辺は多少表現といろいろ奥行きの深い部分で心配をするところでございますけれども,いずれにしても国の機関でありますので,これから市大の事務局なり医学部の方で最善の努力を傾注することが恐らく事件の方を理解を示していただけるような気がいたします。

 したがって,我が市大としてはこういうことが二度と起きないという立場に立って,どうしても市民は患者の取り替え事件から一連の事故というふうにどうも受けとめてしまう。しかし,中身は中身でいろいろあり,今回については,つくばの方での共同研究の関係で,しかもそれがアルバイトの研究生であった。こういうことで盲点があったことも事実でありますが,市民側からとればやはりこれからは信頼の回復を最大限に努力をしなければいかん,こういうふうに考えるわけであります。

 これからも引き続き,大学の自治を踏まえつつも教員の研究活動をサポートするため早急に事務当局の体制の強化を図らなければならないのではなかろうか。例えば適正手順や医療訴訟ということもこれから考えられるわけでありまして,広報,報道,こういうことも慎重に扱わなければならないだろう。こういったことに適正に対応するために体制をいかに確立するのか,今のこの実態でいいのかどうなのか我々も危惧するところでございますので,この点について事務局長は市大全体としてどのように考えているのかお尋ねをいたします。



◎(大場事務局長) 一連の医療事故,あるいは今回の不祥事が起こりまして,大学としての市民に対する信頼度が大変低下したわけでございます。これに対して我々としてはその都度信頼回復に向けて一生懸命努力はしてきましたけれども,まだまだ努力が足りないということでございまして,今後一層市民の市大改革に向けて,大学全体として取り組んでいきたいと思っております。

 そうした中でやはり大事なのは,教員と事務職員,事務局とのそれぞれの役割認識の上に立ったパートナーシップを本当にやっていくことだというふうに思っております。そういう意味では,教員の方々の御理解もいただきながら,なおかつやはり事務局としてもきちっとした自覚と責任のもとにしっかりした体制を構築しながらこうした問題に対処していく必要があるだろうと思っております。

 先生からいろんな角度,いろいろな事務局の体制強化についてのお話がございましたけれども,一つ一つごもっともなことだというふうに私は思っておりまして,そうしたことを具体的にシステムとしてきちっとつくり上げながら,事務局として精一杯の努力をしながら進めていく必要があるかと思います。そういう意味で,今後,教員と事務局相互の意思疎通をこれまで以上に図りながら今のような目的に沿って事務局自身の機能強化を図りつつ,大学全体のために我々も一生懸命努めていきたいというふうに思っておりますので,どうぞ先生方の御協力をお願いしたいと思います。



○(中川委員長) 他に発言もないようですので,本件についてはこの程度にとどめます。

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△閉会宣告



○(中川委員長) これをもちまして委員会を閉会いたします。

閉会時刻 午後6時09分

               大学教育委員会

               委員長 中川俊介