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神奈川県 横浜市

平成13年 福祉衛生環境保全委員会 P.1  03月26日−11号




平成13年 福祉衛生環境保全委員会 − 03月26日−11号









平成13年 福祉衛生環境保全委員会



                福祉衛生環境保全委員会記録

◇開会年月日       平成13年3月26日(月)

◇場所          市会第一会議室

◇時間          午後1時02分開会

             午後2時15分閉会

◇出席委員        11人

  委員長        小幡正雄君(民主党)

  副委員長       横山栄一君(自民党)

  副委員長       中島文雄君(共産党)

  委員         福田峰之君(自民党)

  委員         山田一海君(自民党)

  委員         今野典人君(民主党)

  委員         横溝義久君(民主党)

  委員         大滝正雄君(公明党)

  委員         手塚静江君(公明党)

  委員         中家治子君(共産党)

  委員         宗形もと子君(ネット)

◇欠席委員        なし

◇傍聴議員        なし

◇出席理事者

  助役                藤井紀代子君

 (衛生局)

  衛生局長              鳥羽和憲君

  総務部長              渡邊興三君

  医療対策部長            酒匂芳興君

                       ほか関係職員

◇市会事務局

  委員会係長             内田康一君

  議事課書記             藤田健一君

  調査課書記             山岸左近君

◇議題

  衛生局関係

   1 市第169号議案 旧横浜市愛児センターにおける麻酔投与事故についての和解



△開会時刻 午後1時02分



△開会宣告



○(小幡委員長) これより委員会を開会いたします。

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△市第169号議案の審査,採決



○(小幡委員長) それでは,衛生局関係に入ります。

 市第169号議案旧横浜市愛児センターにおける麻酔投与事故についての和解を議題に供します。

   市第169号議案   旧横浜市愛児センターにおける麻酔投与事故についての和解



○(小幡委員長) 当局の説明を求めます。



◎(鳥羽衛生局長) 市第169号議案旧横浜市愛児センターにおける麻酔投与事故についての和解について御説明させていただきます。

 本件は,旧横浜市愛児センターにおいて,平成11年3月中旬に発生いたしました麻酔投与事故についての和解議案でございます。

 本年3月中旬,事故の相手方との和解の協議が調いましたので,急遽市会日程に追加させていただき,本日お諮りさせていただくものでございます。

 議案書の3ページをごらんください。

 事件の概要についてでございますが,平成11年3月中旬に患者さんが出産のために旧愛児センターに入院されました。しかし,陣痛が弱く,疲労が激しかったことから,痛みを和らげ休息をとることを目的に,陣痛室で硬膜外麻酔という部分麻酔を施行いたしました。

 麻酔後,医師はカルテ記入のため,すぐ近くのナースステーションに行っていたところ,数分後に気分不快の訴えがあり駆けつけましたが,会話途中で意識を消失したので酸素マスクをつけました。その後,呼吸が停止したため,気管に管を挿入し,手動で空気を送り込みながら手術室に搬送して人工呼吸器を装着しました。このため,通常のお産は無理と判断し,御家族の同意を得て帝王切開を行いました。赤ちゃんは無事出産しましたが,母親の意識が回復せず,他病院の集中治療室に転院させました。

 現在の状況ですが,患者さんは自発呼吸はあるものの,意識は回復しておりません。

 事故の原因につきましては,麻酔を実施する際に,部分麻酔が広範囲に拡大して呼吸筋が麻痺し,呼吸停止となり,低酸素状態によって脳にダメージを与えたものと考えられます。

 麻酔後は,一定時間継続的に患者さんを観察すべきところ,その時間内に医師が患者のそばを離れたため,容体の変化に気づくのがおくれ,呼吸停止に対する処置がおくれたものと考えられます。

 その後,平成11年12月になって,相手方から弁護士を通して横浜市に対する請求事項が出されました。本市といたしましては,この事故を重く受けとめ,誠実に対応する必要があるものと判断しました。そこで,本市も弁護士を通じて患者さん及びその御家族がこうむった損害や今後の対応等について交渉を重ねてまいりました。この3月に入りまして和解に関する協議が調いましたことから,議案として提案させていただいた次第です。

 1ページにお戻りください。

 1の和解の当事者ですが,相手方は,甲1が南区在住の30歳代の女性,この方が患者さん御本人で,甲2,3,4が,その夫と御両親でございます。なお,御本人の意識が回復されていないため,夫が成年後見人となられております。本来ならば,相手方の住所,氏名等をお示ししなければならないところでございますが,患者さんのお子さんに与える影響や患者さんが入院継続中であることなどから,御家族からのプライバシー保護の強い要望に配慮いたしまして,このような表現にさせていただいておりますので,御理解を賜りますようお願い申し上げます。

 2の和解条項についてですが,(1)は本市が事故の発生を衷心から謝罪すること,(2)は患者さん御本人に対する賠償金についての規定でありまして,アは満67歳まで就労可能とした場合に得られたであろう収入の補償として4,150万9,284円,イは症状がおおむね固定するまでの半年間,御家族が毎日病院で付き添っておられましたので,その入院付き添い看護費として107万4,000円,ウは症状がおおむね固定するまでの半年間,入院に伴ってさまざまな費用が発生いたしますので,その入院雑費として23万2,700円,エは後遺障害1級に認定されていますので,その後遺障害の本人慰謝料として2,600万円,合計6,881万5,984円を支払うことを定めております。

 (3)と,(4),(5)は,患者さんの夫,父親及び母親に対して各200万円,計600万円の慰謝料を支払うことを定めております。(6)は,患者さん御本人への医療提供について,市立病院において従前同様に万全の態勢で誠意を持って行うこと。(7)は,その医療費は今後その一切を請求しないことを定めております。

 (8)は,将来,患者さん御本人の容体の変化等によって,自宅介護を後見人が望んだときには協議をすること。(9)は,(8)の協議に基づいて自宅療養が決定し,将来,付き添い介護費の発生が見込まれる場合には,その補償について協議することを規定しております。(10)は,本件事故に関し,本和解条項以外に債権債務関係がないことを確認すること。

 以上のとおりの和解内容となっております。

 議案についての説明は以上でございますが,今回の事故の関係者に対する処分につきましては,このたび和解の協議が調ったことを契機といたしまして,今後二度とこのような事故を起こさないように強く戒めることが適切と判断し,先日,主治医等3名に対して市長名で文書によって行いました。

 その内容ですが,主治医には,既に本市を退職しておりますが,文書による説諭を行いました。当時の所長には,これも既に本市を退職しておりますが,文書による注意を行いました。当時の診療担当部長には文書による訓戒を行いました。また,関係職員への求償に関しましては,本件の事故では,1として,硬膜穿破により患者が全脊髄麻酔の状態になることは稀であること。2番目に,母親と胎児双方の生命の保全を図る必要があるという困難な状況下にあったこと。3番目に,容体急変後の医療的処置はほぼ適正に行われていること。これらの事情を考慮いたしますと,結果は重大ではありますが,本件事故の当事者に故意または重大な過失があったとは認められないと思われますので,求償権を行使するまでには至らないものと考えております。

 事故後の再発防止の取り組みについてですが,市立病院に対して,麻酔実施時の対応として,患者さんの観察を十分に行うこと,万一の急変時にも万全な処置がとれるよう救急セットの準備などに怠りがないか点検することなどの指示をするとともに,マニュアルの整備を行いました。

 また,今後この事故について他の医療機関にも医師会や病院協会等を通じて情報提供等を行い,類似事故の防止に努めてまいりたいと考えております。

 説明は以上でございますが,今後とも患者の安全に対する意識を職員1人1人に徹底させるとともに,常に組織やシステムを見直し,個人及びシステムの両面から安全管理対策を確立し,市立病院全体において市民から信頼していただける医療の提供に努めてまいりますので,引き続き先生方の御指導をよろしくお願い申し上げます。



○(小幡委員長) 質疑に入ります。



◆(中家委員) この議案については,関係者間で和解の協議が調ったということなので,そのことについてどうのこうのと言うことではないんですけれども,今局長がおっしゃったように本当に大変な事故で,このようなことがまた起こっては大変なことであるという視点からいくと,再発をどう防いでいくかを考えていかなければいけないと思うんです。

 今,麻酔時に患者さんをよく観察することですとか,緊急の場合についての救急セットを用意することとか,マニュアルの整備というのはおっしゃっていましたが,もちろんこれは基本的なことだと思うんですけれども,そういうマニュアルがあっても,それをどう生かしていくのかということでは,日常の中での研修が必要ではないかと思うのです。その必要性ですとか,そういう体制をつくっていくためには行政が何らかの対応をしなければならない部分があると思うのですが,その点についてどう考えていらっしゃるのかお聞きしたい。



◎(鳥羽衛生局長) 平成12年4月に,各病院に統括安全管理者と安全管理指導者を新たに任命いたしまして,安全管理対策委員会というのを設置しております。この委員会を中心にして,いろいろ問題であるような,あるいは患者さんの安全に問題が起こるようなケースをきちんとそれぞれの部署ごとに点検して,その中で防止策について院内全体での合意が図れるような対策を練っていくという実務的な仕事もしていただいております。

 また,この委員会を中心にして,職員の研修としてどういったものが必要であるかとか,これまでにも出てまいりましたが,ヒヤリ・ハット事例,これはインシデント事例と言いますけれども,そういったものに対する分析であるとか,それを院内に情報提供することによって職員の意識の向上を図るという点でも努めてまいりましたし,今後また,それについてしっかりとやっていきたいと考えております。

 なお,8月26日に,市立病院の管理者研修を,医療におけるリスクマネジメントというテーマで,外から講師の方をお呼びして,職員に研修を行っております。



◆(中家委員) 再発防止の視点から,他病院への情報提供も行うということですけれども,これは具体的に,そういう情報提供をするときのマニュアルが既にでき上がっていて,それに基づいて情報を出していくということになっているのでしょうか。



◎(鳥羽衛生局長) まず,こういう事故に関しての私どもの取り組みがどうであったか,各病院の取り組み体制はどうしていたか,そして,その中で特に注意しなければいけないこととして,今後変えていくこと,あるいは,これを契機に変えたことはどういうことであるかというような,実際に我々が行った対策を中心に情報提供したいと考えております。



◆(中家委員) 現場の看護婦さんも医師の方も含めて,実際に携わる方たちの中で,そういう事故をどう防いでいくかという視点で今局長はおっしゃったと思うんですが,そういう意味で言いますと,マニュアルはあるけれども,いざと言うときにそのマニュアルが生かされないような状況であるならば,また同じことが繰り返されることが懸念されるわけです。そういうことをでき得る体制というんですか,それは例えば安全を確保していく上での人の配置の部分とか業務自身がどうなのかということ,それから研修の体制をもう一度見直していくことが大事かなと思うのです。そういうことを要望したいと思いますけれども,改めてその点についての御意見を伺って終わりにしたいと思います。



◎(鳥羽衛生局長) 御指摘のように,自分たちの仕事の目的をきちんと持ち,安全管理のための意識を高めていただくような,実際に仕事に携わっている人たちにとって有用な研修あるいは情報の提供は非常に大事なことだと思っておりますので,今後ともそういうところには十分力を入れていきたいと思っております。



◆(大滝委員) この間いろいろと議論もしましたが,改めて,もう一度確認しておきたいと思います。

 医療行為の人為的なミスということについて,先日の委員会のときの見解が幾つかありましたけれども,改めて,これは人為的なミスであるという理解でよろしいですね。



◎(鳥羽衛生局長) おっしゃるように,人為的なミスと考えております。



◆(大滝委員) そこで,代価といいますか,やはり市税からこれだけ多額のものをお支払いしなければならないわけですが,人の命とか人の一生というのはお金にかえられる話ではありません。この金額の多寡という話ではないだろうと思いますので,私は,その多寡の問題を言っているのではないわけであります。問題は,現在,南区在住の30代の女性の方ということですが,もしこれが納税者の一般市民の皆さん方が,自分であったら,あるいは自分の家族や親族であった場合のことを考えますと,例えば和解ですから,和解が成立したということで,処分のあり方の問題については,一般の市民感情から言って,本当にこれが適当なのだろうか。そして,本当にこれ以上こういう問題は起きませんよということになっていくのか。私は漠然とでありますけれども,そういうことを考えるものですから,こういうものなのかということで済ませたくないと思うんです。

 私は議員をして23年目に入りますが,常任委員会において,こうした医療の和解に関しての審議に加わることがなかったものですから,この機会に改めて伺っておきたいと思います。私は,実は今,医療法人の理事をしています。民間病院だったら,恐らくこの先生は,どこかに行くかもしれませんがその病院にはおられないだろうと思います。今回の主治医の先生は文書説諭,所長は文書の注意ということで,いずれも退職しておられるということです。この方々は,差し支えない範囲で結構でございますが,退職後どこに行っておられますか。



◎(鳥羽衛生局長) 主治医は,本市以外の病院に勤務しておりますが,勤務先の事情もございますので,病院名についての公表は控えさせていただきたいと思います。当時の所長は,やはり民間の病院に移っております。



◆(大滝委員) いずれも退職しておられますから,給料の問題といったことに関してはわからないかもしれませんが,この事故を起こして以来,ほかの病院に転院されましたから,何かお医者さんとしての,精神的な問題はともかく,それは自分が起こしたことですから相当落ち込んだでしょうし,本当に反省している気持ちもあるかもしれません。しかし,実害という面で,これは実害という言い方がいいか悪いかわかりませんが,そういう事故を起こした直後,それから病院をかわるまで,そのお医者さんの給料の問題といったことについては,これは知り得る範囲で結構ですが,どうなっていますか。



◎(鳥羽衛生局長) 主治医の給与の問題につきましては,特に変更があったということは聞いておりません。



◆(大滝委員) つまり,こういうことは市民感情に沿うのかなということなんですよ。公的病院で事故を起こしたら,その病院をやめれば,それでそれは終わってしまう。やめて,文書で説諭される,あるいは注意されるだけで処分が済んでしまう。ここでももちろんプライバシーにかかわる問題でもありますから,余りそのことを追及しようとは思いませんが,どこに行ったかも,それは関係している病院とか専門の職にある人たち,関係ある人たちにはわかるかもしれませんが,それでもう一般市民にはわからない。しかも,議案の中にそれが出てくるわけでもないですから,お互いにわからない。一方の家族は,家族挙げて生涯にわたって奥さんの面倒を見ていかなければならないんです。そして,生まれた赤ちゃんも,お母さんとの感情的な交流といいますか,本来の親子関係が絶たれたまま,成長しなければならない。こういう状態が現実の問題としてあって,そして多額な市税で補償が支払われて,この方たち御本人は文書によるところの説諭とか注意で終わってしまう。この議案が,この常任委員会で可決されて,本会議で可決されたら,もうそれで終わり。これは一般市民感情から言って,それに合うのか。公的病院における信頼は,それで本当に回復されるのか。事故再発は,これから絶対にないと言い切れるのか。そのたびに,こういう形でしか決着がつかないとすると,私は何ともむなしいものが残るんです。

 だからどうすればいいんだという,私は今,自分でここで結論は出しにくいけれども,局長はどう思われますか。私は市民感情に合わないと思いますよ,これ。公的病院でのこういう事故というのは,結果的に,最後にこういう形でともかく終わっていくということがあるから,逆になかなか再発防止にならないということになっていくのではないですか。冒頭に私が,医療ミスですか,人為的なミスなんですか,とお聞きしたのはそれなんですよ。例えば市会議員が,市民の判断にそぐわないようなことになった場合,これは市会議員として仕事をすることができなくなります。これは市会議員だけではなくて,資格を持っている人,公的な立場にいる人というのは,そういうものだろうと思うんです。私は,もっと厳罰に処しなさいということを言っているわけではないけれども,何かあるたびにこれで終わっているんだとすると,それは問題だという意識を持たないところが問題だと私は思うんですよ。それをどうかと今局長に聞いているんです。



◎(鳥羽衛生局長) 先生のお怒りは本当によくわかるんですけれども,私どもとしましても,私どもが真っ先に取り組まなければいけないことは,まさに再発防止であると思っております。そのために,できる限りのいろいろな対策として,それは個人の意識の問題が一つあります。もう一つ大きく言えば,組織の体制の問題として事故が起こりにくいシステムを確立していくことがあります。それを,私どもの内部だけの検討に終わらせるのではなくて,外部の専門家も交えた形で評価をしていただいたり,それに対するいろいろな御意見をいただいたりして,私どもの市立病院における事故が本当になくなっていく方向に向かって精いっぱいの努力をすることに尽きると思っております。



◆(大滝委員) 局長の立場では,そこまでしかお答えできないのだろうと思います。いろいろなマニュアルをつくったり,事故が起きるたびにそういう形の体制だけは整えていくんですけれども,でもそれで解決して,次に起こらないというのは何もなくて,結果的にこうやって起きているわけですね。その時々の局長は,また新しいマニュアルなり新しい何かを考えて,以後こういうことが起きないように注意しますということで終わっていく。特に命を預かる専門職というのは,こういう形で終わるのが本当にいいのかというのを,どこかの機関で,何らかの機関で考えていかなければならないのではないのか。そうでないと,余りにも命が軽過ぎますよ。

 だから先日のこの常任委員会での発言の中でも,あれはミスじゃなかったんだとお医者さんが開き直っちゃうんですね。素朴な疑問で,それは違うでしょうと言っても,いや,そうじゃないということになるわけで,本質的にそういうものがあるんだとすると,これは全く消えないなと私は思わざるを得ない。しかも出た結果がこういう結果だということになると,これで,こういう内容まで含めて市民に公表されますか。されないんですよ。

 家族の方は,自分のプライバシーの問題もあるし子供のこともあるから,名前を伏せてくださいねと言ってこうしますが,同じようにお医者さんまで名前を伏せられて,どこへ行ったかもわからなくて,1年もたてば全然わからなくなる。そのお医者さんそのものは,個人の痛みはあるかもしれませんけれども,全く社会的な制裁といったものがないままこれからともかくお医者さんとしての役目がずっと継続して行われていく。こういうことでいいのかと私は思うんです。



◎(鳥羽衛生局長) 主治医につきましては,当時,非常に大きな悩みを持ち,すごく悩んでいて,上司の方などに,もう医療職としての仕事をやめようかとか,いろいろなことを悩まれたということは聞いております。そういう意味での本人が感じている責任と,その内容についての重大さというのは,確かに個人的なものではありますけれども,本人にとっての非常に大きな自戒の源になっているとは考えております。

 それから,私どもの取り組みの中でもう一つ追加させていただきますけれども,今回,公表基準という形で,医療事故に関してオープンにする考え方,その基本をきっちりするということは,やはり私どもの取り組みの姿勢として,こういった幾つかの条件を満たす事故についてははっきりと公表していく。そのことが,医療に携わる者にとって,特にそれぞれの仕事のプロセスの一つ一つをきちんとチェックして,事故が起こらないようにするという自戒をきっちり持って仕事をするということも一つの大きな契機にはなると考えております。



◆(大滝委員) これ以上はやめましょう。いずれにしても,この硬膜の穿破は極めて事例の少ないものではあるけれども,しかし,これだって注意すれば防げるものと理解していいですね。



◎(鳥羽衛生局長) すべての硬膜穿破が防げるかどうかは,専門家の意見も聞かなければいけないことですが,絶対起こらないようにするというのは,なかなか難しいことかと思います。ただ,穿破をした後に,どういう麻酔法を適用するかということ,その穿破の害が実質的に今回のような脊髄全体の麻痺に及ぶような麻酔薬の効き方にならないようにする方法は幾つかあり得ますので,そういったものについての考え方なり選ぶべき基準というのを,それぞれに仕事をする人たちがきちんと認識してやっていただくことによって,穿破をもとにした事故を防ぐことは十分できることだと考えております。



◆(大滝委員) 私としては,非常にやり切れない感情的なものがありますけれども,先ほどからも議論があったように,絶対に次にこういうことが続かないという手だてを,少なくともしっかりととってもらいたいと思いますし,処分のあり方についても,従来の例とか,こういう形で済まされるということについて,これでいいと私は思っていない。何らかの新しい方法を考えていくべきだと思いますよ。そうでないと結果的にこういう問題というのは防げないと思います。命を預かる人であればあるほど厳格にすべきだと私は思っています。私の意見です。



◆(福田[峰]委員) さっき説明の中に,求償権という言葉があったと思うんですけれども,これはどういう意味なのか,まず教えてください。



◎(鳥羽衛生局長) これは,法律用語といいますか,もともとは国家賠償法などで国とか公的機関が,例えば今回のケースのように和解あるいはそのほかの要件によって賠償金を支払った場合に,その一部ないしは全部を当事者,このケースで言えば主治医に対して求めることと御理解いただければと思います。



◆(福田[峰]委員) 大滝委員の話にもあったと思うんですけれども,私が一つお聞きしたいのは,先ほど局長が,これはミスだとおっしゃったと思うんです。例えば,ミスが起こったときに,現職の医者であれ,あるいはこういうふうにやめられた医者であれ,ミスを起こしたときにはこういう処罰があるという,そもそもそういう規定みたいなのものはあるんですか。一般的な,例えば交通違反であれば,駐車禁止は3点減点だというような,一つの基準みたいなものはあるんですか。それをお聞かせいただきたい。



◎(鳥羽衛生局長) 特にそういう形で細かく,きちんと定まっているものはございません。



◆(福田[峰]委員) そうしますと,どういう基準で今回のこの処分が,例えば文書による云々となったのか教えてください。



◎(鳥羽衛生局長) 先ほどの求償に関しましては,その請求をする場合には,故意または重大な過失があったときに求償権を行うことができる旨規定されております。今回のケースについて考えてみますと,硬膜穿破によって患者が全脊髄麻酔の状態になることはまれであること,母親と胎児双方の命の保全を図る必要があるという非常に困難な状況下にあったこと,そして容体急変後の医療的処置はほぼ適切に行われていること,そういったことから,故意または重大な過失に該当するとは考えられないと判断しております。

 なお,これは,基本的な考え方としては国家賠償法を適用する場合でございますけれども,医療に関しましては国家賠償法の範疇で考えるべきことではないという考え方がございます。ただ,考え方としましては,国家賠償法の考え方と均衡を図る必要があると考えておりまして,それに基づいて判断いたしております。

 なお,他都市での事故につきましても調べてございますけれども,調べた範囲では,こういうケースで求償したということはございませんでした。



◆(福田[峰]委員) 重大な過失かどうかという判断は,どういう基準で,だれが決めるのか教えてください。



◎(鳥羽衛生局長) 最終的には,判例という形で何らかの裁判が行われたケースのときに,それぞれについてどういう判断が裁判所によって下されたかが一番大きな基準になろうかと思っております。



◆(福田[峰]委員) そうしますと,今回のものも,どこかほかで起こった判例をもとに,こういう形での処分を決めたという理解でよろしいのでしょうか。



◎(鳥羽衛生局長) これまでのそういう判例であるとか,先ほど申し上げましたような他都市における求償の事例がないといったことを参考にして決めさせていただいております。



◆(福田[峰]委員) 大滝委員もおっしゃっていたように,今まで医療ミスという形では,なかなか表に出づらいこともあったという現実もありますし,こういう形で出てきたのは最近のケースでもあるわけです。私は,先日の委員会のときにも話をしましたが,例えばほかの医者ではない形の中では車で人をひいて殺してしまった云々というような場合には,業務上過失致死罪みたいなものがあるように,それは,やってしまったことによる個人の悩みとかつらさというものはありますけれども,それとは別に,さまざまな形で社会的な制裁を受けるのが一般的な考え方だと思うんです。医療の場合は,そういう例を引き合いに出してみると,私は個人的にというか,多くの方々もそう思っているのでしょうけれども,本来命を救うべき仕事であるがゆえなのかもしれませんが,命の重さがちょっとだけ軽くなってしまっているのではないかと思っているのが市民感情ではないかと思うんです。

 これは,今,文書の形が一般的だと言われるかもしれませんが,例えば給料も下がらずにやめまして,本市の病院にいないから文書でとりあえず注意すればいいという形で,これも一つの判例とは言わないけれども,同じようなことがあったときの一つのケースとして見られて,ほかで同じことがあったときに,今回はこういう形だったから,また同じようにそれでやっていこうというふうに積み重なっていくとなると,私は非常に怖いし,非常に残念だし,どんどん一般の市民感情からかけ離れていくような気がしてならないんです。そういう部分においては,今回の事件の責任者に対する処分の仕方というものが,これ以降の一つの参考になってしまうのか。その辺はどうなんでしょうか,教えてください。



◎(鳥羽衛生局長) 御指摘の点につきましては,これまで確かに過去の事例がいろいろな面での参考になっておりますし,先ほどの国家賠償法の考え方も,私どもが参考にしてきたものでございますけれども,今後のあり方につきましては,総務局ともよく調整してみたいと思っております。



◆(福田[峰]委員) 偶発的に起こってしまったというのであれば別ですけれども,医療ミスが起こって,それを本当にミスだとお認めになった場合においては,今までがどうだというのではなくて,今,社会が大きく動いている中で,一般的に見たときにどうなんだという,例えばこういう場合はこういうふうに責任者に何かを求めていこうというある種の基準的なものを一つつくる。それに応じて,そこから例えばお金の話だとか,いろいろな責任のとり方というのが出てくると思うんです。今,総務局ともというお話がありましたけれども,難しい部分はあるかもしれませんが,難しいと言って逃げるわけにもいきませんから,医療ミスに対して,このミスだとこういうものだという,一つの判断基準を,ぜひこの機会に検討して確立していただきたいということを要望で申し上げておきたいと思います。



◆(横溝[義]委員) 今回提案された議案については,被害を受けた方々について名を伏せてやるということについては了承したいと思いますけれども,先ほど来,大滝委員からも声が出ておりましたように,この問題について,このままでいいのだろうかと僕も疑問に思っております。ということは,今回もこれだけ高額の税金で賄わなくてはならないことに対して,我々議会としても,どういう理由で,どういう人がこうやって,こういうふうになったということを完全に理解した上で,やむを得ずこれだけ公金を出さなければいけないというならいいんですけれども,被害に遭った方々は,プライバシーの関係で名を伏せてくれ。しかし片方は全然出てきていない。

 今回は和解なるがゆえにこういうスタイルが出るんですけれども,これは本来ですと,司直に委ねて,例えば有罪となって賠償額も決められたりした場合には,これは全部公になるわけですよね。双方とも明確になります。だから,今回,この決まったことについては言いませんけれども,和解ということ自体では,再発防止どころか,それをまた,もう一度やってくださいよということで,お金にしても,名誉にしても,片方では何もとがめられていない。このような状況であるならば,また同じことが出るのではなかろうか。

 特に,麻酔については,確率は低いけれども,たまにはしようがない,避けることができないことだと前回の委員会でも先生から話がありました。それともう一つ,今回の決定的なものは,麻酔を打って,その場を離れてしまった。麻酔が本当に効いたかどうか,その場で症状を確認した上で次のステップを踏めば,もしかしたらこれはなかったかもしれない。こういう状態にはならなかったのではなかろうかということで,席を外したことが一つの原因ということで,先ほど来話があるわけです。ということは,重大な欠陥を犯したということですね。医師としてあるまじき行為によって,このような事象が発生したということですよね。それに対して,先ほど大滝委員からも言われたように,片方は名前も出てこない。例えば,これだけの補償をしたにもかかわらず,こういうときにはよくある1年間10%の減給だとかいったものもない。お医者さんが一番怖いのは名前を公にされることだよね。これは資格ですから,公にされた場合に,資格を持っていても,ああ,前科があるということになったら患者さんはつきませんよ。何もされなかったら,また再発します。

 そこで,今回のことについてはいいとしても,今後に改善を図る,図ると言っているんだけれども,この辺を何らか明確にしておかないと。市長がトップですからいつも市長を相手にしてやっていますけれども,実際に携わった加害者を明確にした上で何らかの処置をしないと再発防止にはつながらない。どんなきれいごとをやって打ち合わせをしようが,また同じような方法で処置されるのならば何も怖いものもありませんよ。そのときは一瞬,精神的に参るかもしれない。しかし,被害に遭われた方は,お子さんが成長し,今,長寿の時代ですから80歳まで生きられる。その間,お父さん,お母さん,それから御主人は大変な苦労をなさる。片方は,すぐ忘れるかもしれない。ということで,ぜひ再発防止について,今の状態では,どんな打ち合わせをしようが,絶対再発防止にはならない。明確にされることが一番怖いんです。そういう方法をぜひ検討していただきたい。これは意見として述べて終わります。



◆(宗形委員) 出産時の事故ということで気になるものですから,ちょっとお聞きしたいんですが,硬膜外麻酔というのは,この状況でどうしても必要なものだったのでしょうか。



◎(鳥羽衛生局長) この方の場合には,陣痛が非常に弱かったということで,なかなか出産のところまで行きにくいということがあり。そのために非常に疲労されて,くたびれてしまっていたということ。それから,痛みが非常に強かったということがあって,その痛みを和らげることをしばらく行って休息させないと,十分に陣痛が強くなって,お子さんが生まれることが難しくなるという判断で,御本人にもお話しして,この麻酔を行ったと報告を受けております。



◆(宗形委員) 硬膜外麻酔が出産のときに行われるのは聞いているんです。ただ,陣痛促進剤などもそうですが,病気ではないけれども,最近は出産のときにいろいろな薬が投与されたりして,これが実は病院側とか医療側の都合でされることも結構多いんです。私もそれを経験しています。だから,御本人にも説明はしましたというお話ですけれども,やはり説明をきちんとして,同意を得て,しかもそれが必ず必要で,ほかの方法がなかったということで行われていたかが一つありまして,やはり麻酔というのは,ほかの例でもかなり重大な事故にもつながりますから,今後も気をつけていただきたい。

 それから,この件で先ほど局長から公表基準のお話がありました。今月30日に,患者の安全管理に関する評価委員会へ公表基準の意見をお聞きして,衛生局でも公表基準を実施するとお聞きしているんですけれども,その辺は間違いないですか。



◎(鳥羽衛生局長) 私どもの公表基準に関する考え方というのは,これまでにも一緒に議論するようなこともございましたので,先に出ました市大の公表に関する考え方の基本を合わせて,衛生局の中でつくってまいりました。ただ,衛生局は,患者の安全管理に関する評価委員会におきましては,そういった私どもがつくった基準に照らしていろいろ参考意見をいただくとか,また検討していただきたい事例があった場合には,御意見をいただくために評価委員会に出させていただくということでして,評価委員会で決めていただくということではございません。



◆(宗形委員) そうしますと,評価をいただいて,実施は4月1日からになるわけですか。



◎(鳥羽衛生局長) そのとおりでございます。



◆(宗形委員) 市大のものに準じてというお話ですけれども,市大の方からは,公表についてということで病院改革委員会からもう既に出されているんですが,ほぼこれに沿ったものになると考えてよろしいのですか。



◎(鳥羽衛生局長) 基本的な考え方は,それと同じものと考えていただいて結構です。ただ,市大の場合には,市大という事情に応じていろいろな文言が入っていたりそれに応じた考え方もありますので,文言整理といった部分では,私どものものとは少し違ったものになる部分もございます。



◆(宗形委員) 市大のときにも,公表するかどうか医療事故判定委員会に意見を聞くことになっていて,諮問するかどうかを決めるのが病院長であるとなっているんですけれども,その辺の考え方も同じですか。



◎(鳥羽衛生局長) 考え方は同じで,病院長でございます。ただ,この委員会は衛生局長の諮問によってこたえていただくという委員会にもう既につくってありまして,そうなっておりますので,実際に諮問いたしますのは衛生局長になります。ただ,病院長からそういう諮問をしたいということをいただきましたらば,必ずそれは諮問すると定めております。



◆(宗形委員) そうすると,諮問するか,しないかを決めるところまでは,病院長も含めて病院の中で決まると考えていいわけですね。



◎(鳥羽衛生局長) 現在,病院には統括安全管理者,安全管理責任者というのがあって,安全管理のための委員会がございます。まず最初にそこが,それに関してのきちんとした考え方なり分析をしていくことになると思いますので,病院長個人というよりは病院全体の判断と考えていただいてよろしいかと思います。



◆(宗形委員) 今回の事故については,2年近くの間公表されなかったわけですけれども,先ほどの医療ミス,人為的ミスがありましたというお話から考えても,市大の公表基準の1番の,過失による医療事故で治療しても治癒しないとか相当の有害な結果を生じた場合に当てはまるわけですから,これは当然,公表するか,しないかが速やかに決められなければならないと思うんです。今までは,全く公表基準がない中で2年間,表に出ないでやってきたことが,公表基準を設けるけれども,それを諮問するのは病院長ということですが,その辺が大きく変わるということは大丈夫なんですか。



◎(鳥羽衛生局長) 大丈夫という意味がちょっとよくわからないのですが,私どもの解釈で答えさせていただきます。市大の場合にも書いてございますが,1つは,原則としては患者さんないしは御家族の方の御了解をいただくのが,その公表基準に関して非常に大事なポイントになろうかと思います。考え方といたしましては,安全管理のための委員会で十分検討して,その上で病院長からそういう諮問をしていただいて,外部評価委員会の方にも御意見をいただいて判断するシステムになっているということでございます。



◆(宗形委員) 確かに,患者さんというか,被害者の意向とかプライバシーは第一に考えなければならないと思うんです。ただ,今までの議論を聞いていた中でも,実際に担当した医者の側も公表されないということで,2年間,全く表ざたにもならないで来たわけですね。今回の事故に関しては,こういった議論が行われるまでにも2年間が経過してしまったわけですよね。ですから,患者さんのプライバシーを大事に考えるのはもちろんですけれども,やはり第三者の意見とか,さまざまな形で公表することで変えていかなければならないというのが大変大事なところですから,それで大丈夫ですかとお聞きしたのも,それを諮問するか,しないかも病院の中で決めるということで,やはり出さないでおこうとならないか懸念してお聞きしたわけです。

 そこで,国立大学でも,医療事故が最近いろいろな形でクローズアップされているということで,公表基準を検討しているという話を聞いているんですけれども,お聞きになっていますか。



◎(鳥羽衛生局長) 検討しているということは聞いております。ただ,具体的な内容につきましては,まだ詳細は私どもまでは来ておりません。



◆(宗形委員) 私も,まだ詳しくは聞いていないんですが,先ほどお聞きしたように,今回の公表基準については,私たちはまだまだ課題があると思っています。ただ,横浜市は,市立大学のああいう大きな事故があったことから今回公表基準を早くに決め,衛生局もそれに準じたものにしたということだと思うんですけれども,今後また違った形でいろいろな議論が起きたり公表基準がほかのところで出てきたときに,これでよしとするのではなくて,またさらによりいいものにしていくような形をぜひ考えていっていただきたいと思います。これは意見として申し上げておきます。



◆(中島[文]副委員長) 今回の医療事故で,30代の女性及び家族の皆さんが大変な思いをされていることに対しては本当にお見舞い申し上げたいと思います。こういう医療事故の再発防止の点からしますと,やはり情報を速やかに公開して,原因を徹底的に分析して,そして,これによる教訓の共有だと思うんです。その3つがよく言われているんですけれども,今回の旧愛児センターの事故についてはどういう対応をされたのか,改めてお聞きしたいと思います。



◎(鳥羽衛生局長) まず,こういった類似ケースが発生しないようにするための具体的な防止策といたしましては,市立病院のマニュアル等に反映させるような情報の徹底を行ってまいりました。

 それから,この事故に関する原因究明につきましては,発生当初から,過失であるのか,本当にミスであるのかというあたりがはっきりしない部分もございましたので,そのあたりにつきましては,内部的な委員会をつくって,麻酔の専門家とか,産婦人科の専門家にいろいろ御意見を伺って,その原因を明らかにしてまいりました。それは,カルテなどを参照いたしまして,内容を経時的にきちんと整理し直して,その上で関係者にもいろいろ,当時の状況をきちんと把握して記載するという形で調査を行ってまいっております。

 それを調査した結果,この事故に関しましては,1つは穿破と,その後に行ったもう1回の麻酔が絡み合って起こった全脊髄麻酔という状況になったということと,もう一つ,もっと大きなこととして,2度目の麻酔を行った後に医師が,ナースステーションという近い距離ではあったのですけれども,患者のすぐそばを離れてしまったという2つのことが非常に大きな要素としてあって,特に後者が,最終的に,容体急変に対して迅速に対応するという点ではおくれを来したことの一番大きな原因であるということがはっきりしたという経緯がございまして,それなりにきちんとした分析と,それに基づいた考え方をまとめてまいりました。そのこともあわせまして,患者さん方から出されたこの提案に対しまして,いろいろ誠意を持って対応してきたということがございます。



◆(中島[文]副委員長) 今局長がおっしゃった対応は,どれも大変大事な点だと思うんです。それとあわせて,事故が起きた場合には,業務の見直しとか,医師あるいは看護婦の教育・研修も当然つきものだと思うんですが,今回の場合,今局長が説明されたこと以外で業務の見直しについて大変大事な点だと思うのは,部分麻酔,硬膜外麻酔であったとしても,麻酔というのは重大な医療事故を引き起こす点からしますと,今回,旧愛児センターで麻酔医師が麻酔を打たないシステムないし業務があったということについて,例えば他病院への教訓の普及だとか,あるいは参考にということで情報公開の意味があると思うんです。

 そういう点では,前回の常任委員会でも,日本の場合は麻酔の専門医が麻酔をやらないことが多いと言ったけれども,アメリカの場合はほとんど麻酔医師が打つとか,いろいろ世界的な例があるみたいです。そういう点で,今回の大きな教訓というのは,麻酔は麻酔専門医が打つようにするマニュアルというか,体制というか,業務の見直しは,一つ重大な教訓ではないかと思うんですが,その辺についてどうなんですか。



◎(鳥羽衛生局長) これは,日本という国全体で考えてみないといけない部分がございまして,麻酔の専門的な資格を持っている医師という点においては,日本全体で麻酔医が決して多い状態ではないということがございます。もう一つ,アメリカなどで行われている出産時あるいは分娩時における麻酔医の関与というのは,産科専門,分娩専門の麻酔医がいるという状況が社会的にできている環境下で行われています。日本におきましては,もちろん,これまで行われてきていないことの一つの理由に,産科あるいは分娩を専門に扱う麻酔医という形での麻酔医の養成が行われていないという現状がございます。そういう意味では,すぐそれを日本の病院でもそのまま適用するというのは,なかなか困難な課題もあると思っております。ただ,今後こういった産科などにおける麻酔につきましても,委員のおっしゃられた御意見を検討する必要はあろうかと考えております。



◆(中島[文]副委員長) 先ほどからの,再発防止の一つの手だてとして,やはり医師の責任の問題についても確かに人為的なミスとの関係で言われた点もある。これはこれなりに大事な点かもしれませんけれども,こういう問題とあわせて,一つの教訓から出て,しっかりと業務の見直しの問題,麻酔の問題も含めたり,人の命を預かる医療機関,病院ですから,マンパワーの問題も含めたり,教育・研修の問題も含めて対策をきっちりとって,ある面では人為的という小さい問題ではなくて,全体的な手だての中で医療ミスの再発を防ぐという観点も非常に必要ではないか。これは意見として申し上げて終わります。



◆(今野委員) 前にもいろいろと事故のときに御説明いただきまして,あのときは偶発的な事故なんだというお話が多かった。今回は,先ほど大滝委員から言われて,ミスという話も出ていました。それで補償の問題ということなのかと思うんですが,穿破してしまったことはあり得ることだということは聞いています。ただ,いろいろ話を聞いていまして何となく腑に落ちないのは,その場所にいて見守らなければいけないのに,そこを離れてしまったのが,今回そこにつながった一番大きな問題だと思うんです。それも言ってみたら,お医者さんであれば当たり前にしていたことだと思うんです。それを,こういう事故があったから,その場を離れないでくださいとお知らせするというか注意を促すのも,これで本当に直るのかなという感じもちょっとするんです。

 あのときの説明の中では,四,五分でしたか。例えば,ほかから呼出しがあって離れたのか,それとも本人がうかつに離れたのか,その辺のお医者さんが離れたときの状況を一回確認しておきたいと思います。



◎(鳥羽衛生局長) そのところに関しましては,医師が麻酔を行った後,それまで行っていた処置等を記載する必要があって,数メートルほどですけれども,ナースステーションに行って,そのことを記載していたということを申しております。



◆(今野委員) 今は愛児センターそのものがなくなっていますけれども,当時のシステムとしたら,患者さんを診て,そしてナースステーションで記載することが当たり前のように多分行われていたのではないかと思うんです。そういうものなのか,今回の事故を契機として,そういうものを根本的に,そこを離れなくてもちゃんと記載できる,もしくはチェックできるような体制にかえられたのか,その辺を確認したいと思います。



◎(鳥羽衛生局長) その辺に関しましての注意は,きちんと各病院に伝えましたし,麻酔が十分効いてくる,あるいは麻酔によって出てくる兆候をきちんと見きわめるまで一定時間患者のそばを離れないようにすることについては,マニュアルの中でも徹底しております。



◆(今野委員) 先ほどからのいろいろな委員の繰り返しになりますので,余りたくさんは申し上げたくないと思いますが,当たり前のことをやっていなかったということですから,和解ではなく訴訟にでも発展して長い時間がかかるのは両者にとって余りいいことでないのかもしれませんし,こういうふうに和解で,ある程度の時期で決まってしまうのがいいのかもしれませんけれども,医師の方も自分にとって,何かが振りかぶってくると言ったら変ですが,大変なことになる。経済的にも地域的にも大変なことになるということを考えられるようなことがないと,うっかり離れる,うっかりその部分だけマニュアルを忘れてしまったとか起こる可能性があると思いますので,ぜひとも今後ともその辺を,再発防止ということでお願いしたいと思います。



◆(手塚[静]委員) 先ほど,市民感情であるとか家族の気持ちという話がありましたが,最終的には2年間という月日がたち,子供も大きくなるしということで,家族の方たちもこれから大変であるけれども,一つの節目をということと,また患者が変わってこない状況の中で一つの節目をというふうに,私の家族なら,きっとそう考えるのかなと思ったんです。それと同じように,そこでは決してお金にはかえられるものではないけれども,一つの節目をつけるとなったときには,どうしてもそこにいかざるを得ないのかというのが私自身の中にあるわけです。

 しかしながら,この前の委員会でもありましたように,医師に対してはどういうことがあったのかというのを,ずっと私は疑問として持っていたんです。患者のプライバシーを守るということについてはよくわかっていたんですが,医師に対してはどういうことをしてきたのかずっと考えていたわけです。先ほど,文書での処分ということを伺って,命を預かる者の立場からいうと,ある面ではすごく軽いなという感じを受けたんです。

 それと同じように,もしかしたら私のそばの病院に,その方がいらっしゃるかもしれないと考えたときに,本当に医師そのものを信頼できるのかなというふうに,家族とか市民としてはつながっていくのではないかと思うんです。そういう面で,やはり命を預かる者に対しての厳しさというのは何らかの形で,もっときちっとしたものがあっていいのではないかということを非常に考えるわけなんです。したことに対して明らかにされて初めて,その専門家としてのもう一歩を踏み出していけるのが本来の専門家の立場ではないかと思いますので,隠すということではなくて,あったことはあったという事実の中で,そこからまた次の専門家として踏み出していかれるような方法を考えていただきたいというのが,私自身の一番の意見です。



○(小幡委員長) このお子さんは順調に育っているんですね。



◎(鳥羽衛生局長) 健康に育っております。



○(小幡委員長) 日本の今一番大事な話が,少子化対策と子育て支援策で,本市も同じような対策を立てております。先ほど来の話やそれから2月28日の常任委員会で,市民病院の部長をお呼びして委員会を開きましたが,そのときの話でも,今局長からもお答えがあったように,産科の麻酔医が日本では育っていないということがあります。無痛分娩が先行して,専門家の養成が後になっているとか,いろいろな問題があると思っていまして,この委員会でも,できれば我々の期間内にもう一度委員会等を開きたいと思っております。

 ほかに発言もないようですので,本件につきましては質疑を終了し,採決することに御異議ございませんか。

        (「異議なし」と呼ぶ者あり)



○(小幡委員長) それでは,採決いたします。

 本件については,原案どおり可決することに御異議ございませんか。

        (「異議なし」と呼ぶ者あり)



○(小幡委員長) 御異議ないものと認め,市第169号議案は原案可決と決定いたします。

 本日の審査は終了いたしましたので,事務局に委員会報告書の朗読を求めます。

        (委員会報告書を朗読)

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△閉会宣告



○(小幡委員長) 以上で委員会を閉会します。



△閉会時刻 午後2時15分

        福祉衛生環境保全委員会

        委員長   小幡正雄