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平成17年 12月 定例会−12月09日-02号




平成17年 12月 定例会

群馬県議会会議録  第2号
平成17年12月9日        出席議員 53人 欠席議員 0人 欠員 3人
   松沢 睦  (出席)       角田 登  (出席)
   田島雄一  (出席)       青木秋夫  (出席)
   大林喬任  (出席)       岩井賢太郎 (出席)
   矢口 昇  (出席)       中村紀雄  (出席)
   原 富夫  (出席)       早川昌枝  (出席)
   大澤正明  (出席)       関根圀男  (出席)
   中沢丈一  (出席)       小林義康  (出席)
   長崎博幸  (出席)       腰塚 誠  (出席)
   石原 条  (出席)       岡田義弘  (出席)
   塚越紀一  (出席)       金子泰造  (出席)
   荻原康二  (出席)       安樂岡一雄 (出席)
   南波和憲  (出席)       亀山豊文  (出席)
   黒沢孝行  (出席)       五十嵐清隆 (出席)
   星野 寛  (出席)       山本 龍  (出席)
   木暮繁俊  (出席)       小野里光敏 (出席)
   真下誠治  (出席)       金田克次  (出席)
   松本耕司  (出席)       田所三千男 (出席)
   金子一郎  (出席)       久保田順一郎(出席)
   長谷川嘉一 (出席)       須藤昭男  (出席)
   岩井 均  (出席)       金子浩隆  (出席)
   平田英勝  (欠席)       大沢幸一  (出席)
   桑原 功  (出席)       塚原 仁  (出席)
   織田沢俊幸 (出席)       中島 篤  (出席)
   伊藤祐司  (出席)       狩野浩志  (出席)
   新井雅博  (出席)       福重隆浩  (出席)
   橋爪洋介  (出席)       中島資浩  (出席)
   岩上憲司  (出席)
説明のため出席した者の職氏名
   知事         小寺弘之
   副知事        高木 勉
   出納長        後藤 新
   教育委員長      石原聰一
   教育長        内山征洋
   選挙管理委員長    河村昭明
   人事委員長      大河原清一
   代表監査委員     岸  賢
   公安委員長      青木次男
   警察本部長      高橋泰博
   企業管理者      関根宏一
   病院管理者      谷口興一
   理事(総務担当)   唐澤紀雄
   理事 (企画担当)   山本 明
   理事 (保健・福祉・食品担当)
              福島金夫
   理事 (環境・森林担当)大木伸一
   理事 (農業担当)   加藤光治
   理事 (産業経済担当) 池田秀廣
   理事 (県土整備担当) 川西 寛
   財政課長       嶋 一哉
   財政課GL(次長)  深代敬久
職務のため出席した者の職氏名
   局長         齋藤 ?
   総務課長       小見輝夫
   議事課長       高橋秀知
   議事課次長      緑川善彦
   議事課GL(係長)  得地雅彦
   議事課主幹      今泉一幸
   議事課主任      堀 和行
    平成17年12月9日(金)
                  議  事  日  程 第 2 号
                                 午 前 10 時 開 議
第1 一 般 質 問
   ・第170号議案から第196号議案について
   ・承第3号専決処分の承認について
                          以 上 知 事 提 出
   午前10時開議
  ● 開     議
○議長(中村紀雄 君) これより本日の会議を開きます。
  ● 諸 般 の 報 告
○議長(中村紀雄 君) 日程に入る前に諸般の報告をいたします。
 上程議案中、第181号、第182号、第188号の各議案について、群馬県人事委員会に意見の聴取を行いましたところ、お手元に配付しておきましたとおりの意見書が提出されましたので御一覧願います。
  ● 一 般 質 問
○議長(中村紀雄 君) 
△日程第1、第170号から第196号までの各議案及び承第3号を議題とし、上程議案に対する質疑及び一般質問を行います。
 通告がありますので、順次発言を許します。
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               本 日 の 発 言 通 告
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│氏     名│     発 言 通 告 内 容         │一問│答弁を求める者の職名   │
│( 所属会派 )│                         │一答│             │
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│金子泰造   │1 三位一体改革と平成18年度当初予算編成について │ ○│知 事          │
│(自由民主党)│2 群馬大学の重粒子線治療施設設置事業に対する本県│ ○│知 事          │
│ 発言割当時間│  の支援について                │  │             │
│     90分│3 アスベストによる健康被害対策について     │ ○│理事(保健・福祉・食品担当)│
│       │4 石田川河川敷不法投棄事案の汚染修復措置と不法投│ ○│理事(環境・森林担当)   │
│       │  棄対策について                │  │             │
│       │5 農業経営安定対策への対応について       │ ○│理事(農業担当)      │
│       │6 グリーンツーリズムについて          │ ○│理事(農業担当)      │
│       │7 土曜スクールについて             │ ○│教育長          │
│       │8 暴力団の現状と対策について          │ ○│警察本部長        │
│       │9 企業立地の動向と企業誘致への取り組みについて │ ○│理事(産業経済担当)    │
│       │10 県土整備の今後の取り組みについて       │ ○│理事(県土整備担当)    │
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│黒沢孝行   │1 平成18年度予算編成について          │ ○│知 事          │
│(フォーラム │2 ぐんま国際アカデミーについて         │  │             │
│ 群馬)   │ (1) 特区認定事業としての取り組みへの評価・見解│ ○│知 事          │
│ 発言割当時間│    について                 │  │             │
│     60分│ (2) 私学の概念について            │ ○│副知事          │
│       │ (3) 学校統計と普通交付税への算入について   │ ○│理事(総務担当)      │
│       │ (4) 支援について               │ ○│知 事          │
│       │3 3ない運動と運転免許証について        │ ○│教育長          │
│       │4 耐震強度偽装問題について           │ ○│理事(県土整備担当)    │
│       │ (1) 行政システム上の問題について       │  │             │
│       │ (2) 行政に対する信頼回復について       │  │             │
│       │5 新たな経営安定対策について          │ ○│理事(農業担当)      │
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│伊藤祐司   │1 八ッ場ダム本体工事の中止と生活再建について  │  │             │
│(日本共産党)│ (1) 治水面の効果の検証            │ ○│理事(県土整備担当)    │
│ 発言割当時間│                         │ ○│知 事          │
│     70分│ (2) 利水上の必要性の検証           │ ○│理事(総務担当)      │
│       │                         │ ○│理事(県土整備担当)    │
│       │                         │ ○│知 事          │
│       │ (3) 関係住民の生活再建            │ ○│理事(県土整備担当)    │
│       │                         │ ○│知 事          │
│       │2 群馬の二毛作を守る農政について        │ ○│理事(農業担当)      │
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○議長(中村紀雄 君) 金子泰造君御登壇願います。

         (金子泰造君登壇 拍手)
◆(金子泰造 君) 自由民主党の金子泰造でございます。本定例議会一般質問初日、トップバッターとして、自由民主党を代表して、通告に従い、順次質問申し上げたいと思います。
 御案内のとおり、本定例議会より一問一答、対面方式という質問形式が導入される運びとなり、それにつきましても、その先陣を承るということで大変緊張をいたしておりますし、感慨深いものを感じております。もとより初めての試みでございますので首尾よくいくかどうか不安もございますけれども、皆様方の温かい御理解と御支援を賜って、しっかり頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
 それでは、三位一体改革と平成18年度当初予算編成について、まず知事にお尋ねをいたしたいと思います。
 政府が地方分権推進の議論を本格化してから10年、去る11月30日、国と地方の税財政改革、つまりは三位一体改革において、初めて地方側は国から大規模な税源移譲を獲得することとなりました。内容的には、2006年度、単年度の6100億円を含めて2004年から3年間にわたる第1期改革とも称すべき全体枠で、おおむね3兆円の総額をもって合意となったと承知をしているところでございます。そこで、これをもって画期的として積極的な評価もある一方で、補助率引き下げなど国の関与が残るケースが多く、地方の創意や工夫を活かすには未だ不十分との声も聞こえてくるところでございます。
 積極的な評価のひとつとしては、他の補助金と比べて地方の裁量が広いと言われながら、建設国債の対象という理由で財務省が反対していた社会福祉施設費などの施設整備費の補助金の一部削減が認められたことを挙げる向きもあります。全国知事会や市長会など、いわゆる地方六団体など、これによって同様に建設国債が原資の下水道や農道など、公共事業の補助金削減に将来つなげたいとして期待を述べている様子が伝えられてきているところでもあります。また、義務教育制度については、その根幹を維持し、義務教育費国庫負担制度を堅持するとして、その方針のもと、費用負担については小中学校を通じて国庫負担の割合は3分の1とし、8500億円程度の減額及び税源移譲を確実に実施するという内容であります。
 こうした三位一体改革の情勢の中で、地方の予算編成作業はこれからまさに本番を迎えようとしているわけですが、景気の回復基調は連日伝えられるものの、原油価格の動向など、なお留意すべき要素も残されており、加えて財政調整基金や地方交付税なども厳しい状況と認識しているところでございます。そして、直近、本年度の上期、4―9月でございますけれども、中小企業金融公庫前橋支店の調査による業況判断指数は、前期に比べ2.6ポイント低下をし、3期連続の下落、本年度下期はプラス幅拡大の見通しとされるものの、県内中小企業の業績回復は現在なお一部足踏み状態とも表現されているところであります。
 これらを踏まえ、平成18年度予算編成に当たられるわけですが、知事には、今次示された三位一体の合意内容について、御自身の評価、印象等を交えながら、前提となる県の財政状況とあわせ、その基本的な考え方について御所見をお聞かせ願いたいと思います。

         (知事 小寺弘之君登壇)
◎知事(小寺弘之 君) 金子泰造議員の御質問にお答えいたします。
 三位一体の改革ということですが、そもそも三位一体の改革というのは、今日、国や地方公共団体にしても、戦後ずうっと右肩上がりの福祉国家を目指し、あるいは経済対策で非常に行政の量も多くなってきたわけであります。そもそも、じゃ、このまま増え続けていいのだろうかという反省、国と地方を合わせて700兆円も累積赤字があるということは、国の経済として健全だろうかという疑問がありましたし、そこで、本来、国でやるべきことはどこまでだ、それから、地方に任せることはどれだけだということで、地方分権ということが出てきたと思うのであります。
 私は、それは非常に歓迎すべきことであるし、いいことだと思いました。ただ、そこへ三位一体の改革というものが出てきた場合に、私は同床異夢の感がありました。つまり、国においては、これによって財務省を中心にして国家財政を再建しようという思いが非常に強かった。地方にしてみれば、何かお金がもらえるんじゃないかという、地方分権なんだから、それに見合う財源が来るだろう、こう思っていた。そういう同床異夢があったと思うんですが、しかし、結果的にはそういうことにならずに、国と地方との役割分担もあまり論ぜられることがなく、ただお金の数合わせだけになってしまったということが結論的には言えるのではないかと思いまして、私はあまり評価できなかったというのが結論でございます。
 もう少し詳しく具体的な数字を申しますと、今回の合意では税源移譲に結び付く国庫補助負担金の改革として6540億円程度を削減し、6100億円程度の税源移譲を行うこととされました。その内訳は、主に児童扶養手当給付費負担金、児童手当国庫負担金をはじめ、介護給付費負担金などの国の負担率の引き下げによって実現されておりまして、これはいわば義務的な経費であって、地方の自由度が高まるという性格のものではありません。
 それから、施設整備費について700億円程度の税源移譲の対象とされました。これは財務省が強く反対していた建設国債で充当する経費だから対象とならないということを言っていたわけですけれども、私はそもそもこの財務省の言っている理屈があまり納得できませんでした。建設国債であれ、赤字国債であれ、何であれ、返すのはすべて最後は国民の税金によって返すわけですから、そこによって差はないだろうと思いましたから、やっぱりここにも切り込むなら切り込まなきゃいけないというふうに思っておりました。ただ、一応それが対象になったということでありますが、地方案の5200億円程度にはほど遠く、税源移譲割合も50%に値切られておりますことから、直ちに地方の判断と責任に基づく施設整備が行われるような内容となったとは考えられません。
 それから、義務教育費国庫負担金については、私はこれについてはいささかその地方案をまとめるときにも疑念を持っておりまして、教育が大事であるということと、これが自由度が地方に高まるだろうかということを考えると、これは単なる数合わせの議論ではないかと思っておりました。ただ、一応地方案としてこれを対象にするということでしたから、私も他の団体と歩調を合わせて行動をとっておりました。ただ、今回の合意で国庫負担が2分の1から3分の1に引き下げるということになったわけでありまして、これは義務教育の根本的なそういう本質的議論はなされないままに、ただ単に国の補助率を下げると。つまり、国の関与はそのままで財源だけが、負担金だけが来ないということですから、これは大した効果はないというふうに思っております。
 そもそも三位一体の改革は、財政的な地方分権を進めるはずのものでありましたけれども、今回の合意で決着した一次改革の全体像を見ても、3兆円の税源移譲は実現するものの、地方の裁量の拡大にはつながらず、実質的には国から地方への負担転嫁になっていると言わざるを得ません。各省庁の理解も得られず、国と地方の財源争い、数字合わせとなったというようなことも残念でありまして、これは一層、国民全体に国の行政、財政はいかにあるべきか、それから、国と地方の役割はどうあるべきかということについて、もっと議論がなされなければならないと思っております。
 次に、群馬県の財政状況でありますが、平成18年度の当初予算編成の基本的な考え方についてであります。
 まず、県税収入については、議員御指摘のとおり、原油価格の動向が内外経済に与える影響など不透明なところがあります。我が国の経済は国内民間需要中心の緩やかな回復が続くと見込まれます。したがって、18年度は17年度を上回ることができるのではないかというふうに思っております。
 ただし、この地方交付税、これが問題だと思いますけれども、地方交付税は三位一体の改革の中でも「国の歳出の見直しと歩調を合わせて、地方歳出を見直し、抑制する等の改革を行う」とされております。名前は改革でありますが、これは簡単に言うと圧縮するということが私は国の狙いではないかと思っております。これはよほど用心深く見ていかないと、実質的には地方財政の全体の財源というのは非常に減額されるという恐れがあると思います。群馬県におきましても、財政調整基金など、その基金残高が減少しておりますので、18年度は17年度以上に厳しくなるのではないかというふうに予測しております。
 ただ、私たちはこういう中で、やっぱり今までどういうものに予算を振り向けていたかということを時代に合わせて考えていかなければならないと思います。肝心なことは、例えば災害対策とか防災対策、あるいは治安の回復、国民・県民の基本的な医療、それから、数は少数者であっても非常に困っている方々、そういったものの福祉とかそういうものは最低限行政としてレベルを維持していかなければなりませんし、それから、新しく群馬県を発展させていく。少なくとも、今、マクロの経済指標とすれば、有効求人倍率も1.44ということで全国第2位でありますし、企業の誘致も全国で第1位という注目されている県でありますので、この勢いを失することなく財政面からもできるだけのことをやってまいりたいと、このように思っております。
 今、これから予算編成作業にかかるところでありますが、まず各部局が主体的に予算原案を作成いたしまして、予算編成本部を通じて県庁全体が一体となって予算編成に取り組みます。それから、より県民や現場に近い県民局の主体性を重視いたします。それから、定数と予算と組織を一体として見直しします。それから、各局の基本方針などを県民にわかりやすく公表していきたいと思います。厳しい状況の中でありますが、いわゆる一律カットとか形式的な縮小とか、そういうことではなくて、大事なものは確保し、意義のあるものは予算化してまいりたい、このような方針でおります。
 以上です。
◆(金子泰造 君) ありがとうございました。
 まず、三位一体の内容についての知事御自身の印象、感想が今お話としてもたらされたわけでありますけれども、知事の日頃の政治姿勢、捉え方等から考えますと、そういうようなシビアな内容として受け止めておられる。このことについては私も想定の範囲内であったかなという感じがいたしまして、知事としてはしかりという印象だと私自身は受け止めるところであります。
 このことにつきましては、政府・与党としては、地方分権に向けた改革に終わりはないとして、平成18年度までの改革の成果を踏まえつつ、国と地方の行財政改革を今後も進める観点から、真に地方の自立と責任を確立するための取り組みを行っていくというようなことを声明として出しておるわけであります。知事が先ほど来言われているように、同床異夢というところが基本的にあると私も思います。そういう意味で、この文言をもって楽観的な見通しなり、今後の関わり合いということを考えるわけには簡単にはいかないとは思いますけれども、やはり2期改革というような表現も言われておりますが、2007年以降の改革に向けて、知事御自身は知事会の要職を占める立場でもございますので、ぜひひとつ、いろんなハードルをしっかりとクリアしていただくべく一層の御奮闘を期待し、お祈りを申し上げておきたいと思います。
 そしてまた、平成18年度の予算編成に当たられての基本的なお考えも披瀝をされました。従来の予算編成に向けての取り組みスタイルを踏襲されていると思いますし、その旨のかじとりについては私は了としておるところでありますけれども、予算編成本部というスタイルでの取り組みも軌道に乗りつつありますし、今度については県民局サイドからの県民意見、あるいは現場の要請、こういったものを肉声としてしっかり取り上げて、これを生かしていくということがさらに明快になってきているかと、このように期待をしておりますし、従来の持論でもございますめり張りをつけて、一律にシーリングというような方法ではなくて、この財政の難関を何とか知恵ある方法をもって乗り越えていくという御所見かと思います。
 具体的には予算編成過程で示される数字等を見て、改めていろいろ議論を重ねたいと思いますけれども、ぜひ県民の期待に応える予算内容となりますように期待を申し上げて、この項の質問は終わりたいと思います。
 それから、続きまして第2の項目といたしまして群馬大学の重粒子線治療施設設置事業に対する本県の支援についてを取り上げたいと思いますが、これにつきましても知事にお尋ねをしたいと思います。
 群馬大学における重粒子線治療施設設置事業については、昨年の5月に構想が公表されて以来、群馬大学当局はもちろん、がんと闘っている患者さんをはじめとして、本県の医療従事者など多くの関係者にとって重大な関心事となっておるところであります。県議会におきましても、その知識、認識を高めるため、数次にわたり、各関係施設方面への視察を実施したところであります。特に、本治療方法が患者のQOL、クオリティー・オブ・ライフ――生命や生活の質と訳していいのかと思いますけれども――に配慮され、社会復帰への期待も大きく見込まれるなど、優れた治療法と言われていることや、世界的に見ても最先端の医療技術であることなどから、話題が次第に広く県民にも及んでおり、その成り行きが注意深く見守られているところでございます。
 昨年来公表された群馬大学の構想では、平成18年度に事業化し、平成21年度には診療行為に着手するとのことでございました。そのため、本年9月における本会議において、その進捗状況を確認すべく、県の支援のあり方などが改めて質された次第であります。その答弁においては、文部科学省が平成18年度予算を財務省に予算要求中であること、県においても医療機関の人材育成の効用、県内経済への波及効果など少なからぬ利点もあることなどから、積極的な支援を行う旨の表明もなされたところであります。我々議会といたしましても非常に意を強くした次第であります。
 さらには、同じく我が党の大澤議員の第2質問に対し、福島理事より、総事業費約125億円の見込みという答弁が行われました。これに関することとしては、9月26日に開催された自民党の政調会研修会の席上、群馬大学当局より、「予算全体の3分の1程度、約40億円をぜひ地元負担としてお願いしたいのだ、そしてその内訳としては県が20億円、残り約20億円余を市町村、産業界、医療界等に要請したい。」これは大学当局の思いでありますが、率直に事業者の意向として、その研修会の場においては示されたところでもあります。
 そこで、現在、県においては来年度当初予算策定の真っただ中でありますけれども、県としてもここに来て本事業への対応を具体化しなければならない時期になっておるかなというふうに捉えておるところでございまして、県が予定されている具体的な支援とはどういった内容になるものか、知事にお伺いをいたしたいと思います。

         (知事 小寺弘之君登壇)
◎知事(小寺弘之 君) 群馬大学が進めております重粒子線の治療ということは、がんに対する放射線治療の新しい方法として注目されておりまして、世界でも設置例がまだ少なく、日本でもまだ少ないということで注目されているところであります。この前、群馬大学の学長、あるいは医学部長、そういう関係者から私とも会談をいたしまして、これは基本的にいいことであるから、両方協力して進めよう、こういう合意に達しております。
 それはなぜかというと、群馬県というのは日本の中央部にあるし首都東京にも近いということと、それから群馬大学がそもそも放射線については非常に長い歴史を持ってレベルが高いことをやっている。それから、県の今の健康科学大学でも、放射線の技師を養成しております。この歴史も、エックス線学校から始まって長いわけであります。そういうこととか、高崎の日本原子力研究所もあるとか、それから、治療機関として群大病院はもとより、県でも県立がんセンターを持っている。県立がんセンターでも放射線治療について、将来それをどういうものを導入するかということで、陽子線を導入しようかとかいろいろな考えがありましたので、それは考え方が一致するということで、じゃ、一緒に協力してやりましょうという合意をしたところであります。
 ただ、どういう事業規模になるか、金額になるかということは必ずしも明確でなくて、初め、この国内に設置されたときはもっと大型で、125億というような額ではなくて、もっ大きな事業量、金額が要ったと思うんですが、だんだんだんだん縮小されてきたというようなこともありますので、その125億を一応群馬大学として想定して、文部科学省の方から財務省の方に概算要求するとか、そういうことはそうなんだろうなと。それで、国の方も地元で協力してくれないかということもあるので、それもある程度理解しようということであります。
 ただ、やっぱり国の事業に対して地方が一緒にやるということについては、地方財政法の建前からいっても、これはやっぱりある程度原理原則というものがありますので、その辺の理論的な整理もしなければならないというようなこととか、それから、今、事業量総額自体がまだ、来年度からやることについては実際の調査の段階でありますので、総額の確定ということにはすぐにはならないと思いますので、いろいろそういうものを検討しながら、金額については検討してまいりたいということでございまして、ここで具体的な金額が幾らになるかということは明示しにくいということでございます。
◆(金子泰造 君) ありがとうございました。
 冒頭申し上げましたとおり、この案件につきましては、患者さん、当事者は当然でありますけれども、あるいはまた、医療従事者にとっても当然のことでありますけれども、広く県民もこれを話題として期待を寄せているところでありますし、私どものところにも日常、このたぐいの問い合わせなり、あるいは展望なりということについてお話がもたらされてくるというところまで熟してきているという認識をいたしております。
 医療機関の人材育成、さらには県内経済への総合的な波及効果ということも大変期待ができるという視点もあろうかと思います。その将来に向けての付加価値は大変計り知れないという見方も成り立つのではないかというふうに私自身は捉えておるところでございまして、知事のお立場からすれば、財政状況が、先ほど来のお話のとおり、大変タイトであるということを背景に、国と地方とのかかる問題に対する関係、あるいは関わり合いということに対しても、お立場上、大変慎重かつ丁寧に事を運ばなければならないというお考えであろうかと思いますし、それは理解をするところでありますけれども、るる今申し上げてまいりましたとおり、その早期位置付けに向けては、県民がかなり関心を高めてきているということもありまして、今申し上げた理由をもって、議会としてもできるだけ早期実現方に対して大きな期待を寄せているという環境にあろうかと思いますので、どうぞひとつ御英断をもって今後についてお取り組みをいただきますように要望をして、この問題に対しては終わりたいと思います。ありがとうございました。
◆(金子泰造 君) 次に、質問の項目の第3番目といたしまして、アスベストによる健康被害対策について、保健・福祉・食品担当理事にお伺いいたします。
 アスベストによる健康被害については、今年7月に新聞報道されて以来、全国的な問題となり、国では被害者救済を含めたアスベスト新法の制定に向けて検討を行っております。我が自民党といたしましても、いち早く補正予算を講ずべきものとして、県民の不安除去を旨とし、県有施設の調査、窓口相談の充実、県民への広報等を総合的な内容とする1000万円余を要求、措置されたところであります。県としては、こうした動静を踏まえ、この問題に対応するため、本年7月に関係各課から成る「アスベスト対策連絡会議」を設置し、アスベストによる健康被害のリスクが高い施設の把握や健康被害の防止に取り組んでいると伺っております。しかしながら、アスベストは建築資材をはじめ様々な分野で使用されており、県民一般においても等しく健康への影響に漠然とした不安を抱いていることは、しごく当然の成り行きと言えると思います。
 そこで、まず第1に、アスベストとはどのようなもので、健康にはどのような影響があるのか改めてお尋ねしたいと思いますが、できるだけわかりやすく、具体的にお示しいただきたいと思います。
 第2に、県内のアスベストによる健康被害の状況はどう把握されているか。また、今後どのような施設や職種において健康被害の発生が想定されるのか、お伺いします。
 そして、こうした状況を踏まえ、被害者救済や健康被害の防止対策について、県として今後どのように具体的に取り組んでいくのか、保健・福祉・食品担当理事より、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○議長(中村紀雄 君) 初めての試みなのでちょっと申し上げておきますが、1問に対する答えが全部終了するまで、答弁者は答弁席にとどまっていただきたいと思います。

         (保健・福祉・食品担当理事 福島金夫君登壇)
◎保健・福祉・食品担当理事(福島金夫 君) アスベストに関する健康被害対策につきまして御答弁をさせていただきます。
 まず最初に、御質問の趣旨とはちょっと違いますが、この12月1日付で専担組織をつくったということの説明からさせていただきたいというふうに思います。群馬県では、県民のアスベストによる健康被害が重要な課題であるというふうに捉えまして、国が予定をしております石綿による健康被害の救済に関する法律――これは仮称でありますけれども、この制定前、これに先駆けまして、12月1日付で専担組織であります「アスベスト対策室」を設置いたしました。この組織を総合窓口に位置付けますとともに、県民への正しい情報提供、健康被害対策、飛散防止対策、また、国、市町村、労働局等との連携等の業務を行うこととしました。
 そこで、お尋ねの件でありますアスベストとはどのようなものか、また、健康への影響についてでありますけれども、アスベストというのは硅素を主成分としました繊維性の鉱物でありまして、熱や化学物質によって変化することがなく、電気にも伝わりにくいということ、また、耐熱性にも優れておりまして、非常に安い、安価であるということから、建設、造船、自動車等の多くの産業で用いられてきております。
 また、アスベストの繊維の束は大変砕けやすくて、ちりのようになって飛散をしまして、空気中を漂うというものであります。また、この繊維の太さにつきましては、人の髪の毛の1000分の1程度と大変に細いということ。こういった特質がありますものですから、呼吸によりまして人の肺の奥深くに入り込みまして、体内にとどまる――これは消費しないということであります――とどまるということから、長期間にわたって肺胞に対しまして、物理的・化学的刺激を及ぼすということになりまして、アスベストの吸入量が多いということになりますと、中皮腫でありますとか、肺がんでありますとか、じん肺の一種でありますアスベスト肺等の健康被害が発生する危険性が非常に高まるということで知られております。また、一般的に、アスベストを大量に吸入してから中皮腫や肺がんになるまでには10年から40年かかると言われておりまして、健康被害の有無の確認につきましては、非常に長期的な経過観察が必要というふうに言われております。
 県内の健康被害の状況でありますけれども、平成10年以前にアスベストを扱う事業所で作業をしていた職員が1人、肺がんで亡くなっておりまして、労災認定をされております。また、我々の方でつかんでおります人口動態統計によりますと、本県で平成7年から16年までに中皮腫で亡くなられた方は79名おります。これが現状というふうに御理解いただけると思います。
 今後、健康被害対策で想定されるものでありますけれども、現在行われている建築物に吹き付けられたアスベストの除去、封じ込め、囲い込み等の作業、また、アスベストを吹き付け使用した建物自体の解体でありますとか廃棄する作業におきましては大量のアスベスト繊維を吸い込む危険性があるというふうに考えておりまして、このような施設やこういった作業を行う職種において健康被害の発生が想定されるというふうに考えております。
 今後の取り組みとしては、こうした業務を行う方や周辺住民の方がアスベスト繊維を吸い込まないような飛散防止対策を講じなければいけない。また、健康被害防止についても必要であるというふうに考えております。特に我々の方の組織につきましては、健康被害なり救済なりが中心になるかなと、飛散防止対策につきましては、アスベスト対策連絡会議の方の県土整備局なり環境・森林局の方とタイアップしてやることが必要かなというふうに思います。また、我々の方としましては、非常に難しいと言われておりますアスベストによる健康被害の診断でありますとか治療、こういった方法についても、開発を含めまして、適正な医療体制の構築もしていかなければならないというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、アスベストに関する県民の不安を解消するためには、飛散、健康被害等の防止策や健康調査を的確に実施するほか、正確な情報提供と石綿による健康被害の救済に関する法律――これは制定予定でありますが、この法律に基づく適切な救済に努めていきたいと考えております。
◆(金子泰造 君) ありがとうございました。
 振り返って、アスベストというのは、ほとんどこういった事態を想定することもなく、疑うこともなく、一時期旺盛に、建設資材としての需要が中心ではありますけれども、広く利用されてきた。何の疑いも持たなかったという世相であったと思います。資料等を提供していただいて、読んでみますと、昭和49年(1974年)あたりが需要のピークであったと。おおむね35万トン程度消費されていたのではないか。これについて、国も特に黄色い信号を発したわけではないし、無条件にこれを利用、使用していたという経過があるわけであります。
 これについて、今、大問題になった時点で、国はアスベスト使用に向けて、何か当時を含めてそういった使用上の注意、あるいは縛りというようなことをメッセージとして発した経過や歴史があったのかどうかということについて関心を持ちまして、政府の過去の対応について検証するという資料を取り寄せたわけでありますけれども、これいわく、「アスベスト問題に関する過去の対応については、去る8月26日に開催された閣僚会合において、各省庁における検証結果を取りまとめたところである云々。検証結果全体としては、それぞれの時点において当時の化学的知見に応じて関係省庁による対応がなされており、行政の不作為があったということはできないが、当時においては予防的アプローチ(完全な科学的確実性がなくても、深刻な被害をもたらすおそれがある場合には対策を遅らせてはならないという考え方)が十分に認識されていなかったという事情に加え、個別には関係省庁間の連携が必ずしも十分でなかった等の反省すべき点も見られた」というレポートが出ておりまして、私は、この問題を考えるとき、今、大変テレビをにぎわしております耐震強度偽造問題と連想することがあるのであります。
 公の関与という点については、いささか内容的には趣の差がありますけれども、いわば結果として、善意の市民が、あるいは県民が、言われなきリスクにさらされてしまっているということにおいては、共通の不運という感じが見てとれるわけでありまして、本来、国に多くが関わることとはいえ、県としてもそういう経過を踏まえて、でき得る限り誠意と熱意を持って県民の不安払拭、あるいは当該県民に対する今後の対応、取り組みを切望したい、このように思うわけでありますが、御所見を聞かせてください。
◎保健・福祉・食品担当理事(福島金夫 君) 今、金子議員のおっしゃるとおりであるというふうに思っております。群馬県としましては、先ほど申し上げましたように、組織としてもいち早く立ち上げて積極的な姿勢を示すということであります。また、これからは被害防止対策以上に必要となるのは救済対策だというふうに思います。その辺につきましても、専門的な職員を配置しまして、積極的な対応を図りたいというふうに考えております。
◆(金子泰造 君) それでは、ありがとうございました。この問題については以上とさせていただきたいと思います。
 次に、第4番目の項目としまして、石田川河川敷不法投棄事案の汚染修復措置と不法投棄対策について、環境・森林担当理事にお伺いをいたしたいと思います。
 廃棄物の不法投棄については、全国的に見ても、青森県、岩手県、岐阜県等で大規模な事案が多発しており、中には有害物質等により周辺環境への影響を与えている事案も発生しております。本県においても、年間100件を超える不法投棄事案が発生しておりますが、その中でも石田川河川敷における不法投棄事案については、今後の本県の環境行政に向けて、県当局が強い指導力を発揮して立ち向かう姿勢が伺われる事例と目されるところから、この事案を取り上げた次第であります。
 この案件は、昨年度行われた県の詳細調査により、廃棄物等から有害物質が確認されており、周辺に点在する水道水源に対して悪影響が生じる恐れがある等、極めて憂慮すべき事態となっております。この状況を受けて、このほど県による行政代執行事業として汚染修復措置が行われると聞いております。行政代執行を行って撤去ということは、いわば公費を投入して措置を講じるということを意味するわけでありますが、それに至った具体的な経緯と理由はいかなるものなのか、環境・森林担当理事にお尋ねをしたいと思います。

         (環境・森林担当理事 大木伸一君登壇)
◎環境・森林担当理事(大木伸一 君) 石田川河川敷不法投棄事案の汚染修復措置と不法投棄対策についての御質問の中で、行政代執行による撤去に至った経緯と理由ということでございます。
 まず経緯でございますけれども、太田市石田川河川敷の廃棄物不法投棄事案は、平成12年11月に不法投棄の情報が寄せられたことに端を発しまして、調査の結果、平成11年秋頃から翌年の春頃にかけて大量の廃棄物が投棄されたものでございます。本件は、周辺に水道水源の井戸などがあることから、昨年度、県において詳細な環境調査を実施したところでございます。
 その結果、有害物質のベンゼン等で汚染されていることが判明しましたが、汚染の状況はおおむね廃棄物の埋め立て範囲内にとどまっておりまして、直ちに生活環境保全上の支障が生ずる可能性は低いと考えております。しかしながら、近くに水道水源があり、地下水の流れなどを勘案しますと、将来的に支障が生ずる可能性は否定できないと考えられ、また、地域社会の不安を解消するためにも、何らかの汚染修復措置を講ずる必要があると判断をいたしました。
 汚染修復措置につきましては、本来、原因者に行わせるべきものでございますけれども、本事案につきましては、原因者はわからないことから、県が行政代執行により実施することとしたものでございます。
 以上です。
◆(金子泰造 君) それでは、汚染修復措置を行うに当たっては、安全で確実な措置を講じることが最重要であることは言を待ちませんけれども、どういった方法でこの工事が行われることになるか、あるいはまた、工事には多額の費用が必要となると想像されますけれども、国等からの財政支援についてはどうなのか、これについてお答え願いたいと思います。
◎環境・森林担当理事(大木伸一 君) 工事の方法と費用は国等から財政支援があるかという御質問でございますけれども、行政代執行には貴重な公費を投入することから、最少の費用で法に照らした生活環境保全上の支障の除去を目的として汚染修復措置を講じたいと考えております。具体的には、現地をすべて掘削いたしまして、廃棄物と土砂に選別を行い、生石灰を混ぜまして、その発熱を利用して汚染物質でありますベンゼン等を除去したうえで、廃棄物については場外で処理を行い、そして分離した土砂は安全性を確認したうえで現地に埋め立てる方法で工事を実施することで考えております。工事につきましては、来年の1月から約半年間かけて行いたいというふうに思っております。
 工事費につきましては、総額で1億9800万円ほど予定しておりまして、そのうち国と産業界が資金を拠出しております産業廃棄物適正処理推進基金ということがございまして、その基金から4分の1の支援を受ける予定でございます。
◆(金子泰造 君) 概要がわかってまいりましたけれども、こうした不法投棄の被害は広く県民に及び、一部の不心得者による犯罪行為は環境共生社会を目指す時代要請に照らしても、決して見逃してはならないと考えます。美しい県土を保全して地域の生活環境を守っていくために、本県としてはこうした不法投棄事案に対して徹底した取り組みを行っていくことが必要であるというふうに考えますけれども、その辺の御決意について、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
◎環境・森林担当理事(大木伸一 君) 不法投棄事案につきましては、やはり未然防止、それから発生した場合の対応ということが大事だというふうに思っております。特に産業廃棄物の不法投棄につきましては、人々の生活環境、こういうものを脅かす反社会的な行為でございまして、県といたしましては厳正に対処していかなければならないというふうに考えております。
 県では、こうした不法投棄事案に対しましては、先ほども申しましたけれども、早期発見、それから早期中止、そして早期撤去、こういうことを目標に掲げて、全県を挙げて不法投棄対策を推進しておるところでございますけれども、こうした事案は対応が遅れますと原状回復というのが非常に困難となるケースが多いわけでございます。このため、県におきましては、これまで産廃110番による通報、それから産廃Gメンによる監視活動、さらに県警の空からの監視というようなことでヘリコプターによる監視なども行っているわけでございます。また、今年度につきましては、新たに全庁的な取り組みというようなことで、各種の県の嘱託指導職員、正式に言いますと468名という人たちがいるわけでございますけれども、横断的な情報の共有というようなことで、こういう人たちにも協力を願って通報システムを創設し、情報の収集体制を強化したところでございます。
 こうした取り組みとあわせまして、事案を発見しましたら早急に対応が行えるよう、警察官の派遣を受けるなどして、監視指導体制を整えているところでございます。また、悪質巧妙化しております不法投棄事案につきましては、関東周辺の27の都県、それと政令市等で構成します「スクラム27」を活用して広域的な監視指導体制を充実させていきたいと考えております。
 不法投棄事案を繰り返さないためには、やはり地域の環境は地域で守るという観点から県民一人ひとりの協力が不可欠でございますので、県民の皆様には土地の管理を徹底していただくとともに、県民総監視のもとでいち早く不法投棄情報を寄せていただくよう、早期発見につなげていくことが重要であると考えております。いずれにしましても、監視の目をできるだけ多くすることによって不法投棄を防止し、群馬の環境を守っていきたいと考えております。
◆(金子泰造 君) ありがとうございました。
 基本的に我々が目指すべき環境共生社会の実現ということについては、県民一人ひとりの意識の高揚、醸成ということが基本ではあると思いますけれども、現場、具体的案件についての公の関与ということの重大さは当然のことでありまして、県民も等しくそれについては了解ということだと思います。ぜひひとつ、こういった事案発生を未然に防ぐこと、不幸にして発生した場合は速やかに全力を挙げて環境修復に相努めていただきますように要望申し上げまして、この質問は終わりたいと思います。ありがとうございました。
◎環境・森林担当理事(大木伸一 君) 済みません。先ほどの答弁の中で、国からの支援ということでございますが、基金の方から4分の3が支援ということで、私、今4分の1と申し上げましたけれども、これは県の方の負担ということですけれども、訂正させてもらいます。
◆(金子泰造 君) 質問の第5項目であります農業経営安定対策への対応について、農業担当理事にお伺いいたします。
 国は、農政改革に乗り出し、これまでの全農家一律の施策を見直して、担い手農家に支援を集中することとし、新たに麦等を対象とした経営安定対策を打ち出しました。これにより一定の要件を満たす担い手のみが国の支援措置を受けられることとなるため、全国有数の麦作県である本県の麦生産に大きな影響があるのではないかと農業の現場から大きな危惧の声が上がっていることは御承知のことと思います。このようなことから、県議会としても9月定例議会で国に対して意見書を発議し、そこにおいて本年3月策定された国による新しい「食料・農業・農村基本計画」における骨子を了としつつも、その実施に当たって留意を要すべきこととして、地域実態を踏まえた基準の設定や経営安定化対策の導入に際しては一定の経過措置を設けるべきことなどを要望したところであります。
 また、県当局においても同様の申し入れを行ったようでありますが、この度出された国の大綱によると、対策は4ヘクタール以上の経営を行う認定業者と20ヘクタール以上の経営を行う集落営農組織等が対象となるようです。特例措置、すなわち知事申請に基づき国が基準を策定する規模要件の特例措置もございますけれども、現状では県内でこの基準を満たす麦作農家は大変少なく、おおむね10%から20%くらいとも聞いておるところであります。県においては、これまでも啓発パンフレットの配布や地域における担い手づくりの支援などに取り組んできていますが、今回具体的な要件が出されたことから、取り組みの一層の強化が求められる段階に至ったと考えております。ぜひ対策の対象となる麦生産の担い手を数多く確保し、小麦生産量全国第4位という伝統ある群馬の麦作を維持していってほしいと念願します。
 そこで、農業担当理事にお尋ねいたします。大綱が示され、対策の仕組みが明らかとなったわけですが、県はこの打ち出した新たな経営安定対策に関してどのように対応していくお考えかをお聞かせいただきたいと思います。過日、我が党に対しても、その骨格について説明がなされたところでありますが、改めて具体的な方策について、予算面における対応、措置についての概要等をお示しいただきたいと思います。

         (農業担当理事 加藤光治君登壇)
◎農業担当理事(加藤光治 君) 御質問にお答えいたします。
 予算面における対応措置についてでございますが、全国有数の産地であります本県の麦生産を守るため、今議会にお願いしておりますが、「群馬県麦作等経営安定緊急対策」を平成17年から19年度にかけて実施をすることといたしております。特に、平成18年1月から6月にかけては重点的な取り組みが求められることから、これが両年度にまたがりますが、一体的に対応し得るよう繰り越し制度を活用しての予算措置を今議会にお願いしております。
 主な内容といたしましては、1つとして、担い手となる認定農業者及び集落営農組織の育成を早急に進めるための集落の合意形成及び集落営農推進員等に関する活動支援。2点目といたしまして、機械導入等の大規模生産体制の整備、こうした整備を行うことに対する支援。3点目といたしまして、小規模な麦等の生産農家が認定農業者及び集落営農組織の構成員などに3年以上の農地の利用権設定を行う場合に、その小規模な麦作生産農家に奨励金を交付することなどでございます。
◆(金子泰造 君) 奨励金あるいは育成確保についての対応の概要が述べられたところであります。特例措置を積極的に活用して、対策対象者の拡大を図るという考えをお持ちのような解説を受けたところでありますが、改めてこの内容はどのようなことになるのか、お聞かせ願いたいと思います。
◎農業担当理事(加藤光治 君) お答えをします。先ほどお答えの中で予算の措置の計上を考えている内容だけ御説明しますが、それを活用いたしまして、どのように農業者の確保育成を行うか、そのことについてもちょっと御説明をさせていただきます。
 県内各地で集落での合意形成を進めるため、先ほど申しましたように、認定農業者の確保や集落営農組織化に向けての話し合い、研修会などの経費を支援します。具体的には、1地区当たり10万円を限度として支援したいと考えております。さらに、市町村やJA等が事業主体となり、集落営農の組織化等を指導する集落営農推進員の活動費を金銭的に支援してまいりたいと思います。
 それから、特例措置に関してでございますが、国の示した特例措置は、国の中核的な担い手に関する支援対象についての規模要件に関するものであります。1つは、物理的制約で規模拡大が難しい地域については基本原則――原則は議員がおっしゃったとおりでございますが――基本原則のおおむね8割まで緩和できることになったこと。2つ目は、地域の生産調整面積の過半を受託する組織につきましては、一定の算式がございますが、そうした算式で計算された一定面積の範囲内で緩和可能となったこと。3点目といたしまして、相当水準の農業所得を確保している複合経営につきまして、農業所得、農業収入や経営規模、集落営農の取り扱いに応じて個別に認定されることとなったところであります。これらが国の要件の特例でございますが、この特例措置は来年の通常国会の議を経て関係法令等が整備された後に、正式決定がされます。
 県といたしましては、これを待つことなく、ただ今現在から取り組みに着手することといたしたいと考えております。特例措置を積極的に活用して対象農家の拡大を図るため、今後速やかに各要件に該当する農業者や農地等の実態把握を市町村、JA等の関係機関と連携して実施をいたしまして、この結果を踏まえてより多くの生産者が国の対策の対象となるよう、考え得る、でき得るあらゆる方策を検討し、実行していくという考えでございます。
◆(金子泰造 君) あらましが示されたわけであります。大変メニュー的にもバラエティーといいますか、新たな対策あるいはメニューというのも用意されるという印象でありますし、支援員というような形で、地域、地域できめ細かくそのまとめ役を担ってもらうというような提案もあるようであります。そういったいろんな知恵と工夫を講じて、最終目標的に現在の本県麦生産面積の70%程度が対策の対象となることを目標としたいというようなお話を聞いておるわけでありますけれども、今申し上げた新規対応策等も中に織り込まれておるわけでありますけれども、それらを含めて、その効果等もいろいろ織り込んだうえで、その目標に対する成算について、担当理事としてはいかなる展望をお持ちでしょうか、お聞かせください。
◎農業担当理事(加藤光治 君) お話のとおり、麦作等経営安定の緊急対策につきましては、県といたしましては、本県麦の現状の作付面積の70%程度を維持したいということを目標としていろんな取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 先ほどその国の担い手となり得る対象の育成等の考え方も御説明しましたが、そのほかに緊急対策の中に経営安定対策の奨励金がございます。小規模麦作農家が認定農業者、集落営農組織の構成員などに農地利用権の設定を行う際に、農地利用権の流動化を図るという観点から、担い手農家の規模拡大を助長するためにも、当該小規模農家の方に、いわば農地利用権の貸し手の方に支援しようということでございます。そういうことも含めまして、緊急対策を積極的に全体的に推進することにより、1個でも多くの農家が国の対策の対象となり得るよう、目標達成に向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えております。成算というお尋ねでございましたが、我々としては、それに向けて最大努力したい、このように考えております。
◆(金子泰造 君) 冒頭申し上げましたけれども、こうした国の対策が示されたときの農業の現場からの声というのは非常に厳しく強いものがあったと、等しく我が党の議員は受け止めておるところでありまして、フットワークよく最大の効果を上げるように、遅滞なく施策の執行をお願いしたいと思います。
 なお、この問題につきましては後日一般質問の中で我が党の議員から、改めて具体的なことについてのお尋ねがあろうかと思いますが、あわせてよろしくお願いをいたしたいと思います。
 以上で、この項目については終わります。ありがとうございました。
 続きまして、項目の6番、グリーン・ツーリズムについてお尋ねをいたします。
 観光立県を唱える中、県は「広い意味での観光」というコンセプトのもと、積極的な観光施策を展開しているところでありますが、その中のひとつとして、近年話題を呼びつつあるグリーン・ツーリズムに対しても、取り組みを始めているとのことであります。事前に提供していただいた資料によれば、グリーン・ツーリズムとは、農山村地域において、自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動で、長期バカンスを楽しむことの多いヨーロッパ諸国で普及した旅のスタイルであるとされております。日本においては、近年は市民農園、田植え、稲刈り等、農作業への参加等、農業・農村体験から学校教育を通じた体験学習、産直等農産物の販売やふるさと祭り等のイベントまで、広く都市農村交流一般を指すことが多くなってきているというふうに解説をされているところであります。
 本県のロケーションから、グリーン・ツーリズムを考えますと、首都圏からほどよい距離関係にあり、また、農村・農業体験には空港を備えた格好の中山間地もあるということであり、さらには、目を転ずれば温泉天国とも言うべき豊富な温泉資源にも恵まれているという次第であります。これらを総合的に捉えることで、例えばグリーン・ツーリズムのコンセプトに即した基本プランコースを真ん中に据えて、その導入スタート部分、あるいはその仕上げゴール部分、さらにはサンドイッチ式にスタートとゴールにそれぞれ温泉を組み込むことで、親しみやすくなじみやすい群馬方式のグリーン・ツーリズムというメニュー化ができないものかと考えるのであります。
 団塊の世代が定年を迎えるに当たり、新たな低コストレジャーとしてのグリーン・ツーリズムの可能性、農村がこれまでのいわゆる振興されるべき対象という捉え方から、都市住民が豊かな生き方を考える対象、おいしい区域、安らぎを得る場へと変化を遂げつつある時代にあって、グリーン・ツーリズムの新たな観光としてのポテンシャルは大いに高いと考えるところであります。そうであるとすれば、本格的なヨーロッパ型グリーン・ツーリズム定着に向けての助走部分として、あるいは将来的にも本格派とも併存する形での可能性も含めて、このスタイルの提案は一考の価値あり、こう考えるわけでありますけれども、御所見はいかがでしょうか。改めて農業担当理事にこのテーマについてお尋ねしたいと思います。

         (農業担当理事 加藤光治君登壇)
◎農業担当理事(加藤光治 君) お話のように、グリーン・ツーリズムは都市の人々が自然豊かな環境の中でゆとりや安らぎ、癒しなどを享受しようという余暇活動でありまして、近年では農業・農村体験とか学校教育での体験学習、環境教育の場として、さらには定年を迎える団塊世代の受け皿としても重要性が指摘され、注目を浴びております。本県は首都圏に近接し、多様な農業の展開と豊かな自然環境、お話の温泉などを有しておりますので、グリーン・ツーリズム発展の可能性、ポテンシャルは高いというふうに認識しております。
 温泉をいわばコースに組み込んだ群馬方式のグリーン・ツーリズムのメニュー化というようなお話でございますが、県は、今、「広い意味の観光」という政策を進めております。中心は産業経済局でございますが、各部局横断的に、総合的に進めております。この「広い意味の観光」は、県の有する多様な地域資源、地域に存する資源をいわば人を魅了する、人を引きつける観光資源と捉えて、本県の観光振興を従来の狭い意味の観光の概念の枠を超えて推進しようとするものと認識しております。グリーン・ツーリズムもこの取り組みの中に含まれております。
 今申し上げました地域の資源には、御提案の温泉を含めまして、豊かな自然、美しい景観、特色ある風土、伝統文化など様々なものが考えられます。議員の御提案は「広い意味の観光」を推進する視点から、こうした意味で幅広い資源の中の大きな要素であるという意味で大変意義のあるものと考えております。温泉は本県を代表する貴重な資源であります。こうしたことから、既にそういう温泉をいろんなルートに取り込むというような取り組みもなされつつあるのではないかと認識しておりますけれども、グリーン・ツーリズムを推進する立場から、今後一層積極的にそうしたことについて取り組んでまいりたい、そのように考えます。
◆(金子泰造 君) 温泉をかますことで、とりあえずグリーン・ツーリズムとはどういうものか、先ほどちょっと資料等に語られておるところの歴史的な背景なども申し上げましたけれども、とりあえず新たな低廉なレジャー、あるいは観光として飛び込みやすい、取り付きやすいという意味で温泉をイントロ部分に置いたり最後に置くというようなことは、工夫によって群馬的なアクセントを置いたメニューになるのではないかな、このように考えて申し上げたところであります。
 先ほど答弁の中でも観光物産課等との連携ということは語られておりましたけれども、まさにそのとおりだと思います。最近作成されました50種ほどのウェルカムトゥぐんまオリジナル観光ルートという提案のうち、グリーン・ツーリズム関係として示された5コースの資料を拝見させてもらいましたけれども、おおむね本格派というよりは、とりあえず初級から中級編という趣で、ですから、逆に言えばなじみやすい内容構成という印象でもあったわけであります。これらを軸にして、今申し上げた群馬方式をぜひアレンジしてみられたらどうかというふうな印象を持った次第であります。
 それと同時に、農村・農業体験を中軸とした長期滞在型本格派の普及に向けても、今後一層の取り組み努力も期待をしたいというふうに考えます。収穫や育成を通じてどこまで本当の農業体験に近づけられるか。そして、農村の人々の実情にも率直に向き合うことができるか。それによって都市と農村の交流というグリーン・ツーリズムが本来目指している奥深いテーマに触れることが可能となって、私は定着につながっていくのではないかと思います。
 先ほど、とりあえずのお考えなり積極的な抱負をお聞かせいただきましたけれども、重ねて今後のグリーン・ツーリズム、幅広い観光の中の主軸のひとつとして、これを育成すべくお取り組みしていただきたいと要望申し上げるわけですが、最後にもう一言所見を伺って、この問題を終わりたいと思います。
◎農業担当理事(加藤光治 君) まず、お話にございましたウェルカムトゥぐんまオリジナル観光ルートについてでございますが、これは平成16年度にウェルカムトゥぐんま推進委員会の取り組みとして、県民局が中心になりまして地域の方々と連携してそうしたものを設定したと聞いております。お話のように、多くのルートがありますが、今後、順次広報を図るというふうに聞いております。
 そうしたルートについての群馬方式へのいわばアレンジという御提案でございますが、私もウェルカムトゥぐんま推進委員会の構成員でございます。全庁的に「広い意味の観光」をここで進めております。そういう意味で、今御指摘の設定済みのルートにつきましても、そのような観点からさらにいろいろ勉強してみて、そうした方向での対応も可能かどうか、勉強して検討してみたいと思います。
 さらに、今後の取り組みとしてグリーン・ツーリズム本来のいろんな意義があるではないか、素材があるではないか、そうしたものを生かした今後の考え方ということだと思いますので、先ほど申し上げましたように、ウェルカムトゥぐんま推進委員会の構成員として、いわば「広い意味の観光」の取り組みの一環として、グリーン・ツーリズムを所管の理事としても、御提案の趣旨を十分踏まえまして、本県の豊富な資源を生かしたグリーン・ツーリズムを積極的に普及していきたい、これが県の地域活性化にも結び付く、そのように考えておりますので、積極的に取り組みたいと考えております。
◆(金子泰造 君) ありがとうございました。この件はこれで終了いたしたいと思います。
 土曜スクールについて、続いてお尋ねをしたいと思います。
 平成14年度に完全学校週5日制が導入されて3年が経過しました。この間、各市町村では子どもの居場所づくりのための様々な取り組みが工夫され、土曜日や日曜日に子どもたちが多彩な生活体験、自然体験、文化・スポーツ活動などに楽しみながら参加する機会が増えてきていると承知をいたしております。一方、学校・家庭・地域の連携や役割分担については、現在でも多種多様な議論が行われ、過日まとめられた国の中央教育審議会答申においても、土曜日や夏休みなどの有効活用等について、さらに検討する必要があると述べているところであります。
 こうした状況の中、県教育委員会は土曜日を活用し、すべての子どもたちに基礎的・基本的な内容を身に付けさせるための支援策として、10月19日、土曜スクールのモデル案を県市町村代表教育長協議会に対し示したとのことでありますけれども、この土曜スクールの趣旨や具体的な方法についてどのように考えておられるか、教育長にお伺いいたしたいと思います。

         (教育長 内山征洋君登壇)
◎教育長(内山征洋 君) 土曜スクールについてのお尋ねですけれども、まずその趣旨ですけれども、土曜スクールの趣旨というのは、授業の内容が理解できない子どもたちを理解できるようにすること、この1点であります。その結果として、これは結果ですけれども、不登校あるいはさらに発展して非行へと向かってしまうような子どもがいるとすれば、その子どもたちのそういった行動を減少させることにもつながるのではないかというふうに期待をしております。
 さて、その土曜スクールの具体的な方法ですけれども、まず対象ですけれども、土曜スクールの学習を希望する子どもを対象とするものであります。実施に当たっては、隔週土曜日の午前中3時間に基礎的・基本的な内容の確実な定着を図るための補充的な学習を行うことを基本としておりまして、授業の内容をさらに進めるというようなことは考えておりません。
 以上です。
◆(金子泰造 君) 基本的には力不足に陥るであろうと想像される子どもたちの、ある意味ではてこ入れ措置、補助的措置を講ずるということが目的であるという御説明でありました。
 以下、私が知り得た範囲での土曜スクールの基本的なルールをもとに、懸念される点を一括してお尋ねしたいと思います。
 まず、基本的に学校週5日制ということとの矛盾がないかどうか。それから、市町村が実際の導入については判断するというふうに示されておりますけれども、市町村間で対応が分かれれば、学力の地域格差が生じるのではないか。同様に、市町村教育委員会が各校の判断に任せると決定した場合は、今度は学校間で実施、未実施が分かれ、その学校間格差につながるリスクはないか。また、今お話もありましたけれども、基本的に希望制であるということのために、本当に来てほしいと思う子どもが参加するかどうかということについて一定の疑問が残り、その場合、児童・生徒間の学力格差に拍車がかかることになるのではないか。先んじてどんどん勉強させる機会を設けるということではなくて、後れを取り戻せるような補完的な授業だという説明を受けましたけれども、やはり一定の懸念というのは残るのではないかと思いますけれども、御答弁をいただきたい。
◎教育長(内山征洋 君) いくつか御指摘をいただきましたけれども、まず第1点目の学校週5日制との矛盾というような観点だと思うんですけれども、これは先ほども言いましたように、土曜スクールは授業内容を理解できない子どもたちを理解できるようにするということでありまして、これはいわば公教育の義務であろうというふうに私は考えております。そのための手段のひとつとして、この土曜スクールというものを考えているわけでして、その限りにおいては、私は学校週5日制とは基本的に矛盾しないであろうというふうに考えております。
 次に、市町村が実際の導入に当たって、市町村間で格差が出たらこれはどうするんだというお話です。これも先ほど申し上げましたように、授業内容を理解できない子どもたちを理解できるようにするのが公教育の責任であるという観点に立てば、土曜スクールを導入しない市町村にあっても、それぞれの市町村が責任を持って一人ひとりの子どもたちに基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせる取り組みを行うものというふうに確信をしております。さらに、各学校の判断に市町村が任せた場合にはどうなんだということですけれども、その場合には、土曜スクールを実施しない学校であっても、各学校がそれぞれの実態に応じて子どもたちに基礎的・基本的な内容を身に付けさせるための取り組みを各学校長が責任を持って行うものであるというふうに私は考えております。
 さらに、じゃ、これが一番おっしゃるとおりなんですけれども、本当は来てほしい子どもが来ないということがあるのではないかと。これはおっしゃるとおりだと思います。この場合には、教員が子どもたちを見て、土曜スクールに参加してほしいと思う子どもについては、事前に保護者や本人に対して積極的な参加を促すなどの働きかけを行うことが必要不可欠だというふうに考えております。いずれにしても、保護者も含めて、関係者みんな、全員が授業のわからない子どもをわからせるようにするという熱意を共有するということが今求められているというふうに考えております。
 以上です。
◆(金子泰造 君) お話を聞いておりまして、つまるところ、教育の基本とも言うべき、やや授業等に後れをとるといいますか、公平に見て、そういった習得が後れている児童に対する救済的な措置、これが教育の基本にのっとったことである。そのことがやはり一番いろんなばらつきに対して説得をし、あるいは基本どおりには応じられない市町村や学校に対しても、それぞれ独自の展開を期待する、そういう政策につながってくることの原動力であろうというふうに拝聴した次第であります。
 おおむね保護者の間では、ずうっと土曜、日曜なりを子どもにかかりっきりというわけにもいかないという現実要請から歓迎だというふうなことらしいという印象も聞いておりますが、いずれにいたしましても、その信念のもとに展開されるということであれば、一層この提案がきちっと成就されますことを祈念いたしたいと思います。ありがとうございました。
 次に、8番に移りたいと思います。暴力団の現状と対策について、県警本部長にお尋ねをいたします。
 本県の治安情勢を見ますと、近年増加傾向にあった刑法犯認知件数が減少傾向となり、一定の歯止めがかかっているとの報道がなされております。また、決算特別委員会においても、それを裏付ける答弁がなされているところでもあります。その取り組みの御労苦に対して深く敬意を表する次第であります。
 しかし、ここ数年間は、平成15年1月に前橋市内で発生した暴力団員によるけん銃使用の一般人を巻き込んだ殺人事件や、本年9月以降立て続けに発生した安中、高崎市内のけん銃使用殺人事件等、県民を震撼させる暴力団による凶悪事件が発生しております。幸い、最近発生した2件のけん銃使用殺人事件では、一般市民が巻き添えになっておりませんけれども、報道によれば、暴力団の対立に根差した事件であるとともに、しかも全国的に勢力拡張を企図している山口組系暴力団員による犯行とのことであります。このような事件が相次ぐことは、県民にとって大きな脅威であります。
 そこで、このような現状を踏まえたうえで、県内の暴力団の現状、とりわけ山口組の県内への進出状況等について、そしてまた、これらに対してどのような対策を講じているか、県警本部長にお尋ねいたします。
         (警察本部長 高橋泰博君登壇)
◎警察本部長(高橋泰博 君) まず、県内の暴力団の勢力の現況でございますけれども、構成員、準構成員を含めまして、おおよそ1420人を把握しているところであります。この中で最大勢力は人数的に見ますと稲川会ということでございますけれども、山口組の勢力はおおよそ150人と少数でございます。ただ、この10年余り、活発な活動をしております。山口組は本来、極めて膨張志向といいますか、拡大志向の強い組織でございまして、直接、我が群馬県に関係する動きではございませんけれども、つい最近、東京都内でやはり警察庁指定の暴力団であります國粋会を傘下に取り込むなど、東京、これを足掛かりとしてさらなる勢力拡大に向けて動きが注目されておりました。
 ただ、この山口組のトップがつい先日、けん銃の不法所持で収監されました。こういったことから、山口組の内部、トップを失った山口組のこれからの動向、これがどのように影響するのか関心を持って見ているところであります。なお、議員お話のございました安中市内で発生しました稲川会系組長の射殺事件、これも山口組との縄張り争いが背景としてうかがわれるところであります。
 これまでも県警察としては、暴力団に対しまして違法行為は看過せずということで徹底した取り締まりを行ってきておりました。あわせて、暴力団はいずれの組におきましても資金源活動、資金獲得活動ということで、それこそあの手この手の手段を弄しております。薬物の密売は言うに及ばず、例えば飲食店の営業者の方々から用心棒代と称してこれを要求してみたり
○議長(中村紀雄 君) 残り時間3分です。
◎警察本部長(高橋泰博 君) (続) あるいは右翼を標榜しての企業恐喝といったような活動が行われております。また、そういった行為に対して、一般市民の方々も、あるいは後難を恐れて、あるいは事なかれ主義からか、安易に彼らの要求に屈して、彼らの金銭的要求に応えるといったような声が未だにあるようでございます。そういったことから、警察としましては徹底した取り締まりとあわせて資金源の封圧活動、またそのための一般市民の方々からのいわゆる暴排意識、暴力団を社会から、地域から排除するんだという意識の盛り上げを図る。そういったことに努めておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(中村紀雄 君) 残り時間2分です。
◆(金子泰造 君) 様子がわかったところではありますけれども、暴力団の排除活動においては、後段、今お話もありましたが、市民の協力ということは必須の要件になってこようかと思いますし、警察もそういう期待があるものと思いますけれども、その場合、市民の安全確保や暴力団特有の陰湿な、いわば後難というような表現をされておりましたけれども、そういった状況発生防御についての対策は確実に担保されなければ、市民の積極的な協力は得られにくいと思いますので、その辺を十分に配慮されながら、今後一層暴力団対策に対して強い姿勢で取り組んでいただくことを希望申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
 時間が1分を切りました。予定ではさらに2つほど用意をしておったところでありますけれども、時間が参りましたので、それぞれ県土整備に対しましては、1次のときから比べると――失礼。先に企業立地の関係ですけれども、大変実績を上げておられることに敬意を表します。今後、今までの施策はそれなりに有効であったということの積み上げの中で実績を上げられたと思いますけれども、どうぞひとつ今後に向けましても新たな取り組み等に取り組みながら、企業立地に対して、誘致に対して一層の御尽力を賜ることを産業経済担当理事に希望申し上げたいと思います。
 それから、県土整備の今後の取り組み方については、環境…
○議長(中村紀雄 君) 時間は終わりました。
◆(金子泰造 君)(続) 以上をもって、十分意を尽くせませんでしたけれども、御協力を感謝しつつ、すべての質問を終了いたします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村紀雄 君) 以上で金子泰造君の質問は終わりました。
  ● 休     憩
○議長(中村紀雄 君) 暫時休憩いたします。
 午後0時35分から再開いたします。
   午前11時31分休憩

   午後0時34分開議

         (副議長 中沢丈一君登壇 拍手)
○副議長(中沢丈一 君) 暫時、議長職を執り行います。
  ● 再     開
○副議長(中沢丈一 君) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
  ● 一 般 質 問(続)
○副議長(中沢丈一 君) 黒沢孝行君御登壇願います。

         (黒沢孝行君登壇 拍手)
◆(黒沢孝行 君) フォーラム群馬の黒沢孝行です。会派を代表して、順次、通告に従い質問をしてまいりますので、特に一問一答方式ということで、私も前の金子議員のを拝聴しておりましたけれども、大変緊張しておりますので答弁は簡潔にお願いを申し上げたいというふうに思います。
 それでは、質問に入ります。
 まず、知事に18年度予算編成方針についてお伺いをいたします。先ほど金子議員も質問しておりましたが、フォーラムという視点で質問させていただきたいというふうに思います。
 平成16年度決算では、県税収入が2年ぶりに2000億円を回復し、景気の回復は順調に推移しているようです。ここ数日の日経平均株価も1万4000円台から1万5000円と順調に回復しているようでありますし、県内への企業進出もいくつか報道をされております。こんな中で、政府は三位一体改革、先ほど知事も答弁されておりましたけれども、2006年度までの3年間で、1つは3兆円の税源を政府から自治体に移す。その原資として4兆円の補助負担金を削減する。地域格差を埋めるための地方交付税のあり方も見直すというものでした。そして、この間、政府と地方とのやりとりがあり、例えば生活保護費や義務教育費などの削減が取り上げられていたようですが、具体的な県政への影響はどのようなものがあるのかお伺いをいたします。
 次に、この間、来年度予算編成に当たって各部局への一般財源の枠配分を行ってきたようでありますが、どんな方針で行ってきたのかお伺いいたします。
 次に、予算編成に当たって予算編成本部を設置すると聞いていますが、本年4月に設置された県民局長の意見がどのように反映をされるのか、あわせて、そのことによっていわゆる縦割り行政の弊害は解消されるのか、まずお伺いをいたします。

         (知事 小寺弘之君登壇)
◎知事(小寺弘之 君) 黒沢議員の御質問にお答えいたします。
 三位一体改革の県政への影響についてであります。
 国庫補助負担金改革に伴う影響額を申しますと、平成17年度当初予算ベースで平成18年度改革分の影響額はどうなるかといいますと、総額で6540億円程度の国庫補助負担金の削減に対して児童手当交付金が県が6分の1が3分の1になりまして15億円の負担増、それから児童扶養手当給付費交付金が県4分の1だったものが3分の2、ただし郡部のみということですが、そういうことで影響額は7億円程度、それから介護給付費国庫負担金、県が12.5%であったものが17.5%になりますので、これが影響額25億円程度、今言った数字を合計しますと、約78億円程度となります。
 平成17年度改革分の影響額が、国民健康保険の調整交付金が5%から7%になりまして23億円程度、義務教育費国庫負担金、総額8500億円のうち平成17年度に暫定措置した残り半分の70億円程度ということで、平成17年度は合計で95億円程度になります。今、数字を羅列したのでわかりにくいかと思いますけれども、要するに、現時点で全体では173億円程度の群馬県の負担増になるものと試算しております。
 これらの負担増は、平成18年度において税源移譲分が所得譲与税によって措置されるということになっておりますが、そもそもこれは最初に始めるときから全部それで措置されるということではなくて、一部分は削られるというのを前提としているわけですが、それにしても、税源移譲分が所得譲与税によって措置されるということになっておりますが、その詳細はまだ不明であります。まだわかりません。それから、もう1つの改革の対象になっております地方交付税については、今後の地方財政対策により総額が決定されるので、これも現時点では不明でございます。これも減額ということが強く懸念されるところであります。
 次に、各部局への一般財源の枠配分についてのお尋ねでありますが、平成18年度当初予算編成に当たっては、三位一体改革による厳しい財政状況が見込まれることから、より一層行財政改革を徹底して財源の捻出を図るとともに、限られた財源を重点的・効率的に配分するため、各理事等のマネージメントで各局等の原案を作成し、予算編成本部を設置して全庁的に一体となって予算編成を行う方針であります。
 そこで、県税や地方交付税などの一般財源額を推計したうえで公債費や扶助費などの義務的な経費に必要な額を確保し、残りを各理事等のマネージメントを振るってもらう一般財源枠として各部局に示しております。これは各部局の要求額、あるいは最終的な予算額を一律に削減する、いわゆるシーリングではなくて、各部局において全庁的な財源の状況を共通に認識したうえで、事業の見直しを行い、予算編成本部において総合的観点に立って予算編成を行うための前提として示したものであります。
 最後に、予算編成における県民局長の意見の反映についてでありますが、平成18年度の予算編成に当たっては、各局等が事業計画等を作成する際に事前に県民局において確認、調整を行うこととしたほか、予算編成本部には県民局長も参加いたします。そして、原案を作成した理事等とともに議論をすることにしております。これにより、県民局が予算編成県民懇談会などを通じて県民や市町村等から聞いた話、要望等を十分検討いたしまして、それを予算に反映して、これまで以上に縦割り行政の弊害を解消するような方向で取り組んでまいりたいと思っております。
◆(黒沢孝行 君) 今の知事の答弁の中でも、総額で言うと約173億円が影響を受ける。そして、財源として補てんをされる部分が未だに数字で示されていないということです。今、こういうタイムスケジュールの中で、大体、各部局の予算の聞き取りというんですか、終わったと。そうすると、この173億円足りない部分を一定程度どこかで明らかな数字として持たないと、予算編成本部で議論ができないというふうに私は思うんですが、この173億円の負担増の部分、平成17年度予算に近い予算を大体その前後で含めて、県税収入も好調だということですから、組まれるんだというふうに思いますが、このマイナス部分というんですか、負担増の部分をどのように確保しようとされているのか、まずお伺いをしたいと思います。
◎知事(小寺弘之 君) 結局その部分は、先ほど申しましたように、税源移譲による所得税の地方への移譲によってある程度措置されるだろうということとか、税収増を期待するということでありますが、ただ、もともとこの三位一体改革というのは、国も地方も行政を少し見直せということが前提であります。私も、別に今までどおりの額が確保されなければ絶対ならないということではなくて、やはり世の中変わってきたし、バブル崩壊後いろいろなことがありまして、行政も見直そうということでありますから、それはある程度は圧縮するというのは覚悟しているわけでありますけれども、ただ、さっき申しましたように、かなり地方への負担転嫁が目立つものですから、非常に憂慮をしております。そういう中で、いろいろな数字を踏まえながら工夫して、あまり切り詰めてはならないところは切り詰めないようにして、新しい面も出していきたいという、これからが工夫する大事なときだと思っております。
◆(黒沢孝行 君) そういう中で、これから本格的に年明けから予算編成本部で議論をされる。まして、県民局長が予算編成本部に入る。今、各地域で県民懇談会を開催してきたようであります。そういう意味で、私はこの県民局長の発言というんですか、この声というのは、県民の声を背中にしょった発言だと。各理事さんもそうだというふうに思いますけれども、今回、県民局を設置した重み、そのことを考えると、この県民局長がどういう形で予算編成本部できちっと発言をされるのか、私は非常に注目をしていきたいというふうに思います。そういう中で、今度はどうやって各理事さんがそういう声を自分の部局が一緒になって――特にマイナスシーリングという一律シーリングは行わないという知事の答弁でありましたから、特に削ってはいけない部分がこの間あるというふうに思います。知事がこの間言ってきました「子どもを育てるなら群馬県」、こういう予算とか、景気を回復させる、あるいは雇用を守る、こういう予算、県民も非常に注目をしていると思いますが、その辺に対する態度、知事自身の基本を教えていただければというふうに思います。
◎知事(小寺弘之 君) 県民局長は、今、毎週1回月曜日にやっている庁議でも出席しておりますけれども、理事も活発ですけれども、それ以上に県民局長の発言は活発でございまして、この地域ではああだったとか、この間こういう話を聞いたとかいう現場の声をよく言ってくれますので、そういう点ではいいと思います。これを予算に反映してまいりたいと思っております。
 その中から予算の取捨選択をしなければならないので、場合によっては新潟中越地震の被害があるから観光に融資しようじゃないかとか、そういう弾力的な判断もしなきゃなりませんし。それから、ここ二、三年で言いますと、企業立地に奨励金を出せという声が非常に強かったと思うんですけれども、群馬県は、現ナマでもって奨励金を出すというようなことを各県競ってやっていましたけれども、そういうことよりも、むしろ住む環境だとかそういうものを充実していって、企業立地がしやすいような条件を整えるところに力を注ごうということで、予算配分はそういう形をとったわけでありまして、その結果、今日の立地件数が多いということにつながっているわけで。ただ、これはやっていいかどうかというのは後になってみなければ正直言ってわからないところで、予算編成の責任者というのは責任が重いし、非常によく慎重に考えなければならない作業だと思っております。
◆(黒沢孝行 君) ありがとうございました。
 次に、ぐんま国際アカデミーについて知事にお伺いをいたします。
 まず、政府はバブル崩壊後閉塞状態にある我が国の社会経済状態を活性化させる、こういう目的で特別な地域に大胆な規制緩和を行い、創意工夫に富んだ事業を可能にするために構造改革特区法を制定したというふうに聞いております。県内の自治体でも、いくつかの団体でこの構造改革制度を活用した事業が行われているのであります。知事自身も、本議場において水特区構想を提案するなど関心をお持ちだというふうに思いますが、まず、この特区制度について知事自身の認識をお伺いしたいというふうに思います。
 次に、ぐんま国際アカデミーは日本の英語教育が実践的な英語コミュニケーションの能力開発に十分な効果が発揮されていないという現状から、国際語である英語に重点を置いて日本の文化、伝統に十分意を用いた教育を行い、世界で活躍できる真の国際人の育成を目指しているというふうに聞いております。英語教育の重要性は知事も認めているところであり、県立女子大には外国語研究所を設置し、中等教育学校も設置をしたのであります。ぐんま国際アカデミーの在校生の80%は群馬県内出身者であります。そして、産業活動が活発であり、群馬県経済の一翼を担っている太田の産業界も、このぐんま国際アカデミーに大いに期待をしているものです。特区認定事業としてのぐんま国際アカデミーの教育の取り組みについて、知事の評価と見解をまずお伺いいたします。
◎知事(小寺弘之 君) 特区の制度というのは、日本の行政が非常に規制が厳しい、細か過ぎるということで、本来ならば、その規制を緩和しなければいけないわけですけれども、それを全国一律にやっていたのでは時間もかかるし、いろいろな摩擦もあったりして、一律にやるまでには時間がかかるということなので、ある特定の地域のみ限定をして、その規制緩和をしていこうと。それは地方公共団体であったり、民間企業であったり、様々な活動を自由にしていこうということから設けられた制度であると思います。いくつかの申請が行われて、それが特区として認められたものがいくつかあるわけであります。太田市が申請をした英語教育のことについても、それが認められてなったんだろうというふうに思っております。
 英語教育というのは、英語は、今、いわば共通の国際語として必要な言葉でありますから、私は、英語教育をやるということ、そのことについてはやるべきだと、こういうふうに思っております。ただ、特区というのは実行の主体となる人がやっぱり自己の決定に基づいて自分も責任を持ってやるというのが原則だと。そうじゃないと、自由が生かされないわけですから、やっぱり責任を持ってやっていただきたいと、このように思っております。
◆(黒沢孝行 君) 特区は実行になる主体の皆さん方が責任を持ってやるべきだ、こういう答弁だったというふうに思います。そういう中で、この間、国際アカデミーの設立に当たって、太田市あるいは県の担当者、いわゆる事務当局がいろんな形で折衝をされてきました。そして、私が聞いているのでは、太田市とこの間、学事法制課が積み上げてきた経営シミュレーション、この数値は約27万円をベースに計算されているというふうに聞いているんですが、その報告を知事は受けておられるでしょうか。
◎知事(小寺弘之 君) もともと私が清水市長とこのことについて話したことはありません。それで、何年か前にいらっしゃったときに、もう既に新聞や何かで、太田でそういうことをやるというふうにおっしゃっていたのがありましたので、おお、これは勇気があることだなと思って見ておりました。ただ、そのときに市長から、これこれこういうふうになるからなとか、そういう話は一切ありませんでしたので、私はさすが大太田市だなと、県内でも歳入に占める税の割合は45%ぐらいなんですね。太田は一番トップです。ちなみに、群馬県は25%いかないぐらいですから、それだけ自由な財源があり、しかもそういうアイデアを出しておられるんだから、それは責任を持っておやりになることだろうと思っておりました。
◆(黒沢孝行 君) 私が聞いているのは、事務当局が積み上げてきたベースの数字が27万円だと、このことを知事が聞いているのか、聞いていないのか、これだけお答えください。
◎知事(小寺弘之 君) そういう具体的な数字は聞いておりません。
◆(黒沢孝行 君) じゃ、後ほど総務担当理事にも伺いますし、この間のいろんな議事録もありますので、聞いていないとすれば、どこかに知事までそういうことが意見上申がされていない、仕事上の報告がきちっとされていないということですから、別の意味で私は大きな問題ではないかなというふうに思っています。そして、今の答弁の中にも、首長自身が、「太田の清水市長から直接聞いていない」と、こういう発言をされていました。
 いくつか9月議会で山本龍議員の質問に対して知事が答えていたことについてお尋ねをしたいというふうに思っています。1つは、「太田市立の学校と理解をしている」と、こういうふうに答えているんですが、この考えに変化はありませんか。
◎知事(小寺弘之 君) 実質的に太田市立の学校だと思っております。私立、私人でありますれば、その人が自分で私財を提供するとか、責任を負うとか、そういうのがはっきりしているわけですけれども、あの学校は理事長が市長であるし、理事も太田市役所の役職者がその理事になっていたりするわけですから、実質上、市が設立したものであるというふうに私は理解しています。
◆(黒沢孝行 君) もう1つ、市長から、今、「直接聞いたことがございません」という話、そして先ほど私も指摘をさせていただきましたけれども、ということは、すべての県庁職員がやる業務というのは、私はトップの決断というのは大変尊重しますけれども、今の答弁だと、知事がすべて当該の市町村長さんと会わなければ決断ができない、こういうことになるんでしょうか。
◎知事(小寺弘之 君) そういうことを言っているのではありません。大体、大きな事業であれば話があるというのが普通であります。毎日のように私のところには陳情も来ておられますし、それから、現地に出向いたときにはトップと意見交換をしております。ただ、このことについては太田市長が非常に自信を持ってやるんだというふうに、僕はむしろ、昔これは大丈夫かというふうに言ったこともあるんですけれども、大丈夫だ、大丈夫だというふうにおっしゃったくらいですから、私は大丈夫なんだなと思っておりました。
◆(黒沢孝行 君) それじゃ、知事には1度お下がりをいただいて、最後にもう1度知事にお伺いをいたします。
 次に、副知事に伺います。今、知事も答弁されておりましたけれども、この間のいろんな折衝の中で副知事が、いわゆる総務担当理事の時代に私学の概念について、「私財をなげうって」、こういうようにも発言をされなおります。まず、私学の概念について、副知事自身の概念をお伺いしたいというふうに思います。

         (副知事 高木 勉君登壇)
◎副知事(高木勉 君) 私学の概念というお話がございましたけれども、先ほどの知事の答弁ともちょっと重なりますが、今議員の御指摘のとおり、私財をなげうって建学の精神を持って創設をする。そして、その財産については、原則として自己所有が原則であるというのが私学でございます。
◆(黒沢孝行 君) 私は一番最初に特区制度の話を聞きました。つまり、特区というのは現行の規制の中ではなかなかできないから、特区制度で経済活動を別の意味で活発化させよう、こういうことですね。つまり、この学校は特区制度に基づく学校なんです。だから一般的な私学じゃないというふうに私は理解をしている。しかし、いろんな設立の経過の中で私学になったというふうに思っていますので、今の答弁は特区制度に基づく私学という概念には当たらないんでしょうか。
◎副知事(高木勉 君) 学校法人というものを私学ということで捉えれば、それは形式的には私学でありますけれども、それに対してどう助成をするかということについては、一般の私学と太田市が設立をした私学ということで助成のあり方は変わってくるのではないかと申し上げておるのであります。
◆(黒沢孝行 君) どうもこの間の積み上げの議論と、ある日突然変わってしまったのではないかなというのをずっとこの間私は感じてきています。そういう意味では、具体的に積み上げの部分について、副知事、ありがとうございました。総務担当理事にお伺いをしたいというふうに思います。
 ここに「ぐんまの学校統計」というのがあります。つまり、この「ぐんまの学校統計」というのは、学校のいろんな部分の基礎調査の数字だというふうに伺っています。1ページのところに、群馬県内の小学校で、私立が2校とあります。この2校の具体的な学校名を教えていただきたいというふうに思います。
 それから、国からの普通交付税算入の考え方をお伺いしたいというふうに思います。つまり、この当該年度の学校基本調査、5月1日現在の児童・生徒数によって算定されると聞いておりますが、そのとおりなのか。その場合、この学校基本調査にあるぐんま国際アカデミーの児童数165人というふうに別のところにもきちっと記載をされております。その165人がカウントされているのかどうか。それから、その場合、児童1人につき23万5700円というふうにこの間の財政課との打ち合わせの中では数字が出てきたんですが、これが県の一般財源として基準財政需要額に算入をされるのかどうか。この3点、1番を含めて4点お伺いをします。

         (総務担当理事 唐澤紀雄君登壇)
◎総務担当理事(唐澤紀雄 君) それでは、お答えをさせていただきます。
 県内の私立小学校2校とは、平成13年度から休校中で在籍生徒がいない「白根開善学校初等部」及び「ぐんま国際アカデミー初等部」でございます。
 その次の交付税の考え方でございますけれども、毎年5月1日を基準とする学校基本調査における私立学校の児童・生徒数は、普通交付税における基準財政需要額の算定単位のひとつとされております。それに対する単位費用である小学生1人当たりの交付税単価を乗じたものが基準財政需要額に算入されることになっております。
 先ほど議員御指摘のぐんま国際アカデミー初等部の今年度の学校基本調査における児童数は165人であります。今年度の小学生1人当たり交付税単価を乗じたものが基準財政需要額に算入されております。しかしながら、そもそも地方交付税というものは、基準財政需要額と基準財政収入額との差が交付されるものであります。児童数に交付税単価を乗じたものが県に交付されるわけではありません。なお、地方交付税法に定めがあるとおり、地方交付税は県の一般財源としてなるものでありまして、その使途は特定のものに制限されているものではありません。
 以上でございます。
◆(黒沢孝行 君) つまり、基準財政需要額としては、地方交付税ですから限定されているわけじゃなく、トータルとしてこのぐんま国際アカデミーの165人分はカウントされているという理解でいいんですね。
◎総務担当理事(唐澤紀雄 君) そのとおりでございます。
◆(黒沢孝行 君) それからもう1つ、先ほど知事の答弁で聞いていないという。27万円をベースに、この間、県の学事法制課と太田市とのやりとりの中で、そういう具体的な話し合いをされてきたと。その最も基本であるべき27万円という数字を知事が聞いていないということは、じゃ、学事法制課は知事に報告をしていないんですか。
◎総務担当理事(唐澤紀雄 君) 私、手元に内部決裁資料がございませんので、その辺ちょっと確認しておりませんので、申しわけありません。
◆(黒沢孝行 君) 一方で知事は聞いていないんです。じゃ、この間、総務担当理事であった――これは議会ルールから言うとどうなんでしょうか。副知事が指名してあるからいいんですか。(「いいんじゃないの」と呼ぶ者あり)じゃ、総務担当理事であった副知事にこの件についてお伺いします。27万円で報告していたのかどうか。

         (副知事 高木 勉君登壇)
◎副知事(高木勉 君) お答えをいたします。
 太田市がこの学校をつくるに当たっていろいろシミュレーションをされた話は私は受けておりませんけれども、いろんな計算はされたようであります。中には県の補助金というのが空欄であったというような資料も私は拝見をしたこともございます。県の学事文書課当時、いろいろ問い合わせはあったという話は後で聞きましたけれども、一般的に私学というのは単価が幾らであるかという話は受けたということでありまして、私学助成がその学校を経営するうえでどういう収支差になるという話は報告を受けておりません。
◆(黒沢孝行 君) 今の答弁、後ほど議運でお諮りをしたいと思いますが、ここにこの間、太田市と学事法制課とのやりとりの経過をまとめたものもあります。それからすると、どっちが本当なのかということも含めて、私はきちっと別の次元の議会という機関の中で究明をしていかないと。報告を受けていない。この間、じゃ、事務当局は何もやっていなかったのか、こういうことになってしまうというふうに思いますので、私は今の答弁は非常に理解に苦しむんですが、じゃ、総務担当理事は、学事法制課長からそのこと自体も報告を受けていなかった、こういうふうに理解をしていいんですね。
○副議長(中沢丈一 君) 副知事答弁でよろしいですか。
◆(黒沢孝行 君) はい。
◎副知事(高木勉 君) 報告は受けておりません。私のところに市側からいろんな報告、説明がありましたのは新年度に入ってからでございます。市長さんもお見えになりましたけれども、初めてこのことをお伺いいたしました。
◆(黒沢孝行 君) 副知事、ありがとうございました。これから総務常任委員会でも議論されると思いますので、総務常任委員会の皆さんの細かいやりとり、数字についてはそちらの方に譲りたいというふうに思います。
 最後に、もう1度知事にお伺いをいたします。
 先ほど総務担当理事の答弁でも明らかなように、地方交付税の中には入っているけれども、165人分はカウントされて県の財源に入ってきている、この事実は明らかになったというふうに思います。しかし、一方では、この間わずか4万3000円しか出していない。この差額が、私はこの間のやりとりの中でも、私学への助成というのは義務的な交付金じゃないよと。今の答弁でもありましたから、これはこれでわかるんですが、つまり、いろんな経過の中で私学としての出発をした、このことであります。
 私もこのぐんま国際アカデミーへ行って、ちょうど終わり間際の時間帯だったんですが、小学校1年生の子が開校してわずか6カ月、7カ月ぐらいですけれども、非常に目を輝かせて、2名の先生、1人は日本人で、1人は国はわからなかったんですが、外国人の先生と一緒に英語でやっていたのを見て、ある意味で感動いたしました。そういう意味で、この子どもたちを、ましてや群馬県内から来ているのが8割という実態からすると、私はきちっと助成をしていくべきだと。
 先ほど申し上げましたように、今、国からは基準財政需要額として算入をされている。つまり、知事がこの間別なところでも、いろんなところで権限と財源が一致をすべきだと三位一体改革の中でも発言をしておりますので、このことから考えると、私は、この行為というのは矛盾をするのではないかなと。権限と財源は一致をすべきだ、このこととまずは矛盾しないかどうか、知事の考えをお伺いしたいというふうに思います。
 それから、総務常任委員会でこれから審議をされると思いますが、請願が提出をされております。先ほど申し上げましたように、児童の8割が県民だと。つまり、その子どもたちがぐんま国際アカデミーじゃないどこかの学校へ、いわゆる義務教育の学校へ通えば、個人に補助をするのではないけれども、その場合は人件費の2分の1を負担する。これは義務教育の場合は負担をするわけです。いずれにしても、「子どもを育てるなら群馬県」ということで、どこかで県として補助をしているわけですから、この総務常任委員会の審議結果について、知事が尊重される考えがあるのかどうか。
 次に、この間のトータルとして、私は、この子どもたち、あるいはこの学校が健全に経営できるように、他の私学並みの支援をすべきであるというふうに考えていますので、最後に知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 以上3点、お願いします。

         (知事 小寺弘之君登壇)
◎知事(小寺弘之 君) そもそもこの特区において重要な論点というのは、子どもを小学生のうちから、いわばほとんどの教科を英語で教えることがいいかどうかということが最も重要な点だと私は思うんですね。これはいいという意見と、そうでないという意見と両方あると思います。ただ、それは、太田市が太田市の責任においてそういう特区という――つまり例外ですね。普通の公立の小学校ではそういうことをやっていないわけですから、そういう例外的なものをやってみようということでおやりになったことだと思います。その形とすれば、私立学校という形をとったんだろうと思います。その私立学校も、もう1つの例えば白根開善学校であると、県私学審議会の審議を経てやられる。そして知事が認可するということですから、私どもはそれについては非常に関与というか、言うならばよく理解したうえで、じゃ、これでいきましょうということで審査をして認可をするわけですけれども、この場合、県から市に審議会が移管されたということで、市の責任においてその認可の作業も行われているわけであります。
 ですから、私は、この太田の学校というのは、完全な私学でもなし、かといって公立の普通の学校でもなしと。だからこそ特区なわけですから、そういう考えでやらなければいけないので、これは私学だから私学じゃないか、これは公立だから公立じゃないかと割り切れないものがある新しい学校の形態だろうと思いますね。ですから、そういうことがよく理解されるために、そういう話し合いというものをやっていかなければいけないんじゃないかというふうに思っています。
 それから、交付税のことについて言えば、さっき唐澤理事からも申し上げましたように、基準財政需要額というのは、その状態を積算するための計算基礎なわけですね。ですから、河川の総延長だとか警察官の数だとか、それからいろんな費用とか、そういうものが積算されてなって、それでそこの自治体の収入がこのくらいだと。それの差額があるとすれば差額を埋めるという制度ですから、あくまでもこれは補助金ではないのであって、財源保障、財源調整の制度だということですから、あまり積算基礎にこだわると交付税のよさというものが失われてくるだろうと、こういうふうに思います。
◆(黒沢孝行 君) これ以上やっていると、私は5問を用意をしていたんですが、もう時間があと15分ぐらいになってしまったので、ぜひ総務常任委員会の皆さんは、常任委員会できちっと議論をしていただきたいというふうに思います。
 1つだけ指摘をしておきます。つまり、地方交付税165人分は県にちゃんと入っていますよ。しかし、4万何ぼしか出していませんよ。この事実だけは明らかになったんだということをきちっと申し添えて、次の質問に入らせていただきます。
 次に、教育長にお伺いをいたします。3ない運動と運転免許の関係であります。
 3ない運動は、高校生をバイクから守るということから出発した、いわゆる二輪車の免許を取らない、乗らない、買わない運動を昭和50年から継続しているというふうに聞いていますが、その理由を教えていただきたいというふうに思います。
 この3ない運動が始まった背景は、いわゆるバイクブームの中だというふうに聞いていますが、今はこのバイクブームは去って、ある意味で安定をしてきているのではないか。でも一方で、法律が16歳から原付バイクの免許の取得を認めている、こういうこととの整合性をどういうふうに考えているのか。私は、危ないから遠ざけるというのではなくて、危ないものは危ないという指導、安全教育を徹底することの方が重要ではないかと思うんですが、お伺いをしたいというふうに思っています。
 次に、自動車運転免許証の取得についてお伺いをしたいというふうに思います。
 県内の高等学校の状況はどのようになっているのでしょうか。私はいくつかの学校に直接お聞きをしました。つまり、運転免許証の取得そのものを禁じている学校、教習所に通うことを認めているけれども、その教習所の卒業証書を学校が預かってしまう。つまり、前橋の運転免許試験場へ行くのは3月2日以降、つまり卒業式の翌日以降でなければ行かせないという学校、あるいは運転免許証は取るのを認めるけれども、免許証そのものを学校が預かってしまう学校があるというふうに聞きました。この辺の状況について、どういうふうに考えているのか。
 私は、普通高校で進学校、これは非常にいろんな議論もあるんですが、仕方がないのかなという部分も何となく理解はできるんですが、特に職業高校等、あるいは普通高校でもすぐに就職をされるという生徒の皆さん、つまりこういう声を私はあるお母さんから聞いたんです。教習所へ通って1月か2月頃になると運転免許証が取れる。今、高校は早ければ11月、12月ぐらいには大体就職が内定をしている。これは警察本部長にも本当は聞きたかったんですが、通告後だったものですから。免許証を取ってから1年以内の交通事故がやっぱり一番多いというふうに聞いているわけですね。だとすると、このお母さんは、1月あるいは2月頃の土日に私の車を運転させて買い物に行かせてならしたいと。でも、今のこの制度だとならすことができないんです。つまり、社会へのきちっとしたならしという意味では、そのことは許されてもいいのではないかというふうに思っているんですがということを聞きました。こういう観点についての教育長の所見をまずお伺いしたいと思います。

         (教育長 内山征洋君登壇)
◎教育長(内山征洋 君) まず、高校生の3ない運動ですけれども、これは先ほど議員御指摘のとおり、二輪車の「免許を取らない」、「乗らない」、「買わない」、こういう3ないですけれども、これは昭和57年から実施をしております。当時は二輪車の事故で多くの高校生が命を失っております。その抜本的な対策が必要だということで、県高等学校PTA連合会を中心として、ほかの県でもやはり同様なことがありまして、他県で成果を上げていた3ない運動というものの推進を決定いたしました。全国高等学校PTA連合会においても、家庭・地域・学校が協力して3ない運動を推進する特別決議というのを行っております。これを受けて、群馬県の教育委員会では「二輪車利用規制に関する指導基準」というのを定めまして、現在に至っているわけです。
 この運動の結果ですけれども、実施当時、本県では高校生が毎年10名前後このために亡くなっております。さらに300名前後が負傷しております。ところが、平成16年度では死者は1人、負傷者23名というふうになっております。これも運動を継続してきた、やはりそういう3ない運動の結果であろうということで、高校生の命を守る立場からも、3ない運動というのを継続していく必要があるというふうに実は考えております。
 なお、この運動は全面的に禁止する措置ではありません。通学困難等の一定の条件を満たす者は「適用除外者」というふうにしまして、学校長の判断で原付免許のみ取得を認めて、通学に二輪車を利用することを許可しております。各高校では該当者を対象に実技指導等講習会を実施しておりまして、交通安全教育に努めているところであります。
 また、今度は四輪自動車の御質問だったと思いますけれども、これについての免許の取得はどうだというようなお話ですけれども、これについては、県内の公立高校全体の97%が一定の条件を設けて教習所への入所を認めております。教習所への入所というのは、要するに、まずは実技試験とペーパーテストがある。その際に生徒本人及び保護者に対して、実技の後にある学科試験の受験時期など、免許取得に関する説明会を開催して説明をしております。
 平成16年度は、7月から翌年の2月までの間ですけれども、教習所に通った生徒というのが4902名というふうに統計では出ております。ただし、いろいろ御指摘いただきましたけれども、おっしゃられたとおり、許可している高校の73%が実は学科試験を3月1日の卒業式後というふうに定めておりまして、その間、教習所の証明書を保管している高校が49%というようなあれもありますけれども、これは高校生が卒業間際の家庭学習期間中に交通事故を起こして死亡する恐れ等、様々な観点からそういう措置をしているものであります。
 さらに、御質問のならし運転という観点からのお話ですけれども、実はならし運転をやろうと思いますと、先ほど3月1日以降はペーパーテストが受けられますということになっておりますので、実質的に1カ月近くのならし運転の期間というのは一応あります。学科試験は月曜から金曜まで毎日実施されているわけですから、免許取得、即日交付というようなことで、卒業後の免許証の取得でも、その間に運転に慣れるということはある程度可能だろうというふうに考えております。
 あるいはまた、仮免許証を所有しているのであれば、例えば保護者が同乗して、これは普通免許証の所有者ということになりますけれども、卒業式の前にもならし運転ということは、保護者の監視下では可能であろうというふうなことは考えられます。
 ひとまずこの辺でよろしいですか。
◆(黒沢孝行 君) つまり、教習所を卒業してから学科試験は1年間だと。つまり、学校の判断で、法的に決められた1年間を――それが月曜から金曜日まで毎日やっているからあまり支障はないというふうに今教育長は答弁されたんですけれども、法的に教習所を卒業してから1年の間に取りなさい、それがだめなら無効ですよということになっちゃうわけですね。今の高校生だから、多分頭がやわらかいからすぐ取れるんだと思います。でも、これを規制しちゃうわけですね。このことについて何ら法的に問題ないというふうに考えていますか。
◎教育長(内山征洋 君) 実はこの最高裁の判例があります。これは前段の3ない運動の話の中で出てきた最高裁の判決ですけれども、これについては、高校でそれを規制することは構わないという判例が出ております。ちなみに、これは平成3年9月3日、最高裁の判決ということになっております。
 実際に法律がどうのこうのという話もそうなんですけれども、学校の子どもたちの指導の中で、実質的には法律で認められていても、それを一般的な常識の範疇で、いや、これはよくないなというのはあるんだろうと思います。それは別に自動車だとか自動二輪車に限ったことではなく、ほかにもたくさんそういう事例があると思います。
◆(黒沢孝行 君) それは私も認めているんです。つまり社会へのならしで、そういう――非常に個人的なことですが、教育長が、自分の娘さんがそういう状況になったときに、2月のなかばぐらいに、買い物に行きなさい、じゃ、私が横についていってやるから、早く車に慣れた方が。4月からはいや応なく1人で通勤していくわけですよ。群馬は車社会なんですから。そのときにならしをさせてやりたいな、こういうお母さんの思いというのをどういうふうに考えていますか。
◎教育長(内山征洋 君) それは先ほどちょっとお話ししたように、保護者が同乗して仮免という形でならし運転というのは可能になるだろうと思います。それは私は十分理解するものです。
 なお、ひとつだけ言うと、就職が内定をしていて、その間に事故や何かを起こした場合に、当然のことですけれども、就職の取り消しとか、いろいろ将来の進路を阻むような事態というのは、在学中に事故があれば当然に起こってくるわけでして、そういうのも一方では心配しているという事実はあります。
◆(黒沢孝行 君) ありがとうございました。そういう心配は全部前提のうえです。それは社会的な責任という意味ですから。わかりました。ありがとうございました。次の質問に移らせていただきます。あと6分ですから、多分もう1問は質問できないかなというふうに思います。
 次は、耐震強度偽装問題について、県土整備担当理事にお伺いをします。
 いろんな意味で社会問題になっています姉歯建築設計事務所が関与したと。このことで群馬県内でも前橋、伊勢崎、渋川のホテルが今営業休止に追い込まれています。群馬の場合、ある意味で非常にショックを受けたのは、すべて県なり前橋市なり伊勢崎市なり自治体が建築確認証を出した。このことの重み、重要性をきちっと検証していく必要があるのではないか。
 今朝のNHKのニュースでも、全部で65件の物件のうち26件、つまり40%が自治体が建築確認を出したものだと。当初は民間の検査機関というのがずっとクローズアップされていましたけれども、自治体が建築確認証を出した。つまり、この偽造なり偽装なりを見抜けなかった。このことをどうしていくのか。きちっとしなきゃいけないのではないかなというふうに思っています。
 まず、何で見過ごしてしまったのか。行政のシステム上、問題があったのではないか。今、自治体の責任という意味で、理事が記者会見で、これは新聞の見出しだったんですが、「不正は想定外」、こういう大きな見出しになっていたんですが、この理事の記者会見というのは、今私が言ったような立場からすると納得ができないというのかね。だったらば、申請が出されたら即確認済証を出しちゃえばいいじゃないの。いろんな問題があるから確認済証をきちっとチェックするんでしょう。私は、この発言は非常に問題ではないかなというふうに思っています。
 その次に、もう現実にそうなっちゃったわけですから、どう対応するのかというのをお聞きしたいというふうに思います。1つは、この確認済証を出したホテルに対する対応というのはどういうふうにするのか。もう1つは、このホテルは震度5でということですから、近隣住民の皆さんは非常に不安だというふうに思いますので、このホテルをどうされようとしているのか。補強なのか解体なのか。あわせて地域住民に対する説明をどういうように行っていくのか。
 そして最後に、一番大事だと思います。つまり、先ほど申し上げましたように、そういうチェックできなかったシステムがあったわけですね。これが事実あったわけですから、じゃ、これからきちっとチェックができますよ。この間、建築基準法では、申請が出されて21日以内に通知しなきゃいけないという法律がある。これに基づいて担当の職員は非常に大変な作業をするんだというふうに思いますが、そういう行政のシステム上の問題をどういうように改善されていくのか、お尋ねをしたいというふうに思います。

         (県土整備担当理事 川西 寛君登壇)
◎県土整備担当理事(川西寛 君) お答え申し上げます。
 建築物の確認審査と申しますのは、議員も御指摘のとおり、法律上規定されました「申請書を受理してから21日以内」に建築計画、防災、設備、構造、ハートビル法などなど多方面にわたって審査を行って確認をすることになっております。
 このうち、今回問題になりました構造に関する審査と申しますのは、これまで添付されました構造計算書という書面がございますが、これの妥当性を確認いたしますとともに、構造図という図面がございまして、それと構造計算の結果とを照合することによって、その適合性を調べて審査してきたということであります。
 なぜこのようにしてきたかという原因でございますが、一般に構造計算には、現在では電子プログラムというものが使われております。このプログラムは、入力条件を適切に行えば計算を連続して行いまして、途中で計算を止めて人間の手で改ざんすることができない仕組みになっているということで考えられてきたわけでございます。
○副議長(中沢丈一 君) 残り時間2分です。
◎県土整備担当理事(川西寛 君) (続) この結果、今回のような事案につきまして、これまでの書類審査では改ざんを見抜くことは非常に困難であったというふうに考えております。
 新聞におきまして、私、「不正は想定外」というような発言をしたというふうなことでございます。その趣旨でございますが、再計算しなければ発見できないような改ざんが行われていたこと、また、一級建築士という専門家が改ざんを行ったということはあり得ない、また、あってはならないという趣旨であります。
 今回の事件は、これまで築き上げてきました建築確認に対します県民の信頼を根幹から揺るがす深刻な問題と考えております。したがいまして、早急に再発防止策をとりたいということで、当面、構造計算が必要な物件につきましては、構造審査をするための構造検討会を今月より設けております。この中で、疑義のある申請については、私どもが今月中に購入をいたします再計算プログラムによって独自に再計算をいたしまして、結果が著しく違った場合には直ちに申請者に理由を聞くとともに、関係機関に通報したいというふうに思っております。また、この事務のために、建築住宅課内の担当部署に1名増員をしたところでございます。
 ホテルに関しましても、現在、オーナーの方が他の建築士に依頼しまして、早期に再開できるように補強計画を検討中と聞いておりますので、県といたしまして、第三者機関でございます各県にあります耐震判定委員会での判定をしてもらって、できる限り早期に再開できるよう協議したいと思っておりますし、周辺につきましても、今、市と協議をしておりますが、今回の補強計画、こういったものが決まりましたら適切な時期に関係者に説明をし、理解を求めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(中沢丈一 君) 残り時間10秒です。
◆(黒沢孝行 君) 時間がありませんので、5項については割愛させていただきます。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(中沢丈一 君) 以上で黒沢孝行君の質問は終わりました。
  ● 休     憩
○副議長(中沢丈一 君) 暫時、休憩いたします。
 午後1時50分から再開いたします。
   午後1時35分休憩


   午後1時49分開議
  ● 再     開
○副議長(中沢丈一 君) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
  ● 一 般 質 問(続)
○副議長(中沢丈一 君) 伊藤祐司君御登壇願います。

         (伊藤祐司君登壇 拍手)
◆(伊藤祐司 君) 日本共産党議員団を代表して、知事、理事に質問いたします。
 午前中からの一問一答の質問を見ていると、どうも質問時間が足りなくなる傾向があるようですので、簡潔な答弁を期待したいと思います。
 私は、今の地方政治というのが国の政治との関係で大変振り回されていると。三位一体改革しかり、それから強権的な合併の押し付けしかりであります。私は規制緩和がなった今度の質問で、今、群馬県政に具体的に押し付けられている2つの悪政、1つが八ッ場ダム建設という莫大な無駄遣い、もう1つが新経営安定化対策という名前の群馬の農業つぶし、この2つの悪政に対して、今、県政が県民の立場からどういうふうに臨んだらいいのか、根本的な議論をさせていただきたいと思います。
 まず、八ッ場ダムですけれども、最初に建設計画が立てられてから半世紀以上がたちます。この間、水没住民の絶対反対の声がありながらも、当初は社会全体としてはこれが必要だと考えられていました。しかし、今日の社会情勢の変化、ダムに対する私たちの認識の変化のもとで、このダムはもうつくるべきではないんじゃないか、そういう声が今や多数派になろうとしています。
 今年1月5日付の上毛新聞の県民世論調査を見ると、八ッ場ダム建設について、「推進すべき」と答えた県民が13.3%に対し、「推進するべきではない」というのが31.4%と倍以上の開きになっていました。1都5県で起きている公金支出差し止めの住民訴訟もこうした流れを反映しているというふうに思います。そうした点を踏まえて、私は、永年苦しめられ続けてきた関係住民に対する補償や生活再建の問題とダム本体工事とは切り離して、ダムについては中止を含めて再検討するべきであるというふうに考えています。群馬県としての政策転換を求める立場から質問したいと思います。
 まず、各論に入る前に確認しておきたいのが2点です。ダムというのは自然にとって好ましくない建造物だというのがまず1点目です。ダムはかつて人類に利益をもたらす科学技術の象徴だった時代があります。特に日本の河川は短く急勾配で、洪水が起こりやすく渇水になりやすい。この洪水をダムにため込むというのは一石二鳥なわけで、善なる存在だったわけです。
 しかし、環境に対する認識はここ10数年で大きく変化してきました。川の流れは、渇水であれ洪水であれ生態系を形づくっているそのものだ、物質循環を担っているんだと。川の流れは、そういう点で洪水があればれきが動き、古いコケがはがされて新しいコケが生まれてコケがアユのえさになる。また、洪水で運ばれる大量の物質が海の生き物にとっての一大栄養源になる。この営みを断ち切るダムは、川の生態系を破壊する巨大な害悪を持つ存在なんだという認識ですね。つまり、ダムというのは、相当ののっぴきならない、他に代えがたい理由がなければつくってはならない、これが今私たちが到達している認識じゃないかと思います。まして八ッ場ダムは、とうとうと流れている利根川の中流部をばっさりと断ち切るダムであり、この戒めを強く反映するダムだという点であります。
 もう1つは、より直接的な無駄遣いという点において、八ッ場ダムは4600億円という日本一の莫大な事業費が投入されようとしているダムですから、当然それに見合うだけの正当な必要性やまともな効果が得られなければならないダムだという点だと思うんですね。この2点を念頭に、具体的にお聞きしたいと思います。
 まず、県土整備担当理事に伺います。治水についてです。
 利根川の治水は200年に1回の洪水に備えるとされていて、そのピーク流量が伊勢崎市の八斗島で毎秒2万2000立米とされていますが、この大洪水のうち6000立米を上流ダム群でカットして、残る1万6000立米を河川改修や堤防整備などで対応するというのが利根川治水の考え方ですが、この中で八ッ場ダムが果たそうとしている役割はどう位置付けられているのか。
 また、2万2000立米の根拠となっている洪水がカスリン台風のときのそれですけれども、実際にカスリン台風の雨の降り方が今起こった場合に、八ッ場ダムはどれほどの効果をもたらすことができるのか、お答えください。
 また、2万2000立米の洪水に対して、上流ダム群で6000立米をカットするという計画のようですけれども、既設のダムが6カ所と八ッ場ダムでカットできる洪水は合計1600立米であります。残りの4400立米をどういうふうにしていくおつもりなのか、お答えいただきたいと思います。

         (県土整備担当理事 川西 寛君登壇)
◎県土整備担当理事(川西寛 君) お答え申し上げます。
 八ッ場ダムにつきましては、利根川流域におきます治水計画上、河川の重要度などを勘案いたしまして、議員御指摘のとおり、200年に1度の確率規模並びに既往最大の降雨を考慮して計画されている洪水調節施設でございます。
 御質問の1点目のカスリン台風のときのような、いわゆる烏川、神流川並びに利根川本川で雨が多く降りまして、吾妻川流域では降雨が非常に少なかったケースでは、八ッ場ダムによる治水効果は大きく期待できない場合があるということは十分承知しております。ただ、降雨というのは自然現象でありまして、その降り方は洪水ごとに異なっているんだろうというふうに考えられます。したがいまして、利根川全体の洪水被害を予測して治水上の効果を検討する場合には、過去の様々な実績降雨を考慮して効果を確認する必要があるんだろうと思っています。
 例えば利根川の上流域というふうに考えております。群馬県の中と考えてみますと、上流域は約5100平方キロメートル流域がございます。これは群馬県の総面積の8割を占めるというような大変広大な地域でありまして、このうち吾妻川流域と申しますのが約4分の1の1400平方キロメートルということであります。現在、吾妻川流域には洪水調節施設は1つもないという状況であります。したがいまして、建設中の八ッ場ダムが完成すれば、群馬県内の吾妻川や利根川での洪水被害が軽減されることはもとよりですけれども、想定はんらん区域内、これは群馬県だけではございませんで、下流域1都5県、群馬県を含めてございますが、ここには480万の人が住んでいるというふうに認識しております。ここへの非常に大きな治水効果があるんだろうと思っています。
 それで、八ッ場ダムの洪水調節効果の御質問、2点目でございますが、200年に1度の確率規模の降雨で、カスリン台風を含みます31洪水を国の方で想定して試算した結果によりますと、八ッ場ダムを建設した場合に、先ほど御指摘の八斗島地点でございますが、最大で毎秒1500トン、最低ではゼロ、平均で毎秒600トンの効果があるというふうに試算されていると聞いております。
 次に、3点目の2万2000トンのうち上流域のダム群で6000トン、既存のダムで1600トン、その余はどうするのかという御質問でございます。現在の計画は議員御指摘のとおりの計画で進んでおります。上流域6000トンを洪水調節施設で整備していくという計画でございます。しかしながら、現在、利根川流域の河川整備基本方針というのが審議中でございます。この中では、既設ダム並びに建設中の八ッ場ダムも含みまして、この調節量の残りにつきましては、洪水調節施設、河道整備、遊水池など様々な方法について検討されておりまして、今後、地元との協議のもとで一番よい方法が決められていくのではないかなというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。
◆(伊藤祐司 君) 利根川洪水の合い言葉とも言えるカスリン台風のような雨では全く治水効果がないというのが1点、今御答弁がありました。それが八ッ場ダムなんですね。降り方はいろいろあるから、ほかの雨には役に立つんだというふうにおっしゃいますけれども、議長にあらかじめ許可を得てありますパネルを示します。
 これは「八斗島地点に対する八ッ場ダムの治水効果」について見たわけですけれども、戦後の三大洪水、カスリン台風、1949年のキティ台風、それから1958年の台風21号、それぞれの台風について、それを200年に1度の雨の降り方にわざわざ引き延ばして、じゃ、八ッ場ダムはどのぐらいの効果があるのかというふうに示したようです。
 一番左側にあるのが今答弁のあった国土交通省が示した600トンという平均値ですね。それに対して、カスリン台風では効果はゼロだということであります。キティ台風については220立米ぐらい、それから台風21号に対しては180立米ぐらい、この程度しか効果をあらわすことができないというダムなんですね。つまり、戦後の群馬の三大洪水に際して、どれをとっても持てる力の半分も効果を見出せないダムなんじゃないですか。つまりそういう点では、八ッ場ダムは計画どおりにつくったけれども、役に立ちませんでした、雨の降り方が悪いんです、こういうようなことになる可能性はあるんじゃないですか、伺います。
◎県土整備担当理事(川西寛 君) 先ほど申し上げましたが、降雨というのは自然現象です。したがって、おっしゃられるとおり、私もそう申し上げましたとおり、効果の少ない雨の降り方をされた場合には、そこの施設に関しては効果が総体的に低くなるのは当然あり得ることだと思います。逆にそこの地域に多く降った場合には最大の効果が出てくるんだろうというふうに思います。したがって、自然現象ですから、なるたけ多くのケースを想定して、きちんとその平均的な効果を見込んでいるということが必要なんだろうというふうに思っています。
 先ほどのお示しされた事例については、降雨の状況として、たまたま吾妻川流域に大きな降雨がなかったということではないかと認識しております。
◆(伊藤祐司 君) そういうふうにおっしゃいますけれども、でも、戦後の三大台風を見ても大きな効果を発揮できないんだというのはもう事実で、証明されているわけですね。ここにそれだけ莫大な、4600億円という日本一の事業費をつぎ込む価値があるのかどうなのかということが1つ問題になってきていると思うんです。
 それからもう1つの、上流ダム群で6000立米カットしなくちゃいけないのに、八ッ場ダムを含めても1600立米ぐらいしかカットできないということについて、ほかの遊水池だとか河川の改修だとか、そういうことで済ませていくんだというふうに御答弁なさいましたけれども、4400立米というのは莫大な量なわけですよね。既設7ダムで1600トンしかカットできない。これから計算すれば、優に今の7つあるダム、八ッ場ダムを含めて7つと考えれば、あと10個や20個はつくらなきゃならなくなるという計算じゃないですか。ところが、国交省はこの間、川古ダムだとか栗原川ダムだとか戸倉ダムだとか平川ダムだとか、どんどん上流のダムを中止にしてしまっている。まともにやる気がないんじゃないですか。何年たってもこんな計画は完成するはずないと私は思うんですね。まさに絵にかいたもちのような治水計画だというふうに思うんです。
 これには理由があるんですね。そもそも国交省が定めた毎秒2万2000立米という基本高水流量、ピーク流量の設定自体に問題があるんです。またもう1パネル示しますけれども、これは「利根川・八斗島地点の年間最大流量の推移」、1935年以降統計のあるものを示したわけですけれども、赤のグラフがカスリン台風、これが1万7000トン出たと言われていますが、これが飛び抜けているんですね。
 そのカスリン台風以外で1万トンを超えたというのは、その次の1949年のキティ台風、これが1万500立米です。
 そして今日までは1万トンを超える洪水が出ていない。この1万7000トンのカスリン台風というのが、1981年までは200年に1回の確率の洪水だと。これを目途に利根川では河川整備等がされてきたわけですね。ところが、1981年に突然国交省の方で、今カスリン台風と同じ雨が降ったら、上流域の河道改修等が進んできているので、流出特性が変化しているから、もっと出てしまうだろうというようなことで、5000立米引き延ばして2万2000立米と莫大な非常に高い高水流量を設定している。ほかの洪水と比べたって、倍に延ばしたってとても届かないような高い流量を設定しているわけですね。
 この流量なんですけれども、ここに1999年9月15日付の上毛新聞のコピーがあるんですけれども、これは「群馬100年を記念して」という特集記事でありますが、カスリン台風の教訓というんですね。大きな見出しだけ見てみますと「育て、守れ水源の森、37万被災者の思い」、中の見開きの特集が、「森林乱伐の大地、濁流が命のみ込む」という見出しであります。最後にまとめのコラムとしてこういうふうに出ています。「第2次世界大戦がなかったら、カスリン台風の災害も起こらなかった。戦中の食料難の解消のため、赤城山麓の開墾、エネルギー元のための木材の供出などで乱伐され、森林は消えていった。そこへ大雨を降らせたカスリン台風の襲来。保水力を失った山は、その水を下流に一気に流すしかなかった」、こういうふうに言っているわけなんです。
 こういう特殊な事情のもとで起きたのがカスリン台風の1万7000トンという、そういう大洪水だったというわけですね。1万トンを超えた洪水が戦後間もなくの2回しかないというのを見てもそれを裏付けています。そして、今はそういう裸になった山というのが植林されて、杉や松などが立派な森をつくっています。保水力は断然違ってきているわけですね。そうしたことを一切考慮せずに、カスリン台風の雨を机上の計算だけで引き延ばして、2万2000立米というものにしてしまった。これは根拠としてかなり怪しいというふうに思わざるを得ません。そして、5000トンも引き延ばしてしまったものだから、それまでの治水計画だとダムによってカットする流量というのは1100トンだったんですよ。それを6000トンにしなきゃならなくなった。だから、もうやたらダムをつくらなければならなくなった。ここに、さっき言いましたように絵にかいたもちとなっている利根川の治水計画の現状があると思うんです。こういう100年たっても完成するはずのないような治水計画に頼るんじゃなくて、現実的な治水計画へと変えていく必要があるんじゃないかと思いますけれども、いかが思いますか。
◎県土整備担当理事(川西寛 君) お答えをいたします。
 まず、2万2000トンが突然変わったのではないか、また過大ではないかという御質問だと思います。先ほど御説明をいたしましたように、この2万2000トンというのは国の方で試算をしたり、いろいろな新しいデータも入れてチェックをしているというふうに伺っています。
 その算定方法としては、まず200年に1度という安全度を確保するために、そういう最大降雨みたいなものを想定いたしまして、この確率に相当する雨量に基づいて流出計算をやっている。これは想定です。一方で、先ほどおっしゃられましたカスリン台風をはじめといたします実績降雨、これから算定される最大流出量も双方を見合って決めているものだというふうに伺っています。したがいまして、こういうものは我々が一般的に洪水を予測するときにも使う方法ですから、それについて算出されたものが特に過大だというふうには考えていません。ただ、議員おっしゃられるとおり、戦後からずっと社会経済状況は変わってきているわけです。そういった中で、例えば森林の整備も変わってきているのではないか。また、都市化の状況も変わってきているのではないか。そういったものをどうやって加味していくかということ、この姿勢は常に必要なんだろうというふうに私は思っています。
 それから、2点目の残るものをどうするのかということでございます。これはまだ、今おっしゃられるとおり、従前の計画では2万2000トンのうち1万6000トンは川で受け持って、残り6000トンを上流のダム群で持つという計画になっていることは間違いございません。この残りを一体どこでどういうふうにするのかということの御質問ですが、今現在、同時進行で、先ほど申し上げましたとおり、社会資本整備審議会の中で、この利根川流域については整備基本方針というのを審議中でございます。私どもも参加して、その中でいろいろ考え方を聞かせていただいていますが、まずその方針で我々が伺っているのが、洪水はできるだけ河道で分担する。これが大方針です。その中で、ただ、河道ではすべては処理できない、これも事実です。それをどうするかということは、まず既存ダムの有効活用、それから河道内の遊水池、それから洪水調節施設、いわゆるダムです。こういったものを様々な対策を組み合わせて対処しますというふうに伺っています。
 したがって、まずダムありきではないというふうに我々は当然考えていますし、既存施設も最大活用していただけるものだ、また、河道内で最大の遊水池なんかも整備して、そういったことで効果のあるものもやっていただけるものだというふうに考えております。
◆(伊藤祐司 君) いろいろ考えているところだと言いますけれども、今おっしゃられた同時並行している委員会の中で語られているのが、上流ダム群6000トンじゃなくて、500トン部分を何とか遊水池だとかこっち側に振り向けましょうと。具体的に出てきている数字はそれだけですよ。500トンダムの部分を減らしたところで、あと残り4400トンだったのが3900トンになるだけじゃないですか。3900トンといったら、今の上流ダム群の2倍以上じゃないですか。同時並行している社会資本整備審議会がそういうふうにやっていると言いますけれども、こういうダムをつくるためのような、それこそ計算式に当てはめて出したんだと言いますけれども、この2万2000トンという高水流量自体が非常に現実に合わないものだからこそ、ダムをたくさんつくらなきゃならない、そういう治水計画になっているんですよ。これは利根川だけじゃないんですね。どこの河川もほとんどがダムがまだまだ足りない、2倍もつくらなきゃならない、そういう状況になっているわけです。そういう絵にかいたもちのような治水計画にいつまでもしがみついていることこそ、本当のやるべき治水事業というのを後回しにさせてしまう、そういう役割を果たすと私は思うんですね。この件に関しては理事さんとこれ以上やっても先に進まないと思うので、あとは知事に伺いたいと思います。
 ダムに頼る治水というのは、住民意識のうえでも、あるいは河川整備などとの関係でもマイナス要因になっていくというのが昨年の新潟水害でも明らかになったと思うんです。ダムがあるから水害保険に入らなかったとか、ダムがあるから河川改修が後回しにされていたということを官民双方から声が出ていました。
 そこで伺いますけれども、八ッ場ダムの治水効果についてこれだけの疑問点があるわけです。役に立つかどうかわからない、そういうダムなわけですから、あるいは利根川水系の治水を考えていくうえでも、今の国交省のやり方ではいつになったらできるのかわからないわけですから、そういう点で、改めて下流都県、国交省とともにこういう利根川治水のあり方を考え直していく、ダムに頼るんじゃなくて違うやり方があるんじゃないかと考え直していくということが必要だと思いますけれども、知事、いかがお考えですか。

         (知事 小寺弘之君登壇)
◎知事(小寺弘之 君) 八ッ場ダム場の治水効果については、ここに答弁要旨でいろいろ専門的なことが書いてあるんだけれども、今、川西理事が専門家としてお答えしたので、それは重複するので避けます。
 問題は、やはり伊藤議員がおっしゃっている治水効果、200年一遍をとるか、それとも戦後をとるかとか、そういう物の考え方にも随分違ってくるだろうと思うんです。私たちはダムによって自然を統制できるというふうに、そういう夢を抱いてきていたのがこれまでの数十年だったと思いますけれども、必ずしもそうでもないということもわかってきて、今、河川行政も転換期を迎えてきているんだろうと思います。
 下流都県ですけれども、これは下流都県だけではなくて群馬県にも関係することでもありますけれども、主として下流都県の状況については、関東知事会とか、それから国土交通省が入ったそういう協議会の中で、本当にこれは必要なんだろうかということもさんざん投げかけてきております。そして、ある部分については、このダムは中止しようかとかやめようかとかいうことになってきているし、八ッ場ダムだけは国営ダムとして続行していこうということで、下流都県からの申し入れもあって、今工事が進められているというところだと思います。
◆(伊藤祐司 君) 今、社会資本整備審議会の整備計画の基本方針を決める委員会が並行して行われていると言いましたけれども、ここでも事務局方が出してきているのは、基本高水流量は2万2000立米です、これに合わせて上流ダム群では6000立米と言っていたのを5500立米ぐらいにしましょうという程度のものなんですね。この河川法に基づく審議会の基本方針が出ると、これはその治水方針に法的なお墨つきを与えるようなことになると思うんですね。ここに持っていってしまうと、やっぱり本当に大きく、改めて治水の根本から見直していくという作業がかなり困難になっていくんじゃないかと思うんです。そういう点で、流域の自治体の長として、治水計画見直しのイニシアチブをぜひとっていただきたい。もう少し根本的な話し合いをやってもらいたいということを、とりあえずこの場面では、残り時間がなくなるので、要望にとどめておきたいというふうに思います。次の問題に移ります。
 次は利水についてです。総務担当理事にお伺いします。
 八ッ場ダム事務所のホームページを開くと、八ッ場ダムの役割について、「増え続ける水需要を支える」と書いてあるんですね。本当に水需要が今増え続けているのでしょうか。あったら、その具体的な数字を示してもらいたいと思います。
 水需要に直接関わるのが人口の増減ですけれども、人口はもはや減少期に入っていると見られます。厚生労働省が発表した今年1月から6月の人口統計では、昨年同期を4万2000人下回っています。これは政府の予想をはるかに上回る速さなんですね。国立社会保障・人口問題研究所が2002年に出した将来人口推計は、高位、中位、低位の3ランクあるんですけれども、2005年の人口が2004年を4万人も下回るというのは、低位の推計よりもさらに下回っている、そういうまさに人口急減の兆しを示している。群馬県の人口も速報値を見ると、どうも昨年がピークだったようにも見受けられます。
 人口だけじゃないんですね。1人当たりの水使用量も減少しています。それもそのはずで、昔の水洗トイレというのは、1回ジャーッと流すと20リットル以上流してしまっていたのが、今は大で8リットル、小で6リットルでいいそうです。洗濯機をはじめとした家電製品も節水型が売りの時代になっている。工業用水の方もコスト対策からか循環させるようになってきている。そういう点で見ると、東京都などは首都圏で唯一、今、人口が微増しているんですけれども、水使用量自体は年々減り続けているんですね。全体の水需要が減じる中で、国交省が強調しているのは渇水ですけれども、しかし、八ッ場ダムというのは、この渇水が起こりやすい夏の時期には洪水調節というふうなことで、9000トンある貯水容量のうち6500トンは排出してしまって2500トンしかためることができない、そういう渇水にあまり役に立たないダムなんですね。これは首都圏の水がめ全体から見ると5.6%増えるだけになるんです。これに4600億円をつぎ込む価値があるのか。こうした実態を考えれば、八ッ場ダムの利水面をもう1度立ちどまって考えるべきじゃないかと思いますが、総務担当理事の御答弁をお願いします。

         (総務担当理事 唐澤紀雄君登壇)
◎総務担当理事(唐澤紀雄 君) それでは、お答えいたします。
 八ッ場ダムの利水上の必要性についてでございますけれども、議員御指摘のとおり、景気の低迷、家庭や工場における節水意識の高まりなどにより、近年、県内水需要は横ばいないし微減の状況にあります。しかし、利根川水系の利水安全度は5分の1と低い水準にあり、近年の少降雨の頻発により、安定的に取水できる量が減少し、およそ3年に1度の取水制限という状況にあります。
 また、八ッ場ダムで取水の安定を図る量のうち、約44%が本県を含め埼玉県、東京都、千葉県等により、暫定水利権により先行取水されております。首都圏における安定的な水供給体制の確立には、八ッ場ダムによる水資源の確保が必要不可欠と考えております。
 これまで群馬県では、増大する水需要に地下水や農業用水の転用等で対応してきましたが、地盤沈下の進行や湖沼、中小河川、農業用水等が果たしてきた地域における環境用水機能の低下などの弊害も顕在化しております。
 県央、東毛地域では、地下水依存からの脱却とともに、頻発する渇水リスクの回避が課題でありまして、県央第二水道、東部地域水道及び東毛工業用水道の水源を八ッ場ダムに確保し、既に暫定水利権により毎秒1.2立方メートルを取得しております。利水の安定性向上と地盤沈下の抑制対策がこれによって進められております。
 一方、東毛地域における中小河川の浄化用水確保や農業用水の冬期通水などの要望については、都市用水を賄う暫定水利が必要な現状では対応が難しい状況にあります。また、県央、東毛地域は全国有数の内陸産業集積地域であるとともに、広大な農地を抱える農業地域であり、水が不可欠な食品産業の立地や水耕栽培等のアグリビジネスの展開への対応など、長期的視点に立った水源確保も重要な課題と考えております。
 このように、利根川水系においては、限りある水資源を各用途で融通、調整しながら利用している状況にありまして、群馬県はもちろん、首都圏全体でも水余りにあるとは言えず、特に下流利水都県からの強い要請もあり、本県としては、八ッ場ダムによる水源確保は必要不可欠と考えております。
 なお、渇水期である夏には八ッ場ダムに水が少なく、費用対効果から考えておかしいのではないかとの御意見でございますけれども、八ッ場ダムの夏場の利水容量2500万立方メートルは少ないんですけれども、八ッ場ダムによる新規開発水量のうち、農業用水の合理化転用等によるものが6割を占めておりますので、夏場においてはダムから河川への放流が少なくても、適切に水需要に対応できるというふうに考えております。
 以上でございます。
◆(伊藤祐司 君) 今の最後の農業用水の問題なんかは、結局、ダムの水がなくたってうまく転用すればできるんですということを自分で言っているようなものじゃないですか。そうじゃなくて、今、本当にこれだけ水が余ってきているのに、まだ水需要がこれだけ利根川は逼迫しているんですと、大した作文をされるものだなというふうに私は思いました。
 例えば、このグラフです。
 これは下の棒が2002年度の下流6都県の水需給のうちの最大取水量を積算したグラフですね。上の棒グラフが下流の群馬県を含めた6都県の保有水源を給水ベースで見たグラフなんですね。最大取水量を見たって、給水ベースでは余裕の水源があるんだと。3割ぐらい余裕があるんですよ。今そのぐらい各都県は水源を持っているということなんですね。
 例えば、渇水が頻繁に起こっているというふうにおっしゃいますけれども、最近20年の利根川の渇水を見ると、確かに3年に1回、4年に1回ぐらい起こりますけれども、でも、ほとんどが自主節水や初期の減圧給水の段階でとどまっていて、深刻な断水など生活に影響のある渇水にはなっていないじゃないですか。むしろ農業用水などには余裕があって、そこからの転用がもっとスムーズにできれば給水制限などしなくて済む状況というのが続いています。とりわけ群馬県には豊富な地下水があって、これらが今、表流水への転換ということで県央第二水道などの水道が押し付けられているものですから、地下水の使用を強引にやめてきているという状況があるわけですね。こういう点では、渇水時にとっての余裕水源というのはそれぞれ持っていると考えられるわけですよ。ダムをつくらなくても渇水にだって対処する方法は、知恵を出せば幾らだって出てくるのに、どうしてもダムだという。
 結局は、さっきおっしゃいましたけれども、行き着くのは暫定水利権、不安定水利権だと思うんですね。これこそ、ダム建設に自治体を誘導してきた犯人とも言うべき国交省の独占している権利ですよ。今回の八ッ場ダムの事業見直しで、群馬県は八ッ場ダムに通年の水利権として設定しているのは藤岡市の0.25トンだけですよね。残りの水道水とか工業用水の分は全部冬期の設定になっているということですよね。夏の分はどうしたのかというと、広瀬桃ノ木用水、つまり農業用水からもらうことにしたわけですね。この措置をもう既に契約して4億円払ったと。4億円毎年払うのかと思ったら違うんですね。1回払うだけで、もうそれでずっと使っていいという契約になっているわけじゃないですか。そういう点では、本当に融通をしていく、水利権をきちんと分けていくということができればいいわけですね。
 でも、国交省が言うのは、冬場は農業用水の水利権はないんだ、だからだめなんだと言うんですけれども、夏に比べて利根川は確かに冬は流量が減ります。減るけれども、毎秒何十トンという大量の農業用水の取水がなくなるわけですから、当然冬の利根川にも十分な水がとうとうと流れています。都市用水の供給が困難になることだってないわけですよ。実際に不安定という名前がついていますけれども、現在だって取水はされているわけですよ。
 今、各都県が八ッ場ダムの建設への参加を条件に認可されている暫定水利権というのは、八ッ場ダムの開発水量のうち半分程度なわけですね。先ほどもおっしゃいましたように、半分ぐらいが暫定水利権になっているというわけですから、これは一致して国交省に働きかけていって、ダムをつくらなければ正式に認めないというような、そういう水利権の制度を改めさせること、こちらの方がより現実的なことになっているんじゃないですか。これだけ予算が逼迫してお金がなくなってきている時代ですから、他県でも農業用水の転用やら、さらには工業用水の再利用――この工業用水の再利用なんていうのは、工業界の方からどうぞ再利用してほしいというふうに請願が出ているくらいですよ。そういう議論が展開されているわけですから、水利権の調整というのは、それこそこの地方分権の時代に十分に可能になってくるんじゃないかと思うんですね。そういう点で下流都県と協力して国交省に働きかけていく、水利権の問題を解決していくということの方がより現実的だと思いますが、いかがでしょうか。
◎総務担当理事(唐澤紀雄 君) 今、議員御指摘のように、確かに現実的には大規模な取水制限がなかったのではないかというような御指摘、確かに何時間断水とかという事態には至らなかったんですが、平成6年、8年、13年と渇水ぎりぎりのところで、私どもとすると断水というのはあってはならないことというふうに考えておりますので、私どもは非常に緊迫した状態で一連の対策をとっておるところでございます。
 さらに、地下水等については、例えば東部地域水道が供給を開始し、9年に取水を開始してから、東毛地域においては地盤沈下が鎮静化しておりまして、こういったことも効果があるのかなというふうに思っております。
 ただ、そういったことだけではなくて、私どももできることは最大限の努力はして、いろんな制度の中でいろいろ融通をしたり、いろんな検討をしております。今、関係機関ともいろんな調整をしながら、できることはやるということで努力をしております。そんな形でよろしくお願い申し上げます。
◆(伊藤祐司 君) よろしくお願いされたくないんですけれども。
 もう1つ提言を出しますけれども、これは「群馬県の人口予測」。
 上の赤い方のグラフは県の21世紀プランの中にある人口の予想グラフですね。実際はこうじゃない。手前の人口問題研究所の予想だと、2025年には190万人を切るという人口予測になっているし、この人口問題研究所の予測は、現実の数から比べればこれよりもっと下がるんだという将来見通しなんですよ。そういう将来見通しをしっかり持って、将来は人口が減って水需要が減っていくんだと。そういう中で、今このダムをつくる必要が本当にあるのか、八ッ場ダムの利水が本当に必要なのか、そこから今、県としてしっかり見定めなくちゃいけない、そういう問題だと思うんですが、いかがですか。
◎総務担当理事(唐澤紀雄 君) 私どもとしては、現行下では、今暫定に頼っている状況では八ッ場ダムはどうしても必要だということで継続をしているところでございます。
◆(伊藤祐司 君) この問題は、次に県土整備担当理事に伺いたいと思います。
 利水に関わる問題というのは、八ッ場ダムの完成時期にも関わってくると思うんですね。それから、建設費の値上がりについても質問しておかなくてはならないと思うんです。国交省の予定では、八ッ場ダムの完成は2010年ということになっていますが、しかし、現地の状況を見れば、代替地の造成は大きく遅れています。予算の執行状況から見ても、本体工事だって大幅に遅れていく可能性があるんじゃないですか。
 というのは、私が一昨年の予算委員会でも指摘したとおり、ダム湖の周辺は地すべり地帯で、これへの対策が極めて不十分だ。それから、ダムサイトの地盤もかなり弱い。このダムサイトについては、1970年当時、八ッ場ダムは今の予定地よりも600メートル下流の渓谷のど真ん中に予定されていたのですけれども、当時の山口鶴男衆議院議員が、渓谷を全部沈めちゃうから、もっと上流に移したらどうだというふうに質問したら、国交省の担当者は、そこは地盤が弱くてダムに適さないと答弁している。まさにその場所に今つくろうとしているわけですよ。そういう点では十分な地盤対策が必要になるけれども、これがちゃんと積算されているとはとても見えないんですね。そうしたことを考えれば、2010年に完成するとはとても思えない。この辺についてはいかが考えていますか。

         (県土整備担当理事 川西 寛君登壇)
◎県土整備担当理事(川西寛 君) お答えします。
 八ッ場ダムにつきましては、議員御指摘のとおり、平成22年度完成を目標に現在事業を進めている国家的な事業だと思っております。
 御指摘のダムサイトの地質問題でございます。私どもも1970年当時そのような議論があったというふうには承知をしております。そのために、事業者であります国土交通省では、平成8年から継続してこのダムサイト周辺で詳細な地質調査を継続してやっておりまして、現在も堤体の建設位置を決めるために詳細設計を実施中であるというふうに聞いております。
 また、ダム湖周辺の地すべり対策については、前の御質問でもお答えしたとおりでございますけれども、これもやはり同様に専門家から成る検討委員会を設けて現地調査を実施して、新たにその後わかった地すべりの対策が必要な箇所も含めて計画どおり進めているということを伺っておりますので、県として、現時点でこれらの問題で完成が大幅に遅れるということはまずないのではないかというふうに考えております。
◆(伊藤祐司 君) これはかなり甘い希望だと思うんですね。私も前に県土整備常任委員会で言いましたけれども、奈良県の大滝ダムは、平成15年に完成して水を入れた途端に地すべりが起こっちゃったところ、今まだ一所懸命地すべり対策のための地質調査をやっているところですよ。その対策が全部済むのが平成22年になるそうですけれども、予算を270億円使うというふうに言われています。
 ダムというのは地すべりがつきものなんですね。つい最近、これも国交省がつくったダムですけれども、埼玉県の滝沢ダムというのが奥秩父にあります。これが完成して、やっぱり水をため始めたら地すべりが起きてしまった。私は見に行きました。ダム湖のわきを通る国道140号線の直下にひび割れが走って、かなり大規模なものでありました。国道が崩れては大変だというので、緊急に60カ所もアンカーを打って大工事になっていたわけですね。この滝沢ダムというのは、79カ所ぐらい地すべりの可能性があるだろうと。でも、19カ所で対策を講じればいいだろうというので、19カ所に対策を講じたんだそうです。その対策を講じた1カ所で滑っているんです。そういう具合に、国交省の大丈夫だろうというのは本当に信用できない。こういうことが八ッ場ダムだって必ず起きてしまう。今のままではそういう可能性が高いと私は思うんです。また、そういう対策をしなきゃならないとなれば、例えば2010年に完成したとしても、ああ地すべりが起きました、5年、6年先になります。あるいはダムサイトでひび割れが見つかりました、10年先になります。そうなれば、本当に人口なんかぐっと下がってきている。それこそ水がもう要らなくなってきている時代に、ようやく水ができましたというふうにやるのが八ッ場ダムになってしまうんじゃないでしょうか。
 それから、昨年の県土整備常任委員会でも指摘しましたけれども、吾妻川は東電の水力発電が相当水利権を持っています。これへの補償は事業費に計上されているのかと私は聞いたんですけれども、「ダムの建設によって生じる東電への補償というのはすべて計上してある」という旨の答弁をいただきましたけれども、計上されていたのは送水管の補強工事やその間の減電補償で、ダム完成後の東電への減電補償というのはどう見ても計上されていないんですね。前例に倣って計算してみると250億円ぐらいは見なくちゃならない。これだって大幅な事業費増じゃないですか。このような事業費の大幅増の懸念に対して、県はどう捉えているのか。もしこういうふうにどんどんと工期が先延ばしになる、あるいはどんどん事業費が高騰し続ける、そういうふうになっても、このお金は払い続けるおつもりですか。
◎県土整備担当理事(川西寛 君) お答え申し上げます。
 事業費に関しましては、平成15年度の基本計画の変更を契機といたしまして、私どもも大変大幅な事業費増ということでいろいろ中身を精査いたしましたし、慎重に判断をして、やむを得ないということで了承したわけでございます。その際にも、コスト削減は必至である、常に努力をしてほしいということを申し入れておりまして、現在、国土交通省内に、学識経験者によります「コスト縮減技術委員会」というのもできておりますし、我々が入っております「コスト管理等に関する連絡協議会」というのもございます。これはいわゆる事業費の大幅な増大を抑えるということでできている組織でございますので、我々としても増大をしていかないように、この中で意見交換なり問い質していきたいと思っております。
◆(伊藤祐司 君) 工期がずっと遅れてしまったり、あるいは事業費が付随工事などでずっとはね上がったりしたらどうするつもりなんだと聞いたことに対して全く答えていないですよね。もう県土整備担当理事さんに聞いても仕方がないと思いますので、知事に伺います。
 こうして見れば、水利用の点からも八ッ場ダムの必要性は極めて薄いのじゃないかと思うんですね。百歩譲っても4600億円もの事業費をつぎ込む価値はないというふうに思うんです。知事は、群馬県としては八ッ場ダムは迷惑な施設なんだけれども、下流都県のために協力するんだというふうに言われてきましたけれども、もはや下流都県にとっても必要性がないと思うんです。改めて話し合って、利水上でも必要性を検討するべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

         (知事 小寺弘之君登壇)
◎知事(小寺弘之 君) 質問を伺っておりまして、伊藤議員のお気持ちはよくわかるんです。わかるんですが、結局、カスリン台風で群馬県は約700人の犠牲者を生んでいる。それから、その後も伊勢湾台風ではたしか五、六千人が亡くなっているというふうに思います。そういう被害が出ると、これは大変だということになりますし、また、戦後、ダムの歴史を見ても、佐久間ダムをつくったとか、黒四ダムをつくったとか、あるいは下久保ダムをつくったとか、こういう夢があって、日本の土木技術は大したものだ、こういうことで水問題も解決するかということで、土木技術者は夢を追っていたと思うんですね。
 ところが、議員おっしゃるように、水需給も違ってくる、それから人口もそのまま伸びるわけじゃない、少子・高齢化になってくるとか、こういうふうになってギャップが出てきたんだろうと思います。ですから、それはやっぱりよく考えなきゃいけないと思います。
 それから先日、私、台湾に出張したときに見てみたら、空の上から見るとかなり池みたいなものが多いものですから、改めて台湾の地図を見ましたけれども、台湾という国は九州と同じぐらいの面積で、しかも富士山より高い山があるというようなことで、そこにつくったダムというのは、戦前日本人の技師が行ってつくったダムだったということを聞いて、なるほどなということを思ったわけです。
 そうしたことを踏まえて、私は、この水問題については絶えず慎重に多角的な面から検討をすることにしておりまして、この前の4600億円というのが出されたときにも、いかにもいきなり倍になるのかということでびっくりして、国土交通省に質しました。そして、もう1度よく精査してくれというようなことも言って、それで検討もしてくれたわけです。そして、その間に、これは議会の承認を得なければならないので、国から来ればすぐ議会に提出すればいいわけですけれども、私はそういうことでなくて、関東各県ともよく話をして――実は関東各県で関係県がすべて議会に提出し終わってから、群馬県議会は知事から提案をして承認をいただいたという経緯がございまして、私はこの問題については非常に慎重に考えているつもりであります。特に八ッ場ダムについてはもう半世紀以上の歴史を持っているわけで、その間に地元とすれば非常に苦しみ、悩み、そしてそういう中から今の状況に至っているわけなので、決してすべてを割り切って考えているということではないことを付け加えておきます。
◆(伊藤祐司 君) 知事はかつて取り付け道路がすべて完成していた倉渕ダムについても本体工事を凍結させました。今度の八ッ場ダムは美しい渓谷も台なしにするし、800年の名湯も水没させるダムであるということを考えれば、もはや人口減少期にあり、水余りの状況になっている。ダムがつくられるのはまだまだ先で、事業費の高騰もあり得る。洪水のときに役に立つかどうかは雨の降り方による、そういうようなダムに莫大な税金をつぎ込んでいる時代じゃないんだというふうに私は認識しています。見直さなければ必ず将来に禍根を残すというふうに思いますので、知事の英断を望みたいと要望して、この質問は終わりにします。
 関係住民の生活再建については、時間がなくなってきましたので割愛させていただきます。
 次の農業問題に移ります。
 農水省が打ち出した新たな経営安定化対策については、午前中の金子議員の質問にもあるように、群馬県の二毛作を本当に大変な事態に追い込むことになると思うんです。これに対して、県は午前中の答弁の中でもあったいろんな対策をとろうとしています。
 そこでまず、基本的な点について農業担当理事に伺いたいと思うんですが、県として今回の国の施策をどう評価しているのか、また、群馬県の農業への影響をどう見ているのか、群馬県の麦をつくっている農家がどれだけこれをつくり続けることが可能になると考えているのか、この点についてまず伺いたいと思います。

         (農業担当理事 加藤光治君登壇)
◎農業担当理事(加藤光治 君) お答えします。
 新しい国の経営安定対策についての評価でございます。今、我が国の農業は、農業従事者の減少、高齢化や耕作放棄地の増大などに加えまして、グローバル化が進む中で農産物輸入が増え、厳しいものがあります。
 国の新しい経営安定対策は、このような状況を踏まえまして、我が国農業の発展を図るため、その体質強化を狙いとして、いわゆる農業の構造改革を進めようとするものと承知します。県としては、国の対策が目指す基本的方向は、新たな時代における本県農業の飛躍を図るためにも理解できるものであると考えております。ただ、この施策の進め方自体につきましては、例えば新しい制度の移行期間について、もっと弾力的なことがあってもよかったのではないか、そのように考えております。
 また、本県農業への影響についてでございます。本県の麦生産農家は小規模農家の占める比率が高いということでありまして、現在のまま国の要件をそのまま当てはめた場合には、現状において国の対策、いわゆる支援対象となり得るのは、麦の作付面積の約2割程度と見込まれております。こうしたことから、本県麦生産に対して大きな影響があるものと受け止めております。
 ただ、国の「大綱」上、原則的な規模だけでなく規模要件の特例措置も盛り込まれました。県としましては、今議会に御提案しております麦作等経営安定緊急対策を全力を挙げて推進するとともに、今申し上げました国の特例措置を十分活用いたしまして、少しでも多くの麦生産農家が国の支援対象になるように最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
 また、どれだけの農家が麦作を続けられるかとの見通しの点でございますが、ただ今申し上げましたように、県としての対策を全力を挙げて推進することによりまして、目標といたしまして現状の麦作付面積の7割程度を確保したいと考えております。単純な見通しというよりも、そういうことを目指して何とか実現したいということで、一戸でも多くの農家が麦作を維持できるように努力してまいりたいと考えております。
◆(伊藤祐司 君) 私はこの経営安定化対策を初めて聞いたとき、これはもう群馬の二毛作がつぶれても構わないと、いよいよ国がそこまで中小農家の切り捨てに踏み切ってきたのかというので、背筋が寒くなる思いがしたとともに、腹の底から本当に怒りを覚えました。上州の二毛作というのは、裏作の麦は特に水はけのよい水田と冬に乾燥して日照りが続く、そういう上州の気候にマッチした、はるか昔から営々と築かれてきて、群馬の粉作文化をつくってきた文化の土台でもある、そういう麦作ですよ。それがこの国の施策によってつぶされようとしている。
 ところが、県の対策は、今もおっしゃいましたように、初めから3割も減るようなラインを目標にしなくてはならない。現場の職員の皆さんの悲鳴が聞こえてくるような、そういう施策なのに、理事は今おっしゃったように、国の施策は理解できる。先議会での農林常任委員会では、「強い農家をつくるということで、革命的だと思う」というふうなことまで理事はおっしゃっているんですけれども、どうしてそういう評価が出てくるのか、私には本当にその感覚が知れないんですね。
 では、伺いますけれども、県の目標どおりに首尾よく事が進んで7割の農地が仮に守られたとしても、それでもって対象農家になったとしても助成が増えるわけじゃないし、市場価格だって不安定です。この農地から本当に競争力のある強い農家がつくられる見通しはあるんでしょうか、率直なところを伺います。
◎農業担当理事(加藤光治 君) 私が申し上げましたのは、面積比率で答弁申し上げました。
 1つ付け加えますと、過去、本県の麦作につきましては、経年的な変化もございまして、現状あらゆる麦という意味で約9000ヘクタール、小麦で7700ヘクタール程度の作付面積があると思いますが、それらも多くなったり少なくなったりした時点もありました。一時期、本県の麦作が本当に壊滅してしまうのではないかと危惧されるような時代もありました。それが今復活している状況にもございます。そのような変動する中での直前の面積の7割を確保したいということでございます。
 そこで、農家に着目しますと、平均的な総体的な議論をしますと、本県の現状では、農家としましては、1戸当たりの麦作付面積は小規模なわけであります。それが7割程度確保されるという意味は、平均的な耕作農家の面積を持った農家が、同じように7割の農家が逆に残ってというか、麦作をやるようになるという意味ではなくて、農家の比率で言えばもっと低い比率の、いわゆるより少ない比率の農家が大規模に麦をつくる形態をもって7割の面積が維持される、このような意味になりますから、当然ながら維持されるということは原則として国の支援対象になるという意味でありまして、それは諸外国との条件格差は依然として残っておりますけれども、いわゆる直接支払いの対象になる。条件格差の直接支払い、それから収入変動の影響緩和のための直接支払いという国の支援対象になり得るものであると、このように考えております。
◆(伊藤祐司 君) 首尾よく7割の農地が守られたとしても、政府のハードルはこのままじゃ済まないわけですね。さらに高くされていくでしょう。例えば、認定農家は4ヘクタールじゃなくて8ヘクタールになるとか、営農組織は20ヘクタールじゃなくて40ヘクタール以上やらなきゃだめだとか、そうなったら今度はどうするんですか。せっかく20ヘクタールを超えるような集落営農組織をつくったとしても、今度はそれ同士を合併させたりするんですか。次に見えてくるのは株式会社の参入だとか、そこへの丸投げなんですか。そういう組織的なハードルだけじゃないですよね。安定した認定農家ができたとしても、その農家に販売価格の2倍にもなるような補助金が支払われているということが透明にされて、これがWTOなんかで問題になったとしていけば、財界やアメリカからの過保護攻撃が激化する、これは明らかですね。こういう結局先が見えてしまうようなやり方では群馬の二毛作を守れないというふうに思うんです。多くの農家がそのことを感じ取っているから、この件で多くの農業者と語らいますけれども、「もう群馬は国に見捨てられたんだ、この際麦はやめる」という声があちこちで聞かれるわけですよね。
 そもそも、WTOの農業協定を是として構造改革を進めようとしている政府の農政こそ根本的な間違いだというふうに思うんです。WTO協定というのは、工業製品と農産物を同列に置いて、食料輸入国の自給率向上まで否定して、輸入国の食料生産の刺激策を放棄させて、さらに食料を輸入させようという輸出促進のための協定ですから、この方向に世界の貿易ルールとして推し進めていってしまえば、世界の食料というのはアメリカとEUに牛耳られていくということになると思うんです。だからこそ、近年、発展途上国を中心に、輸出国ひとり勝ちの協定にしてはならないという動きが強まって、シアトルでもカンクンでも2度にわたってWTOの閣僚会議は決裂になっていると思うんですね。WTO農業協定こそ、今、世界の農業のまともな発展を妨げている元凶なんですから、日本はこれを質していく流れにこそ足場を置いて、自国の農業を考えていくべきだと思うんです。でなければ群馬の二毛作だって守れないと思うんですね。
 今回の県の対策というのは、いわば緊急避難的な措置ですよ。WTOの枠組みをそのまま受け入れている農政のもとではどんどん先細りになっていく、焼け石に水になってしまう、そういう措置だと思うんです。この国の農政とすれば、もはや群馬の二毛作を切り捨てたも同然のような態度なわけですから、本当に二毛作を守ろうとするならば、この国の農政を変えていく声を地方として上げていくことが何より大切で、そうしてこそ本当に緊急避難的な県の措置にも意味が出てくるというふうに思うんです。
 WTOの協定というのは世界を席巻しているように見えるけれども、実際は、アメリカやEUをはじめとした世界では、アメリカなんか価格保障もやっているし、これを復活・維持しているし、あるいは輸出補助金みたいな形で農産物に価格保障的なことをやっているわけじゃないですか。生まじめにこのWTOの直接支払いなどをやっているのは日本ぐらいだというふうに見えるわけですよ。そういう点で、やっぱり県政として、こういう国の群馬の農業をつぶすような悪政には対決していく、そういう態度を持ってこそ今度の緊急避難的な措置の意味も出てくると思うんですが、いかがですか。
◎農業担当理事(加藤光治 君) お答えをします。
 WTO交渉なり、少し幅広い観点からの御質問でありましたが、私は基本的に思っているのでありますが、日本は貿易立国を是として国をよって立った。その中でいろんな活動をしている、そのように理解をしています。そういう中で、日本の貿易活動そのものを維持しているのがグローバル社会、そのWTOという交渉の中で、農業交渉だけでなくいろんな交渉もやっているわけですが、そういう中のひとつの方向だと思っております。
 そこで、そういう状況の中で、少なくとも個々の経営体というものがより強くなくてはならないという体質をつくらなくてはいけないということは基本的に正しい、認めるというふうに基本的な考え方を申し上げたわけです。
 そういう一方で、農業は当然公益性を持っておりまして、いろんな諸機能を持っております。一番重要な食料の確保機能というのも必要であります。日本は今、自給率は非常に低いですから、現実の食生活としては輸入品も含めていろいろやっていますが、最後の安全保障というのも必要だと思います。そんなことを総合的ににらみながらやらなくてはならないと、このように思っています。
 そこで、いわば二本柱で言えば、強い農業の構築、それからそういう公益性の確保、そのように考えますと、国の政策を了としつつ、その方向で体質の強化を図りながら、一方で小規模農家のことにも配意し、基礎的な基本的な公益性を失わないように考える、それが本県農政ではないかと、このように考えております。
○副議長(中沢丈一 君) 残り3分です。
◆(伊藤祐司 君) 知事に伺います。
 かつて上州が生んだ老農・船津伝次平は、請われて赴任した駒場農場で、欧米の大農法を視察して帰国した井上馨農商務大臣から、新式の大型農機具を使って駒場農学校で実用するように命じられたことがあります。しかし、老農・伝次平さんは、「日本は耕地が少ないうえ、山国で高いところから低いところまであり、しかも気候の変化も激しいという欧米とは違った土地と気候である。だから日本の農業は大農法には向いていない」、こういうふうに反論しています。そして、「狭い土地を丁寧に耕し、多くの収穫を上げていくのが日本の農業である」というふうに主張しました。これは現代にも通じる真理であると思うんです。大規模一辺倒では日本の農業は立ち行かなくなると思うんです。欧米流の大農法だけをスタンダードにした輸出国主導のWTO協定を世界の世論と運動で変えていく、そういう立場に立ってこそ日本の生きる道があると思います。技術力の高い、伝統のある日本の農業や家族農業、これを応援することこそ群馬の農業のあるべき姿だというふうに思うんですね。それは、やる気のある人はすべて担い手として支援する施策が肝心、中心に据えなきゃだめだと思うんです。
 今の国の農政は、群馬の二毛作もつぶれてもいいと言わんばかりの状況なわけですから、これと対決する。これと対決して県民と一緒に群馬の農業を守っていこう、二毛作を守っていこう、そういう立場に立っていく気概とスタンスが必要だというふうに思いますが、知事の御所見を伺います。
○副議長(中沢丈一 君) 1分半です。

         (知事 小寺弘之君登壇)
◎知事(小寺弘之 君) この問題については心が痛む問題でありまして、群馬県の二毛作、これで冬の寒風に麦踏みをして真っすぐな麦が出てこなくなってくるのかと思うと心が痛むものであります。
 おっしゃるとおり、WTOというのがあって、今、市場開放だ、そして効率だという世の中になっております。日本もそれによって大きな富を築いてきているわけですから、なかなかその流れに逆らうこともできないという状況にあると思います。ただ、そういう食料というものは、本来、工業製品と同じように扱っていいのかどうかという議論は確かにあることはよく理解しておりますし、また麦畑、そして田んぼ、こういうものの原風景というのは、単に食料生産、経済だけではなくて、私たちの心の原風景としても映るものでありますから、非常に重要なものだというふうに私は考えております。
○副議長(中沢丈一 君) 時間です。
◆(伊藤祐司 君) 以上です。終わります。
○副議長(中沢丈一 君) 以上で伊藤祐司君の質問は終わりました。
 以上をもって本日の日程は終了いたしました。
 次の本会議は、12月12日午前10時から再開し、上程議案に対する質疑及び一般質問を続行いたします。
  ● 散     会
○副議長(中沢丈一 君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後3時散会