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平成20年土木常任委員会  本文




2008.04.23 : 平成20年土木常任委員会  本文


                 午後1時開議
◯飯泉委員長 ただいまから,土木委員会を開会いたします。
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◯飯泉委員長 初めに,本日の委員会記録署名委員を指名いたします。
 江田委員と狩野委員にお願いいたします。
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◯飯泉委員長 次に,4月の人事異動に件いまして,本委員会の担当書記が変わりましたので,御紹介させていただきます。
 議事課主任の秋野栄君であります。
 総務課係長の関敬君であります。
 次に,出席説明者の紹介を伊藤土木部長からお願いいたします。


◯伊藤土木部長 4月1日付で土木部長を拝命いたしました伊藤正秀でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず,冒頭から何ですが,昨今,最も世をにぎわせている道路特定財源問題につきましては,本委員会を中心としまして,県議会の皆様方に意見書の議決をいただくなど,力強い御支援を賜っておりますことに,厚く御礼を申し上げます。
 この間題につきましては,先日,個別事業への影響について取りまとめた資料のほうをお配りさせていただいたところでございます。現在は,暫定税率と交付金の失効によりまして,維持管理や緊急性の高い事業などに限定した予算執行を余儀なくされている状況にございます。今後とも,国のほうの動きを注視していく必要があるというふうに考えております。
 県財政も非常に厳しい状況ではございますが,土木部といたしましては,「活力あるいばらき」「住みよいいばらき」づくりの実現に向け,限られた財源を有効に活用しまして,整備効果の高い公共事業の推進に取り組んでまいりたいと考えております。そして,これら事業の意義や必要性について,県民から,より適切な評価をいただけるよう努力してまいりたいと考えております。
 それでは,3月の第1回定例会から執行部のメンバーも一新しておりますので,改めて出席説明者の紹介をさせていただきたいと思います。着席順に紹介をいたします。
 まず,委員の皆様方から向かって私の右側からでございます。次長の栗田則夫でございます。
 総括技監の増子悟でございます。
 後ろのほう,2列目に参りまして,委員の皆様方から向かいまして右側からでございますが,道路維持課長の斎藤光司でございます。
 技監兼港湾課長の後藤和正でございます。
 企画監の澤田勝でございます。
 参事兼監理課長の鴻田利雄でございます。
 都市局長の村田正文でございます。
 港湾振興監の佐々木宏でございます。
 技監兼検査指導課長の人見一教でございます。
 技監兼道路建設課長の羽部道紀でございます。
 技監兼建築指導課長の内藤初男でございます。
 用地課長の鶴田隆でございます。
 3列目に参りまして,委員から向かって右側からでございますが,河川課ダム砂防室長の菊池光紀でございます。
 住宅課長の野澤謙次でございます。
 公園街路課長の立藏義明でございます。
 都市計画課長の上遠野和夫でございます。
 河川課長の諸橋伸明でございます。
 営繕課長の長谷川幸正でございます。
 都市整備課長の須藤賢一でございます。
 下水道課長の中島昇でございます。
 道路建設課高速道路対策室長の宮本正治でございます。
 住宅課住宅供給公社対策室長の櫛田浩司でございます。
 執行部のメンバーのほうは,以上でございます。
 今後とも,委員の皆様方の御意見,御提案を賜りながら,土木行政のなお一層の推進に取り組んでまいりますので,何とぞよろしくお願い申し上げます。


◯飯泉委員長 次に,本日の審査日程等につきまして申し上げます。
 本日の委員会は「公共施設の今後の維持管理のあり方」について,お二人の参考人をお招きして意見聴取を行った後,執行部から,茨城県における橋梁長寿命化対策について,及び県有建物長寿命化推進事業について説明聴取を行い,審査は終了といたします。
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◯飯泉委員長 それでは,これより議事に入り,参考人の意見聴取を行います。
 本日は,お二人の参考人から意見聴取を行います。
 まず,お一人目の参考人として,株式会社ビー・エム・シーで代表取締役の阿部允さんをお招きしておりますので,御紹介いたします。
 阿部さんは,鋼橋の──鋼橋といいますのは,鋼鉄の橋梁という意味の鋼橋でございますが,鋼橋の設計及び維持管理に関する技術開発を専門分野とされておりまして,さまざまな委員会や検討会などで御活躍をされているほか,NPO橋守支援センターの理事長として,社会貢献活動にも積極的に取り組まれていると聞いております。
 詳細のプロフィールにつきましては,お手元の資料をお配りしておりますので,ごらんおき願います。
 阿部さんには,大変お忙しい中,本委員会に御出席をいただきまして,まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして,厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 本日は「橋の長寿命化活動は地元の『地産地消型』産業」について,御意見をお伺いしたいと思います。
 意見聴取の進め方につきましては,初めに,阿部さんから御意見をお伺いしまして,その後,意見交換を行うこととさせていただきます。
 それでは,阿部さん,よろしくお願いいたします。


◯阿部参考人 株式会社BMC,NPO橋守支援センターの代表をしております阿部と申します。
 きょうは,こういう席にお招きいただきまして,十分な御説明ができるかどうか心配ですが,どうもありがとうございます。早速お話をさせていただきます。
 きょう,お話させていただこうと思っていますのは,橋の長寿命化活動というのは,地元の地産地消的な産業に結びつく可能性がありますというようなことで,実は日経BP社から「実践 土木のアセットマネジメント」という本を出させていただきまして,その中に書いてある内容を少しベースにして,お話させていただこうかと思っております。
 主なきょうの話題の要旨といいますと,安全で安心な社会をつくるキーワードは“長寿命化”だと。それには,計画的な設備が必要であるというようなこと。要するに,今,財政が厳しいということで「コスト,コスト」と言われていますけれど,果たしてそれだけで解決するかどうかということに対して,やはりそれなりの整備,投資というものが必要だろう。整備といいますのは,新設だけではなくて,今,提供しているサービスの維持向上を図るための維持管理というような位置づけで,お話させていただこうかと思います。
 ですから,3つほど整備という中では考えられると思うんですが,今ある物を大切に延命化を図っていくというやり方,それから老朽設備の計画的な更新というのも,数は少なくなるでしょうけど,新設というものも含めて,社会的なアセットマネジメントとして考えるべきだろうと。そのためには地元に橋守さんという,そういうものをマネジメントするのに向いた人を養成し,また,新しい仕組みの産業につながっていくような仕組みをつくることが必要ではないだろうかと。こういうようなことについて,お話させていただこうかと思っています。
 私は,国鉄にずっとおりまして,そこで国鉄の民営化に際して,維持管理の体系をいろいろやらしていただいたというようなことも含めて,きょうのお話にしたいと思います。実は,この写真を見ていただいておりますのは,これは例のアメリカで起こったミネアポリスの橋梁崩落事故の写真です。これ,逆走してきた車があります。たまたまこれは交通管理のために撮っていたカメラが,この瞬間をとらえていたわけですけれど,振り返って橋のほうに向かいますと,あそこで橋が落ちていて,車が何台か一緒に崩落したというような事故なんです。また同時に,この橋の落ちる瞬間を,軍のほうのカメラがとらえておりまして,これは非常にまれなケースなんですけれど,5秒ぐらいで橋が完全に崩落してしまった。こういうような事故が,今,長寿命化だとか,これからの公共施設の管理をどうするかという意味で,ある位置づけにつながってくるのではないかというふうに考えています。
 これはお隣の国の韓国,聖水大橋です。これも疲労で,橋が建設して20年足らずで崩落しました。このときも,アメリカと日本から4人の専門家が意見陳述を求められて行った,その中の一人に私も含まれているんですが,これも一瞬にして,こういうことが起こってしまうと。
 それから,この事故は,アメリカが社会資本投資を怠ったために,かなり大きないろんなことがあって,それを反省として「荒廃するアメリカ」というレポートにつながり,これが次のアメリカのステップのきっかけになったものなんです。このときも「1980年代に財源不足による荒廃」というふうに書いていますけれど,こういう事故が幾つか起こったと。それで,この右側にありますのは──後からまた出てきますけれど,ここで言っていますのは,それなりの投資をすることによって,こういうことを相当鎮静化させることが可能なんだという実証データにもつながっていますので,これについても少し説明させていただこうかと思います。
 まず,ミネアポリスの橋梁崩落事故に関してですが,既に1月15日の段階で,第1次の勧告が出ています。この中で,原因は設計ミスとか,朝日新聞ではそういうふうに書かれていますが,我々は,必ずしもミスと言っていいのかどうかということを考えていまして,この勧告から,我々が何を教訓にすべきかということをまとめたものですが,異常がなくても性能不足がある。これは基準不適合というふうに我々言っていますけれど,例えば地震で要求された性能は「神戸の地震並みにしなさい」と言っているんですけれど,その前につくられたものは,「神戸の地震で設計しろ」とはだれも言ってなかったわけですね。そういうものが残っているということを,基準不適合と言う。こういうことが,果たしてミスと言っていいのかどうか。
 それから,メンテナンスは目で見る検査が主体だと言いながら,検査は行われていたけど,事故につながったということで,目視検査だけで安心できないんじゃないかと。
 それと,対策が必要だからということは言われていたけれど,具体性に欠けていたため,予算づけが十分に,ここを最優先すべきであるとは余り考えられなかった。──というようなことで,予算づけにはめり張りと英断を,というようなこの勧告の中から,そういうことが今後は必要になってくるというようなことが示されています。
 例えば,基準不適合というようなことが一つ出てきていますので,それはどういうことかと言いますと,その当時の基準には合致しているけれど,今の基準には合致していない。例えば耐震設計,それからアスベストもそうだと思います。当初は薦められていた材料だったものが,今では使っちゃいけない。使っちゃいけないだけじゃない,撤去しなさいまでにつながってくるということですね。そういうもの,これも基準不適合。
 それから,当時は特段の決めはなかったけれど,今の基準には抵触するもの。これは土壌汚染なんかも,そういうことに入ってくると思います。
 それから,当時は考えなくともよかったものだけれども,今は配慮が要りますよ。環境だとか,社会的要請から来るいろんな制約,これは移り変わるわけです。
 こういうことに対する適応というのは,何か損傷があるかということだけでこれを決められるかどうかということを,一度考え直す必要があるだろうと。ですから,検査で損傷さえ探せばいいということではないということを,この事故で言っています。ある意味では,病気になってから病院に行くのではなくて,人間ドックだとか普段の健康管理をしっかりやって健康を保つこと,こういう活動が大切だともとれるんじゃないかというふうに考えています。
 そういうことで日本を見てみますと,これは国土交通省の資料ですけれど,今後20年間で,想定した耐用年数である建設後50年以上に達するものが17倍になってきて,もし,それを今のままで使うと,取り替えなければいけないものが,今の17倍になる可能性があるということです。ところが,それに対する負担が可能なのか。それが,現実にそうせざるを得ないのかということは非常に大きな問題ですけれど,こういうような現実が一つあるということです。
 と同時に,それにかかるお金ということを考えてみますと──ちょっと見にくいんですけれど,例えば1985年はこの白い棒グラフが新規投資で,その他の棒グラフがメンテナンスの投資です。維持費と更新に対するもの,これはもう80%〜90%近くは新設なんです。これはケース1,2というのは,経済成長をゼロ成長にするか2〜3%成長で想定するかなんですけど,2〜3%で成長したとしても,2015年には,新規投資に対する67%ぐらいが,メンテナンスにかかる費用になってしまうだろうと。
 これも国土交通省の資料ですけれど,新設投資というのは,今,80%ぐらいあるのが,2025年には,逆にメンテナンス,維持管理と更新,特に更新せざるを得ない投資というのが相当な比率で出てきて,やがて比率的には逆転してしまうかもしれないということを言っています。
 ところが,今,社会資本といわれるものがどのぐらいあるかと言いますと,これは経済産業省の,我々が出ている委員会があるんですが,その中で社会資本というもののストックをカウントしておりまして,これで見ますと,400兆円ぐらいのストック,これは50年前の50倍になっているはずです。これに対して,道路投資は10兆円ぐらいの上積みというのが投資でされるわけですけれど,逆にこれはストックなんですね,社会にもう適用された。新規投資というものの比率もさることながら,今あるストックを対象にして,これをフロー化するといいますか,要するに貯金が400兆円あるみたいなものですけど,その貯金がまだ足りないで,もっと貯金しようというのも一つですけれど,その400兆円の貯金を活用するという,フロー化しようという動きも,これから必要になってくるのではないか。その一つが長寿命化だというふうに考えています。
 それから,橋は全国に──道路橋というのはよく13万橋とか14万橋と──「15メートル以上の橋を橋梁」という定義を国土交通省でしていますので,それで言われがちですが,実は10メートルの橋は入ってないんですね。予算づけにもかかわってこない。そういうような「2メートル以上を橋」という定義を──これも国土交通省の資料の中で示されているんですけど,67万橋あるわけです。その比率って,これは道路の延長比率ですけれど,国道と高速道路,国・地方が管理する国県道も全部合わせると,道路延長にして5%で,11%が県道,80数%が市町村道ということで,こういうふうに67万橋あるというふうに考えたときに,ほとんどの橋は地方の管理対象であると。
 それから,その平均経年が40年に近づいている。平均の長さが15メートルぐらいであると。要するに,平均より長いもの13万橋は,国の管理対象に見られていますけれど,それ以外は,ひょっとすると放置に近い状態にあるかもしれないということです。
 そんなようなことも踏まえて,実はミネアポリスの事故の後,木曽川橋梁──これはその前にあったんですけど,クローズアップされたのが事故の後なんです。木曽川橋梁でこういうような斜材が破断するというような事故がありました。これも検査はそれなりにやられていたんですけれど,発見できなかったといいますか,見逃されていた。これも,実は基準不適合というふうに……。といいますのは,今,使ってはいけないというディーテルなんです。そこが原因でこういう破断事故があった。要するに,日本で木曽川だとか秋田のほうだとか,私が知っているだけで5つ,6つあるわけですけれど,そういうようなところで類似の損傷があるんです。これは,そういうふうなことで検査だけの責任にするんではなくて,そのときの,そういう内部に入っている何とかを含めて,基準不適合的なもの。
 それから,公的なインフラの管理という場合は,こういうことが起こっても,これは管理している人に責務があるというようなこと。これも,この検討の中ではちゃんと言われています。
 それから,こういうものに対する投資というのは,壊れなければ維持管理の投資は出ないのかというとそうではなくて,要求性能を満足させるためのお金というのがあっていいんです。これは費用というよりは,投資に位置づけるべきだと思うんです。実は,道路橋の活荷重25トン対応にするという意味でも,これは要求性能を満足させるための投資というのが,現実に行われているわけです。ですから,そういう意味で,こういうような基準不適合に対する重大事故を防ぐための投資というのが,今後は含められるべきではないだろうかと。
 これはちょっと図で書いていますけれど,例えばこういうような性能というものがあって,今までの基準はここにあるから,それを全部満足するものをつくったはずなんですけれど,一つは構造物は劣化が進む。劣化が進めば,この水色の山は左にシフトしますから,過去の基準を満足できないものが出てくる。一方で,地震だとかそういうものが要求する性能はだんだん高まってくる傾向にあります。そうすると,そこで出てきたもの,このエリアは実は基準不適合なんだと。これは検査で損傷があり,なしだけでなく,投資しなければいけないものとしてあるんですが,こういうものをきっちりやっていかなければ,重大な損傷,事故に対して,安心できない可能性すらあるということです。
 そういうことで,国土交通省や何かの検討も含めてなんですが,現状における課題というのは,どんどん進行する構造物の高齢化,例えば20年後に17倍の取り替えが必要とか,経年劣化が進むとか,劣化に基づいて損傷が多発するおそれがあるとか,こういう課題があります。
 一方で,要求する性能,地震対策強化とか大型車対応だとか,それから今の基準不適合への対応と,こういうようなものに対して,きっちりお金をかけていかなければいけないというものもあります。あわせて,重大事故に対する不安が,海外の事故だとか何とかに対しても,ふえつつあるという課題があります。
 ところが,今の管理の現状はどうかというと,見ていない,見過ごしている,対策がおくれがち,これに象徴されるように,これはこの前の国土交通省の資料にもありましたけれど,市町村道の9割は未点検であると。要するに,検査すら行われていないものがあるということです。ですから,それなりの対応も不十分な可能性がある。
 それから,損傷というものを全部見つけているのか。点検しても見つけられたかどうか。今までのあら探し的な検査というのは,何が壊れたかだけじゃなくて,ほかの基準不適合的なものもあるんですけれど,こういうものをやっていたとしても,どっちかというと,異常はないかという検査しかやっていない可能性がある。非常に大きいのは,責任のとれる技術者とか情報がないというのが,かなり大きな要因になると思います。
 それから,十分な予算の手当ができない。どうしていいかわからないということがあって,対策がついついおくれがちになっているという現状もあると。これは国土交通省でも,そういう指摘が今なされています。
 そういうことからすると,じゃ,どういうふうに今後考えていったらいいかというのを項目でちょっと考えてみました。
 人命の危機に対する安全の確保。これは,今いる住民とか利用者に対しては,重大事故を撲滅するとか何とかということで,まず,安全を確保するという対策をちゃんとすべきではないだろうかと。
 それから,もう一つは社会的資産。大切な社会資産だから,子供の代に譲っていかなければいけないんですけど,それが何もしないことによって目減りしていく。それを防止しなければいけない。そして,コストも縮減していかなければいけない。これは将来の子供たちのために,こういうことがやっぱり必要だろうと。
 と同時に,地元の負担と産業の振興。公共事業というのはそういう役目もあって,そういうふうに社会資本のためにいろんなことをやることが,地元の負担と産業にどういうふうに絡まってくるかというのは非常に無視できないこと。要するに,これとの両輪でものを解決していかなければいけないわけですから,この辺を含めたものも解決すべき課題の中に,単なるコストだけではなくて,そういうようなことからも見ていかなければいけないと。
 ところが,今,自治体でいろいろやっている──大阪府では延命化に切りかえようとか,私のいる千葉県でもこういうことで,いろんな国庫補助事業,単独事業に対して縮減の目標を立てて,これを何年間でどういうふうに実現していこうという,コストを下げようという動きは見えるんですけれど,だけど,果たしてコスト削減だけで安全は保てるのか,予算削減で地元はどうなるのか。こういうようなことも踏まえて,考えていく必要があるのではないだろうかということです。
 特に今,方向として出ていますのは,初期投資を安くするというだけではなくて,将来かかるライフサイクルコストの最小化ということが,いろいろ経費の縮減では有効なんだと。これはそのとおりだと思うんです。
 ところが,現実にそれができるかできないかということで,私も国土交通省の委員会でも──私は少数ですけれど,こういうことを言っています。「お金のない人はライフサイクルコストの最大を選ぶ」と僕はよく言うんです。これは何かというと,我々のように3,000万円の家を建てようとしたときに「将来払うお金を最小にしようとしたら現金で買うことだ」「そんなこと言われなくともわかっているんですよ。でもないんだから」というふうに。「じゃ,30年にするより10年にしたほうが,銀行に余りお金を払わなくたっていいよ」,それもわかっているけれど,我々は何か特約をつけて「35年にならないだろうか」と言って,ライフサイクルコストの最大を選ぶ。「それはだめよ」と言われても,どう,だれが解決するのか。自己責任でやるとしたら,ライフサイクルコスト最大というのは,だれのためにあるのかということを考えなきゃいけない。
 それから,お金がなくとも便利さを買おうとする可能性がある。コストだけ考えれば,東京から大阪まで行くのは,新幹線の料金を払うよりは,鈍行のほうが安いのはわかっているんです。だけど,安いからといって「あなたは鈍行で行きなさい」ということが,本当に実際的なんだろうか。これは,ひょっとすると,お金と時間に余裕がある人しかこういうことはできないので,我々貧乏人はやはり新幹線を選ぶんじゃないかと,高くても。ですから,そういう意味では,我慢と倹約だけではもっと衰退する可能性がある。要するに,メンテナンスというのは,コストは重要ですけれど,コストだけではなかなか解決しない可能性があるということです。
 それから,実際にある例をちょっと歴史から見ると,東京都の震災対策,要するに東京都が管理する橋では,建設数に2つのピークがあるんです。一つは関東大震災,震災対策で建設した橋群。これは永代橋なんかがそうですけど,これらはちょうど経年80年ぐらいです。
 それから,もう一つのピークは高度成長期,要するに東京オリンピックを目指して建設した橋群があります。これは経済性,経済性ということをやってきて,経年はまだ40年ぐらいで半分ぐらいですけど,実は震災対策でしっかりつくったほうが,想定寿命の2倍にも達しているのに,一橋当たりの累積補修費は小さいということ。これは東京都の建設局の資料にありますけれど,要するに80年間全部足したものと,40年間を全部足したものでは,80年のほうが小さいという事実。これは何かというと,初期コストを重視する経済設計はわからないでもないんですけれど,いかに将来の世代に負担をかけることになるか。良質な橋というのは,なかなか架けにくい。ここに,やはり政治的な判断といいますか,そういうようなものがあって,ある方向を決めていく必要があるんじゃないか。
 もう一つは,コストの件での事例で,鉄道の事例です。イギリスの国鉄は,日本の国鉄に先駆けて民営化されて,それで非常にうまくいったということで,配当もできるようになった。そして,経営者表彰されてどうというようなことで,僕がイギリスのレイルトラックに行ったときには,非常に鼻高々の話をされたんですが,実はその後,事故が頻繁に起こるようになった。
 これはなぜかというと,「もう民間なんだから経費を削減しろ」「国鉄とは違うんだ」ということで,人員の合理化と経費の削減にほとんどの力をつぎ込んだ。結果として,投資がおくれたために事故なんかが出て,それに対して政府の勧告が入って「ちゃんとした対策をしようとすると3兆円必要だ」と言った途端に,200年かかってもこれは返せないという判断から,銀行が手を引き始めて,そしてレイルトラックは倒産しました。要するに,これは通常の損益計算書だけで,収入と経費だけを見て,経費の削減で利益を出すというやり方,これを,役所の場合はこういうことになれてきているのでやるんですけれど,実は普通の民間会社であれば貸借対照表があって,そしてここの投資でもって経費を削減したり売り上げをふやす仕組みをつくっていって,総資産利益率でこういうものの事業がうまくいくかどうかを見るんですが,収入対利益率だけで見るようなやり方でやると,やはり投資を怠ってしまったと。先送り先送りになって,結果として,一時的にはよかったけど,倒産という事態になってしまった。これも象徴的な事例ではないかと思います。
 日本のJRは,その轍は踏まないということで,かなり積極的な投資を今行っています。これがアメリカの場合もそうなんですね。いろんな投資をふやすことによって,欠陥橋梁数をずーっと減らしてきた。80年代,事故があって,荒廃するアメリカから方向転換を行って,投資をふやして欠陥を削減してきたという,こういうふうな事例があります。
 もう一つの特徴は,社会資本投資というのは,ことし投資したから来年効果があるというものではなくて,ことし投資したものは,将来の人に対して投資をしているんですから,それはどのぐらいかというので見ると,大体6〜7年で効果があらわれ始める。これは行政だけの責任でというのではなくて,やはり政治的な判断でそういう促しをしなければ,なかなか行政効果というのが直接的に見えないということを物語っています。これは,土木学会論文集に出している資料なんですけれど,こういうようなことも言えます。
 そういう意味で「安全・安心」は「長寿命化」投資でということ。そして長寿命化というのは,単純に延命化とは違いますよと言っているんですね。長寿命化というのは,当てにできる時間,社会に貢献できる期間の延伸であって,物理的寿命の延伸を延命化と言うとすれば,長寿命化というのは,経費から投資へ移っていく仕組みを促すものであると。経費というのは,かけなければいけないお金。投資というのは,かけるべきお金ということですから,かけなければならないお金というのは,言われなくても,目標を立てられなくても,技術者は技術者の資質と良心において,それから管理する者は,言われなくともする節約のことではないだろうかと。
 ところが,かけるべきお金というのは,ちゃんとしっかりした説明と裏づけをもとに,積極的に計画的にする必要があるという。そして,そういうことに対しては,結果はちょっと先になるかもしれないけれど,その手段は予防保全であると。
 具体的には,劣化をさせない予防保全を行うこと。それから,重大な事故を防ぐための事故防止対策をすること。それから,計画的更新と利便性向上に対する投資を継続すること。これが長寿命化の3つの骨子になるんだろうと。
 例えば,これに目標を立てるとしたら,重要損傷については,3年間でEランクという一番厳しいランクの損傷があるんですが,それを30%なくす。こういうような目標を立てて,実施計画を立てていくのも一つだと思います。
 それから,被害リスク。例えば,防災対策については,被害リスクで今,震度5の性能を持っているけど,震度6まで性能を上げることによって,このぐらいの被害額を抑えることができると。これに対して,これが200年に1回の確率で起こるとすれば,1年にどういう投資をすることが有効なのか。これはリスクベースマネージメントと言いますけれど,そういうようなことから判断して,防災対策をしっかりしていくこと。
 それから,日常的な小まめな劣化防止対策,これはほとんどが小まめで日常的ですから,地元の仕事になるわけですけど,ここを具体的にやっていく。これは,効果は何十年先ですけれど,そのことによって地元に雇用が生まれ,地域が活性化されるんだとすれば,これも一つの目標にできるのではないかというような気がいたします。
 もともと,そういうようなことで長寿命化ということを考えれば,メンテナンスは,地産地消の最たるものではないだろうかと。要するに,既設の構造物というのは地元から逃げていきません。宝の山とは言い過ぎかもしれませんけれど,これを生かした産業を地元に有利に位置づけるというのは非常に大切なことだし,それが構造物,橋なんかが喜んでくれることにもつながってくるだろうと。
 それから,予防保全というのは,このメンテナンスは重大なことにしないわけですから,小規模なものを継続的にずっと続けることによって,要するに身近で小まめなことというのが事業の主体になりますから,これはもう圧倒的によそから来てやるよりも,地元が有利になるわけです。
 こういうことによって,お金が例えかかったとしても,地元に対する還元率は高まるようなことにもつながる可能性がありますので,そういうようなことも,地産地消ということにつながってくるんではないかというふうに思います。
 そして結果として,社会資本が長寿命化,長もちしてくれれば,そのバランスシートも考えた財政再建につながっていくのではないだろうかということです。そのためには,地元に「橋守さん」,ホームドクター的な人をこれから育てていく必要があるんではないか。
 これは,ある町でのことですけれど,地元のここで船を係留する人が言わなかったら,ここなんか完全に破断しているんですけど,地震があって,これがコロンと落ちたら,ここは重大なことになった可能性がある橋です。こういうことも,どこかゼネコンさんか橋梁メーカーに東京から来てもらって見てもらえばいいやではなくて,身近で地元の人が見ていれば,こんなようなことにはならなかったのかもしれない。でも,これが現実にあったということは,心配があるということにつながります。そういう意味では,「橋守さん」というのをぜひ地元で育てる。我々はそれに対して,今,我々NPOの活動の中でも,技術の研修だとか工法,そういう長寿命化を図る清掃だとか,簡易なことでもって長寿命化を図ることができる。こういうものに対していろいろサポートさせていただいて,地元でできる仕組みをぜひつくっていったらどうかと思います。
 同時に橋守活動を,そういう地元で身近なことをやろうとすると,その個人だけの努力ではできませんので,支援する仕組みが要るんです。そこに地元自治体のOBの方とか,地元の大学とか維持管理の専門家とかという人たちが結集した一つの支援組織みたいなものの活動があって,そういうものでいろんな橋守の育成と支援,それから専門家を派遣するとか,情報や何かについての共通したシステムを提供して,地元で余りお金をかけないでもできるような仕組みをつくっていってやる。こういうようなことも,やはり大切になるのではないだろうかというふうに考えています。
 ここからは,ちょっと蛇足的な話になりますけれど,維持管理における長寿命化というものを,一つのビジネスモデルで考えたらということなんです。なぜそんなことを言うかというと,維持管理というのは非常に地味な活動なんです。だけど,地味だからいいんだという精神論だけでは長続きしない可能性がある。それで,何かのインセンティブがどうしても必要なんですね。その場合,維持管理ということが,どういう位置づけをすれば生きていくかなというようなことを考えてみたら,これは思いつき的なことですから,余り確信のある話ではないんですけど,我々はそれに気づいて取り組んでいるという紹介にすぎません。
 一つはソリューション事業ということで,長寿命化。これは一つの資産管理事業,例えば「この路線はどこどこにお任せください」というような,単独のものが,ある現象が起きたときに管理しているんじゃなくて路線で管理するとか,複数年契約をするとか,こういうことでやること。これを資産管理──要するに,事が起こってからやるのではなくて,全体の資産を管理するという仕組みです。それから環境保全事業,地域の活性化。こういうことが出ています。
 それから,もう一つは,やはり「ビジネスモデルというからには財源はどうするんだよ」というようなことについて,通常の財政に対するいろんな誘導,つまり政治的判断というものが一つ基本になりますけれど,それ以外に,我々は社会投資ファンドと言っていますけれど,寄付行為に似た形でのファンドが考えられるんですが,そういうこと。それから長寿命化ということで,環境保全に絡めて排出権取引の活用をするという財源の見方,これも一つ考えられるかもしれない。
 ちょっと絵にしてみますと,通常の維持管理というのは,検査をして問題があったら設計し,取り替えなんかも含めてやって工事をするという一つのサイクルなんですけれど,この中で寿命を2倍にしましたというソリューションが出たとしても,これは契約金額には全然反映されないんです。これを反映するには,長寿命化というソリューション効果を,環境保全だとか資産管理だとか地域の活性化,こういうものに結びつけたときに,この長寿命化ということが生きてくる可能性がある。そうすると,我々技術屋は……,調査会社はこうする,設計会社はこれをする,工事会社はこういうことをやるということプラス,そこから生まれてきた効果,ソリューションを,予防保全というような形の事業化をすることで,地域の雇用をふやすという活性化,これに結びつくとか。それから,長もちさせて資産価値を高めるわけですから,資産管理事業の収益性が高まる。それから,長もちして廃棄物が減らせるとか何とかで,環境保全ということに対してつながっていく。こういうようなことも絡んできていいんじゃないだろうかと。
 実はこれについて,経済産業省が高度メンテナンス委員会という──私もメンバーなんですが,前の東京大学総長で,今の産業技術総合研究所理事長の吉川先生が委員長で,経済産業省が高度メンテナンスで長寿命化ということで,環境をベースにした取り組みを今やっているんです。これは「今まではプラントなのに,なぜ橋梁が経済産業省なんだ」というんですけど,環境と絡めた中で今出てきているんです。
 こういう中で──これはそのときの資料なんですけど,今,CO2の削減目標というのが,ここに「日本は6%削減するよ」と言っていながら,実はこのままの廃棄物や産業構造物のそのままの状態でいくと,全然これを達成することができない。すべての寿命を2倍にしても,このぐらいなんです。要するに,日本が目標を達成するのは非常に難しいけれど,少なくとも長寿命化を図らなければ,全く日本は実現できない可能性すらあるという。こういうことをベースにして,いかに長寿命化というものの,それと同時に産業の振興を図るかという委員会なんです。そういうようなことが,今,議論されているということです。
 ですから,必ずしも絵に描いた餅ではなくて……。それから,日本は環境立国ということで,実はこれは数年前に小泉さんが,日本で3Rイニシアティブ閣僚会議というのを東京で開いたときに議長をやられて,そのときに,G8とかブラジル,中国,インド,こういう国が集まって,日本の3R,要するにリデュース,リユース,リサイクルという,その3Rに対して,日本はいろんな技術を持っていますということを紹介しようとしたときに,リユースについては東芝のコピー機,リサイクルについては住友金属と田中金属の金の回収というもの。そして,リデュースはどこでもあるだろうと思ってやったんですけど,全然見つからないということで,何かいろいろ回り回って「BMC,お前のところは名前聞いたことないけれど,長寿命化ということで幾つか実績持っているらしい」と「それを,ぜひこれに使いたいから,ちょっと説明に来い」と呼びつけられて行ったんですが,そのとき内閣府がつくった資料が,南海電鉄の100年使っている紀ノ川橋梁という,これを延命化する手法を我々がやっていたんですが,これは日本語で書いていますけれど,これをそのときの会議で出した。要するに,国の施策としても,環境というのは決してマイナーではなくて,やはりこれからの方向の一つになるかもしれない。それにつながる活動……,損傷探しだけでは,ひょっとしたらつながらないかもしれないということですね。
 もう一つは,地域の活性化のモデル。これは千葉県で我々が補助金をいただいてやらせてもらった地域活性化のシナリオのモデルなんですが,こういうものの目標を定めて,日常的な維持管理,予防保全というものを充実させるマニュアル,それから,その状況を見せるためのアセットマネジメントの手法,これを明確にして,それをいろんな具体的な事業にして,地元密着型のこういうところでもってそれを実施して,これがどのぐらいの雇用とこれに結びつきそうだという一つの──数字を明確に出せてはいないんですけれど,こういうことでモデル事業をやらしてもらったという事例です。
 それが,いろんなところで紹介されて,これに対して,それがどういうこととか,どういう問題点があるかということのほうが多かったわけですけれど,そういうようなことをやって,有識者会議を行って評価検討したというところですが,現実にこういう動きが少しずつ出てきている。
 それから,先ほどのような仕組み,地域が支援するだとか商業分散的に管理するというやり方では,イギリスとかオランダが一歩,いろんな資産管理やなんかについては,発注方式がかなり具体例がありまして,これも本の中にちょっと示していますけれど,このプロポーザル方式によるMAC契約──マネジング・エージェント・コントラクターという,こういうような仕組みの中でやるやり方があるんですけれど,こういうことでイギリスや何かではやっている。こういう形は,オランダのケースが参考になるかもしれない。これは資産管理というようなことを,地域が導入する場合でも一つの参考になるかもしれないと。
 それから,いろんな公共事業に中小のところ──これが横棒線では中小のところが多くなるわけですが,そこに参入しようとしても,なかなか実績とかいろんなことでできない可能性があって,どうしても大きなところで,スーパーゼネコンじゃなきゃというような話になりかねないわけですけど,これに対してどういうような担保をやっていったらいいか。これは東京大学の西村先生や何かとちょっと考えているだけの,絵に描いた餅の段階ですけれど,こういう仕組みを地域につくって,一括方式のものに参入という手もあるんじゃないかと。これも本の中にちょっと示させてもらっています。
 そんなようなことで,我々,これからの公共事業といいますか,そういう意味で考えていくと,やはり新設だけではなくて,既設ストックの長寿命化の事業化,これが一つあるんじゃないかと。これはストックのフロー化。そして,物の量より質,使い勝手を重視して,安全とコストの縮減を図っていこうというやり方です。
 それから,やはり地元の産業あってこそですから,それが公共事業としてどう活性化に結びつくかという,こういうような仕組みも,これからの公共事業で重視すべきことだろうというふうに考えています。
 それから環境保全。やはり今までとはちょっと違った面で考えてみますと,こういうことが必要になってくるんじゃないかなと。そうすると,これからの維持管理というのは,老朽化した施設が急増するとか,基準不適合に対する対策をどうしようかとか,更新比率というのが,新設をはるかに上回ってくる,これが最大になってしまう可能性があるというものにどう対応していこうとするのか,というものに取り組めるものでなければいけないわけですから,そうすると,例えば設備を長もちさせるということは,どうも我々土木屋にとってみると,仕事が減るような感じがするんですけど,必ずしもそうではないということです。というのは,ものを取りかえるときには,新設の3倍ぐらい──これは国土交通省の我々が出ている委員会ですけど,国土交通省の調べで約3倍のコストがかかる。なぜかといいますと,撤去費,新設の場合は更地に物をかけるということをベースにするんですが,それに対して,一番お金がかかるのは撤去するお金。今,使っているのに,利用者に不便を与えながらやるわけですから,不便を最小限にしようというのは活線施工といいますけれど,その路線をできるだけとめないで。要するに,水道工事もそうですけれど,工事をやるときに埋めたら,1カ月間穴空いたままにしないで,その日にまた埋めて,次の日は自動車を通して,また掘り直してという,こういう活線施工という,この経費が膨大にかかるわけです。ですから,そういうことを考えると,更新には3倍のコストが平均してかかる。ということは,同じ工事のお金を受けた場合でも,更新する場合は3倍のコストがかかりますから,3分の1しかできない可能性がある。しかもそれは,材料費よりも手間賃の比率が高まってくるわけです。その同じ工事を埋めたり戻したりということも踏まえてやると。そうすると逆に,こういうことに向いた一つの仕組みがあってもいいんではないだろうかということです。そういう意味で,地元に有利な公共事業域,これが,これからの維持管理においては一つの方向として──何分私は維持管理をやっている技術者ですから,我田引水的な偏った見方を含んでの話ですけれど,そういうふうに思っています。
 そういうことを考えますと,そのために自治体としてすべき事柄は,我々がその中で考えるのは,早急な実態把握と技術基準を整備する必要があるだろうと。それは損傷だけでなくて基準不適合,それから,検査というだけじゃなくて診断するマニュアル,こういうようなものの整備と人を育てるということ。地元に人材育成等支援体制を確保する仕組み,それから財源をどう確保していくかというようなことに対するいろんな……,一番大きいのは政治的判断,こういう方向で行くぞという合意というのが最大だと思いますけれど,もう一つは国策に合った事業展開というので,国の支援を受けながらというのは当然の,それがどれだけ国に貢献できるかということとの兼ね合いで見られるような仕組みが要ると思います。それから,地元の活性化。こういったようなことにつながるような仕組みをやっていく必要があるんじゃないかなと。
 そういうことでいけば──これ最後ですけれど,今までの資源集約型,多少材料を使ってもいいから,手をかけるなというところから,逆に,手間をかけてもいいから,資源は使わないほうがいいよというような,資源節約型ということに,ひょっとしたら移っていくかもしれない。
 それから,大きな資本を投下して,省力化して大きなことをやればいいというところから,小規模分散型,要するに労働集約的なものに移っていくかもしれない。これは労働集約といっても,労働力の中には,肉体労働だけでなくて知能労働というのもあるわけですから,こういう創意工夫をベースにした──これは日本にとっては,資源国でも余りないわけですから,やはり資源を節約して手間賃を稼ぐという,その中では労働生産性を高めていくと。こういうような資本集約型の省力化から,やはり労働集約,知識集約的なものに移っていくというようなことも,これから考えられるんじゃないか。これが,我々が考えている維持管理の一つの仕組みとして,きょうお話させていただきました。
 以上です。


◯飯泉委員長 どうもありがとうございました。
 これからは,意見交換の時間とさせていただきます。
 ただいまのお話につきまして,委員の方から何か御意見,御質問がありましたら,お願いいたします。何かございますか。
 狩野委員。


◯狩野委員 阿部参考人,ありがとうございます。私はまだ新人なんで詳しいことはわからないんですけども,橋の工事は非常に高度なテクニックが必要だということで,私が知る限り,茨城県には業者が少ないという話がありますけれど,その点についてちょっと御意見をいただきたいことと,参考人の今,理想とされているリサイクルといいますか,橋守制度も,どのような方ができるのかとか,その辺,ちょっと教えていただければと思います。


◯阿部参考人 初めの,こういう橋を管理するのにどういう技術が必要かということなんですけれど,確かに橋梁をつくるという段階では,やはり資本集約的といいますか,高度な技術と高度な仕組みの中でつくるのが,低コストでものができると思います。
 ところが高度という中で,それが信頼できる技術で経済性の高いというようなことになって,特にメンテナンスになりますと,これは実はそういったところには余り向かなくて,むしろ「橋守さん」担ぐじゃないですけど,身近で小まめな対応ということが……。例えば,はっきりしていますのは,実はインドの鉄道というのは,1853年──要するに日本よりも古いんです。150年たっています。イギリスは,インドを有力な植民地として生産活動をしようと思っていましたから,その最初の投資でしっかりした構造物ができて,150年前の鉄橋が,いまだにまだ使われています。これは中国も一部しかりなんですね。
 ところが,日本の構造物というのは,平均が今60年ぐらいです。そういうようなことで,「じゃ,そんなにもつのか」と言うんですけど,実はインドというのは小まめに対応を──もちろん放置されているところは,重大な事故がしょっちゅう起こっています。だけど,重要なところというのは,やはり小まめに人海戦術も含めて清掃をし,そして,昔日本にも国鉄に「橋守さん」というのが昭和38年までいたんですが,その活動と同じように,そこの近くに住んで清掃をし,何かあったらすぐ飛んでいく。そして,重大なことになる前に,そこを利用している列車を絶対とめないぞ,というような気持ちからやる管理がなされていました。それが,インドでも行われていた。それが150年もっているということですね。
 ところが,それをやったから,橋は余りつくられないんだけど,地元の人の省力化というのを,一度僕は国鉄時代に提案に行ったんですけど,怒られましてね。「省力化といったら,雇用をなくそうとしているのか」というようなことでありました。要するに,同じ社会に役に立つやり方でも,役割が違っていて,新しくつくるものには,確かに国際競争で勝ついろんな設備投資だとか何か背景にしたものが必要かもしれませんけれど,事メンテナンスというようなことになってくると,しっかり見てやる。それから,小まめに対応してやる。こういうようなことで十分に,むしろ地元にできることなんですね。
 ただし,思いつきでいいかげんに,できることだけするというのは余り適切じゃないと思います。そのために,先ほど技術基準を整備すべきと,それと育成する仕組みが要るんじゃないかと言ったんですけれど。要するに,予防保全のマニュアルというのは──修繕マニュアルはあっても,予防保全マニュアルは,多分どこにもまだないと思うんです。こういうものをきっちりつくって,そして,それを訓練して,地元の人たちが十分にできるような仕組みをつくってやるというようなことです。そして,そこにあるグレードを,今やっと土木学会でも──私もその資格の委員長をやっているんですけれど,資格制度というのをつくっています。要するに,そういうことができる人と経験年数で,あるランクをつけて,しっかりした公共事業に参画できるような資格をやろうということをやっています。これは,国土交通省からの決めはまだないんですけど,方向としては,多分,今の土木学会の資格制度というのは組み入れられる方向に動きつつありますので,そういうようなことで,技術レベルを確保していくというようなことができれば,十分に対応できるんじゃないかと,こういうふうに思っています。
 それから「橋守さん」ってどのような人かというと,3つ私は要件を挙げています。
 1つは所定の技量を持っていること。これは高度でなくてもいいんです。それから,愛情と責任を持っていること。それから,経験豊富なこと。経験というのは,その橋をよく知っているという経験です。
 この3つが,我々が今「橋守さん」を育てるポイントにしていまして,そういう人を育てていく。そうすると,まず大切なのは──第一歩はといいますか,今,鉄道でもそうなんですけれど,OBの活用だと思っています。OBの方は,リタイヤされたら全然違う仕事に,土木をやっていた人もついてしまう。これはもったいない話で,「もっと社会に還元してくださいよ」ということで,OBの方が,リタイヤしても地元のためにやる。ただ,無償でやると,これは無責任ということにもつながる可能性がありますから,何がしかのお金は払わなければいけない。それが我々の理想では,月15万円と言っているんです。年金をもらえるようになったとき,年金を減らされないで,最低,減らされても,両方もらってやれるのが15万円ぐらいの仕事という,ちょっとレベルが低い話かもしれませんけれど。そういうようなことを考えていまして,そのぐらいの仕事になるような,OBさんを活用して,それを見て若い人が,我々もしっかりやっていって,経験を積み愛情と責任を持って,そして所定の技術を身につければ,将来,橋守でも地元でできるんだな,こういうような人たち,これを我々は「橋守さん」として理想な人かなというふうに考えています。


◯飯泉委員長 ほかにございますか。
 執行部から何かございましたら,土木部長,何かございますか。


◯伊藤土木部長 非常に示唆に飛んだ話で,勉強しなければならないと思うんですが,一点,ちょっと私の私見も交えて確認させていただきたいことがあります。
 今,参考人がおっしゃられた橋守という話は,いわば──ちょっと例えはよくないですけど,後期高齢者医療制度における診療計画をつくるホームドクターみたいなものじゃないかなというふうに思うんです。要は,普段からその橋の状態を見ていて,その変化に気づいて,何かあったら手を打つという役割ということなんですが,それを仕組みとして成り立たせるためには,一つは参考人がおっしゃられたその技術力を養成するという点がポイントになるとともに,どうしても私ども公共施設を管理している立場だと気にしてしまうのが,事故が起きたときの管理瑕疵の問題,責任の所在ですね。例えば,その人がちゃんとまじめに見ていたんだけど,万が一何かあった場合の話とかということを気にしてしまうんですが,その辺については,何かお考えがありましたらお願いします。


◯阿部参考人 これは,こういう活動の中では,やはりポイントになることかと思います。それで,我々はこれが最善策かどうかはわかりませんけど,2つのことで今,現実にやっています。
 1つは,責任をその「橋守さん」にすべて負わせるのかということですが,これはなかなか難しいと思います。ですから,今,JRでもそうなんですけれど,人間が──当時僕が入社したころから,もう半減しているわけです。だけど仕事量はふえている。こういうときどうするかといいますと,やはり外部の力を借りなければいけないんですが,その借りる人も,同等に訓練した人が必要だと。だけど,その外部の人に責任を負わせることやロボットに責任を負わせることはできませんから,3人で検査していたうちの1人は,やはり直轄の責任者がちゃんと要る。その補助者として経験豊富な人「橋守さん」をつくっていく,ここから始めるというのが一つあろうかと思います。
 それから,もう一つは,これはまだ十分じゃないんですが,ただ,これを我々の今の資格制度では目指しているんですけれど,資格者としてその仕事をしてもらうということです。そうすると,資格者を雇用したということに対する責任はあっても,見逃した責任というのは,資格者も半分を持つわけですから。そうしなければ,資格者の価値も上がらないということで。ただ,これは多分,相当時間のかかることになると思います。だけど,我々は粘り強く,今,我々の学会だとかJSC,コンクリート協会も一体になってやっているわけですけど,そういう活動の中では,そういうことを目指していて,やはり責任を排除するだけじゃなくて,責任を取る人に,あるインセンティブがつながって来るような仕組みが交互ある。今はだめですけれど,いずれはできる。それまでの間は,最初の責任は直轄者にあるという立場は崩せないというふうに思っています。そういうようなことで実績を積んでいく以外に,なかなかないんじゃないかという気がします。


◯飯泉委員長 ほかにございますか。──。
 田山委員。


◯田山委員 お世話になります。大したことじゃないんですけども,先ほどお話聞いていて,維持管理の方向という課題がよくわかりました。更新は新設のコストの3倍だと,大変だなと思うんです。私がちょっとイメージしていたことが資料の中にあって,先生からも今御説明いただきましたけれど,やはり課題は,この財政厳しい中で──この新聞にも出ていますけども,「20年後に10兆円」だと。財源づくりの方法も,この際だから,ぜひ御指導いただくことが肝要かなと思います。
 たまたまこの資料を見ていると,時節柄,今話題になっているガソリン税で茨城県は税源を確保しておるということでございますけども,財源づくりの知恵といいますか,税源をどこに求めるかというようなことも,専門家の先生として,何かいろいろ御指導いただけるような税源等についてお考えがあれば,ちょっとこの際お聞かせ願いたいなと。きょうは各党おりますので,議論したいと思います。


◯阿部参考人 今,御質問いただいたんですけど,僕はまともにそれに対して答えを持っているわけではないんですが,私見というよりは,可能性みたいに勝手に考えている程度のことなんですけど,公共事業を行う財源というのは,やはり3つぐらい考えられるのかなというふうに考えています。
 一つは,税金とか利用費とか,財政でやっていくということだと思います。これは国策だとか,そういうことをベースにした仕組みの中でやっていくような感じで。その中にひょっとすると──僕は,今は何の知識もないんですけど,勝手には自動車税をうまくやるべきだろうと思っているんですが,この辺は僕は余り知識もない。委員の前で言うような話じゃないので,これは可能性としては非常に……,だけど,やはり整然と訴える仕組みがなければいけないと思うんですね。こうやると,なぜ増であって,それを投資することによって,どれだけ貢献できるというシナリオ的なものが要るのかなという気がします。それから,環境に関するものというのは,比較的女性が今,いろんな仕組みをつくったりなんかするのにはつくりやすいですから,そういうふうなことも絡めた中でのものも,税制の中には含まれてくるのかなというような気がします。
 それから,もう一つは,PFI。3つと言いますのは,税金でやることと,PFIで,民間ノウハウでやること。それともう一つは,社会投資ファンド。これも,先ほどちょっと言いました東京大学の西村先生なんかと,そういう活動。──これは何かと言いますと,PRIは民間のノウハウ,民間の資金でやるんですけれど,お金はやはり民間から集めて,行政が行うものを社会投資ファンドと。「じゃ,どんなことか」「だれが出すんだよ」と。PFIなら「金利を払え」「配当を払うから」とお金が集まる可能性があるけど,「民間資金がどうやって集まるんだよ」と。「いや,だれも出さない。そんなうまい話は……」とよく言われるんですけど,我々考えているのは,一つはシニアローンという。これは何かと言いますと,相続税です。例えば相続するとき,相続したら相当持って行かれるわけですけれど,それは我々みたいな貧乏人は全く関係ないんですが,かなりの大金持ちとか資産家はそういうもので,相続税というのがあります。
 ところが,資産を相続するときに,社会に寄附するといいますか,そういうような行為をすることによって減税するというやり方,これは,昔は日本でも一部あったみたいなんですけれど。今でもビルゲイツが,11兆円のお金を全部相続すると大変だから,どこかに寄附して,何かをやったら減税されるというようなことがあるようなことで,それを地元の何かのためにと。そのかわり,お金があって仕事が進むんじゃなくて,その地元の中でこういうようなお金が──例えば,よく僕が事例に出す,これも絵に描いた餅の事例なんですけれど,私の住んでいるところは,千葉県大原町という漁港なんです。あの近辺で年間1,000億円ぐらいの水揚げがあると,それを東京に30分早く魚を持っていくことができれば,3%高く売ることができるんですね。これは3%と言われるけど,30億円なんですよ。そうすると,早く持っていくためには,200億円の投資でバイパスをつくろうじゃないかというようなことがあったとしても,それは税金から出すんじゃなくて,そういうところに投資する人がいたらそれでもって出てきたら,その社会的便益の還元を減税で行うという。これは,今の法制から言ったら,全く実現しないんですよ。たわ言なんですけれど,ただ,これは全くなかったことでもないわけです。ですから,そういうような仕組みである財源を,そうすると,自治体でもお金がないからというんじゃなくて,いいプランを出して,これをやったら,地方税やなんかに対して減税するよという行為が,もし可能になる──特区みたいな扱いで,もしそんなことが可能に……。まあ,めちゃくちゃなことを言っているんですから。技術屋が,こんなふうに経済に口を出すなんていうのはあってはいけないことを今言っているので,「ばか言うな」で一笑されるかもしれませんけど,我々はそれに近いような仕組みのお金というのも,やはりあっていいんじゃないかという気がするんです。
 昔,イギリスへ行ったら,よくあるんですね。駅の名前に貴族の名前がついているというやつです。それから,ホールでもカーネギーホールだとかなんとか,そういうのもあるでしょう。これは,やはり大金持ちが寄附をして,社会的な資産をやっていく。それで,ある程度の減税がある。こういうようなことの拡大的な運用解釈みたいなことです。それも,ひょっとしたらということで,これは本だと何でも書けるので,そういうこともちょっと事例として書いているんですけれど。
 そんなことで,全く参考にならない,かえって混乱させてしまって「ばかなことを」と言われそうですけれど,そういうようなことを考えています。


◯田山委員 参考になる意見をちょうだいしまして,ありがとうございました。ちょっと二,三聞こうと思ったんですけども,中で資料としていただいておって,ありがたいと思います。財源厳しい中でも,予算配分の実情等をちょっとお聞きしようと思ったら,おおむね社会資本投資の変遷というようなグラフを見ると,随分傾向としてはわかるので,これはお聞きしなくてもいいことかなと。
 今の大原からの物の流れといいますか,前に我々の議会で勉強会を開いた折に,国土交通省のOBの方で,国土学というふうな観点で,先生と同じような主張があって,大変参考になりました。
 実は,私,石油業でございまして,石油業界は,全部特定財源の暫定税率を推進してきた立場なんですね。今,肝心なところでは政治が判断するとありましたけれど,政治というのは,政局でしか今動いてないと思っていまして,先生のような考えがもっと前面に出るように,ぜひお願いしたいと思うんです。生意気ながら,暫定税率が──いわゆる道路特定財源が揮発油税含めて一般財源化された国の,今のガソリンの平均が,リッター230円だそうで,5割上がるということが,一般財源化の方向でございますので,先生,ぜひ一つ,そういう危機感を,専門家の立場で意見として述べていただいて,頑張っていただきたいと思います。
 ありがとうございました。


◯飯泉委員長 ほかにございますか。──足立委員。


◯足立委員 お話を伺っておりまして,人間と同じだなと,こういう思いをいたしました。今の日本が,世界の中で唯一人口減少という国になりましたけれど,すごい勢いで人口が減っていく。地球環境ということからすると,壮大な実験をしているんだという主張の方がいらっしゃいます。
 先ほど5ページで,社会資本投資の変遷という資料を拝見いたしました。新設投資が,現状では約8割弱,それが平成25年度には,維持管理が32%,更新投資が19%,その残りが新設投資,災害復旧投資ということになっているわけですが,この社会資本投資の変遷から見ますと,今,日本が壮大な実験している。言葉を変えると,こういう面からも「大変だぞ,日本社会」となりつつある。今,この橋に限らず道路,それから港も空港も,すべて日本社会の建物,毎年何百億円,何千億円,大変なお金が使われていますが,つまり,今からメンテナンスを考えたつくりをしていかないと,特に壮大な実験しているという意味でも「日本社会,これは大変なもんだ」という話,1,000兆円の借り入れというのを,これも返さなきゃいけない等々含めて考えますと,予算制度も考えなきゃいけないし,今,PFIの関係ですとか税の関係,社会投資ファンドを考えるというふうな話もありましたけれども,最初から予算制度の中にも,これを取り組んでいかなきゃいけない時代を迎えているんじゃないのかと思うんです。この今のお話のやり方も,こういうふうに社会が変遷していきますと,極めて厳しことになりやしないかと思いますが,かなり先の話なんで,お答えいただけないかもしれませんが,将来,このメンテナンスという観点から,どんなお考えをお持ちか,参考にお伺いしたいと思います。


◯阿部参考人 物すごい大切な話なのに,ちゃんと答えられない可能性があることだなと思っているんですけれども。これから,一つはもったいないといいますか,物を大切にする。僕はメンテナンスというのを,単なるメンテナンスというよりは,資産管理というふうに置きかえて考えるべきだろうと。それには3つの方法があるんではないかと。その3つというのは,非常に日本人に向いた方法ではないかというものをちょっと考えているんですが,これは実はある雑誌で,国際競争力ということで「社会投資について何か書け」と言われたとき,僕は3つのポイントを言っていて,1つは,繕いの技術。2つ目は,やりくりの技術。3つ目は,分かち合いの技術。この3つが,日本が国際競争力をつけるために,非常に有利なものではないだろうかというふうに書いたことがあります。
 1つ目の繕いというのは,偽りみたいなことにも,繕うですから,これは日本人の恥の文化,恥ずかしくないようにという,これが「修繕」というものに対して「繕う」という,これは英語で言えば「リペアー」ということに対して,我々は「レトロフィット」というふうに,要するに改良を含めた修繕なんです。これが日本人として大切なことじゃないかと。というのは,子供がかぎざきをつくったから,それを修繕した。でも,母親が「修繕した」と言うよりは,母親は「繕った」と言う。これは繕ったというのは,恥ずかしくないように縫うわけですね。要するに,ただ縫っていればいいという,リペアーではなくてレトロフィットであると。
 それと,お母さんは必ず「今度はそんなことしちゃだめよ」と促すわけですね。要するに原因を,それの改良を言うわけです。日本人はそれは表に出ないけれど,その繕いの技術というのは,これは多分恥の文化にされていますから,あるだろうと。ですから,そういうことが一つ。
 それから,やりくりというのは,ないものねだりしない。与えられた条件下の最適化を図って,満足度で評価するということなんですけれど。要するに「マニュアルにこう書いてあるから,こうするんだよ」というやり方じゃなくて,「だけど,今お父さん失業中だから,ステーキは食べられないよ」と言ったそのときに,ないことは社会が悪いと,本当にいいのかという話ですね。やはり,そこでやりくりをする。与えられた条件下での最適化を図ろうとするという活動。これがやはりメンテナンスだとか,そういうものではないか。
 3つ目の分かち合いというのは,3つのお菓子を5人で取り合えば,足りないんですね。不足なんです。ところが,おじいちゃん,おばあちゃんと孫3人がいて,じゃんけんして決めれば一番正当なんですけれど,おじいちゃん,おばあちゃんが突然おなか痛くなっちゃって,「いいよ。お前たち食べなさい」と言ったら,おじいちゃん,おばあちゃんが食べられなかったときの損失と,孫が3人「おいしいよ」って食べたときの喜びを見て満足する。どちらが満足かと。要するに物欲だけでなくて,そういうようなところをうまく絡めたような仕組みのメンテナンスといいますか,こういったようなところにだんだん移っていく。
 だけど,これは難しい話じゃなくて,僕らがおばあちゃんによく聞いた話なんですよね。ひょっとしたらこの高度成長期,僕らは真っただ中にいたわけですけれど,忘れていたかもしれない。だから,もう一回日本人であることを考え直してみたら,意外と難しいことじゃなくて,体に合うんじゃないかというようなことも……。方向づけだとか,そういうことは何もできませんけれど,僕はやはりこれからのメンテナンスというのは,繕い,やりくり,分かち合い,これが一つの何かポイントになりそうな気がしています。生意気な話で申しわけありません。


◯飯泉委員長 ほかにございますか。──。
 それでは,阿部参考人,貴重なお話をありがとうございました。
 本日,お話いただきましたことにつきまして,今後,委員会審査の参考にさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
     ────────────────────────────────


◯飯泉委員長 それでは,ここで暫時休憩をさせていただきます。
 再開は,午後2時50分とさせていただきますので,よろしくお願いいたします。
                 午後2時28分休憩
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                 午後2時50分開議


◯飯泉委員長 それでは,休憩前に引き続きまして,委員会を再開させていただきます。
 本日,二人目の参考人としまして,社団法人建築・設備維持保全推進協会専務理事の今泉晋さんをお招きしております。
 御紹介いたします。今泉さんは建設省在職中に,愛媛県や新潟県で建築住宅課長を歴任されるなど,建築行政,住宅行政,都市行政の担当者として御活躍されました。また,建設省退職後も,建築都市防災や建築物のロングライフ化などの研究で御活躍され,平成17年には,国土交通大臣建設行政功労者表彰を受賞されたと聞いております。
 詳細のプロフィールにつきましては,お手元に資料をお配りしておりますので,ごらん願いたいと思います。
 今泉さんには,大変お忙しい中,本委員会に御出席いただきまして,まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして,厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 本日は「建築物の維持保全」について,御意見をお伺いしたいと思います。
 意見聴取の進め方につきましては,初めに,今泉さんから御意見をお伺いいたしまして,その後,意見交換を行うことといたします。
 それでは,今泉さん,よろしくお願いいたします。


◯今泉参考人 ただいま御紹介にあずかりました建築・設備維持保全推進協会の今泉です。よろしくお願いいたします。
 自己紹介のところにも書いてあるとおり,いろいろやっておりますけども,例えば県の行政でいえば,愛媛県及び新潟県において建築住宅課長をやっています。その間,きょうのテーマの維持保全についてどういうことがあったかといえば,例えば,愛媛で県立高校や何かのひさしのコンクリートが落っこちたとかいうのがあります。愛媛県の場合は,海砂を使っていたので,鉄筋が腐食してコンクリートが落っこちたりした。
 新潟県では,県営住宅の外壁が落ちて下の車を壊しちゃったとか,いろいろあります。あと,直接担当はしてなかったんですけども,県の文化施設か何かで,タイルの中に水がたまって,冬に凍って,割れて,とがった破片がドンと落ちてというふうな現象や,そういうふうないろんな経験をしています。ただ,仮に人身事故でもあれば,建築住宅課長やなんかは首が飛ぶというぐらい,維持保全をしっかりしてないと恐ろしい目に遭うという思いをしてきました。幸いにも人身事故がなくて済みましたけども,そういうふうなことをやっておりました。
 それから,茨城県とのつながりで言えば,いろんな場面でつながりがありまして,建設省へ入ったときの都市局長が竹内藤男さんだったんですけども,そういうふうなことでいろいろ関係があります。それに個人的ですけども,うちの女房が土浦一高の卒業生ですし,そういうふうなこと。それから,建築研究所にいたことあるんですが,建築研究所がつくばに移転する直前に,東京の大久保にあったんですけども,そこのときに,つくばの工事現場やなんかを案内する担当で,しょっちゅうつくばに来ておりました。また,20年前ですけども,つくば万博がありましたが,つくば万博のときに,建築指導及び会場計画の担当課長をやっていまして,そのとき,いろいろつくば万博の話をしておりまして,うちの課の中には,県庁の職員の方が出向していただいて,一緒に仕事をさせていただいております。まあ,そういうふうな関係です。
 あと,きょうも,水戸の駅前に久しぶりに来たんですけども,駅ビルから南側の昔の清算事業団のところに,今,開発されてかなりホテルやなんかできていますが,それは地域公団のときに──部が違うんですけども,新しい部で担当していたので,私もその話に相談乗っていましたけど,ああいうふうなものがもうできたんだなと思って,きょうも一応見て,感慨にふけってまいりました。
 ちょっと余談が長くなりました。私,建築・設備維持保全推進協会で,BELCAと何て言うかといいますと,ビルディング・アンド・イクイップメント・ライフ・サイクル・アソシェーションの略でBELCAと呼んでいますけども,日本語のほうがわかりづらいし長いし,舌が回らないので,もういつも「BELCA,BELCA」と呼んでおります。
 BELCAについては,お手元にパンフレットがあるかと思いますけども,それの一番後ろのページのところに,会員のリストが載っかっているかと思います。それぞれ多彩な業界のトップクラスの企業も集まって,いろいろ仕事をしています。
 それで,どういうふうなことを念頭に置いているかというと,この画面にありますように建築物は社会資産であり,そのロングライフ化は後世に対する責任であるということを念頭に置いて。要するに,大切に使っていけば建物の寿命は長くなるし,その大切に使って長くなった建物というのは,街並みを形成して,世の中に対して社会的資産として残るというふうなことを頭に置いております。
 先ほど会員の話をしましたけれども,BELCAの仕事というのは,建物の一生にかかわる企画・設計から建設し,運用し,診断・改修し,最後は解体するんです。そういうふうな一生にかかわる仕事にタッチしている業界の皆様,だから要するに,例えば建物の所有者,三菱地所だとか三井不動産だとかも入っておりますし,設計事務所,ゼネコンでは大手がほとんど入っております。あと,メンテナンスだとか診断だとか,そういうふうな会社が,みんなで知恵を出し合って新しいスタンダードをつくるとか,そういうふうなことで,いろんな情報発信をしようということを目的に,我々仕事をしております。
 それで,日本に建物のストックがどれだけあるかというのは,なかなか統計はないんです。建築で,着工統計だとかありますし,住宅については,住宅統計調査だとか,そういう指定統計があるんですけども,建物のストックというものを調べるためには,何もそういう資料がないので,今我々としては,5年に1回ぐらい東京大学の野城先生にお願いしてストックを推計しております。要するに,着工統計をもとにどれだけ除却して,どれだけ残っているかというふうなことを年ごとに追って,それでもって推定している。これが建築ストックのデータとしては,一番世の中で普及している数字かと思います。現在,約80億平米あります。上のほうに,ちょっと2分の1だとか4分の1だとかありますけども,現時点でいえば,築20年以内の最近つくられたものが,大体世の中の2分の1がそうです。それから,築20年以上で30年未満のやつが4分の1。30年以上たっているものが4分の1。大体そういうふうなイメージだということを把握しておいていただければと思います。
 それから,私どものBELCAでは,どちらかといえば公共の建物というより民間の建物やなんかを中心に仕事していることが多いので,この資料としても,民間事務所のストックということで推計したデータがあるんですけども,これは三菱総研のほうで推計した数字です。
 それによると,2000年には,全体で民間のオフィスについて,約4億3,000万平米ぐらいだったのが,10年たつと5億になるという,増になっています。その中で何かというと,赤字で書いてあるように,2000年時点では,築30年以上のものが17%だったのが,10年たつと31%,約2倍になりますよと。ですから,これからどんどんそういう古いストックがふえていきますよというふうなことを,これは意味しています。そういうふうなことで,これからどんどん古い建物がふえていくかと思います。そのことを,これは国土交通省の官庁営繕部のほうで出している数字ですけども,国家機関所有施設のストックというふうなデータが,つい最近発表されましたが,それでいうと,面積でいえば約33%が築30年,施設数でいっても約40%弱が築30年というふうなことで,かえってそういう国家機関のほうが,民間のオフィスよりも古いものが多いんじゃないかと。
 それで,上のほうがちょっとこれはいいかげんな数字なんですけど,要するに現在築20年以上のものが48.8%ありますので,10年たったら,それらが築30年になるだけです。面積でいえば,さらにその60%近くが,古いストックになるというふうな形になるかと思います。最近,余り新しいものがなかなか建てられないようになると,そういうふうな築30年以上のものが,半分近くなるというふうなことが予想されております。
 きょうのお話は,こういうふうなことでもって,ある程度初めにまとめてお話しさせていただきたいと思いますけども,「本当は怖い維持保全の不備」ということですが,どこかのテレビ番組に似たような名前がありますけども。左側の寿命が短いだとか,故障が多いだとかいうふうなことにつきましては,どちらかといえば,コストリスクの問題があるわけです。要するに,維持保全費用が増大するというふうなことで,維持保全を悪くすると,かえってそういう金がかかりますよ,コストがかかりますよと。
 それから,上のほうの2つで,テナント収益の低下だとか,価値評価の低下だとかありますけれど,この辺につきましては,経済的リスクというふうな問題でもって,一応整理される形になります。
 この辺が,大体経済リスクの話です。テナント収益の低下だとか,売買しようとしても価値評価が低下するとか,そういう話になるかと思います。
 それから,民法,刑法,この辺が法的リスクの話が出てくるかと思います。
 その3つに分けて,ちょっとお話したいと思います。
 まず,こちらのコストリスクのほうですが,維持保全のコストリスクやなんかの話でいえば,大体維持保全の概念というのはこんな形で,これが機能で,これが時間的な経過ですけれども,初めはこういうふうな要求水準より高いところでも,ある程度つくっているんですけど,それがだんだんたつと機能低下して,そこでもって,また補修修繕だとか交換をしてまた使っていくと。
 でも,あるとき,これ以上機能が下がるとだめだなということで,もとの水準まで戻すのを更新といいますが,更新してまた使っていくわけです。でも,そうすると,世の中のそういう要求水準がどんどん高くなっていくと,更新よりは改修してここまで上げていこうと。そういうふうなことを繰り返していくのが,維持保全かと思います。
 それから,耐用年数だとか寿命だとかという言葉があります。寿命というのは,結果として何歳まで生きたという数値です。耐用年数というのは,これもいろんな使い方がありまして,一つは法定耐用年数だとかいって,償却期間の問題でもってやるのもありますけども,ここで言っているのは,普通,学会やなんかで使っている耐用年数です。
 それで,このグラフは何を意味しているかというと,この白い部分と黒い部分があるんですけども,そのまま放っぽらかして維持保全もしないで使っていると,例えばこれは変圧器ですけども,変圧器だと大体15年が耐用年数ですよと。でも,いろいろ手をかけて,予防保全やなんかを進めていくと,25年以上もちますよと。そういうふうなグラフです。要するに,何か壊れてから直すというふうな事後保全よりも,あらかじめいろいろ調査やなんか診断して予防保全をしたら,それだけ長く使えますよというのが,この資料です。これはその中の一部の資料です。
 これは,故障率曲線というのがあるんですけども,時間の経過と故障率をグラフにしたものです。初めは,機械がなれてないとか,使い方がなれてないとかいろんな問題がありますので,初期故障期ということで,初めは,故障率が高いわけです。それで,ある程度たつと安定期で,偶発故障期とかといって安定するわけです。そのうちすり切れたり,いろんなことで摩耗故障期というふうな形で,また故障がふえていくわけです。こういうふうなバスタブ曲線と呼んでやっていますけども。いかにこの偶発故障期の期間を長くして,故障を少なくして長くもたせるかということが,維持保全のコツかと思います。
 これは,エアコンを例にとった定期点検と投資効果ということで,ある程度,定期点検だとか何かで,ちょっとおかしいところは手入れたりして使っていけば,こういうふうに使えますけども,放っぽとくとこうなっちゃいますよというふうな簡単な絵です。これも単なる関連図的なものですけども。
 それから,これが建築物の100年間のライフサイクルコストの話で,要するに建物が企画され,建設され,使われて,それから,最後に解体する。それまでに,どれだけのコストがかかるかというふうなことを計算したものです。それで,これは2万平米のオフィスビルについて100年間使う場合,どれだけのコストがかかるかという計算です。そうすると,企画・設計だとか建設費,これがイニシャルコストですけども,それは大体13.5%ぐらいで,残りはほとんどメンテナンスだとか,ランニングコストになります。大体イニシャルコストの数倍がランニングコストにかかるということで,このランニングコストをいかに効率的に少なくできるかということが,維持保全で考えなきゃならないことです。それで,企画・設計の段階でもって,大体維持保全コストやなんかの要因の90%以上が決まってしまいます。ですから,できてからメンテナンスをどうするかという話よりも,企画・設計の段階からそういうふうなことを考えて設計していくということが大切です。ただ,実際には,後から考えるのが多いかと思いますけども。
 今度は,テナント収益の低下だとか価値評価低下,要するに経済的なリスクについて,ちょっとお話させていただきたいと思います。建物を汚く使いづらくしたままだと,やはりどんどんテナントが逃げます。逃げた後も,また埋まらなくわけです。まあ,そういうふうなこと。
 最近,建物を証券化して売ったりすることが多いんですけども,そういうときに買いたたかれたと。最近,よくバルクセールとかといって,ハゲタカファンドだとかいうことで,まとめ買いでもって古い建物を安く買いたたくなんていうのですけども,要するに悪い建物だと,こういうふうな買いたたきが行われます。
 そういうふうなことを低下しないようにいろんな工夫をするのに,こういうふうなことをやられる例がありますけれども,例えば,外装デザインのイメージアップということで,カーテンウォールやなんかを全部取り替えちゃったりする,そういうふうな改装工事を行う場合もありますし,あと,エントランスだとか何かをいろいろきれいにするというふうなこともやられています。それから,オフィスの中も,昔はこういうふうなオフィスだったんですけれども,それをお客さんが入ってもらうためにきれいにするとか,OFを赤にするとか,リフレッシュコーナーを設けるとか,そういうふうなことも努力されますし,あと一番わかりやすいのは,トイレや何かをきれいにするとか,最近,喫煙ルームをつくらなきゃならないので,そういう喫煙ルームをつくるとか。そういうふうなことをやりながら,テナントが逃げないように,テナントを集めやすいように,いろいろ努力しています。
 維持保全の不良と収益の低下ということで,テナントが退去する。それから,空室が埋まらない。空室率の増大というんですか,こういうふうなこと。それに対して,ヴァリューアップ改修が行われなきゃならないとか。ただ,ヴァリューアップをしても,なかなか賃料が上がらないんですけども,ただ空き室が減れば,その分だけは投資効果があるというふうな形が,今,行われている実態かと思います。そういうふうなことで,維持保全を不良にしていくと,収益力が低下するというふうなことになります。
 それから,建物の評価については,昔は,建物についてほとんど評価されずに,駅から何分で幾らというふうな土地の値段だけが評価されるような傾向だったんですけど,最近は建物についても評価されるようになっています。要するに,使える建物はそのまま使って建物付でもって売買されるということがふえております。その一つの現象といたしまして,J−REATというのを御存じかと思いますけども,J−REAT市場がどんどん拡大して,今は大体数兆円規模のJ−REAT市場が形成されております。そういうふうなことで,建物を評価しながら,J−REATなんかがどんどん進んでおります。
 それで,去年の4月に改正されて7月からですけども,証券化する建物を鑑定評価する場合には,エンジニアリング・レポート添付を義務づけられました。これは国土交通省のほうで,不動産鑑定評価基準というのを改定しております。その中で,この義務づけが去年から行われています。そういうふうなことで,エンジニアリング・レポートやなんかをすることによって,建物の価値をいろいろ見定めております。
 それで,これがエンジニアリング・レポートですけども,全体をこれ,デュー・ディリジェンスというんですが,デュー・ディリジェンスの中の物理的調査はエンジニアリング・レポート。それから,経済的調査,要するに土地の値段だとか,そういうふうな経済的調査。それから,法的な調査でもって権利関係がどうなっているかとか,いろんな問題があります。そういうふうなもの3つをまとめて,全体でデュー・ディリジェンスというふうな形でやっています。そういうふうなものを見ながら,不動産鑑定士の人が,建物の価値を含めて評価しております。
 それで,エンジニアリング・レポートは何をやっているかというと,その建物にどういうリスクが内在しているか。例えば耐震性が弱かったら,買っても耐震改修行わなければならない。アスベストがあれば,アスベストの除去やなんかを考えなきゃいけないとか,そういうふうなリスクについてチェックするのが,エンジニアリング・レポートです。それで,快適性がいいとかいうふうなことは,エンジニアリング・レポートではやらないで,それは不動産鑑定のほうで別途やります。ですから,ここでは買った人が,後からリスクがわかって損をしないというふうな,買った人に対する迷惑をかけないための調査が,エンジニアリング・レポートです。
 3つ目が,民法だとか刑法の法的リスクの話があります。要するに維持保全が悪いと,こういうふうなことになることもあるわけです。だから,民法でいえば,賠償金やなんかを取られたりするし,刑法でいえば,場合によっては禁固刑も出てくるというふうなこともあります。
 まず,法律でどう書いてあるかというと,民法の709条に「不法行為」と書いてありますけれども,「故意または過失により他人の権利を侵害したる者は,これにより生じたる損害を賠償する責に任ず」というふうに書いていますし,特に土地の工作物や何かにつきましては,第717条の第1項で「土地の工作物の設置または保存に瑕疵あるに因りて他人に損害を生じたときはその工作物の占有者は被害者に対して損害賠償の責に任ず」ということで,そういう損害を与えたら,損害賠償をしなきゃならないというのが,民法に書いてあります。
 それから,刑法のほうには何が書いてあるかというと,業務上過失致死傷というのがありまして,第211条で「業務上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,5年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も同様とする」というふうな規定があります。
 これの例といたしましては,例えばホテルニュージャパンの火災が,昭和57年の2月にありましたけれども,実際に8階でもって火事が起こりまして,33人の方が亡くなられました。この事件も,新聞で騒がれて御存じかと思いますけども,実際に社長が──有名な社長さんですが,禁固3年の実刑判決を受けております。この場合は,防火区画やなんかが不全だとか,避難安全施設やなんかの電話をとめたり,いろんなことで避難しにくいような状況で亡くなられたということで,刑法の禁固刑になっております。
 これは,平成13年に新宿歌舞伎町の雑居ビル火災というのがあったんですけども,ここにちょっと空いていますけども,実際にはこのテントがここをずっと張りめぐらされていたわけですね。この中の4階で火事があって,そこの防火戸の開閉やなんかがうまくいかないようなことになって,そういう支障もある。それから,廊下や階段にいろんなものを置いてある。本当はここから避難しなきゃならないんですけど,避難すべきところに,こういうふうなテントを張って避難できないようにするとか,そういうふうなことで,この場合は44名,4階と5階のお客さんが亡くなっております。これも,まだ求刑段階ですけども,実質オーナーの方が禁固3年ということで今,求刑されている最中です。まだ,判決おりていません。
 これは,刑法にはなってないんですけども,これは何かというと──ちょっと見にくいんですが,このビルなんです。こちらのほうは全然関係ない。このビルについて,ここに斜め外壁があるんです。斜め外壁のところを普通の屋根と同じような防水だけをやって,そこにタイルを張っていたんですけども,ここのタイルが落ちて,下にいた自転車の奥さんをけがさせたというものです。これは,平成17年の6月にあった中央区新町1丁目の事故ですけども,結果として,こういうふうな形で落っこちたわけですね。それで,この自転車に乗っていた奥さんが重傷を負い,タクシーのほうはボンネットをちょっと壊したということで,こういうふうな事故になるわけです。
 これも,結局はメンテナンスが悪い。まあ,設計も悪いんですけど,メンテナンスも悪い。だから,そういう落ちそうな兆候を見つけられなかったかどうかというふうな問題もあるかと思います。ただ,これについては,刑法上の問題にはなっていません。だから,さっきの,この話についていえば,県有施設や何かで,そういう外壁の落下だとかというのが結構起こり得るので,そういうふうなことをいかに防ぐかということが問題になるかと思います。
 最近,そういう維持保全が不備で事故が起こったという例が幾つかあります。例えば,これは愛知県の豊田市でプールの天井が落下したんですけども,まだ原因や何か余りはっきりしたわけではないので,憶測が入るかと思いますが,そのプールで──要するに湿気があるところで,石こうボードを天井に張っていたと。でも,石こうボードなんて,水にぬれたらどんどんしっけで重くなっちゃう。そんなものを張っているのがそもそもおかしいので,それが落っこちて事故を起こしています。これは人身事故はなかったと思います。あと,仙台のプールの天井も落っこちていますが,あれはとめ方の問題かと思います。
 それから,エレベーターの作動事故による死亡事故というのが,東京のほうで1年前ですか,ありました。これも,結局点検やなんかが不備だというふうなことが今,言われております。エレベーターのメンテナンスも,昔はメーカー系の点検会社がやっていたんですけど,今はそれがフリーになって,ただ単に点検するという会社がどんどん割り込んでいるので,その辺で今,価格競争が起こっていて,このときも,初めのときの点検費用も4分の1ぐらいの値段でやっていたというふうなことを聞いていますが,そういうふうないろいろ問題があります。
 それから,小学校の防火シャッター点検作動中の事故というのもあります。要するに作動の点検をやっているときに,おろしちゃったんだけども,たまたまそのおろしたシャッターの下に,子供が入って亡くなったとか,そんなこともあります。
 これも1年ぐらい前かと思いますけども,九州の唐津市だったか,カラオケボックスが火災を起こして亡くなりました。火災を起こした原因は,不注意なんでしょうけれども,ただ,いろいろこの関係で,最近,国土交通省が,それぞれの県やなんかから報告をもらっていますけども,かなりの率で防火区画の違反だとか,避難経路の違反だとか,そういうふうなことが見つかっているようです。そういうふうなことで,この場合も人身事故を起こしています。
 ──ということで,今までは維持保全をうまくやっていないと,そういうコストリスクが大きくなりますよと。それから,経済的リスクが大きくなりますよとか,そういう法律的リスクが大きくなりますよと。そういうふうな形で,やはり適切な維持保全が必要だということを,一応3つの面からお話しました。
 その維持保全に関連して,最近の話題をちょっと2つばかりお話しますけども,茨城県でも最近,PFI事業なんかに取り組まれつつあるかと思いますが,PFI事業のときに何を審査するかというと,バリュー・フォー・マネーがいかに大きいかということでよく審査されるんですけども,バリュー・フォー・マネーとは何かというと,要するに予防保全をして,公共のやり方でやるとどれだけ金がかかるかに対して,提案した事業者のほうの予定価格ではどのぐらいになるか。このどれだけ安くなるかというふうなことを審査するわけです。ただ,この公共団体のほう,PSCと略称しています,パブリック・セクター・コンパラターというのがあるんですが,パブリック・セクター・コンパラターについて,今まで余りそういうふうな概念が公共団体にないので,これをかなりはっきりしないで出しています。だから,これを安く出すと。事業者のほうはVFMを生み出すために,これをわざと鉛筆をなめて下げちゃうということが行われることがあるわけです。だから,そんなことではなくて,やはり要求性能に対して,どれだけの維持保全をするかというふうなことをちゃんと比較するようなことを,発注者も事業者も意識しないといけないということが,いろいろ問題になっているかと思います。
 あと,これはちょっと余談ですけども,PFI方式について,BTOとBOTというのがあるというふうなことで,BTOというのは,ビルディング・トランスファー・オペレートで,それから,BOTが,ビルディング・オペレート・トランスファー。できたものを,事業者が使って返すか,事業者が発注者に一度所有権を移転して,それを,委託を受けてオペレートするか,その違いなんですけど。
 これも,どちらかといえばBTOが多いんですけども,ただ,民間のノウハウや何かを活用する部分が多い場合は,BTOのほうがいいということが言えますし,使い方がもう固定されていて,余りそういうノウハウの幅がないというときは,BOTが使われる。大体そういうふうな形で使われると望ましいんじゃないかと思います。この辺についても,PFI事業による維持保全というふうなことでもって,うちはいろいろそういう情報を発信していくるから,言っているんです。
 それでPFI事業についても,いろんなところで問題が起こっているんです。先ほど言ったように,維持保全の費用の予定価格をかなり低く出して,それでもって仕事を取っても,実際にそれでやって,その要求性能が発揮されているかどうかというのをどうするかということで,それをモニタリングでもって通常やるわけです。そういうモニタリングやなんかをどうするかというのが,今問題になっているかと思います。その辺についても,今,うちのほうでそういう情報発信をしております。
 それに関して,ちょっと後で出てきますけど,SLAというのもあります。SLAというのは,サービス・レベル・アグリメントといって,要するに発注者と受注者がちゃんといろいろ話し合って,どういうふうな水準でやっていくかというのを,話し合いながらやりましょうというふうなことを今SLAと呼んで,そういうことを進めております。
 それから,PFIで問題になるのは,発注者も事業者もお互いにそうなんですけども,担当者が変わると,最初に約束した契約書だとかそういうふうなものがなかなか引き継がれていないで,いろいろトラブル起きているのが最近は多いようです。ですから,PFI事業をただ安易に,何か打ち出の小づちみたいにいいものだというふうに使われていますけども,こういうふうなことをちゃんと考えてやらないと,いろいろ問題があるかと思います。結構,PFI事業が破綻しているものも,何件かあるようです。
 あと,もう一つの話題としては,先ほど言ったエンジニアリング・レポートの関係ですけども,不動産証券化等において,エンジニアリング・レポートを,完成の際に義務づけております。これは先ほど言ったのとダブりますので,省略します。
 それから,先ほどの絵と同じ絵がここに出てきますけども,その中で事後保全と予防保全について書いてあります。事後保全というのは,支障があらわれてから対処するのを事後保全。それに対して予防保全というのは,定期診断等により早期に予兆を見つけて対処するのが予防保全です。予兆というのは何かというと,ひび割れだとか膨らみだとか,変形,変色,機能低下,いろんなもので予兆が出てきます。それを見ながら早目に保全していくのが予防保全です。
 ただし,予防保全に全部すべきかというとそうじゃなくて,事後保全でいいものもあります。例えば,小学校の便所の照明の電球が切れちゃったようなものは,事後保全でも何もリスクはない。要するに,リスクが大きいものについては,ちゃんと予防保全をしないと,そのリスクでいろんなダメージが起きます。例えば電源が切れたことによって,いろんな機械に損傷を起こすとか,そんな問題もあります。ですから,それはリスクを考えてこれをバランスよくやるというのを,我々としてはお勧めしております。
 それで,これからはいろんな事例を,ちょっと絵があったほうがいいので載せました。
 これが,鉄筋腐食した事例です。これ,鉄筋がこの辺に入っているかと思いますけども,例えば亀裂や何かから,雨水が鉄筋のところまで行っちゃうとか。それから,さっき言った海砂だとかの問題もあります。そういうふうな形で,水が鉄筋のところまで行くと鉄筋が腐食し始めて,鉄筋が膨らむとコンクリートが落っこちるわけです。これは非常に怖い話です。下に人が歩いていたりしたら,人身事故になります。
 ただ,これについても,ちゃんと予兆を調べていれば防げる話で,こういうのも変色だとか変形だとか,膨れるだとか亀裂だとか,そういうふうなものをちゃんと小まめに見ていれば,こんなことは起こらないわけです。ですから,ひびが入ったら,そこにグラウトを注入するとか,いろんなやり方があるわけです。
 それから,こういうふうなものもそうですが,これが進行すると,この単位で落っこちちゃうとか,いろんな話になってくるわけです。
 それで,コンクリートのひび割れは,いろんな原因があります。ちょっとコンクリートの水かげんが悪いと,後で収縮亀裂というふうな形で,細かい亀裂が入っちゃったりしますし,例えば,こういうところの角にこういうひびが入りますと,それは構造亀裂で構造上の問題があるとか,いろんなその亀裂の入り方で,原因や何かが予想できるんです。そういうひびの入り方や何かによって,どういうふうな補修をするかという話になるかと思います。
 これは,屋上の問題ですね。屋上やなんかもときどき草が生えたりしていますけども,こういうふうな草も,放っとくと根がどんどんどんどん伸びて防水層を突き抜いたり,さらにそれが天井から雨漏りするようになったり,いろんな問題を起こすわけです。天井から雨漏りするだけじゃなくて,さらに,この建物の躯体自体を痛めることになるわけです。こういうのもやはりこういうふうになる前に,ちゃんと除いていかないといけないわけです。
 これは,バルコルニーの手すりやなんかですけども,こういうのも結構さびて,場合によってはこれが抜けたりする。この手すりというのは,大体12センチ以下の間隔でもってやっているんですけども,抜けたら子供が下に落っこちてけがしたりします。そういうふうなことで,こういうのも,ちゃんと小まめにペンキや何かを塗って,さびないようにしなきゃいけないわけです。
 今までの話を含めて,維持保全のあり方をどうしたらいいかということをちょっとまとめましたけども,維持保全として,やはりしっかりした情報の整備が不可欠ですということで,設計図書やなんかも,要するに確認したときの図面,進行図面,それから改修したときの図面だとか,そういうふうないろんな設計図書がありますけども,そういう図書をちゃんとしっかり残していくこと。それから検査済書があって,ちゃんとしっかりつくられていることが確認されているかどうか。あと,修繕だとか改修の履歴もちゃんと取っておくことというふうなことです。こういうふうな情報があるかないかということが,非常に重要な問題になります。エンジニアリング・レポートやなんかを書くときも,こういうふうな資料がないと,場合によっては「そんなものエンジニアリング・レポートを作成できない」といって門前払いを食らう場合も出てきます。そういうふうに結構重要な問題です。
 ただし,実際にはこういう設計図書が残っているところなんて,かなり少ないのが実態です。だから,例えばマンションやなんかも,管理組合が「こんなにたくさんの書類要らない」と言って捨てちゃうところがあるんですけども,これがないと,結構後で安く買いたたかれる原因になったりしますし,あと,いろいろ維持管理費やなんかの予算やなんかを組むときも,こういう情報が必要です。後で,たしか施設情報運用支援システムという話が営繕課長からあるかと思いますけども,そういうふうな情報というものが非常に重要です。
 それから,定期的に点検を行うことも重要です。法定点検としては,建築基準法の12条の1項で特殊建築物について,3項でもって建築設備と昇降機について,定期的に点検をしなければならないという項目があるんですけど,そういう法定点検をやっているかどうかとか,そういうふうなものが問題になります。県有施設でいえば,2項と4項で定期点検というのが今度できております。
 それから,リスクの大きなものは予防保全をということで,先ほども言いましたけども,そこが故障してもリスクがほとんどないものは,事後保全でいいんですけども,リスクの大きなものについては,予防保全をしないとダメージが大きいわけです。
 それから,小まめに補修・修繕・交換をしなきゃいけない。そういうふうなことで,何か予知したら,二次被害を防ぐためには,ちゃんとそれなりの手当をしなければならないということがあります。
 それと老朽化したり,沈下して改修する場合に診断が必要になるわけですけども,ただ,実際には,どういうふうに改修をしようかと考えている段階では,なかなかその実態がわからないのが実情です。要するに記録がなかったり,そういう正確な設計図書がなかったり,天井だとか壁に隠れて見えなかったり,壊さないとわからなかったり,いろんな問題があるわけですけど,そういうなかなかわからないところを予測しながら診断するというふうなことで,改修の設計というのは,新規の設計よりさらに難しい問題なんです。大体,改修工事──いろいろ耐震改修もやっていますけれども,はがしてみて,初めて推定したのと違って,そこで設計変更するものが多いんですけども,そういうふうに難しいのが改修工事です。当時の法令だとか工法やなんか,そういうものを推定,推測し,それをもって改修設計を進めるということで,非常にこれは経験がものをいう仕事です。
 それから,もう一つ。いろいろ事故が起こって,人身事故だとかで賠償をしなきゃならない場合が出てくるわけですけども,予算がないことは理由にはならないということで,事故が起こったら,やはり発注者だとか所有者の責任がまず問われます。要するに「施工が悪い」とかなんか言ったって,まずは所有者だとか発注者のほうが責任を持たなきゃならないです。「予算がない」と言って,そういうことについては言い逃れできないということを,やはり意識しなければならないと思います。
 それから,維持保全のあり方として,最近いろいろ価格競争で,安けりゃいいというふうな,どちらかといえばそういう傾向が出てきますけども,何かあると発注者の責任であるということで,発注者はどういうふうに対応すべきかということです。まず,発注条件は,ちゃんと明確にしなければいけませんよと。結構維持保全・メンテナンスなんていうと,もう一式幾らでもってポンと出しちゃうことがあるんじゃないかと思いますけども──民間やなんか多いんですけども,やはりどういう水準の,どういうふうなメンテナンスをするか,清掃をするか,そういうふうなことをちゃんと決めなきゃいけませんよと。
 それから,発注条件の実現を確認するために,発注したとおりにちゃんとやられているかどうかというのは,モニタリングでやるわけです。いろんなモニタリングがあります。例えば「一日に5回清掃しなさいよ」という──例えばトイレや何かですが,「5回やりなさいよ」と言って,それをちゃんと5回やっているかどうかというのも一つのモニタリングですし,場合によっては「お客さんからクレームが何件以下ならいいですよ」という,そういうふうなモニタリングもあります。だから,どういうふうに決めるかというのはケースバイケースですけども,要するに発注条件がちゃんと実現しているかどうかというのは,ちゃんと確認したほうがいいということです。
 実際に実施している段階でも,その発注条件やなんかを多少見直しみたいな話が出てくるんですけども,要するに現場に即して行うために,サービス・レベル・アグリメント,サービス基準の合意,そういうふうなことをやっていくということが重要です。発注したら発注しっ放しということで,後は任せっ放しにすると,場合によっては手抜きされることにもなりかねないので,そういうことを,発注者と受注者はちゃんと合意しながら進めていくということが必要かと思います。そのためには,発注側にもそういう人手がかかりますし,お金もかかります。そういうふうなことになります。
 それから,あと,さっき言ったいろんな情報やなんかをちゃんと整理する必要があるということで,これ「予算の平準化が必要」と書いていますけど,要するに一つの建物でいえば,何年目に何の工事をやるからこれだけの金がかかるという。そうすると,結構建物一つだけでいえば,山もあり谷もあり,こういうデコボコになるわけです。でも,群管理というか,ストックマネジメントをすると,そういうふうなものを平準化できるわけです。ですから,自分たちが対応すべき建物はどういう状態であって,どういうふうにやれば予算が平準化するかというふうなことが,非常にこれから有効になるかと思います。だから,建物によってはこの時間がずれるわけで,だから,これをいろんなものを管理すると,かなり平準化します。それでも平準化できなかったら,例えばこの工事を1年前倒しにして平準化するとか,いろんなことが工夫できるわけです。
 ですから,そういうふうな建物管理のストックマネジメントが必要になってきます。県のほうでも,施設情報運用支援システムでその辺をやられるのかもしれませんけど,BELCAとしても,それの簡易版を今,システムつくっています。
 後は余談になりますけども,BELCAが何を言っているかというと,BELCAをつくったときの目標が,良好な建築ストックの形成を目指してというふうなことを目標にしてスタートしていますし,その後,BELCA宣言というのをつくって──先ほども出ていましたけども,「建築物は社会資産であり,そのロングライフ化は後世に対する責務である」と。ただ,やたらにどの建物もロングライフ化する必要があるかというと,そうではなくて,やはり残せるものを残す。改修したって金ばかりかかる建物があります。だから悪い建物は,それはロングライフ化,やらないほうがいいかと思いますけども,いいものについては,ちゃんとロングライフ化すると。
 それから,建築物の寿命は100年程度を目標として,企画・設計・施工・維持管理・診断・改修されなければならないなんていうのを4条でうたっています。この100年なんていう話がありまして,先日,自民党のほうでいろいろ勉強会をやっていまして,200年住宅の話が出ましたけども,そのときも,初めはある議員が「100年住宅」というふうなことを言ったらしいんです。「100年住宅なんて,もう世の中で言っているじゃないか」と。ということで,200年となったらしいんですけども,まあ,そういう関係の200年の数字です。それで,平成20年度の国家予算の目玉としては,200年住宅が出ていまして,それで何をやるかというと,家歴書──要するにその建物の情報ですね。家歴書をちゃんと整理するということと,それから,不動産流通の円滑化ということで,中古の建物やなんかもちゃんと流通に乗るようにする。それから生産システムとして,例えば耐久性の高い材料だとか設計をするという,そういう生産システムの話。それから,もう一つ,これは行政のほうの話ですけども,建築行政共通データベースというのを,今,国土交通省のほうで構築してやっています。
 後は,もう単なるキャッチフレーズで,これ,建築ストック対策ネットワークというのがありまして,これは事務局をうちがやっているんですけど,それの5周年の記念として,平成16年に標語募集したんですが,その中の最優秀賞が「建物に目をかけ 手をかけ 心かけ」ということで,やはりいろんな予兆を見るというのは,人々が建物に目をかけ,手をかけ,心かけるということが大事かと思います。だれかが見て,それをちゃんと言っていただければ,しっかりした予防保全ができるわけです。
 それから「良好な建物を受け継いで 育てていこう みんなの街」ということで,やはりいい建物をちゃんと残していくことによって,街の街並みが形成されるということで,そういうふうなことで我々は進めております。
 ちょっと時間が早かったかと思いますけども,一応,私の説明は,以上で終わらせていただきます。


◯飯泉委員長 どうもありがとうございました。
 ここからは,意見交換の時間とさせていただきます。
 ただいまお話をいただきました内容につきまして,委員の方から,御意見,御質問等がございましたら,挙手の上お願いいたします。何かございませんか。
 小川委員。


◯小川委員 今泉参考人どうもありがとうございました。
 今,ちょっとお話を伺っていまして,主に商業ベースの事務所だとか,そういったものについて御説明いただきましたけれども,最近200年住宅だとか,我々の普段住む家に対しても,100年住宅だとかというような話が出てきております。既に,ヨーロッパなんかでは定着しておりますけども,最初,世帯を持って小人数のときには小さな家に住んで,家族ができたらだんだん大きな家に住み替えていって,そして,また二人になったら,それなりの家に住み替えるというシステムが非常に上手に構築されている。家を持って,そこにずっと住み続けるのがいいのか。それともまた,時代時代というか,自分の一生のサイクルの中で,家を上手に住み替えていくのがいいのか,それはまたいろいろ議論があろうかと思いますが,非常に上手に,そういったシステムが構築されている。
 その中で,例えば今,日本の場合は,それぞれ持ち家制度をやっておりますけれども,これを的確に診断できるというか評価ができるというか,そういうシステムの構築がなされてないのかなと,そんな気がするわけでございます。したがって,もう子育ても終わったから,ここを適正な価格で処分して,二人だけでいいというような新たな家を購入をしたい,そういったサイクルが上手にでき上がればいいのかなと。そんな感じがしておるところなんですが,その辺について,先生のお考えを伺えればありがたいというふうに思っております


◯今泉参考人 ちょっと十分なお答えになるかどうかわかりませんけども,両方あるんですが,日本人はどちらかといえば,確かに住み続けて,木造やなんかの一戸建てが多いので,増改築やなんかして手を入れちゃうんですけども,マンションやなんかはそうはいかないので,やはり欧米みたいな住み替えやなんかというふうなことが中心になるかと思います。
 そういうふうな住み替えやなんかを行うために,例えば先ほどから御説明しているエンジニアリング・レポートやなんかをつくって,土地売買や何かのときに,リスクやなんかをちゃんと評価して,リスクを,買った人がしょわないようにというふうなことをいろいろやっているわけです。
 それから,その200年住宅の中で,結局,この赤いところ,下から2行目の不動産流通の円滑化とありますけども,それは住み替えやなんかを円滑にさせようというのがそれです。
 それで,ちょっと新しいデータはわかりませんけども,私が学生時代にいろいろ勉強していたときの話では,アメリカの場合には,年間20%ぐらいの家が住み替えられると。日本は5%だったというのが,今から40年前ぐらいの数字ですけども。そういうふうなことで,アメリカの場合は,その建物を自分の家のサイズに合った形で住んで,次のステップになったら別の家を買って,今までの家をしっかり高く売るというふうな形でやっています。ですから,アメリカの人やなんかは,建物をちゃんと日曜日やなんかに自分で手入れをして,大切に使っているわけです。それで,売るときに高く売れるようにしているわけです。
 日本の場合は,どちらかといえば,自分が使いやすいように,自分の勝手でもってどんどん直して,逆に,それで建物の値段を下げていくのが実態かと思いますけども。これからは,やはり欧米流のケースというふうなことも考えなきゃいけないかと思います。そういうふうなことで,我々もエンジニアリング・レポートや何かのガイドラインというのを世の中に出して,そういうふうなことを進めております。


◯小川委員 今,アメリカの例をとって御説明いただきましたけども,イギリスなんかは──ドイツあたりもそうなんですが,石の文化ですから,いわば古い家のほうが高い,価値が出ている。150年,200年のもののほうが高く売れるとか,手に入れるのが難しいとか。私,長くスウェーデンに住んでいたものですから,スウェーデンはどちらかというと,日本と同じように木が豊富ですから,木造が多いですね。今,先生がおっしゃるように,ちゃんと手入れをして,そして住み替えを上手にやっている。今おっしゃったように,高く売れるように住んでいるというようなことなんですね。
 ただ,日本のことについて申し上げるならば,一流と言われている住宅メーカーであっても,大体築30年でつぶして建築をし直すと。いわばこれは非常に資源のむだ遣いですよね。だからこれ,200年住宅というのが始まったんじゃないかと思うが,まあ,遅きに失していると思うんですけども。そんなことも含めて住み替えがうまくいくのには,今,先生がおっしゃるように,不動産流通の円滑化なんでしょうね。そういうのが定着するまでには,まだまだ時間がかかりそうな気がするんですけども,そしてまた,それを円滑化する。そういった専門家ですか,診断士というのかな。そういった人材も育っているんだか育ってないんだか私はわかりませんけども,そういったところについては,どうなんでしょうね。


◯今泉参考人 だから,ちゃんとしっかりしたものは,その建物の値段を評価して売れるようにするということを今,進めているわけです。今までは,どちらかといえば,建物の値段なんか逆に邪魔で,除却費がかかるだけ安く買わなきゃいけないというふうなことだったんですけども,今はそうではなくて,やはり今までのスクラップ・アンド・ビルドではなくて,ロングライフ化をするというふうなことで転換しつつある……。まだ,転換してないですが,しつつあるので,そういうふうなことで,これからしっかりした建物については,しっかりした値段で売買されて,それがロングライフ化につながるというふうに思っています。


◯飯泉委員長 関委員。


◯関委員 日本は木の文化だったんだけれども,今,お話あったように,ヨーロッパは石の文化だから建物の考え方が違うんだけれども,私は,今まで国土交通省のやってきた建築の指導について,非常に疑問があるんです。それは,木造住宅なり木造の建物は,永久建築ではなくて,鉄筋コンクリートの建築物はみんな永久建築だといってどんどん変えていった。その結果どうなったかというと,せっかく昭和40年代ごろ,学校でも何でも盛んにそうやったんだけれども,昭和40年代にやった建物は今,全部建て替えの時期になった。えらい迷惑なことなんだ。木造で建てた建物は,しっかりと残っている。だから,このことについて,やはり指導した国土交通省は,しっかりした維持管理を含めて提言をしなきゃいけないんじゃないかなと思うんですね。事故がありました。どうしました。直さなきゃいけませんよ,というようなことよりも,これからの住宅のあり方について,きちっとやっていく必要があると私は思うんです。木造だったならば,個人の住宅だって幾らでも部屋を直せるし,住み替えもできるし,現実的にどんどん直すことができます。今の建物は,そういうことができないから建て替えになっている。非常に使いづらい。
 そういうことを考えると,根本的に──大きな建物は別としても,東京都庁みたいに石を中心にして使えば,100年もつかもしれないが,普通の建物はもう40年でだめだという。このことについて,どういうふうにお考えになりますか。


◯今泉参考人 確かにRCについて,昔の建物については,結構30年ぐらいで建て替えちゃうのが多いかと思いますが,そういうのも,ちゃんと丁寧にやれば使えるかと思いますし,また,建築政策でやったというよりは,その辺のRCやなんかをふやしたというのは,どちらかといえば,産業政策だとか経済対策で,住宅やなんかも結構景気対策でつくれつくれなんていう話もあったんです。要するに,そっち側の要因も含めてやられているので,ちょっとそれは建築だけの話じゃないかと思います。


◯関委員 僕は今,個人の住宅について申し上げていたんだけども,アメリカはやはりああいう国だから,鉄筋コンクリートとかそういうものは多いかと思ったら,地方の住宅へ行ったらほとんどは木造ですよ。しかも集成材でも何でもない,原木のまま使っている。そして,今,住宅業界でも「木造のをつくるよ」という形になってきた。そのほうが主流に変わってきちゃっている。そういうふうなことが,どうも建築の指導をするところがしっかりしてないのかなと僕は今思うんだが。マスコミの場合には,今のような住宅をつくったほうが早いしお金になるから,いわゆる何々住宅会社というのは,どんどんああいうのをつくったんだけども,それが今住宅業界では災いになっている。こういう維持保全というのを考える場合には,そういう建て方から指導していかなきゃいけないのかなというふうに感じています。


◯今泉参考人 難しい御質問なんですけども,いろいろそういうふうに見られるかと思いますが,ただ,木造だとかRCだとかというふうな話は,どちらかといえば生産の問題──要するに生産者がだれがやるかということで,今,そういう生産者の立場で,大手やなんかだと,RCだとか鉄骨やなんかをやられる会社が頑張っていますし,木造だと,どちらかというと中小ということで,その辺の差であって,別にどちらを建築行政・住宅行政としてやれというふうなことは,やってないと思います。木造については,プレハブやなんかの大きな業界では,木造のプレハブなんかもどんどん取り組んでおります。それは政策というよりは,市場のほうで今,進められている話かと思います。


◯関委員 木造のほうが──私のほうでも,学校を木造でつくったのがありますけれども,きちっとしていますよ。これは身近な例だけども,私のところの蔵は,つくってから130年たっています。屋根のかわらはときどき変えていますけれども,びくともしません。きちっとそのままになっている。だから木造は,100年は平気で持つんですね。だから,そういうことをやはりきちっと指導する必要があるのかなと思うんです。私の家はバラックで完全な木造だけですけれども,約40年たちますが,1ミリも狂いません。だから,こういうことで変わるので,やはり指導していただけたら,住民は助かるだろうと思うんだね。部屋だって簡単に変えられますから,木造だから。そのことについて,どういうふうに御案内ですか。


◯今泉参考人 木造として,一律で議論できる話ではないので,やはり伝統木造でいえば,確かに関委員のおっしゃられるとおりだと思います。ただ,木造と一般的に言っちゃうと,例えば建築基準法やなんかで,木造やなんかいろいろ制約が多いんですけども。それは戦後のペラペラの材料でつくっている木造やなんかが多いので,そういうペラペラの薄い板だとか細い柱だとかなんかでつくっている,そういう戦後つくられてきた木造については,腐りやすい,それから火事やなんかのときにすぐに燃えやすいとか,そういうふうなことがあるので,やはり下のほうをある程度抑えなきゃならない。建築行政としてはその辺厳しいかとは思いますけども,木造全般の話としては,しっかりつくれば,長くもつのは当然だとは思います。
 それから,RCの話について,大体今までの経過としては,30年ぐらいで建て替えちゃうのが多いんですけど,それは土地の有効利用とかいろんな問題でやっていますし,ただ,公営住宅で全国的な動きでいえば,10年ぐらい前までは,いかにして古い公営住宅を建て替えようかというふうな話が主流でしたけども,今はそういう古い建物を,エレベーターをつけたりしてこれからも有効に使っていこうかというふうなことが主流になっているかと思います。ですから,その辺は時代の動きがあるかと思います。


◯飯泉委員長 小川委員。


◯小川委員 先生は,建築指導課だとか住宅課長が長かったのでちょっとお尋ねいたしますが,一昨年私も家を建てたんです。日本古来の建て方というんですか,ほぞを切って建てていくような建て方は。今,そういう職人がいなくなってしまった。なぜ,いなくなったかと聞いたら,金融公庫のほうで,そういうやり方に対してお金を貸さない。「鉄のL字を使え」だとか「ボルトを使え」だとかということで,法律はそうなっているんだと。ですから,本来ならば,ほぞを切ってつくっていったほうがもちもいいし,しっかりした家が建つのに,そういう技法を捨ててしまって,安きに流れて日本古来の家のつくり方ではなくなってしまったのかなと。そういう国のあり方そのものも,住宅の建築そのものに影響しているんじゃないかと私は強く思うようになったんです。ですから,そういう制度的なものも,抜本的に見直す必要があるのかなと。
 それから,今,200年住宅と言っていますけども,前に京都のお寺の話を聞いたことがあるんですが,「1000年たった木を使えば1000年もつんです」と。「300年の木を使えば300年もつんです」というようなことを言っておられましたけれども,まさに私はそのとおりだと思います。ですから,木を大事にして消費しないで,そういう家を建てることこそ,今の日本に求められている政策かなというふうに思っているんですが,御所見があったら伺いたいんですが。


◯今泉参考人 そういう話はあり得るんです。要するに,そのために何が必要かというと,熟練労働者ですね。大工棟梁の熟練した人がそろっているかどうか。施工精度が,ちゃんとしっかりした施工精度を保てるか。やはりその辺の問題があったから,そういうふうな話になっちゃうので。要するに,ほぞをやってもほぞが不十分だと,例えば地震のときに外れて,土台からずっこけたりするわけですけども,そういうふうなこともあるので,やはり金具や何かをやっているというのは,下のレベルというふうなことがあるので,やっているんだと思います。私は直接そこにタッチはしていませんけど。ただ,やはり一番の問題は,熟練の労働者だと思います。これから外国人労働者がふえるかと思いますけども,そういう人たちに,そのほぞやなんかをどうやるかというと,非常に難しい話かと思います。


◯小川委員 卵が先か鶏が先かの話になろうかと思うんですが,そういう熟練工を殺してしまったのも日本の制度だったんですね,まさに。ですから,私のところの大工が,たまたまいい腕の大工だったから,古来の建て方をしてくれましたけれども,その大工を生かす世の中じゃないんだということなんですよ。ですから,正しくそれを評価できるような日本の法制度が必要なのかなと,そういう技術を持った方がひとしく評価をされるような,そういう人を殺さないような,生かすような施策が必要なのかなと,そんな気がするんですけどね。


◯今泉参考人 その辺については,そういうことができる道というふうな形では,いろいろ技術を検定しながら進めていくような,性能評価的なやり方が,道としてはあるかもしれませんけども,やはり一般のレベルとしてどうかということを考えなきゃならない。そうすると,結局はそれだけの対価を払って発注する人がどのぐらいいるか,そちらのほうの話で,もし払わない人が多いと,やはり下のほうを抑えなきゃならなくなっちゃうわけです。ちょっとその辺は,いい人を育てたいんですけども,でも,世の中なかなかそれだけ金を払ってくれないというのが実態かと思います。


◯小川委員 もうこれでやめますけども,例えば,200年住宅をつくるにしても,3世代で払っていけるような法システムを構築してくれれば,私はそういう人材は育つと思うんです。今のシステムでは,ローンを3世代ぐらいで組めるんならば。ですから,そういうところも含めて,最先端にいる先生方に,ぜひ発言をしていただければ大変ありがたいなと。
 これで終わります。


◯今泉参考人 200年住宅,いろんな議論されていると思います。だから,長く住まれるというふうな場合もあるけど,ただ実態として──私もそうですけど,子供は大体家に残らないで出ちゃうのが実態なんで,そうするとやはり売って,自分たちはまた二人で住めるようなところを探すとか,そういう話になるかと思います。だから200年住宅と言っても,200年ずっと住み続けるという議論は,一部あるかもしれませんけども,それができないから,やはり不動産流通の円滑化という話もやらなきゃいけないかと思います。


◯飯泉委員長 関委員。


◯関委員 今の話に続くんですけれども,今,技術者がなくなったけれども,実際にはプレカットの工場がふえましたから,コンピュータで全部整理しますから。今,茨城県でも,そういう立派な業者はおります。トラック1台に積んで,九州まで行って建ててきて,非常に安く上がります。完全な木造です,柱も何も。そういう業者が出てきているんですよ,幾らでも。だから,そういう方向に行けるような御指導をいただければいいんじゃないかなという感じしますね,今の話を伺いながら。きちっとした大工さんというよりも,そういう業者がもうたくさんいるんです。


◯今泉参考人 その辺,住宅生産の話で,ちょっと難しいので……。私も,余り住宅生産のほうはタッチしなかったので。ただ,そういうふうなことを全国的にやられるところは,例えばプレハブメーカーだとか,そういうハウスメーカーというのが,今,いろいろ頑張ってやっておられると思いますので,それはそれで伸ばせばいいかと思います。


◯飯泉委員長 江田委員。


◯江田委員 いろいろありがとうございます。ちょっと教えていただきたいところがあるんですけども,例えばイギリスでPFI手法が始まってきて──サッチャーさんでしたか,それで対岸の日本でも関心持たれてきまして,ある面では民活ですね。これを活用しようじゃないかというふうなことでやってきたんですけども,何かその期待に反してというか,なかなか思うようにこのPFIが,日本では進まないということも言えるわけだと私は思っているんです。その中で,特に地方公共団体,県だとか,そういう地方公共団体がPFI手法を活用して,民間とともに──民間も利益を上げてもらうし,我々の地方公共団体も助かるというふうなことで,例えばどんなことが考えられて,どんなことをしたらいいかと。その辺ちょっと私もよくわからないものですから,先生に教えていただきたいなと思って,今お聞きしたんですけども,よろしくお願いします。


◯今泉参考人 考え方として,本当PFIというのは,いい話かと思います。ですから,皆さんどんどん乗っかってきて,今ではもう200件以上やっている方もいます。だから,PFIはPFIでどんどん進められております。ただ,その中の一部が破綻しちゃったりするのがあるんですけども,ただ,その辺は結局,今PFIについて,発注者が安易に考えてやった場合に破綻しているんじゃないかと思います。だから,やはり発注者は発注者なりにちゃんとしっかり勉強しながらやることが必要かと思いますし,PFIについて我々も検討したんですけども,発注者がどういう要求書を出しているか,その要求書の中身がいいかげんだというのも結構多いんです。だから,何をつくるか,何をどういうふうな制度のところでやって,どういうふうに運営するか。やはりそういうふうなものをちゃんと頭を整理して発注しないと,後で問題になるかと思います。ただ,発注者が小さい市町村ですと,なかなかそういう専門家がいないので,コンサルタントやなんかを依頼しながらやっているかと思いますけども,その辺はいろいろ知恵を絞りながら,知恵を借りながらやっていけば,いい事業ができるかと思います。


◯江田委員 では,具体的に,茨城県でもいろんな事業を持っていまして,大変,財政負担において厳しいんですけども,そういう中で,これからそれでもやらなくちゃならないものはやらなくちゃなりませんので,例えば茨城県なら茨城県が,こういうふうな事業をやっていくということで,PFIでやってもいいんじゃないかという,よその地域の,また,よその国のいろいろ例も御存じかと思うので,その辺のアドバイスを,「今度,茨城県PFI,こんなことを活用したらいいんじゃないか」というふうなアドバイスをいただきたいなと思うんですけども,よろしくお願いいたします。


◯今泉参考人 先ほどこれでお話しましたけれども,その発注される公共団体が,何を期待しているかということは,やはり必要だと思います。
 まず一つは,補助金やなんかがすぐに入らないとか,いろんなことで,結局ファイナンスを中心に求める場合もあるわけですね。だから,金集めをやってくれるのを期待してやる場合,その場合,BTOのビルディング・トランスファー・オペレーションなんていうのがやり方としてはいいんですけども,そういうふうに何を期待するか。あと,民間のノウハウを期待して,公務員ではできない,お役人ではできない民間のノウハウを使って運用しようと。そういうふうなことでしたら,BTOだとかが有効だと思います。だから,その辺は何を期待するかを整理して,それに合ったPFIの方式を選び,要求書を整理することが重要だと思います。


◯飯泉委員長 狩野委員。


◯狩野委員 時間が押しているので,短目に言います。建物の維持管理ということなんですけども,私ちょっと火災と関係して聞きたいんです。先生は火災関係,防災関係が詳しいということですが,古い建物等を維持する場合,防火対策という方向に重点を置くのか。それとも,いわゆる長く日もちをするぞというほうに重点を置く方向になるのか,教えていただきたいんですが。


◯今泉参考人 それは,二者択一の問題ではなくて,両方をやればいいいんじゃないかと。要するに防火措置を施しながら,ロングライフできるような建物にすればいいと思うんです。でも,昔に比べれば,火事って今,減ってはいるんですよね。ただ,それはいろいろな防火対策というか,材料だとかいろんなものを昔より抱えて,だから木材が使いにくいというのもその辺があるかもしれませんけども,不燃材料を使ったり,いろんな形でもって今進めています。それで現在,火事はかなり少ないかと思います。それで,火事でもって人が死ぬというのは,どちらかといえば,放火だとか自殺かなんかで人が亡くなるというのがほとんどで,それ以外では余り亡くなってはいないんですけどね。だから,今の基準法や何かに基づいてつくれば,かなり火事は防げるんじゃないかと思います。ですから,それを前提にロングライフ化を進めていただければ,両方両立するんじゃないかと思います。ただ,古いやつについては,ちょっとやはりペラペラなものが多いですからね。


◯飯泉委員長 ほかに委員から,ございますか。
              〔「なし」と呼ぶ者あり〕


◯飯泉委員長 それでは執行部から,何かありますか。ございませんか。──。
 それでは,以上で「建築物の維持保全」についての意見聴取を終了いたします。
 今泉さんには,大変貴重なお話をいただきまして,ありがとうございました。
 本日,お話いただいたことに関しまして,今後の委員会審査の参考にさせていただきます。
 本日は,どうもありがとうございました。
 以上で,意見聴取を終了させていただきます。
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◯飯泉委員長 ここで,暫時休憩いたします。
 再開は午後4時35分ということで,20分後に再開いたします。
                 午後4時16分休憩
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                 午後4時36分開議


◯飯泉委員長 休憩前に引き続き,委員会を再開いたします。
 それでは,茨城県における橋梁長寿命化対策について,及び県有建物長寿命化推進事業について,執行部の説明を求めます。
 初めに,斎藤道路維持課長。


◯斎藤道路維持課長 それでは,茨城県における橋梁長寿命化対策について御説明いたします。
 お手元に配付の資料3もあわせてごらんください。
 これから説明しますのは,県が管理しております橋梁の現況,今後の進め方,これまでの作業状況の3項目について御説明いたします。
 まず,1枚目でございますが,県が管理しております橋梁は,2,271橋でございます。このうち,橋長が15m以上のものが837橋となっております。
 15メートル以上の橋梁の建設された年次でございますが,昭和46年から昭和60年の──このグラフで1本の棒が5年間の総計を表記しておりますが,この15年間全体で369橋,44%となっております。高度成長期に数多くが建設されたという実態となっております。
 建設後50年以上を経過する橋梁の数でございますが,平成18年度時点をベースにいたしますと,37橋の5%でございますが,これが20年後の平成38年になりますと,348橋の42%というふうに急増することとなります。
 高度経済成長期に建設された橋梁が今後──先ほどもありましたように,急速に高齢化してまいりますが,架け替え予算の観点からも,一斉の更新は非常に難しい状況であります。
 また,架け替えに伴う通行どめなどによりまして,地域住民の方への影響なども懸念されるところでございます。
 このため,これまでの対処療法的な修繕・架け替えなどの考え方から,橋ごとの点検結果や補修履歴などを「橋梁カルテ」のように蓄積しておきまして,軽微な損傷のうちに予防的な保全対策を講じることで延命化を図り,計画的な架け替えを進めることとしたいと考えております。
 具体的に説明しますと,これまでのひび割れが大きく進行してから,大規模な修繕を実施する方式から,ひび割れが比較的小さなうちから,きめ細やかに予防的な修繕を図るということで,長寿命化を図る考え方に移行したいと思っております。
 予防措置を講じることで,これまで50年程度で架け替えをしていた橋を,100年程度まで延命するができ,計画的な架け替えが可能となります。あわせて,コスト縮減も図られるということでございます。
 今後の計画策定の流れですが,昨年度から実施しております橋梁点検を本年度中には完了させ,データの収集や橋梁ごとの健全度評価を行います。
 平成21年度には,橋梁ごとのライフサイクルコストの算定,維持管理シナリオや年間の投資可能額などの前提条件を踏まえ,長寿命化の修繕計画を取りまとめる予定でございます。
 橋梁長寿命化修繕計画の策定を進めるに当たりまして,橋梁定期点検の現地研修会を,平成20年2月15日に,国道118号に架かります中河内陸橋で開催したものでございます。県職員や市の職員など,全体で50名ほど参加をいただきました。橋梁点検を行う際の手順,損傷判定方法などの勉強をしているところでございます。
 今後も,同様の現地研修会を,県内で4ブロックに分けて実施を予定しておるところでございます。
 昨年度,涸沼橋など330カ所で実施しました橋梁の定期点検実施の状況でございます。
 この写真のように,点検車を用いて,より近くからの目視検査などを実施しているところでございます。
 具体的な橋梁点検の箇所でございますが,劣化進行の激しい箇所を重点的に実施してまいります。具体的には,この表にありますけども,けたの端部などは近接からの目視,それから中央部につきましては,少し離れたところからということで,効率的な現地調査をしてまいりたいと思っております。
 ちょっと細かいんですが,点検項目の一例でございます。橋梁の上部工部分はメタルでできている場合,あるいはコンクリートの場合がございまして,それぞれ腐食,亀裂,緩み,コンクリートの場合ですとひび割れ,剥離,鉄筋露出などを目視により点検して,個別にカルテに記載してまいっております。
 現在,調査点検しております健全度評価基準の一例でございます。鋼材の劣化腐食のケースでございますが,大きく劣化度1から5まで,5段階で評価して取りまとめております。
 以上のような点検調査を,今年度も残りの約470橋で行いまして,橋梁の健全度を把握し,橋梁ごとにそれぞれ「カルテ」としてまとめる予定でございます。
 今後,平成21年度に予定しております長寿命化修繕計画策定に向けて,健全度に応じて具体的な対応方針を取りまとめるなどの作業を,精力的に進めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。


◯飯泉委員長 次に,長谷川営繕課長。


◯長谷川営繕課長 営繕課の長谷川でございます。
 私の方からは,県有建物の長寿命化推進事業について御説明を差し上げたいと思います。資料のほうは4となります。
 それでは,1ページのほうをお開き願いたいと思います。
 1ページのほうは,横軸のほうに各年次がふっておりまして,左側のほうに床面積,それから右側のほうに建物の棟数を表示しております。このグラフを見ていただきますと,建物の建設時期,床面積の傾向が歴然とうかがえますが,まず,1970年代です。茨城国体が行われた昭和40年代,こちらで建物の建設が集中して,第1期のピークを迎えている。
 次が,1980年代ということで,いわゆる新設高校等が生徒数の増加により,24校ほど新たに建設されているということで,今の建物が第1,第2ピークという形で,30年から40年たっている建物が,今,相当年数がたちまして,急激な修繕計画等の中で,予算の反映にこれから負担がかかるということになっております。
 次の2ページのほうを開いていただきますと,これは先般参考人のほうからお話がありましたとおり,いわゆるライフサイクルコストでございますが,初期投資というのは全体の18%,それに対して運用管理コストが4倍ぐらいということで,建物をつくった後も,運用管理コストのほうが,建物の総体の予算の中では,大きなシェアを占めてくるということでございます。
 これも先ほどの御説明の中にあったものをちょっと図化してございます。こちらは建物ですと,平均60年の耐用年数を横軸にふってみますと,これまで高度成長期の中では,30数年たった時点で建て替えを行うということで,運用管理費のほうも短期間に相当集中されていながら,トータルでの建物のライフコストから考えると,建物のほうの長期の使用が非常に少なくなっているという絵でございます。
 次に,4ページお願いします。
 今までの現況と課題という形で整理をさせていただいております。一番上の県有ストック建物の多元的な管理。現在,7,500棟,建物の面積が約370万平米ございます。これの管理につきましては,各知事部局,それから教育庁,47課がそれぞれ所管をしております。建物につきましては,先ほどお話しましたように,昭和40年代から50年代という形に集中されて建設された建物が多い。当然30年以上の老朽化した建物が,今後急激に増大してくるという現況がございます。これに対しまして,今後の課題ということで,改修・補修につきましても,ライフサイクルコストの縮減,2)としまして,厳しい財政状況の中で効率的な改修計画の確立が必要である。3)のほうについては,建設副産物にかかわる地球環境への対処,このような課題解決のためにも,建築物の長寿命化が必要不可欠であるということになってございます。
 次に,具体的な今後の手法として,諸問題の解決ということで整理をしてございますが,今,各知事部局,教育庁,それぞれ47課の中で,各建物が所管されておりますが,これを今後,一元的な管理体制の中で予算の要求,電子データの整理,劣化度の調査,改修等の計画を,優先順位を決めながら効率的に執行していきたいということで,今回IT化の推進と全体をシステム化しましたマネジメントシステム,こちらの構築を考えております。
 改めて茨城県のほうでは,平成13年度に──ちょっと頭切れておりますが,茨城県施設情報運用支援システム(ipiass),英文字の頭を読みまして「アイピアス」と読んでおります。
 現在,このシステム,保全業務の流れという形で,建物が新築されてから設計,工事,それから長期維持修繕計画。完成後,スキルアップという形で点検・診断を行う。これに基づきまして改修計画。この一連のシステムを全庁的にシステム化しまして,今後の予算の効率的な執行等に反映させたいということで,システムのほうの構築をしてございます。
 具体的には,建物の維持修繕にかかわる特に重要なポイントということで,建物の劣化度の調査,それから長期の維持保全計画ということで,毎年度バラバラに対応するということじゃなく,一定の部位別に劣化度の判定基準を今統一してございます。具体的には,左側の絵でございますが,例えばシート防水等のひび割れ,膨らみ,こういうものの判定基準を管理マニュアルとして統一していく。これを現況として調査を行い,判定シートの中に整理をいたします。この判定シートの中を長期維持保全計画という形で,建物の建設から,それぞれ約60年の長期の維持保全計画を,年次計画として整理をいたします。こういう整理を,今後作成していくということでございます。
 これは先ほど言いました,いわゆる事後修繕,予防修繕という形で,例えばシート防水の場合ですと,通常の耐用年数は,きちんと手入れをしていけば20年までもつと。これを途中,事後修繕的に事前の漏水等の発覚を放置しておきますと,建物本来持つべき20年が15年ぐらいで建物,屋上防水の機能がなくなってしまう。こういうものをきちんと予防保全をしながら,必要な耐用年数を確保しようということでございます。
 次のページ,お願いします。
 こちらの9のほうは,きちんとした劣化度調査を踏まえながら修繕計画をつくるんですが,なるべくコストの削減に向けたこのシステムの生かし方を考えようということで,こちらは例示としまして,延べ床面積約1,500平米,2階建て。県の施設でいきますと,保健所とか土木事務所等の規模になります。それぞれこの色分けは,電気設備,空調設備,それから建築の建物の内外部,それを周期的に,まず定期的な10年ごと,15年ごとという形で交換していきますと,このような色分けとして工事費が推定されていきます。これを予防修繕,それから劣化度調査等の結果を反映しながら,一部前倒し,先送りしながら,効果的な修繕計画のもとで,全体の60年のライフサイクルを生かしていこうということでシミュレーションいたしますと,下の赤色のほう,全体で建物ができてから一応60年までのライフサイクルで考えますと,通常の定期的な点検でいきますと,建物建設後のコストが7億4,700万円程度の資産。これを今回の予防修繕,それから長期修繕計画等の劣化度調査の結果を反映しながら整理をしていくということで,こちらの検討周期については,約15%程度を今回のアイピアスのシステムを生かしながら,全体のコスト削減も目指しながら取り組んでいきたい。これは一つの試算ということで,こういう形で実現も,コスト削減のほうも有効に生かしていきたいと考えております。
 最後のページへ行きます。
 財政的な点と建物の改修ということで,上の財政,それから建物の改修につきましては,当然長期維持保全計画の立案により予算の適切な執行。それから建物についても,やはり改修費,それから優先度の反映されたリニューアル,解体,建て替えのほうを早期に決定することで,効率的な改修を図っていきたいということでございます。
 最後に,一番下になりますが,現在,知事部局の建物全体で約90万平米ございますが,平成14年から営繕課のほうで1,000平米以上の建物につきまして,逐次,建築等建物の設備関係のデータのほうを,劣化度調査を含めた取りまとめをしておりまして,現在,平成14年度で112棟までほぼ終わっております。151棟全体では知事部局,大きい建物のこれで約8割程度カバーできるということで,平成22年度までにはすべてのデータを入れて,本格的な稼働に向けて,効率的な改修計画等を進めていきたいと考えております。
 急ぎの御説明で申しわけありませんでしたが,営繕課のほうの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします


◯飯泉委員長 以上で,説明聴取を終わりますが,説明漏れ,追加することはございませんか。──。
 ないようですので,それではただいまの説明に対しまして,質疑に入らせていただきます。
 質疑のある方は,挙手の上お願いをいたします。
 狩野委員。


◯狩野委員 新人なものでわかりませんので,いろいろ聞きたいと思いますが,ちょっと時間が余りないようなので,まとめて質問させてもらいます。
 まず,今の話は県のお話だったんですけども,先ほど阿部参考人の話でちらっと見たんですけど,県以外の橋については,今後どのような動きになるのかなと。市町村の橋もあるというふうに聞いたので,その辺はどうなるのかなというところですね。
 あと,茨城県でいうと,この「橋守さん」はいるのかなと。
 あと,ライフサイクルコストの話が随分出ていたんですが,これはどのように,だれが予測するのか。要するに見積もりといいますか,大体この橋を直すと。これが直さないとどうなるんだという部分は,どうやってコスト的な部分を予測するのかなということ。
 あと,きょうの一連の話の中でよく出てくるのは,高齢化とかいう話があったので,人で考えれば,年を取ってくれば,なるべくむだな動きをさせないで,大事に好きなことをやらせるということになるんですが,そう考えると橋とか建物も,20年後も35年後も50年後も,今と同じような動き方,使い方でいいんだろうかという部分。例えば橋であれば,今まで交通量が一日100台だとする。この橋は50年たっちゃったから,50年後は,この橋は一日通る量を30台にしましょうとか,そういった建物へのソフト部分の優しさみたいなのは,政策として考えないのかなという部分。4つでございます。
 よろしくお願いします。


◯斎藤道路維持課長 まず,第1点目の県以外の橋梁の関係でございます。
 県で特に深く関与しているのは,市町村管理の橋梁でございますが,当然ですが,市町村の橋梁も同じように深刻な課題を抱えているところでございます。現在,県内の市町村管理しています橋梁の,これは2メートル以上の橋長でございますが,1万1,900橋の橋梁がございます。ただ,県と同じような動きも含めて,具体的な修繕計画の取りまとまったものの,これから作業するというような動きは,残念ながら,まだ私どもでは承知していないところが実態でございます。このため,私どもも──先ほども言いましたけども,県内で,今年度も昨年度に引き続いて現地研修会を開催することとしておりまして,関係する市町村にも,問題意識の提起をしていきまして,その対策の必要性や重要性を啓蒙してまいりたいと思っているところでございます。
 ちょっと順番があっちこっちになってしまいますけど,ライフサイクルコストの考え方についても,あわせて説明させていただきます。
 この具体的な橋梁点検の手順,損傷判定などを実施した後の作業でございます。今後の作業でございますが,現地調査の結果を踏まえて──先ほども言いましたが,カルテに取りまとめる。現在も橋梁台帳というのがあるんでございますが,さらにそこに新しい要因も加味して,橋梁のカルテをつくりたいと思っております。それによりまして,当然ですが,橋梁ごとの劣化度,あるいは損傷などの程度が把握できますので,その辺を踏まえまして,それぞれの橋梁の立地環境,例えば海の近くであるのか,あるいは平地部なのかとか,あるいは橋梁の利用交通の実態,要するに大型ダンプが多くて交通量も多いと。それも大型車両も多いというようなこと等,あるいは非常に緊急性が高くて,現時点でも交通規制をしているような橋梁なのかとか,あるいは工事をやるときの迂回路が近くにあるのかないのか等,いろんな観点から精査をしまして,それで橋梁ごとの整備の緊急度合いを取りまとめていきたいと思っています。
 先ほど言いました予防的な措置を講ずることと,架け替えとのバランスを比較しながら,これから,その作業を平成21年度中には終えたいというふうに考えているところでございます。
 3点目ですが,ちょっと順番が違いますけど,「橋守」という言葉でございますが,「橋守」に関しまして,これまでJRのほうで,そのJRが管理しています橋の近くに住居を構えて,橋を我が物ということで愛情を持って日々点検して,長もちをさせる職人的な方でございますが,残念ながら県で管理している「橋守」そのものの定義はありませんが,私どものほうでも,道路パトロール等,県職員みずから,あるいは委託,道路公社等,数段階に分けてやっておりますので,その過程の中で橋梁の部分につきましても,特に重点的に面倒を見ているというところが実態でございまして,「橋守」という言葉で定義づけて,ある特定の橋を一元的に監視していただいているという実態は,今のところございません。
 最後に使い方ですが交通規制をしながら,俗に言うだましだまし橋を使うというような実態のところも実際ございまして,特にそれの端的な事例が,地震時に通行どめをするというケース,あるいは日常の利用上も重量制限をするというケースが,県内で7橋ほどございます。それぞれ橋梁によって重さの制限は違いますが。
 以上でございます。


◯飯泉委員長 ほかにございますか。──関委員。


◯関委員 橋を100年と言うけれども,実際には,援助をしながら修繕をしていくと,本当には鉄は何年もつんだろうね。そこのとこはちょっとわからないんだけども,もう20年ばかり前に,新日鐵の社長と話したときに,そのとき,ちょうどどんどんつくっているときだから,東京が高速交通を「これつくったらもう鉄要らなくなるな」と言ったら,社長は何と言ったか。「いや,すぐ建て替えるようなるんだからね。でき終わったところから,また別につくらなきゃならないだよ」というような話なんだよ。あれ,そんなものかなと思っていたんだけれども。実際につくったときには,どのくらいもつという計算でつくっているんだろうね,建設したときに。手入れをする仕方もあるだろうけど。


◯斎藤道路維持課長 橋の耐用年数ということで理解しますと,平成14年の時点で,道路橋の仕様書の前提条件がちょっと変わりまして,それ以前の橋につきましては,具体的な年数については明記された基準がございませんでしたが,一般的に50年と言われております。現在は,目標として100年を目安に設定するということで設計をしております。


◯飯泉委員長 ほかにございますか。──。
 ないようですので,以上で説明聴取を終了いたします。
 公共施設の今後の維持管理のあり方につきましては,今後も閉会中の委員会等でさらに審査を深めてまいりますので,よろしくお願いいたします。
 以上で,委員会を閉会いたします。
 本日は,お疲れさまでございました。
                 午後5時4分閉会