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平成19年土木常任委員会  本文




2007.10.16 : 平成19年土木常任委員会  本文


                午前10時31分開議
◯加倉井委員長 ただいまから,土木委員会を開会いたします。
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◯加倉井委員長 初めに,本日の委員会記録署名委員を指名いたします。
 今委員と錦織委員にお願いいたします。
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◯加倉井委員長 次に,渡邊土木部長から,大島都市整備課長が,本日公務出張のため欠席する旨の届け出があり,委員長において受理いたしましたので,御了承願います。
 次に,本日の審査日程等について申し上げます。
 本日の委員会は「県民の安全・安心な暮らしの確保」について,午前と午後お一人ずつ参考人の方をお招きして意見聴取を行いますので,よろしくお願いいたします。
 意見聴取終了の後,執行部の「県民の安全・安心な暮らしの確保」についての取り組み状況を確認いたします。その後,次回の第4回定例会会期中の委員会において,執行部に対して行う提言について協議し,審査は終了といたします。
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◯加倉井委員長 それでは,これより議事に入り,参考人の意見聴取を行います。
 本日は,お二人の参考人の方から意見聴取を行いますが,まず,お一人目の参考人といたしまして,茨城大学教授で学長補佐の三村信男先生をお招きしておりますので,御紹介いたします。
 三村先生は,地球温暖化に関することや海岸工学等を研究テーマとして活動され,また,国連の「気候変動に関する政府間パネル」に専門家として参加されるなど御活躍中でございます。
 また,茨城沿岸津波浸水想定検討委員会の委員長として,日ごろより御指導,御支援をいただいているところと聞いております。
 詳細のプロフィールにつきましては,お手元に資料をお配りしておりますので,ごらんいただきたいと思います。
 三村先生には,お忙しい中,本委員会に御出席いただきまして,本当にありがとうございます。委員会を代表いたしまして,厚く御礼を申し上げます。
 本日は,「茨城の海岸防災の課題と対策」について,御意見をお伺いいたします。
 意見聴取の進め方につきましては,初めに,三村先生から御意見をお伺いいたしまして,その後,意見交換を行うことといたします。
 それでは,三村先生,よろしくお願いいたします。


◯三村参考人 それでは,申しわけありませんが,座ったままでお話をさせていただきます。
 本日,茨城県議会の議員の皆様方の前で,私のお話をする機会を与えていただきまして,大変ありがとうございます。経歴にもございますが,大学時代は水処理とか環境問題のようなことをやっていたんですが,その後,土木工学科に職を得まして,そこから海岸工学というような──侵食問題とか,そういうようなことに関する研究をする研究室に入りました。その後,もう30年近く海岸の問題をやっておりまして,地元の大学におりながら,必ずしも今お話にありました,安全・安心な海岸をつくることに十分な力を発揮できないので,まことに申しわけないなと,こういつも思っているところでございます。茨城大学に参りまして,もう20数年になりますので,地元の問題にもいろいろ参加させていただきまして,これまで勉強したこともございますので,きょうはまとめてお話をさせていただきたいと思います。
 お手元に資料がございますが,60枚近くスライドをつくってまいりましたので,ちょっとそれを見ながら,話をさせていただこうと思います。
 きょうの話の中身は,海岸侵食,高潮・高波,津波という3つの大きな,茨城県の海岸が直面しております問題についてお話をして,それからあと,簡単に気候変動とか,昨今問題になっておりますこと,それから,今後の課題について私が考える点をお話させていただこうと思います。
 まず,海岸侵食ですけれども,茨城県の海岸線は,もう皆様よく御存じのとおり,北はおよそがけの海岸。それから大洗,あるいは東海海岸から一部がけがございますが,ずっと砂浜の海岸というふうになっておりまして,がけの方も,あるいは砂浜の方も,それぞれ侵食の問題を抱えている。後でも申しますが,海岸の侵食の問題が後で出てきます。高潮や高波の問題なんかに対しても,非常に大きな問題になっておりまして,長期的には,侵食の問題が進行しているということが,さらにその他の問題も悪化させる,そういう関係になっているんじゃないかなと思っております。北の方はがけの海岸,南は砂浜ということで,従来,茨城県の海岸は,がけの景観にしても,あるいは砂浜の海水浴,あるいは漁場にしても大変豊かな自然環境で,観光資源としても重要だと言われてきたわけですが,そういうのが徐々に変化を来しているということなわけです。
 ちょっと大学の講義みたいで申しわけないんですが,どうして侵食が起こるのかという,その原因の部分を少しお話させていただこうと思います。
 砂浜について申し上げますと,砂浜にある砂は,いつもそこにあるから砂浜があるわけではなくて,いつもある一定の量が取られてどこかに運ばれて,それで同じ量が運ばれて来るから,同じ砂浜がそこにあるように見えると,そういう動いているものなんです。
 どこから砂が来るかというと,基本的には河川と,それからがけが崩れて砂がどんどんできて……。そうすると,がけの上の方に住んでいる方を守るためには,がけの侵食をとめなきゃいけないんですが,がけの侵食をとめると,今度は砂浜が減るということになっておりまして,これは千葉県の屏風ヶ浦にしても,どこにしてもみんな同じように,片方を立てれば片方が立たないと,こういう問題に直面しております。
 それから,どうやって砂が運ばれるのかと言うと,皆さん潮流と言うわけですが,潮流というのは,もっと沖の方の流れのことを学問的には申しまして,砂を運ぶ一番大きな力は,波が入ってくることによって生まれる海岸のそばの沿岸流というものなんです。これは,大体波が砕けているところから,岸までの間に起こるということですから,幅は100メートルとか数10メートルぐらいしかない流れなんです。このエネルギーは,皆波から来るということです。そうすると,沿岸に沿って川から流れ出して来た土砂が,ずっと海岸を運ばれて行くわけですけれども,途中に何かこういう突堤のようなものをつくりますと,非常に単純に,その手前側では堆積をして,こちら側には来なくなりますから侵食が起こる。こういう連続して流れているものをせきとめてしまったというような原因が1つあります。
 それから,もう一つは,では,沖の方に防波堤のようなものをつくって,ここを砂が通れるようにすればいいんじゃないかという考え方があるわけですが,こういう物をつくりますと,この背後は波が弱くなってしまいます。そうすると,波の強いところと弱いところの間の力のバランスの差ができて,みんな後ろに流れ込むような,こういう流れが生じるんです。これは水の流れがそう生じるんですが,そうすると,それにつれて砂も運ばれて来ますから,徐々に砂がたまっていく。これは自然現象でもそうなっていまして,島があると,後ろには必ず砂州がつきます。一番我々がよく知っている砂州は函館山でして,函館山は昔は島で,その後ろにどんどん砂がたまって……。ですから,何で函館が100万ドルの夜景というかと言うと,山の上に登ると扇形に広がるように町があるものだから,すごいきれいな夜景に見えるんです。それはどうしてかというと,こういうふうに後ろに砂がついたからということなんです。ちょっと余計なことですが,そういう流れ出して来る土砂が減っているということと,それから海岸にいろんな構造物をつくってきて,それとのバランスというものがあるということを,ちょっと覚えといていただければと思います。
 それで,侵食の原因には,今言いましたもののほかに,しゅんせつや土砂を取ってしまうとか,地盤沈下──これは新潟で顕著ですが,それから海面の上昇と,後で出てまいりますが,短期的なものも長期的なものも含めて,海面の上昇というようなことが原因として挙げられます。
 さて,本題の茨城ですけれども,東海から南のこの砂浜の海岸は,どういうふうに砂が流れていたかというのはよくわかっておりまして,古くは利根川から土砂が運ばれる,那珂川から運ばれる,久慈川から運ばれる,それに応じてこの一つながりの海岸の,北部は砂が南に流れていて,南部は北に流れていて,極端に言うとここが侵食されて,ここにたまる。そういうふうに土砂が真ん中に運ばれて来るような仕掛けになっていました。それで,一番北部の大洗のところだけ,ちょっと北向きに流れるような流れがあったわけです。
 それで,この鹿島灘海岸では,利根川とか那珂川からの土砂の供給が若干減ったと。それから,ここに鹿島港とか大きな構造物ができたために,流れていたものがせきとめられて北に行かなくなったというようなことで,この北部のところに非常に強い侵食が生じました。そのために,今,県でもずっと突堤をつくって,その対策に当たっておられるということです。
 量的にはどうかと言いますと,久慈川だけ幾ら入って来るのかというのがわかっていまして,平均すると,年に10万トンの土砂が入って来ます。これは,かなり正確に見積もりができていますね。ここだけは自信を持って言える。ところが,那珂川とか利根川──利根川はほとんど来ないんじゃないかと思うんですが,どれぐらい出ているのかというのがわからない。川からどれくらい土砂が出てくるか,算定するのは非常に難しくて,いろんな方法でやって──この久慈川の10万トンは3つぐらいの方法でやって,みんな10万トンでしたから,これはかなり自信があるということです。
 それで,この岸沿いにどれぐらい砂が運ばれているかというと,茨城県では年間5万トンぐらい。ある断面を取ると,5万トンから10万トンぐらいの砂が,この断面を横切って運ばれて来る。1年間で5万トンというと,10トン積みのダンプカーで5,000台ぐらい。それが365日ですから,ダンプカーが15台ぐらいずつずらーっと毎日走っているというぐらいの量が,たった数十メートルの狭い幅のところを運ばれている。だから,その流れが変わると,非常に大きな影響があるというのはわかっていただけると思います。
 阿字ヶ浦の海岸の侵食が大分問題になりましたので,港湾の建設とか,そういうものとの関係も含めて若干申し上げますと,2001年のときには,まだいろいろ浜があったんですけれども,2002年にどんどん侵食されて,阿字ケ浦のこの護岸の部分まで波が来るようになりました。この護岸が9段あるんですけれども,9段全部見えるようになって,最終的には,昔はこの辺まで砂があったんですけれども,取られて全部あらわになって,崩れて,直さなきゃいけないということが起きたわけです。
 それで,昔から,実は県の方は非常に丁寧に対策を考えておられまして,毎年何回か,こういう沖に向かって何十本もの線に沿って測量をされているんですね。この崩れたところの,岸から沖に向かった線に沿って見てみますと,これが基準点から沖に向かった距離で,昔は──このブルーの点線がそうなんですけれども,この150ぐらいのあたりに波打ち際があって,そこから,さらに沖にずっとあったと。それを見ると,このゼロというのが,ちょうど海面ですから,昔は阿字ヶ浦というのは非常に遠浅で,ずーっと砂があったというがよくわかります。これが1980年代平均ですね。それが2002年に護岸が倒壊したときには,ここが崩れたんですけれど,実は一番大きな侵食は海の中で起きていたんです。ぼこっと,こんなに掘られていまして,大体3メートルぐらい昔の砂面が落ちているということは,ここで護岸が倒壊するという現象が起きたのは最終結果であって,海の中でどんどんどんどん砂がどこかに持ち運ばれたというのが本当の原因です。それは見えないものですから,こういうのをずっと長く測量してデータを取ってこられたというのは,非常に貴重なデータなんですけれども,そういうのを,さらに監視などに使う必要があると思うんです。
 それを絵にしますと,阿字ヶ浦,この赤いところが侵食されたところで,ブルーのところが堆積したところです。そうすると,ここにあった砂が──ここがブルーになっているということは,こういうふうに港の方に吸い込まれるように運ばれているのがわかります。だから,余り顕著には言われないんですが,東海村の方でも侵食されていまして,それがこの新川の河口の方にどんどん運ばれて,要するに吸い寄せるような現象が起きているということです。
 それを,どうやって対策するかというと,対策に必要な考え方は,先ほどの原因解明の御説明ではっきりしておりまして,沿岸を流れる砂の流れを途切れないようにするか,じゃなかったら,それを運ぶ波のエネルギーを小さくする,そのどちらかの方法しかありません。そういうことをやるために,突堤だとか離岸堤,養浜,サンドパイバス,いろいろな方法を提案してきているわけです。これは茨城県だけではなくて,日本全国どこでも,何かの対策をとられているということです。
 まず,鹿島灘の海岸では,ヘッドランドというものを1キロ沖に出して,砂をためようとしています。これは,ここで流れている砂をとめて,ためようとしているのだなと考えるかもしれませんが,目的は──昔は,砂が鹿島港からさらに運ばれて来て流れていたと。でも,今は大きな港湾ができたので,砂の流れがとまって来なくなった。ということは,砂が流れていて安定な海岸から,砂が来なくても安定な海岸に変えようという方法なんです。そこは全然,もうコンセンプトを変えなきゃいけなくなった。つまり,砂が入って来なくても,海岸を小さな区域に区切ることによって,この間では砂がとどまる。そういう海岸にしていこうという考え方なわけです。しかし,茨城県では水深が大体8メートルから10メートルぐらいのところまで砂が動いていまして,この先端の水深は,せいぜい数メートルぐらいしかないですから,ちょっとここを越えて砂が逃げていく場合があるんですね。ですから,完全にこの中に砂をとどめる必要はないというか,そうすることがいいことかどうかという話も別にあるわけですが,若干は逃げていく。ですから,コンセプトとしては,砂がこの1つのセルの中から逃げないようにしてとどめたいんだけれども,一部漏れもありますと,こういうことになっております。
 もっと本質的に鹿島灘の問題を解決しようとすると,鹿島港の南側の方にたまっている砂を人工的にポンプでくみ上げて北側に移してやって,砂の流れを人間の手でつないでやる。そういうふうに砂の流れを再現するというようなことをやると,それとこれが組み合わさると,かなり強力な対策になると思います。
 これは別の例ですけれども,先ほど言いましたように離岸堤というものを置きますと,その後ろに循環流でできる砂がたまって,まさにミニ函館みたいなものができてきているということなんです。ところが,そういう離岸堤をつくると,海水浴に来た方々が「ブロックがあってみっともない」というような話が多いものですから,それを海の中に沈めて,潜堤という形で見えないように,景観に配慮した構造物にするという場合もあります。それは,ちょうどサンゴ礁を人工的につくったようなものということで,人口サンゴ礁というような名前で呼ばれているわけですけれども,それは制御力は若干弱まるんですが,非常に景観的にはよろしい。ただ,問題は,これが有効な力を発揮するためには,幅が相当なければいけないものですから,値段が非常に高い。大体普通の離岸堤の5倍から10倍ぐらい費用がかかるということです。
 それから,最終的には養浜──人工的に砂を入れて,そこに砂をとどめてやるというような手助けが必要です。天橋立という有名なあれで,これはどんどん細っていったものですから──それはどうしてかというと,砂が来なくなって細ってしまうということなので,この砂の流れはこちらからこう来るんですけれども,ここに漁港をつくったので砂が来なくなった。それで,もうどんどん途切れそうになっちゃったというので,ここにたまった砂を,もう一遍ここにぐるっと回して,ぐるぐるぐるぐる回す。これをサンドリサイクルと言うんですけれども,それで,その砂をとめるために突堤を出して,砂をためようとした。そうすると,なんか砂浜は戻ったんだけれども,真っすぐの砂浜じゃなくてギザギザの砂浜になって,「天橋立が天のくし立になった」とかいって,京都の人にすごく嫌われて「だれがこんなもの設計したんだ」とか,いろいろそういう話もあったんですが,こういう方法もある。要するに,これは,砂の連続性をどうやって確保するかという話なわけです。
 侵食の問題は,そういう理由でなかなか大変だということはわかっていただけたと思いますが,ちょっと最後にまとめて,ほかの問題ともあわせて,対策のことを申し上げたいと思います。
 次は,高潮・高波ですけれども,昨年,それからことしと,茨城の海岸は高潮や高波で大変大きな被害を受けたという話を伺いました。それで,どうなんだろうというので,我々の研究室の学生さんと一緒にいろいろ調べてみました。
 これが記録なんですが,潮位というのは,高潮の高かったときの全体の高まり,高潮偏差というのは,高潮の分だけ──ちょっと簡単に御説明しますと,図が細かくて申しわけないんですが,これが日取りでして,それで,この黒い線が,実際に観測された海の潮位なわけです。これが1日ですから,1日に2回,満潮と干潮が来ます。それで,もし高潮がなければ,天体の動きによって起こる普通の潮汐はこうだったろうという計算が,この紫の線でして──そういうことが計算できるんですね。それと実際の潮位を比べると,その分が高潮の高さだというのが出てくるわけです。このブルーの線がその高潮の高さでして,そういうふうにして,そのとき異常な高まりが何センチメートル出たかというのを計算することができます。
 それを,1984年ぐらいからずっとやってきますと──これは1年のうちで一番高かった高潮の高さを計算しているんですけれども,昔は,18とか20とか30とかいう数字だったんですけれども,だんだん高くなりまして,2002年に台風によって82センチメートルという高さ,去年は79センチメートル。これは,まだデータのシリーズを1つしかやっていないので,余り自信がないんですけれども,どうも最近高くなっているような気がするというわけです。
 それで,特に台風と低気圧の高潮には,性質の違いがあることがわかりました。台風は大急ぎで駆け抜けて行きますから,高潮が来ても大体数時間でまたもとに戻ります。ところが,2006年,昨年の10月,中国船などが座礁したときの高潮は,2日半ぐらい続いたんです。つまり,高い期間が長く続いたと,これが非常に特色です。それが被害を非常に大きくした原因になっているというわけです。当時の高潮は,低気圧がこういうふうに通って行ったんですけれども,それにつれて,ちゃんと銚子で高くなって,次は大洗でと,波の高まりが伝わっていくのがわかるようなデータなんです。
 それで,いろんなところで被害が起こりました。これは日立市の浸水の図を日立市役所でいただいたので,学生さんが,もとのところはどうだったのか撮って来たんですけれども,普通はこういうところが,これぐらい浸水したと。これは去年のことですね。ここは水路があるんですが,それが,どこが水路かわからないぐらいあふれたというわけです。
 それから,これはすさまじい写真でして,土木部の方にいただいたんですが,波が護岸に当たってバーンと──これは越波と言うんですけれども,波が越えている。こういうふうになるのは,波が高いだけではだめで,もともとの海面が高くなっているから,激しい波が来て,コンクリートに当たってボンと後ろにいくと,そういうことが起こるわけです。
 それから,これは──後でも出てまいりますが,もともと下にこういうコンクリートの護岸があるのがわからないぐらい砂浜がずっと覆っていたんです。その上が全部はがれて,なおかつ砂が取られて,支えるものがなくなったから,護岸がぺしゃんこになったということになっているわけです。そのほかに老朽化の問題だとか,先ほど言いましたがけの侵食の問題とか,そういう問題もあわせて問題でありました。
 これも,いただいたあれなんですが,先ほど言いましたように,高潮で取られる前は,こういうふうに砂浜があって,この下にコンクリートの壁があるなんていうのは,ちょっとわからない状態だったんですが,全部取られた後にむき出しになりまして,4メートルぐらい砂浜が低下したと。53万トンぐらい土砂が取られたというわけです。これは9年分の土砂ということなんですが,先ほど言いましたけれども,茨城県は大体5万トンとか6万トンぐらいが1年で動いているということですから,9×6=54万トンですので,大体9年分というのは合っていると思うのですが,それぐらいの土砂が,たった3日で取られたわけです。
 もし,これが自然の状態であれば,このまま放っとくと,3年〜4年したらまた戻ってくると思うんです。自然というのはそういうようなもので,やがてどこからか砂が来て,徐々に徐々に着いていくということになると思うんですが,その間は,しぶきや高波がずっと来ますから,放っとくと後ろの人が大変困るということで,そういうようなことが起こります。
 なぜ,もともとこんなに砂があったものが,後ろの護岸が露出してそれが壊れるかということなんですが,こんなふうになっているのは,どんどん砂が取られていって──先ほども言いましたが,沖から取られていって,ついに足元まで来て,そうすると後ろの砂が吸い出されるようになるんですね。そうしますと,支えがなくなって,重いコンクリートですから,自分の力だけで自重で壊れていくというのが,大体どこでも起こることです。よくそういう被害が起こると,後ろの道路が陥没することが起こるんですけれども,それはどうしてかというと,この中から土砂が取られるために,この上の道路が陥没する。だから危ないんですね。上を走ったりすると,人が落ちたりするというようなことも起こります。それが,今回,高潮の海岸構造物に対する被害のメカニズムとしては,非常にはっきりしていて,今まで経験したことがないような高い潮位が3日間ぐらい続いたと。そこに高波が重なった。そのために,何年分にも相当する砂が取られたので,構造物がもたなくなる,これが原因だと思います。
 そのほか,さらに今言われている海面の上昇とか,それらが全部重なると,どの町にどれぐらい浸水の被害が出る可能性があるかというのを計算した結果がありまして,護岸が整備されている状態でも,茨城県全体では,波の高さが高くなるにつれて,先ほどの越波が激しくなって浸水する可能性があるという結果です。それに,海面上昇が88センチメートルぐらい加わると,日立市の委員の方にはまことに申しわけないんですが,日立市が結構危なくなってくるとか,北茨城市とか高萩市とか,そういうような名前がここに挙がっております。
 続きまして,津波でございます。
 先ほどの高潮とは全然違って,何十年,場合によっては何百年に1遍の地震によって大きな津波が来て,通常の高潮や高波では想定できないような甚大な被害が生じるというようなものです。これは2年ほど前,インド洋のスマトラ島沖地震のときに,その猛威を我々もいろいろテレビなどで見て,すさまじい力があるということは感じたわけです。では,それに対して茨城県はどうなのかということも,県の土木部の方で精力的に検討されまして,このほど結果がまとまりました。その結果について,ちょっとお示しをしようと思います。
 日本の津波対策のための予測なんですが,これは,静岡県などを中心にした有名な東海地震の対策がさらに発展したものです。日本の南西部には,3つの地震の巣があると言われていて,東海地震,東南海地震,南海地震,これは歴史的にそういうものが起こったというのは,もうわかっています。何年にどこが動いたかということも,わかっているわけですね。そうして見ますと,100年から150年間隔ぐらいで起きてきているわけです。この地域については,ちょうど終戦直後ぐらいに起きましたので,60年ぐらいたっているのがわかっているので,あと40年ぐらいの間に必ず起こるということです。
 それで,その地震を想定して,津波はどう来るかというのを計算すると,この赤いのは5メートル以上という──5メートルではとても僕は済まないと思っているんですが,それで計算すると,国の中央防災会議での想定は,千葉県までちゃんと計算しているんです。日本の太平洋岸には,もう一つの地震の巣がありまして,それは北海道と東北沖なんです。そこの,三陸沖の地震の巣から来る津波の影響は,福島県まで計算してあって,どうしてか知らないんですけれども,茨城県は計算してもらってなくて,何で計算してくれないのかなと思いましたけれども,それでも,ちゃんとやらなきゃいけないということで,県の方でも独自に,国の援助も得ながら仕事をされたということです。
 2年間やっていただいたわけですが,まずはどういう津波が来るのかという,津波防災の基礎資料を得るための調査をやりました。その津波をやるためには,まず,どういう地震を考えるかという,震源の想定が一番大切なんです。それでいろいろ調べていただきましたところ,1677年の延宝房総沖地震津波というのが,茨城県で記録上最大の津波ということでした。これには,古文書の記録が残っておりまして,ひたちなかの何とか寺の前の庭まで来たとか,大津港のどこまで来たとか,そういうふうなものが残っているものですから,それを使ったと。それは,ブルーのところに震源があるわけです。これは1677年ということですから,繰り返すとしたら,300年に1回よりももっと長い,300年〜400年に1回の地震ということになると思います。
 一方,ここに先ほど言いました地震の巣がありまして,三陸地震というのが繰り返し起きています。明治,昭和,いろいろあります。明治三陸地震というのは1896年に起きているんですが,そこで起きたときにどういうぐあいに津波が来るかということで,これは繰り返し発生する地震のうち,茨城県に最も大きな被害をもたらすと考えられる震源を選びました。発生の確率は,今後30年で20%程度ということです。
 結論から申しますと,この延宝房総沖津波というのが来ると,構造物ではとても防げないぐらい高い津波が来ます。だから,これは逃げるしかない。
 ところが,明治三陸タイプの地震の津波では,2メートルぐらいの高さのものしか来ないので,今の海岸構造物で十分対応できるということです。算定したのは,津波の最高水位,到達時間,浸水域,それから被害も想定いたしました。
 委員は,私が委員長をさせていただきまして,東北大学で日本の津波研究を──テレビなんかで津波となるといつも出てくる今村先生に「ぜひ参加してほしい」と言って参加していただいて,地震については,つくば市にあります産業技術総合研究所の佐竹先生に,どれを選ぶべきかということについて,しっかり教えていただきました。あと,筑波の先生や国土交通省の研究所の先生,それから防衛大学の先生──それぞれみんな津波が御専門ですが,参加していただきました。
 委員の方に,ちゃんと資料が事前に御説明あったのではないかと思うのですが,きょう記者発表させていただきます資料としては,例えば,これはこういう大きな資料になっておりまして,地図の形で──ちょっと遠くで見えなくて申しわけないんですが,茨城県全域で,このブルーのところが沈むところ,それで,どちらの地震は何分後にどの町に来ますとかいうようなことが,全部一覧表になっておりまして,これは総括地図です。
 それで,それぞれの市町村ごとに,詳細な高さの分布を示すような地図がありまして,さらに,こういうふうに家が写っている写真の上に,浸水域を重ねたようなものがあります。これを,住民の方に見ていただきますと,自分の家が水の中なのか水の外なのか,すぐわかる。これは,これだけでは防災にならないので,これを見ていただいて,地震が来たときには,自分はこっちの方に逃げなきゃいけないんだということをちゃんと理解していただくというのが,非常に大切だと思います。
 それが,こういう形で3枚の地図になっておりまして,あとは動画で,津波が来たときに,どんなふうに陸上にはんらんするかというものもあります。
 それで,主な結果ですけれども,先ほど言いましたように,延宝房総沖地震のような津波が来たときには,6メートルを超えて,最高水位が10メートル前後まで上がるところもある。これは,物すごい大きなものが海から来るのかというと,必ずしもそうでもなくて,波というのは,地形の高下によってどんどん高くなるように,ラッパ状に進んでいくような地形もあれば,あるいは構造物があるところ,がけがあるところの前では,入ってくる波と反射する波が重なって,波の高さが2倍になるというような効果もありますので,高い数値には十分注意する必要があるわけですけれども,それが,そのまま内陸側に押し寄せて来るということではないということです。理解には,若干専門的な知識が必要なんですけれども,しかし,この延宝房総沖地震については,非常に大きな波が来るということは確かです。それで,到達時間は30分ぐらい。県全体では,16分から30分で初動の水位変動が始まって,35分〜50分ぐらいで第1波が到達するということですから,これは十分警報が出せる時間ということです。ですから,もし,そういうことが観測されれば,海岸付近の方々に,一斉にお知らせをして逃げていただくということが,一番大切な対策だと思います。
 明治三陸タイプの地震については,最大水位が2メートル前後で,漁港・港湾の岸壁とか,そういうところには浸水する可能性がありますが,それ以降の住民のところには行かないというような見積もりですので,これは,構造物で対応できるものと思います。
 その被害ですけれども,いろいろ建物でしたらば,何メートルぐらいの浸水があると,どれぐらい崩れるかというようなことで,いろいろそういうことが計算してあります。
 それで,先ほど言いました大きな津波で,人的被害だけ簡単に御紹介しておきますと,冬の夜というのは,皆さんが寝静まっているときということなんですが,避難率が0%ですと440人ぐらいの方が,場合によっては命を落とされる可能性がある。それから,夏の昼というのは,実は海水浴でたくさんの方が来られているときですが,もし避難率が0%であれば,3,200人ぐらいの方が波にさらわれる可能性があるという結果でした。
 これは,しかし何と言いますか,そんなに甚大な被害が出るということを示すためにこの計算をしたのではなくて,きちんと逃げていただけば,被害は最小に抑えられるということを示すために計算をしたものですので,そういうふうに使っていただきたい。1980何年かに起きた日本海中部地震津波のときに,そういう情報が十分伝わらなくて,海辺に遊びに来ていた幼稚園か小学校低学年の方が,波にのみ込まれるというようなことが起こりました。それ以降,津波対策については,その場での地震の感じは小さくても,地震を感じたら,とにかく高いところに逃げるということを徹底するというのが基本方針になっていますので,茨城県でも,ぜひそういう方向の対策をとっていただく必要があるんじゃないかと思います。
 津波に対する対策の基本的な考え方は,2段階ということで,低い小さな津波というのは,結構頻繁に起こります。先ほど言いました三陸地震津波ぐらいであれば,防波堤とか海岸堤防によって守る,ハードな施設によって守るということは可能で,それはやるということです。けれども,延宝房総沖地震による津波のようなものになると,とてもそれでは対応できないので,これは事前にハザードマップで示すとか,あるいは避難計画をつくるとかというような防災対策で対応すると。命はぜひ助かっていただく。さらに,それより大きいものが来る可能性もないわけではありません。でもそれは,ここのソフト対策をしっかりやっておくと,それにも対応できるということだと思うんです。
 あとは,気候変動の影響です。
 では,今問題になっている温暖化とか,気候変動がどうなるかということなんですが,ことし出ましたIPCCの報告では,今後2100年まで,今世紀中に気温が1.8度から4度ぐらい,最悪の場合6.4度ぐらい上がって,世界中がかなり高温になる。これはこれで別の問題がいろいろ起こるわけですけれども,それからまた,何度上がるかというのは,今後の対策次第というところにあるわけですが,海岸について言いますと,これまで過去100年間で,既に地球の気温は0.74℃ほど上昇していまして,海面も17センチメートル上がっているんです。
 これが,海面の上昇の図なんですが,1850年,1900年,1950年,2000年とありまして,ずーっと海面が──世界平均のため上がっているんですが,最近は年3ミリメートルぐらいに加速しているんですね。ということは,100年で30センチメートルぐらいの割合になっている。ですから,そういう非常にゆっくり海面が上がってくるという話と,それから,先ほど言いました高潮のように,2〜3日高いのが続くというのが重なると,相乗効果でまたあれだということになるわけです。
 日本全体の海面の変化というのも計算がしてありまして,1980年以降でいきますと,これが1センチメートルぐらいということですから,銚子のあたりだと,年に5ミリメートルとか,日本周辺というのは,世界の平均と比べて海面上昇の速度が若干高いと言われているんですが,そういうような傾向があります。
 そういうようなものが起こりますと,今いろいろ申し上げましたような海岸に対する影響以外にも,いろいろなところに影響が広がって非常に大きな問題なので「温暖化は何としてもとめなきゃいけない」こういうような世論になりつつあるわけです。
 最後に,まとめでございますが,侵食,高潮・高波,津波,将来への問題と話をさせていただきましたけれども,そもそも海岸の管理は,どういうことをターゲットにしなければいけないかと考えてみますと,防護,要するに防災ですね。防災と国土の保全,それから環境の保全,健全な利用,こういうもの,3つを実現するというのが,海岸法の目的になっているわけです。
 しかし,これらは考えてみますと,相互に対立する面があって,防災でガチガチに固めると環境が悪くなるとか,妙な利用をすると,安全にも環境にも悪いとか,いろいろな考え方があります。したがって,それぞれの地域ごとに地理的な特徴,あるいは社会的なその地域の事情などを踏まえて,総合的な解決策を図る必要があると。これは,1つの同じ海岸で,3つがみんなできなくてはいけないというふうに考える必要は必ずしもなくて,あるところはすごく利用しているんだけれども,あるところはすごく環境保全をやっている。人がたくさん住んでいるところは,防災をきちんとやるというふうに,やはりめり張りをつけて海岸を管理するということが重要なんじゃないかと思います。そのために,1999年に海岸法が改正されまして,それ以降,海岸基本計画を各県はつくる必要があって,茨城県もつくっておられるわけですが,その見直しという中で,そういうことを,さらに徹底されるのがいいのではないかと思います。
 2番目に,茨城県は比較的災害が少ない地域だというふうに思ってきたわけです。しかし,今見ていただきますとおり,まず海岸侵食が慢性化している。2000年以降,高潮・高波がより強くなるような傾向にある。もしかしたら,津波も加わるかもしれない。さらに,長期的には気候変動の影響もある。そうすると,大体いろんな問題があるということがわかってきたので,起きてから対応するというよりも,もし来たらどうしたらいいかということを,事前に考えておく必要があるんじゃないかなと思います。
 3番目に,いろいろ考えてみますと,砂浜があれば波の勢いも弱くなりますし,砂浜が侵食されるというのは,要するに,後ろの人間の家が壊されるかわりに,砂浜が犠牲になってエネルギーを殺してくれているというふうに考えることもできるわけです。ですから,茨城県の場合には砂浜の存在というのが,上の3つのものの共通の土台になっているような気がします。したがって,できるだけ砂浜を保全するような方策をとる必要があると思います。ですけれども,御説明いたしましたように,茨城県の砂浜というと,それは自然のものだと思いがちなんですが,もう茨城県の砂浜は私自然のものだと考えない方がいいような気がするんですね。単純に自然の環境じゃないと。要するに,河川やがけからの土砂供給が減って,間に港湾や漁港などの建設で,沿岸漂砂の流れがとまっている場所もあるわけです。そうすると,人間の手を貸して砂の流れを再生するとか,サンドバイパスとか養浜の話をいたしました。それから,ヘッドランドのように砂が動かなくても砂浜が守れるような方法をとるとか,そういう人間の手を貸して守られている自然環境というふうに考えるべきだと思うんです。砂浜がなければ,護岸や海岸堤防を復旧しても,結局イタチごっこで,また同じことが起こることになる。では,どうやったら砂浜を再生できるのかというのは,どこから砂を持って来るかという,いろいろ難しい問題あるわけですが,ぜひ,そこのところを御検討いただければと思います。
 あと,もう数点です。これは最後のスライドだと思いますが,あとは海岸を考えるときに,考える単位というのがあると思うんです。それは何かと言うと,岬から岬までの一つながりの海岸です。実は,いろんなところで仕事をさせていただいて必ず起こる問題は,今自分が見ている自分の家の前,あるいは自分がやっている漁港のそば,ここの問題を何とかしてくれと言われて,でも,必ず全体を考えないと解決できないんですね。しかも海岸は,国で言いますと国土交通省の河川局と港湾局と農水省の構造改善局と水産庁,4つの省庁が管轄しているわけです。その間の連絡も,必ずしも十分ではない。県でも同じように,幾つかの部署が管轄されていると思うんですが,何かをやるときには,必ずほかのところと連絡してやるということは,非常に重要だと思うんです。今,目の前で侵食がどんどん起きているのに,さらにそれを進めるようなものがつくられたり,いろいろ計画がされているという場合もありますので,そういう横の調整が非常に大切だと思います。
 それから5番目に,海岸防災はハード施設だけでは不可能だということも,そうだと思うんです。ハードな施設でやる部分と,それを越えるものについてはソフトな対策をやるという,総合的に取り組む必要があると思います。激甚な津波などには,まず避難とか人命の保護が必要で,そういう意味ではハード施設をきちんと整備しつつも,それだけに依存するのではなくて,住民の意識の向上などを踏まえた,災害に強い社会をつくる政策をつくっていく必要があるんじゃないかと。
 6番目に,これはもうちょっと難しい問題なんですが,日本の海岸のいろんな問題を見ていて,私は今までの国の海岸行政も姿勢を変えなきゃいけないというふうに,最近強く思うようになりました。それは何かと言うと,海岸線は移動するというか,いろんな力によって前に行ったり,後ろに行ったりする。大きな高潮や高波で,一夜にして海岸が一変することも,つい最近も起きたわけです。茨城県にも,そういう民話のようなものがあります。したがって,海岸線のすぐそばまで人家を建てたり,店を出したりするのは危険だし,経済的にもリスクが高い。実は国際的には,津波の後,スリランカでセットバック政策と言って,海岸線から200メートルの区間は家を建てちゃいけないとか,そういう政策が導入されたりとか,アメリカやオランダなどでは緩衝地帯というので,砂,砂丘よりも前には人工的なものはつくらないとか,いろいろそういう政策がとられているんですね。スリランカなんかは,漁民の人はどうやって海に出るのかということがありますから,漁民はすごく反対していて,国がそう決めても,ちゃんと漁村がそこにあったり,そう単純じゃないわけですけれども,そういう危険なもの,人家,人命を,海岸線からある一定程度後ろに下げるというような政策も,視野に入れる必要があるんじゃないか。これは,非常に長期的な検討が必要な課題ですけれども,そういうことも僕は必要なんじゃないかなと思っています。
 7番目に,今は,人命を守るとか防災施設をつくるという話を主にしてまいりましたが,一方で,最初に申しましたように,自然の海岸というのは観光資源であったり,貴重な自然環境だと。これをどういうふうに後世に残すかというのも重要な課題。したがって,先ほど言いましたように,全部の海岸で全部の目的を達成するのは不可能なので,残すところと使うところを,非常にクリアに分けてやっていくというようなことが必要なんじゃないかと。そういうのをゾーニングと言うんですけれども,そのゾーンごとに分けて,海岸の使い方の性格を変えるというようなことが,計画的には必要なんじゃないかなと思います。
 8番目に,今のように「危ないから逃げてください」とか「ここは自然環境を保全しましょう」とか,そういうことをやろうとすると,必ず住民の方々の御理解が不可欠なわけです。ですから,今度の津波の仕事でもこういうデータができたので,いいデータができましたね,というところでとまるのではなくて,住民の方々にその材料を提供して,御自分の判断でどういうふうにしたらいいかということが考えられるような仕組みを,今後進めていただければと思います。
 ちょっと,余りにも盛りだくさんのことを申し上げたかもしれませんが,最初に申しましたように,茨城に来させていただいて20何年間か,茨城の海岸の問題について携わる機会を与えていただきましたので,最近の話題も含めまして,まとめてお話をさせていただきました。
 どうも御清聴ありがとうございました。


◯加倉井委員長 三村先生,長時間の御説明,本当にありがとうございました。
 それでは,ここから意見交換の時間とさせていただきます。
 ただいまお伺いしましたお話について,委員の方で何か御意見または質問がありましたら,遠慮なくお出しいただきたいと思います。
 錦織委員。


◯錦織委員 きょうは先生,いろいろとありがとうございました。私は鹿嶋市出身なんですけれども,鹿嶋の海岸──私も議員になって5年なんですが,なったときから,一部は200メートルぐらいあった海岸が,高潮が出て来て,屋根まで波でどうの車がどうの,私も大変苦情を言われまして,頭を痛めていました。
 また,もう一方は,すぐ漁港があるわけですけれども,鹿嶋の海岸はハマグリが主体で,半分ぐらいが漁獲高のウェイトを占めている部分があるんです。それが海岸線がなくなったので,非常に困っている等いろいろありまして,どうしたらいいのか話を進めてきたんです。ヘッドランドをやってくれまして,今,できてはいるんですけれども,一部,漁業組合の方で話をして,当座は6年〜7年ばかりみんなあればいいんですけれども──漁港この横,ここに砂が入って来て,漂砂を掘って,それを海岸に持って来たんです。全体的な量は私もちょっと確認できてないんですけれども,かなりの量を持っていったんですが,1回の高波で全然効果がないと。何回かやったんですけれども,これはもうあきらめて,今──離岸堤の話もありましたし,いろいろあったんですけれども,漁業組合の方で,離岸堤をやったのでは,計算上は漁港の──シラスが取れる場所なものですから,反対があったり補償の問題があったり,いろいろと……。それで,県の方にも一生懸命努力してもらって,宇田教授の粗粒材で今2年ほど──去年とことしでやっています。一応,粗粒材を山盛りにしておいて,波が来ることによって引っ張られまして,それが,また,そこに砂が幾らかもって,サンドイッチの形で何かやっていますので,5メートル以上の深いところには行っていない。この間,調べてもらったので,してはいるんですけれども,漁業組合の方では,その粗粒材と砂とのサンドイッチの海岸線ができても,ハマグリの稚貝は育たないのではないかと心配をして,「錦織,あれではだめなんだ」というような話も言われているんです。その辺で,どんな形でしたらいいものなのか。先ほどヘッドランドとヘッドランドの間,砂がそこから見えないような形であれしているんですよという話もありましたけれども,実際はあそこへ持って行っても,中で渦巻きができて,ヘッドランドとヘッドランド,すき間がありますので,そこでやはり持っていかれちゃうんですね。残らないで持って行かれちゃうのが,地元の人の考え方と言うか,ヘッドランドの根本には残るんですけれども,真ん中は逆に侵食がまた進んじゃうんだという話もありますので,その辺の見解をちょっとお聞きしたいなと思っているんですけれども。


◯加倉井委員長 三村先生。


◯三村参考人 現実の問題は難しくてあれなんですが,幾つか申し上げますと,まず鹿島港にたまった砂を持って来て,置くというのは,先ほど言いましたように,砂が流れて来たのが,どこかにとまっているから,それを掘って,本来あるべきところに持っていくという,そういう意味ではいい方法なんですけれども,港の中にたまるような砂というのは,実は粒子が細かいんですね。細かい砂を持って行くと,小さな波でも取られることになるから,効果が余りないということになると思うんですね。ですから,普通養浜をするときには,そこにある砂よりも粗い砂を入れる。つまり,より動きにくいような砂を,選んで入れるというのが必要と言われているんですね。ですから,宇田先生などが粗粒材と言っているのは,そういう意味だと思うんです。
 2番目に,どういう砂の組み合わせがハマグリの着定,繁殖にいいのかということについては,海岸侵食とハマグリの養殖とがうまく合うかどうかというのは,非常に難しいところです。波崎に水産工学研究所というのがあって,あるいは茨城県の水産試験場なんかもありますので,そういうところと,工学というか,海岸侵食を考えている人たちが一緒になって,少し研究しないといけないと思います。
 3番目は,この方法は効果がないんじゃないかということですけれども,ちょっと御理解をいただかなきゃいけないのは,どんな波の状態になっても,少しも変わらないような砂浜をつくるというのは,不可能ということです。これは,実は動くのを前提にした工法でして,ここからここまでの間で,なるべく砂をためるという工法なんですけれども,波が北の方から入って来て──冬は,茨城は北の方から入って来るんですね。夏は大体南から入ってくるんです。そうしますと,北から波が入ってくると,海岸線はこういうふうに傾くのを前提にしているんです。南から波が入って来ると,こういうふうに変える可能性がある。つまり,波が入って来る角度によってシーソーになる。この中で,シーソーになって動いているのだけれども,一応,砂の量が保てている,そういうのを前提にした工法なんですよ。ですから,ここに住んでおられる方は「あんなこと言ったけれど,ここが,ガバって取られたじゃないか」と。


◯錦織委員 そう,真ん中を取られているんです。確かに,それは季節によって着いた月となくなった月とがあって,それはわかっているんですね,見ていて。


◯三村参考人 それが,砂浜を漁場にされている方に都合がいいかどうかというのは,またちょっと別の問題かもしれませんが。先ほど「茨城の海岸はもう自然じゃないんだ」と言いましたけれども,そうは言っても,自然に従って何とかするということですから,もう未来永劫ずっとこの形をとり続けてくださいというのは,それはできないということです。それは不可能。こういうふうになったり,こういうふうになったりしながら,砂の総量は何とかここで保ちたい,こういう工法になっているということです。
 あと,シラスの問題ですけれども,これは茨城の海岸では,どこに行っても砂浜のすぐそばでシラス漁をされているというので──そのシラス漁というのは,長い網をずーっと引っ張って,海岸線に並行に走るんですね。そうすると,離岸堤とか,そういう構造物を入れると,そこが走れなくなるので,もう必ずそういうことはやってくれるなという話が多いですね。
 ですから,先ほど,言葉の上ではきれいなことを言ったわけですが,環境の保全と防護と健全な利用──漁業なんていうのは,まさに健全な利用だと思うんですけれども,そういうのをどういうふうに折り合わせるかというのは,その場その場で,どれぐらいの砂の粒径のものを,どれぐらいの量入れて,どこにどんなのができたら,その人たちの目的に合うのかというのは,一つ一つ研究してやっていかないと,何て言いますか,どこでも適用できる一般的な答えというのは,ないと思います。
 実は,鹿島灘の漁協の人は何度も何度も訴えられて,「相談して,何とかしましょう」と言われたんですけれども,これは非常に難しい問題です。漁港の入り口のところが,一番侵食されているわけですよ,すぐ北のところが。それで,あそこに砂を入れると非常に皮肉なことに,砂が漁港の方に入ってしまうんです。ですから,そういう養浜のやり方,養浜の場所,粒径,それに対する生物の効果,そういうようなものを県の水産試験場とか,いろいろな方々の協力も得て,ぜひ検討しないと,その場におられる方の「こういうことが問題なんだけどな」ということだけでは,ちょっと解決しないような気がします。済みません,はっきりした答えが言えなくて。


◯錦織委員 一方では,漁港の方で,確かに今入れている砂が漁港の中に入って来て……。今,漁港の方では,離岸堤をやっているんですね。それで,とまるでしょうけれども,そういう面では,砂をもっともっと着けるためには,どうしても離岸堤で処理するのが一番いいのかなと,最近私は思っているんです。そうすれば,両方とめておけば,漁港の方にも砂行かないし。ただ,これからまた,中央防波堤,南防波堤がまだまだ延びていくものですから,あの地域の人も,また,今までの形が変わってくるんだろうと,また心配はしているんですよ。そういう意味で,いろいろあるんですけれども,また,地元の人はいろいろ立場によって利害が絡むものですから,漁業組合が離岸堤を200メートルぐらいつくると,昔は,あそこは砂浜だったんだから,漁業権を主張する権利はないんだと。たまたま今は,皆さん漁業権ぐらい取っているけれども,あそこは砂浜だったんだから,それを戻してもらうために,漁業組合で補償をよこせなんていうのは,もってのほかだと文句を言っている地元の人もいるんですよね。だから,「皆さん,漁業権取ったのはもっと先でしょう」と,「海がたまたま侵食されて,近くに深いところができたから,今,まだあそこで捕っているだけの話で」とやっていますし。それにしても,両方うまく砂が着いてくれないと被害もなくならないし,漁業の方もハマグリとれないしということで,やっぱりそれには,早く砂を動かさないで,着けてもらう方法は,離岸堤が一番いいのかなと思って,私たちも今やっていますので,その辺のことを聞きながら,進めていきたい。先生の方にも,またいろいろとアドバイスをしていただいて,よろしくお願いしたいと思います。


◯三村参考人 離岸堤という選択肢は,僕はあるような気がします。というのは,鹿島灘の海岸は長くて,どこもみんな同じように侵食の問題で困っているかと言うと,鹿島港のすぐ北の部分,あそこが一番ひどいんですね。それと,あと大洗に砂がどんどんたまるという,端っこがひどいんです。ですから,今,非常にひどくて困っている部分を,さっき言いましたように,いろんな効果を考えて対策をする。そこに対策を集中してみるというのは,非常にあり得る考え方だと思いますけれども。


◯加倉井委員長 よろしいですか。


◯錦織委員 はい。


◯加倉井委員長 ほかに,ごさいませんか。──今委員。


◯今委員 私も日立なので,最近,日立の方でいろいろな現象がありまして,直接専門家の方にお話聞くのはきょう初めてなので……。いつも土木部の幹部の方にいろいろお話するんですけれども,なかなか明確な答えがない──学術的にもいろいろあるんでしょうけれども,ないもので,ちょっときょうはお話を聞きたいと思います。先生は普通,日立の工学部にいらっしゃるんですか。


◯三村参考人 ええ,研究室は日立にあります。だから,日立の海岸はよく知っています。


◯今委員 そうですか。そこにお伺いして,もっとゆっくりお話を聞きたいんですけれども。
 きょうは,まず最初に,IPCCのパネルの参加ということで,世界の専門家のお話もいろいろお聞きしていると思うんですけれども,最終的にIPCCの発表があったのは,みんなの考えで出て来たやつだとは思うんですが,最近の地球温暖化に対しまして,アメリカが余りにも企業のことを優先して,国のことばかり考えているような私気がするんです。いろいろな話がありますよね,海岸上昇の話とか,温暖化ガスの原因とか,最近のアルコール燃料の話とか,いろんな温暖化に対する話があると思うんですけれども,私は,全世界的にも日本的にも茨城県的にも,もっともっと傾聴すべきだと思っているんですけれども,先生自身はどのようなお考えでしょうか。


◯加倉井委員長 三村先生。


◯三村参考人 温暖化については,結論から言いますと,日本とかそういうところに,どれぐらい被害が及ぶかというようなことは,まだ必ずしも十分わかっているわけじゃないんですが,世界全体で見ると,非常に大きな問題を引き起こす,問題になる可能性が非常に高いと。それで,対策を今からしっかりやらなきゃいけないというふうに,結論的には思っています。温暖化の話は,きょうは海岸の話と思って余りしなかったので,これだけちょっと見ていただこうと思うんですが,これは,気温がどういうふうに上昇するかというカーブなんですけれども,今,我々この辺にいるわけです。それで,このブルーのカーブというのは,比較的持続可能な社会を,世界全体で追究したときに起こるような温暖化ということなんですね。このオレンジのカーブ,それからもっとこの上に,もう一つあるんですけれども,それは,今と同じように石炭や石油をたくさん使って,化石燃料をどんどん使うような社会,それで経済の成長をどんどん追及するというような社会だと,もっと高くなりますということなわけです。
 実は,この図には2つ意味がありまして,今この辺なんですけれども,比較的持続可能な方向で行っても,かなり乱暴な方向で行っても,今から20年か30年ぐらいの間に0.6度ぐらい上がるのは,どの道で行っても同じ。つまり,温室効果ガスは「きょう出すのをやめたらば,その効果があした出ます」というようなものじゃなくて,大体数十年間大気中にたまっているようなものなんですね。そうすると,もう今までいろいろ出してきたものの効果が,あと20〜30年はどうしても続いてしまう。では,何で今やる理由があるのかと言うと,今やる対策が,徐々に将来効いてくるということなわけです。だから,これは非常に大きな難しい問題で,「そんな,あしたすぐ目に見えないことを,どうしてきょうやるんだ」みたいなことで,説得にも物すごく難しいわけです。ですけれども,そういうようなことだということです。
 それで,対策はどういうものがあるかというと,大きく言って2つあって,1つは,炭酸ガスを出さないようにする対策。もう一つは,今言いましたように,幾ら今すぐ炭酸ガスを出さないようにいろいろ努力しても,影響はこれからさらに進んでいくということですから,きょうお話をしました海岸の防災なども含めて,──適応策と言うんですけれども,起きてくる悪影響に事前に手を打って,防災とか食料確保とか水の確保とか,そういうのをやっておくということです。
 特に適応策については,途上国の方の問題が非常に大きくて,途上国の人たちといつも話をすると,もう結構悲鳴みたいなものがあって,例えばネパールの人たちなんていうのは,氷河がどんどん溶けてくるものだから,氷河湖と言って,湖がどんどんどんどん大きくなっているんだそうです。それは自然のものなんだけれども,いつかできている土堤が崩れて,下流の村が流されちゃうんじゃないかとか。それから,ツバルとかキリバスとか,そういう小さな島国のことは有名ですし,ですから対策といっても,炭酸ガスを出さないような仕組みにするという対策と,きょうの防災対策のような適応策,両方が必要だということ。
 国際的には,去年まで我々は「本当に温暖化が起こるのか」とか,「対策をやっても効果がないじゃないか」とか,いろいろそういうような批判にさらされていて,科学的な意見を表明する場合でも非常に注意深く,やや控え目に言うような形だったんですけれども,ことしに入りまして,EUの態度が非常にはっきりしてきたし,それから,何しろ6月のハイリゲンダムサミットで,2050年までに,世界からの温室効果ガスの排出を50%削減すると──これは安倍総理が提案されたわけですけれども,それを世界全体で真剣に検討する目標にするというのを首脳が合意しましたから,物すごい流れが変わったと思います。最近,国連の話では,2050年に,先進国は70%から80%の温室効果ガス削減を目指すべきだというような論調が出て来ていまして,だから,去年までの相場観と,ことしに入っての相場観は,もう本当に雲泥の差というか,方向が180度変わったぐらい変化があります。それで,来年の洞爺湖サミットで,どこまでそれが固められるかというのが,かぎだと言われているわけです。ですから,今,委員が御心配のような問題というのは,世界的には,急速に変わるのではないかなと思っています。
 ただ,世界の主要な首脳の間の合意ができても,例えば中国とかインドとか,これから経済成長して,さらに伸びていきたいと思っている国,彼らも意識はしているんですけれども,幾ら普通に頑張っても,経済成長すれば,やはり炭酸ガスの排出が伸びるというのは,なかなか難しいものですから,そういう現実的な利害の調整というのは,非常に難しいと思いますが,少なくとも世の中の意見で「温暖化は起こらないから,少々やってもいいだろう」というような意見は,もうなくなると思いますね。


◯今委員 前からずっとそういうことを考えてはいるんですけれども,例えばIPCCの中の,そのパネルの中で──今,たまる一方ですよね,CO2というのは。メタンもあるでしょうけれども。そういうものを宇宙に逃がすという技術は,研究されているんですか。最近,そういうことを考えているんです,たまるのなら出しちゃったらいいんじゃないかと。そういう議論は,まだされていないんですか。


◯三村参考人 宇宙に逃がすという議論はないんですけれども,出すんじゃなくて吸収をさせようということは,最近非常に活発に議論されるようになりました。
 吸収は2つの方向があって,1つは植物に吸収させるということです。これは,植林とか何かでいろいろ言われているものです。
 もう一つは,CCSと言うんですれども,石炭火力とか,火力発電所というのは,すごい炭酸ガスを出すわけです。それを大気中に出す前に処理して,炭酸ガスだけを固めて,それをゼリー状のようなものにして,それを,石油を掘った穴に入れて地中で貯蔵する。ほかにも海洋の中に入れて,その海洋の中に,ぶよぶよしたゼリー状の炭酸ガスの層をつくってためておくとか,そういう回収貯蔵技術というようなものの研究が非常に盛んで,実は経済産業省は,もう新潟でパイロットプロジェクトをやっていまして,かなりいい成果が出ているというので,世界でも注目されたりしているんです。
 宇宙に逃がすというのは,ちょっと聞いたことがないんですけれども,植林などで植物に吸収させる。じゃなかったら,人工的に集めて地中にためる。それが今,今後の対策の中のかなり大きな部分を占めるだろうと言われています。


◯今委員 わかりました。後で,日立の方で,ちょっとお願いします。
 急に身近な話になるんですけれども,私の地元の日高海岸とか助川海岸とか,例の低気圧のときに見せてもらったんですけれども,あの原因は何なのかなと……。高潮になっていて,いつもの波が来て──いつもの波が来たけれども,越波したのか。先ほどちょっとお話があったんですけれども,海岸から昔はこう砂浜があったのが,急にこうなって,波のエネルギーが急にこう立ったという影響なのか。いろんな影響が重なってなったと思うんですけれども,助川海岸なんかは,空も青空,そして,沖は全然波がない。急に白波が立って越波すると。そして,こんな大きな岩まで上がって来ちゃうんですね,砂も当然来ちゃうんですけれども。あの状態──今対策をお願いしているんですが,どういう対策をしたらいいのか。
 あの日立市の部分は,今6号バイパスをつくって,そのためにずっと1本道路をつくったんです。その道路を撤去するときに,余計に撤去しちゃったのか。そこら辺もいろいろな要因があるのかもしれないんですけれども,そこら辺も研究していただいて,対策が必要かなと思うんです。撤去した後に,いきなりその越波が始まったんですね。先ほどお話したように青空で,沖は波もないと。それが,海岸の近くなってくると,急に波があって,持って来ちゃう。ただ,防波堤もちゃんとあるんですけれども,そのすぐわきに道路があるんです。生活道路なんですけれども,車も通るんです。そこにこういう大きい岩みたいな,このぐらいのものが…。


◯三村参考人 245号バイパスの後ろ側ということですね,今おっしゃっているのは。


◯今委員 日立旧駅ありますよね,海岸口。あのすぐ下の海岸あたりです。
 ですから,どういう原因なのかなということで,住民も大分心配しているもので。


◯三村参考人 今,おっしゃっているのは,高潮じゃなくて,高潮が通り過ぎた後,普通の状態のときにそうだということですね。


◯今委員 はい。どうもそこら辺がわからないんです。


◯三村参考人 ちょっと現場を見ていないですし,その様子がわからないので,今度見せていただこうと思いますけれども,まず,波の性質について言うと,普通の波と今おっしゃっている波は,茨城県では大体4秒ぐらいから10秒ぐらいの周期に1遍波が来るような波が,普通は来ておりまして,そういう波は,水深の80%ぐらいの高さの波しか存在できないんです。それは,何か物理法則で決まっていまして,水深が5メートルだったら4メートルの波で,6メートルの波が起きようとすると,もう砕けて,それ以上は大きくなれないということですから,海岸に来て急に波が高くなるということは,それまでは深かったんだけれども,急に浅くなった,それで波が大きくなったと。それで,水深の8割ぐらいを超えるような波が来ると,砕けてバシャンといくと,こういう話だと思うんです。
 それで,取りつけ道路とか防波堤を撤去したときに,撤去し過ぎたかどうかというのはちょっとよくわかりませんが,普通,一番最初にやる方法としては,直接直立の護岸に波が当たると,すぐに今のように越波とか起こるので,その前にブロックとか,そういう波を消すものを置いてあれする。あるいは直前じゃなくても,少し沖合に,そういう波消しのブロックを置いて波を弱めるというようなことが,対策としては普通とられるわけです。
 あと,海の中には,長周期波と言って,1分とか,場合によっては10分ぐらいの間隔で波が高まってきて,また下がっていって,また高まってきてというふうに,平均海面と言っても平均じゃなくて,長い周期で上がったり下がったりしているんです。潮汐以外にも,そういうのがあるんです。そうすると,長い周期の波のちょうど波の峰,水が高いところにきたときに,高い波が来るとバサッといくとか,空が晴れているのに,どうしてこんなこと起こるんだろうというのは,そういうようなものが重なるということも可能性としてあります。
 ちょっと現場を見ていないので,一般論しか言えないですけれども,キューブ化になっているというのは,基本的には被害を大きくする原因につながると思います。


◯今委員 いろいろ原因は重なってできたのかなという思いはありますけれども,住民がかなり心配しているので,大変かなと思って早く対策をお願いしているところなんですけれども,また詳しく,後ほど質問させていただきますので,よろしくお願いします。


◯三村参考人 妙な話ですけれども,あそこの海岸というのは,ほかの委員の方,御存じないかもしれませんが,がけがあるわけですよね。それで,がけの上にたくさん人家があるんですけれども,がけの下にも人が住んでおられて心配されているのは,がけの下に住んでおられる方じゃないかと思うんです。こういう場で,そういうことを言うのは適切かどうかわからないですけれども,余り安全なところではないんですよね,もともと。
 だから,先ほど言いましたように,移転とかいうのはあれですけれども,何か考え方を固める必要があるような気がするんです。そういう危ないところに住んでいる人も徹底して守ると考えるのか,それとも,そういう人たちとよく話をして,別の方法を考えるのか。そういうことも長期的には考えないと,人が数人でも住んでいれば,その前の対策をずっと延々やり続けなきゃいけない。少子高齢化で,公共事業の費用がどんどん減るし,今までつくってきたインフラ施設というのがありますから,新しいものをつくるだけじゃなくて,つくる方にはお金が回らなくて,先ほど言った,もう老朽化したような施設の補修なんかにほとんどのお金を使わなきゃいけない。そういうときに,人が住み始めたら,そこは必ず守るという形の考え方でやると,必ず危険性は増すと私は思うんですよ。ですから,長期的には住み方を変えるというようなことも,つらいけれども言わなきゃいけないときが来るんじゃないかなと思っているんですけれども。


◯今委員 ありがとうございました。


◯加倉井委員長 ほかにありませんか。──。
 ないようですので,それでは,以上で「茨城の海岸防災の課題と対策」の意見聴取を終了いたします。
 三村先生には,責重なお話をいただきまして,ありがとうございました。
 本日,お話いただいたことにつきましては,今後の委員会審査の参考にさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
     ───────────────────────────────


◯加倉井委員長 ここで,暫時休憩いたします。
 再開は,午後1時といたします。
                午前11時56分休憩
     ───────────────────────────────
                午後1時1分開議


◯加倉井委員長 午前中に引き続き,委員会を再開いたします。
 本日,お二人目の参考人といたしまして,独立行政法人建築研究所構造研究グループ長の飯場正紀さんをお招きしておりますので,御紹介いたします。
 飯場さんは,昭和59年から建設省建築研究所の研究員として勤務され,その後,国土交通省危機管理技術研究センターの建築災害対策研究官等を経て,現在は,独立行政法人建築研究所構造研究グループのグループ長として御活躍中でございます。
 詳細のプロフィールにつきましては,お手元に資料をお配りしておりますので,ごらんいただきます。
 飯場さんには,お忙しい中,本委員会に御出席いただきまして,まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして,厚く御礼を申し上げます。
 飯場さんからは,独立行政法人建築研究所において調査研究を実践されている立場から「近年の地震被害と建築研究所の地震被害軽減に向けた研究の取り組み」について,御意見をお伺いいたします。
 意見聴取の進め方につきましては,初めに,飯場さんから御意見をお伺いいたしまして,その後,意見交換を行うことといたします。
 それでは,飯場さん,よろしくお願いいたします。


◯飯場参考人 御紹介いただきました飯場でございます。よろしくお願いいたします。
 きょうは,基本的には,耐震改修ということをうまく話せればいいんですけれども,なかなか改修がうまくいかないというのはどこかに問題があるし,研究という問題よりは,もう少し住民をどういうふうな形で説得するかというふうな問題にもなりますので,きょうはそのヒントになるような項目を幾つか持ってまいりました。それに基づいて,御紹介させていただきます。
 各資料は,私がすべて専門でやっているわけではございませんで,担当の方がつくりましたスライド等は,その本人の名前をつけてございます。私は,どちらかと言いますと,ここに免震住宅というふうなことで,ちょっと論文をつけさせていただきましたけれども,神戸の地震の後,戸建て住宅を対象にした免震という研究を結構やってきました。正直言って余り普及していないと言うか,お金の面と,免震の部分ですと,20〜30センチメートル動くということで,敷地に余裕がないと1階の床面積が非常に小さくなってしまう。あと,メンテナンスが大変だということで,いっとき,やり始めたころの勢いではなくなってきているというのもあります。最近,皆さん御存じのように,大手ですと,やはり免震ではなくて制震というか,ブレースを入れてエネルギー吸収して建物を押さえるというか,要は中に入れて,見えなくしてうまくやろうという,どちらかと言うと,そういう方向にも来ています。それは,いろいろな選択が実はありまして,そういう住宅の場合でも,今どれがいいかというのは,結局試行錯誤でいろいろやられているのが現状でございます。耐震改修につきましても,同じようにいろいろな方法があるんだけれども,それをいかにいいもので,安くというところを,どういう形で皆さんに説明していくかというところが,一番のポイントじゃないかと思ってございます。
 まず,そういうものに先立ちまして,最近の──皆さん御存じかと思いますけれども,地震の被害につきまして,少し御報告をさせていただきます。
 最近,3カ月ぐらいおきまして,2つ地震が起こりました。1つは,3月に起こりました能登半島地震,もう一つは,新潟県中越沖地震でございます。
 能登半島地震ということで,その震度で6+と書いてありますが,6強という形の地震動が観測された場所でございまして,七尾市,輪島市,あとは穴水町という4つの地域というか──これは,地震計が基本的には置かれているところでございますが,4つで,6+という大きな地震動を観測されております。
 震央というのは,このちょうど能登半島の西海岸のへりで起こっているんですけれども,大きく揺れている地域が,富来とか門前とか輪島,震央に近いあたりで大きく揺れていることになります。
 これは,そこで取れた記録でございますけれども,なかなか記録を見て,どうのこうのというのは,ちょっと難しいんですが,ちょっと横に──済みません,小さくて見えないかもわかりませんが,横軸に周期というものをとりまして,縦軸に建物の揺れの大きさというものを示しています。例えば,この地震動が作用したときに,これは建物の周期ということなので,大体0.02×高さというので簡単にイメージしてもらっていいと思うんですけれども,要は10メートルですと大体0.2秒ということで,この辺の周期に対応します。30メートルぐらいになりますと,0.6ということで,この辺の建物の周期になる。もっと高層になりますと,だんだん周期が長くなって,この地震動ですと──この赤い線と青い線が水平動なんですけれども,大体どの周期にいっても,同じように建物が揺れるというふうな地震動が観測されております。
 それで,もう一つ,輪島のある地域ですと,今のとはちょっと違いまして,非常にきれいなサイン波のような,三角波のような波が取れています。このときを見てもらいますと,2秒ぐらいで非常によく揺れるというか,地震動は場所によって結局揺れが違う。これはなぜかというと,表層地盤に,基本的に柔らかい軟弱な層が堆積しておりますので,それだけゆっくり揺れた地震動が地表面に来るということでございます。先ほどと比較してもらいますと,先ほどは大体まっすぐ,どの周期でも同じような揺れが起こったんですけれども,この場合は,2秒ぐらいの建物が非常によく揺れるような波であるということで,建てる場所によって建物への影響というのは,当然変わってまいります。
 この地震での被害でございますけれども,これはほとんどシャッターのようなもので壁がありませんので,そういう車庫のようなものは,基本的には斜めに倒壊してしまうということがございます。
 伝統木造による被害ということで,これ外観ですけれども,中に入ってみますと,柱の下と上というか,柱頭と柱脚部分で被害が起こって,柱の曲げ破壊等が生じてございます。
 それで,これも同じような伝統木造の被害でございますけれども,ここにちょっと戸が外れたりしておりまして,この柱が傾いた状態になっております。
 最近は,建物と基礎のあたりの部分が,昔とは大分変わってきまして,今は鉄筋コンクリートの基礎を立ち上げて,そこにアンカーボルトで上部構造の土台とつけるということで,この部分が結構緊結されるんですけれども,昔はこういう石の上に建物を置いているということで,基本的にはこの建物と下の石がついていない。こういう場合は,そこでずれるというか,建物が大きく揺すられますので,この基礎の石との間で摩擦が切れて,建物だけ移動するということがございます。この場合,移動してよかったのか悪かったのか,非常に難しいところがあるんですけれども,実は移動することによって,上部構造にそれ以上力が入りませんので,基本的には,壊れにくくなるということも一つ言えるわけでございます。今の建物は壁が結構ありますので,必ずこういうところで──基礎で滑るのではなくて,きちっとボルトで締めて,基礎ではずれないようにするというふうな設計になってございます。
 それと,商店街ということで,この道路沿いですと,大きく間口をあけまして,その道路に並行な方向には壁がないというのがございます。どうしてもこうなりますと,道路に沿った方向に傾いてしまうということになります。
 これは,助かったというか,被害が余りなかった例でございますけれども,ここに,こういう斜めの筋交いが2カ所設けておりまして──これがちょっと大きく写したところでございます。こういう筋交いというのは,基本的には壁と等価なもので,横方向に力がかかりますと,この斜めの筋交いでその力に抵抗するということで,筋交いを入れることによって,被害を抑えたという例でございます。
 これは,もともとこの下が蓮の田んぼだったようで,そういうところに建っておりますと,建物がよく揺れるというふうなものがございます。
 これは,ちょっと図が変わりまして,横軸に壁量の値を,建築基準法で必要な量で割ったもの。基本的に1というのは,建築基準法で今必要とされている壁量です。それで,この辺で被害に遭った建物を幾つか調べてみますと,壁量が0.4とか0.5とか0.6,現在の建築基準法に比べると,壁が少ない建物が多くて,その場合ですと,残留変形と言いまして,その傾いている状態を数字であらわしたもので──要は,柱の頂部,水平の変形量を高さで割ったものと思っていただければ……。0.1というのは,結局3メートルの柱ですと,30センチメートル変形したまま残っているということです。だから,地震のときには,基本的にはもっと揺れている。地震が終わった後はかりに行くと,0.1の数字だったということでございます。0.1というのは,そういう木造の構造から言いますと,もうこれはほとんど倒壊に近いということでございます。これ以上いきますと,上部構造の重さを支えられなくなりますので。今,建築基準法で,木造の大体30分の1ぐらいですか,0.03ぐらいより大きくなりますと,それはもう非常に危険な状態というふうに判断しております。
 それで,同じように──方法が2つありまして,もう一つは品確法と言って,建築基準法ではなくて,そういう品質確保に関する法律というのがあります。それでいきましても,同じような量の壁量で,やはり壁量が0.7を下回ってまいりますと,基本的には大きな被害が出るということでございます。
 地震が起こりますと,建物をどういう形で安全とか危険とかいうふうに判断するかと申しますと,今,応急危険度判定という制度がございます。これは,建物が傾いたままとまっているときに,その中に入っても安全かどうか,危険かということを,地震の直後に判定するシステムでございます。判定士が,そういう建物の被害の激しいところにすぐ駆けつけまして,危険か,要注意か,安全か,という形のものを判断するわけでございます。その家の前には,こういうふうに,非常に危険な条件に合致している場合は赤い紙を。物を取りに入るにはいいんだけれど,そこに住むことはだめですよというのが要注意。調査済というのは,そこに入っても安全だという形の3つに,シールを建物の前に張ります。そういう形で,応急危険度判定をいたします。
 その結果でございますけれども,能登半島地震の場合は,調査したものの割合が載っていまして,例えば旧輪島市の場合ですと,調査済みで安全なものが大体3,000棟あったのに対して,赤の危険──建物に入ること自体,余震が来ると結局倒壊する可能性もあるということで,非常に危ないものが241件。倒壊する危険はないけれども,入っているときに何が起こるかわからないということで,要注意が360件ぐらいということで,全体の数に比べますと,危険とかの状態がかなり多くなってまいります。基本的には,こういうものは古い木造の建物が主に,こういう赤い紙が張られているということでございます。
 それで,2007年の7月には,新潟県中越沖地震というのが起こっております。これも同じように,先ほどの応急危険度判定をしますと,柏崎市ですと安全な建物が2万棟あるのに対して,4,600棟ぐらいが危険だということで判定されています。これは,柏崎市全市ではなくて,ある程度地震が大きい地域だけをやっていますので,これを足したものが柏崎市の住宅の数ではございません。その辺は,ちょっと御注意していただきたいと思います。震源に非常に近くて建物が壊れているような地域ですと,かなり危険な建物が,地震後発生しているということになります。
 あと,同じような被害,こういう車庫のような建物ですと,1階が倒壊していたり,あと,伝統木造のようなもので壁がないような建物ですと,柱の柱頭と柱脚で壊れて,斜めに曲げ破壊している例が幾つか見られております。これも同じような被害です。
 結構,液状化というのがこの地域では起こっていまして,原子力発電所があるあたり──海に近いところは,基本的には砂丘というか,柏崎というところは砂地盤でございまして,そのあたりにある建物で,建物の影響というのははっきりしないんですけれども,これが水槽でして,水槽が30センチメートルぐらい浮いているわけですね。これは基本的には,地盤が液状化して水のようになったので,浮力で浮いてくるということで,こういう地盤が何か変状を起こして建物に影響を及ぼすということも,被害としては確認されております。そういう地盤の変状によって,建物への影響も出ているものもございます。
 一つ,ちょっと珍しいんですが,大体建物というのは1階が壊れるんですけれども,これは2階が倒れているということで,なぜ2階が倒れたのかという原因,難しいんですが,非常に珍しい被害も生じてございます。
 まとめですと,基本的には,納屋とか車庫とか,あるいは伝統的な木造で,少し古い建築されたものが倒壊に至っております。
 原因は何かということでは,基本的には耐震要素が少ないということで,壁とか筋交いが,要は入っていない。昔の建築基準法でつくられたようなものについては,基本的には耐震,少し改修しないと建物がつぶれて,たまたま起きている時間帯であればいいんですけれども,寝ていたりしますと逃げる時間がないということで,こういうのは耐震改修の必要があるのではないかと思ってございます。
 あと,最近の建物というか,1981年ごろに耐震設計法が少し変わりましたので,ここ20年ぐらいの建物については,比較的被害が少ないということでございます。先ほどの図にもありましたように,壁量が今の建築基準法の7割ないし8割ぐらいあれば,大きな被害を免れることができるということになります。
 その他の被害ということで,ちょっと木造から外れますけれども,これは,福岡県西方沖地震というのが2005年にございまして,これは柱ではなくて,ただの2次部材というか,構造体ではない壁なんですけれども,こういう壁が壊れますと,ドアが開かなくなるということがございまして,避難したいときに外に出られないというふうな被害も,最近は確認されております。こういう構造体だけではなくて,そういう力を負担しないような壁の設計も大事であるということが,認識されてございます。
 これは,同じ地震ですけれども,要は,ちょっと古い窓枠の工法になりますと,ガラスが割れてしまいます。この割れたガラスは全部下に落ちて来ますので,その下をたまたま歩いていた場合には,非常に危ない条件になりますので,こういうガラスを取りつけている,そういう材料につきましても,基本的には新しいものにしていく必要がある。
 これは玄海島の,山肌を切り盛りしてつくったようなときには,擁壁とかがけ崩れが頻発してございます。
 それと,これは宮城沖地震のときに,天井裏が落ちましたプールでございます。構造体には特に被害がないんですけれども,天井をつくっておりますこういう材料が,すべてプールの上に落ちたということで,こういうあたりの耐震設計というのも大事になってまいります。
 次に,順番が変わりますけれども,最後の2ページほど──うちの河合が,こういう木造建物の実験をやっておりますので,そのあたりをちょっと見ていただきたいと思います。
 実は,これは神戸にあります大きな振動台を使った実験でございます。今,4つほど,実物に非常に近い建物をつくりまして,実際に地震動を入れて揺するということでございます。
 まず,A棟というのは,1974年に新築をしました建物で,同じような建物が2棟ありましたので,この建物をそのまま振動台の上に載せて揺するというのをやってございます。これがA棟でございます。
 それで,それを補強しまして,今の建築基準法で満足するような形にしたものがB棟です。
 C棟は,A棟と同じものを,今の工法で新築したというもの。これは建物をもらってきて,そのまま移動してセットしました。
 D棟は,新しく新築をした場合ですね。これは地盤の上に載せたんですけれども,少し補強はしてあります。この4つの建物の揺れを見ていただきたいと思います。
 これは,建物の強さの相対的な比較でございますけれども,A棟というのは補強してございませんので,Y方向には,建築基準法を1としますと,1階で半分ぐらいの強さしかないような建物です。
 それで,これは補強していますので,今の基準より2倍程度強度が大きくなっています。
 これは,同じ建物で新築の場合。
 これは不完全補強というか,無補強ではないんですけれども,ちょっと部分的に補強したような建物でやった場合ということで,強度でいきますと半分程度。
 これは1.5倍程度の強度があるという建物でございます。
 それで,これは手前が無補強の建物で,奥が補強したB棟。これはA棟,B棟です。
 それで,実際に神戸で取れた地震動を,3次元で入れております。やはり補強してなくて1階が弱いですので,ある程度変形が──例えば10分の1を超えてきますと,上の建物の自重が支持できないということで,こういう形で倒れてきます。
 もう一度見ていただきます。
 これがA棟です。基本的にはこの辺の壁が,地震動が来るとパラパラとはがれてしまいまして,後は,こういう柱だけしか残っていないような状況になります。それで,ある程度変形が大きくなりますと,建物の重さを支え切れなくなって倒れてしまいます。こちらの話,ちょっと言いませんでしたけれども,耐震補強している建物ですと,この地震動では壊れずにもっているということになります。
 それで,今度は,これがC棟で,ちょっと小さい地盤をつくりまして,その上に少し補強した建物になってございます。基本的にはA棟と変わらないんですけれども,ちょっと今新築していますので,同じ波を入れても,やや──ほとんど倒れそうなんですけれども,何とかもったという状況です。でも,これは先ほどの応急危険度判定にかかると,多分赤紙を張られるような変形になっています。
 これは,今,C棟,D棟がひっくり返っているんですけれども……。C棟を今の1回揺すった状態で,もう一度同じ地震を入れます。要は,かなり大きな余震が来たという状況ですね。本震では倒れなかったんですけれども,次に非常に大きな余震が来たとすると,そのときに実は倒れてしまう。要は2回地震を経験すると,やはり倒れるということです。応急危険度判定というのは,2回目のかなり大きな地震で倒れないように,もうここには赤い紙を張って,立入禁止というふうな形にするということです。基本的にはA棟とかC棟とか,耐震的にちょっと壁が足りないものや,筋交いが足りないものについては1階で──弱いですので,こういう形で倒れてしまうということが,実験でも確認されてございます。
 次は,鉄筋コンクリートの建物の被害なんですけれども,最近の地震では,鉄筋コンクリートの被害というのは余りなくて,木造の被害が比較的多いんですけれども,鉄筋コンクリートの被害と耐震補強の方法ということを,少し御説明させていただきます。
 皆さん,神戸のときの地震の被害というのは,まだ記憶に残っていらっしゃると思いますけれども,これが神戸の市役所で,こちらが低層棟,こちらが高層棟というのがあったわけでございます。低層棟の5階部分が,要は層崩壊,層でつぶれてしまいましたので,今はこの建物の上を取っ払いまして,4階建てという形で使っております。高層棟の方は,ほとんど被害がなくて,そのまま使われております。
 このときは中間階崩壊というか,建物の1階ではなくて,3階とか4階の部分が崩壊するケースが結構たくさんございました。
 それと,これはピロティと言って,1階が柱だけでつくられておりまして,特に駐車場なんかに使っている場合,壁がありませんので,柱が壊れますと階がつぶれてしまうという被害が起こっております。そのときの被害を見ますと,こういう形で水平方向に荷重がかかりますと,変形して斜めに非常に大きなクラックが入っていまして,斜めに剪断破壊しますと,コンクリートが飛び散りまして,鉄筋が座屈するという形で,典型的な剪断破壊。このためにピロティ建築物というのは,比較的安全性に乏しいということになりまして,この地震以後,ピロティ建築物につきましては,耐震的にはかなり強化されております。
 それで,これは中越地震です。2004年の地震で,これも柱がございまして,ここに垂れ壁とか腰壁がございまして,基本的には,この柱の部分は非常に短くなっておりまして,ここで剪断破壊を起こしているような例が見られています。これは昔,地震の被害が起こったんですけれども,過去の経験から,最近は余り行わなくなってきているんですが,ちょっと古い建物が残っていますと,こういう柱が剪断破壊をしているという現象がございます。
 それで,RC建物で耐震補強するとき,どういう方法があるかということを,ちょっと簡単に御説明させていただきます。
 基本的には,柱と梁の中に壁を増設するというのが,一番確実な方法でございます。
 それで,例えば,ここが外壁の場合ですと,外が見えなくなるということがありますので,ブレース的な構造にしまして,ガラスで明かり取りというか,その辺を確保できるような形でブレース構造にするということでもございます。あと,部分的に壁を配置することによって,ある程度スペースを確保するということもございますし,建物の外に,別にその水平力に抵抗できるようなものを外づけをするというふうなものもございます。
 これは,壁がなかったところに,壁を新しく増設する場合でございますけれども,基本的には鉄筋を組んで,あとは型枠をセットして,コンクリートを流して壁を1枚増設することになります。
 それで,外壁に面している場合ですと,こういうブレース構造で水平抵抗が足りない部分は支えることになりますけれども,ブレースの場合は,この部分だけでございますので,ある程度空間が確保されるということになります。
 あと,最近の方法というか,土木の方でも結構やられていますけれども,コンクリートの周りに鉄の鋼管を回しまして,鋼管巻きという形で巻いてしまって,非常に体力を上げるということですね。中の鉄筋コンクリートだけですと,余り体力がない場合に,こういう鋼管を外から巻くことによって,そういうコンクリートと鉄の相互作用効果で,非常に大きな体力の増加が期待できます。
 最近は,そういう鋼管を巻けないようなとき──ちょっと図が見にくいですけれども,連続繊維シートと言って,シートのようなものを柱の上からぐるぐる巻くことによって,コンクリートが少し破壊しても,破壊が増大しないように,ここの部分で抵抗するというようなものもできてございます。いろいろ改修の方法は,今,そろってございます。
 これは,先ほどと同じような連続繊維シートで巻くような──簡単なポンチ絵が書いてございますけれども,例えば巻かない状態で,この柱とみなしたものに横に力をかけますと,柱がこういうふうな形で破壊するのに対して,こちらはこの黒い部分がシートで巻いてありますので,柱には見えませんけれども,この白い部分に横から力をかけましても,こういうふうな脆性的な破壊は起こらないように改善することができます。
 もう一つ,お金が結構かかるんですけれども,今,例えば市役所とか区役所とか防災拠点となるような建物の場合に,免震にする。免震のよさというのは,基本的には免震の後,上部構造が地震時に揺れなくなるということと,いながら補強というか,立ち退きをせずに,その地下の部分だけ業者が入って,上の部分はなるべくそのままでいこうというふうなときに,免震構造に変えるというのが非常にメリットがあるわけです。この部分の施工に関しては,非常にコストが高いという点が問題でございまして,結局は上のものの用途とか重要性に比例して,どういうものを選択するかという問題になります。免震の場合は,そういう積層ゴムと言って,鉄とゴムの層状になったものを,要は今の基礎の位置にセットするということになります。
 それで,例えば豊島区役所──東京の例でございますけれども,1961年につくられましたRC4階建ての建物を耐震改修しまして,免震構造物というものに変えてございます。
 あとは制震補強というか,こういう建物の階と階の間にダンパーを設けて,そのダンパーによってこういう形で楕円を描きますと,この面積の部分だけは熱エネルギーに変わるんです。要は,地震で揺れている振動エネルギーを熱エネルギーに変えるためには,こういう力と変形の関係が丸い形を描くと,熱エネルギーに変換するということで,こういう材料をフロアの間に挟むことによって,その部分のエネルギー吸収で,地震時の揺れを少なくしようというのが制震補強でございます。
 これは,静岡県庁の例なんですけれども,もともと2つの棟がありまして,その間,何もなかったんですけれども,ここにダンパーを入れることによって,建物の上と下の相関の変形に応じてエネルギーを吸収するということで,別途,ダンパーを取りつけたような補強がされております。
 それで,これはどの建物ということはないんですけれども,ダンパーで地震のエネルギーをどれぐらい吸収するかということで,横軸は,地震動がだんだん揺れておさまるまでの時間と思っていただいて,結局はこのトータルが,地震動によって建物に入ってくる,要はエネルギーになります。それを例えばダンパーがないと,どういうもので吸収するかというと,基本的には建物の柱とか梁が壊れることによって,エネルギーを吸収するということになります。構造体を壊さないようにするには,別にもっと効率のよいダンパーをつけて,こちらにエネルギー吸収をさせて,本体はほとんど損傷しないという形でつけますと,先ほどの別途,後でつけたダンパーによって,エネルギー吸収をさせることによって,入力したエネルギーの半分ぐらいは,そのエネルギーで負担しますので,構造本体には余り損傷を及ぼさないというふうなことになります。
 今,建築研究所で,耐震化率向上を目指した普及型耐震改修技術の開発というのをやっておりまして,平成19年度,2年目なんですけれども,その中の研究課題の1つとして,なぜ耐震改修が普及しないかというテーマを扱っています。まだ,ことしの成果は──実は建築基準法改正で忙しくて,なかなか研究課題まで手が回らない状態で,余り成果が出てないんですけれども,こういう普及促進に関する部分の調査した結果について,御紹介させていただきます。
 ちょっとデータは古いんですけれど,耐震性がない建物が日本にどの程度あるかという数をあらわしたものでございまして,こちらの欄は,住宅用途に使われているものだけを引っ張ってまいりました。そのうち青で示したものが戸建て住宅分ということで,今,総数として4,700万戸ぐらいございまして,約半分が戸建て住宅になっています。
 この中で耐震性のOKなものは,約3,300万戸ぐらいございまして,約7割ぐらい。しかし,戸建て住宅になりますと,6割ぐらいになります。それで,その逆数ということで,25%程度が,耐震性が今の建築基準法レベルに至っていないというものが,トータルで約4分の1,そういう戸建て住宅については40%ぐらいあるということで,その古い木造を基本的にはそのままにしておくと,この部分で,先ほどの地震のように被害が出るということになります。
 それで,住宅を除いた建物でやりますと,大体35%ぐらい──民間の建物も含めてですけれども,35%ぐらいはまだ耐震性が,耐震診断等をすると劣っているということになります。
 公共建物については,ちょっと調査しておりませんけれども,民間建築物ですと,4%ぐらいしか耐震性能の改善が行われていないということになりまして,この辺をどうするかというのが,平成15年〜16年に問題になってまいりました。このまま放置すると,基本的にはその建物が倒壊とか崩壊するということで,こういう耐震化率の向上が急務であるわけでございますけれども,そのときに政府の目標として,10年後に9割,耐震性を維持している建物にしようという目標を立ててございます。なかなか目標どおりには現在進んでいないところもありまして,こういう目標に達しないのは,どういう部分に原因があるかというところを,少し検討してございます。この普及促進ということで,耐震改修がおくれている原因というものを少し考えてみようということでございます。
 ちょっと小さくて見にくいんですけれども,例えば,国とか行政へ何を要望するかというのをアンケートしてございます。例えば,事務所とか百貨店ですと,耐震改修したら,ちょっと税制を優遇していただけないかというふうな希望がございます。
 あと,大体すべてのところですけれども,そういう補助とか認定の手続を簡略化して,もう少し簡単にしてほしいという,要は,手続が面倒くさいということもございます。
 それと,何かやる場所で,診断の内容が少し変わるということで,2次診断とか3次診断で,診断の次数が変わってくるので,そういうのはやめてくださいという形とかですね。
 あと,事務所とか学校では,基本的には改修しますと,消防法というのはやはり絡んできて,ここはちょっと面倒くさいんですけれども,例えば,壁を取っ払っちゃうと面積が大きくなったり,壁をつけたりするときに,消防法という区画がありますので,そういうものが満足できなくなると,消防法にひっかかってくるということも,要因の一つと考えられます。そういう形で,幾つか政府に対する要望が出てございます。
 それで,これはもう少し広く,どの部分にそういう要因があるのかということを少し整理しようということで,アンケートした結果でございますけれども,項目としては,費用の問題,労力の問題,あるいは,そういう業者とか改修に対する信頼が不足しているとか,費用対効果がわかりにくいとか,制度面で問題があるとか,そういう情報というか知識が不足しているという,幾つかに分けて少し項目を挙げてございます。
 例えば,その費用の問題でございますけれども,基本的には補助金が足りない,もっと補助金を出して促進してほしいというふうな項目が挙がってございます。これは,国とか自治体にも予算的には限度があって,なかなかそういうものに多く補助金をつぎ込むことができないので,この辺は耐震改修の程度というか,自治体でどの程度これをやっていくかというのと,少し関係あるのではないかと思いますけれども。
 あと,耐震性を上げるとコストアップになるということで,基本的には,古くて耐震性が低いものほど改修にかかる費用が大きく,負担がふえるわけですね。その部分,例えば今の建築基準法──本来満足してほしいわけですけれども,少しでも耐震性を上げておけば,倒壊の可能性がなくなるということで,この辺,そういう改修の方法と耐震性の向上の割合というか,そういうものをどの程度きちっと出していくかという問題にもなってございます。
 それで,安くて効果的なものがないという,これは非常に恥ずかしいところなんですけれども,実験的には,これをやるとこれぐらい効果がある,でもこれは高いよと。これは効果がないけど,安くて済むよと,その辺がちょっとはっきりしていないということで,何を選んでいいのかわからないという問題がございます。
 あと,免震は高いということですね。
 それと,基礎の補強にはお金がかかる。基礎まできちっと補強をしますとかなり──上部構造に加えて基礎の部分の補強には,ますますお金がかかってくるということです。
 あと,マンションのような場合ですと,例えば工事をしているときに,マンションから出ないとだめだとすると,そういう中に住んでいる人がいると工事ができないという問題があって,一斉に皆さんが外に出て,その期間外部にいるということも,なかなか難しいということですね。
 あと,マンションは,基本的には合意形成が難しいという問題がございます。
 あとは,業者とか,効果に対する信頼不足ということで,本当にちゃんとした補強をやってくれるのかという,業者のやったものに対する信頼感というものが,少しまだ国民には理解されていないというか,悪徳と言ったらちょっと怒られますけども,そういういいかげんに施工するような業者もおりますので,皆さんそういうところに少し問題があるかなということで,完全に信頼がとれているわけではない。この辺がだまされるというのがあって,要はお金をいっぱい取られているけど,大したことせずに終わっている。最近,これは新聞にも大分出ています。その辺,真面目にちゃんとやるような業者はたくさんいるんですけれども,悪い者だけが目立っているということでございます。
 この辺,施工管理がいいかげんとか,どうせ手抜き工事をしているとかいうことです。あとは,マニュアルがないということで,業者が適当にやっているのではないかというふうな形のコメントも出ています。
 国の基準を守っていれば安全かどうかわからないという厳しい指摘があって──守っていれば安全だと思いますけれども,例えばこういう手抜き工事をして,設計図どおりになっていないとか,そういう点があったような場合には,それは少し問題かなという気がします。
 例えば,耐震改修をしたんだけれども,壊れたときはどうするんだという,ちょっと難しい質問も投げかけられております。それは地震動の大きさとの関係で,非常に大きな地震が来た場合には,必ずしも建物が倒れないという保障は実はないんです。建築基準法で設定している程度の地震であれば壊れないということが,基本的には担保できるとは思うんですけれども,この辺は,ちょっと答えが難しい問題ですね。
 それと,費用対効果というか,そのお金をかける分だけ値打ちがあるのか。やって意味があるのかということですね。将来,この辺寿命という問題と絡んでくるんですけれども,建てて30年ぐらいたってて,あと20年ぐらいで新しいのを建てるときに,補強が要るか要らないかという問題です。それは私自身としても,あと10年ぐらいで新しくしようとするのに,そのときに金をかけるかという問題は,それは選択ということなんで……。しかし,その10年のうちに,例えば地震が来て壊れたらどうするかという問題がありますので,行政的な立場から言うと,その待っている間に対しても,耐震的に不十分なところは十分にしてほしいというふうなところは,基本的にはございます。
 それと,価格が適正かどうかわからないという,先ほどの悪徳業者じゃありませんけれども,そういう問題がございます。
 それと,建物の寿命が短いということで,今まで日本の建物だと大体30年ぐらいで壊してきたというのもありますけれども,将来的には──今,政府から200年住宅なんていうキーワードが出ていますが,長もちさせて,それを維持管理して使っていくというふうな形のものに変わりつつありますので,もう古くなったから壊すという話は,基本的にはなくなってくる。そのかわり長年もたせるので,最初つくるときにもっといいものをつくりましょうというような考えは,どうしてもこれから起こってくるのではないかということで,こういう寿命が短いときに,補強ということにメリットがあるのかということです。
 日本は,住宅というのは減価償却というか,だんだん税金も年とともに安くなってきますので,安くなると値打ちがないんじゃないかという,何かそういう錯覚のようなのがあるんだけど,本当はいいものを使ってずっと維持管理していけば,基本的には値打ちというのは余り変わらないのかなという気もします。この辺,補強しても,そういう補強効果みたいなものが建物の価値に入っていないというか,そういう点でやらないということですね。
 あとは,要は使い勝手が悪くなるということ。こういうあたりで,かなり費用対効果という問題がございます。
 あと,制度面の不足ということで,部分的に増築すると,建築基準法で,その古い部分をそのまま放ったらかしにできないとかいう問題があったり,自治体によって意欲にばらつきがある。これはそうだと私も思います。これから地震が来るような,例えば東海とか東南海,南海地震の近くにある県とか市では,自治体自体も非常に迫っているところがありますけれども──茨城県に住んでいてこんなことを言うと怒られますけれども,茨城県は地震に対しては,多分余りせっぱ詰まってないということで,余り積極的に耐震改修をしなさいということを押し出してないというところも少しあります。そういう地域というか,もうちょっと小さいグループに,こういう耐震改修の必要性とかの説明に行っていないというところは,やはりあるかと思います。
 それと,耐震基準がよく変わるという,これはおしかりの言葉かな。何か問題があると,それに対応する事後処理でいつもやっているというところがあります。
 幾つかこういう制度面の不足ということで,国自体にも問題があるかもわかりませんが,自治体によって,それぞれ自分のやりやすいようにやっているんではないかというふうなことが指摘されてございます。
 知識の不足ということで,改修するのを決める側が,非常に建築基準法が難しいとか,改修する前とした後の性能がよくわからないとかいうことで,改修してどの程度になるのかというのが,なかなかはっきりわからないという問題もございます。それと,補強しなくても我慢できるというか,地震が来ないとわかりませんので,例えば来なくてラッキーだったという判断でも,もう,そんなのしなくていいということで,補強しても大地震なら壊れるんじゃないかとか,こういう地震に対して,余りせっぱ詰まってないというふうな項目もございます。なかなかこういう状況ですと,説得というのは,非常に難しい状況には変わりはないかなと思います。
 あと,この辺になると,私の両親に説得しても「そんなものしなくてもいい」というふうに言われて,終わりなんですけれども,基本的には高齢なので「この家とともに一緒に死ぬのなら,もうそれは幸せです」と言われて,それで説得できないというふうなこともございます。高齢化社会になりますので,本当は,そういう老人を助けるためには,耐震補強というのは必ず必要なんですけれども。
 もう一つは,例えば,家が壊れて避難所に行くというのは,やはり結構大変というか,そういうところで暮らすというのは,年寄りにとっては大変なので,やはり家だけはちゃんと守ってあげて,そういう避難所に行かなくても,家でその地震の後しばらく暮らせるという形にするのが,基本的には理想的じゃないかなと思っております。
 日本人の気質として,日本人は,安全はただだと思っているということですね。要は,安全はお金を出して買うものだという意識を,もっと植えつけないとだめじゃないかというふうな意見もあります。
 それで,日本人は新しもの好きという,まあ,あるでしょうね。古いものに対して余り意識しないというか,価値がないものと思ってしまうようなところはございます。
 これは,また建築研究所でやっている課題なんですけれども,公共建築物に対する研究でもあるんですが,民間で今結構やられているような,機能回復というか,地震が起こった後,いかに早く仕事ができるようなものに回復していくかというような研究を少しやっています。
 それで,これは──ちょっと済みません,英語で書いてあるところもあるんですけれども,要は,1900年から2000年ぐらいまで10年ぐらいの区間で──この青が死者の数ですね。それに対して,この赤と言うか紫色が,経済損失額というか,基本的には町がだんだん大きくなってきていますので,一回そういうところで地震が起こりますと,かなり経済的な損失がふえます。昔は,余り都市が発達していないというところもありまして,死者数が非常に多くて──最近,少し死者数は減ってきてはいるんですけれども,そのかわりに経済的な損失が非常に大きくなっているという現実がございます。
 そういう被害をして,ちょっと困ったというふうな話ですけれども,神戸のようなときですと,都市機能が麻痺して長期間自宅外で暮らすとか,構造体の被害がひどくて,結構お金がかかって,結局修復するより取り壊してしまうとかいうふうな例がございます。最近ですと,非構造部材の被害ということで,天井が落ちたりして,当初避難所と想定していたようなところが,避難所として使えないというふうなところも出てまいります。そういうときに対して,そういう地震後,基本的には,建物にこういう機能を持たせるはずだったんだけど,そういう機能を持たせることができなくなっているということがございます。
 あと,今回の地震でも,車の関係の部品工場がやられて,車関係のその会社が総出で手伝ったというのがございますけれども,そういう被害が起こりますと,経済活動がとまってしまうという問題もございまして,こういうものをどういう形で解決していくかということになります。
 今,建築基準法では2つ,地震のときの程度と被害の状態ということで──例えば中地震ですと,機能保持ということで,これは地震が起こる前の状態をそのまま維持できるような条件を担保するということで,被害が基本的にはない状態を確保することにしています。
 それで,大地震のときは,今の基準は基本的には人命保護ということで,建物が倒壊・崩壊しないということを条件にしております。したがって,当然建物の部材にはひび割れたり,損傷はある程度するんですけれども,人命の保護を図るということです。
 それで,ここにちょっと円を3つ書いたんですけども,修復性と言って,地震が起こった後,建物をどういう形でもとに戻すかということなんですが,一つは,修復のしやすさの確保。壊れてすぐ修復できれば,基本的には復帰が早いということがございます。
 それで,これは,例えば修復と言いましても,建物の本体だけとりあえず住めるようにするというイメージでございまして,もう少しこれを大きく機能回復性ということは,そういう建物が持っている用途とか,仕事をできる内容そのものまで,一応回復させるということです。建物は大丈夫だったけれど,例えばパソコンとかが全部壊れちゃって,すぐ仕事ができないということでは困るので,もう少しこの辺も広くとらえて,そういう建物だけじゃなくて,室内の機能の回復をいかに早くするかというのが,次に大きな問題となってきます。
 そういうものをぐっと広くとらえますと,事業の継続性ということで,基本的には地震のときに何も被害が起こらなくて,地震が終わった後,すぐもとどおりの状況になればいいんですけれども,なかなかそうもいかなくて,要は機能回復させるには,どういうふうなことを考えればいいかということになります。
 そういう事業の継続計画ということでございますけれども,地震が起これば,やはり何か損傷というのは出るので,基本的には,いつまでにその機能を回復させるかというふうな考え方ですね。こういうものが大事になってきます。例えば,何かをつくっているときに,3〜4日はその機能が発揮できずに,復旧する期間が必要ですけれども,4日目からは生産がきちっとなるとか,例えば自治体の防災拠点ですと──防災拠点の場合,被害が起こらないという想定も難しいんですけれども,ある程度複数そういうものを持っていたら,どこかでそういう機能が発揮できるとか,3日〜4日たてば,その機能が回復できるとか,そういう考え方が必要になってきて,こういうものを普段から考えておく必要がございます。
 そういうのをBCPと言って──ビジネス・コンティニュティー・プランですか,事業継続計画という形のもので,例えば災害がここで発生して,現在ですと復旧に少し時間がかかって,もとの状態になるまでに結構時間がかかる。そのときに,今のレベルで,ある地震に対してすぐ対応できるようなものを考えておきますと,復旧までの時間が非常に短くなるというふうな考え方でございます。そのために,今までこの程度復旧にかかっていた時間を,例えば半分ぐらいにして,かなり早期に機能が回復できるというふうな考え方が,このBCPという考え方でございます。それで政府としても,そういう事業継続関係のガイドラインとか,業種別とか,規模別のBCPというものを取りまとめたりしてございます。最近,内閣府等で,首都直下型地震の被害想定等が出ていますので,そういうものに対応して,企業がどの程度そういう事業継続計画を策定するかという目標数値みたいなものが示されましたので,地震が起こった後の機能回復に対しては,皆さん意識を持ってやられるようになってきているというのがございます。
 これは,一つの例ですけれども,2004年の新潟県中越地震で,ある病院がございまして,その病院が──要は,その病院機能を回復するまでの情報をいただいて,少しまとめてございます。これが病院のプランでございまして,病院というのは,増築増築がいっぱいやられているようなんですね。例えば,まずこの建物は別で,あと,この辺が一体でつくって,また,これは別につくって,また増築して増築してという……。建設の年代が一番古いものですと,これが昭和30年代につくられたもので,一番新しい本館──この部分ですね。この部分は平成2年の竣工ということで,もう30年ぐらい差があるわけです。そうしますと,やはり地震が来たときに壊れる程度が違ってくる。この古い建物は大破しましたので,解体されてなくなっています。それ以外は,それほど被害が大きくなかったので,修復して使うということになっています。
 これは,そういう緊急の復旧に要した人数をちょっと挙げていますけれども,18日ぐらいである程度……。16日目に全診療可能ということで,病院の機能をとりあえず回復したということです。それまでに緊急に5人とか10人,15人ということでかなり人を入れて,延べ117人ぐらいの人を入れてやっているということです。この辺,多分もう少し初期に計画されていれば,こんなに要らなかったかもわかりませんけれども,病院機能を回復するのに,基本的にはどういう被害が起こって,どういう想定になるかということを考えていく必要がございますが,そういうものもあらかじめ考えていくという形で,被害に対する対応というものを,初めから検討するということが必要になってきてございます。
 それで,こういう研究をやっているわけですけれども,基本的には,業務停止期間を最低限にするということと,それと地震が起こったときに,どれくらい修復費が要るかというふうなこと,こういうあたりを中心に検討してございます。
 あと,これはプラス・アルファで申しわけないんですけれども,実は建築研究所でこういう建物の強震観測というのをやりまして,地震が起これば幾つか地震動を取って,建物の挙動も取っているんですけれども──ちょっと済みません,英語で書かれていて申しわけない。関東のここは,つくば市なんですが,つくば市から東京寄りは結構密に地震計を置いています。それで,ここがつくば市になりまして,上がるといわき市までないんですね。これはなぜかと言うと,建築研究所のそういう日本全国の強震観測のポイントは,100キロメートル,200キロメートルかな,そういう何キロメートルおきに置いて──どこで大きな地震が起こるかわからないので,そういうところで取ろうということで,この辺で,建物の1階と屋上階に地震計を置いています。
 今回,例えば能登の場合ですと,この金沢に置いてあったんですけれども,金沢は大した揺れじゃなくて大きなのが取れてない。それで,もう一つ,新潟中越地震のときは,新潟市と上越市に実はついているんですけれども,この間で起こっていますので,余り大したものは取れてないということで,建物が大きな揺れで観測を取るというのは非常に難しくて,予算というものもありまして苦しいと。例えば,つくば市の建物の中には,地盤の中とか建物の中に結構たくさんついていまして,例えば地下90メートルぐらいの記録から,地表面の記録や建物の中の揺れとかがわかるように,加速度計がついています。
 2003年の十勝沖地震の場合ですと,これは釧路とか広尾とかいうところについていまして,釧路の場合は免震構造になっているので,例えば磁場の中を増幅して来たのが地下に入って──1階というか,ここに免震装置がついていますので,地階の記録よりは,1階の記録の方が小さくなっている。免震効果によって,応答が下がっているというのがございます。こういう形のものがきれいに取れています。
 それで,実はこのいわき市とつくば市の間がちょうど水戸市なので,水戸市のどこかに新しく地震観測をできるようなものをつけていただくと,この辺の地震が取れて,将来茨城県のためになるのではないかと思っておりますので,その辺,何か可能性がございましたら,よろしくお願いしたいという希望で終わらせていただきます。
 以上でございます。


◯加倉井委員長 飯場さんにおかれましては,長時間にわたり,詳細な御説明をいただきまして,まことにありがとうございました。
 それでは,ここから意見交換の時間とさせていただきます。
 ただいまお伺いいたしましたお話について,委員の方で,何か御意見あるいは御質問がありましたら,御遠慮なくお出しをいただきたいと思います。
 今委員。


◯今委員 免震構造が御専門みたいなんですけれども,公共と言いますか,大きい建物には,最近かなり採用されているんじゃないかなと思います。余り戸建ての方は免震構造が進んでいないというお話があったんですけれども,その原因,課題という話はあると思うんですが,要するに一般の大きい建物の場合の,建物と免震構造の価格と言いますか,この割合と,戸建てにしたときのその割合がどうなっているのか,ちょっとお聞きしたいと思います。


◯加倉井委員長 飯場さんお願いします。


◯飯場参考人 今,免震建物というのは,普通の住宅だと2階建てぐらいで,高い建物ですと,もう60メートルを超えるような建物もあります。
 それで,昔は10階建てぐらいの建物でも,高くて5%ぐらいアップしていたんですけれども,最近は3%ぐらいですね。免震にする,しない。例えば,しないのを1としますと,免震にしたときに1.03ぐらいで,3%ぐらいは価格的には高く,それはある程度──10階建て以上ぐらいのビルですが。結局,階が高ければ高いほど,免震にかけるコストがだんだん減ってきますので,その分……。今,3%ぐらいですから,それを安全を買うためのお金だとすれば,3%というのは,私としては余り高いものではないんじゃないかという気はしています。
 それと,それがだんだん下がってきて,例えば5階建てぐらいになりますと,5%,6%ぐらいになりますし,2階建てですと,やはり最低10%。例えば,上部構造が2,500万円ぐらい建物がかかるとしますと,やはり250万円から300万円ぐらい免震にどうしてもかかってしまいますので,今,安いところですと200万円以下ぐらいで何とかするというのがありますけれども,それ以上はなかなか下がらない。10年前研究を始めたときは,車1台分というふうに言ったんですけれど,車1台と言っても100万円から500万円ぐらいまでありますので,結局答えは余りなかったんですが,やはり1割。今,1割はなかなか下らないでしょうね。それだけ需要が出てない点もあって,その部分がまだ高くつくということもありまして,もっと大量に同じものが出れば,7〜8%とかにはなるんですけれども,なにしろ2階建てで免震となると,やはりどうしても割高になって,その辺が普及しない原因の一つだとは考えていますけれども。


◯今委員 結局,木造の2階建てとすると,何と言いますか,免震を使うと……,ビジットな構造にするわけですよね。何と言うか,フレキシブルがないような構造になると思うのですけれども,そういうようなことを考慮しなくて,上の構造が対免震じゃなくても,10%というのは変わってこないんですか。


◯飯場参考人 今度は,上部構造の量ですね。実は残念なことに,地震は地盤から来る。もう一つあるんですよ,風──台風ですね。要は,強風は上から来るんです。強風のときは,免震であろうが非免震であろうが同じ力を受けますので,例えば地震のときに揺れなくて,断面が小さくなったり,壁がなくなることはできますけれども,風は同じ条件で来ますので,風に対して同じ量の壁をつけないとだめなんです。木造の2階建てぐらいになりますと,非免震の場合,大体地震と風が同じぐらいになりまして,量的には余り変わらないんですね。結局,免震にしても壁量を減らせないということになりますので,だから,免震にするメリットは建物の構造体の量ではなくて,中にいたときに揺れを感じないということでの安心というか,そういうものを買っていただくということになります。


◯今委員 わかりました。あと,先ほど地震計の話があったんですけれども,先日もつくば市の防災科学技術研究所におじゃましたんですが,あの施設でも,気象庁だとか,いろんな地震の観測点があって……。あちらとは,どのように連携されているんでしょうか。


◯飯場参考人 防災科学技術研究所というのは,Kネットという地震計を全国にいっぱい設置しているんですけど,基本的には,あそこがやっているのは地盤の上なんですね。だから建物ではなくて,例えば小学校の敷地の端の方にちょっとしたコンクリートの台をつくりまして,そこに地震計を置いているということです。その記録を取れること自体非常に意味があっていいんですけれど,やはり建物の中で取れていないので,地盤の上の記録はいっぱい取れて,地震学をやっている方とか,地盤をやっている方には非常に重宝するというか,そういう記録がたくさん蓄積されますので。今,私が見せたものも,基本的には防災科学技術研究所とか,あと気象庁でやっている観測が公表されて使えるわけです。しかし,建物の中というのは,基本的には建物の所有者の了解というものが必要になるし,例えば,自分のついているところの建物が変な動きをしたんではないかとか,そういうちょっと心配な面がありまして,なかなか公表という問題が難しくて,つけさせていただくことに了解をもらうこと自体,結構大変なんです。うちの場合ですと,例えば国がつくった合同庁舎のようなところにつけさせていただいているんですが,防災科学技術研究所は,建物は関係なくて地盤だけなんで,地盤の記録はいっぱいあるんですけれども,建物の記録は基本的にはないということです。


◯今委員 今,そこに出ていますけれども,そうすると,具体的にああいうものを設置するとすると,どんなことになりますか。どんな場所に,どのように設置するのか。


◯飯場参考人 例えば,これは建築研究所の中の建物なんですけれども,これは自分のところの住んでいる建物なので,いっぱいついてはいるんです。実は,ほかのところはこんなについているわけではなくて,基本的には地盤の上,建物の1階,屋上階,要は3点しかついていません。それで,この建物に入って来る地震動に対して,建物がどういうふうに揺れているかというのは,この3つの点で観測した記録で,そういう建物の揺れがもともと想定されたものと合っているのか,違っているのか。違っている場合は,どこにその違いがあるのか,というのを検討することになります。
 そして,もう一つ,例えばちょっと大きな地震が来て少し損傷したときに,その損傷によって,揺れがどう変わってくるかということを見ることを目的にしています。でも,損傷が起こるほど地震が取れるかと言うと,なかなかそういうふうに取れないで,もう気長に待っている状態です。


◯今委員 そうすると,具体的に水戸でつけるとしたら,例えば県庁がいいのか,合同庁舎がいいのか,市役所がいいのか,どうですか。


◯飯場参考人 ちょっと,そこは難しいですけれども,例えば,最近建て替えられた建物につけた場合には,結構大きな高い建物で免震構造とか制震構造──霞ヶ関にも結構つけてはいるんですけれども,耐震改修して免震にしたなんていう,そういう高い建物は結構ついてはいる。私らが普段住んでいるような,例えば4〜5階建てのようなものが余りついてなかったりするんですね。それと,正直申しますと,耐震改修を基本的にはしてないような──そんなところにつけるということでは,怒られそうなんですけれども,そういう小さい地震動でも被害が起こるようなところに本当はつけておくと,先ほどの耐震改修の必要性をアピールするためのデータがつくれるとか……。基本的には,そういう県庁の高い建物ですと,つけておくといいとは思うんですが,最近つくられた新しいものというのは,本当は必要なんですけど,その建物で私はいいのかちょっと……。


◯今委員 わかりました。


◯飯場参考人 いろんなものにつけたいというのは,興味があるんですけど,どちらかと言うと古い建物の方が,取った意味は大きいかなという気はします。


◯今委員 部長,何か協力して,どこかにつける相談を受けたらいいんじゃないですかね。
 以上です。


◯加倉井委員長 ほかに,ありませんか。──井手委員。


◯井手委員 私ども行政に携わる者にとって,一番免震とか耐震で気になるのは,やはり公共施設の耐震ないしは免震ということが気になりまして,特に茨城県の場合も,なかなか公立の学校の耐震化が進んでいないという事実がございます。そういう中で,正直言ってかなり予算が食うというところで,耐震の改築とか改装に関しても,その予算が果たしてどのくらいかかるものだろうかというのは,素人の目では全く見えない。出て来る金額が,かなり大変な金額になるというようなことになりますと……。これでは,なかなか基準づくりというのは非常に難しいんでしょうけれども,何らかの──例えば,小学校なら小学校等の耐震とか免震をやるときの一つの物差しづくりみたいなものを,金額のベースですけれども,また,工法とかそういったものの取り組みというのは,現に何か行われているのかどうか,ちょっと教えていただきたいんですが。


◯加倉井委員長 飯場さん。


◯飯場参考人 そういうのが多分つくられていたら,もう少し順調にいくかなと思うんですけれども,例えば──ちょっと済みません,小学校において話をさせていただきますと,防災拠点と言うか,地震が起こった後,行政機能を維持していくのに基本的に必要なもの,例えば消防署であれ,警察であろうが,病院──病院は民間が多いかもわかりませんが,そういう機能は,やはり確実に機能する必要があると思います。それと,小学校で言いますと,例えば避難所──避難所になっていない建物は後回しにして,子供を犠牲にしてもいいのかという,非常に難しい問題がありまして,本当は小学校なんかは平等なので,どこの建物を一番だということは基本的にはないわけです。だから,そういう避難所になっている小学校に設置されている体育館で,そういうところを避難所にするには,新しい建築基準法でできているようなものか,あるいは,もうそこは改修を優先させてやるということですね。
 もう一つ,例えば小学校とかで,どういう順位というか,優先的にするかということで耐震診断というのがありまして,満足している数字より非常に近いあたりは余り──これが記録に残ると私も困りますが,余り急いでやる必要はなくて,ある数字より非常に小さいものは,逆に改修するより建て直した方がいいという判断もどこかにあると。余り低いものは,要はお金が非常にかかる。そういうものは,もう新築に回していく。その間のちょっと低くて,ある程度までの間は,もう改修でしかいけませんので,その辺は,基本的には診断をしたときに,数字の低いものから進めていくというふうにすると,ある地震動が来たときに,たまたまラッキーにちょっとひっかかった場合には,少し欠けているようなものですと,建物として耐えてくれるわけです。しかし,それよりちょっと低いものは耐えてくれるか,くれないか,微妙なラインになりますので,その辺ですと,そういう耐震の性能が低いものから優先的に上げていけば,倒壊する可能性を全体的に低くできますので,そういうふうにもっていけば,基本的には国民と言うか,父兄とかの理解は得られるのではないかと私は思います。優先順位をただつけるというつけ方のルール──別に国で特にそういうルールをつくっているということはないんですけれども,逆に,そういうのはつくりにくいというようなところもありまして,でも,何か数字を出さないと,なかなかつくれない。本当に耐震性が低いものは,放ったらかしでいいのかという問題はあるんですけれども,どこに一番お金をかけていけば,全体的に安全なレベルを上げられるかというところが,やはり一番大事じゃないかと思いますけれども。


◯井手委員 ありがとうございました。


◯加倉井委員長 ほかに,御意見,御質問ありませんか。──。
 それでは,以上で「近年の地震被害と建築研究所の地震被害軽減に向けた研究の取り組み」についての意見聴取を終了させていただきます。
 飯場さんにおかれましては,責重なお話をいただきまして,ありがとうございました。
 本日,お話いただいたことにつきましては,今後の委員会審査の参考にさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
 以上で,意見聴取を終了いたします。
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◯加倉井委員長 ここで,暫時休憩いたします。
 各委員は,着席のままでお待ち願います。
                午後2時25分休憩
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                午後2時29分開議


◯加倉井委員長 休憩前に引き続き,委員会を再開いたします。
 これからは,閉会中のテーマであります「県民の安全・安心な暮らしの確保」について協議いたします。
 本年の土木委員会として,閉会中の委員会としましては,10月25日の土浦,竜ヶ崎土木事務所管内,11月6日の鉾田,潮来土木事務所管内の県内調査を除けば,本日が最後となります。
 ことしの委員会の運営については,審査の結果を,中長期的なスパンにおける県の施策に反映させるよう政策提言として取りまとめ,第4回定例会において報告するとされておりますので,次回の第4回定例会会期中の委員会において,執行部に対して提言を行ってまいりたいと思います。
 提言を行うに当たり,執行部の取り組み状況について説明,報告を求められればよいのですが,何分時間もございませんことから,本日は資料を用意してもらっております。
 執行部の取り組み状況を資料により確認していただきまして,その後,質疑を行います。
 資料は,けさから配付をいたしております,この資料でございます。
 質疑終了後,執行部は退席し,その後,執行部に対して行う提言について,委員間で協議いたしたいと思っております。
 それではこれより,「県民の安全・安心な暮らしの確保について」の執行部の取り組みについて協議いたします。
 土木部における「県民の安全・安心な暮らしの確保について」の関速事業について,右上に閉会中委員会資料として記載してあるものですが,今,申し上げたこれですね。事前にお手元に配付をいたしております。
 この件につきまして,委員の方々で何か御意見等ございましたら,お出しいただきたいと思います。質疑のある方はお願いいたします。
 井手委員。


◯井手委員 3ページにございます津波浸水想定区域図の作成,いわゆる津波,洪水,浸水想定ハザードマップですが,この内容につきましては,先ほど土木委員の方にも御配付をいただきまして,見させていただいているところでございますが,これの公表の仕方というのは,いわゆるハザードマップというようなハードのペーパーと,インターネット等での公表というのはいかがになっていましたか。


◯加倉井委員長 早乙女河川課長。


◯早乙女河川課長 浸水想定区域図ですか,これは,きょう4時からの記者発表で行います。記者発表後は,インターネットですべて公開いたします。
 以上でございます。


◯井手委員 非常に大事な取り組みでございますし,また,ただし,そこに現に住んでいる住民にとっては,逆に不安をあおるような危惧もある情報でございます。丁寧な情報の公開とその説明が必要かと思いますので,どうかよろしくお願いしたいと思います。
 全体的には,そういったものを含めまして,いろいろな情報がインターネットやハザードマップの情報も提示されておりますので,これから県がつくる──これは企画部が中心になって進めております,GISなんかとの情報提供とうまくリンクさせて,わかりやすく,使いやすい総合的な防災情報のシステムづくり等も御検討いただければというふうに思っております。
 以上でございます。


◯加倉井委員長 ほかに,御意見,御質問ありませんか。──。
 ないようですので,それでは,これで執行部の取り組み状況に関する質疑を終了いたします。
 執行部の皆さんには,御退席いただいて結構でございます。
 御苦労さまでした。
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◯加倉井委員長 ここで,暫時休憩いたします。
 各委員は,着座のままでお待ち願います。
                午後2時35分休憩
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                午後2時36分開議


◯加倉井委員長 休憩前に引き続き,委員会を再開いたします。
 ここでお諮りいたします。
 本委員会では,閉会中委員会の活動テーマとして,「県民の安全・安心な暮らしの確保」について,現地調査や県内・県外調査を実施してまいりました。
 この審査の中で,委員の皆さん方,あるいは参考人の皆様方から出された御意見等につきまして,これを整理し,次回の第4回定例会会期中の委員会において,執行部に対して提言を行ってまいりたいと思います。これに御異議ありませんか。
             〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕


◯加倉井委員長 御異議なしと認め,そのように決しました。
 その提言書に盛り込む項目(案)をお手元に配付いたします。
                 〔書記配付〕


◯加倉井委員長 ただいま,お手元に配付いたしましたとおり,各項目ごとに施策を提示していきたいと考えております。
 提言書の案文につきましては,委員長に御一任願いたいと思いますが,御異議ありませんか。
             〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕


◯加倉井委員長 御異議なしと認め,そのように決しました。
 以上で,委員会を閉会いたします。
 本日は長時間まことにお疲れさまでした。
                午後2時38分閉会