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平成17年  6月 定例会(第305回) 06月21日−01号




平成17年  6月 定例会(第305回) − 06月21日−01号













平成17年  6月 定例会(第305回)



     第三百五回宮城県議会(定例会)会議録

                           (第一号)

平成十七年六月二十一日(火曜日)

  午後一時二分開会

  午後二時十七分散会

      議長               渡辺和喜君

      副議長              石橋信勝君

出席議員(六十名)

        第一番            菅原 実君

        第二番            本木忠一君

        第三番            長谷川洋一君

        第四番            渡辺忠悦君

        第五番            庄子賢一君

        第六番            佐藤光樹君

        第七番            中島源陽君

        第八番            中山耕一君

        第九番            佐々木征治君

        第十番            熊谷義彦君

       第十一番            坂下 賢君

       第十二番            加賀 剛君

       第十三番            青野登喜子君

       第十五番            伊勢 敏君

       第十六番            佐々木敏克君

       第十七番            小野 隆君

       第十八番            須田善明君

       第十九番            寺島英毅君

       第二十番            安部 孝君

      第二十一番            皆川章太郎君

      第二十二番            小林正一君

      第二十三番            佐藤詔雄君

      第二十四番            岸田清実君

      第二十五番            岩渕義教君

      第二十六番            遊佐美由紀君

      第二十七番            藤原範典君

      第二十八番            横田有史君

       第三十番            大学幹男君

      第三十一番            川嶋保美君

      第三十二番            菅間 進君

      第三十三番            袋  正君

      第三十四番            小野寺初正君

      第三十五番            池田憲彦君

      第三十七番            村井嘉浩君

      第三十八番            安藤俊威君

      第三十九番            中村 功君

       第四十番            柏 佑整君

      第四十一番            菊地健次郎君

      第四十二番            本多祐一朗君

      第四十三番            佐々木ひろし君

      第四十四番            坂下康子君

      第四十五番            内海 太君

      第四十六番            百足健一君

      第四十七番            渥美 巖君

      第四十八番            長谷川 章君

      第四十九番            中沢幸男君

       第五十番            石橋信勝君

      第五十一番            長島秀道君

      第五十二番            畠山和純君

      第五十三番            千葉 達君

      第五十四番            仁田和廣君

      第五十五番            藤倉知格君

      第五十六番            菊地 浩君

      第五十七番            高橋長偉君

      第五十八番            相沢光哉君

      第五十九番            大沼迪義君

       第六十番            伊藤康志君

      第六十一番            渡辺和喜君

      第六十二番            今野隆吉君

      第六十三番            千葉正美君

欠員(三名)

       第十四番

      第二十九番

      第三十六番

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説明のため出席した者

      知事               浅野史郎君

      副知事              柿崎征英君

      副知事              加藤正人君

      出納長              菅原清毅君

      公営企業管理者          齋藤 進君

      病院事業管理者          久道 茂君

      総務部長             三浦秀一君

      企画部長             佐々木義昭君

      環境生活部長           三浦俊一君

      保健福祉部長           加藤秀郎君

      産業経済部長           遠藤正明君

      土木部長             佐藤幸男君

      出納局長             佐藤明男君

      総務部次長兼秘書課長       村上和行君

      総務部財政課長          足達雅英君

    教育委員会

      委員長              藤村重文君

      教育長              白石 晃君

      教育次長             鈴木隆一君

    選挙管理委員会

      委員長              槻田久純君

      事務局長             岡部 敦君

    人事委員会

      委員長              大立目謙直君

      事務局長             小川竹男君

    公安委員会

      委員長              藤崎三郎助君

      警察本部長            東川 一君

      総務室長             岩間憲雄君

    労働委員会

      事務局長             小出 恭君

    監査委員

      委員               阿部 徹君

      事務局長             庄子正昭君

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    議会事務局

      局長               高橋宣明君

      次長兼総務課長          福井利悦君

      参事兼議事課長          千葉幸雄君

      政務調査課長           鈴木国雄君

      総務課副参事兼課長補佐      門脇 啓君

      議事課副参事兼課長補佐      鹿野壽悦君

      議事課副参事兼課長補佐      佐藤 昭君

      政務調査課長補佐         伊東昭代君

      議事課長補佐(班長)       菅原 清君

      議事課長補佐(班長)       三浦清記君

      議事課主任主査          布田惠子君

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    議事日程    第一号

          平成十七年六月二十一日(火)午後一時開議

第一 議席の変更

第二 会議録署名議員の指名

第三 会期の決定について

第四 保健医療福祉中核施設問題対策特別委員の選任

第五 議第百四十六号議案 平成十七年度宮城県一般会計補正予算

第六 議第百四十七号議案 救護施設条例

第七 議第百四十八号議案 地方独立行政法人宮城県立こども病院評価委員会条例

第八 議第百四十九号議案 介護研修センター条例

第九 議第百五十号議案 養護老人ホーム条例

第十 議第百五十一号議案 特別養護老人ホーム条例

第十一 議第百五十二号議案 感染症対策委員会条例

第十二 議第百五十三号議案 乳児院条例

第十三 議第百五十四号議案 母子生活支援施設条例

第十四 議第百五十五号議案 母子福祉センター条例

第十五 議第百五十六号議案 婦人保護施設条例

第十六 議第百五十七号議案 身体障害者療護施設条例

第十七 議第百五十八号議案 障害者福祉センター条例

第十八 議第百五十九号議案 知的障害児施設条例

第十九 議第百六十号議案 知的障害者更生施設条例

第二十 議第百六十一号議案 在宅心身障害者保養施設条例

第二十一 議第百六十二号議案 精神障害者社会復帰施設条例

第二十二 議第百六十三号議案 障害者体育施設条例

第二十三 議第百六十四号議案 県吏員恩給条例の一部を改正する条例

第二十四 議第百六十五号議案 宮城県県税条例の一部を改正する条例

第二十五 議第百六十六号議案 過疎地域における県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例

第二十六 議第百六十七号議案 離島振興対策実施地域における県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例

第二十七 議第百六十八号議案 原子力発電施設等立地地域における県税の特例に関する条例の一部を改正する条例

第二十八 議第百六十九号議案 南三陸町の設置に伴う関係条例の整理に関する条例

第二十九 議第百七十号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例

第三十 議第百七十一号議案 財産の交換、譲与等に関する条例の一部を改正する条例

第三十一 議第百七十二号議案 サンクチュアリセンター条例の一部を改正する条例

第三十二 議第百七十三号議案 自然観察センター条例の一部を改正する条例

第三十三 議第百七十四号議案 クレー射撃場条例の一部を改正する条例

第三十四 議第百七十五号議案 県民の森等の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例

第三十五 議第百七十六号議案 県民会館条例の一部を改正する条例

第三十六 議第百七十七号議案 慶長使節船ミュージアム条例の一部を改正する条例

第三十七 議第百七十八号議案 宮城県の民間非営利活動を促進するための条例の一部を改正する条例

第三十八 議第百七十九号議案 社会福祉施設条例の一部を改正する条例

第三十九 議第百八十号議案 薬事審議会条例の一部を改正する条例

第四十 議第百八十一号議案 産業交流センター条例の一部を改正する条例

第四十一 議第百八十二号議案 卸売市場条例の一部を改正する条例

第四十二 議第百八十三号議案 公共育成牧場条例の一部を改正する条例

第四十三 議第百八十四号議案 漁港管理条例の一部を改正する条例

第四十四 議第百八十五号議案 港湾施設管理条例の一部を改正する条例

第四十五 議第百八十六号議案 県立都市公園条例の一部を改正する条例

第四十六 議第百八十七号議案 流域下水道条例の一部を改正する条例

第四十七 議第百八十八号議案 県営住宅条例の一部を改正する条例

第四十八 議第百八十九号議案 特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例

第四十九 議第百九十号議案 公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例

第五十 議第百九十一号議案 病院事業条例の一部を改正する条例

第五十一 議第百九十二号議案 総合運動場条例の一部を改正する条例

第五十二 議第百九十三号議案 婦人会館条例の一部を改正する条例

第五十三 議第百九十四号議案 町の廃置分合について(小牛田町及び南郷町)

第五十四 議第百九十五号議案 市町の廃置分合について(気仙沼市及び唐桑町)

第五十五 議第百九十六号議案 公平委員会の事務の受託の廃止について

第五十六 議第百九十七号議案 文化芸術振興ビジョンの策定について

第五十七 議第百九十八号議案 和解について

第五十八 議第百九十九号議案 宮城県土地開発公社の定款変更について

第五十九 議第二百号議案 地方独立行政法人宮城県立こども病院の設立について

第六十 議第二百一号議案 工事委託契約の締結について(二線堤及び一般国道三百四十六号鹿島台バイパス合併工事(その四))

第六十一 議第二百二号議案 工事請負契約の締結について(一般国道百十三号舘矢間バイパス丸森大橋新設(下部工)工事)

第六十二 議第二百三号議案 専決処分の承認を求めることについて(宮城県県税条例の一部を改正する条例)

第六十三 議第二百四号議案 専決処分の承認を求めることについて(公平委員会の事務の受託)

第六十四 報告第三号 平成十六年度宮城県歳出予算の繰越使用について

第六十五 報告第四号 専決処分の報告について(和解及び損害賠償の額の決定)

第六十六 報告第五号 専決処分の報告について(県営住宅の明渡請求等に係る訴えの提起)

第六十七 報告第六号 専決処分の報告について(交通事故に係る和解及び損害賠償の額の決定)

第六十八 議会運営委員の選任

第六十九 地方分権・地方財政自立改革調査特別委員会調査結果報告

第七十 地域経済活性化及び若年層雇用対策調査特別委員会調査結果報告

第七十一 外郭団体等調査特別委員会調査結果報告

第七十二 大規模地震対策調査特別委員会調査結果報告

第七十三 地域医療対策調査特別委員会調査結果報告

第七十四 スポーツ施設有効活用調査特別委員会調査結果報告

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    会議に付した事件

一 日程第一 議席の変更

二 日程第二 会議録署名議員の指名

三 日程第三 会期の決定について

四 日程第四 保健医療福祉中核施設問題対策特別委員の選任

五 日程第五ないし日程第六十三 議第百四十六号議案ないし議第二百四号議案

六 日程第六十四ないし日程第六十七 報告第三号ないし報告第六号

七 日程第六十八 議会運営委員の選任

八 日程第六十九 地方分権・地方財政自立改革調査特別委員会調査結果報告

九 日程第七十 地域経済活性化及び若年層雇用対策調査特別委員会調査結果報告

十 日程第七十一 外郭団体等調査特別委員会調査結果報告

十一 日程第七十二 大規模地震対策調査特別委員会調査結果報告

十二 日程第七十三 地域医療対策調査特別委員会調査結果報告

十三 日程第七十四 スポーツ施設有効活用調査特別委員会調査結果報告

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△開会(午後一時二分)



○議長(渡辺和喜君) 第三百五回宮城県議会を開会いたします。

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△開議



○議長(渡辺和喜君) これより本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。

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△議席の変更



○議長(渡辺和喜君) 日程第一、議席の変更を行います。

 宮城県議会会議規則第五条第三項の規定により、お手元に配布のとおり、議席を変更いたします。

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    議席の変更

                     平成十七年六月二十一日(火)

     須田善明君を十八番に、寺島英毅君を十九番に、

     百足健一君を四十六番に、渥美 巖君を四十七番に、

     長谷川 章君を四十八番に、中沢幸男君を四十九番に、

     石橋信勝君を五十番に、長島秀道君を五十一番に、

     畠山和純君を五十二番に、千葉 達君を五十三番に、

     仁田和廣君を五十四番に、藤倉知格君を五十五番に、

     菊地 浩君を五十六番にそれぞれ変更する。

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△会議録署名議員の指名



○議長(渡辺和喜君) 日程第二、会議録署名議員の指名を行います。

 会議録署名議員に、三十五番池田憲彦君、三十七番村井嘉浩君を指名いたします。

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△諸報告



○議長(渡辺和喜君) 御報告いたします。

 秋葉賢也君は、公職選挙法第九十条の規定により、四月十二日付で議員を辞職いたしました。

 また、佐々木喜藏君から議員を辞職したい旨の願い出がありましたので、地方自治法第百二十六条ただし書きの規定により、四月十四日付をもって、これを許可いたしました。

 先般の人事異動により新たに任命いたしました議会事務局職員を紹介いたします。

  次長兼総務課長          福井利悦君。

  参事兼議事課長          千葉幸雄君。

  総務課副参事兼課長補佐      門脇 啓君。

  政務調査課長補佐         伊東昭代君。

 以上で、紹介を終わります。

 五月九日、地方分権・地方財政自立改革調査特別委員会において委員長の互選が行われ、佐藤光樹君が委員長に選任されました。

 また、六月六日、地域経済活性化及び若年層雇用対策調査特別委員会において委員長の互選が行われ、中山耕一君が委員長に選任されました。

 宮城県議会会議規則第百二十二条第一項ただし書きの規定により、お手元に配布のとおり、北海道・東北六県議会議員研究交流大会に議員を派遣いたしました。

 地方自治法第二百四十三条の三第二項の規定により、お手元に配布のとおり、宮城県土地開発公社等の平成十六年度事業報告書及び決算書並びに平成十七年度事業計画書及び予算書の提出がありました。

 附属機関の設置及び構成員の選任等に関する条例第六条の規定により、お手元に配布のとおり、報告書の提出がありました。

 障害者基本法第九条第八項の規定により、お手元に配布のとおり、宮城県障害福祉長期計画「みやぎ障害者プラン」の提出がありました。

 地方自治法第百二十一条の規定により、お手元に配布のとおり、議場出席者の通知がありました。

 ここで、議場出席者中の新任者を御紹介いたします。

  公営企業管理者          齋藤 進君。

  企画部長             佐々木義昭君。

  土木部長             佐藤幸男君。

  総務部次長兼秘書課長       村上和行君。

  財政課長             足達雅英君。

  教育次長             鈴木隆一君。

  選挙管理委員会事務局長      岡部 敦君。

  人事委員会事務局長        小川竹男君。

  公安委員会委員長         藤崎三郎助君。

  警察本部総務室長         岩間憲雄君。

  労働委員会事務局長        小出 恭君。

 以上で、紹介を終わります。

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    議員派遣について

                        平成十七年六月二十一日

 次のとおり議員を派遣した。

一 北海道・東北六県議会議員研究交流大会

(一)目的   北海道・東北六県の地域に共通する政策課題等に関する意見交換

(二)派遣場所 福島市

(三)期間   平成十七年五月三十日(一日間)

(四)派遣議員 仁田和廣議員、柏 佑整議員、安藤俊威議員

        村井嘉浩議員、池田憲彦議員、横田有史議員

        佐々木敏克議員、伊勢 敏議員、寺島英毅議員

        加賀 剛議員、熊谷義彦議員、佐々木征治議員

        庄子賢一議員、長谷川洋一議員、菅原 実議員

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    議場出席者名簿

               第305回県議会(平成17年6月定例会)

    知事            浅野史郎

    副知事           柿崎征英

    副知事           加藤正人

    出納長           菅原清毅

    公営企業管理者       齋藤 進

    病院事業管理者       久道 茂

    総務部長          三浦秀一

    企画部長          佐々木義昭

    環境生活部長        三浦俊一

    保健福祉部長        加藤秀郎

    産業経済部長        遠藤正明

    土木部長          佐藤幸男

    出納局長          佐藤明男

    次長兼秘書課長       村上和行

    財政課長          足達雅英

  教育委員会

    委員長           藤村重文

    教育長           白石 晃

    教育次長          鈴木隆一

  選挙管理委員会

    委員長           槻田久純

    事務局長          岡部 敦

  人事委員会

    委員長           大立目謙直

    事務局長          小川竹男

  公安委員会

    委員長           藤崎三郎助

    警察本部長         東川 一

    総務室長          岩間憲雄

  労働委員会

    事務局長          小出 恭

  監査委員

    委員            阿部 徹

    事務局長          庄子正昭

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△会期の決定



○議長(渡辺和喜君) 日程第三、会期の決定についてを議題といたします。

 お諮りいたします。

 今回の会期は、本日から七月七日までの十七日間といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



○議長(渡辺和喜君) 御異議なしと認めます。

 よって、会期は十七日間と決定いたしました。

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△保健医療福祉中核施設問題対策特別委員の選任



○議長(渡辺和喜君) 日程第四、保健医療福祉中核施設問題対策特別委員の選任を議題といたします。

 お諮りいたします。

 保健医療福祉中核施設問題対策特別委員が二名欠員となっておりましたので、中山耕一君、皆川章太郎君を同委員に指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



○議長(渡辺和喜君) 御異議なしと認めます。

 よって、さように決定いたしました。

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△議第百四十六号議案ないし議第二百四号議案



△報告第三号ないし報告第六号



○議長(渡辺和喜君) 日程第五、議第百四十六号議案ないし日程第六十三、議第二百四号議案並びに日程第六十四、報告第三号ないし日程第六十七、報告第六号を一括して議題といたします。

 知事から提案理由の説明を求めます。知事浅野史郎君。

    〔知事 浅野史郎君登壇〕



◎知事(浅野史郎君) 本日、ここに第三百五回宮城県議会が開会され、平成十七年度一般会計補正予算案を初めとする提出議案を御審議いただくに当たり、最近の県政の動きと議案の概要を御説明申し上げます。

 その前に、先月発生した仙台育英学園高等学校生徒の交通事故についてでありますが、飲酒、居眠り運転の乗用車によって一瞬にして三名もの若いとうとい命が奪われ、二十名を超える負傷者を出した悲惨な事故発生から、早くも一カ月が過ぎようとしております。改めて、亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、負傷された方々と御家族に心からお見舞い申し上げます。

 県といたしましては、事故発生直後から、県教育委員会、県警察本部などと連携を図りながら心理カウンセラーを派遣し、精神的動揺が見られる生徒、教職員の心のケアを行ってまいりましたが、今なお、事故による精神的影響が続いている状況にあります。このため、引き続き心のケアに努めてまいりますが、生徒を初め御家族の方々の一日も早い立ち直りをお祈り申し上げる次第であります。

 さて、最近の県政の動きについてでありますが、初めに、三位一体改革について申し上げます。

 昨年、国が取りまとめた三位一体改革の全体像及び平成十七年度予算における改革の内容は、専ら国の財政再建に軸足が置かれ、地方の裁量や責任を拡大して自主的・自立的な行財政運営を進めるという地方分権推進の観点からは、極めて不十分なものでありました。このため、地方六団体は、ことし四月の「国と地方の協議の場」において、改めて、三兆円の税源移譲の確実な実施、地方交付税の総額の確保、地方財政計画と決算の一体的な乖離是正などを求めてきたところであります。

 このような中、財務省は、投資単独事業に係る決算乖離を理由として、地方一般財源の四・三兆円削減や地方交付税の法定率の引き下げを提案していますが、これは地方を大混乱に陥れた平成十六年度の二・九兆円削減を上回るものであり、住民サービスの大幅な低下を招き、地方の自主的な政策を不可能にするものであります。加えて、国の財政破綻回避のために負担を一方的に地方に転嫁するとともに、地方財政制度や地方交付税制度の根幹を覆すものであり、断じて受け入れることができません。三位一体改革を、国による数字合わせや地方への負担のツケ回しに終わらせてはならず、地方財政の自立を通じた真の地方分権の実現に向けた第一歩となるよう第一期改革の仕上げを行うと同時に、引き続く第二期の改革に向けた道筋をつけてまいりたいと考えております。

 一方、三位一体改革の名のもとに行われた地方交付税等の急激な削減は、多くの地方公共団体に多額の財源不足額を生じさせ、予算編成に大きな支障を来している状況にあります。今後も、この状況が継続すれば実質的な財政破綻に陥ることは必至であるため、国は、地方分権推進の原点に立ち返り、地方の実態を踏まえた的確な地方財政措置を講じるべきであり、平成十八年度地方財政対策に当たっては、地方交付税の財源保障、財源調整機能を堅持するとともに、地方財政にとって必要な一般財源総額を確保するよう訴えてまいります。

 宮城県の今年度当初予算は、地方交付税等の大幅な削減が引き続いたことにより多額の財源不足額が生じたため、財政再建推進プログラムによる徹底した歳出の抑制や財政健全化債の計上など、可能な限りの歳入確保を図る従来にも増して厳しい予算編成となりました。その一方で、緊急経済産業再生戦略や知的障害者の地域生活移行支援、みやぎらしい教育の実現、震災対策、あるいは医師確保対策など、多様な行政需要に対応し地域の特色を生かす政策への予算の重点配分に努めてまいりました。しかし、既に明らかにしておりますとおり、この当初予算を踏まえ試算した中期的な財政見通しでは、かつてない規模の多額の財源不足額が今後も連続して生じることから、早ければ平成十九年度にも準用財政再建団体に転落するという極めて深刻な状況が想定されております。

 今再び、目前に迫る財政危機を克服するためには、これまで以上に歳入確保のための対策を講じると同時に、歳出を歳入に見合う規模に抑制するなど、将来にわたって持続可能な歳出構造への転換が不可欠であります。このため、現在、新しい行政改革推進計画の策定とあわせ、平成十八年度から二十一年度までの四年間を計画期間とする新たな財政再建推進プログラムの策定作業に着手しているところであります。プログラム策定過程では、内部経費の節減はもちろん、施策の厳選などを強力に進めていかなければなりませんが、準用財政再建団体への転落は何としても避けなければならず、私は、こうした県財政の健全化に固い決意をもって取り組んでまいりたいと考えておりますので、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。

 次に、村田町竹の内地区産業廃棄物最終処分場に係る対策についてであります。

 処分場の廃止に向けた対策を総合的に検討するため昨年三月設置した総合対策検討委員会では、一年間にわたり処分場の現状並びに処分場が周辺に与える健康や環境に関する影響等を評価・検討し、埋立廃棄物の取り扱いを含む必要な対策について検討してまいりました。先般、県に対し最終報告書が提出されましたが、報告書では、処分場に起因する生活環境保全上の支障を抜本的に除去するための恒久対策の実施を基本に、支障の状況などを踏まえ、恒久対策を実施するまでの暫定的な対策として緊急対策を講じるべきとされております。県といたしましては、委員会における検討結果や住民からの意見を踏まえ、当面、有害ガスや悪臭による生活環境保全上の支障を除去するための緊急対策を早急に実施することとし、既に工事に着手しているところであります。また、いわゆる恒久対策については、今回提出された最終報告書の内容を精査するとともに、地元住民を初めとする各関係者の御意見も踏まえ判断してまいりたいと考えております。

 また、ことし四月には、村田町竹の内地区産業廃棄物最終処分場対応検証委員会を設置し、処分場問題に係る県の対応の問題点と責任の所在などについて検証してまいりましたが、先週、県に対し検証結果報告書が提出されました。検証結果によれば、事業者に対する県の指導監督が十分ではなく、また、問題の深刻さに対する認識が十分ではなかったことなど県の組織上の対応の問題点などが指摘されたところであります。このことにより、結果として許可容量を大幅に超える産業廃棄物の埋め立てを見過ごし、地区住民の方々に多大な御迷惑をおかけし、県の廃棄物行政に対する信頼を大きく損ねることになったことについて、改めて深くおわび申し上げますとともに、担当する職員を管理監督する立場にある私自身その責任を痛感しているところであります。県といたしましては、廃棄物行政を遂行するに当たっては、必要な場合にはちゅうちょすることなく行政処分を行うなど、違反行為に対して厳しい態度で臨むことが、県民の生活環境を守る上で何よりも重要であると再認識しており、今後は、こうした観点に立って、廃棄物処理法に基づく立入検査を強化するなど違反行為の防止を図り、再発防止に向けた取り組みを強力に進めてまいりたいと考えております。

 次に、東アジア地域との経済交流についてであります。

 先月下旬、県議会議長を初め経済団体の方々とともに、経済成長著しい中国大連市などを訪問し、友好を深めてまいりました。今回の訪問では、日本と中国との地域間経済交流の促進を図るため、この四月に岩手県と共同で設置した大連事務所の開所式や、瀋陽市での日中経済協力会議への出席などを通じ、中国遼寧省長や大連市長を初め多くの現地関係者の方々と会談し親しく意見交換を行いました。この訪問を契機として、より連携を深めた地域間経済交流が促進されるものと期待しております。

 宮城県大連事務所においては、大連市を初め中国に進出している企業及び今後進出しようとする企業に対する支援や、中国からの観光客誘致等に取り組むなど、中国との経済交流を更に促進することとしております。また、平成四年に開設した宮城県ソウル事務所についても、従来から山形県と共同で観光プロモーション活動を行ってきたことに加え、この四月から事務所を共同化するなど、広域連携による取り組みを推進してまいります。今後とも、急速に発展している東アジア地域との経済交流活動を積極的に展開し、県内企業の海外事業展開の支援と経済交流の促進に取り組んでまいります。

 なお、食材王国みやぎの首都圏の戦略拠点として整備を進めてきた東京アンテナショップ、宮城ふるさとプラザについては、東京池袋に七月九日オープンすることとなりました。アンテナショップは、県産品の試験販売を行うだけでなく、首都圏における消費者ニーズを把握し、県内の生産者、製造者をきめ細かくサポートすることによって、県産品の販路拡張やブランド化推進に向け、新たな展開を図ろうとするものであります。今回のオープンにより、首都圏の方々には、食材王国みやぎをまるごと実感していただき、また、県内企業にとっては、自社製品の販売力向上に役立つ施設として御活用いただけるものと考えております。

 次に、市町村合併についてでありますが、県内では四月一日から新石巻市、登米市、栗原市、東松島市の四つの新しい市が誕生しました。また、平成十七年度中に南三陸町、美里町、大崎市、新気仙沼市が誕生する予定となっております。これにより、いわゆる平成の大合併としては、県内七十一の市町村が来年三月末には三十六市町村とおおむね半数になり、まさに地方分権の受け皿にふさわしい行財政基盤の強化が図られてきているものと考えております。合併はスタートであって、ゴールではありません。これまで培ってきた地域の力と住民の熱意を未来への飛躍のばねとし、合併効果を最大限に生かした新しいまちづくりがなされることを期待しております。

 今後も、市町村合併は、地域の持続的な発展を確保するための極めて有効な手段であることに変わりはないと認識しており、新合併特例法のもとで、自主的な市町村合併を推進するため、引き続き可能な限り支援してまいりたいと考えております。

 次に、指定管理者制度導入への取り組みについて御説明申し上げます。

 指定管理者制度は、公の施設の管理、運営に当たり、民間事業者の有するノウハウを活用し、住民サービスの向上と経費の節減を図ることを目的とするものであります。これによって、住民にとってはサービスの質の向上、民間事業者にとっては受注機会の確保、行政にとっては管理経費の節減が可能となる、いわば三方一両得となり得る制度であると考えております。このため、県としても、公の施設の管理運営方法の見直しや公社等外郭団体改革の契機ととらえ、積極的に制度導入に取り組んでおり、既に、ことし四月から、みやぎNPОプラザを初めとする六施設について、指定管理者制度を導入いたしました。また、そのほかの管理委託施設についても制度導入に向けた諸準備を進めてきており、今議会に、新たに三百二十七施設について指定管理者による管理に移行するための関連条例三十一議案を提案しております。今後、指定管理者の選定に当たっては、公の施設の設置目的を最も効果的、効率的に達成できるかどうかを基本として、万全を期してまいります。

 なお、県立こども病院については、こども病院の使命、理念の確実な実現や継続的かつ安定的な病院運営を図るためには、地方独立行政法人による管理運営が最も適していると判断したことから、今議会に、こども病院を地方独立行政法人化するための関連議案を提案し、御審議をお願いするものであります。

 次に、県警犯罪捜査報償費についてであります。

 県警察本部は、ことし四月、平成十六年度会計監査結果を公表し、犯罪捜査報償費を含む予算の不適正な執行は認められなかったとしていますが、警察本部による監査は、犯罪捜査協力者の実在を確認していないなど具体的な監査方法が十分ではなく、いまだ予算の適正な執行が証明されたとは言いがたいものと考えております。このため、予算執行権を有する知事として、犯罪捜査報償費予算の支出状況を確認するための関係書類の提出や詳細な説明を求めてまいりましたが、残念ながら、書類提出や十分な説明がありません。このままでは、適正な予算執行に責任を有する知事のみならず、納税者である県民の納得をも得られないことから、犯罪捜査報償費に係る平成十七年度予算の執行停止について検討しているところであります。

 今回、御審議をお願いいたします補正予算案は、多額の財源不足額が生じているという制約の中で、当面急を要する衆議院議員及び宮城県議会議員の欠員に伴う補欠選挙の執行に要する経費について、それぞれ計上しております。このほかの予算については、現計予算の効率的かつ機動的な執行に努めることとし、追加財政需要に対応するための補正予算については、一般財源の大半を占めます県税や地方交付税の見通しがつく九月以降に、財源確保の状況を勘案しながら措置してまいりたいと考えております。

 今回の補正規模は、一般会計、総計とも三億六千三百万円となります。財源としては、国庫支出金二億五千二百万円、繰入金一億一千百万円を充当しております。この結果、今年度の予算規模は、一般会計で八千百八十九億九千九百余万円、総計で一兆一千三百四十七億四千百余万円となります。

 次に、予算外議案については、条例議案四十七件、条例外議案十一件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。

 まず、条例議案でありますが、議第百四十八号議案は、宮城県立こども病院を地方独立行政法人化するに当たり、地方独立行政法人宮城県立こども病院評価委員会に関し必要な事項を定めようとするもの、議第百六十五号議案は、地方税法の改正に伴い、個人県民税の定率減税の縮減など、所要の改正を行おうとするもの、議第百六十六号議案ないし議第百六十八号議案は、過疎地域、離島振興対策実施地域及び原子力発電施設等立地地域における県税の課税免除等の適用期間を延長しようとするもの、議第百六十九号議案は、南三陸町が設置されることに伴い、条例に規定される合併前の町の名称を合併後の町の名称に改めようとするものであります。また、議第百七十九号議案は、敬風園の民間法人への移譲等に伴い、所要の改正を行おうとするもの、議第百八十二号議案は、卸売市場法の改正に準じ、卸売業者みずからが行う買付による集荷販売の禁止規定を削除するなど、所要の改正を行おうとするもの、議第百九十号議案は、公営企業において予算で定めなければならない重要な資産の取得及び処分の条件を改正しようとするもの、議第百九十一号議案は、病院事業において予算で定めなければならない重要な資産の取得及び処分の条件等、所要の改正を行おうとするものであります。

 なお、議第百四十七号、百四十九号ないし百五十一号、百五十三号ないし百六十三号、百七十二号ないし百七十七号、百八十一号、百八十三号ないし百八十九号、百九十二号及び百九十三号議案は、先ほど申し上げましたように公の施設の管理を指定管理者が行う場合の業務範囲などを規定しようとするものであります。

 次に、条例外議案でありますが、議第百九十四号議案は、遠田郡小牛田町及び南郷町を廃し、新たに美里町を置くことについて、議第百九十五号議案は、気仙沼市及び本吉郡唐桑町を廃し、新たに気仙沼市を置くことについて、議第百九十七号議案は、文化芸術振興条例の規定に基づき、文化芸術振興ビジョンを策定することについて、議第百九十八号議案は、航空写真測量業務に関する損害賠償請求事件に係る和解について、議第百九十九号議案は、宮城県土地開発公社の定款変更について、議第二百号議案は、地方独立行政法人宮城県立こども病院の設立について、議第二百一号議案及び議第二百二号議案は、工事請負契約等の締結について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。また、議第二百三号議案は、地方税法の改正に伴う県税条例の一部改正について、議第二百四号議案は、公平委員会の事務の受託について、それぞれ専決処分を行いましたので、その承認をお願いしようとするものであります。

 以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。



○議長(渡辺和喜君) なお、補正予算案に係る総務部長説明要旨は、お手元に配布のとおりであります。

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△議会運営委員の選任



○議長(渡辺和喜君) 日程第六十八、議会運営委員の選任を議題といたします。

 議会運営委員の選任につきましては、宮城県議会委員会条例第七条の規定により、お手元に配布のとおり指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



○議長(渡辺和喜君) 御異議なしと認めます。

 よって、さように決定いたしました。

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    議会運営委員名簿

                     平成十七年六月二十一日(火)

  本木忠一君   佐々木征治君  佐々木敏克君

  皆川章太郎君  佐藤詔雄君   藤原範典君

  菅間 進君   小野寺初正君  池田憲彦君

  村井嘉浩君   柏 佑整君   仁田和廣君

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○議長(渡辺和喜君) ここで、議会運営委員会の委員長及び副委員長互選のため、暫時休憩いたします。

    午後一時三十分休憩

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    午後二時再開



○議長(渡辺和喜君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

 御報告いたします。

 議会運営委員会の委員長及び副委員長は、互選の結果、次のように決定いたしました。

  委員長  柏 佑整君

  副委員長 皆川章太郎君

 以上のとおり御報告いたします。

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△地方分権・地方財政自立改革調査特別委員会調査結果報告



○議長(渡辺和喜君) 日程第六十九、地方分権・地方財政自立改革調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。

 本件について委員長の報告を求めます。地方分権・地方財政自立改革調査特別委員会委員長、六番佐藤光樹君。

    〔六番 佐藤光樹君登壇〕



◆六番(佐藤光樹君) 地方分権・地方財政自立改革調査特別委員会の調査結果につきまして御報告申し上げます。

 地域主権の時代を迎え、いわゆる三位一体の改革が真に地方のための地方財政自立改革として一層の進展が求められると同時に、地方公共団体としても、行政の効率化を目指した徹底的な自己改革が必要とされる中、本委員会は、地方分権及び地方財政の自立改革に関する諸施策について調査検討するため、平成十六年六月三十日に設置されました。

 そこで、調査項目といたしまして、地方分権の推進に向けた取り組みについて並びに行財政改革の諸施策についてを掲げ、県内外にわたり鋭意、調査検討を重ねてまいったところでございます。

 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございます。

 以上、御報告申し上げます。

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    地方分権・地方財政自立改革調査特別委員会報告書

 地方分権・地方財政自立改革調査特別委員会の調査結果について報告する。

 本委員会は地方分権及び地方財政の自立改革に関する諸施策について調査検討するため平成十六年六月三十日に設置され、付議事件「地方分権及び地方財政の自立改革に関する諸施策について」を受け、次の事項について調査した。

一 地方分権の推進に向けた取り組みについて

二 行財政改革の諸施策について

 以上の項目について、県施策の概要を聴取するとともに、有識者の意見及び他自治体の実情を参考にするため、県外調査を実施し、検討を行った。

一 地方分権の推進に向けた取り組みについて

 平成十六年五月十二日に地方分権改革推進会議は『地方公共団体の行財政改革の推進等行政体制の整備についての意見』を発表した。それによると、地方分権改革が目指すのは「地方にできることは地方に」の観点から、国と地方の役割分担を明確にし、地方の自立性を高めることである。このため、国による過度の関与が地方の主体的な決定等への支障とならないよう、地方の自由度の拡大が必要であり、住民自治の拡充や、自己責任が伴った効率的行財政運営に向けた改革が必要である。さらに市町村合併の進展に伴い、現行の都道府県と市町村の在り方を含め、新しい行政体制を抜本的に検討する段階に到達しており、「道州制」についても国民的議論を期待するとしている。

 また、平成十六年六月四日に閣議決定された『経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四』では、国から地方への税源移譲は概ね三兆円規模を目指すとされ、その前提として地方公共団体に対して、国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめるよう要請した。これを受け地方六団体は、八月に平成十七、十八年度における三兆円規模の税源移譲に見合う『国庫補助負担金等に関する改革』を取りまとめ提示し、また、国と地方の協議の場が設けられ、十一月に平成十八年度までの三位一体改革の全体像について政府・与党の合意がなされることとなった。

 このような情勢を踏まえ、本委員会では地方財政の自立改革について有識者と意見交換を行うとともに、先進地の取り組みについて調査を行った。

 同志社大学大学院総合政策科学研究科教授の新川達郎氏によると、地方交付税等の財政調整の仕組みは今後も必要であるが、調整の水準をどう設定するかというところに課題がある。ほとんどすべての自治体が調整を受けなければならないという現在の仕組みには問題があり、約半数の団体が調整を受けるような仕組みが必要である。そのときの基本は、国が行う財源保障ではなく、自治体間の、それぞれの自治体が自立するための経済力の格差を調整をするという趣旨での交付税の仕組みに変えていくべきである。したがって、今ある基準財政需要額の算定方式等々は、これは将来廃止するべきであるとの見解であった。

 総務省大臣官房官房長の平井正夫氏とは総務省の重点施策について意見交換を行った。三位一体改革の全体像の基本的方向として、国庫補助負担金改革は地方の改革案を最大限尊重するとともに、国の関与・規制の見直しで、地方の自由度を拡大し、真に必要な事業を自己責任の下に重点的にできるようにする。これによって結果的に地方行財政のスリム化が実現する。税源移譲については、所得税から個人住民税への約三兆円の移譲をもって行い、個人住民税所得割を十パーセントにフラット化することにより比例税率化し、偏在性の少ない地方税体系を構築する。地方交付税改革については、税源移譲に伴う財政力格差の拡大に配慮し、財源調整・財源保障機能を財政力格差の拡大に応じて適切に対処するとともに、算定方法の簡素・中立化、不交付団体(市町村)の人口割合の着実な増加を目指すこととしている。

 同志社大学法学部教授の市川喜崇氏とは「道州制について」をテーマに意見交換を行った。市川氏は、基礎的自治体が自己完結的に機能するためには、中核市程度の規模が必要である。今後、市町村合併が進展しても、中核市規模に達しない自治体は依然として残るため、都道府県のもつ市町村の補完機能は必要であり続けるとしている。また、広域的自治体としての都道府県の規模について、都道府県相互の共同処理事務が少ないこと等を例に現在の都道府県の規模が狭小とはいえないのではないかという指摘がなされた。一方、農政局や地方整備局等の国の出先機関の権限を道州に移管するなど、国からの権限移譲が行われれば、地方分権を進めるための道州制は大きな意義があるとし、その場合、道州の政治形態が二元代表制では住民と道州の首長の距離が遠くなり、また首長が強大な権限を持つことが懸念されることから、議院内閣制を採用し、政党政治により運営されるべきであるという意見であった。

 また、構造改革特区として道州制の提案を行っている北海道の事例を調査した。

 北海道が目指す道州制の姿は「地域主権型社会」を構築し、基礎自治体を強化するために、国から企画立案権限を移譲を受けつつも、国が一般財源として財源保障・財政調整を行うことが必要であるとしている。

 道州制特区に向けた提案の内容としては、具体の権限移譲や規制緩和、補助金の統合化、国の出先機関との連携・共同事業を、分野ごとにパッケージで提案している。具体的には、幼稚園と保育所の一体的運営に向けた基準緩和や子育て施設としての学校の利用要件緩和等を盛り込んだ「子育て環境充実プラン」や、異常気象時における除雪体制の確立や国と道の気象・河川・道路情報の共有化を行う「地域一体型除雪・防災プラン」等の提案を行っている。

 また、国の地方支分部局との機能等統合、法令面での地域主権の推進、推進組織の設置等、道州制実現に当たって、国と道で共同で検討の上で先行的に取り組むべき事項を総合的推進事項とし、例えば「豊かな自然環境をまもる環境重視型社会づくり」のため、国指定鳥獣保護区管理員と道自然保護監視員との巡視の連携を図るとともに、民有林の整備に関する機能について権限移譲を求めるなどの提案を行っている。

 さらに、道から市町村への事務・権限移譲についても役割分担の考え方を整理し、人的・財源的措置をセットにした移譲方法を明らかにするとともに、行政分野ごとに包括化を図り、市町村の規模に応じた移譲のあり方を提示するとしている。

 本県における県から市町村への権限移譲の実態、取り組みをみると、平成十一年度から平成十三年度までの「県から市町村への権限移譲推進計画」及び平成十三年度から平成十四年度までの同第二次計画を策定し計画的に権限の移譲を図ってきた。平成十五年九月には「県から市町村への権限移譲推進要綱」を制定し、八十八の移譲可能事務を提示して、市町村が移譲を希望する事務について申し出を行う個別移譲方式を取り入れた。平成十六年四月には十二市町村に対して十二事務を移譲している。また、事務の移譲に伴い、平成十六年度は六十の事務を対象に権限移譲交付金の交付を行っている。

 さらに、平成十七年三月には「分権時代の市町村支援プラン」が策定され、この中で、県の市町村に対する支援策として、市町村とのパートーナーシップの強化や、市町村職員の専門性を高めるための人的支援、市町村の規模・能力・特性に応じた一層の権限移譲の推進、また、総合補助金制度の創設による市町村財政の自主性・自立性の向上などを掲げているところである。一方、市町村合併・権限移譲の進捗状況を踏まえた広域行政圏・地方機関や、「地方財政自立改革」の進展を踏まえた市町村への支援のありかたについて今後の課題としている。

 これらの調査結果を踏まえ、本委員会は地方分権の推進に向けた取り組みについて、次のとおりとりまとめた。

 本格的な少子高齢化社会が到来し、近々総人口の減少が見込まれるなど社会構造の転換期を迎え、国と地方を通じた厳しい財政状況の下、国が最低限の生活を保障するナショナル・ミニマムの達成から、それぞれの地域ごとの最適水準であるローカル・オプティマムの実現が求められている。地域住民の多種多様なニーズに応えるべく、地方公共団体が各地方の選択に基づき、自己責任のもとで自主的、自律的に行政を行なうことを可能にするためには、真に地方のための地方財政自立改革が必要であり、県としても、以下の方策等により、基礎的自治体の行財政基盤の強化を支援するとともに、各地方自治体と緊密な連携をとりながら、県自らのあり方についても検討を行っていく必要がある。

 ?中核市の形成も視野に入れての、市町村合併のさらなる促進

 ?市町村合併の進展に伴う、県から市町村への権限移譲の推進と県の業務の見直し及び地方機関の再編

 ?将来における道州制への移行を視野に入れた、東北各県との広域連携の模索

 ?国・県・市町村の人事交流の促進による、組織の活性化

 ?税源の配分や、教育制度等、特定課題について地方自治体の意見集約を行う機関として「(仮称)地方財政委員会」や「(仮称)地方教育審議会」等の設置の提唱

二 行財政改革の諸施策について

 地方公共団体が自己決定に基づく行財政運営を持続的に行うためには、受益と負担の関係を明確にし、納税者の視点に立った行財政運営に向けた改革が絶えず行われることが重要である。

 本県においては、平成九年度から「新しい県政創造運動」として行政改革への取り組みが始められ、現在「第二次宮城県行政改革推進計画」に基づき平成十四年度から平成十七年度までを計画期間として各種改革が進められているが、その中でも、事務事業の見直しや歳入確保により財源不足の解消を図るための取り組みとして、平成十三年度に策定された「財政再建推進プログラム」が位置づけられている。

 「財政再建推進プログラム」の平成十六年度における進捗状況をみると、平成十四年度から十七年度までの歳出削減予定額総額八百三十億円に対し、平成十六年度の当初予算策定時点における削減実績額総額が六百八億円で進捗率が全体で七十三・三パーセントとほぼ予定どおりに進んでいるものの、公共事業の見直しについては四十七・八パーセント、歳入の確保予定額については四十・九パーセントと低い数値となっている。

 また、行政改革推進計画では、民間委託等の再検証として、PFIの活用など民間活力の有効活用の研究を推進するとしている。県では平成十五年三月に「宮城県PFI活用方針」を策定し、PFI活用についての方針を示したが、PFI導入調整会議では平成十六年六月までに二件が検討されたのみであり、さらに積極的な取り組みが求められるところである。

 行財政運営の見直しを必然化し、効率性、透明性を確保することを目的として、特定の政策・事業について期限を定め、議会などから存続に向けた議決など積極的な意思表示がない限り自動的にこれらを廃止するという仕組みは「サンセット制度」と呼ばれ、一九七六年に米国コロラド州で初めて取り入れられ、現在は過半の州で実施されているものである。本委員会ではこの制度の本県県政への導入について検討するため、本県における補助金・交付金の終期設定の状況を調査するとともに、有識者の意見を聴取し、意見交換を行った。

 本県では、当初予算要求要領においては平成八年度から原則としてすべての事業について終期を設定することとしており、平成十六年度では「新規事業については必ず終期年度の設定(原則三年、最長五年まで)を行うこと。また、その他の事業についても、目標達成年次等を勘案してあらためて終期年度を設定し、従来設定したものについても再検証すること。」「終期の到来したものは、原則として廃止すること。」としている。

 平成十六年度当初予算普通会計における終期設定状況をみると、補助金総数七百七十一件のうち二百八十五件(四十・〇パーセント)、予算額六百六十五億四千七百五十六万二千円のうち百七十七億四千八百七十七万七千円(二十六・七パーセント)に終期が設定されており、県単独補助金については五百二十二件のうち二百二十三件(四十二・七パーセント)、予算額三百十五億四千七百十八万八千円のうち百十六億九千五百十八万八千円(三十七・一パーセント)に終期が設定されている。

 交付金については、総数四十九件のうち八件(十六・三パーセント)、予算額五百七億五千六百二万円のうち三十六億九千五百四十九万三千円(七・三パーセント)であり、県単独交付金では三十五件のうち四件(十一・四パーセント)、予算額で四百六十七億三千七百十六万二千円のうち八億二千二百九十七万円(一・八パーセント)となっている。

 また、補助金・交付金や各種事業に係る県で定める要綱、要領、マニュアル等については合計二千四百八十九件のうち二百二十九件(九・二パーセント)に終期が設定されている。

 PHP総合研究所第二研究本部本部長の永久寿夫氏によると、サンセット制度の意義として、議会が政策・事業評価を行う際に行政側は説明責任を求められることから政策・事業あるいは組織の見直し、改革が行われる。また、議会や評価機関への参加を通じ住民による行政のチェックが可能となることである。一方、評価の基準をどこに置くかが問題であり、事業・補助金の効果の測定の困難さや政治的圧力の存在のため十分機能しない場合があることを指摘している。

 また、同研究所客員研究員で横浜市参与でもある南学氏はサンセット制度について、一つの例外もなく廃止すれば有効に機能するが、一つでも例外があると、例外が例外を呼んで機能しなくなるとしている。これに対して、現在多くの自治体で取り入れられている包括予算制度は、全体の財源の枠の中で幾つかの例外を認めるとともに、予算を節約した場合には、その全部あるいは一部を次の年度に上乗せすることで職員の創意工夫を引き出し、ボトムアップ型の改革が可能となると述べた。

 北海道大学大学院法学研究科教授の宮脇淳氏によれば、サンセット制度の基礎的要件としては?施策(権限・責任配分)、組織(事務配分)をセットにして対象とすることが必要で、個別事業・補助金を対象にすると見直しが困難となり、議論が矮小化される恐れがあること、?有効期限を設けること、?有効に機能している政策評価・組織評価と連動すること、?情報共有が充実していることが必要であるとしている。また、留意点としては?時間の経過が見直しの契機となるため、評価軸を明確にする必要があること、?有効期限内においても見直しが行われることを妨げないこと、?期限によって一律で行うため、重要案件等が埋没しやすいこと、?将来的に発生すると予想される費用と過去に費やした費用・時間を適正に検証することが必要とした上で、行財政改革の手段として有効であると述べている。

 北海道における政策評価の取り組みは、平成九年度に行われた「時のアセスメント」が嚆矢となっている。この取り組みは、時の経過とともに、住民意識や社会情勢が変化し、施策の意味や価値が変わっているにもかかわらず、十分な検証が行われないまま施策を継続してきたことがあったことから、「時」という客観的な尺度で再評価するというものである。この取り組みによって九事業が再評価の対象となり、事業の中止、休止、あるいは見直しの方針が出されている。

 平成十年度には「時のアセスメント」の精神を拡大し、道のすべての政策を対象とする政策アセスメントが開始され、さらに平成十四年度からは「北海道政策評価条例」による評価を行っている。評価体系は道政全般を評価する基本評価と特定の分野について基本評価を補完する分野別評価とからなるが、分野別評価には実用的な研究を重視する視点からの研究機関評価、コスト意識を醸成するための公共施設評価が組み込まれており、注目すべき点となっている。

 住民本位の具体的な自立改革が既に始まっている。群馬県太田市では、平成七年に清水聖義氏が市長に就任して以来、職員の意識変革を通じた行政改革に取り組み、行政に品質管理の手法を導入して、平成十一年三月にはISO九〇〇一を取得した。ISOによる改善事例として、?市民課及び税関係事務を行うサービスセンターを市民に身近なショッピングセンター内に設置、?土曜日・日曜日の窓口開庁、?児童に関することは「こども課」、お年寄りに関することは、介助や看護を必要とする方を対象とした「介護サービス課」と元気に生きがいを持てるよう支援する「元気おとしより課」の二つの課にする等、市民にわかりやすい行政組織体制をとるなど、市民へのサービス向上が図られている。また、収入確保の方策としても、国からたばこの販売権を得て、市が市内のパチンコ店に卸すことにより、たばこ税として年間二千二百万程度の増収をもたらし、また、市が管理する公共施設の駐車場全てにゲートを設置することにより利用料収入を確保するなど、様々な施策が実行されているところである。

 また、人件費の抑制についても、助役を置かない条例を制定するとともに、過去五年間で市職員全体の約十五パーセントの百九十人を削減する等の取り組みにより行っているところであるが、図書館等の運営や市役所業務の一部をNPOに委託するなどして、歳出削減と行政サービスの水準維持を図っている。これらの調査結果を踏まえ、本委員会は行財政改革の諸施策について、次のとおりとりまとめた。

 行財政改革に対する不断の取り組みを一層積極的に促進し、行財政運営の効率化及び透明性を図ることにより、地域主権の時代にふさわしい県民の視点に立って、成果を重視する県政を実現するため、以下の手法及び方策を推進すること。また、取り組み状況について議会に報告するとともに、公表に努めること。

 ? 行政評価による行政運営の効率化及び評価結果の予算編成等県政運営への一層の反映

 ? 企業会計的な手法による財政状況の把握及び分析

 ? 終期を定めることによる補助金、交付金等の見直しの必然化

 ? 民間活力の活用による行政事務の民間委託、民営化等

 ? 行政需要に応じた組織編成及び職員配置による職員定数の管理

 なお、本委員会では右の提言に沿って県の行財政改革を強力に推進するため、条例の制定に向けて検討を行うとともに、執行部からの意見聴取やパブリックコメントを実施してきたが、委員間討議の結果、さらなる検討が必要との結論に達した。行財政改革は県政における最重要課題であることから、今後、議会において引き続き検討が行われるよう要望する。

 以上、これらの意見が、今後の関係施策に十分反映されることを期待して報告とする。

  平成十七年六月十七日

          地方分権・地方財政自立改革調査特別委員長 佐藤光樹

 宮城県議会議長 渡辺和喜殿

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○議長(渡辺和喜君) これより質疑に入ります。

 委員長報告に対し質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

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△地域経済活性化及び若年層雇用対策調査特別委員会調査結果報告



○議長(渡辺和喜君) 日程第七十、地域経済活性化及び若年層雇用対策調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。

 本件について委員長の報告を求めます。地域経済活性化及び若年層雇用対策調査特別委員会委員長、八番中山耕一君。

    〔八番 中山耕一君登壇〕



◆八番(中山耕一君) 地域経済活性化及び若年層雇用対策調査特別委員会の調査結果について御報告申し上げます。

 本委員会は、長期にわたる景気低迷から改善の傾向にはあるものの、地域経済は依然として厳しい状況が続いており、また、若年層の雇用情勢も雇用形態の変化による就職難や雇用のミスマッチ等による失業等が主な要因となり、若者の就職問題が深刻化し、地域経済の成長に大きな影響を及ぼしてきていることから、地域経済活性化及び若年層雇用対策に関する諸施策について調査検討するため、平成十六年六月三十日に設置されました。

 調査項目といたしましては、一、地域経済活性化対策に関する諸施策の充実強化に向けた取り組みについて、二、若年層雇用対策に関する諸施策の充実強化に向けた取り組みについて、以上の二項目について県内外にわたり調査検討してまいりました。

 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりであります。

 以上、御報告申し上げます。

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    地域経済活性化及び若年層雇用対策調査特別委員会報告書

 地域経済活性化及び若年層雇用対策調査特別委員会の調査・検討の結果について報告する。

 本委員会は、地域経済活性化及び若年層雇用に関する諸施策について調査・検討するため平成十六年六月三十日に設置され、付議事件「地域経済活性化及び若年層雇用対策に関する諸施策について」を受け、次の項目について調査・検討を行った。

一 地域経済活性化対策に関する諸施策の充実強化に向けた取り組みについて

二 若年層雇用対策に関する諸施策の充実強化に向けた取り組みについて

 以上の項目について、県関係部課から県施策の概要を聴取するとともに、県景気動向等の実情把握のため民間調査会社からの意見の聴取、求職者の動向・意見を把握するため県機関の状況調査及び就職希望高校生との意見交換を行ったほか、他県の事例を参考とするため、愛知県及び福岡県における施策の取り組みについて、また愛知県の株式会社デンソー及び福岡県の株式会社ホークスタウンにおける取り組みについて調査し、検討を行った。

 その結果は次のとおりである。

一 地域経済活性化対策に関する諸施策の充実強化に向けた取り組みについて

 我が国の経済は、バブル崩壊後の長引く景気低迷から、平成十四年一月を境に、民間需要主導による緩やかな回復傾向にある。この景気回復により、平成十六年度平均で完全失業率が五パーセントを切るなど高水準ながら低下している。有効求人倍率についても〇・八六倍と上昇し、正社員の求人・就職が増加傾向を示すなど、雇用情勢も改善が進んでいるが、依然として低調であり、厳しい状況が続いている。

 宮城県内においては、デジタル関連など特定業種の生産を中心とした景気の回復の動きが見られたものの、地域経済全体への反映は見られず、雇用情勢も全国平均を下回る状況であり、依然として厳しい状況にある。

 こうした地域経済を取り巻く環境変化に対応し、地域経済の再生を図るため、「雇用の緊急拡大」「企業誘致の拡大」による雇用対策、「中小企業の再生」「新成長産業の創出」による産業再生対策を展開し、旧来の中央依存型の地方経済支援ではなく、地域自らが地域経済を自立型の経済構造に転換し、三年間の短期間で戦略性の高い産業経済政策を推進するため、産・官・学がともに一体となり、地域独自の経済再生プログラムとして、「宮城県緊急経済産業再生戦略プラン」を平成十五年九月に策定し、事業実施している。

 民間調査会社から見た宮城県景気動向と宮城県緊急経済産業再生戦略プランの実施効果について、株式会社帝国データバンク仙台支店長の神谷裕之氏を参考人として招致し意見聴取を行った。

 神谷裕之氏は、「日本の景気は徐々に回復しつつあり、景気DI(業況判断指数)からも見られるように景気は回復の傾向にあるとの政府等の話はあるものの、景気DIは五十を下回る状況が続いており、この状況から民間企業ではそれを実感できないものである。宮城県景気動向については、景気DIが全国平均を下回っており、県内企業の倒産発生率も全国と同様に一服感が見受けられるが、信用保証協会の中小企業金融安定化特別保証の借り換えが始まり、それがいつまで企業を支え続けられるかということから、場合によっては企業倒産が多発する状況になることもある。」と述べている。

 また、宮城県の課題として、「県内には、地域を牽引する大きな民間企業が少なく、農林水産関係が占めるウェートも高いということから、これらの企業では当然地域経済への波及効果という点で少なく、課題は産業構造的なものにある。」と見ている。

 宮城県緊急経済産業再生戦略プランについては、「緊急雇用創出では効果の出方は早いが、産業再生、活性化という面では短期間で効果が出るというような施策は実は余りない。しかし、全般的に多岐にわたる施策が打ち出されており、非常にいい着目点の中での施策がたくさん打ち出されているという感じはする。」

 このことから、「このプランの事業実施にあたり、実行プランをいかに成果ある形に落とし込むかのきめ細かな実行プランが必要であり、行政が民間企業に対し、どのような事業機会を与えていくかということがポイントであり、そういった意味で、行政がしっかり施策を打ち出すことは企業経営者にとってメンタル面で非常に良い影響を与えるものである。」と捉えている。

 また、行政が設置している各種協議会や委員会の付属機関等においては、「学識経験者、業界団体の代表のみによる構成によらず、現場で活躍している企業経営者やその発想を取り入れ、マーケティングをしっかりと導入してやっていけば、宮城県経済の活性化はなっていくだろう。」と考えている。

 今回調査した他県の状況をみてみると、愛知県は伝統産業や自動車、航空機を中心とした機械産業が盛んであり、「モノづくり」の産業により地域経済を支えている。有効求人倍率も平成十七年二月で一・六三倍と同時期の全国平均〇・九一倍を大きく上回っている状況にあるなど、地域経済に活気がみられる状況であり、二〇一〇年度には十三万人の労働力が不足されることが見込まれており、新規就業のための雇用促進計画を策定する就業促進プランとして、「地域ビジネス支援事業」を実施している。この事業については、一つ一つの事業では何千人、何万人といった多くの雇用創出を生むものではないが、地域のニーズ、課題など地域の住民が主体となって問題解決し、それをビジネス化することで、すべての人が地域に密着し就業できるといった環境をつくるというものであり、NPO法人などと協働し実施している。

 観光政策においては、福岡県では、県海外事務所を活用し、特に東アジアに向け観光PRや修学旅行の誘致を積極的に実施している。

 また、県単独による事業の実施のみならず、沖縄県を除く九州七県で連携し「九州観光戦略」を策定し、九州を一体とした魅力ある観光地づくりとPRによる観光客誘致の二つの事業を実施している。民間企業とも連携し観光協議会を設置し、観光PRを実施しているほか、大型コンベンションを誘致し、県内観光施策の充実に努めている。また、九州地方知事会と社団法人 九州・山口経済連合会などが中心となり、「九州はひとつ」の理念のもと、地域の自立的かつ一体的な発展に向けて、官民一体で具体的な施策を検討、実践するための組織として、九州地域戦略会議を設立し、九州全体での観光戦略を策定している。

 宮城県では二十九年ぶりに本県を本拠地とした、プロ野球球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」が五十年ぶりに新球団として誕生した。このプロ野球球団誕生により、地域では大きな盛り上がりが見られており、球場周辺での商店活性化や関連商品開発による消費の向上、観戦のための他県からの集客など、地域経済の活性化に大きな好影響を及ぼすものと期待されている。

 福岡県の株式会社ホークスタウンでは、球団、施設運営のため、「郷土意識」を重要に置き、地域との密着を図っている。キャラクターやロゴなどの肖像権を一般に開放し、地域で自由に使えるようにしており、地域の約三万店に及ぶ地元商店と連携し、地元プロ野球チームが勝利すると、様々なサービスの提供を実施してもらう「勝ったら計画」などを実施し、地域密着により互いの相乗効果を得て地域の活性化を図るといった取り組みを行っている。

 これらの調査結果を踏まえ、本委員会は地域経済活性化対策に関する諸施策について、次のとおり提言を取りまとめた。

? 東北大学多元物質科学研究所により九九・九九九九パーセント以上の半導体用超高純度鉄が開発され、共同開発にあたったソニー宮城株式会社などでサンプル出荷が始まった。こういった宮城から発信し、地域に好影響を与えられる知的財産や技術力を活用するため、大学、企業と連携を密に図りながら、販路拡大など行政が支援していく役割・必要性を認識し、宮城県として支援体制を整備し事業展開していくこと。

? 宮城県緊急経済産業再生プランは本年度が最終年度であるが、実施してきた事業の検証による効果測定と県民に求められている事業の調査を実施し、今後の事業の継続又はそれに代わる事業の必要性が求められているものについて、フォローアップ事業を実施していくこと。

? 宮城県の主要産業でもある第一次産業製品の独自性を強化し、地産ブランドのプロモーションを充実させ、流通体制の強化を図ること。

? 宮城県から東北各県に働きかけを行い、各県連携し「東北」が一体として観光資産の共有化と機能分担を図り、また、仙台空港アクセス鉄道が平成十八年度に開業するため、東北の拠点となる仙台空港を基点とした広域的な観光商品開発への積極的な取り組みを実施すること。

二 若年層雇用対策に関する諸施策の充実強化に向けた取り組みについて

 景気回復を受け、雇用情勢も改善への傾向が見られるようになってきたが、雇用環境は、従来の形態から大きく環境変化が進んでおり、企業が即戦力を重視し、スキルを取得している者など中途による採用や、人件費の削減等により派遣社員やパートタイム労働者の雇用といった正社員にとらわれることのない雇用へと環境変化する傾向となっている。特に高等学校や大学の新卒者の雇用は、この影響も受けており、若年層の失業率は完全失業率の二倍前後での推移が続くなど非常に厳しい状況にある。

 若年者の労働力については、少子高齢化の影響もあり、労働力人口も減少傾向にある。

 一方で、人を求めている企業と仕事を求めている求職者の間で雇用条件等が一致せず、就職に至らない、または就職しても様々な理由により短期間で離職してしまうといった、いわゆる「雇用のミスマッチ」が多く、現在大きな社会問題となっている。

 平成十五年版「国民生活白書」によると、アルバイトを繰り返すフリーターは年々増加して四百十七万人を超え、就職意欲を失ってニートとなってしまうものも増加傾向にあるなど、若年者に対する雇用情勢とは相反し、将来における若年者の労働力不足が社会に大きな影響を与えている現状にある。

 県内の状況についても、若年層の雇用情勢については、全国と同様の傾向で厳しい環境が続いているが、平成十七年三月末現在の平成十六年度高校新卒者の就職内定率は前年度と比較し、四・三ポイント増の八十九・六パーセントと改善の基調がみられる。しかし、一方では大学新卒者の就職から一年以内での離職率が全国平均を上回っているなど、全体的には厳しい状況にある。

 このため、国、県ともに将来を担う若年層の就職問題は、緊急に対応すべき重大な課題である。

 県では、他都道府県に先駆け、平成十六年度に地域の企業・学校等との幅広い連携・協力の下、職業能力開発、インターンシップなど職場体験機会の確保、キャリアコンサルティング等の若年者に対する就職支援をワンストップで行う場として、「みやぎ若年者就職支援センター」(通称:みやぎジョブカフェ)を設置した。

 国の機関であるハローワークなども併設し、就職相談、紹介を行っており、設置から一年間の運営で、延べ二万三千人を超える利用がある。登録者は三千人を超え、そのうち約三割の求職者が就職に至っているが、その多くは雇用のミスマッチ等により、就職には至っていない状況にある。なお、平成十七年度からは、県が提案した事業計画が経済産業省からモデル事業実施地区として選定され、より事業実施の充実が図られる。

 高校新卒者に対する施策としては、高校生を対象としたキャリア教育総合推進事業により職業意識、就職意識の高揚を図る取り組みや、インターンシップ事業による職業体験を実施するなど、生徒の進路希望の達成に向け事業実施している。また、高校を卒業した未就職者に対し実務研修員として、限られた期間ではあるが、県の機関で採用するといった事業を実施しており、平成十七年度は三十六人を採用している。

 意見聴取を行った株式会社帝国データバンク仙台支店長の神谷裕之氏は、「若年層雇用の需給のミスマッチは現在の社会環境、教育環境から必然的なものであり、その解消にあたっては、学校教育の中にしっかりと社会人としての教育と本人の将来に対しての教育、いわゆるキャリアビジョンを明確にしていくような教育が必要である。」と述べている。

 愛知県でも、国等の機関を併設した「若者就業支援センター」を設置しており、厚生労働省の受託事業による、能力開発の講座を計画しているほか、施設の利用に応じ、民間企業で行っている資格取得のための講座の受講料負担の支援を行い、就職意識の啓発を行っている。

 また、若者就業支援事業として、名古屋市以外の県内三地域で、民間企業と協力し企業人事担当者による人事の立場から見た評価の助言や就業体験事業、日本版デュアルシステムの対応型訓練を実施している。

 福岡県でも、「若年者しごとサポートセンター」を設置しているが、本所のほか県内三地域に支所を設置し、高等学校新卒者へのサポートも一体化して実施している。また、高校卒業者のうちの未就職者五十名を県の非常勤職員として半年間雇用し、実務体験をしており、このうちの約八割はその後に就職が決まっている。就職が決まらない場合でも、就業することにより将来の方向性を決めるなど、一定の成果を上げている。また、人材育成のため、地域産業界等と連携し、労働力の需給ギャップ調査を実施し、調査結果に応じた人材育成及び伝統産業やアジアセールスに向けた人材育成を行っている。

 株式会社デンソーでは、現在若年者の離職率が非常に高い社会環境の中、新卒者が就職から三年以内の短期間での離職は非常に少ない。

 これは、企業内に学園を設置し、新卒就職者に対して一年から三年間の就業に係る教育を行っていることや全国で開催される技能オリンピック等に参加し、就業者の就業意識の高揚を図る取り組みを行うなど、就業者が勤続していくことによる将来のビジョンを示していることによるものと考えられる。

 石巻工業高等学校では、就職希望高校生との意見交換を行った。その意見交換において多くの高校生は「就職に対する不安を感じている。」と述べている。これは自分が将来就きたい職業はあるものの、職場での人間関係や同じ企業、職種で永く仕事を続けていけるかどうか不安を感じているようである。また、仕事、職場といった環境に接する機会が少なく、将来のビジョンについても描けない状況にあるものとも考えられる。

 また、多くの生徒は、就職先を決めるにあたって、希望する企業の勤務環境を詳しく知ることや、他業種についても選択肢を広げられるように、その職業がどのような手順により就くことができるか詳しい労働内容、実際に現場で働く人の生の声を聞きたいといった多くの情報を得ることを望んでいる。

 これらの調査を踏まえ、本委員会は、若年層雇用対策に関する諸施策について、次のとおり提言を取りまとめた。

? 高校生のみならず中学生も含めた生徒、保護者、教育機関が一体となり、就業に係る意識形成、高揚を図るとともに、生徒等が持つ将来の可能性の発掘や、就業に触れる機会を増やすために、地域・企業の協力を得られるよう積極的に働きかけ、インターンシップ事業を多様な業種で展開し、将来を担う生徒の就職に対する不安を解消させるよう、一層のキャリア教育推進が図られるように積極的な取り組みを実施すること。

? 自発的な若年失業者の意識把握と雇用のミスマッチによる現状の把握と分析を実施し、国が実施している「働きながら学ぶ、学びながら働く」ことにより若者を一人前の職業人に育てる新しい職業訓練システムである日本版デュアルシステムとの、積極的な協力・連携を図りながら事業展開していくとともに、県民に対し事業実施が広く認知されるよう、問題解決に向けた施策の充実強化を図ること。

 以上、これらの意見が、今後の関係施策に十分反映され、住みよい宮城をつくり、更なる県の発展、県民生活の向上がなされていくことを期待して報告とする。

  平成十七年六月十七日

       地域経済活性化及び若年層雇用対策調査特別委員長 中山耕一

 宮城県議会議長 渡辺和喜殿

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○議長(渡辺和喜君) これより質疑に入ります。

 委員長報告に対し質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

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△外郭団体等調査特別委員会調査結果報告



○議長(渡辺和喜君) 日程第七十一、外郭団体等調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。

 本件について委員長の報告を求めます。外郭団体等調査特別委員会委員長、三十七番村井嘉浩君。

    〔三十七番 村井嘉浩君登壇〕



◆三十七番(村井嘉浩君) 外郭団体等調査特別委員会の調査結果について御報告申し上げます。

 本委員会は、過去二年間の調査結果への対応状況の検証や指定管理者制度の運用状況など公社等外郭団体改革や指定管理者制度に関する諸施策について調査検討いたしました。

 県関係部課より、改革の取り組みや成果、指定管理者制度への移行に関する対応状況や施策の概要について聴取するとともに、有識者からの意見聴取を行ったほか、今後の参考とするため、他県の事例等について調査をいたしました。

 また、本県が出資している公社等外郭団体のうち七団体を対象として、現在の団体の状況や改革の取り組みについて意見を聴取するとともに、この四月より指定管理者となったNPOに対して制度への取り組み等について意見聴取を行いました。本委員会にあっては、平成十四年度から三年間にわたり調査を行ってまいりましたが、公社等外郭団体を取り巻く環境は、ここ数年著しく変化をしてきております。特に指定管理者制度の導入にあっては、公社等外郭団体が設立された背景、実際に多くの職員が雇用されていることも事実であり、早急な改革を行いながらも、的確な対応が必要不可欠であります。その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございます。

 以上、御報告申し上げます。

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    外郭団体等調査特別委員会報告書

 外郭団体等調査特別委員会の調査結果について報告する。

 本委員会は、公社等外郭団体への企業経営の視点の導入や過去二年間の外郭団体等調査特別委員会の調査結果への対応状況の検証、指定管理者制度の運用状況などの公社等外郭団体等の改革と指定管理者制度に関する諸施策について調査検討するため平成十六年六月三十日に設置され、付議事件「外郭団体等の在り方及び指定管理者制度に関する諸施策について」を受け、次の事項について調査した。

 公社等外郭団体の改革と指定管理者制度について

 以上の項目について、県関係部課から公社等外郭団体改革の取り組みや成果、指定管理者制度への対応状況等施策の概要について聴取するとともに、東北大学大学院の有識者から意見の聴取を行ったほか、他の県の事例を参考とするため、福島県、長野県、神奈川県、埼玉県、横浜市の実情等について調査を行い、併せて本県が出資している公社等外郭団体のうち七団体を対象に、それぞれ団体の代表者等から、現在の団体の状況や改革に対する取り組み、県有施設を有する団体については指定管理者制度への取り組み等について聴取を行った。

 その結果は、次のとおりである。

 本県における公社等外郭団体改革に対する取り組みは、平成十五年十月に策定された「公社等外郭団体改革計画」により進められているが、その内容は、県が出資する団体のうち八十二団体を公社等外郭団体として指定し、改革について県が取り組むものとしては、要改善団体の改革、公社等代表者への充て職の廃止、指定管理者制度の導入による委託の在り方の見直し等であり、また、公社等外郭団体の取り組むものとしては、経営目標の設定や経営評価、監事や監査役への外部有識者の選任等であった。このほか、行政改革推進本部等における進行管理や公社等外郭団体総合調整委員会における進行管理を行うとともに、公社等外郭団体においても自己管理等を行うこととされている。

 指定管理者制度への対応状況については、指定管理者制度に移行することにより、直営施設の職員が余剰人員となった場合の処遇について懸念されるところがあった。それに対する県の具体的な方向性は見られず、行政改革の一環として定員合理化も並行して行っているとされたものの、定年退職者を待っての自然減によるものと考えられ、人員に余力があるのであれば、直接現場の施設を管理し、今後の施策に反映できるのではないかといった検討の余地があるものであった。また、指定管理者となったところに対し、行政側からの行き過ぎた関与が懸念されたが、県にあっては民間の力が最大限に発揮されるよう過度の関与は控えていく考えであることを確認した。

 有識者からの意見聴取としては、東北大学大学院情報科学研究科教授の山本啓氏を参考人として招致し意見聴取を行った。山本教授は、「外郭団体の整理・統廃合を進めるに当たっては、道州制への動きなど、地方自治体に関するさまざまな方向性がドラスティックに出てきているという中で、地域のデザイン、地域経営というところに視点を広げながら外郭団体の整理・統廃合を進めることが重要としている。また、指定管理者制度については、厳密な事前の調査やチェックが行わなければならないと指摘し、公民パートナーシップとしての対象である特定非営利活動法人(NPO)が事業主体となる実力を付けるための育成も必要である。」と述べている。

 また、外郭団体の民営化について意見を求めたところ、「各事業分野での団体の必要性の評価が必要としながらも、ある部分、健全経営を行えるというようなところについては民営化という線もあり得るだろう、」とし、今後の外郭団体の新たな方向性が窺えるものであった。

 先進地調査としては、福島県、長野県、神奈川県、埼玉県及び横浜市の取り組みについて、調査を行った。

 公社等外郭団体の改革状況にあっては、福島県の「公社等見直しに関する実行計画」を始めとし、調査先の各県市において、改革に関する計画により統廃合が進められている状況であった。指定管理者制度の対応状況については、横浜市において三十施設がすでに指定管理者制度による管理が行われているなど、一部の施設で導入されているところはあったが、本格的な導入は平成十八年度からという内容であった。

 今回の調査を進めていくに当たっては、指定管理者制度の導入によるプロパー職員の処遇が共通の問題であることが窺え、また、埼玉県にあっては、法律の施行により、地方公共団体は政策に流されすぎる傾向があり、指定管理者制度にあっても、施設の管理運営において直営の中で効率化や質の向上を図るような視点をもっと考えるべきであるといった共通の意見をもつものであった。

 次に、本県の公社等外郭団体からの聴き取りについては、特殊法人宮城県土地開発公社、財団法人宮城県地域振興センター、社団法人林業公社、特殊法人宮城県道路公社、特殊法人宮城県住宅供給公社、財団法人宮城県環境事業公社、財団法人宮城県下水道公社の計七団体の理事長等から現在の各団体の事業概要、経営改善への取り組み等について直接聴き取りを行った。

 特殊法人宮城県土地開発公社にあっては、地方公共団体の財政状況の悪化等から土地の先行取得の激減や景気低迷による工業団地の販売不振が続くなど当公社を取り巻く環境は厳しい状況が続いている。

 今後の事業の展開としては、これまでの手法によるだけではなく、法律による制約はあるが、時代にあった土地の需要の目的を把握しながら、土地の多面的活用を実現していくことが必要であり、また、取り巻く環境との様々なかかわりやつながりの中で、その時代にあった事業を展開していくための体制づくりが今後の課題であった。

 財団法人宮城県地域振興センターにあっては、平成十五年度の市町村や県等からの受託調査件数が伸びず、収支計算では平成十四年度と比較して著しく悪化したとの自己分析をしている。

 県としてのシンクタンクの位置づけにあるが、県内における他のシンクタンクとの連携が不足しており、今後は、それぞれの得意分野で役割分担をした機能的な連携が必要であることを指摘した。また、団体の機能として、意思決定の部分が脆弱であるように窺え、今後の改善の必要性を指摘した。

 社団法人林業公社にあっては、本来の事業である分収林事業の主伐期が平成二十三年度からとなっていることから、現状では自主財源を有さず、事業に必要な資金は県や農林漁業金融公庫からの借入金や造林補助金で賄うなど現段階では厳しい経営状況となっている。

 非常に長期的な事業であることから、コスト面だけを考慮した場合、将来的に大きな不安を抱えている状況ではあるが、視点を変え環境保全など別な角度からの多面的な機能をいかに評価し整理していくかが今後の課題であった。

 特殊法人宮城県道路公社にあっては、仙台南部道路、仙台松島道路のここ五年間の経営状況としては、交通量、料金収入ともに順調に推移しており、収支比率も五十パーセント程度と良好な状況となっている。

 仙台南部道路にあっては、料金設定が高いのではないかとの指摘をしたが、採算性で算定されており高くならざるを得ないとの内容であった。

 特殊法人宮城県住宅供給公社にあっては、景気低迷の長期化、民間開発業者との競合、地価の長期下落傾向等の影響を受け、分譲区画数が目標値に達せず、公社としての最大の収入源である分譲収入が落ち込んでいることから、借入金の償還が計画的に行えず、経営の健全化を困難にしている。

 多額の負債を抱えている現状においては、価格設定の見直しなどを行い、積極的に償却していくことが先決であると考えられ、また、他県における統廃合の状況をふまえながら、県との協議を積極的に進めていくよう提案した。

 財団法人宮城県環境事業公社にあっては、現在のところ安定した経営がなされている。昨今の環境思想の高揚に伴い、企業の廃棄物の発生抑制、リサイクルへの取り組み等により、廃棄物処理量の減少が予想されたが、他の処分場と比較して低料金となっている処理料金の値上げ等により必要利益を確保している。

 今後も安定的な経営が見込まれる状態であり、新たな処理場の確保や地域住民の理解等を考えれば、民営化は困難ではないかとのことであったが、すでに埋め立て処分が完了した跡地の順次活用なども更なる検討の余地があり、現在の経営状況を考慮すれば、県や市町村が関与しない完全な民営化に向けて、大きな可能性を持つものであった。

 財団法人下水道公社にあっては、昭和六十二年に広く県民に対する下水道の普及啓発等を目的として設立され、下水道に関する知識の普及、啓蒙及び下水道技術職員の養成、下水汚泥等の有効利用及び調査研究等の事業を実施している。

 施設を維持管理していく中において過剰な設備ではないかと思われるところがあり、実質設備はされたものの稼働していない設備があることを指摘した。また、設備する県側との協議・連携の不足や民間への業務委託に関する検討の余地が窺え、なお、役員の配置にあっては、業務の特殊性から、これまでの経験や専門的知識を十分に配慮した上で適格な人材を配置する必要性が窺えた。

 指定管理者制度の実施に当たって、特定非営利活動法人(NPO)がその指定管理者に指定されることが多くなると考えられていることから、この四月から指定管理者となった、特定非営利活動法人である「杜の伝言板ゆるる」及び「せんだい・みやぎNPOセンター」の二団体の代表者から指定管理者制度と特定非営利活動法人との関わり等について直接聞き取りを行った。

 特定非営利活動法人杜の伝言板ゆるるにあっては、宮城県を中心としたボランティアやNPOに対し、活動に関わる情報収集及び情報提供を行う団体として設立され、主に月刊「伝言板ゆるる」の無料配付による情報提供等の活動を行っている。特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンターにあっては、NPO活動の発展をめざし、企業や行政とのパートナーシップの形成を行う団体として設立され、主に制度改正や活動促進策などの政策提言、NPOの技術力を上げるための組織運営やスタッフ研修などのマネジメントサポート等の活動を行っている。

 両団体にあっては、この四月から指定管理者となったばかりであり日も浅い状況であったが、指定管理者に対する行政側からの行き過ぎた関与について懸念されるところがあったことから、両団体に対し意見を求めたところ、団体側からは、市民参加というあたらしい社会をつくるといった視点が行政側に不足しているとの指摘がなされ、県に対し、民間の力が最大限に発揮されるよう過度の関与は控えていくことを望むものであった。

 本県議会においては、平成十四年に公社等外郭団体の調査を行うための「外郭団体等調査特別委員会」を初めて設置し、その後三カ年間にわたり設置され、それぞれの委員会において有識者からの意見聴取や先進地事例等の調査、各団体からの聞き取りなどを行うとともに、その状況について公社等外郭団体の改革のための諸施策と併せ報告してきたところである。

 この期間、執行部においては「公社等外郭団体改革計画」を調査特別委員会の提言を受け策定するなど積極的に取り組まれてきたところであり、また、議会としても当該特別委員会で取りまとめた条例案を基に「宮城県の公社等外郭団体への関わり方の基本的事項を定める条例」を制定している。

 以上のように、公社等外郭団体を取り巻く環境はここ数年著しく変化し、特に地方自治法の改正による指定管理者制度の導入は、その改革を早急に進めていかなくてはならない大きな要因となっている。

 しかしながら、指定管理者制度の導入に当たっては、公社等外郭団体が設立された背景、実際に多くの職員がそれらの団体に雇用されていることも事実であり、早急な改革の実施を行いながらも的確な対応が必要である。

 これらの調査結果を踏まえ、本委員会は公社等外郭団体に対する諸施策について次のとおり取りまとめた。

一 いわゆる地方三公社(土地開発公社、道路公社、住宅供給公社)については、既に統廃合の方向性を明確にしている他県の取り組み実例もあることから、本県においてもその方向性を早急に検討すること。

二 公社等外郭団体の改革に当たっては、改革計画について不断の精査を行うとともに、「宮城県の公社等外郭団体への関わり方の基本的事項を定める条例」により的確に進めること。

三 財団法人宮城県環境事業公社のような経営状況が安定している団体にあっては、将来的に民営化を視野に入れた検討を十分に行うこと。

四 指定管理者制度の導入に当たって、県有施設の管理のみを行っている公社等外郭団体における職員の処遇も念頭においた対応を行うこと。

五 指定管理者制度は、行政サービスに民間の発想を取り入れるという視点もあることから、その施設の性格によっては、民間の参入がしやすいような対応、例えば、県営住宅の公募は全県を一つにまとめて募集するのではなく、民間が参入しやすいように地域ごとに分割して募集するなどの検討を行うこと。

六 指定管理者制度に移行された施設については、その運営が県民サービスの向上や施設管理が確実に行われているかについて常に把握し、的確な指導を行うこと。

 以上、公社等外郭団体の改革の推進、指定管理者制度の円滑な導入が実施されるよう、これらの意見が、今後の関係施策に十分反映されることを期待して報告とする。

  平成十七年六月十七日

                  外郭団体等調査特別委員長 村井嘉浩

 宮城県議会議長 渡辺和喜殿

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○議長(渡辺和喜君) これより質疑に入ります。

 委員長報告に対し質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

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△大規模地震対策調査特別委員会調査結果報告



○議長(渡辺和喜君) 日程第七十二、大規模地震対策調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。

 本件について委員長の報告を求めます。大規模地震対策調査特別委員会委員長、十九番寺島英毅君。

    〔十九番 寺島英毅君登壇〕



◆十九番(寺島英毅君) 大規模地震対策調査特別委員会の調査結果について御報告申し上げます。

 本委員会は、地震災害に対する行政による防災対策の充実、民間企業等の防災対策の促進など、県民の生命と財産を守る具体的な取り組みについて調査検討するため、平成十六年六月三十日に設置され、大規模地震対策に関する諸施策についてを調査項目として、県内外にわたり鋭意、調査検討を重ねてまいりました。

 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございます。

 昨年は、国内においては新潟県中越地震、国外においてはスマトラ島沖の地震という大きな災害が発生いたしました。また、ことしに入ってからは、福岡県西方沖地震が発生しております。今後宮城県においても、高い確率で地震発生の予測がされていることから、地震防災対策の更なる充実強化を強く要望して報告といたします。

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    大規模地震対策調査特別委員会報告書

 大規模地震対策調査特別委員会の調査結果について報告する。

 本委員会は、地震災害に対する行政による防災対策の充実及び民間企業等の防災対策の促進など、県民の命を守る具体的な取り組みについて調査検討するため、平成十六年六月三十日に設置され、付議事件「大規模地震対策に関する諸施策について」を受け、次の事項について調査を行った。

 大規模地震対策について

 以上の項目について県施策の概要を聴取するとともに、気仙沼市の地震防災の取り組みについて調査した。さらに、仙台市立長町小学校において実証試験を行っている緊急地震速報システムについて調査した。また、他県の先進事例を参考にするため、岩手県大船渡市、和歌山県、兵庫県、兵庫県北淡町の実情等について調査を行うとともに、県内の私立学校関係団体や商工関係団体の有識者と意見交換し、検討を行った。

 その結果は、次のとおりである。

 本県においては、第三次地震被害想定調査を実施し、三陸南地震、宮城県北部連続地震の教訓を踏まえ、県地域防災計画(震災対策編)の見直しを行った。見直しにおいては、耐震対策の大幅強化や総合防災情報システムの改修、県職員の配備体制や市町村への派遣体制の整備、市町村総合応援協定やボランティアの受け入れの体制の整備等の避難救援体制の充実、消防の広域応援体制の整備や災害拠点病院の体制整備など救出救助・医療救護の充実を図り、防災対策を充実強化することとしたほか、新たに津波対策を独立させ対策の充実を図っている。

 また、文部科学省の防災研究成果普及事業として、仙台市、東北大学災害制御研究センターと共同で「GIS(地図情報システム)を用いた防災情報の共有化システムの構築とその有効活用」、「地震リスクの地域内格差の明確化と防災力向上戦略の展開」、「緊急地震速報・地震観測情報の防災対策への有効活用」をテーマに研究し、整備開発を行い、地域の防災力の飛躍的向上及び大規模災害時の人的・物的損害の大幅な軽減を図ることとしている。

 平成十五年度から実施している「宮城県緊急経済産業再生戦略」では、耐震化を中心とした社会資本の整備に取り組み、緊急輸送路の確保や津波対策などの公共土木施設の耐震化を推進するとともに、防災拠点施設・治安関連施設等の耐震化や県立学校・公立小中学校・私立学校及び木造住宅の耐震化並びに総合防災情報システムの改修を進めている。

 宮城県北部連続地震における被災者に対し、被災者生活再建支援制度や被災者住宅再建支援制度等を適用し、被災者の生活再建を図っているほか、公共施設等の災害復旧事業を実施している。また、地震により発生した震災廃棄物の処理に対して市町村に財政支援を行い、震災廃棄物の処理の円滑化を図っている。

 気仙沼地域はリアス式海岸を抱え、度々大きな津波災害を被ってきた。また、第三次地震被害想定調査において、当地域は五メートル以上の津波が到来すると予想されている。このことから、海岸堤防・護岸の整備を推進しているほか、老朽化した防潮水門・陸こうの改修を進めている。また、ハード面の整備と併せて、住民が津波から迅速かつ安全に避難できるようにするためのソフト対策として、避難体制の整備支援を行っている。さらに、大規模地震発生の初動時における情報収集連絡体制を整備したほか、津波災害により気仙沼合同庁舎に災害対策本部を設置できないことを想定し、職員寮を活用して災害対本部を設置するための情報設備機器を整備している。一方で、第三次地震被害想定調査において津波の浸水域と予想される場所に、災害対策の拠点となる合同庁舎や警察庁舎が建っているほか、水門や陸こうは手動により閉扉する方式であり自動・遠隔操作化が望まれるなど、今後、改善を要する事例が見られる。

 仙台市立長町小学校においては、文部科学省のリーディングプロジェクトとして、緊急地震速報システムを用いた教育現場での実証試験が行われている。東北大学の源栄教授の説明によると、予想される宮城県沖地震においては、地震発生から地震波(S波)が到達するまで、石巻市で八秒、仙台市・古川市で十五秒、白石市で二十六秒前後と予想されており、緊急地震速報システムを活用することにより、その間に避難する態勢を整えることができると述べている。また、実証試験で使用されているシステムは、避難モード、訓練モード、教育モードの三機能を有しており、児童生徒の安全確保はもとより防災教育にも使用できるものとなっている。

 このシステムを利用した訓練において、児童は揺れが来る前に避難できることによる心理的な余裕を、教師は避難誘導面での効果を指摘している。

 今後は、文部科学省の防災研究成果普及事業に採択され、宮城県、仙台市と東北大学災害制御研究センターが共同で実施する事業の一つの「緊急地震速報・地震観測情報の防災対策への有効活用」において、県内のモデル地区の学校へ展開するほか、病院、工業団地、半導体工場に導入し、地震発生時における早期避難体制の構築に役立てることとしている。

 気仙沼市においては、行政区単位ごとに住民参加による防災マップ作成のワークショップを実施し、災害のイメージ化、地域の危険箇所の認識、防災課題の抽出・解決策の検討を行い地域防災力の向上を図っているほか、地域防災計画の見直しや講演・シンポジウム等の防災啓発活動、スクールゾーン内の危険ブロック塀除却や木造住宅及び公共施設等の耐震対策等を進めている。

 また、遠隔検潮機による「潮位・津波観測システム」を整備したほか、東北大学と民間気象会社の協力のもと津波避難システムの研究・開発を行い、「TIMING情報システム(津波警戒情報速報システム)」を開発し試験運用している。今後は、沿岸市町との連携や予測システムの展開に取り組むこととしている。

 岩手県大船渡市においては、チリ地震津波の体験を風化させることのないよう、防災マップ及び防災パンフレットを市内全世帯に配布したほか、津波到達の水位表や避難誘導標識を設置している。さらに、毎年五月に市内全域で防災津波訓練を実施し市民の防災意識の高揚を図っている。

 平成十五年の三陸南地震を受け、平成十六年度から一般住宅の耐震診断に対し支援を行っているほか、学校等の公共施設の耐震化に取り組んでいる。

 市内に設置されている水門や陸こうの自動化、遠隔化を図り、国の省庁別に設置された海岸保全施設の一元的な遠隔制御を行う拠点として「津波防災ステーション」の整備を岩手県が施行している。

 文部科学省の補助事業により、大船渡市が協力し東京大学地震研究所と日立造船(株)技術研究所が共同研究した「GPS津波観測システム」の実験においては、「GPS津波計」を沖合二キロに設置し、平成十三年六月のペルー沖地震津波や平成十五年九月の十勝沖地震津波を捕捉した。また、平成十六年三月からは高知県室戸岬沖十三キロに設置し観測を行っているが、同年九月に発生した紀伊半島・東海道沖地震津波を津波が岸に到着する十一分前に捕捉でき、観測の正確性が実証されてきたことから早期避難を呼びかけるシステムづくりに役立つものと期待されている。

 和歌山県においては、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の施行により、県内全市町村が推進地域に指定され、県及び市町村は推進計画を策定しているほか、特別措置法では民間事業者等に対策計画の策定を義務づけており、その策定の促進に取り組んでいる。

 地震防災対策アクションプログラムを策定し防災対策を推進しており、東南海・南海地震等大規模災害の発生に備えた防災体制の充実・強化を図るため、防災センターの整備を進めているほか、市町村の防災対策の充実を図るために、地域の実情に応じた課題対応型の地震防災対策総合補助金を創設し、市町村の防災対策を支援している。また、無料で耐震診断を行う耐震診断士派遣事業を実施するなど、木造住宅の耐震化を促進している。

 東南海・南海地震では津波の発生が予測されており、大阪府と共同で津波シミュレーションの策定とその対策を検討しているほか、沿岸地域二十一市町で一斉に津波避難訓練を実施している。また、漁船等の船舶を活用した緊急物資輸送や救急患者の輸送に関わる社会実験を行い、防災活動体制の充実及び県民の防災意識の高揚を図っている。

 三重県、徳島県、高知県と四県共同で県民意識調査を実施するなど、他県との広域連携も図っている。

 兵庫県北淡町においては、阪神・淡路大震災により、震災当時約三千五百世帯のうち約千世帯が全壊し、九割以上の世帯が損壊した。倒壊により三十九名の死亡者が出たが、消防団員を始め地域住民の連係プレーにより生き埋めとなっていた約三百名を救出するなど、被害を最小限に食い止めることができた。

 震災当時、人口の四分の一が六十五歳以上の老人であり、寝たきり老人や、一人暮らし老人が四百人を超えていた。このような状況の中、約三百名も救出できたのは、消防団と地域住民が常に一体となっており、個々の生活を熟知していたためである。また、一人暮らし世帯のリストも消防団に手渡しており、一軒一軒確認することができたことが、当日中に全町民の所在を確定できた要因である。

 北淡町は町民約一万人に対し五百人を超える消防団員がおり、男子は二十歳を超えると消防団員になるのだという意識付けが醸成されている。しかし、過疎化や町外への就職などで災害時の団員の確保は容易ではない。

 北淡町では、震災当時の地域防災計画に地震防災に関する記述がほとんどなく無防備の状態であった。震災を受け地域防災計画を見直し、地震災害対策を追加整備し防災対策に万全を期している。また、震災の記憶を後世に伝え防災意識の啓発に資するため、地表に現れた野島断層をありのままに保存する「野島断層保存館」を整備したほか、周辺地域を「北淡町震災記念公園」として整備している。

 兵庫県においては、阪神・淡路大震災により、死者六千四百人超、全壊・全焼家屋約二十万棟、避難者約三十二万人という大きな被害を被った。また、道路、鉄道、建築物などの被害は推計で約十兆円といわれている。

 被災地十市十町では、人口が被災前に比べ最大で約十六万二千人も減少し、平成十三年十一月には総数では人口が回復したものの、神戸市長田区等の被害の大きかった四区や過疎化が進展している三市七町においては、現在も人口が回復していない。

 復興の取り組みについては、「阪神・淡路震災復興計画(ひょうごフェニックス計画)」を策定し、その中で、特に緊急を要する住宅、インフラ、産業の復興について「緊急復興三か年計画」、復興の現状や震災対策国際総合検証の結果を踏まえて「後期五か年推進プログラム」、残り三か年で重点的に取り組むべき事業をまとめた「最終三か年推進プログラム」を策定し、震災前の状態に回復するだけではなく、二十一世紀の成熟社会を拓く「創造的復興」を目指し、約十七兆円にも及ぶ事業を推進している。

 阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、「災害に対する備えの大切さ」、「初動体制の大切さ」、「防災関係機関相互の連携の大切さ」、「コミュニティ(地域)の防災力の大切さ」、「災害に強いまちづくりの大切さ」を柱として、地域防災計画の見直しや初動体制の整備、防災関係機関等の連携、コミュニティ(地域)の防災力の向上、防災基盤の整備に取り組んでいる。

 阪神・淡路大震災の貴重な経験や教訓を全世界の共有財産として後世に継承し、国内外の災害による被害に貢献するため、「人と防災未来センター」を整備し、震災の発生から復興が進む現在までの被災地の姿を、映像や資料で伝えるとともに、災害対策に関する実践面を重視した調査研究や、国や地方公共団体の防災担当職員に対する研修を行うなど、「防災の重要性」と「いのちの大切さや共に生きることの素晴らしさ」を世界へ、未来へ発信し、積極的にその活動を支援することとしている。

 本委員会では、私立学校関係団体及び商工関係団体の有識者を参考人として招致し意見交換を行った。

 宮城県私立中学高等学校連合会松良千廣会長からは、各学校ごとの耐震対策の取り組み状況及び地震防災訓練等の取り組み状況について説明があった。「各校とも耐震対策や地震防災訓練等に取り組んではいるものの、予算の確保が難しいことから思うように進んでいない状況にあるため、行政に対して耐震対策に対する財政支援をお願いしたい。また、各学校の防災担当職員に対する研修会などソフト面の支援を充実してほしいという要望が各学校から出ている。」との話があった。

 社団法人宮城県私立幼稚園連合会村山十五理事長からは、耐震対策の取り組み状況について、「昭和五十六年以前に建築した建物を所有する幼稚園が六十四園有り、うち改築及び補強を行っている幼稚園が三十三園となっている。仙台市には築後二十八年以上経過した建物の改築に対する補助制度があるが、他の市町村では補助制度がないので、計画的に進めることは困難であることから、行政に対して耐震対策に対する財政支援をお願いしたい。防災訓練等の取り組み状況について、全国レベルで防災用マニュアルを作成しているが、机の中にしまい込んであり緊急時には役立っていない。このことから、平成十七年度に全国レベルで壁掛け形のマニュアルを作成し配布することとしている。また、具体的な防災マニュアルの提供や訓練等に対する講師の派遣を実施してほしいという要望が各幼稚園から出ている。」との話があった。

 社団法人宮城県専修学校各種学校連合会千葉雅保会長からは、「連合会で加盟七十九校を調査し四十一校から回答を得た。その中で、昭和五十六年以前に建築した建物を所有する学校は十九校有り、耐震診断を実施又は実施を検討している学校が十五校となっている。専修学校各種学校は耐震対策や災害復旧対策の補助対象からはずれており、耐震対策に対する財源の確保が困難となっていることから、他の教育機関と同様に補助制度の対象としていただきたい。地震防災訓練等の取り組みについては、二十三校が実施しており、そのうち三校は地域の訓練にも参加し地域との連携を図っている。また、具体的な事例を盛り込んだ防災マニュアルの提供や行政主催の講座を積極的に実施してほしいという要望が各校から出ている。」との話があった。

 宮城県商工会連合会富永安雄副会長からは、「商工会では災害等があった場合に被害情報の把握や復旧の対応を指導しているが、事前の予防対策については取り組んでいない。一部の商工会と市町村が災害時の物資の確保について協定を締結し、行政との連携を図っている。また、大衡村では誘致企業で組織する企業等連絡会議を設置し、講習会等を開催し防犯・防災意識の啓発を行うなど、商工会を窓口として行政との連携を図っている。このように防災対策の取り組みはほとんどやっていない状況にある。また、県や市町村等の行政から地震防災対策の取り組みに関しての要請を受けたことは無い。」との話があった。

 本県の第三次地震被害想定調査において、五メートル以上の津波が到来すると予想されている沿岸地域十市町に対し、津波防災対策について書面により調査した結果、避難誘導標識等の未整備が五町、避難誘導マップの未整備が八町、発災時の避難誘導体制の未整備が六市町となっている。また、「津波浸水域予測図」により浸水域と予測された地域に指定避難所、災害対策拠点や社会福祉施設が設置されている市町が八市町有り、住民の命を守る重要な施設がその機能を発揮されない恐れがある。

 調査結果から、各市町とも体系的な津波防災対策が策定されているとは見られないことから、県が策定した「宮城県津波対策ガイドライン」に示す津波避難計画の策定を強力に促進する必要があるほか、市町が実施する津波防災対策に対し県の積極的な支援が求められている。

 また、福祉部門が保有する災害時要援護者の情報を、防災部門に提供するための法整備や国、地方自治体、研究機関等が独自に実施している潮位・津波の観測データの統合や共有できる体制の整備について、国に対する働きかけを市町が要望している。

 平成十六年十月二十三日に発生した新潟県中越地震においては、死者が四十六名、全壊家屋三千百七十七棟、山古志村の全村民避難を含む避難者数が十万人を超え、近年では、阪神淡路大震災に次ぐ大災害となった。当該地震では、崖崩れや道路の崩壊・陥没等により多数の地域が孤立した。また、家屋等の倒壊による圧死者は少数であったが、地震時のショックによる死亡や地震後のストレスや過労による死亡者が多数発生した。これらにより、従来の防災対策や避難対策の見直しが必要とされている。

 また、平成十六年の一連の水害、土砂災害、高潮災害等では、高齢者等の災害時要援護者が多数被災されたことから、防災関係部署と福祉関係部署等が連携し、災害時要援護者情報の共有・活用を図ることが求められている。

 さらに、平成十六年十二月二十六日に発生したスマトラ島沖の地震による津波では、周辺の各国に未曾有の被害をもたらし、約三十万人の死者・行方不明者が出ており、津波の恐ろしさをあらためて認識させられるとともに、平成十七年三月には、福岡県において震度六弱の地震が発生するなど、日ごろの地震防災対策が非常に重要となっている。

 平成十七年一月に国の地震調査研究推進本部地震調査委員会は宮城県沖地震の長期評価を見直し、今後十年以内の発生確率を五十%程度、二十年以内の発生確率を九十%程度に引き上げたことから、防災対策のなお一層の早期取り組みが求められている。

 これらの調査結果を踏まえ、本委員会は大規模地震対策について、次のとおり取りまとめた。

一 津波対策に関して、県は国に対し次の事項について取り組むよう要請すること。

(一)津波の発生を早期に把握するため、沖合津波計を整備するほか、広域津波監視システムを整備し、観測体制の充実を図ること。

(二)津波監視システムの情報の共有化を図るため、津波監視システムのネットワーク化を図ること。

(三)水門などの海岸保全施設の自動化・遠隔操作化を図り、津波監視システムとの連携により、総合的な津波防災システムの構築を図ること。

二 災害時要援護者の避難支援体制の整備には、防災機関と福祉機関の情報の共有及び協力が不可欠であり、個人情報保護条例第八条第三号の規定に基づく災害時要援護者情報の目的外使用等を視野に入れた協力体制の整備方策について研究を行うこと。

三 事前の避難体制の確立と地震時の精神的ショックやストレスなどによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)の軽減を図るため、緊急地震速報システムを防災関係機関、教育機関、医療機関への導入を推進するほか、県民が多数利用する商業施設等への導入を促進する方策を講ずること。

四 私立の学校に通う子供たちの命を地震から守り、教育機会が失われることの無いよう、公立学校と同様の防災対策の取り組みを促進する方策を講ずること。

五 県が関与する各種民間団体に対し、団体会員に対する地震防災対策の指導・助言を要請するなど、民間企業の地震防災対策を促進する方策を講ずること。

 以上、これらの意見が、今後の関係施策に十分反映されることを期待して報告とする。

  平成十七年六月十七日

                大規模地震対策調査特別委員長 寺島英毅

 宮城県議会議長 渡辺和喜殿

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○議長(渡辺和喜君) これより質疑に入ります。

 委員長報告に対し質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

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△地域医療対策調査特別委員会調査結果報告



○議長(渡辺和喜君) 日程第七十三、地域医療対策調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。

 本件について委員長の報告を求めます。地域医療対策調査特別委員会委員長、十八番須田善明君。

    〔十八番 須田善明君登壇〕



◆十八番(須田善明君) 地域医療対策調査特別委員会の調査結果について御報告申し上げます。

 本委員会は、医療従事者等の地域的な偏在が著しく、地方の医師不足は非常に深刻な状況にあり、僻地診療所の医師確保や地域の中核的病院においても、小児科や産婦人科等、一部診療科の維持が難しい状況にあること。また、自治体病院においては、自治体病院が担う機能ゆえに、多くの病院が赤字を抱え、地域医療体制の整備や自治体病院の連携、機能分担を推進し、効率的な医療資源の活用を図る体制の構築が求められていること。更に、市町村合併が進む中、自治体病院のあり方や機能再編も模索されていることなどから、地域医療対策に関する諸施策について調査検討するため、平成十六年六月三十日に設置されました。

 調査項目といたしましては、一、僻地医療対策に向けた取り組みについて、二、自治体病院対策に向けた取り組みについて、以上の二項目について、県内外九地域十三カ所にわたり調査を行ったところであります。

 なお、調査検討に当たっては、地域医療体制全般に関する議論が必要であるという委員全体の一致した認識により、当該調査項目のみならず、地域医療体制の整備と県政の果たすべき役割という観点も含め調査検討を行っております。その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、これらの報告が今後の関係施策に反映されることを期待いたしまして、御報告とさせていただきます。

 以上、御報告申し上げます。

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    地域医療対策調査特別委員会報告書

 地域医療対策調査特別委員会の調査・検討の結果について報告する。

 本委員会は地域医療対策に関する諸施策について調査・検討するため平成十六年六月三十日に設置され、付議事件「地域医療に関する諸施策について」を受け、次の項目について調査・検討を行った。

一 へき地医療対策に向けた取り組みについて

二 自治体病院対策に向けた取り組みについて

 以上の項目について、県の施策の概要を聴取するとともに、県内の実情を把握するため仙南医療圏、岩沼医療圏、大崎医療圏、栗原医療圏、登米医療圏、石巻医療圏、気仙沼医療圏の医療機関や自治体、消防本部の調査を実施したほか、他県の事例を参考とするため山形県及び岩手県の両県において調査し、検討を行った。

 なお、調査・検討に当たっては、地域医療体制全般に関する議論が必要である、という委員全体の一致した認識により、当該調査項目のみならず地域医療体制の整備と県政の果たすべき役割という観点も含めて行ったものである。

一 へき地医療対策に向けた取り組みについて

 離島や山村部においては、近年の道路網の整備などにより医療機関への交通事情は以前に比べれば改善されているものの、過疎化の進行や高齢者の増加などから、一人暮らしの老人等高齢者世帯が増加し、通院に必要な交通手段の確保が課題となっている。また、医療の高度化や専門化により総合的な診療を行える医師が少なくなってきていることもあり、へき地診療所における医師の確保も一層困難となっている。

 さらに、平成十六年度から始まった新医師臨床研修制度により、多くの研修医が大学病院に代わって研修体制や施設が整っている都市部の民間病院などを志望しており、それにより大学病院の医師が不足し、自治体病院から派遣医師を引き揚げたということが大きな要因ともなっており、医療設備や医療従事者等医療資源の地域的な偏在が著しく、地方の医師不足が非常に深刻な状況にある。

 平成十四年度の県内の人口十万人に対する医師数は百九十四・九人で全国平均の二百六・一人を若干下回る程度であるが、医療圏別に見ると仙台医療圏が二百九十四・八人であるのに対し、気仙沼医療圏が百五・五人、登米医療圏が百十四・八人、栗原医療圏が百二十七・二人、石巻医療圏が百三十一・七人となっているなど、仙台医療圏を除く全ての医療圏において軒並み全国平均を大幅に下回っている。また、医療法に規定する医師の標準数充足状況についても全国平均が七十五パーセントであるのに対し、県内平均が五十九・七パーセントとなっており、医療圏別に見ると仙台医療圏が七十五パーセントであるのに対し、気仙沼医療圏及び登米医療圏が共に十四・三パーセント、仙南医療圏が三十・八パーセント、栗原医療圏が四十パーセントとなっているなど仙台医療圏と他医療圏の間に医師の極端な地域偏在が見られる。

 こうしたことから県では、へき地医療を確保するため、市町村が運営するへき地診療所に対する運営費補助事業や施設・設備整備に補助を行う、へき地診療所施設・設備整備事業、自治医科大学卒業医師をへき地診療所に配置するなどの各種の事業を行っている。また、今後の取り組みとして、へき地診療所に医師、看護師等を派遣する機能を有する「へき地医療拠点病院」の充実を図り、へき地診療所の運営に対する支援を強化するとしている。

二 自治体病院対策に向けた取り組みについて

 県内の県立病院を除く自治体病院は三十一病院ありそれぞれが地域医療の中核的役割を担っているが、自治体病院が担う機能ゆえに多くの病院が赤字を抱え、自治体の財政を圧迫しているという状況にある。

 一方、慢性的な医師不足は深刻となっており、地域の中核的な病院においても小児科、産婦人科、麻酔科等の縮小や廃止に追い込まれるなど一部診療科の維持が難しい状況となっているが、医療の向上に対する県民の要望は高まっており、住民が安心できる医療システムを構築するためには、医療従事者の人的資産の充実と地域医療体制の整備や自治体病院の連携・機能分担を推進し、効率的な医療資源の活用を図る体制の構築が求められている。

 同時に、県内各地域の市町村合併が進むなか、それぞれの自治体病院の在り方や機能再編も模索されている。このことは、基本的には各自治体の判断に委ねられるべきものではあるが、財政的支援や関与も含めた県の積極的な取り組みも強く望まれている。

 このため、県では、地域の中核的な病院整備を推進することにより通常の医療が二次医療圏ごとに完結する医療提供体制の整備を図るための病院整備推進事業や、自治医科大学卒業医師を自治体病院に配置する自治医科大学関連事業、医師不足地域での自治体病院等が行う臨床研修事業に対し補助する自治体病院等臨床研修支援事業や、医師確保に関して宮城県自治体病院開設者協議会と連携した医師確保対策事業等を実施している。

 また、東北大学においても、東北大学社会貢献策検討委員会が医学部地域貢献ワーキンググループの検討結果を踏まえた提言を行っているところであり、地域の中核的な病院を中心とした新たな地域医療システム・モデルの提示や医師の養成窓口の一本化が動きつつある。

 岩手県では、県立病院の入院患者の減少が顕著であり空き病床の増加や外来患者の減少、医師確保の困難、経営収支の急速な悪化などがあることから、これらの改善を図る必要があるとして、現在二十七ある県立病院をセンター病院、広域基幹病院、地域基幹病院、地域総合病院等の七つに類型化し、九つの二次保健医療圏の一つにはセンター病院を配置、それ以外の医療圏には二次又は三次レベルの救急医療機能や地域医療支援機能を有する広域基幹病院を配置し、医療圏ごとに機能分担と連携を推進し、県立病院群として一体的・効率的に運営していくとしており、病床数についても圏域ごとの入院需要に見合った適正な規模にする等、総合的な経営改善に取り組むとしている。

 また、県土が広大であることから、へき地医療拠点病院を指定し、診療所等に医師等の巡回や派遣を行っているほか、一人暮らし老人等高齢者世帯の増加などに伴い、医療機関に通院することにも支障をきたしている状況にあることから、交通の便の不自由なところではへき地患者輸送車を四十市町村において運行している。

 また、人口十万人当たりの医師数が全国に比較し少なく、その差が年々拡大してきており県内においても、盛岡市と県北沿岸部等では医師の偏在が見られることから、医師不足の解消は県全体の課題であり、県と市町村が協働で取り組むべき課題であるとして、県と市町村が二分の一ずつ負担し、県内市町村立病院等に勤務しようとする医学生に修学資金を貸し付けし一定期間県立病院や市町村立病院に勤務した場合は返済を免除することにより医師確保を図る、市町村医師養成事業を昭和五十七年度から実施している。平成十五年度からは新市町村医師養成事業として、年額二百四十万円、私立大学の場合には更に入学一時金として七百六十万円の修学資金を貸し付けする制度とし、平成十六年度には二十三人の応募があり十二人に新規貸し付けを行っている。

 さらに、岩手県立病院医師養成事業として、医学を志す優秀な人材を国立大学程度の学納金で岩手医科大学で学べるよう五人の入学枠を確保し学生の経費を県が負担する制度を平成十三年度から実施しており、卒業後は県立病院等公的医療施設に九年間勤務することを義務づけているが、小児科や産婦人科等の特定診療科を専攻した場合にはその期間を七年間とすることで、特定診療科の医師の充実にも努めている。

 一方、平成十六年度からスタートした医師臨床研修制度においても受け入れ体制の整備を進め、臨床研修病院合同説明会や面接会の開催、研修を受けた研修医に岩手に残ってもらうため、厚生労働省認定のもとに臨床研修医指導医講習会を開催することにより、指導する医師のスキルアップを図るなど積極的な受け入れ活動を行っている。

 山形県においては、既存病床数に占める自治体病院病床数の割合が四十九・二パーセントと高いが、町立病院等地域医療に従事する医師が不足しており、医師の標準数を満たしている病院の割合が低いことから、地域医療に従事する医師の確保を図る必要があるとして、県医師会や山形大学医学部等を構成員とする「山形県医療対策協議会」を設置し医師確保に向けた総合的な対策の検討を行っている。

 平成五年度から県立中央病院内に山形県地域医療支援センターを設置し、自治医科大学卒業医師を中心にへき地の医療機関に医師を長期・短期で派遣しているが、平成十六年度からはその機能を充実させ、市町村からの医師派遣要望等に応え、町村立の診療所や病院への代診医を派遣する、山形県地域医療支援機構を設置し地域で働く医師の確保に努めていくとしている。

 また、今後の取り組みとして、地域医療を担うことを前提として医師を個別採用し、町立病院や町村立診療所に派遣する制度や一定期間、町立病院に勤務することを条件に、医学生に対し修学資金を貸し付けする制度等を行い地域医療に従事する医師を確保していくとしている。

 へき地病院・診療所への支援としては、県立新庄病院や公立置賜総合病院をへき地中核病院に指定し、遠隔医療による周辺町立病院や診療所の診断支援や地域内の巡回診療を実施している。また、町立八幡病院をへき地医療支援病院として指定し、近隣市町村診療所への代診医派遣を行っているほか、二次医療圏ごとに一カ所の病院をへき地医療拠点病院として指定し、地域医療支援機構の調整のもと、拠点病院から町村診療所等へ代診医を派遣している。

 今回調査した公立置賜総合病院は、置賜地域の高度医療を担う拠点として山形県及び長井市、南陽市、飯豊町、川西町の二市二町により設置された病床数五百二十床を有する病院である。他の医療圏と比較しこの圏域のみ県立医療施設が未設置だったため、地域住民から県立の高度医療施設設置の要望が高まっていたこと等もあり、設置に際しては県も一部事務組合に参画するなど積極的に後押しし、建設費の八十パーセント、運営費の四十五パーセントを負担しており、併設されている救命救急センターは建設費、運営費ともに百パーセント県が負担するなど、県の積極的な関与により設置・運営されている病院である。

 また、この病院の設置に合わせ従来からある二つの市立病院と町立病院及び診療所を規模縮小・再編し、置賜総合病院を基幹病院とする初期医療・慢性期医療を担うサテライト医療施設とすることで、機能分担・ネットワーク化を図り、地域医療提供体制の強化や経営の効率化、さらには医師の確保が図られている。

 一方で、受診者が基幹病院に集中する傾向が見られるなど、当初計画した各病院の機能が充分に発揮されにくい現状も示された。

 県内では、七つの二次医療圏域において調査を実施した。なお、市町村立病院が存在しない医療圏についても調査を行った。また、前年度の地域医療対策調査特別委員会の提言に対する県の対応並びに本年度から実施される地域医療関係の諸施策について担当部へのヒアリングも行っている。

 仙南地域では、老朽化した町立大河原病院と村田町国保病院を廃止し、新たに角田市、大河原町、柴田町、村田町の一市三町により、地域に不足している医療を強化、また、地域医療の支援病院として急性期医療・二次医療を中心とする広域的な医療圏の中核病院となる、病床数三百床のみやぎ県南中核病院が平成一四年八月に設置され、地域医療連携室を設置するなど、地域における医療機能の分担と連携を推進しており、地元医師会と協力して地元医師会の医師が救急室へ診察の応援に来るというような体制もできている。

 救急医療については、黒字化が不可能であることから、診療報酬基準を超える看護師の配置費用等については財源の補填が必要であるとしている。

 また、今後の仙南医療圏の在り方としては、急性期の医療を行っていくのか亜急性や慢性期の医療を行っていくのか等病院間での機能分担や、行政が主導する形でネットワーク構築を考えていく必要があるとしている。

 岩沼地域は県立を除く自治体病院が設置されていない地域であり、休日夜間の初期救急体制については、名取市が休日の夜間急患センターを開設しているものの、岩沼市、亘理町、山元町では在宅当番医制により対応している。

 また、二次救急医療体制については、二市二町と総合南東北病院が契約し病院群輪番制で実施しているが、地域内で対応しきれない患者が多く、近隣の仙台圏や仙南圏、塩釜圏の医療機関に搬送されている状況にあることから、県立病院にも地域医療を担ってほしいとの要望もある。

 特に、休日夜間の小児救急医療については、地元の病院に収容出来ないということで、仙台市の病院に搬送するケースが多くなっている。また、最近は患者の保護者が内科等の医師でなく小児科の専門医での受診を強く希望するケースも多いことなどから、救急医療体制の充実を図るため県に対し救急医療機関の充実や小児救急医療体制の整備を要望している。

 大崎地域では古川市立病院が県北地域の基幹病院として急性期医療を専門に行っており、人口三十万人以上百万人以下の地域で初めての三次救命救急センターを併設し二十四時間体制で、循環器障害・脳血管障害・悪性新生物等この地域に多い疾患に対応している。また、臨床研修指定病院、地域がん診療拠点病院となっているほか災害拠点病院としての認定も受け、現在は地域医療支援病院を目指しており、東北大学と光ファイバーで結ばれ、医療のIT化を進めるなど地域に不足している医療の整備や地域医療機関との連携を深めた地域医療の充実に努めており、医師確保についても、東北大学では臨床研修指定病院等の地域ハブ病院を中心に医師を派遣するとしているが、そのモデル地区となっている。

 また、合併後の大崎市においては四自治体病院と一診療所体制となることから、現在の古川市立病院を中核とした一つの市民病院として連携・役割分担をさらに強化していくこととしている。

 なお、救命救急センター等、構造的に不採算となる部門については、財源の補填等が必要であるとしている。

 栗原地域では、栗原中央病院が急性期医療・二次救急医療を中心にした地域医療支援機能を有する中核病院として、栗原郡十町村により設置され、開業以来地域医療の中心的な役割を担っているが、三十名の医師が必要なところ二十一名の医師しか確保できていない状況にある。東北大学等からの診療援助により診療がなされているが、産婦人科など医師が不在の診療科や、開設以来人工透析機器が稼働できないなどの課題を抱えている。

 当初はこの病院を核として、二つの公立病院と四つの診療所をサテライト化し、診療所については一次医療を担うとの構想であったが、それぞれ独自の運営を行っており、急性期・慢性期のすみ分けと機能分担が図られていない状況にある。

 登米地域では公立佐沼総合病院を軸に五つの公的医療機関が地域住民の医療に大きく貢献してきたが、少子高齢化など医療を取り巻く状況が変化してきている。このような状況の中、登米地域の医療体制について見直しが必要として登米地区地域医療対策委員会において、医師会や合併協議会の協力の下、将来の地域医療体制の検討を行っており、合併後の登米市においては市立佐沼病院を中核的な病院と位置づけ、公立五病院が一体となりそれぞれの病院の特色を生かしながら、不足する医師を効率的に活用できるよう機能分担と整備を推進し、緊密な連携体制のもとで医療サービスを提供していくとしている。

 石巻地域では、石巻赤十字病院と五つの自治体病院、六つの診療所があり、石巻赤十字病院については地域災害医療センター等の機能を持たせた新病院を平成十八年二月の完成を目指し建設中であり、地域医療支援室を設け地域医療の支援強化を行うとしており、現在圏域内自治体病院の問題点等を具体的に調査しているところである。

 救急医療部門については、採算面で厳しいものがあり財政的な側面からの支援が必要としている。

 石巻市立病院では、五つの自治体病院間で連携を取りながら、紹介を受けほとんどの手術を請け負っている。また、医療コストの削減を図るため、自治体病院間で診療材料や医薬品等の共同購入等を検討している。

 小児科については医師の不在から平成十六年九月に閉鎖されている。

 平成十六年十一月に石巻地区地域医療対策委員会の中に行政機関や医師会、管内公的病院を構成員とする「医療体制検討専門委員会」を設置し、広域合併を踏まえた公的病院間の機能分担や連携、新たな石巻赤十字病院を中心とした医療体制のあり方、医師確保対策等について検討していくこととしており、既存自治体病院の機能特化の方向性も考えられる。

 気仙沼・本吉地域広域行政事務組合は、気仙沼市及び本吉郡四町で構成され、一本部二庁一分署五出張所の体制で管内十万四千余人の消防・救急業務を行っているが、管内には三次救急病院がないため、長距離搬送や他圏域、県外への搬送や転院が多く、収容までの時間も平均で三十五・五分要している状況にある。また、石巻や登米、仙台等の医療圏への搬送も多く、脳疾患等については石巻や古川、県外では岩手県立大船渡病院や岩手医科大学、岩手県立磐井病院等への搬送も多くある。三次救急病院から地理的に離れていることもあり、東北大学や県立こども病院、岩手医科大学等へは防災ヘリによる搬送も多く行われている。

 平成十五年度の地域医療対策調査特別委員会報告においては次の二つを調査し提言しているが、その提言に対する県の取り組み状況についても調査した。

 一 「医師確保対策」に向けた取り組みについて

 二 地域医療圏「二十四時間救急医療体制整備」に向けた取り組みについて

 医師確保に向けた取り組みのうち、地域の中核的な病院の機能強化策については、平成十六年度から自治体病院等臨床研修事業補助制度を県単独で創設し、医師不足地域での自治体病院等が行う臨床研修事業を支援することとしている。

 地域医療圏「二十四時間救急医療体制整備」に向けた取り組みのうち、災害医療センターの整備推進については、各災害医療センターに災害時の医療救護活動に必要な簡易ベッドや簡易トイレ等の非常用備品の配備と備蓄倉庫の整備を実施するとしている。また、救急医療機関の医療体制の充実及び強化については、救命救急センターをはじめとする救急医療機関に対し、各種の運営に対する財政支援を行うとともに、二十四時間体制で救急医療を実施する地域の中核的な病院の制度を創設し、整備促進を図っており、平成十六年度からは、救急医療機関の設備整備に対し財政支援を行っている。

 それ以外の項目については、検討事項であるとされており、施策には反映されていない状況にある。

 平成十七年度の事業においては、県が地域医療に従事する医師を募集、地域の自治体病院・診療所等に派遣する「ドクターバンク事業」や医学生等に対し修学・研修資金を貸し付けする「医学生等修学・研修資金貸付事業」、東北大学大学院医学系研究科に「地域医療システム学講座」を県の寄付により設置する「地域医療システム学講座設置事業」、定年を迎えた勤務医や子育て等のため臨床を離れた女性医師等を地域の自治体病院・診療所等に紹介する「地域医療医師登録紹介事業」等の自治体病院等医師確保のための新規事業や、地域の中核的病院を整備する「中核的病院整備事業」、「古川市立救命救急センター運営費補助事業」等の事業を推進していくとしているなど、県の地域医療に対する取り組みに積極性が見られるが、これらの事業の実効性を上げるための取り組みも求められる。

 県民がどこに住んでも安心して暮らせる県土づくりには、医療体制の充実が欠かせないが、全国的な傾向として医療資源の偏在が顕著であり、地方においては深刻な医師不足の状況にある。医療の向上に対する県民の要望は高まっており、住みよい地域社会を形成していくにはこれらの解消を図ると共に地域の実情に応じた医療体制を整備していくことが求められている。

 離島や医療過疎地域を多く抱える本県においては、へき地医療対策をどのように行うかは本県の医療に対しての姿勢が示されるものであり、重要視されるべきものである。

 自治体病院対策については、各自治体の財政難に加え医師確保等がままならず、地域から求められる在り方に対し現状維持ならまだしも後退しかねないのが実情であり、このことへの対応は喫緊の課題である。

 県外も含め延べ九地域十三箇所の調査を実施したが、これらの課題を再認識するとともに今後の県政の在り方と方向性について検討を行ってきたものである。

 また、当然ながら地域ごとに抱える課題は異なっているものの、基本的に共通した問題として以下のものがあげられる。

?医師並びに医療資源の不足・偏在

?自治体病院運営における財政面での逼迫

?地域保健医療計画等において示された体制整備が具現化していない地域の存在

?自治体病院連携のシステム化や個々の病院の機能を明確化することの必要性

?開業医等も含めた病病・病診連携のあり方の具体化

?医療圏間での医療サービスにおける格差の存在

?受診者(地域住民)と医療サイドの共通理解の醸成

 以上挙げた項目は基本的には従来から指摘されている課題であり、県においてもこれらに対し幾つかの施策が実施されてはいるが、十分な効果を上げきれていないのが現状である。それぞれの問題はいずれも密接に関わるものであり、包括的に解決策を提示していく必要がある。また自治体病院の機能分担・ネットワーク化など先進事例とされる他県においても実際の運営においては想定外の課題も発生しており、実際の制度運用も想定した細かなフォローアップも必要になるものと考える。

 前記の諸課題に対しては、

?医師確保策の充実

?各種財政支援

?限られた医療資源の効果的な運用・連携とそれぞれの機能補完

?目指すべき地域医療の方向性に対する受診者(地域住民)の理解と参加

の四点が基本的な方向性として望まれるが、各医療圏域の特性に合わせた柔軟な対応が不可欠である。

 各医療圏域での意見の多くは、諸々の事情から地元行政或いは地元医療界だけでは対応しきれない部分や今後の医療圏のあり方等について県が積極的に関与する姿勢を望むものであった。地域医療において中心的な役割を担うはずである各自治体病院の多くが、その実際の診療対応も含め、求められる機能を発揮するには未だ遠いのが現状である。それぞれの歴史的な経過や、基本的に意思決定権は病院運営主体にあるにせよ、地域医療の在り方とその主体性について市町村や医師会に余りに頼りすぎてきたのではないか、というのが本委員会委員の一致した見解である。近年、確かに各医療圏域の今後の在り方については各地域の保健福祉事務所が窓口となり協議が行われてきてはいるものの、より積極的なアプローチ、リーダーシップを発揮していくことが強く求められている。「地域医療の最終責任は県にある」ことを認識し、これまでの医療施策等を再点検し、真に地域医療に資する県の医療行政を確立していかなければならない。

 これら調査・検討結果を踏まえ、本委員会は調査項目について以下のとおり提言するものである。

 なお、調査項目に関連する地域医療全般に関するものとして、

?地域医療対策について県の積極的な関与姿勢、施策を打ち出し、リーダーシップを発揮しながら県の姿勢を明確にすること

?本年度の新規事業も含めた医師確保施策について、その実効が最大限上がるよう努めるとともに、他の確保手段についても前向きに模索すること。

?本年度から実施される「地域医療システム学講座設置事業」等の成果が即時的に運用されるよう、各医療圏域の医療資源の適切な把握を図るとともに、各関係主体との緊密な連携性を確保しておくこと。

?医師養成枠の拡大と、専門科目に特化せず総合医療を担えるような人材育成の観点の取り組みも行うこと。

?今後の医療圏域ごとの地域医療施策の推進と在り方について、地域住民の正確な理解と認識を醸成する方策を積極的に展開すること。

 以上五点を併せて提言するものである。

一 へき地医療対策に向けた取り組みついて

 ?現存する民間医療施設も含めたへき地病院、診療所等に対し、可能な限りの支援の在り方を検討すること。

 ?へき地医療支援病院等を中心として、医師派遣システムを早期に確立すること。

 ?へき地、離島等におけるドクターヘリ、ドクターカーの導入について早急に検討すること。また、併せて、消防・防災ヘリや自衛隊との連携についても検討すること。

 ?患者輸送システムの整備を早急に行うこと。

二 自治体病院対策に向けた取り組みについて

 ?地域の中核的病院の多くが自治体病院だが、その機能が充分に発揮されるよう、医師確保も含めたバックアップを全面的に行うこと。

 ?自治体病院の機能分担・ネットワーク化など、地域の実情に応じた機能再編を県が主導的に促進すること。

 ?自治体病院の統合・廃院等の事態も今後想定されるが、これらに対し財政支援も含めた施策を検討すること。

 ?地域の中で初期医療を担うのが自治体病院のみ、という地域も多く、その機能維持について積極的な支援を講じること。

 ?県立病院の地域医療への関わり方について検討すること。

 以上これらの提言及び意見が、今後の県の関係施策に十分反映されることを期待して報告とする。

  平成十七年六月十七日

                 地域医療対策調査特別委員長 須田善明

 宮城県議会議長 渡辺和喜殿

参考 調査先一覧

   調査年月日        調査先

平成十六年十月十五日  古川市立病院、栗原中央病院、公立佐沼総合病院、

            公立米谷病院、公立豊里病院

平成十七年一月二十七日 山形県健康福祉部、公立置賜総合病院

平成十七年一月三十一日 岩沼市、みやぎ県南中核病院

平成十七年二月三日   気仙沼・本吉地域広域行政事務組合消防本部

平成十七年二月四日   岩手県保健福祉部、岩手県医療局、岩手県立磐井病院

平成十七年二月十四日  石巻赤十字病院、石巻市立病院、宮城県石巻保健福祉事務所

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○議長(渡辺和喜君) これより質疑に入ります。

 委員長報告に対し質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

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△スポーツ施設有効活用調査特別委員会調査結果報告



○議長(渡辺和喜君) 日程第七十四、スポーツ施設有効活用調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。

 本件について委員長の報告を求めます。スポーツ施設有効活用調査特別委員会委員長、三十八番安藤俊威君。

    〔三十八番 安藤俊威君登壇〕



◆三十八番(安藤俊威君) スポーツ施設有効活用調査特別委員会の調査結果について、御報告申し上げます。

 本委員会は、県営スポーツ施設における機能重複の解消や交通アクセスの整備などの問題が山積している中で、県民のスポーツに対する理解と関心を深め、より一層スポーツ振興に寄与するため、スポーツ施設の有効活用に向けた取り組みなどについて調査検討するために設置されました。

 調査項目に沿って県内外にわたり調査検討してまいりました結果、お手元に配布の報告書のとおりとなりました。

 以上、御報告を申し上げます。

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    スポーツ施設有効活用調査特別委員会報告書

 スポーツ施設有効活用調査特別委員会の調査結果について報告する。

 本県の県営スポーツ施設には、機能が重複する施設の解消や交通アクセスの整備等の問題が山積しており、また、県民からは老朽化した宮城球場のドーム化を要望されている状況にある。このため、本委員会は、県民のスポーツに対する理解と関心を深め、より一層スポーツの振興に寄与し、スポーツ施設の有効活用に向けた取り組み等について調査検討するため、平成十六年六月三十日に設置され、付議事件「スポーツ施設の有効活用に関する諸施策について」を受け、次の事項について調査・検討した。

 スポーツ施設の有効活用について

 以上の項目について、県の施策の概要を聴取するとともに、これらの実情を把握するため、県内の県営スポーツ施設等の調査を実施したほか、県外の事例を参考にするため、札幌ドームにおける有効活用策や北海道における道立総合体育センターの振興策、また、広島市における広島ビッグアーチの活性化策等について調査し、検討した。

 その結果は、次のとおりである。

 スポーツ本来の意義としては、一般的には、身体を動かすこと自体に対する本源的な欲求を充足すること、体を動かすことの喜び、爽快感などの楽しみを得ること、健康や体力を維持・増進すること、心身の鍛練と豊かな学習をもたらし、さらには他者との交流・コミュニケーションを生み育むことなどが挙げられている。

 スポーツは、人類が蓄積、形成してきた文化の一つであり、スポーツを「する」あるいは「見る」こと自体を人間の文化活動の一つと位置付けることができる。そして、スポーツの振興を通じて、地域住民も多様なスポーツ文化を享受することができるようになる。ことに、「見るスポーツ」に関しては、プロスポーツや国際競技大会などにおけるハイレベルなプレーが見る人に大きな感動と活力を与えるように、音楽や絵画などの文化芸術に比肩する文化的意義を有している。

 また、スポーツは、現代生活における過剰なストレスや慢性的な運動不足に対して生理的な代謝を促進し、爽快感や達成感をもたらすなど、健康や体力を維持、増進する機能をもっている。

 とりわけ、これからの長寿社会においては、誰もが生涯を通じて心身の健康の維持、増進を図り、健やかな生活を過ごすことができるような環境づくりが大切であり、これがひいては高齢者福祉や医療に対する社会的コストを小さくすることとなり、こうした観点からのスポーツ振興の意義は極めて大きくなっている。

 プロスポーツや各種競技大会の開催、地域スポーツ活動への参加は、地域住民の生活のゆとりと潤いをもたらすとともに、地域における消費や雇用の増進、競技施設などの社会基盤の整備、大会運営への住民の協力などによるボランティア活動の振興など、様々な形で地域の活性化に資する面がある。

 「体力・スポーツに関する世論調査(内閣府大臣官房政府広報室。平成十六年二月調査)」によると、公共スポーツ施設への要望としては、「利用時間帯の拡大」、「初心者向けのスポーツ教室やスポーツ行事の充実」、「利用手続き、料金の支払い方法などの簡素化」などがあり、スポーツ振興に対する要望については、「年齢層にあったスポーツの開発普及」、「スポーツ指導者の養成」、「地域のクラブやサークルの育成」、「各種スポーツ行事・大会・教室の開催」などが挙げられており、スポーツ行政への課題は大きくなっている。

 スポーツ活動の振興施策上の課題としては、従来の学校や企業を中心としたスポーツ活動のみならず、地域に根ざしたスポーツ活動の充実を図ることや、公共スポーツ施設については、利用者のニーズにあった効率的、効果的な管理運営がされているか、さらに、利用者の利便性の観点から、シャワー室や談話室、喫茶店などの附帯設備の充実等を図ることが今後の課題としてある。また、国体施設をはじめ、大規模な公共スポーツ施設については、公共施設である以上、地域住民の利用に供されることが、前提となっているが、国民体育大会などイベント終了後の利活用が十分になされていない事例もあり、イベント終了後、あるいはイベント時以外の利活用について十分な検討が必要とされている。

 本県では、老朽化が進む宮城球場をドーム球場にしようと、県高等学校野球連盟や仙台六大学野球連盟など県内のアマチュア野球十八団体で構成する「宮城球場改修整備促進協議会」と県内の企業経営者などで構成する「宮城野ボールパーク構想推進協議会」及び仙台市議会議員と県議会議員十名で構成する「月曜会」で、十月五日、「ドーム型多目的球場新設協議会」を設置し、一年以内に具体的計画を策定し県などの協力を得ながら五年以内にドーム型球場の開業を目指すこととしている。また、十月下旬には、地元企業と大手銀行でつくる「ドーム球場建設協議会」が発足し、建設・運営会社は、株式会社楽天野球団も入れた民間数社で設立して、平成二十年の開幕までにドーム球場を完成させる計画としているなど、県内でのドーム球場構想は盛り上がりを見せている。

 また、本県と仙台市が共通する政策課題を協議する場として、平成十六年二月に「宮城県・仙台市政策課題協議会」が設置され、六月には宮城野原公園総合運動場の将来像に関する項目を追加した。十一月十六日に、仙台市が独自に取りまとめた、宮城球場のドーム化を含む宮城野原公園総合運動場周辺地区の将来構想の提案がなされている。

 さらに、第三百一回宮城県議会(六月定例会)では、宮城県を代表する野球場である宮城球場は、施設・設備面の老朽化が著しいなどとして、ドーム化を視野に入れた新野球場の早急な建設についての請願(「宮城球場の現状改善と新設に関することについて」)が採択されている。

 一方、プロ野球界では、平成十六年九月十六日に株式会社ライブドアが、二十四日には楽天株式会社も、宮城球場を本拠地として新球団を設立するとして、社団法人日本野球機構(NPB)に加盟申請を行い、十一月二日には、「東北楽天ゴールデンイーグルス」のパシフィック・リーグ参入が決定した。十一月三日「宮城球場フランチャイズ基本協定」を締結し、築五十四年の宮城球場は、十一月一日からメインスタンドやグラウンドの改修工事を着手した。平成十七年三月十六日には、球場命名権(ネーミングライツ)契約を締結し、「フルキャストスタジアム宮城」に球場名が決定し、三月二十日に新球場が完成した。

 本議会でも、十一月十八日、東北楽天ゴールデンイーグルスを地域に密着した球団として成長させ、さらに、将来とも発展させるために積極的な役割を果たすことを目的とした「楽天イーグルスを支援する県議の会」が設立された。

 平成十五年度の県立の社会体育施設(宮城県宮城野原公園総合運動場、宮城県第二総合運動場、宮城県総合運動公園等)の利用者数は、延べ百二十五万八千九百九十人となり、前年度対比で八万八千八百五人増加している。今年度からは複数のプロスポーツチームが拠点を置くことになり、関連するアマチュアスポーツとの調整が課題となる一方で、その振興にも弾みがつくものと期待される。

 競技スポーツについては、国体の都道府県別順位が、第五十九回国民体育大会で八位と健闘している。スポーツ少年団は、平成十六年度で千三百四十二団体あり、少子化の影響により登録団員数は減少しているものの、加入率は上昇している。

 また、生涯スポーツの拠点となる総合型地域スポーツクラブについては、平成十六年十月現在で十団体設置されており、今後も増加する見通しである。ただし、児童生徒の体力・運動能力は、本県においても昭和六十年をピークに下降傾向が続いており、全国平均と比較してもほとんどの種目、学年で下回る状態となっている。

 スポーツは、人生をより豊かにし、充実したものとするとともに、人間の身体的・精神的な欲求にこたえる世界共通の人類の文化の一つであり、心身の両面に影響を与える文化としてのスポーツは、現代社会においては、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成や個々人の心身の健全な発達に必要不可欠なものであるとして、平成十二年九月に国において、スポーツ振興を図ることにより二十一世紀における明るく豊かで活力のある社会の実現を目指して、「スポーツ振興基本計画」を策定した。この計画では、今後のスポーツ行政の主要な課題として、「生涯スポーツ社会の実現に向けた、地域におけるスポーツ環境の整備充実方策」、「我が国の国際競技力の総合的な向上方策」、「生涯スポーツ及び競技スポーツと学校体育・スポーツとの連携を推進するための方策」を揚げ、その具体化を図ることとしている。また、地方公共団体においては、この計画を考慮しながら地方の実情に即したスポーツの振興に関する計画を定めることとなっており、また、スポーツ振興のための各種施策を総合的かつ積極的に推進していくこととしている。さらに、平成十七年度から「スポーツ拠点づくり推進事業」を実施し、小・中・高校生が参加する各種スポーツの全国大会を継続的に開催しようとする市町村及びスポーツ団体の取り組みを支援することにより、選抜高校野球大会、全国高校野球選手権大会の甲子園球場や全国高校サッカー選手権の国立競技場などのように、全国各地に青少年があこがれ、目標とするスポーツごとの拠点を形成し、スポーツの振興と地域の活性化を図るとしている。

 本県においては、平成十四年十一月に、スポーツの素晴らしさを実感し、普段の暮らしにスポーツを自然に取り入れ、県民だれもが生涯にわたって様々な形でスポーツに親しみ、充実した豊かなスポーツライフを送れる「県民総スポーツ社会」を目指して、「宮城県スポーツ振興基本計画」を策定した。本計画は、本県のスポーツを総合的かつ中・長期的な視点に立って計画的に振興することにより、明るく豊かで活力に満ちた地域社会に寄与することをねらいとしている。平成十五年度から平成二十四年度までを目標年次とする十カ年計画とし、「スポーツ振興基金」や「国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会記念基金」のほか、スポーツ振興くじ(toto)助成金の効率的な活用を図り、計画の達成に努めるとしている。宮城野原公園総合運動場の機能の再編整備については、宮城野原公園総合運動場全体の施設のあり方を明確化して、総合的に必要な整備を進めることとし、その際には、宮城県総合運動公園(グランディ・21)や宮城県自転車競技場(ミヤギ・ヴィロドローム)が整備されたことに伴い、機能が重複することとなった施設については、宮城陸上競技場を中心として県民開放型の生涯スポーツの場として活用していく。また、建築後五十年余が経過した宮城球場については、民間活力等の導入など多角的な検討を行い、整備を進めるとしている。

 宮城スタジアムでは、平成十六年八月に、二〇〇二FIFAワールドカップ日韓大会記念事業として、全国屈指の高校年代の強豪サッカーチームを招へいし、次の時代を担う本県ユース年代チーム・選手の育成強化を図るとともに、大会を複数年継続実施することにより、高校スポーツの頂点である、春夏の高校野球大会の甲子園球場、冬の全国高校サッカー選手権の国立競技場や全国高校ラグビー大会の近鉄花園ラグビー場に並ぶ全国有数のシンボル大会に育て、併せて宮城スタジアムの知名度アップや施設の有効活用を図っている。また、国際的なサッカー大会や陸上競技大会の誘致を目指し、平成十七年一月から芝面等を改修していた宮城スタジアムでは、今秋以降、サッカー日本A代表の国際試合が開催される見込みになっている。

 また、宮城県を本拠地とする二十八年ぶりのプロ野球球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」の実現に伴い、機動的かつ迅速な対応を行うため、「宮城球場フランチャイズ支援本部」を平成十六年十月六日に立ち上げ、総合的調整機関として支援局を設置した。

 フルキャストスタジアム宮城については、エンターテイメント性を重視するべく、砂被り席、フィールドシートの増設を行っており、また、公園のコンセプトを活かすための整備をしている。現段階において、第一期工事が終了し、今後、さらに客席の増強を図るべく第二期工事を予定し、施設の整備拡張を図っているところである。

 札幌ドームの建設は、札幌市が、二〇〇二FIFAワールドカップ日韓大会の開催地に立候補したことに始まった。同市は、昭和四十七年に開催された札幌オリンピック冬季大会開催時において、多種多様な競技場を建設したが、専用競技場は、そのイベント時はいいものの、終了後は専用競技場であることや競技人口が少ないことなどから、格安の料金を設定しても市民等に使ってもらえず大きな問題となっている。サッカー場の当初の建設計画は、観客数を四万人で想定したサッカー専用の屋根なしスタジアムであったが、札幌オリンピック冬季大会の際の反省や雪が多い土地柄を考慮し、ワールドカップ終了後の施設利用促進を図り、また「スポーツによる街づくり」のシンボルにしようと、人工芝による野球と天然芝によるサッカーの両立を可能にした、世界で初めての多目的全天候型スタジアムとして建設した。それと同時に札幌ドーム条例を制定し、建設の目的を「内外の優れたスポーツ、展示会その他の催物の開催の場を提供すること等により、スポーツの普及振興及び市民文化の向上並びに地域経済の活性化に寄与する」としており、プロの試合、札幌ドームでなければ招へいできないアーティストのコンサートなどを観戦、鑑賞する施設と位置付けている。

 札幌ドームの利用料金は、他のドーム球場と違い固定料金とせずに、観客数に応じた料金にしてイベントを誘致し易くする工夫を行っている。また、札幌ドームは、Jリーグ「コンサドーレ札幌」のホームスタジアムであり、プロ野球パシフィック・リーグ「北海道日本ハムファイターズ」のホームグラウンドである。札幌ドームへの入場者数が両チームの収入及び賃館料に影響するため、両チームがいかに高い集客力を発揮し、いかに地域住民に支持されるチームになるかが両チームのみならず、札幌ドームの管理運営を行っている株式会社札幌ドームにとっての経営の要となっており、少年野球教室の開催や試合開催時には監督を先頭に選手が観客をゲートで出迎えるなど、観戦者へのサービスを行いリピーターの確保に努めている。

 交通アクセスについては、最寄りの地下鉄駅から徒歩約十分でありながら、プロ野球、サッカー、コンサートなど特定の時間帯に来場者が集中する大規模イベントの開催時には、最寄りのJR駅や地下鉄駅に接続する四系統のシャトルバスを有料であるが低料金で運行している。また、約千台の駐車場を完備しているが、公共交通機関による来場を促すため、料金は公共交通機関を往復で使用した場合よりも高く設定するなど、交通渋滞等の解消に努めている。

 北海道立総合体育センターは、道立中島体育センターの老朽化に伴い、道民のスポーツ活動や健康・体力づくり、さらに文化活動などにおおいに活用され、たくさんの仲間の交歓の場として積極的に利用されることを目的に平成十二年二月に開館した。同施設は札幌市の都心部にあり、周辺が住宅地であることから自動車による騒音や交通渋滞を考慮し、駐車場は収容人数に比べ小規模なものになっているが、最寄りの地下鉄駅と連絡通路で直結しており、交通の便に非常に恵まれている。国際規模のスポーツ大会は、平成十五年のワールドカップバレーボール女子大会等が開催され、平成十八年の男子世界バスケットボール選手権大会第一次リーグの開催が内定している。文化的行事も、平成十二年の国際青年会議所世界会議札幌大会や平成十四年の障害者インターナショナル世界会議札幌大会などが開催されている。

 施設利用者は平均で年間約五十万七千人、施設の年間平均稼働率はメーンアリーナが九十二%、サブアリーナが九十九%と非常に高いものになっており、平日における利用者は、主婦、高齢者が多く、テニス、バドミントン、ダンス等、また夜間は、フットサル、スポーツバトン、ドッチボール、合気道等に利用されている。トレーニング室には、三人のトレーナーを配置し、正しいトレーニング方法の相談や指導を随時行っており、利用者数は一日平均約二百人となっている。

 これは、利用者のニーズにこたえ、メーンアリーナは四面に、サブアリーナは二面に区切っての利用も可能とした利用形態で運用していることや利用時間、利用料金もきめ細かに設定し対応ができるようにしているためである。施設利用の受付については、利用内容に応じて順番を付け、国際的な行事や全国的、全道的な行事は数年前からの受け付けを行うなど、施設の機能や規模を有効に活用できるようにしている。また、スポーツの振興や道民の健康増進、スポーツ人口の底辺拡大、同センターの利用促進を図るため、こどもの日には小学生を中心に、体育の日には幼児から大人まで全館を開放し、スポーツの楽しさを体験する無料開放事業を行っている。さらに、平成十六年度から施設内に設置している飲料水の自動販売機の売り上げから、一本につき十円程度の寄付を受け、道民に直接還元できるスポーツ振興事業に充当していくとしている。

 広島市は、広島西部丘陵に将来の人口が十万人規模の都市「西風新都」を建設しており、その中で昭和五十九年から広島広域公園が整備されている。平成四年には広島ビッグアーチ等が完成し、第十回アジアカップサッカー選手権大会決勝大会、平成六年には第十二回アジア競技大会広島一九九四など各種の国際大会等が開催されている。交通アクセスについては、平成六年に専用軌道を走行する「アストラムライン」が開業し、最寄り駅から徒歩約十分、また、平成十三年には広島高速二号線が開通し、市内中心部から自動車で約十分と便利なものになっている。

 広島ビッグアーチは、Jリーグ「サンフレッチェ広島」のホームスタジアムである。同施設の平成十五年度の総収入の約四割がJリーグ関係の収入であり、利用者数一試合あたりは約一万三千人と他の利用に比較しても群を抜いており、同市のスポーツの普及・振興及びまちの活性化など地域に対する貢献が大きく、市民共有の財産として育むため、第四次広島市基本計画において「プロスポーツの振興」を掲げ、資本金(一億円)の出資やサンフレッチェ広島への市職員の派遣、試合開催時には周辺の市有地を臨時駐車場としてサンフレッチェ広島に無償貸与するなど、同市の重要施策の一つとして支援を行っている。

 また、市民の健康の維持・増進及び競技力の向上等に関する事業を行い、もって市民の生涯にわたるスポーツ・レクリエーション活動の普及振興に寄与することを目的に、平成十二年に財団法人広島市体育協会と財団法人広島市スポーツ事業団が統合した、広島広域公園を管理運営する財団法人広島市スポーツ協会も、「スポーツイベントボランティア」を組織し、改札業務やゴミ回収業務等でJリーグ一試合平均六十名のボランティアスタッフを派遣して支援を行っている。

 広島ビッグアーチ、第一球技場、補助競技場は、天然芝を使用した競技場であり、芝生の管理上、養生期間を設けているが、それぞれの競技場の養生期間をずらすことや利用時間を制限することにより、利用団体がどちらかの施設を利用できるよう効率的な施設の活用を行っている。広島ビッグアーチでの、一日の興行収入が年間総収入の約五分の一になるコンサートのような大型イベントについては、機材等の荷重による芝生への負担が大きいことから、芝生を保護するマットを敷くことを使用の条件に入れるなどの工夫を凝らし、積極的な誘致に努めている。また、施設利用の少ない冬期間においては、公園内で開催でき安全でアップダウンがあることから、小・中・高等学校のマラソン大会や駅伝大会の誘致を行い、施設の活用を図っている。さらに、夏季休暇中における広島ビッグアーチの走路や専用利用がない時間帯での補助競技場の陸上トラック部分を低料金で個人に開放するなど、個人利用の促進も図っている。

 これらの調査結果を踏まえ、本委員会ではスポーツ施設の有効活用について、次のとおり取りまとめた。

一 機能が重複する県営の陸上競技場施設は、施設の効率的利用を図るべく、宮城県総合運動公園(グランディ・21)に、また、自転車競技施設についても大和町の宮城県自転車競技場(ミヤギ・ヴィロードローム)に一本化するなど、重複施設を集約し、維持管理に係る費用の節減を行い県民負担の軽減を図ることともに、市町がより効率的に運営できるものは、譲与などの検討を行うこと。

二 県営スポーツ施設は、いうまでもなく利用者ニーズを的確に把握しつつ、効率的、効果的な管理運営を行うことが求められており、特に、昨今地方公共団体における行政改革の推進が求められている中で、その要請は一層強まっていることから、使いやすい利用時間や利用料金の設定、施設間のネットワーク化、施設情報の提供、指定管理者制度を導入した管理運営に配慮した施設の利活用計画を策定した上で、適切な管理運営に努めること。特に利用料金については、県民の健康増進により医療費負担の軽減効果、介護要望の観点から考慮し設定すること。

三 県営スポーツ施設のサービス形態は、いわゆる貸し施設としてのサービスの提供を中心に運営されており、民間のスポーツ施設と比較すると年齢や体力のレベルに合わせた指導プログラムや自由な時間帯に指導が受けられるプログラムなどが十分でなく、県民の多様なニーズに必ずしも応えきれない面がある。スポーツの振興を図るためにも、スポーツ教室など多様なスポーツプログラムの提供やレベルの高いスポーツ指導員の確保、養成および配置を行うこと。

四 ドーム球場の建設については、県の厳しい財政状況や都市公園法上の規制などの課題もあるが、県内ではドーム球場構想が盛り上がりを見せている。今後は、球団の意向や民間ドーム球場の動向も見極めながら、その道筋を模索すること。

 なお、「フルキャストスタジアム宮城」は、現在も客席増設を図るべく施設拡張の工事を進めていることから存続させること。

五 「見るスポーツ」を契機として、地域住民に対して「するスポーツ」の動機づけとなり、ひいては地域における健康づくりやコミュニティの形成にも資するものであることから、宮城県総合運動公園(グランディ・21)では、市町村や競技関係団体など関係機関と連携を密にし、国際級の競技大会やJリーグのようなプロスポーツなどの開催の積極的な誘致を図ること。また、利用率の向上を図るため、有名アーティストによるコンサートのような大型イベント等についても、積極的な誘致に努めること。

六 宮城県総合運動公園(グランディ・21)の利便性の向上や利用率アップの観点から、周辺環境の整備や交通アクセスの整備を図ることが最大の課題であり、交通アクセスの向上策の検討を早急に行うこと。

七 財団法人宮城県スポーツ振興財団と財団法人宮城県体育協会は、スポーツの振興という目的や事業内容が一部一致しており、他県においても既に統合、実施していることなどから、県民へのよりよいスポーツ振興施策を展開するためにも両者の統合について検討を行うこと。

八 総合型地域スポーツクラブは、文部科学省が提唱し、平成十六年七月現在、全国に約六百クラブあるが、本県では十クラブと少なく、県民のスポーツ活動への参加による健康の維持・増進や地域のコミュニティの形成、さらには県営スポーツ施設の利用率向上にもつながることなどから、総合型地域スポーツクラブの創設・育成について、一層の支援を行うこと。

 以上、これらの意見が、今後の関係施策に十分反映されることを期待して報告とする。

  平成十七年六月十七日

             スポーツ施設有効活用調査特別委員長 安藤俊威

 宮城県議会議長 渡辺和喜殿

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○議長(渡辺和喜君) これより質疑に入ります。

 委員長報告に対し質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

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△休会の決定



○議長(渡辺和喜君) お諮りいたします。

 議案調査のため、明日から六月二十七日まで六日間本会議を休会とし、六月二十八日再開することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



○議長(渡辺和喜君) 御異議なしと認めます。

 よって、六月二十七日まで六日間本会議を休会とし、六月二十八日再開することに決定いたしました。

 なお、ただいま御出席の諸君には改めて通知いたしませんから、御了承願います。

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△散会



○議長(渡辺和喜君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。

 六月二十八日の議事日程は、追って配布いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

    午後二時十七分散会