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平成27年  9月 定例会(第353回) 10月05日−08号




平成27年  9月 定例会(第353回) − 10月05日−08号













平成27年  9月 定例会(第353回)



       第三百五十三回宮城県議会(定例会)会議録

                              (第八号)

平成二十七年十月五日(月曜日)

  午後一時開議

  午後二時五十分閉会

      議長                     安藤俊威君

      副議長                    渥美 巖君

出席議員(五十九名)

        第一番                  太田稔郎君

        第二番                  天下みゆき君

        第三番                  三浦一敏君

        第四番                  境 恒春君

        第五番                  堀内周光君

        第六番                  石川利一君

        第七番                  長谷川 敦君

        第八番                  佐々木幸士君

        第九番                  村上智行君

        第十番                  すどう 哲君

       第十一番                  遠藤いく子君

       第十二番                  吉川寛康君

       第十三番                  伊藤和博君

       第十四番                  渡辺忠悦君

       第十五番                  細川雄一君

       第十六番                  高橋伸二君

       第十七番                  菊地恵一君

       第十八番                  寺澤正志君

       第十九番                  只野九十九君

       第二十番                  石川光次郎君

      第二十一番                  外崎浩子君

      第二十二番                  岸田清実君

      第二十三番                  佐藤詔雄君

      第二十四番                  菅原 実君

      第二十五番                  坂下 賢君

      第二十六番                  菅間 進君

      第二十七番                  庄子賢一君

      第二十八番                  川嶋保美君

      第二十九番                  佐藤光樹君

       第三十番                  中島源陽君

      第三十一番                  本木忠一君

      第三十二番                  中山耕一君

      第三十三番                  長谷川洋一君

      第三十四番                  池田憲彦君

      第三十五番                  佐々木征治君

      第三十六番                  安部 孝君

      第三十七番                  皆川章太郎君

      第三十八番                  小野 隆君

      第三十九番                  岩渕義教君

       第四十番                  本多祐一朗君

      第四十一番                  ゆさみゆき君

      第四十二番                  藤原のりすけ君

      第四十三番                  内海 太君

      第四十四番                  坂下やすこ君

      第四十五番                  横田有史君

      第四十六番                  小野寺初正君

      第四十七番                  石橋信勝君

      第四十八番                  齋藤正美君

      第四十九番                  安藤俊威君

       第五十番                  中村 功君

      第五十一番                  渥美 巖君

      第五十二番                  畠山和純君

      第五十三番                  千葉 達君

      第五十四番                  仁田和廣君

      第五十五番                  藤倉知格君

      第五十六番                  相沢光哉君

      第五十七番                  中沢幸男君

      第五十八番                  渡辺和喜君

      第五十九番                  今野隆吉君

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説明のため出席した者

      知事                     村井嘉浩君

      副知事                    三浦秀一君

      副知事                    若生正博君

      公営企業管理者                犬飼 章君

      総務部長                   山田義輝君

      震災復興・企画部長              大塚大輔君

      環境生活部長                 佐野好昭君

      保健福祉部長                 伊東昭代君

      経済商工観光部長               吉田祐幸君

      農林水産部長                 後藤康宏君

      土木部長                   遠藤信哉君

      会計管理者兼出納局長             宮原賢一君

      総務部参事兼秘書課長             平間英博君

      総務部財政課長                齋藤元彦君

    教育委員会

      委員長                    庄子晃子君

      教育長                    高橋 仁君

      教育次長                   西村晃一君

    選挙管理委員会

      委員長                    菊地光輝君

      事務局長                   冨田政則君

    人事委員会

      委員長                    小川竹男君

      事務局長                   谷関邦康君

    公安委員会

      委員長                    猪俣好正君

      警察本部長                  中尾克彦君

      総務部長                   岡崎良則君

    労働委員会

      事務局長                   武藤伸子君

    監査委員

      委員                     工藤鏡子君

      事務局長                   大内 仁君

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    議会事務局

      局長                     西條 力君

      次長兼総務課長                半沢 章君

      参事兼議事課長                菅原幹寛君

      政務調査課長                 泉 洋一君

      副参事兼総務課長補佐             菅原 正君

      副参事兼議事課長補佐             川村 満君

      政務調査課副参事兼課長補佐          高橋秀明君

      議事課長補佐(班長)             布田惠子君

      議事課長補佐                 菅原 厚君

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    議事日程 第八号

                平成二十七年十月五日(月)午後一時開議

第一 会議録署名議員の指名

第二 意見書第十一号議案 私学助成の充実強化に関する意見書

第三 意見書第十二号議案 平成二十七年九月関東・東北豪雨に係る災害対策に関する意見書

第四 意見書第十三号議案 地方創生に係る「新型交付金」等の財源確保を求める意見書

第五 意見書第十四号議案 ICT(情報通信技術)利活用のための環境整備の促進とふるさとテレワークの推進を求める意見書

第六 発議第三号議案 みやぎ子ども・子育て県民条例

第七 発議第四号議案 宮城県薬物の濫用の防止に関する条例

第八 議第二百二十六号議案ないし議第二百三十号議案、議第二百三十二号議案ないし議第二百三十五号議案、議第二百三十七号議案、議第二百四十四号議案ないし議第二百四十六号議案及び議第二百五十六号議案ないし議第二百六十四号議案

第九 請願

第十 大震災復旧・復興対策調査特別委員会調査結果報告

第十一 地方創生調査特別委員会調査結果報告

第十二 子ども・子育て環境調査特別委員会調査結果報告

第十三 六次産業化推進等調査特別委員会調査結果報告

第十四 空港民営化調査特別委員会調査結果報告

第十五 スポーツ振興調査特別委員会調査結果報告

第十六 議員派遣について

第十七 委員会の継続審査・調査事件について

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    会議に付した事件

一 日程第一 会議録署名議員の指名

二 日程第二ないし日程第五 意見書第十一号議案ないし意見書第十四号議案

三 日程第六 発議第三号議案

四 日程第七 発議第四号議案

五 日程第八 議第二百二十六号議案ないし議第二百三十号議案、議第二百三十二号議案ないし議第二百三十五号議案、議第二百三十七号議案、議第二百四十四号議案ないし議第二百四十六号議案及び議第二百五十六号議案ないし議第二百六十四号議案

六 日程第九 請願

七 日程第十 大震災復旧・復興対策調査特別委員会調査結果報告

八 日程第十一 地方創生調査特別委員会調査結果報告

九 日程第十二 子ども・子育て環境調査特別委員会調査結果報告

十 日程第十三 六次産業化推進等調査特別委員会調査結果報告

十一 日程第十四 空港民営化調査特別委員会調査結果報告

十二 日程第十五 スポーツ振興調査特別委員会調査結果報告

十三 日程第十六 議員派遣について

十四 日程第十七 委員会の継続審査・調査事件について

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△開議(午後一時)



○議長(安藤俊威君) これより本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。

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△会議録署名議員の指名



○議長(安藤俊威君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。

 会議録署名議員に、二十二番岸田清実君、二十三番佐藤詔雄君を指名いたします。

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△諸報告



○議長(安藤俊威君) 御報告いたします。

 お手元に配布の文書表のとおり、陳情五カ件が提出されておりますので、議長から所管の委員会に送付いたしました。

 お手元に配布のとおり、地方自治法第二百四十三条の三第二項の規定により、公立大学法人宮城大学の平成二十六年度事業報告書及び決算書並びに平成二十七年度事業計画書及び予算書、地方独立行政法人法第二十八条第五項の規定により、公立大学法人宮城大学の業務の実績に関する評価結果、同法第二十九条第二項の規定により、公立大学法人宮城大学の中期目標に係る事業報告書、同法第三十条第三項の規定により、公立大学法人宮城大学の業務の実績に関する評価結果(第一期中期目標期間)について、それぞれ提出がありました。

 県人事委員会から、職員の給与等に関する報告及び給与に関する勧告がありました。

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    陳情文書表

      第三百五十三回宮城県議会(九月定例会)平成二十七年十月五日



陳情番号
要旨
陳情者名
受理年月日
所管委員会
送付年月日


三五三の一
平成二十八年度離島振興の促進に関する要望等の実現について
東京都千代田区永田町一ー一一ー三二
 全国離島振興協議会
   会長 白川博一
二七・七・一三
総務企画
環境生活農林水産
保健福祉
二七・七・二一


三五三の二
宮城県に対する要望について
仙台市青葉区本町二ー一六ー一二
 宮城県商工会議所連合会
     会長 鎌田 宏
二七・八・三
総務企画
環境生活農林水産
経済商工観光
建設企業
文教警察
二七・八・二一


三五三の三
外国人の扶養控除制度の見直しを求める意見書の採択を求めることについて
福岡県行橋市今井三七一三ー一
小坪慎也
二七・八・一七
総務企画
二七・八・二一


三五三の四
宮城県に対する要望について
仙台市青葉区中央二ー九ー一〇
 東北の社会資本整備を考える会
 一般社団法人東北経済連合会
       会長 高橋宏明
           外四名
二七・九・四
総務企画
環境生活農林水産
建設企業
二七・九・二五


三五三の五
東日本大震災で被災した子どもと家族の心の復興に関することについて
仙台市青葉区桜ヶ丘九ー一ー一
 ライオンズクラブ心の復興プロジェクト
 震災復興・心理教育臨床センター
         代表 足立智昭
二七・九・一六
保健福祉
二七・九・二五



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△意見書第十一号議案ないし意見書第十四号議案



○議長(安藤俊威君) 日程第二ないし日程第五、意見書第十一号議案、私学助成の充実強化に関する意見書、意見書第十二号議案、平成二十七年九月関東・東北豪雨に係る災害対策に関する意見書、意見書第十三号議案、地方創生に係る「新型交付金」等の財源確保を求める意見書、意見書第十四号議案、ICT(情報通信技術)利活用のための環境整備の促進とふるさとテレワークの推進を求める意見書を一括して議題といたします。

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意見書第十一号議案

 私学助成の充実強化に関する意見書

 右事件について地方自治法第百九条第六項及び宮城県議会会議規則第十五条第二項の規定により別紙意見書案を提出します。

  平成二十七年九月二十五日

    提出者 宮城県議会総務企画委員長  石川光次郎

 宮城県議会議長 安藤俊威殿

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   意見書

 私立高等学校、中等教育学校、中学校、小学校及び幼稚園(以下「私立学校等」という。)は、建学の精神に基づき、特色ある教育を積極的に展開し、公教育の発展に大きな役割を果たしている。

 私立学校等が、グローバル化が進展する中で今後も時代や社会の要請に応じた新しい教育を推進するためには、これまでより多くの費用が必要となるが、教育負担における公私間格差や少子化等の影響もあり、公立の高等学校を初めとする公立の学校に比べてはるかに財政的基盤の脆弱な私立学校等の経営は、一層厳しさを増している。

 我が国の公教育の将来を考えた場合、公立の学校だけでなく私立学校等が併存する教育体制が維持されてこそ、公教育が健全に発展することが可能となり、その結果、個性化、多様化という時代の要請にも応え得るものとなる。

 そのためには、私立学校振興助成法第一条に規定するとおり、教育条件の維持向上と生徒等の経済的負担の軽減を図るとともに、私立学校等の経営の健全性を高めていくことが不可欠である。

 よって、国においては、私立学校等の教育の重要性を認識し、教育基本法第八条の「私立学校教育の振興」を名実ともに確立するため、現行の私学助成に係る国庫補助制度を堅持し、一層の充実を図るよう強く要望する。

 右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。

  平成  年  月  日

                       宮城県議会議長 安藤俊威

衆議院議長 +

参議院議長 |

内閣総理大臣|あて

総務大臣  |

財務大臣  |

文部科学大臣+

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意見書第十二号議案

 平成二十七年九月関東・東北豪雨に係る災害対策に関する意見書

 右事件について宮城県議会会議規則第十五条第一項の規定により別紙意見書案を提出します。

  平成二十七年九月二十九日

    提出者 議員  中山耕一

    賛成者 議員  藤原のりすけ 岩渕義教   小野寺初正

            横田有史   堀内周光

 宮城県議会議長 安藤俊威殿

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   意見書

 平成二十七年九月関東・東北豪雨は、河川の決壊等による洪水や土砂崩れなどの自然災害を引き起こし、関東地方及び東北地方に甚大な被害をもたらした。

 我が県においても尊い人命が奪われ、住宅や道路、河川等のインフラ、電力、上下水道、通信等のライフラインのみならず、農林水産業や商工業等の産業等、広範な分野に大きな被害が発生している。

 被災自治体は早期の復旧に向けて全力を挙げて取り組んでいるところであるが、今回の災害による被害は非常に大きなものとなっているため、復旧には膨大な経費と労力が必要とされ、また、被災された多くの住民への支援も不可欠となっていることから、東日本大震災からの復旧・復興事業を抱える被災自治体は多大な負担を強いられている。

 台風や大雨などの自然災害は、今後も時期を問わず発生する可能性が高く、このような大きな災害だけでなく、いかなる災害からも住民の生命と財産を守る必要があることから、一層の災害予防対策を早急に講じなければならない。

 よって、国においては、今回の災害対策に万全を期すため、次の事項について特段の配慮を行うよう強く要望する。

一 平成二十七年九月関東・東北豪雨に伴う災害について激甚災害の指定を早期に行うとともに、各種災害復旧事業の早期の採択及び復旧に要する経費に対し、特別交付税を初めとする特段の財政支援措置を講ずること。

二 住宅被害を受けた被災者の生活再建支援、農作物等に被害を受けた農家に対する補償及び被災中小企業・小規模企業に対する支援制度について、迅速かつ十分な財政支援措置や柔軟な制度運用など必要な措置を講ずること。

三 総合的な治水及び土砂災害対策の推進並びに道路施設の防災対策の強化を図るための財政支援措置を講ずること。

 右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。

  平成  年  月  日

                       宮城県議会議長 安藤俊威

 衆議院議長        +

 参議院議長        |

 内閣総理大臣       |

 総務大臣         |

 財務大臣         |あて

 農林水産大臣       |

 経済産業大臣       |

 国土交通大臣       |

 内閣府特命担当大臣(防災)+

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意見書第十三号議案

 地方創生に係る「新型交付金」等の財源確保を求める意見書

 右事件について宮城県議会会議規則第十五条第一項の規定により別紙意見書案を提出します。

  平成二十七年九月二十九日

    提出者 議員  中山耕一

    賛成者 議員  藤原のりすけ 岩渕義教   小野寺初正

            横田有史   堀内周光

 宮城県議会議長 安藤俊威殿

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   意見書

 将来にわたっての「人工減少問題の克服」と「成長力の確保」の実現のためには、平成二十六年十二月に閣議決定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の政策パッケージを拡充強化し、「地方創生の深化」に取り組むことが必要である。

 政府は、本年六月三十日、平成二十八年度予算に盛り込む地方創生関連施策の指針となる「まち・ひと・しごと創生基本方針二〇一五」を閣議決定した。

 国は、全国の自治体が平成二十七年度中に「地方版総合戦略」を策定することを推進するとともに、今後は、その戦略に基づく「地域発」の取り組みを支援するため、平成二十七年度地方財政計画において一兆円の規模で措置した「まち・ひと・しごと創生事業費」や平成二十八年度に創設される「新型交付金」など、少なくとも今後五年間において、継続的な支援とその財源の確保を行うことが重要となる。

 よって、国においては、地方創生の深化に向けた支援として、次の事項について実現するよう強く要望する。

一 「まち・ひと・しごと創生事業費」と各府省の地方創生関連事業に係る補助金、さらには「新型交付金」の役割分担を明確にするとともに必要な財源を確保すること。

二 「まち・ひと・しごと創生事業費」については、地方創生に係る各自治体の取り組みのベースとなるものであるから、恒久財源を確保の上、少なくとも今後五年間は継続すること。

三 平成二十八年度に創設される「新型交付金」については、平成二十六年度補正予算に盛り込まれた「地方創生先行型交付金」以上の額を確保するとともに、その活用については、人件費やハード事業等にも充当を可とするなど、地方にとって活用しやすいものにすること。

四 「新型交付金」に係る事業において地元負担が生じる場合は、各自治体の財政力などを勘案の上、適切な地方財政措置を講ずるなど意欲のある自治体が参加できるよう配慮すること。

五 「まち・ひと・しごと創生事業費」に係る地方交付税の算定に当たっては、今後徐々に取り組みの成果(成果指標)による算定方式にシフトするとされているが、条件不利地域や財政力の弱い団体において、長期にわたる取り組みが必要であることを十分考慮すること。

 右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。

  平成  年  月  日

                       宮城県議会議長 安藤俊威

 衆議院議長   +

 参議院議長   |

 内閣総理大臣  |あて

 財務大臣    |

 地方創生担当大臣+

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意見書第十四号議案

 ICT(情報通信技術)利活用のための環境整備の促進とふるさとテレワークの推進を求める意見書

 右事件について宮城県議会会議規則第十五条第一項の規定により別紙意見書案を提出します。

  平成二十七年九月二十九日

    提出者 議員  中山耕一

    賛成者 議員  藤原のりすけ 岩渕義教   小野寺初正

            横田有史   堀内周光

 宮城県議会議長 安藤俊威殿

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   意見書

 都市住民の農村漁村への定住願望は、内閣府が実施した世論調査によると、平成十七年には二〇・六%であったが、平成二十六年には三一・六%と大きく上昇している。また、平成二十六年に、まち・ひと・しごと創生本部が実施したウェブ調査によると、東京在住者の四〇・七%が、地方への移住を「検討している」または「今後検討したい」と回答している。一方で、前述の内閣府の調査によれば、地方への移住・定住を阻む要因として、「仕事がない」、「子育て環境が不十分」、「生活施設が少ない」、「交通手段が不便」、「医療機関が少ない」など多くの問題点が挙げられている。

 これらの問題点を解決し、「地方への人の流れをつくる」ためには、地方にいても大都市と同様に働き、学び、安心して暮らせる環境の確保の面で大きな可能性を持つICT(情報通信技術)の利活用が不可欠であり、高速情報通信回線網の充実、中でもWi‐Fi環境の整備が必要である。また、ICT環境が充実することにより、地域産業の生産性向上、イノベーションの創出及び観光などによる地方への訪問者増加という形で地域の活性化を図ることも可能となる。

 さらに、企業や雇用の地方への流れを促進し、地方創生を実現するためには、いつもの仕事をどこにいてもできる「ふるさとテレワーク」を一層推進することも必要である。

 よって、国においては、次の事項を実現するよう強く要望する。

一 ICT環境の充実に必要不可欠なWi‐Fi環境の整備に活用可能な補助金や交付金を拡充し、公衆無線LAN環境の整備促進を図ること。

二 平成二十七年度に創設されたふるさとテレワーク関連の税制優遇措置である「地方における企業の拠点強化を促進する特例措置」の周知徹底を図るとともに、ふるさとテレワークを推進するための制度を一層充実させ、企業の地方拠点整備や雇用促進につながる施策を行うこと。

三 ふるさとテレワークを活用して新たなワークスタイルを実現した企業を顕彰するとともに、セミナーの開催などふるさとテレワーク普及啓発策を推進すること。

四 労働関係法規の適用外となる自営型のテレワークについては、法で保障されている最低賃金等と同水準の収入が得られるような仕組みの導入を検討すること。

 右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。

 平成  年  月  日

                       宮城県議会議長 安藤俊威

衆議院議長   +

参議院議長   |

内閣総理大臣  |

総務大臣    |あて

厚生労働大臣  |

経済産業大臣  |

地方創生担当大臣+

……………………………………………………………………………………………



○議長(安藤俊威君) お諮りいたします。

 意見書案四カ件については、提出者の説明を省略することにいたしたいと思います。

 これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



○議長(安藤俊威君) 御異議なしと認めます。

 よって、提出者の説明を省略することに決定いたしました。

 これより質疑に入ります。

 意見書案四カ件に対し、質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

 お諮りいたします。

 意見書第十二号議案ないし意見書第十四号議案については、委員会の審査を省略することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



○議長(安藤俊威君) 御異議なしと認めます。

 よって、委員会の審査を省略することに決定いたしました。

 これより採決いたします。

 初めに、意見書第十一号議案、私学助成の充実強化に関する意見書を原案のとおり決することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



○議長(安藤俊威君) 御異議なしと認めます。

 よって、意見書第十一号議案は、原案のとおり可決されました。

 次に、意見書第十二号議案、平成二十七年九月関東・東北豪雨に係る災害対策に関する意見書を原案のとおり決することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



○議長(安藤俊威君) 御異議なしと認めます。

 よって、意見書第十二号議案は、原案のとおり可決されました。

 次に、意見書第十三号議案、地方創生に係る「新型交付金」等の財源確保を求める意見書を原案のとおり決することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



○議長(安藤俊威君) 御異議なしと認めます。

 よって、意見書第十三号議案は、原案のとおり可決されました。

 次に、意見書第十四号議案、ICT(情報通信技術)利活用のための環境整備の促進とふるさとテレワークの推進を求める意見書を原案のとおり決することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



○議長(安藤俊威君) 御異議なしと認めます。

 よって、意見書第十四号議案は、原案のとおり可決されました。

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△発議第三号議案



○議長(安藤俊威君) 日程第六、発議第三号議案、みやぎ子ども・子育て県民条例を議題といたします。

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発議第三号議案

 みやぎ子ども・子育て県民条例

 右の議案を別紙のとおり地方自治法第百九条第六項及び宮城県議会会議規則第十五条第二項の規定による提出します。

  平成二十七年九月十四日

    提出者 宮城県議会子ども・子育て環境調査特別委員長  佐々木幸士

 宮城県議会議長 安藤俊威殿

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   みやぎ子ども・子育て県民条例

目次

 前文

 第一章 総則(第一条−第七条)

 第二章 基本的施策等

  第一節 子どもの健やかな成長の促進(第八条−第十三条)

  第二節 子どもへの支援(第十四条・第十五条)

  第三節 保護者への支援(第十六条−第十八条)

  第四節 次代の子育てを担う者への支援(第十九条)

  第五節 特別な支援を要する子ども等への支援(第二十条)

  第六節 子育てを支える社会的基盤の整備(第二十一条・第二十二条)

  第七節 東日本大震災の被災地の子ども・子育て支援(第二十三条)

 第三章 支援体制の整備等(第二十四条−第二十八条)

 附則

 子どもたちは、一人一人がかけがえのない存在です。

 子どもたちは、自ら成長する力と未来への夢を持っています。

 そして、親は子どもの育つ姿を見て、明日への希望を与えられ共に成長するものであります。

 子どもたちは、家族の希望であり、今を生き、未来を担う大切な社会の宝です。

 誰もが安心して子どもを生み育て、全ての子どもが家庭や地域の愛情に包まれ、一人の人として尊重される中で、自らの能力や可能性を最大限に発揮しながら、心身ともに健やかに成長することは、私たち県民全ての願いです。

 近年、子どもや子育てを取り巻く社会環境は、多様化・複雑化しています。そのことによって、子どもを生むこと、育てることに対する不安や負担が増大し、家庭や地域における子育て力も低下しています。

 このようなことから、宮城の子どもたちが健やかに育っていくように、保護者が喜びを実感しながら子育てできるように、そして、次代を担う若者が結婚・出産・子育ての希望を持つことができるように、子どもやその家族、若者を社会全体で切れ目なく支えていくことが必要です。

 また、宮城県は東日本大震災(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいいます。以下同じ。)により甚大なる被害を受け、「命の尊さ」や「家族や地域の絆」を改めて心に深く刻むこととなりました。この苦難を全ての世代の県民が一丸となって乗り越えられるよう、これまでの全ての体験から学び得た教訓を、これからの子ども・子育て支援に生かしていくことは、本県の大きな使命であります。

 このような認識の下、子ども・子育て支援における基本理念等を定め、取り組むべき主体の責務及び役割を明らかにし、宮城全土において子ども・子育て支援に関する総合的かつ計画的な施策の推進を図ることを県民の総意として、この条例を制定します。

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この条例は、子ども・子育て支援に関し、基本理念を定め、県の責務並びに保護者、県民、地域社会及び事業者の役割を明らかにするとともに、子ども・子育て支援に関する施策の基本となる事項を定めることにより、安心して子どもを生み、育てることができ、かつ、子どもが社会の一員として健やかに成長し、将来自立した大人となることができる環境の整備を図り、もって、持続的な地域社会の発展に資することを目的とします。

 (定義及び施策の対象)

第二条 この条例において、「子ども・子育て支援」とは、県民が安心して子どもを生み、育てることができ、かつ、子どもが社会の一員として健やかに成長し、将来自立した大人となることができるような施策の推進、環境の整備等の全ての取組をいいます。

2 この条例において、「子ども」とは、おおむね十八歳未満の者をいい、子ども・子育て支援に関する施策の対象となる子どもの範囲は、次条の基本理念の実現を図るため施策が適切に実施されるよう、施策ごとに定めるものとします。

3 この条例において、「保護者」とは、親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子どもを現に監護する者をいい、子ども・子育て支援に関する施策の対象となる保護者の範囲は、次条の基本理念の実現を図るため施策が適切に実施されるよう、施策ごとに定めるものとします。

 (基本理念)

第三条 子ども・子育て支援は、次に掲げる事項を基本理念とします。

 一 全ての子どもは、かけがえのない存在であり、今を生き、未来を担う一人の人として尊重されること。

 二 全ての子ども及び保護者が、子ども・子育て支援を必要に応じて受けることができるようにすること。

 三 保護者が子育てについての第一義的責任を有するものであること。

 四 県、市町村、県民、事業者等は、子どもが未来を担う者であることに鑑み、相互に連携し、及び協働して社会全体で子ども・子育て支援に取り組むこと。

 五 結婚、出産及び子育てに関する個人の価値観が尊重され、一人一人の希望がかなえられるよう最大限配慮すること。

 六 東日本大震災による影響を受けた全ての子どもが健やかに成長していくことができるよう積極的に対策を進めること。

 (県の責務)

第四条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」といいます。)にのっとり、子ども・子育て支援に関する施策を総合的に策定し、実施するものとします。

2 県は、国、市町村、県民、事業者等と緊密に連携し、及び協働して、子ども・子育て支援に関する施策を推進するものとします。

 (保護者の役割)

第五条 保護者は、基本理念にのっとり、生活の基盤である家庭において、深い愛情をもって子どもを健やかに育てるよう努めるものとします。

 (県民及び地域社会の役割)

第六条 県民及び地域社会は、子ども・子育て支援の重要性に対する関心と理解を深めるよう努めるとともに、基本理念にのっとり、県民及び地域社会が一体となって、子ども・子育て支援に積極的に取り組み、国、県及び市町村が実施する子ども・子育て支援に関する施策に協力するよう努めるものとします。

 (事業者の役割)

第七条 事業者は、基本理念にのっとり、その雇用する労働者が家庭と仕事との両立を図ることができるよう、必要な雇用環境の整備に努めるとともに、国、県及び市町村が実施する子ども・子育て支援に関する施策に協力するよう努めるものとします。

   第二章 基本的施策等

    第一節 子どもの健やかな成長の促進

 (子どもの成長に応じた切れ目のない支援)

第八条 県は、子どもが乳幼児から自立した大人になるまで、その成長に応じた適切な教育及び支援を切れ目なく受けることができるよう、関係機関との連携の強化その他の必要な体制の整備を図るものとします。

 (子どもの意見の尊重)

第九条 県は、子どもが社会の一員として、意見を表明することができ、かつ、その意見が適切に反映される環境の整備を図るものとします。

 (子どもの社会参加の促進)

第十条 県は、子どもが家庭、学校、地域等において自発的に活動し、社会の一員として尊重され、役割を果たすことができるよう、子どもの社会参加の仕組みづくりを促進するために必要な環境の整備を図るものとします。

 (育ちの場の充実)

第十一条 県は、地域における子どもの学習活動、自然体験活動、社会体験活動その他の体験活動、子どもと他の世代との交流等の促進及び子どもが遊ぶことができる場の確保のために必要な環境の整備を図るものとします。

2 県は、子育て家庭の多様な需要に対応するとともに、子どもの居場所づくりを促進するため、市町村、個人及び団体が行う保育サービスの提供に対する支援、放課後における児童の健全育成に関する活動等に対する支援、児童及び生徒への学習支援活動に対する支援その他の必要な施策を推進するものとします。

 (子ども及び保護者の健康の増進等)

第十二条 県は、子ども及びその保護者の健康の増進等を図るため、母子保健医療体制の充実その他の必要な施策を推進するものとします。

 (生活環境の整備の促進)

第十三条 県は、子ども及びその保護者が安全で安心して生活することができるよう、居住環境及び地域環境の整備その他の必要な施策を推進するものとします。

2 県は、子どもを犯罪、交通事故その他の危害から守るために必要な施策を推進するとともに、県民等の取組を支援するものとします。

    第二節 子どもへの支援

 (子どもに対する人権侵害の未然防止等)

第十四条 県は、虐待、いじめその他の子どもに対する人権侵害の未然防止、早期発見及び早期対応のため、国、市町村その他の関係機関と連携し、相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるものとします。

 (子どもからの相談への対応)

第十五条 県は、子どもが不安及び悩みを解消できるよう、子どもからの相談に対応することのできる体制の整備、関係機関との連携の強化その他の必要な環境の整備を図るものとします。

    第三節 保護者への支援

 (家庭教育に対する支援)

第十六条 県は、家庭教育を支援するため、保護者の親としての成長及び保護者と子どもとの良好な関係の構築に係る学習の機会及び情報の提供その他の必要な施策を推進するものとします。

 (雇用環境の整備)

第十七条 県は、保護者が家庭と仕事との両立を図ることができるよう、事業者が行う雇用環境の整備について必要な施策を推進するものとします。

 (経済的負担の軽減)

第十八条 県は、国及び市町村と協力し、子育てに係る保護者の経済的負担の軽減を図るために必要な施策を推進するものとします。

    第四節 次代の子育てを担う者への支援

第十九条 県は、子ども及び若者に対し、次代の子育てを担う者としての育成を促進するため、子育ての喜びを知ることができる機会の提供その他の必要な施策を推進するものとします。

2 県は、若者が経済的に困窮していることが結婚及び出産をしない理由となることのないよう、就労支援等により若者の経済的自立を支援するものとします。

    第五節 特別な支援を要する子ども等への支援

第二十条 県は、疾病、障がいのあることその他の理由により特別な支援及び配慮を要する子ども並びにその保護者に対して、専門的な相談、情報提供その他の状況に応じた適切な支援が行われるよう必要な体制の整備を図るものとします。

2 県は、社会的養護を要する子どもの福祉の充実及び自立の支援のため、児童養護施設、里親その他の社会的養護を要する子どもを養育するものに対する専門的な支援、人材育成その他の必要な施策を推進するものとします。

3 県は、特別な支援及び配慮を要する子ども並びにその保護者並びに社会的養護を要する子どもを社会全体で支える仕組みをつくるため、啓発活動その他の必要な施策を推進するものとします。

    第六節 子育てを支える社会的基盤の整備

 (地域における子育て支援体制等の充実)

第二十一条 県は、地域において子育てを支援する拠点及び子育てに関する不安又は悩みを抱える保護者が交流し、相談することができる場を確保するために必要な環境の整備を図るものとします。

 (子ども・子育て支援を行う団体等の活動の促進)

第二十二条 県は、地域において個人及び団体が行う子ども・子育て支援のための多様な活動を促進するため、情報の提供、相互の交流の機会の提供、人材の育成その他の必要な施策を推進するものとします。

    第七節 東日本大震災の被災地の子ども・子育て支援

第二十三条 県は、国、市町村、関係機関等と連携し、東日本大震災による影響を受けた全ての子どもが健やかに成長していくことができるよう、心のケア、就学及び学習に関する支援その他の被災地における子ども・子育て支援に関する施策を総合的かつ継続的に推進するものとします。

   第三章 支援体制の整備等

 (基本計画の策定)

第二十四条 知事は、子ども・子育て支援に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、子ども・子育て支援に関する基本的な計画(以下「基本計画」といいます。)を定めるものとします。

2 知事は、基本計画を定めるに当たっては、県民等の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとします。

3 知事は、基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表するものとします。

4 前二項の規定は、基本計画の変更について準用します。

 (実施状況の公表)

第二十五条 知事は、毎年度、基本計画に基づく施策の実施状況を公表するものとします。

 (広報)

第二十六条 県は、県民が子ども・子育て支援に係る情報を適時かつ適切に得ることができるよう、市町村その他の関係機関と連携し、広報活動を行うものとします。

 (推進体制の整備)

第二十七条 県は、子ども・子育て支援に関する施策を推進するため、必要な体制を整備するものとします。

 (財政上の措置)

第二十八条 県は、子ども・子育て支援に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとします。

   附則

 (施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

 (経過措置)

2 この条例の施行の際現に次世代育成支援対策推進法(平成十五年法律第百二十号)第九条第一項の規定により策定されている計画は、第二十四条第一項の基本計画とみなす。

……………………………………………………………………………………………

提案理由

 県民が安心して子どもを生み、育てることができ、かつ、子どもが社会の一員として健やかに成長し、将来自立した大人となることができる環境の整備を図り、持続的な地域社会の発展に資することを目的とし、子ども・子育て支援に関する基本理念を定め、県の責務並びに保護者、県民、地域社会及び事業者の役割を明らかにするとともに、子ども・子育て支援に関する施策の基本となる事項を定め、その施策を総合的かつ計画的に推進する必要があるため、本条例案を提出するものである。

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○議長(安藤俊威君) 提出者から提案理由の説明を求めます。子ども・子育て環境調査特別委員長、八番佐々木幸士君。

    〔八番 佐々木幸士君登壇〕



◆八番(佐々木幸士君) ただいま議題となりました発議第三号議案、みやぎ子ども・子育て県民条例について御説明申し上げます。

 子供たちは一人一人かけがえのない存在であり、そしてみずから成長する力と未来への夢を持っています。また、親は、子供の育つ姿を見て、あすへの希望を与えられ、ともに成長するものです。子供たちは家族の希望であり、今を生き、未来を担う大切な社会の宝です。だれもが安心して子供を生み育て、すべての子供が家庭や地域の愛情に包まれ、一人一人の人として尊重される中で、みずからの能力や可能性を最大限に発揮しながら心身ともに健やかに成長することは、私たち県民すべての願いです。

 しかしながら、近年、子供や子育てを取り巻く社会環境は、共働き家庭やひとり親家庭の増加、若者の晩婚化、晩産化及び未婚率の増加、地域のかかわりの希薄化などの傾向が進み、家庭や地域における子育て力が低下し、子供を産むこと、育てることに対する不安や負担が増大しております。

 宮城県は東日本大震災により甚大なる被害を受け、命のとうとさや家族や地域のきずなを改めて心に深く刻むこととなりました。この苦難をすべての世代の県民が一丸となって乗り越えられるよう、これまでのすべての体験から学びえた教訓をこれからの子ども・子育て支援に生かしていくことは、本県の大きな使命であります。宮城の子供たちが健やかに育っていくように、また、保護者が喜びを実感しながら子育てができるように、そして、次代を担う若者が結婚、出産、子育ての希望を持つことができるようにするためには、子供やその家族、若者を社会全体で切れ目なく支えていくことが必要です。

 このようなことから、宮城全土において、子ども・子育て支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、本条例案を制定しようとするものであります。

 本条例案は、地方自治法第百九条第六項及び宮城県議会会議規則第十五条第二項の規定に基づきまして、子ども・子育て環境調査特別委員会が議案として提出したものであります。

 検討の過程では、学識経験者や関係団体の皆様から貴重な御意見を伺ったほか、県民の皆様から幅広く御意見を伺うため、条例骨子案及び条例案についてパブリックコメントを実施し、多くの御意見をいただきました。こうした貴重な御意見を踏まえ、委員間で検討を重ねた結果、本条例案を取りまとめたものであります。ここに至るまで熱心に御討議いただきました子ども・子育て環境調査特別委員会の委員皆様はもとより、御協力いただきましたすべての皆様に心からの感謝を表する次第であります。

 何とぞ本条例案の趣旨を御理解いただきまして皆様の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。

 御清聴ありがとうございました。



○議長(安藤俊威君) これより質疑に入ります。

 本発議案に対し、質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

 これより採決いたします。

 発議第三号議案を原案のとおり決することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



○議長(安藤俊威君) 御異議なしと認めます。

 よって、発議第三号議案は、原案のとおり可決されました。

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△発議第四号議案



○議長(安藤俊威君) 日程第七、発議第四号議案、宮城県薬物の濫用の防止に関する条例を議題といたします。

 本件について委員長の報告を求めます。保健福祉委員長、十八番寺澤正志君。

    〔十八番 寺澤正志君登壇〕



◆十八番(寺澤正志君) 保健福祉委員会の審査の結果を御報告申し上げます。

 一発議第四号議案。

 本委員会は、この付託議案について、議案提出者から条例案の提出に至る経緯、趣旨等を聴取し、慎重に審査した結果、原案を可決すべきものと決しました。

 以上のとおり御報告申し上げます。



○議長(安藤俊威君) 以上で、委員長報告を終わります。

 これより質疑に入ります。

 委員長報告に対し、質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

 討論の通告がありますので、発言を許します。四十五番横田有史君。

    〔四十五番 横田有史君登壇〕



◆四十五番(横田有史君) 伊藤和博議員提案、賛成議員七名で発議されました、そして、保健福祉委員会の多数決で強行されました宮城県薬物の濫用の防止に関する条例がただいま本会議に提案されました。

 もとより、私どもは、危険ドラッグの乱用を防止し、その製造、販売、購入、所持等を撲滅すべきであることは極めて当然であり、重要であると考えています。そのため、議員提案による危険ドラッグ規制条例の制定を目指し、超党派による検討会に代表を送り、一年にわたる議論に積極的に参加してきたことは言うまでもありません。

 その間、先行制定の二十四都道府県の条例を参考にした条例案がまとまった段階で、法との整合性を協議するために仙台地検の意見を求めたところ、六月十九日付で、仙台中央検察庁、白浜清貴検事正から、宮城県議会議長安藤俊威議長に対する公文書により三点の意見が出されました。その公文書の中では、特に条例案第十六条第三項について、本条は公安委員会の指示により警察職員の立ち入り等調査権を認め、これに違反した場合に罰則を科そうとしたもので憲法違反となる疑いが強いことから相当とは言えないと思料しますと断じています。こうした検察庁の公式見解を受けて、検討会では修正案等も出され、何とか全会一致の条例案策定への検討が進められましたが、現行案のままでよいとする会派との意見がまとまらず、結局、次期県議会での新たな検討を確認し、検討会は解散されました。

 ところが一部の会派議員がそうした経緯を無視して、そのままの条例案を議員提案で発議したということは、まさに宮城県議会が築いてきたよきルールさえも数の力で足げにしようという、許しがたい暴挙であると言わざるを得ません。

 仙台地検の公式文書では、第一に、公安委員会は警察の民主的運営を確保するための監督機関としての性格を持つ組織であり、このような個別具体的な立入調査を指示できると規定することは、公安委員会の性格に合致せず、その本来の機能を損なわせるおそれが大きいこと、第二に、また、立ち入り等調査については、行政目的と司法目的の明確な区別は難しく、立ち入り等調査が刑事処罰につながる可能性があるものであることを考えると、本条例が定める警察職員の立ち入り等調査権は無令状捜査を認め、黙秘権も侵害することになり、憲法違反となる疑いが強いこと、第三に、警察官の令状なしの立ち入りについては、警察官職務執行法第六条が厳格な要件を満たした場合にのみそれを認めており、罰則も認めていませんが、本条例案第十六条三項の規定はこの限度を大きく超えるものであり、問題があると厳しく指摘し、極めて明快に違憲、違法な条例案であると断じています。また、発議された直後の九月の十七日付仙台弁護士会の宮城県薬物の濫用の防止に関する条例の警察職員による立入調査等の規定に強く反対する会長声明においても、捜索は、裁判所が発令する令状によらなければならないと定めている憲法三十五条に違反する、また、警察職員の質問に答弁しなかったものに対して罰金を科するとして答弁を強制する本条例案は、何人も自己に不利益な供述を強制されないとして、黙秘権を保障している憲法第三十八条に違反すると断じています。また、この立入調査権や質問の権限について、提案条例案の第十六条五項では、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないと規定していますが、最高裁昭和四十七年十一月二十二日大法廷判決における、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を有する行政手続においては黙秘権が保障されるを論拠として、憲法違反のおそれを払拭できないと述べ、条例案の警察職員による立入調査等の規定に強く反対すると結んでいます。

 なお、いずれも憲法違反の疑い、おそれと述べているため、疑いやおそれを指摘しているにすぎないなどと述べて、条例案を容認、弁護する論も聞かれますが、弁護士会の説明でも言われているように、法律関係文書の附帯語尾であり、憲法違反の事実をいささかも薄めるものではないことを付言しておきます。

 昨年十一月の薬事法の改正以降は、宮城県の二店舗も含め、全国的には店舗販売は壊滅し、幾つかのネット販売数サイトが残されている現状にあることは、薬務課も警察も認めているところです。更に、国の厚生労働省監視指導・麻薬対策課も、そもそも法律以上に規制する条例はいかなるものかと冷やややかだと報じられています。

 危険ドラッグ撲滅のための宮城県の決意を示すためなどと言って法律を超える条例を、まして、安倍政権と同様に憲法違反の条例を多数決で強行することなど、許されるはずがありません。選挙に向かっての実績づくりどころか、まさに歴史に重大な汚点を残すことになるでしょう。

 新しい議会で改めて条例制定に向けた最初からの再議論を行うよう強く求め、日本共産党を代表しての反対討論といたします。

 御清聴まことにありがとうございました。



○議長(安藤俊威君) 十九番只野九十九君。

    〔十九番 只野九十九君登壇〕



◆十九番(只野九十九君) ただいま議題となりました発議第四号議案、宮城県薬物濫用の防止に関する条例につきまして、賛成の立場で討論を申し上げます。

 全国では平成二十七年上半期における危険ドラッグ事犯の検挙事件数は六百三十三件、前年同期比プラス五百六件、プラス三九八・四%であります。検挙人員は六百八十九人、プラス六百四十五人、プラス三七八・五%であり、検挙事件数、人員ともに大幅に増加しております。また、本県におけるドラッグ乱用取り扱いの実態は、平成二十五年では三十四人でありましたが、平成二十六年では九十五人であります。

 このような状況の中、本県では、宮城県薬物乱用対策推進会議を初め、県民、事業者、民間団体等を挙げて総合的薬物乱用防止対策に取り組んできました。特に、昨年問題となった危険ドラッグの乱用に対しては、県警察及び東北厚生局麻薬取締部と緊密に連携し、販売店舗に対し、合同で強制捜査や立入検査を実施するなどの結果、県内における販売店舗はなくなるなど一定の成果を上げております。しかし、一方で、いまだに危険ドラッグはインターネットやデリバリー販売などの形態で流通しており、危険ドラッグそのものの撲滅には至っていないと見られますし、薬物による被害や事故の発生、覚せい剤事件検挙件数が高どまりするなど、状況は依然として厳しいものにあることから、薬物乱用防止に関する規則や普及啓発について更なる対策の強化などが必要であると考えられます。

 このような状況であることから、県民の安心安全を守るためには、国における規制に加え、薬物の乱用を防止するための条例を制定することは必要であると考え、これまで検討してまいりました。今回制定しようとする条例では、精神毒性を有する、法律で規制されていない物質について知事指定薬物に指定することができるものとし、知事指定薬物などに対し警告や命令などの規則を行うものとしております。医師や薬剤師などの関係者の責務を規定しているほか、新たな店舗の出現を防止することなどを目的として、不動産の譲渡等における措置の規定を設けており、これらのことが法律と相まって、薬物乱用の防止対策への更なる効果が期待できると考えております。

 更に、全国で先行して条例が制定された自治体の過半数が導入している警察職員の立入調査についても、本条例において規定し、条例の実効性を高める内容としております。

 本条例案を検討するに当たり、任意の検討組織として宮城県薬物濫用の防止に関する条例検討会を昨年十一月に設置し、これまで約一年間で計二十六回にわたり条例検討会での議論を経てまいりました。条例骨子案については、県民の皆様から幅広く意見を伺うため、パブリックコメントも実施いたしました。

 また、本条例は罰則を規定していることから、仙台地方検察庁に意見照会をした結果、警察職員の立入調査権などについて意見をいただきました。特に、立入調査については、行政目的と司法目的の明確な区別は難しく、立ち入り等調査が刑事処罰につながる可能性があることを考えると、本条例が定める警察職員の立入調査権は無令状捜査を認め、黙秘権を侵害することとなり、憲法違反となる疑いがあるとの指摘がございました。その意見を受け、検討会では、既に条例を制定している他の自治体の状況を調査するとともに、執行部における運用や対応について十分に協議し、確認もいたしました。ちなみに、調査対象条例のある二十四都道府県のうち、立入調査権のある県は十六県で、罰則規定のある県は十五県であります。

 また、本県においては、立入調査は行政目的であり、その権限は犯罪捜査のために用いてはならないとはっきり条例で示されており、立ち入り対象の違法行為を既に把握し、犯罪捜査の対象となっているのであれば、証拠収集のための立ち入りとなることから、立ち入りは実施できません。かつ、立入調査の実施に当たっては、黙秘権との関係から、質問等が条例の施行の目的で行われ、回答を求める内容が条例施行に必要なものでなければならず、犯罪捜査の手段として質問することや、条例の施行に必要なものとは言えない理由、言えない事項については質問することは許されないと私は考えております。

 本条例の内容について、検察庁の指摘後、時間をかけ慎重かつ丁寧に検討を行い、検察等の懸念はないものと判断し、私は、本条例が県民を薬物の危険から守り、県民の安心安全にとって必要なものであると考えるものであり、本条例について賛成するものであります。

 議員各位におかれましても、その趣旨を御理解いただきまして多くの賛同をいただき、発議第四号議案が可決に結びつきますようお願いを申し上げ、賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。



○議長(安藤俊威君) 以上で、討論を終結いたします。

 これより採決いたします。

 委員長報告は、原案可決であります。

 発議第四号議案を委員長報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕



○議長(安藤俊威君) 起立多数であります。

 よって、発議第四号議案は、委員長報告のとおり決定いたしました。

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△議第二百二十六号議案ないし議第二百三十号議案



△議第二百三十二号議案ないし議第二百三十五号議案



△議第二百三十七号議案



△議第二百四十四号議案ないし議第二百四十六号議案



△議第二百五十六号議案ないし議第二百六十四号議案



○議長(安藤俊威君) 日程第八、議第二百二十六号議案ないし議第二百三十号議案、議第二百三十二号議案ないし議第二百三十五号議案、議第二百三十七号議案、議第二百四十四号議案ないし議第二百四十六号議案及び議第二百五十六号議案ないし議第二百六十四号議案を議題といたします。

 本件について委員長の報告を求めます。環境生活農林水産委員長、二十九番佐藤光樹君。

    〔二十九番 佐藤光樹君登壇〕



◆二十九番(佐藤光樹君) 環境生活農林水産委員会の審査の結果を御報告申し上げます。

 一議第二百三十三号議案。

 本委員会は、この付託議案を審査した結果、原案を可決すべきものと決しました。

 以上のとおり御報告申し上げます。



○議長(安藤俊威君) 保健福祉委員長、十八番寺澤正志君。

    〔十八番 寺澤正志君登壇〕



◆十八番(寺澤正志君) 保健福祉委員会の審査の結果を御報告申し上げます。

 一議第二百四十六号議案。

 本委員会は、この付託議案を審査した結果、原案を可決すべきものと決しました。

 以上のとおり御報告申し上げます。



○議長(安藤俊威君) 経済商工観光委員長、十九番只野九十九君。

    〔十九番 只野九十九君登壇〕



◆十九番(只野九十九君) 経済商工観光委員会の審査の結果を御報告申し上げます。

 一議第二百二十九号議案。一議第二百三十二号議案。

 本委員会は、以上の付託議案を審査した結果、原案を可決すべきものと決しました。

 以上のとおり御報告申し上げます。



○議長(安藤俊威君) 建設企業委員長、二十七番庄子賢一君。

    〔二十七番 庄子賢一君登壇〕



◆二十七番(庄子賢一君) 建設企業委員会の審査の結果を御報告申し上げます。

 一議第二百五十六号議案ないし議第二百六十号議案。

 本委員会は、以上の付託議案を審査した結果、原案を可決すべきものと決しました。

 以上のとおり御報告申し上げます。



○議長(安藤俊威君) 文教警察委員長、三十番中島源陽君。

    〔三十番 中島源陽君登壇〕



◆三十番(中島源陽君) 文教警察委員会の審査の結果を御報告申し上げます。

 一議第二百三十四号議案。一議第二百三十七号議案。一議第二百四十四号議案。一議第二百四十五号議案。

 本委員会は、以上の付託議案を審査した結果、原案を可決すべきものと決しました。

 以上のとおり御報告申し上げます。



○議長(安藤俊威君) 総務企画委員長、二十番石川光次郎君。

    〔二十番 石川光次郎君登壇〕



◆二十番(石川光次郎君) 総務企画委員会の審査の結果を報告申し上げます。

 一議第二百二十八号議案。一議第二百三十号議案。

 本委員会は、以上の付託議案を審査した結果、原案を可決すべきものと決しました。

 一議第二百三十五号議案。

 本委員会は、この付託議案を審査した結果、次の附帯意見を付して原案を可決すべきものと決しました。

    附帯意見

 計画の推進に当たっては、市町村及び地域の事情を考慮するとともに、県内の課題を十分に認識した上で推進すること。

 以上のとおり報告申し上げます。



○議長(安藤俊威君) 予算特別委員長、三十三番長谷川洋一君。

    〔三十三番 長谷川洋一君登壇〕



◆三十三番(長谷川洋一君) 予算特別委員会の審査の経過及び結果について御報告いたします。

 本委員会は、議第二百二十六号議案及び議第二百二十七号議案の付託を受け、九月十八日の委員会では、十一名の委員が総括質疑を行いました。

 その主なものは、水門・陸閘の管理体制、東日本大震災からの復旧・復興、特殊詐欺被害防止対策費、障害者支援施設体制整備費、機構集積協力金、被災地の健康支援のあり方、地域医療構想策定、特別養護老人ホーム建設費、水産加工業における人材確保対策、震災の記憶風化防止対策費などについてであります。

 九月二十四日及び二十五日には各分科会を開催し、慎重かつ詳細な審査を行いました。

 以上のような審査経過を経て、九月二十八日の委員会で主査報告を行い、採決した結果、議第二百二十六号議案及び議第二百二十七号議案については、原案を可決すべきものと決しました。

 以上のとおり御報告申し上げます。



○議長(安藤俊威君) 決算特別委員長、二十八番川嶋保美君。

    〔二十八番 川嶋保美君登壇〕



◆二十八番(川嶋保美君) 決算特別委員会の審査の経過及び結果について御報告いたします。

 本委員会は九月十七日に設置され、議第二百六十一号議案ないし議第二百六十四号議案の付託を受け、九月二十九日の委員会では、十一名の委員が総括質疑を行いました。

 その主なものは、財政運営、再生期の復旧、地方創生の実現、安全安心の防災体制、救急救命の取り組み、竹の内産業廃棄物最終処分場、広域防災拠点整備、宮城県の海外事務所、子供を生み育てやすい環境づくり、ワークライフバランスの取り組み、県庁舎等整備基金などについてであります。

 九月三十日、十月一日及び二日には各分科会を開催し、慎重かつ詳細な審査を行いました。

 以上のような審査経過を経て、本日の委員会で主査報告を行い、採決の結果、議第二百六十一号議案及び議第二百六十二号議案については認定すべきもの、議第二百六十三号議案及び議第二百六十四号議案については原案を可決すべきものと決しました。

 以上のとおり御報告いたします。



○議長(安藤俊威君) 以上で、委員長報告を終わります。

 これより質疑に入ります。

 委員長報告に対し質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

 討論の通告がありますので、発言を許します。三番三浦一敏君。

    〔三番 三浦一敏君登壇〕



◆三番(三浦一敏君) 私は、日本共産党県議団を代表して、ただいま議題となりました二十二件の議案中、議第二百三十号、二百四十六号、二百六十一号、二百六十二号の四議案に反対して、討論します。

 けさのニュース、新聞の一面は、TPP大筋合意の見出しであります。アメリカと大企業のために、特に自動車産業のために東北・北海道の農業や産業を売り渡すもので、大変な局面になることを皆さんとともに共有したいと思います。

 さて、震災から四年半が過ぎ、ハード面の復旧は一定の成果を上げていますが、肝心の被災者の生活となりわいの再建はいまだ道半ばであり、多くの課題が山積しています。今回の議会は、震災後に選出された議員最後の議会であり、被災地の県議として、果たして一体どれだけ被災者の要望を実現できたか、身が引き締まる思いで討論をさせていただきたいと思います。

 また、今期で引退される先輩議員諸兄には、党派を超えて御指導をいただき、心から感謝を申し上げる次第です。大変ありがとうございました。

 以下、順次、反対する議案について理由を述べます。

 まず、議第二百六十一号、平成二十六年度宮城県一般会計決算及び各特別会計決算並びに議第二百六十二号、平成二十六年度宮城県公営企業会計決算についてです。

 私どもは、平成二十四年及び二十五年決算に反対した際に、三つの問題を指摘しました。第一は、被災者の命や住まいへの支援が岩手県とは大違いで、被災者に寄り添う姿勢が見られないこと、第二に、創造的復興や富県戦略の名で、被災者、県民を置き去りにし、大企業支援を中心とした県政が押しつけられていること、第三に、原発・放射能問題では国任せの姿勢が目立ち、県民の声を真摯に聞こうとする姿勢がないことです。二十六年度決算についても、残念ながら、この三つの指摘は全く色あせず、むしろ、被災者、県民との矛盾を拡大しながら進行しているのが特徴です。第一に、決算審査を通じて、宮城県はお金がないので被災者の医療、福祉、住まいの要望にこたえられないのではなく、活用可能な基金が空前の規模でたまっているにもかかわらず、被災者、県民のために使おうとしないことが明らかになりました。自民党・県民会議からは、財政調整基金や県債管理基金の一般分が標準財政規模の一〇%に達しており、他県と比較しても多いとは思うが、今後の経済動向もあるので、取り崩しの要望が寄せられても、現水準をキープするようにとの議論がありました。これに対し、我が党の遠藤いく子議員が具体的な数字も挙げて指摘したように、すぐに活用可能な五基金は、決算時の一千百四十九億円から、九月末現在の現金ベースで一千百八十二億円にふえていること、これは、被災者、県民のために活用したら、どんなに助かり喜ばれ歓迎されるかは、明らかです。

 復興支援については言いたいことがいっぱいありますが、今回は、県が被災地の要望を踏みにじった典型として、災害公営住宅への関与の問題を指摘します。

 岩手県は、県営整備は二千七百八十四戸、これは平成二十七年八月末現在ですが、宮城県の県営整備はゼロです。一千戸の災害公営住宅をみずからつくることを放棄し、市や町に管理を任せる一方、県営住宅は老朽化などで百三十二戸を解体、減少させ、支倉県営住宅の二戸の募集には何と百七十二人と、八十六倍もの倍率となりました。宮城県のこれらの対応に、住宅政策に責任を持っているとは言いがたい状況にあります。

 通常予算についても、特に全国最低の子供医療費助成を拡充することは、県政の最重要課題です。通院で就学前まで約八億円、入通院とも中学卒業までには約二十九億円あればできます。県内三十五市町村のすべてから県に拡充を求める要望があり、歯科医師会や郡医師会など七百十五団体が知事に署名を提出し、乳幼児医療費助成制度の拡充を求める請願が県議会に提出されました。極めて遺憾なことに、この請願は、二年三カ月にわたり自民・公明が多数で継続を繰り返したあげく、今回も継続審査としたために、廃案となりました。福祉は余ったお金でという知事の姿勢を変えさせるためにも、採択して拡充に踏み出すべきではないでしょうか。

 第二に、創造的復興の名で展開されている仙台空港の民営化、防潮堤、広域防災拠点などの事業は、その大義や有効性などが問われる矛盾に直面しています。仙台空港の民営化は、最近その民営運営者が東急グループに決まりましたが、三百億円と言われる空港資産とこの二年間連続六億円余の黒字を出している空港ビルを、民間にわずか五十七億円という破格の値段で売り渡すものです。震災後に八十五億円も出して下部構造を買い取った赤字のアクセス鉄道は対象から外し、いわば県民財産のおいしいところだけを企業のもうけに差し出すものにほかなりません。

 防潮堤問題では、九月二十五日のNHKの独自取材に基づくニュースでも、漁村に整備する六十七のうち、家屋や集落が背後に存在しない地区が三十七あることなどが判明し、将来の維持費の負担も考慮して整備計画を見直す時期が来ていると指摘しています。当初計画にしがみつくのではなく、住民の声を尊重し、直ちに見直すべきです。

 宮城野原の広域防災拠点施設については、事業費三百億円のうち二百億円は地方債で直接、県費を大量に投入することになります。決算審査でも指摘したように、倉庫などの新たな施設を整備すれば、震災時に実績、効果を上げているグランディ21でも十分に可能性があり、実際、お隣の岩手県が四千万円で整備することと比較しても、現計画は、県民の理解と納得を得られるものではありません。計画地は活断層の上にあることや、交通アクセスの集中による渋滞などの懸念材料もあり、災害指定道路として通行規制をした場合のシミュレーションなどはこれから考えるとの回答ですから、我が党は、現行計画の見直しを強く求めます。

 第三に、進出大企業には震災後も奨励金などの大盤振る舞いを続ける一方、中小・零細企業への支援は弱く、宮城の基幹産業である農林水産業も低迷が続いています。また、県民の生活と直接結びついた道路、河川、砂防事業などのおくれも重大です。例えば最近の平成二十七年九月関東・東北豪雨ではんらん箇所となった河川の場合、渋井川を含む多田川ブロック河川整備計画が、二〇〇一年以来、県単独としてはほとんど未整備だったことが明らかになっています。更に、土砂災害警戒区域指定は依然として全国下位にあり、危険箇所八千四百六十二カ所中、指定は二千五十三カ所にすぎません。平成二十六年度は前年対比で一億八千九百万円が何と七千五百四万円に激減しています。平成三十一年度まで基礎調査をやるためにも、思い切った予算措置をとる必要があります。

 第四に、この期間の問題として言及しなければならないのが、拓桃医療療育センターのこども病院への統合移転についてです。我が党は、秋保現在地での建てかえを一貫して主張してきましたが、現状は、さまざまな矛盾と問題が噴き出しています。拓桃医療療育センターは、社会福祉施設条例から外れて、こども病院の管理下に置かれます。拓桃職員の移行は約四割にすぎず、何よりも拓桃で働く県職員の理解と納得及び合意を得ずに、上からの移転統合ありきで進められた結果、伝統ある医療と療育の質を本当に確保できるのかどうか問われる事態になっています。これに関連し、議第二百四十六号議案、こども病院等改修工事に関連した議案は、拓桃医療療育センターの移転、新築に伴うものなので同意できません。

 第五に、原発・放射能問題について、県民世論とますます乖離してきています。女川原発を再稼働させず、原発からの撤退を進める署名には今日までに県に対し六回の提出行動が行われ、五月八日までに十二万六百八十四筆分が提出済みです。女川原発を再稼働するなとの声は、現地住民及び県民の圧倒的な思いです。指定廃棄物の最終処分場については政府と東電による責任ある解決こそ喫緊の課題であるのに、権限のない知事がしゃしゃり出て、無理やり三候補地選定に関与し押しつけてきたのが混乱の始まりです。放射能汚染物質の保管の実態をきちんと調査、把握し、飛散防止を初め必要な対策を行うこと、安易な混合焼却はやめること、候補地を白紙に戻し、最終処分の方法そのものを見直すことが重要です。

 公営企業会計には地域整備事業会計が含まれていますが、アクセル本体は赤字続きなのに、他会計への貸し出しやセンター地区の土地貸し付けなどでやりくりする、存在理由を失った本会計の廃止を我が党は繰り返し主張してきており、同意できません。

 議第二百三十号議案、県税条例の一部改正は、地方税法の改正等に基づく猶予制度の見直しのほか、県民税均等割の超過課税であるみやぎ環境税の適用期間を平成三十二年度まで五年間延長しようとするものですが、我が党議員団は、導入に対し、個人県民税の場合、全国一高い標準税率の一・二倍の千二百円も上乗せする庶民増税に反対しました。環境税の施行は東日本大震災直後の四月からでしたが、本来であれば、中止すべきでした。現在、市町村県民税については、更に平成二十六年度から十年間、均等割の標準税率を千円も引き上げられており、大震災前の四千円から、一・五倍を超える六千二百円もの増税になっています。したがって、県民に過度の増税を求めるべきではなく、環境税の延長に反対します。

 決算討論の最後に申し上げたいことは、岩手県知事は、来年も被災者医療費を一年間延長することを二日、開会日に表明しました。仮設暮らしが長引く中で、多くの被災者が苦しんでいます。ため込んだ財源がこんなにもある中で、なぜ宮城県は一円のお金も出さず、市町村任せにするのか。被災者を冷たく放置するこのやり方に絶対納得できません。

 このような問題点を含む決算には到底賛成できないということを述べ、反対討論といたします。

 以上です。



○議長(安藤俊威君) 三十二番中山耕一君。

    〔三十二番 中山耕一君登壇〕



◆三十二番(中山耕一君) 私は、自由民主党・県民会議を代表いたしまして、ただいま議題となっております全議案について、賛成の立場から討論を行います。

 まず初めに、条例議案中、議第二百三十号の宮城県県税条例の一部改正条例についてであります。

 内容は、地方税の猶予制度に関する今般の税制改正に伴う改正や、昭和五十一年から続いている法人県民税法人税割に係る超過課税の適用期間延長、また、みやぎ環境税の適用期限の延長であります。これらは、納税者に対し配慮するための策であったり、少子高齢化対策や環境政策を推進するための財源確保策であり、いずれも県民の生活に直結するもので、必要かつ賛成すべき内容であります。他の条例議案についても、東日本大震災により被害を受けた人々について、県立学校などの入学金等の免除期間を延長するなど、県民に必要な改正案であります。

 次に、議第二百三十五号の宮城県地方創生総合戦略に関する議案については、将来の宮城のためにあるべき姿を描き、具体的に二〇六〇年の遠方目標を見据え、県内市町村とともに進むべき道筋を明確にするという内容であり、創造的復興のためにも可決の上、県内一丸となって推し進めるための重要な議案であります。

 議第二百四十六号の工事請負変更契約の締結については、既に議決を経て進められている県立こども病院の改修工事であり、その内容は、工事施工前の詳細な調査によって、免震補強工事の内容が確定したこと、また、インフレスライドへの対応が必要となったことによるものであります。来年の三月の移転に向け、良好な療育環境を待ち望んでいる拓桃医療療育センターのお子さんや御家族の切なる思いのためにも、早急に締結しなければならない変更契約であることは言うまでもありません。

 議第二百五十六号から議第二百六十号までの工事請負契約締結に関する議案については、いずれも復旧・復興のための工事であり、速やかな遂行が必要であります。

 以上のことにも関連する補正予算議案については、歳入の見込みを整理するとともに、国の内示や復興の進捗を受けて事業の追加や見直しを施すものも含み、当面の必要な対応のために不可欠な内容であります。

 また、平成二十六年度歳入歳出決算については、復旧・復興のためにあらゆる努力を続けてきた結果を示すものであり、予算の執行状況等に照らせば、認定を行わないこととすべき特段の事由もなく、決算特別委員会委員長の報告のとおり認定すべきものであります。

 このほか、これまで述べてきたもの以外の議案についても、それぞれ付託された各常任委員会で慎重かつ厳正に審査した結果、いずれも賛成多数により可決すべきものとされております。また、本定例会に提案されている各議案は、可及的速やかに可決し、実施しなければならないものであります。これまで取り組んできた創造的復興の成果も次々とあらわれてまいりました。本年度は宮城県震災復興計画における再生期の二年目であり、後半への折り返しを目前とする重要な年度でもあります。また、復旧・復興の更なる加速に向け、県を挙げて一層邁進すべきときでもあると考えます。

 本定例会に提案されているすべての議案は、我が県が震災から復興への道のりを力強く進むため、また、広く県民の福祉向上に寄与するためのものであることを確信し、全議案に対する賛成を表明し、同僚議員各位の御賛同を求め、賛成討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。



○議長(安藤俊威君) 以上で、討論を終結いたします。

 これより採決いたします。

 初めに、ただいま議題となっております各号議案中、議第二百三十号議案、議第二百四十六号議案、議第二百六十一号議案及び議第二百六十二号議案を一括して採決いたします。

 委員長報告は、議第二百六十一号議案及び議第二百六十二号議案は認定、他は全部原案可決であります。

 委員長報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕



○議長(安藤俊威君) 起立多数であります。

 よって、議第二百三十号議案、議第二百四十六号議案、議第二百六十一号議案及び議第二百六十二号議案は、委員長報告のとおり決定いたしました。

 次に、残余の各号議案を一括して採決いたします。

 委員長報告は、全部原案可決であります。

 委員長報告のとおり決することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



○議長(安藤俊威君) 御異議なしと認めます。

 よって、残余の各号議案は、いずれも委員長報告のとおり決定いたしました。

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△請願



○議長(安藤俊威君) 日程第九、請願を議題といたします。

 本件について委員長の報告を求めます。文教警察委員長、三十番中島源陽君。

    〔三十番 中島源陽君登壇〕



◆三十番(中島源陽君) 文教警察委員会の審査の結果を御報告申し上げます。

 本委員会は、請願三五一の二、小・中学校全学年で三十五人以下学級の実施を求めることについてを審査した結果、不採択とすべきものと決しました。

 請願三五三の二、学齢超過義務教育終了者の高等部進学を求めることについてを審査した結果、採択すべきものと決しました。

 以上のとおり御報告申し上げます。



○議長(安藤俊威君) 総務企画委員長、二十番石川光次郎君。

    〔二十番 石川光次郎君登壇〕



◆二十番(石川光次郎君) 総務企画委員会の審査の結果を御報告申し上げます。

 本委員会は、請願三五三の一、政府及び国会に対し私学助成に関する意見書の提出を求めることについてを審査した結果、採択すべきものと決しました。

 以上のとおり御報告申し上げます。



○議長(安藤俊威君) 以上で、委員長報告を終わります。

 これより質疑に入ります。

 委員長報告に対し質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

 討論の通告がありますので、発言を許します。十六番高橋伸二君。

    〔十六番 高橋伸二君登壇〕



◆十六番(高橋伸二君) 自由民主党・県民会議を代表し、ただいま議題となっている請願番号三五一の二、小・中学校全学年で三十五人以下学級の実施を求める請願について、その採択に反対の立場から討論を行います。

 本請願には、三十五人以下学級の実現は、いじめ問題の早期発見・早期解決、不登校に対する早期対策、学力格差の解消等に対して最も有効な教育条件整備だと述べられております。しかし、平成二十六年度宮城県内の公立中学校における学級規模別の不登校生徒出現率の調査結果を見ると、中学校一学年では、二十人以下学級で〇・九三%、三十人以下学級では三・一一%と、やや上昇、三十五人以下学級では二・八七%と、やや減少となっています。また、二学年においては、二十人以下学級が二・五五%、三十人以下学級が二・八四%、三十五人以下学級においては三・五六%と、上昇するものの、四十人以下学級では三・四二%と、逆に減少に転じています。更に、三学年においては、二十人以下学級が五・六七%、三十人以下学級が四・五二%、三十五人以下学級が四・二五%、四十人以下学級が四・〇八%となり、一学級当たりの生徒が増加するごとに、不登校生徒の出現率が逆に減少するという結果が出ています。このことからは、請願にある三十五人以下学級実現による不登校生徒の減少との相関関係は、一概に読み取ることはできませんでした。

 もう一つ、平成二十六年度、全国学力・学習状況調査における学級規模別平均正答率の状況を見ると、小学校では、三十人以下学級で二百四十五・九点、三十五人以下学級で二百五十四・六点、四十人以下学級では二百五十・八点となり、少人数学級イコール高い正答率とは言えません。中学校においては、三十人以下学級二百三十九・〇点、三十五人以下学級では二百四十三・四点、四十人以下学級では二百四十六・五点となり、こちらは学級の人数が増加するごとに正答率も上昇するという結果となり、三十五人以下学級の実現が必ずしも学力向上につながるという結果には、このことからも読み取ることはできませんでした。

 宮城県内の公立小中学校は、各市町村教育委員会の努力により、これら課題解決に努めているところであり、県教育委員会としては、指導方法工夫改善、いわゆる少人数指導等の加配を行うなど、本当に困っているところへの重点的人事配置等の対策を講じていくことが有効との考えのもとに、その対策を講じられているところであります。また本請願にも記載されてあるとおり、三十五人以下学級等の少人数学級編制は、本来、国の施策で実現すべきであり、県としても引き続き国に対して要望を続けていただきたいと思います。

 また、本請願には、今、宮城県内で求められているのは、学級の一人一人の子供たちに教員の目が行き届き、ゆとりを持って子供たちと接することができる少人数学級ですと述べられております。これについては、子供たちのための三十五人学級と言いながら、単に教員の負担軽減が主目的としか読み取れないのであります。そのような後ろ向きの姿勢は、感受性の高い子供たちに敏感に察知され、そのことが子供たちの学習や運動等の意欲を低下させることにつながりかねないのではないかと危惧するところであります。

 教員とは、まさに聖職者であります。私はそう思っております。今、宮城県内の教員に求められているのは、現在の制度に対して状況が改善される確実なデータのないものを宮城県教育委員会に提案するといった責任転嫁的発想をするのではなく、子供たちとともに笑い、ともに泣き、必要なときには厳しい指導も決してためらわない毅然とした指導姿勢であり、寝食を忘れ、寸暇を惜しんで、どんなささいなことでも全力を傾注して取り組んでいける情熱あふれる熱血教師であります。教員のスキルアップこそ、最も重要で最大の効果がある唯一にして無二の解決策であると信じています。宮城県内の公立小中学校には優秀な教員が数多く在籍し、子供たちへの教育はいかにあるべきか、更なる高みを求めて、日々研さんが積み重ねられております。宮城県教育委員会は、そのような優秀な教員が心置きなく子供たちに向かい合うことのできる、真に子供たちのための教育環境整備に努められるよう、強く要望するものであります。

 また、課題であるいじめや不登校への対策、学力向上等への対応は、まさに待ったなしであることは言うまでもなく、その取り組み強化を強く求めるものであります。

 以上申し上げ、今議会に提出されている請願番号三五一の二、小・中学校全学年で三十五人以下学級の実施を求める請願の採択に反対の立場からの討論といたします。

 議員各位の御理解を心よりお願いを申し上げ、討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。



○議長(安藤俊威君) 十一番遠藤いく子君。

    〔十一番 遠藤いく子君登壇〕



◆十一番(遠藤いく子君) 私は、日本共産党県議団を代表して、ただいま議題となっております請願番号三五一の二、小・中学校全学年で三十五人以下学級の実施を求める請願書の採択に賛成して、討論いたします。

 請願の趣旨は、学級編制弾力化事業を拡大し、小中学校の全学年で三十人以下学級を実現してくださいというもので、その理由は、学級の一人一人の子供たちと接することのできる少人数学級ですとされています。

 宮城県では、現在、国の制度による小学校一年生と、学級編制弾力化事業により小学校二年生と中学校一年生が三十五人以下学級となっていますが、少人数学級を本来行うべき国が実施するまでの間は、県の喫緊の課題として、弾力化事業で実施してほしいというものです。三十五人以下学級は、そもそも二〇一一年三月の国会において義務教育標準法改正により、全会一致で法律に盛り込まれたものです。小学校一年を三十五人学級にすることにし、附則で、小学校二年生以降も順次改定を検討、実施すると定めました。二〇一二年度予算では、小学校二年を三十五人学級にするだけの予算もつきました。その後、小学校三年、四年、五年というように三十五人学級が順次進むはずでしたが、安倍政権となり、政府・財務省によって、二〇一三年以降は三十五人学級の動きがとめられてしまったのです。今、学校では手厚いケアが必要な子供がふえ、学級崩壊や立ち歩き、トラブルの増加など、さまざまな教育的困難が広がっています。中教審初等中等教育部会の二〇一〇年提言が述べているように、四十人という学級規模では、学級経営が困難となっているのです。

 更に、宮城県の教育が独自に直面している深刻な問題を列挙します。

 第一に、東日本大震災から四年半、県民はつらく苦しい日々を重ねてきました。当時乳幼児だった子供たちが小学生になり、その成長、発達にさまざまな影響が出てきていること。第二に、文科省が調査した国公私立の小中高等学校における都道府県別暴力行為の発生件数によると、宮城県は、対教師が百十三件、生徒間暴力が五百八十二件など合計九百六十八件に上り、急増していること。第三に、不登校児童数は、小学校で五百一人、一千人当たり四・一人、中学校では二千百九十人で三十三・七人、全国ワースト一位が二年続き、昨年も、高知県に続いて依然ワースト二位という深刻さです。

 さて、県教委が急遽作成して常任委員会に提出した平成二十六年度公立中学校における学級規模別の不登校生徒出現率という一枚のデータを見ると、中学一年生、中学三年生では、二十一人から三十一人より三十一人から三十五人規模で、確かに少しだけ下がっています。しかし、中学校二年生では大きくはね上がっており、逆に、二十人以下学級では不登校出現率が極めて低いことが示されていますから、このデータが少人数学級を否定する論拠にはなりません。加えて、過密の仙台市を除いたデータです。ですから、三十五人以下学級の必要性を否定するのは、大変乱暴な議論と言わざるを得ません。このことは、学力調査においても言えることです。一人の教員が教える子供の数が減れば、より丁寧に教えられることは、だれが考えてもわかることです。それを否定するような議論と姿勢はやめるべきではないでしょうか。

 今、学校現場に求められているのは、いじめ問題の早期発見・早期解決、不登校に対する早期対策、学力格差の解消などです。

 また、成長著しい小学校三、四年生や、学習内容の増加や教科数がふえる小学校五、六年生でも、更に行き届いた進路指導、生徒指導、部活動などを必要とする中学二、三年生に対しても求められているのは、きめ細かい指導です。三十五人以下学級の実現は、子供、保護者、教職員の多くの方々の切実な願いです。また、少人数学級になれば、勉強を丁寧に見ることができ、子供の発言や発表の機会もふえます。みんなで話し合いながら認識を深めていくなど、学習のあり方も変わるでしょう。この十年間、全国各地で子供のことを考えたら国が動き出すのを待っていられないと、自治体独自の少人数学級が広がりました。子供たちの豊かな成長、発達のために、自治体として積極的に少人数学級を進める努力がますます求められています。秋田県では、三十五人以下学級どころか、小学校六年以外は小中すべてで三十人以下学級、複数担任が既に実施されています。宮城県内でも、白石市、栗原市では、中学三年までのすべての学年で三十五人以下学級を実施しています。世界に目を向ければ、欧米では、一学級三十人以下が当たり前です。

 教育長は、すべての学年で三十五人以下を実施するための費用は約四十億円と答弁しており、宮城野原の防災拠点に三百億円、自由に使える基金が一千百八十一億円などという県政の実態から見て、喫緊の課題として実施することが十分可能であることは、だれの目にも明らかです。更に、仙台市立中学校一年男子のいじめ自殺事件や新たな教師に対する暴行事件など、重大な事態が続発しており、教育問題の重大性が鮮明になっています。

 こうした状況のもとでの今回の文教警察委員会での不採択について、マスコミは、審議に半年以上の時間と公金を費やしていながら、与党と県教委が知事に対して配慮したのかという思惑が透けて見えると報道しました。県民不在の政治的対応ではなく、子供の深刻な現状としっかり向き合う姿勢こそが、議会のとるべき態度であることを強く主張して、請願の採択に賛成する立場からの討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。



○議長(安藤俊威君) 以上で、討論を終結いたします。

 これより採決いたします。

 初めに、請願三五一の二、小・中学校全学年で三十五人以下学級の実施を求めることについてを採決いたします。

 委員長報告は、不採択であります。

 本請願を採択することに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕



○議長(安藤俊威君) 起立少数であります。

 よって、請願三五一の二は、不採択と決定いたしました。

 次に、請願三五三の一、政府及び国会に対し私学助成に関する意見書の提出を求めることについて、請願三五三の二、学齢超過義務教育終了者の高等部進学を求めることについてを一括して採決いたします。

 委員長報告は、いずれも採択であります。

 委員長報告のとおり決することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



○議長(安藤俊威君) 御異議なしと認めます。

 よって、請願三五三の一及び請願三五三の二は、委員長報告のとおり決定いたしました。

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△大震災復旧・復興対策調査特別委員会調査結果報告



○議長(安藤俊威君) 日程第十、大震災復旧・復興対策調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。

 本件について委員長の報告を求めます。大震災復旧・復興対策調査特別委員長、五十二番畠山和純君。

    〔五十二番 畠山和純君登壇〕



◆五十二番(畠山和純君) 大震災復旧・復興対策調査特別委員会の調査結果について御報告申し上げます。

 本委員会は、東日本大震災からの復旧・復興対策について県議会として一元化を図り、被災地域や県民生活の再生に向けた活動策について調査検討するため、平成二十三年十二月二十一日に設置され、調査活動を継続してまいりました。付議事件、東日本大震災からの復旧・復興の総合的な対策及び活動に関する諸施策についてを受け、特に津波による甚大な被害を受けた沿岸被災地域を中心に復旧・復興に係る課題について重点的に調査を行ったほか、東京電力福島第一原子力発電所事故に起因する県内産業における風評被害の実態及び放射性物質汚染廃棄物への対応について、精力的に調査を実施してまいりました。また、これらの調査結果を取りまとめ、現状の課題の解消に資するべく意見交換や要望活動を通じた国等への働きかけを重点的に行ってまいりました。

 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、本県の東日本大震災からの復旧・復興はいまだ道半ばであり、今後も同様の特別委員会を設置し、被災地が抱える課題の把握に努めるものとする。また、県議会として課題の解消に向け、国等への働きかけを継続し、本県の震災からの早期の復旧・復興に資するべく、全力を傾注するものといたします。

 以上、今後の県議会における被災地に根差した、より効果的な調査活動を期待して、御報告申し上げます。

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   大震災復旧・復興対策調査特別委員会調査結果報告書

 大震災復旧・復興対策調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。

 本委員会は、東日本大震災からの復旧・復興に関する諸施策について調査・検討するため、平成二十三年十二月二十一日に設置され、付議事件「東日本大震災からの復旧・復興の総合的な対策及び活動に関する諸施策について」を受け、調査活動を継続してきた。直近の中間報告を行った、平成二十六年十一月二十六日から現在に至るまでの調査活動の経過と四年間の活動の総括については、次のとおりである。

一 はじめに

 本委員会は設置以降、委員会における審議や国等への要望活動、また、五つの専門部会を中心とした調査活動を通じ、本県における震災からの復旧・復興に係るさまざまな課題にアプローチしてきたところであるが、県議会として、複合的な要因から劇的に変化する被災地の復旧・復興の状況に即応し、より精緻な調査活動により実態を適切に把握するとともに、現状の困難の解消に向けた国等への働きかけを機動的に実施するため、平成二十四年十一月二十二日に設置要綱を改正し、それまでの議員全員による構成から、委員十五人の新体制にて調査活動を開始した。これに伴い、新たな活動方針として、震災からの復旧・復興に係る諸課題について、県内市町村や関係団体等を対象とした調査活動により実態把握に努め、調査結果をもとに、課題の解消に資するべく、国等への要望活動を重点的に行う旨を決定し、調査活動を実施してきた。直近の中間報告を行った、平成二十六年十一月二十六日以降も、これまでの活動方針を承継し、調査活動を継続している。

二 活動内容

 1 委員会の開催

 本委員会は、活動方針に則し、調査活動に関する協議、検討を行うため、計九回にわたり委員会を開催した。このうち主なものについては、次のとおりである。

 (一) 調査活動についての検討及び実施決定

 平成二十六年十二月十八日に開催した委員会において、以後の調査活動についての検討を行い、前年に引き続き、特に沿岸被災地域が抱える震災からの復旧・復興に係る課題について調査するため、県内調査として沿岸市町議会及び事業所を訪問し、意見交換を実施する旨を決定した。また、東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「原発事故」という。)に起因する県内風評被害の状況についても、引き続き重点的に調査を行うことを決定した。さらに、県内で大きな問題となっている放射性物質汚染廃棄物への対応に関し、調査を行う旨を決定し、その処理方法について把握するため、県外調査を実施することを決定した。

 平成二十七年二月十日に開催した委員会においては、沿岸市町を対象に実施した県内調査により把握した震災からの復旧・復興に係る諸課題について、調査結果として取りまとめた。さらに、宮城県関係国会議員に対し、これらの諸課題を被災地の現状として伝えるとともに、課題の解消に向け認識を共有するべく、意見交換を実施する旨を決定した。

 平成二十七年四月十三日に開催した委員会においては、関西以西における本県産品への風評被害の実態を把握するとともに、徳島県における津波対策について、県外調査を実施することを決定した。

 平成二十七年六月十五日に開催した委員会においては、同日本県議会で可決された東日本大震災に関する特例的な財政支援の継続を求める意見書の内容について、復興庁宮城復興局(以下「宮城復興局」という。)との意見交換を実施することを決定した。

 平成二十七年七月三日に開催した委員会においては、昨年に引き続き、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)を招致し参考人意見聴取を行うとともに、その後の要請活動とあわせて意見交換を実施し、また、放射性物質汚染廃棄物の処理について、茨城県への県外調査を実施することを決定した。

 (二) 要請活動の実施決定及び要請項目の検討

 平成二十七年七月三日に開催した委員会において、沿岸市町及び事業所を対象とした県内調査、また、風評被害に係る損害賠償の進捗状況及び東京電力福島第一原子力発電所における放射能汚染水への対応状況を把握するために東京電力を招致して実施した参考人意見聴取を踏まえ、調査結果を取りまとめるとともに、県内の風評被害に係る被害者の救済及び風評被害の早期払拭に資するべく、東京電力株式会社福島復興本社(以下「福島復興本社」という。)に対し要請活動を実施することを決定した。また、要請事項について、風評被害に係る迅速かつ十分な損害賠償の実施、原発事故の早期完全収束の二点を柱に要請項目を決定した。

 (三) 執行部概要説明の聴取

 平成二十六年十二月十八日に委員会を開催し、本県における八千Bq/kg(一キログラム当たりベクレル)(以下「Bq/kg」という。)以下の農林業系廃棄物を中心とした放射性物質汚染廃棄物の発生量や処理の促進に向けた取り組みの概要、市町村等への支援等の状況、処理の進捗状況及び現状の課題、今後の対応について、環境生活部及び農林水産部より説明を聴取した。

 放射性物質汚染廃棄物のうち、八千Bq/kgを超える指定廃棄物については、国が示した最終処分場建設に係る県内三カ所の候補地において、自治体や住民、関係団体等の強い反対により、詳細調査に着手できないなど、進捗が危ぶまれる大変厳しい状況となっている。また、平成二十六年一月下旬に実施した県内調査において、八千Bq/kg以下の農林業系廃棄物を中心とする一般廃棄物の処理についても、周辺住民の理解を得ることが困難であるとともに、既存施設の処理能力を超えるなどさまざまな要因から、市町村等において一般ごみとの混焼処理が進捗せず、自治体や農家において保管を続けざるを得ないという大変厳しい状況にあるとの意見が寄せられた。

 八千Bq/kg以下の農林業系廃棄物の県内の保管量及び保管状況について、保管量は、稲わらが百八十八トン、牧草が二万七百五十トンであるが、牧草については、すき込み等の農地還元により保管量が減少している例も見受けられる。また、牛ふん堆肥が八千九百七十三トン、キノコ原木及びほだ木が一万七千六百七十三トンである。

 次に、保管状況について、稲わらは、市町村等がビニールによるラッピング又はフレキシブルコンテナで、九十三棟の一時保管施設内に保管しているほか、各農家で区分保管している状況である。牧草は、生産者がビニールによるラッピングあるいはフレキシブルコンテナに保管している状況であるが、一部の市町村では集中保管などの措置をしている。牛ふん堆肥は、堆肥センター及び農家において、フレキシブルコンテナや遮水シートなどにより保管している状況である。キノコ原木及びほだ木は、生産者が山林に個別に保管している状況である。

 これらの処理促進に向け、県では、市町村等へ個別訪問し、説明会の開催や市町村担当課長会議の開催を通して、改めて処理の促進を要望しているが、それらの会議において、市町村等が主体となって処理することについては消極的な意見が多数を占めるなど厳しい状況となっている。

 処理が進まない主な理由として、地域住民に対する理解の醸成が不足していることや、広域行政事務組合の共同処理の構成自治体の間で方向性が異なっていることなどがある。また、混焼では処理期間が長期化してしまい現実的ではないこと、または八千Bq/kg以下のものについても指定廃棄物と一緒に処理をしてもらいたいとの期待もある。さらに、現状では、指定廃棄物最終処分場建設のめどが立たないことにより、焼却処理した結果、指定廃棄物になってしまった場合に、一時保管の問題が新たに生じることによる焼却処理に対する躊躇があるのではないかということも、処理が進まない要因の一つである。

 処理の進捗状況については、現在、個別の市町村等からの処理促進に向けた要望を聞き取りしながら、個別に対応支援を行っている。また、利府町においては、平成二十六年十一月から焼却処理を進めている。

 今後の対応については、処理が進まない理由は、市町村や地域によってさまざまであるが、県としては、これまでと同様に市町村等の主体的な取り組みに向けた要望を酌み取りながら、市町村等の意向に沿った支援を継続して行っていくと述べた。

 2 参考人意見聴取

 (一) 東京電力株式会社

 平成二十七年五月一日に東京電力株式会社新妻常正福島復興本社副代表ほか三人を委員会に招致し、原発事故に起因する損害賠償の進捗状況及び福島第一原子力発電所における放射能汚染水への対応などについて、説明を聴取した。その概要は、次のとおりである。

 東京電力においては、平成二十六年一月に制定した新・総合特別事業計画をもとに、「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」、「原子力損害賠償紛争解決センターから提示された和解仲介案の尊重」の三つの誓いを掲げ、全社を挙げ損害賠償に取り組んでいるとのことであった。原子力損害賠償の全体像について、仮払いを含めた支払総額は、約五兆三百三十七億円となっており、前年五月の参考人意見聴取における報告時の約三兆六千百四十一億円と比べて約三九%進捗した。そのうち宮城県における支払状況は、約六百十三億円となっており、前年五月の参考人招致での報告時の約四百八億円と比べて、約五〇%進捗したと述べた。原子力損害賠償の体制については、現在も社員約二千六百人を含む約一万人の体制で賠償を実施しており、引き続き賠償の進捗に即して、必要な体制を弾力的に整備していくとのことである。また、東北補償相談センターでは、現在約百人の体制で福島県を除く東北五県を担当しているとのことであった。

 JAグループ東京電力原発事故農畜産物損害賠償対策宮城県協議会への賠償について、前年五月の参考人招致において本県議会より改善への取り組みを求められており、その対応として、東京電力の職員を常駐させるとともに、これまで以上に各地域へ足を運んだこと、提出書類を一部簡素化したことにより、現在は全体で約九二%まで進捗しており、前年五月の報告時と比べて二〇ポイント近く向上している。宮城県森林組合連合会、直売所、個人生産者については、主な請求品目は、原木シイタケや山菜類に係る損害であり、賠償を継続している。

 水産物に係る賠償については、出荷制限が指示された魚種の賠償を継続している。また、風評被害に係る損害賠償についても漁業協同組合を通じて継続している。水産物加工・流通業者については、風評被害による減収分の賠償を継続しており、さらに、賠償に当たっては、宮城県主催の説明会なども活用しながら賠償の進捗に向け取り組んでいきたいと意見を述べた。

 観光業に係る賠償については、平成二十四年二月末を一つの区切りとしているが、それ以降についても、引き続き被害を受けた事業者から事情を伺いながら対応していると述べた。

 地方公共団体への賠償については、当初より個人への賠償を優先してきたため、大分遅れている実態があるが、現在、平成二十四年度の損害分までは、原子力損害賠償紛争解決支援センターに対して、申し立ての手続きがされており、支払いが可能な項目については、和解手続を待つまでもなく速やかに支払いを行うと述べた。

 東京電力は、平成二十七年六月十七日に、法人及び個人事業主に対する新たな営業損害賠償等に係る取り扱いを公表した。これは、国が、平成二十七年六月十二日に閣議決定した内容を受けたものであり、東京電力の対応としては、個々の事業者が自立に向けて将来のめどを立てられるよう、将来的に発生する原発事故に起因する風評被害の損害を、直近一年間の逸失利益の二倍相当額とみなして、一括して支払いをする取り扱いである。このことは、風評被害が依然として継続している実態を踏まえ、引き続き事故との相当因果関係があるものについては、これまで同様に賠償することに変わりはないが、一方で、時間の経過とともに、業種や業態によっては、被害の収束傾向が見られること、事故に起因する風評被害とその他の要因による減収が混在してきており、事故に伴う損害のみを明確に確認及び区分することが困難になっていることから、本年八月以降については、直近の損害額に基づき、将来発生すると想定される事故の損害までを一括して賠償することにより、損害の解消を図るものであると述べた。

 福島第一原子力発電所における放射能汚染水への対応については、「汚染源を取り除く」、「汚染源に水を近づけない」、「汚染水を漏らさない」の三つを基本方針としており、それを受け、「多核種除去設備(ALPS)等による汚染水浄化」、「トレンチ内の高濃度汚染水の除去」、「地下水バイパスによる地下水の汲み上げ」、「建屋近傍の井戸(サブドレン)での汲み上げ」、「凍土方式の陸側遮水壁の設置」、「雨水の土壌浸透を抑える敷地舗装」、「水ガラスによる地盤改良」、「海側遮水壁の設置」、「溶接型への置き換えを含むタンクの増設」の九つを具体的な対応策としていると述べた。

 汚染水に係る抜本対策としての凍土遮水壁については、完成すればその効果は大きいと考えているが、現在は工事自体が当初の予定よりも遅れており、一部試験凍結は開始しているが、まだ試験凍結部分で順調に温度が下がっているか確認している段階である。また、現在、水位の管理のあり方などで原子力規制委員会の審査が残っており、その審査が終了し、認可が得られ次第、山側の凍結を開始していくと述べた。

 海域モニタリングの状況については、本年四月より、港湾口に海水放射線モニターを設置し、連続的にデータを取得している。モニタリング結果については、風評被害対策として、東京電力のホームページに分かりやすくデータを示しているほか、海外に向けても、在日大使館職員への説明など情報発信を行っていると述べた。

 3 県内調査

 (一) 沿岸七市町及び五事業所への調査

 本委員会は前年に引き続き、被災地域における震災からの復旧・復興に係る課題及び原発事故に起因する県内風評被害の状況について調査するため、平成二十七年一月二十二日、同二十八日、同二十九日、二月六日及び七月七日の五日間にわたり、津波により特に甚大な被害を受けた沿岸七市町及び五事業所を対象に調査を実施した。その実施状況については、次のとおりである。

 ・ 一月二十二日 女川町、東松島市、三陸産業再生ネット

 ・ 一月二十八日 石巻市、石巻ガス株式会社、気仙沼商工会議所

 ・ 一月二十九日 南三陸町、塩釜市団地水産加工業協同組合

 ・ 二月六日   気仙沼市

 ・ 七月七日   岩沼市、名取市、閖上水産加工業組合

 これら沿岸市町の調査においては、各市町の震災復興担当部局より、震災からの復旧・復興の進捗状況及び現状の課題について、概要を聴取した後、各市町議会との意見交換を実施した。

 まず、復興まちづくりに関連し、地震の影響により地盤沈下した土地のかさ上げを可能とする国の支援事業が限られており、事業に該当せず依然として整備のめどが全く立たない箇所が残されているだけでなく、土地のかさ上げを可能とする既存の事業についても、各種要件の充足が難しく事業を実施できないため、冠水被害等への対応ができず、一体的なまちづくりに支障を来しているとのことであった。また、沿岸部に点在する漁村集落などにおいては、防災集団移転促進事業による移転元の住宅跡地が散在しているため、漁港や防潮堤の背後地の一体的な整備のめどが立たないことから、市町において具体的な土地の利活用の計画を立てることができず、未整備のまま土地が荒廃し、今後大きな課題になると懸念しているとの意見が出された。

 次に、復興予算に関連して、復旧・復興事業に従事する職員の不足や地元との合意形成、用地取得に時間を要するなどのさまざまな要因から、防災集団移転促進事業や被災市街地復興土地区画整理事業を初めとする、復興まちづくりや住まいの確保に関する事業を中心に遅れが生じており、平成二十七年度を最終年度とする集中復興期間の延長と特例的な財政支援の継続を求める意見が多く出された。

 さらに、被災市町における産業の再生については、中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業(以下「グループ補助金」という。)に関し、用地等基盤整備の遅れを勘案し、制度を継続するとともに、採択済みの補助金については、県が基金化し管理することを可能とするなど、被災地の実態に即した柔軟な対応を可能とするよう求める意見が出された。

 その他、インフラの復旧及び整備に関しては、被災したJR路線の早期復旧と被災市町のまちづくりと一体となった復旧について、国による東日本旅客鉄道株式会社への支援を求める意見が出されたほか、津波襲来時に沿岸部から内陸に円滑に退避するための避難道路について、整備に向けて国の支援を求める旨の意見が多く出された。

 また、沿岸五事業所のうち、特に水産加工業者において、東日本大震災の発災により失われた販路の回復に苦慮しているとのことであった。その主な理由として、原発事故に起因する風評被害が挙げられており、その中で、海外における風評被害が想像以上に厳しいものであるとのことであった。原発事故に起因する風評被害の損害賠償請求については、提出書類の準備に時間がかかることやそもそも東京電力から賠償請求に対する説明がないという意見もあった。その他、従業員の不足や宿舎の確保、販路開拓に向けての新商品の開発など、今なお多くの課題が残っている旨の意見が出された。さらに、グループ補助金の継続や、より地域の実情に合わせた補助金制度を求める意見も多く出された。

 以上のとおり、沿岸被災地においては、発災から四年以上が経過してなお、復旧・復興に係るさまざまな課題が山積していることに加え、時間の経過とともに、新たな課題が出現し、市町において対応を求められる窮状がうかがえた。本委員会は、沿岸市町及び事業所からの意見を調査結果として取りまとめ、これをもとに現状の課題の解消に資するべく、国等への働きかけを重点的に行うこととした。

 (二) 復興庁宮城復興局(仙台市青葉区)

 本委員会は、平成二十七年六月十五日に宮城復興局に対し、復興庁あてに東日本大震災に関する特例的な財政支援の継続を求める意見書を県議会として提出した旨を説明し、引き続き当該意見書の内容等について、本委員会の県内調査として意見交換を行った。その概要は、以下のとおりである。

 現在、宮城復興局の梶原局長が中心となって、被災市町の首長を初めとする執行部と個別事業の取り扱いについて意見交換を行っているところであり、国ではこれらを踏まえて、集中復興期間後五年間の復興創生期間の枠組みについて決定することを予定しており、宮城復興局としては今後とも復興を減速させることはないという、強い意識をしっかりと持って、全力で対応していきたいと述べた。また、東日本大震災の風化対策について委員から質問があり、復興庁としては、自治体ごとの復旧・復興の進捗率を復興庁のホームページなどで、数値化して見えるような努力はしているが、そのような対策の推進を今まで以上にしていくとのことであった。

 4 県外調査

 (一) 一関市、飯舘村

 本委員会は、県内で大きな問題となっている、放射性物質汚染廃棄物への対応に関し、昨年に引き続き調査を実施することとしており、県外の状況を把握するため、平成二十六年十二月十九日に県外調査を実施した。その概要については、以下のとおりである。

 (1) 一関市(岩手県)

 一関市においては、八千Bq/kgを超える放射性物質汚染廃棄物が六百四十トン、八千Bq/kg以下が二万三千六百九十八トン、合計で二万四千三百三十八トンとなっている。そのうち、稲わらは、三百五十五トンあり、市内の三十三カ所の一時保管施設に保管している。その保管について、当初は一カ所に集約しようとしていたが、住民の理解を得られず、畜産農家ごとに保管している。保管場所については、それぞれの畜産農家において選定し、周辺住民に説明した上で施設を設置しているとのことであった。

 一関市においては、混焼による焼却灰の汚染濃度を確認するため、二カ月ほどかけて試験焼却を行い、支障がなかったため本焼却を実施しているが、これは岩手県内の汚染廃棄物約四万二千トンのうち約半分が一関市で発生したものであり、処理の進捗のため率先して取り組まざるをえなかったという背景がある。混焼処理について、試験焼却は一関市において行っていたが、保管量が少ないことから、実働したのは遠野市の方が早く、県内では遠野市、八幡平市、金ヶ崎町で既に本焼却が始まっており、盛岡市、北上市、奥州市では試験焼却を行っている状況である。

 今後、牧草以外の農林業系廃棄物は、国が仮設焼却施設を設置し、八千Bq/kgを超える指定廃棄物の焼却処理を行う計画であり、あわせて、県内他市町村の指定廃棄物約七十トンも同施設で焼却する計画である。一関市としては、国による指定廃棄物の焼却終了後、一関地区の広域行政組合において仮設焼却施設を国から引き継ぎ、引き続き八千Bq/kg以下の汚染廃棄物を焼却する計画である。仮設焼却施設による焼却期間は概ね五年を見込んでおり、焼却については一般ごみとの混焼方式とし、焼却灰の放射性物質濃度の低減を図りながら進めるとのことである。

 また、焼却灰に係る国の埋め立て基準八千Bq/kg以下に対し、一関市においてはより安全性を考慮し、五千六百Bq/kg以下としており、実際の焼却作業において混焼率を判断する場合には、四千Bq/kg以下を目安に、炉に投入する汚染廃棄物の量を調整している。仮設焼却施設での焼却量は五十トン程度を見込んでおり、仮設焼却施設の建設には、用地測量や土地造成、工事発注等、仕様に定める機器の製造にかかる期間等を含め三年程度を要する見込みである。施設の設置に当たっては、地区の生活環境の保全、安全を第一とするよう国と協議中であり、処理終了後は解体、撤去すると述べた。仮設焼却施設の設置について、平成二十六年三月から住民説明会を開催しており、同年七月には環境省が説明会を実施し、さらに、同年十一月には二日間にわたり放射能と健康に関する説明会を開催しており、現在も住民説明会を実施中であるが、施設の設置には至っていないとのことである。

 (2) 飯舘村(福島県)

 飯舘村においては、除染作業において五センチメートル削土しており、これがフレキシブルコンテナバックに詰められ大量に保管されているが、除染土は、中間貯蔵施設に搬入することとなる。飯舘村においては、早期の復興のため、中間貯蔵施設の建設スケジュールありきではなく、放射能汚染廃棄物について、先行して可能な範囲の処理を実施することとし、いち早く仮設焼却炉を設置するよう国に働きかけてきた。

 この仮設焼却炉の設置について、環境省から、村の面積を考慮し村内三カ所程度の設置を打診された結果、多くの候補地で村民の反対があったが、小宮地区においては小型焼却炉の設置に関し合意が得られたことから、小型焼却炉を設置し、これまで家庭から出る汚染廃棄物などを焼却してきたところである。しかし、村としては、処理能力が不足するため、大型の仮設焼却施設や除染土の減容化施設の設置を検討し、また、環境省から、福島市近辺の汚染汚泥についてもあわせて焼却するよう要望があった。その後の住民等との協議の結果、福島市近辺は飯舘村の住民の避難先となっていたことなどから、蕨平地区に仮設焼却炉及び除染土の減容化施設の設置を受け入れることとし、工事が着工したところである。

 仮設焼却施設設置工事の進捗状況は、平成二十六年十月二十三日に工事の起工式が行われ、来秋に試験稼働を始める予定である。仮設焼却炉の処理能力については、除染により生じた可燃性廃棄物などを一日当たり二百四十トン処理する予定であり、また、量的には、村内廃棄物を十四万トン、村外廃棄物を七万トン処理する計画である。

 小宮地区に仮設焼却施設を設置した際の住民合意に至った経緯については、当初地区住民は放射性物質に関する理解が浅く、手探りの状態であったが、その後、汚染廃棄物を焼却してもバグフィルターにより放射性物質を除去できるということを丁寧に説明し、理解が徐々に浸透してきたとのことである。また、住民の中には、非常に厳しい意見もあったが、村の復興のために仮設焼却施設の設置を引き受けるのはやむを得ないとの考えが多く、最終的に合意に至ったとのことである。

 (二) 衆議院第二議員会館(東京都千代田区)

 本委員会は、沿岸市町等を対象に実施した県内調査により把握した震災からの復旧・復興に係る諸課題を取りまとめ、これらの諸課題を、被災地の現状として伝えるとともに、課題の解消に向け認識を共有するべく、平成二十七年二月十二日に宮城県関係国会議員との意見交換を開催した。その際の国会議員からの意見は、以下のとおりである。

 (1) 復興予算の確保に係る課題について

 震災からの復旧・復興に係る諸課題のうち、復興予算の確保に係る課題が一番大きな課題であり、予算確保について、党派を超えて、国、県、市町村及び地域と連携し取り組みたいとのことであった。また、これまでの事業の積み残しや復興交付金等で解決できなかった課題が残っているが、集中復興期間内に着手できなかったものについては対応しないということではなく、早い時期に集中復興期間の延長を明示するよりも、期間の中でできるだけ復興事業の加速化を図ってほしいとの意図がある。来年度は集中復興期間の最終年度に当たっており、再来年度予算の概算要求の時期までには、どのような形で延長するか、形が見えてくるようにしなければならない。

 (2) 復興まちづくりに係る課題について

 地盤沈下した土地のかさ上げに係る課題について、復興交付金を含めて対応する事業がないのが現状であるが、個別に対応するよう指示している。地盤沈下した全ての土地をかさ上げし対応するのではなく、居住地や商業地、工業用地として再整備するなど、土地利用計画を策定し、必要に応じてかさ上げを実施するなどの対応は可能である。

 (3) 被災した鉄道各線の復旧に係る課題について

 鉄路の復旧については、さまざまなハードルがあり、現在は、代替のBRTが運行していることから、どのような復旧の形が一番か、自治体も含めて協議していくことが大切であり、連携して取り組んでいきたい。また、国は、鉄道軌道整備法の規定により、黒字企業の災害復旧事業には補助金を出せないことに縛られているが、それが可能となるよう、議員立法による法改正を試みており、その改正案は、県や被災市町にも負担が生じる形をとらないと前に進まないので、この点を十分検討していかなければならない。さらに、復興調整会議をハイレベル化し、首長や鉄道局長が出席の上議論するような場を持つことができればと考えている。

 (4) 被災地の産業再生に係る課題について

 水産業については、人材の確保が課題であり、外国人技能実習生の受け入れ枠を拡大しなければ操業できないところが多いと考えている。現在、従業員五十人以下の企業において、外国人技能実習生の受け入れ枠は三人であり、与野党連携の上、この枠を特例的に一定期間拡大したい。また、宿舎については、新たに国庫四分の三の補助制度ができるので、水産加工場で外国人技能実習生を受け入れる場合には、宿舎の不足に対応できる。

 (5) 原発事故への対応に係る課題について

 東京電力の原発事故対応については、さまざまな課題があるが、福島県担当の濱田復興副大臣とも連携しながらしっかりと取り組んでいきたい。

 (三)大阪市中央卸売市場、宮城県大阪事務所、日立造船株式会社、徳島県

 本委員会は、活動方針に基づいて調査を行うため、平成二十七年五月二十六日から二十八日にかけて県外調査を実施した。その概要については、以下のとおりである。

 (1) 大阪市中央卸売市場(大阪府大阪市)

 本委員会においては、原発事故に起因する風評被害の状況について、引き続き重点的に調査を行うこととしており、特に関西以西における風評被害の現状について確認するため、大阪市中央卸売市場を訪れ、調査を実施した。その概要は、以下のとおりである。

 大阪市中央卸売市場本場においての宮城県産の水産物の取扱数量、金額について、震災前である平成二十二年と比較すると、生鮮水産物については回復基調にあるが、冷凍水産物、加工水産物においては、まだまだ少ない状況である。宮城県産の水産物の実際の取扱数量、金額を比較すると、平成二十二年と平成二十六年の比較では、生鮮水産物について、数量は七一%、金額は八七%である。冷凍水産物については、数量は二九%、金額は二八%である。加工水産物については、数量は五九%、金額は八〇%である。合計すると、数量は六五%、金額は八一%となっている。また、平成二十五年と平成二十六年の比較では、生鮮水産物について、数量は一一〇%、金額は一三〇%である。冷凍水産物については、数量は八四%、金額は六八%である。加工水産物については、数量は一三九%、金額は一五四%である。合計すると、数量は一一一%、金額は一三一%となっていると述べた。

 取扱量においては、平成二十三年に一旦取引が止まったことにより、その間に、違う産地のものを卸売業者が仕入れ、新たなルートができてしまったため、そこを断ち切るのが担当として苦慮しているとのことであった。特に、冷凍水産物や加工水産物においてそのような傾向が見受けられると述べた。

 放射性物質の検査については、食品検査所があり、そこで検査しているので安全であるとのことであった。また、市民や業界向けの講習会の時には、検査しており安全である旨のPRはしているとのことである。

 (2) 宮城県大阪事務所(大阪府大阪市)

 原発事故に起因する風評被害の関西以西の状況について、宮城県大阪事務所を訪れ、調査を実施した。その概要は、以下のとおりである。

 物産展の開催において、東北六県物産展は各百貨店が主催で、宮城県物産振興協会大阪出張所が各出店業者との調整窓口となり行われているもので、平成二十六年度は、近畿地区七回、九州地区五回、中部地区三回、四国地区一回の計十六回開催している。単県展は、物産展と観光展を兼ねたイベントで、県庁関係各課、物産振興協会本部が協議会を組織し、中部以西で三回開催している。平成二十六年度の観光系イベントの実施状況については当県として、五十八のイベントに参加している。イベント会場においての来場者の反応としては、被災地への関心を示される方が多く、宮城県に関するさまざまな声をかけていただくことはあるが、宮城県に対して風評によりイメージが悪化しているような言葉は聞かれなかったと述べた。

 大阪府内における宮城県産品の流通量の現状について、生鮮水産物については、東日本大震災の影響により平成二十三年において、前年比三五%まで取引金額が減少したが、平成二十五年においては前年比一六〇%、平成二十二年と比較して六四%まで取引金額が回復している。一方、冷凍水産物、加工水産物の取引金額については、震災後半分以下に減少した取引金額について、平成二十六年においてもまだ回復していない状況となっている。野菜と果物の取引金額においては、震災による取引金額の大幅な減少は見られないが、年ごとに取引金額に変動が見られることから、収穫量や価格変動の影響を受けているのではないかと述べた。

 風評被害については、宮城県産品の関西地方への流通量が回復しない要因の一つとして考えられるが、当事務所で把握している情報、過去に実施した販路拡大事業の資料等の中では、具体的に宮城県産品について放射線量等への強い不安を訴えられたという記録はない。しかし、原子力発電所の運転再開や、放射性物質汚染廃棄物の処分場等に関係する報道もあることから、根強い風評被害が存在する可能性があるのではないかと説明があった。また、流通業者の中には、風評について気にする方がいるかもしれないという話は聞いているが、当事務所として、具体的な情報を把握しているものではなく、また、アンケート調査等をすると逆に風評を広めてしまう可能性があり、今後、企業訪問等の販路拡大事業を実施する際に、県産品に対する風評被害について少しずつ情報収集を行っていくと述べた。

 (3) 日立造船株式会社(大阪府堺市)

 本委員会は、日立造船株式会社を訪問し、フラップゲート式防潮堤の概要について把握するため、調査を実施した。その概要は、以下のとおりである。

 東日本大震災で学んだ水災対策のあるべき姿については、逃げる時間があっても、逃げ遅れが発生してしまうことから、水門の操作においても、人命最優先で逃げることが第一ということである。国でも、素早い避難は最も有効かつ重要な津波対策であり、ハード対策も素早い避難の確保を後押しする対策として位置づけるべきとの報道があった。そのようなハード対策に対して、メーカーとしてどのようなものを開発すれば良いかと考えた結果、最優先したのは、操作に危険を伴わないこと、次に、確実に機能すること、そして、日常の邪魔にならないこと、最後に、維持管理が容易であることであると述べた。

 フラップゲートと一口に言ってもさまざまなタイプがあり、今回紹介するネオライズについては、無動力、操作不要が特徴となっている。このネオライズは、さまざまな応用ができる設備であり、自然に逆らわずに動く構造物である。具体的には、海側の水位が高い場合、津波や高潮が発生すると自然に立ち上がり、陸側への浸水を防ぐことができる。一方、大雨が降り、河川が増水した場合や、津波や高潮が扉体の高さを超えて越流した後に引き波が発生した場合には、自動で倒れて引き波を海に流すものであるとのことであった。東日本大震災の発災時には、横引きのゲートで、逆圧に対する対策は検討されていなかったため、逆圧によって壊れる防潮堤が多くあり、一波目の押し波や越流の時には耐えることができても、引き波で壊れてしまい、二波目以降が全く役に立たなくなってしまったということも起こったのではないかと意見を述べた。一方、ネオライズの場合は、新たにストッパーを付けることによって両方に対応できるものであるとのことであった。

 ネオライズは無動力であるので、操作の必要がなく、できるだけシンプルに仕上げており、操作による遅れがないこと、また、津波が来るまでに閉鎖を行わなければいけない横引きゲートと根本的に違い、津波が到達する直前まで開けておくことができ、避難路が確保できること、シンプルな機器構成であるので、故障しにくく、突発的な故障もほとんど起こらず、さらに、部品交換も極めて少ないので、維持管理費用も少なくて済むと述べた。

 (4) 徳島県

 本委員会は、日立造船株式会社で開発したフラップゲート式陸こうを導入している徳島県を訪問し、徳島県における津波対策について調査を実施した。その概要は、以下のとおりである。

 徳島県における津波対策の主な取り組みについては、総合的な防災対策として、「とくしま‐0作戦地震対策行動計画の改訂」、「徳島県津波浸水の想定」、「徳島県南海トラフ巨大地震等に係る震災に強い社会づくり条例の制定」、「津波災害警戒区域の指定」などを行い、そのうち海岸保全施設における対策としては、「徳島県設計津波の水位の設定」、「海岸保全基本計画の改定」、「津波に対する水門・陸こう等の操作指針の策定」に取り組んでいる。

 とくしま‐0作戦地震対策行動計画の改訂では、徳島県地域防災計画に基づき県が取り組むべき施策を計画的かつ効果的に推進するために、死者ゼロを目指すという理念のもと、五つの重点項目と三十七の分野別項目に数値目標を設定している。

 徳島県津波浸水の想定については、平成二十四年十月に、南海トラフ巨大地震の影響を受ける地域としては初めて公表している。徳島県沿岸部の美波町では最高水位二十・九メートルとなっており、これに基づき、想定される浸水面積を二百二・四平方キロメートルとしている。

 徳島県南海トラフ巨大地震等に係る震災に強い社会づくり条例については、県民の生命、身体及び財産を守る震災に強い社会をつくるとしている。その特徴は、助かる命を助けることを目的に、減災を基本として震災対策を推進し、自助・共助・公助を基本として関係者の役割を規定し、災害予防、応急対策及び復旧・復興とそれぞれの役割を明確化し、津波災害の警戒区域の設定を義務づけることとしている。

 津波災害警戒区域の指定については、津波災害を防止するために、警戒避難体制を整備すべき区域を指定しており、それをもとにした津波警戒避難体制の記載やハザードマップの作成を行っている。

 徳島県設計津波の水位の設定については、海岸保全施設の整備を行う上で、せり上がりを考慮し、県内の海岸を二十五に分割したもので、南海トラフ巨大地震の影響を受ける地域で初めて制定したものである。

 海岸保全基本計画の改訂については、設計津波の水位を事業に反映させるため、全国に先駆けて改定を行い、従前の高潮対策や浸食対策に加えて、地震及び津波に対しては、住民や海岸利用者の生命を守ることを最優先とし、ハードとソフトの両面から防災対策を推進し、設計津波の水位を具体的に位置づけるとともに段階的な対策を行うこととし、避難時間の確保に必要な整備を進めている。

 津波に対する水門・陸こう等の操作指針の策定については、各地域における操作の負担の軽減を図るとともに、地震発生時の操作のルールを作成し、操作の配備体制の見直しや操作マニュアルの作成を行い、平時から訓練を実施し、閉鎖作業の迅速化と安全の確保に努めている。

 徳島県におけるフラップゲート式陸こうの採用については、日立造船株式会社の新技術を官公庁において全国で初めて導入したものである。その理由として、南海トラフ巨大地震における徳島県の特徴は、県南における津波到達予想時間が約五分と短く、自動操作を導入しなければならない状況にあった。そこで、企業に現場での実証実験場所の提供を行い、県ではそれに対する評価等を行った。その評価項目と結果について、評価項目に関しては前例がないことから、初めに委員会で評価項目の設定を行った。評価方法は、基本的に従来のものと比較して行ったが、自動操作の評価については、比較対象がないことから、提案者からの説明等により個別に評価を行った。当初は、フラップゲート式を導入しようということではなく、新技術の実証実験をしようと広く募集し、その中で検証を行った結果、実際に実証実験を行うと決定したのが、フラップゲート式だけになった経緯がある。フラップゲート式に対する各委員の評価は、無動力であること、安全性についても確保できていること、構造自体が非常にシンプルで壊れにくいことが高い評価につながったと述べた。

 (二)東京電力株式会社福島復興本社、茨城県

 本委員会は、活動方針に基づいて調査を行うため、平成二十七年八月十九日に県外調査を実施した。その概要については、以下のとおりである。

 (1) 東京電力株式会社福島復興本社(福島県双葉郡楢葉町)

 本委員会は、福島復興本社に対し、風評被害に係る迅速かつ十分な損害賠償の実施及び原発事故の早期完全収束を求めるため、県議会として要請書を提出し、当該要請の内容等について、福島復興本社石崎芳行代表出席のもと、引き続き意見交換を行った。その概要は、以下のとおりである。

 石崎氏によると、福島第一原子力発電所の廃炉に向けては、現在、作業員が七千人を超えている状況であるが、新聞報道等では悪い面ばかりが目立つ一方で、これだけの作業員がおり、全体的には確実に進捗していると述べた。

 原子力発電所施設内での度重なるトラブルについて、その要因の一つとして考えられるのは、敷地内に高線量地域があり、作業時に全面マスクの装着を要するところがほとんどであるため、コミュニケーションをうまく図れない点が挙げられ、この作業環境の悪さが結果的にヒューマンエラーを招いた。現在は、この点を改善するべく、全面マスクを着用しないで作業できるよう対策を進めている。また、現場において作業員に温かい食事を提供できるような施設を完成させたことなど、さまざまな作業環境の改善を進めているとのことであった。さらに、作業全体の目標を管理するロードマップを作成し作業ごとに目標を定めて行っていたが、そのことが作業工程に合わせることを優先し、焦りを招くことになり、ヒューマンエラーにつながるという悪循環があった。そのため、ロードマップの内容の見直しを行い、安全第一で、何かおかしいと思ったら、立ち止まって工程を見直す勇気を持って行える目標に変えたとのことであった。

 風評被害への対応については、市町村ごとに担当を決めて、行政を中心に定期的に説明しており、宮城県にも定期的に報告を行っている。しかし、宮城県の報道機関への対応については、福島県の報道機関と同様の対応は現在行っておらず、そのことも含めて、情報開示の徹底についてさまざまなことを考え、行動に移していきたいと意見を述べた。

 原子力損害賠償については、請求者において、まず何を請求すればいいかわからないといった、賠償の根本的なところで理解されていない部分がある。現在も県の執行部の力を借りて、中心部で説明会を開催しているが、中心部以外で要望がある場合は、積極的に説明に伺いたいとのことであった。また、賠償請求において、提出書類の準備に苦慮している現状があることから、最近では、取引のメモがあれば、それをもって提出書類とするというような、幅広い対応をしている。

 今回の要請内容については、一つ一つしっかり精査し、迅速かつ真摯に対応するとのことであった。

 (2) 茨城県

 本委員会は、県内で大きな問題となっている、放射性物質汚染廃棄物への対応について、県外の状況を把握するため、茨城県を訪問した。茨城県においては、八千Bq/kgを超える放射性物質汚染廃棄物の処理について、分散保管の継続を進めていく方針であり、本県の方針と異なっているため、内容を確認する必要があることから調査を実施した。その概要は、以下のとおりである。

 茨城県においては、八千Bq/kgを超える放射性物質汚染廃棄物を、十四市町が保管している。保管場所は、十五カ所であり、保管量は合計で三千六百四十三トン保管しており、その大部分が飛灰であり、全量のうち、二千四百八十七トンとなっている。

 八千Bq/kgを超える放射性物質汚染廃棄物の保管量の変化の推計については、日立市の飛灰を初め、十三年後には県内十五カ所のうち、十三カ所が八千Bq/kg以下に減衰するとの調査結果が出ている。一方、高萩市の稲わら、牛久市の汚泥については、三十年が経過しても全てが八千Bq/kg以下に減衰することはないが、その合計量は〇・六トンとなっており、このような事情から、分散保管の議論が出てきたと説明を受けた。

 また、平成二十四年の九月に、環境副大臣から最終処分場の候補地として、高萩市が提示されたが、当然ながら高萩市長は猛反対をし、その後、平成二十五年二月に、最終処分場の候補地を高萩市とすることについては白紙撤回するとの発表があった。それを受け、今後の方針を決めるべく茨城県指定廃棄物処理促進市町村長会議(以下「四十四市町村長会議」という。)が開催され、その第二回会議において、分散保管の議論が発議された。また、第三回会議において、最終処分場を県内一カ所とするか、分散保管を継続するか意見が分かれたため、発言していない市町村の意見も含めて確認するため、アンケートを実施することとなった。その後の第四回会議では、アンケート結果の公表とともに、指定廃棄物等を保管している自治体が処理方針について議論する場を設けるべきとの意見が出たことから、県としても会議の設置に賛成し、環境省もこれを了承した。

 アンケート調査の結果については、全四十四市町村のうち、現地保管継続には二十二市町村が賛成、最終処分場の一カ所整備には十二市町が賛成、その他が十市町となった。現地保管継続に賛成の市町村の内訳は、指定廃棄物を保管ありが七市、保管なしが十五市町村となっており、また、最終処分場一カ所整備に賛成の市町の内訳は、保管あり、保管なし、それぞれ六市町ずつとなっていた。現地保管継続の主な理由としては、一カ所整備は、地元同意が得られないことを踏まえると、現実的に困難であることや、県内の指定廃棄物は比較的量も少なく、近い将来に八千Bq/kg以下に減衰し、既存の管理型処分場で処理できること、大規模災害が起こったときのリスク分散が可能であることが挙げられた。

 茨城県指定廃棄物一時保管市町長会議(以下「一時保管市町長会議」という。)が、平成二十七年四月六日に開催され、その会議の中で、環境省より、県内に指定廃棄物処理施設を一カ所設置する案と、現状の保管を継続し、既存の処分場で処理する案が示された。会議における主な意見としては、一カ所整備は困難であることから、苦渋の決断として、分散保管はやむを得ないこと、分散保管の方向性は前回の四十四市町村長会議で決まっていたことであり、同じような会議を重ねることなく、スピード感を持って対応すべきこと、国は一カ所整備という当初の方針を早く変えること、一時保管施設の安全確保、指定解除のあり方、地域住民への説明、地域振興策などの課題について、国は責任を持って対応すべきことなどの意見が出された。これを受けて環境省からは、これらの意見や分散保管の案についての実現可能性を精査検討し、その結果を次回の一時保管市町長会議に示していく方針が示された。今後の県の対応としては、四十四市町村長会議及び一時保管市町長会議の円滑な開催など、国と市町村の間に立ち、相互理解の促進及び意見の集約に向けて協力していくことや、現在保管されている指定廃棄物等が今後も適切に保管されるよう、定期的な保管状況の確認を行うとともに、個別施設ごとに国や一時保管者と協議を行い、保管の強化を進めていくこととしたと述べた。

 また、その後に、環境省が公表した、放射性物質汚染対処特措法施行状況検討会・自治体アンケート調査結果では、茨城県内の四十四市町村のうち、三十の市町村から回答があり、回答の内訳を見ると、保管に賛成が十一市町村、最終処分場の一カ所整備に賛成が一市しかなく、四月六日の会議とこのアンケート調査結果を照らし合わせると、茨城県においては、分散保管が大勢を占めていると考えられ、県内では分散保管で考えがまとまってきている。しかしながら、環境省からは、いまだ何も回答がない状況であるとのことであった。

 5 意見交換会

 (一)宮城県関係国会議員

 沿岸市町を対象に実施した県内調査により把握した震災からの復旧・復興に係る諸課題について、被災地の現状として伝えるとともに、課題の解消に向け認識を共有するべく、宮城県関係国会議員との意見交換を開催し、十五人の国会議員が出席した。意見交換の項目については、次のとおりである。

 (1) 復興予算の確保に係る課題

 集中復興期間の延長と特例的な財政支援の継続については、現在被災自治体に共通の最重点課題と位置づけられているものであり、復興事業の実施を確実なものとするため、国において早期に明示されるよう求めた。

 (2) 復興まちづくりに係る課題

 地盤沈下した土地のかさ上げ等整備について、国土保全の観点から、本来国の責任において実施されるべきものとも考えられ、東日本大震災復興交付金制度を初めとする各種支援制度の拡充や運用の弾力化をさらに推進し、対応を可能とするよう求めた。

 (3) 被災した鉄道各線の復旧に係る課題

 津波による被害の甚大さを考慮し、東日本旅客鉄道株式会社による被災市町の復興まちづくりと一体となった鉄道の復旧に対し、早期実現のため財政的な支援を講ずるよう求めた。

 (4) 被災地の産業再生に係る課題

  イ 中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業による支援の継続等

 被災事業者が事業再開のために必要な支援を受けられるよう、当該事業を継続的に実施するとともに、グループの組成等の要件について、被災地の実態に即しさらに弾力的に運用するなど、制度の改善を図るよう求めた。また、事業者が安心して補助事業を実施できるよう、採択済みの補助金について、県が基金化し管理可能とするなどの措置を講ずるよう求めた。

  ロ 被災事業者の販路の回復に向けた支援

 被災事業者の販路の回復に向けて、実情に即した柔軟な制度運用を図り、沿岸地域における地場産業の再生を強力に支援されるよう求めた。

 (5) 東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に係る課題

  イ 原発事故に起因する風評被害に係る迅速かつ十分な賠償の実現

   ・ 賠償金の迅速かつ十分な支払について

   ・ 請求手続の一層の簡素化について

   ・ 被害の実態に即した損害賠償の実施について

   ・ 自治体や生産組合等において風評被害防止のために要した経費の補償について

  ロ 原発事故の早期完全収束の実現

   ・ 放射能汚染水に係る抜本対策及び緊急対策の確実な実施

   ・ 発電所内におけるトラブル、周辺環境のモニタリング結果等の迅速な公表と丁寧な説明

  ハ 風評被害の払拭に向けたリスクコミュニケーションの充実、強化

  ニ 放射性物質汚染廃棄物の処理促進

   ・ 最終処分場等の設置を含む指定廃棄物の処理促進

   ・ 農林業系廃棄物の処理加速化事業の継続と補助対象の拡大(八千Bq/kg以下の一般廃棄物の処理促進)

 (二) 復興庁宮城復興局

 平成二十七年五月十二日に、国が、集中復興期間後の復興事業について被災自治体に事業費の一部負担を求める方針を示したことを受け、平成二十七年六月十五日に東日本大震災に関する特例的な財政支援の継続を求める意見書を県議会で議決し、さらに、同日、宮城復興局との意見交換会を開催した。意見交換については、現在検討している復興事業に関する財源について、全額国費負担を原則とし、復興事業が滞りなく、円滑に進められるよう、平成二十八年度以降においても、特例的な財政支援を継続すること、例外的に、自治体負担を導入する対象事業については、その自治体の財政状況に十分配慮するとともに、事業の内容を精査し、自治体との協議により、合意した上で決定することの二点について、本県の現状を伝えるとともに求めた。

 6 要望活動等

 (一)東京電力株式会社福島復興本社に対する要請活動

 原発事故に起因する風評被害の状況について、沿岸市町及び事業所においての県内調査や東京電力を招致しての参考人意見聴取を実施し、課題の把握に務めてきたところであるが、これらを整理し、風評被害に係る迅速かつ十分な損害賠償の実施及び原発事故の早期完全収束の実現に関し、福島復興本社に対する要請活動を企画、実施決定し、平成二十七年八月十九日に県議会の要請活動として実施した。要請事項については、次のとおりである。

 (1) 風評被害に係る迅速かつ十分な損害賠償の実施

  イ 賠償金の迅速かつ十分な支払い

  ロ 請求手続の一層の簡素化

  ハ 被害の実態に即した損害賠償の実施

  ニ 自治体や生産組合等において風評被害防止のために要した経費の補償

 (2) 原発事故の早期完全収束の実現

  イ 放射能汚染水に係る抜本対策及び緊急対策の確実な履行

  ロ 凍土方式による遮水壁の早期完成

  ハ 発電所内におけるトラブル、周辺環境のモニタリング結果等の迅速な公表と丁寧な説明

三 総括

  本委員会は、県内外における調査活動や参考人意見聴取を通じ、本県における震災からの復旧・復興に係るさまざまな課題について、把握に努めるとともに、これらを取りまとめ、現状の課題の解消に資するべく、国や関係機関への働きかけを重点的に実施してきた。

 発災から四年以上が経過し、特に津波による甚大な被害を受けた沿岸市町においては、防災集団移転促進事業や被災市街地復興土地区画整理事業等のまちづくりに関わる事業が本格化し、徐々にではあるが、目指す復興の形が具現化しているほか、災害公営住宅の整備などについても進捗が見られ、今後被災者の生活再建が一層加速するものと期待される。また、県内の産業についても、グループ補助金を初めとする各種支援施策が継続的に実施され、復興に向けた着実な歩みを進めているところである。

 一方で、復旧・復興関連事業が本格化する中、自治体における職員の不足、資材の高騰や労働者の不足等の要因から施工確保の困難が懸念される状況が依然として見られるなど、被災地では今もなおさまざまな問題を抱えており、震災からの復旧・復興の進捗を阻害する要因ともなっている。また、防災集団移転促進事業の移転元地における有効的な土地活用など、復旧・復興に係る各種支援施策については、これまで被災地の求めに応じ、国において柔軟な制度運用が図られてきたところであるが、被災地においては、依然として事業実施に際しての各種要件の緩和や支援の拡充などを求める声も多く聞かれ、復旧・復興の加速に向け、実態に即したさらなる運用の柔軟化が求められている。

 次に、原発事故に起因する風評被害に関しては、発災から四年以上が経過した今もなお、人的過誤に起因するトラブルや汚染水対策の難航が取り沙汰されており、全国の消費者において、農林水産物を中心とする本県産品に係る放射能汚染への不安が払拭されず、風評被害が長期化している。こうした風評被害の払拭及び防止に向けては、本県のみならず全国の消費者等において、食品と放射能に関する正しい知識の涵養により、安全性についての理解を増進することが極めて重要であり、本県はもとより国等による全国を対象とした継続的な取り組みが求められている。

 また、県内で大きな問題となっている放射性物質汚染廃棄物の処分に関しては、八千Bq/kgを超える指定廃棄物について、国が示した最終処分場建設に係る県内三カ所の候補地において、住民や関係団体等の強い反対により、詳細調査に着手できないなど、進捗が危ぶまれる大変厳しい状況となっている。また、八千Bq/kg以下の農林業系廃棄物を中心とする一般廃棄物についても、周辺住民の理解を得ることが困難であり、さらに、既存施設の処理能力を超えるなどさまざまな要因から、市町村等において一般ごみとの混焼処理が進捗せず、自治体や農家において保管を続けざるを得ないという大変厳しい状況にあり、岩手県一関市や福島県飯舘村における先進事例を参考としながら、慎重に推移を見守りつつ解決策を探る必要がある。

 最後に、本年度は国が集中復興期間と定めた最終年度に当たり、今後も、復興まちづくり、被災者の生活や住宅の再建に係る支援、産業の再生に向けた支援などに関し、事業の一層の進捗、充実が求められる。一方で、国は、平成二十八年度以降の復旧・復興事業のあり方について、被災自治体への一部負担を求めており、今後の動向を注視する必要がある。その他、原発事故に起因する風評被害の現状について、関西方面以西における対応、津波対策としての防潮堤整備などについて、県議会としても十分に議論を尽くすとともに、引き続き十分な対策を講じていくことが強く求められている。

 このような現況のもと、委員会として、刻々と変化する被災地の状況の把握及び対応のため、四年間活動を行ってきたが、本県の東日本大震災からの復旧・復興はいまだ道半ばであり、今後も、県議会として、時間の経過とともに多様化する課題の解消に向け、継続的に国等への働きかけを行うこととし、要望活動等に重点的に取り組むものとする。さらに、被災地の復旧・復興の進捗に対応し、多岐にわたる課題について、より精緻な調査活動を展開するため、今後も同様の特別委員会を設置し、より効果的な調査活動のあり方について絶えず検討を行うものとし、本県の早期の復興に資するべく全力を傾注するものとする。

 以上、今後の県議会における、被災地に根差したより効果的な調査活動を期待して、四年間の活動の報告とする。

  平成二十七年十月二日

           宮城県議会大震災復旧・復興対策調査特別委員長 畠山和純

 宮城県議会議長 安藤俊威殿

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○議長(安藤俊威君) これより質疑に入ります。

 委員長報告に対し質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

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△地方創生調査特別委員会調査結果報告



○議長(安藤俊威君) 日程第十一、地方創生調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。

 本件について委員長の報告を求めます。地方創生調査特別委員長、七番長谷川敦君。

    〔七番 長谷川 敦君登壇〕



◆七番(長谷川敦君) 地方創生調査特別委員会の調査結果について御報告申し上げます。

 本委員会は、地方創生に関する諸施策について調査・検討するため、平成二十六年十二月十六日に設置されました。付議事件、地方創生に関する諸施策についてを受け、一、本県における地方創生の実現に向けた諸施策について、二、地方の人口減少問題解決を初めとする地域経済活性化に向けた取り組みについて、以上の二点を調査項目として、県関係部局から県施策の概要を聴取するとともに、参考人からの意見聴取を行ったほか、県内、県外調査を実施して検討を重ねてまいりました。

 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、この報告が今後の関係施策に反映されることを期待して、御報告申し上げます。

……………………………………………………………………………………………

   地方創生調査特別委員会調査結果報告書

 地方創生調査特別委員会の調査・検討の結果について報告する。

 本委員会は、平成二十六年十二月十六日に設置され、付議事件「地方創生に関する諸施策について」を受け、調査項目を以下の二項目とした。

 一 本県における地方創生の実現に向けた諸施策について

 二 地方の人口減少問題解決を初めとする地域経済活性化に向けた取り組みについて

 以上の項目について、県関係部局から県施策の概要を聴取するとともに、特定非営利活動法人せんだいファミリーサポート・ネットワーク及び公益財団法人東北活性化研究センターより参考人を招致して意見を聴取し、さらに、県内の実情を把握するため、栗原市の調査を実施したほか、他県の事例を参考にするため、広島県尾道市、広島県、国立大学法人広島大学、福岡県及びオガール紫波株式会社の取り組みなどについて調査を行った。

 その概要は、次のとおりである。

一 現状と課題

 1 本県における地方創生への対応について

 本県の地方創生を進めるためには、短期的に、雇用の量の拡大により、首都圏などへの人口流出に歯止めをかけるとともに、中長期的展望のもと、それぞれの地域での高付加価値な産業構造の構築等により、質の高い雇用を創出し、持続的な社会を築いていくことが必要である。

 2 最近の県内全市町村の人口動態について

 (一)本県の総人口は、平成十五年の推計人口の約二百三十七万二千人をピークに減少し、その後、平成二十四年から二十五年には東日本大震災の発生による復興需要もあり微増したが、平成二十六年に再び減少に転じている。

 (二)東日本大震災発生後、多くの被災市町では人口減少が大幅に進んでいるが、仙台市やその近郊で人口増加が見られるところもあり、復興需要の影響によるものと推測される。

 (三)年齢階級別人口移動では、大学等への入学時に転入し、卒業に伴う就職等のため、県外へ転出する傾向が長期にわたり続いているものと推測され、近年は若年女性の転出幅が大きくなっている。

 (四)平成五十二年の本県の人口は、百九十七万三千人になると見込まれ、生産年齢人口及び年少人口は、今後さらに減少するが、老年人口は増加し、高齢化率は、三六・二%に達すると見込まれている。

 3 過疎化の現状や地方移住の推進について

 (一)過疎化の現状

 平成二十六年四月一日の過疎地域自立促進特別措置法の一部改正に伴い、過疎地域をその区域とする市町村として気仙沼市及び南三陸町の二市町が追加され、県全体で、「石巻市・気仙沼市・大崎市・栗原市・登米市・七ヶ宿町・丸森町・加美町・南三陸町」の九市町が過疎地域に該当している。

 (二)地方移住の推進

 地方への移住・交流希望者への情報や地域活性化のサービスを提供している官民連携組織である「一般社団法人移住・交流推進機構」の専用サイトを通じた情報発信を行っている。

 4 地域産業振興に関する取り組み状況について

 (一)企業立地の推進と起業・創業への支援

 (1)トヨタ自動車東日本株式会社、東京エレクトロン宮城株式会社、プライムアースEVエナジー株式会社等の新工場の立地により、ものづくり産業の集積が進展しているが、地域経済活性化に向けた更なる企業立地の推進が必要である。

 (2)沿岸部から内陸部への県内移転、工場の一部県外移転と廃業の増加により、被災地における起業や創業に加え新事業活動の促進が必要である。

 (二)県内企業の競争力と経営基盤の強化

 (1)県内企業への支援等により、県外から立地した自動車関連企業との取引は増加しているものの、さらなる受注獲得に向けて自動車メーカー等の要求水準へ対応するための技術開発等の支援が必要である。また、今後成長が見込める医療やエネルギー、航空機産業等の分野への期待の高まりに応じて、意欲ある企業の掘り起こしとイノベーションの拠点整備が必要である。

 (2)企業の人材需要の高まりや需要の変化など人材ニーズの的確な把握と対応が必要である。また、若い世代のものづくり志向の低下が懸念されるため、企業や教育現場との連携によりものづくり産業と接する機会の拡大やものづくり志向の醸成が必要である。

 (3)国内企業の海外進出や少子高齢化等に伴い国内市場は縮小傾向であるが、マーケティングが不足し市場ニーズの把握が不十分なため、海外ビジネスの機運醸成とマーケットを意識した売れる商品づくりが必要である。

 (三)地域商業活性化に向けた支援

 市街地再開発等のインフラ整備事業の長期化や住宅の高台移転等による周辺住民の減少により、商店街を取り巻く環境が激変しているため、復興まちづくりに応じた商店街の形成や持続的に発展可能な商店街の形成が必要である。

 (四)観光振興と交流人口の拡大による地域活性化

 (1)宮城を訪れる観光客の七割が東北域内からで、中部以西からの観光客は一割未満であるため、平均消費単価の高い域外観光客等の旅行需要の喚起が必要である。

 (2)東北の外国人観光客宿泊者数の割合は全国の一%未満で、その数も震災前の六割程度までの回復にとどまるため、訪日外国人数の多い国や地域へのアプローチを強化する必要がある。

 (五)若者の雇用対策の推進

 (1)業種や職種による求人や求職の偏り、復興関連業種や事業を再開した水産加工業等の人手不足などに対して、人材確保に向けたマッチングの向上と求職者の掘り起こしが必要である。

 (2)復興需要等の終息に伴い、新卒者の雇用情勢が楽観できないことから、良好な雇用情勢の維持を図る必要がある。また、入社後、早期に離職する新卒従業員が多いことから、職場定着の向上が求められる。

 (3)フリーター等の若年求職者やニート等の若年無業者の厳しい雇用環境と職業能力不足を解消するため、就労意欲の醸成を含めた就労機会の拡大と職業能力の向上が必要である。

 (4)少子高齢化に伴い生産年齢人口が減少していることから、UIJターンの受入促進を図り、労働力を確保する必要がある。

二 参考人からの意見聴取

 1 特定非営利活動法人せんだいファミリーサポート・ネットワーク 代表理事 伊藤仟佐子氏

 伊藤氏からは、仙台市子育てふれあいプラザのびすく仙台の運営から見えている子育て事情の話があった。そこに来る母親から見えてくる子育て家庭の事情としては、本来、子どもは、地域の中、家庭の中で育てるのが当たり前だったが、転勤族や核家族の増加のほか、母親自身が高学歴でマニュアル世代であり、子育てが初めての挫折となる場合があるなど、地域の力、家庭の力が低下していることが挙げられる。また、子育て支援の現状と課題としては、子育て中の親の孤立化、子育て情報の氾濫と子育て経験の不足など、たとえ子育て環境が整備されたとしても子育ての負担感は増大していると思われ、子育て自体は全く変わっていないが、母親を取り巻く環境が変わってきていることから、子どもを守るためにも母親への支援は必要であるという話があった。

 2 公益財団法人東北活性化研究センター 専務理事 小泉 司氏

 公益財団法人東北活性化研究センター 調査研究部長 宮曽根 隆氏

 当法人は、東北の経済動向のほか、地域・産業活性化、新産業の創出などの分野で今日的なテーマに取り組んでおり、学識経験者や専門家と連携・協働しながら、政策提言や自らの地域活性化支援活動に反映していくことを目指し、調査研究の成果を行政や企業を初め、地域社会の方々の諸活動の企画立案の参考としてもらうため、すべて公表し、実践に向けたフォローも行っている。東北地域の活性化にとって先導性や公共性が高く、地域への波及効果が大きいと判断されるプロジェクトを実施し、独自の技術や商品を有する企業の情報を全国へ発信する東北圏オンリーワン企業の紹介や、地域資源の磨き上げ及び観光戦略づくりを行う地域観光戦略プログラムを実施している。

 東北は全国よりも人口減少が速く、高齢者の割合も高いため、生産年齢人口が減少することにより、内需産業が衰退し自治体の財政赤字を招き、公共サービスが低下するという悪循環を断つには、産学官金の連携による新しい事業の開発による地域産業の振興や、観光客の誘致や高付加価値企業の誘致等の外需の取り込みが重要ではないかと述べた。

三 県内調査(栗原市)

 栗原市では、平成十八年度に田園観光都市室を設置し、足元にある身近な地域資源の調査及び研究を開始し、この調査研究により、地域の活性化、再興、再生へ向けて、多くの眠っていた資源を掘り起こし、既に様々な場面で活用している。資源の掘り起こしは、大自然や文化、歴史にとどまらず、まちの自慢話から、食・モノ・コト・人物に至るまで、田園観光都市ならではの「栗原のありのまま」の姿をしっかりと掘り下げ、つかみとってきた。

 岩手・宮城内陸地震及び東日本大震災からの復興を成し遂げるため、「市民が創るくらしたい栗原」を目指し、市民生活の再生、産業・経済の再建及び防災のまちづくりを基本目標に、観光客を七十七万人から二百万人まで増やす、企業の誘致を進め、自動車関連産業など四社の誘致により、千人の雇用を実現、「子育ては栗原で」をスローガンに、若者の人口を千人増やす、幼稚園の三年保育の実現と、保育所入所の待機児童をゼロにする、「学府くりはら」を目指して、小・中学生の学力をレベルアップする、高齢者施設の入所待機者三百人を半分にする、市立病院の医師を増やし充実させる、の七つの成長戦略で取り組んでいるが、内陸地震で特に被災の状況が大きかった栗駒・花山地区の崩落地については、防災教育、学術研究、観光などの場として多目的に活用していくため、ジオパークという手法を活用することが平成二十四年二月に宣言されている。

 平成二十五年七月に栗駒山麓ジオパーク推進協議会を設立し、さらに十月にジオパーク推進室を設置した。認定の要件として、行政機関、民間団体などによる運営組織が確立していること等が掲げられており、市としても専門部署や専任職員の配置が必要となるため、地域おこし協力隊の制度を活用して、現在は兼任職員一人、専任職員三人及び地域おこし協力隊三人で推進している。ジオパーク内の整備、ジオガイドの養成、子ども達へのジオパーク学習、市内外からの視察の受け入れの実施、情報発信などを行い、平成二十七年度の認定を目指し、さらに、ゆざわジオパークなどと、県境を越えて広域的に連携し地域の活性化と観光振興の促進を図ること、栗駒山麓崩壊地などの震災遺構を保護し、活用することで防災意識の向上を進めること、ジオパークを利用して防災教育を行い、災害に強い人材を育成することを目指している。

 栗原市全域がジオパークのエリアであり、ジオパークをツールとして、地域の人々が故郷の成り立ち、文化と歴史を理解し、誇りを持ち、様々な場所で「栗原のジオパーク」を語ってもらえるようなジオパークを目指し、認定後も継続的により良い地域づくり活動を行いたいとのことであった。

 なお、「栗駒山麓ジオパーク構想」については、九月四日、日本ジオパーク委員会において認定されたところである。

四 県外調査

 1 広島県尾道市

 尾道市では、狭い道、急傾斜の坂道、階段等の市街地の地理的特殊性、モータリゼーション化などの社会の変化により、人口の流出、空き家の増加や廃屋化が進み、景観の阻害や地域コミュニティの崩壊の危機が課題となっていた。尾道水道を望む尾道三山南斜面市街地には神社や仏閣が軒を連ねており、尾道特有の景観を有する地域であることから特別地域と位置付け、定住促進や地域活性化という目的とともに、景観保全に重点を置き空き家バンク制度に取り組んでいる。

 平成十四年から事業を開始し、平成十九年までは尾道市のみで事業を推進してきたが、平成二十一年度からは、特定非営利活動法人尾道空き家再生プロジェクトと連携して事業を行っており、尾道市が空き家の実態調査、空き家の登録事務、仲介や査定の依頼等を、NPO法人が空き家の情報提供、空き家の活用相談、利用者間の連絡調整などを行い、行政とNPO法人との協働によりお互いの不足部分を補完している。

 事業を推進していく中で生じた新たな課題として、情報提供する空き家の老朽化の進行により、大規模な改修等が必要な場合もあり、空き家利用者の負担が大きくなっていた。そこで、平成二十四年六月から、歴史的風致維持向上計画に基づき、まちなみ形成事業補助金、沿道建造物等修景事業補助金、空き家再生促進事業補助金、老朽危険建物除去促進事業補助金等の補助事業を開始している。この事業は、尾道三山南斜面市街地で実施しているが、平地部であっても、道路が狭隘な地域では空き家が解消されにくいという指摘があり、平成二十五年十月から、対象地域を平地部へ拡大している。

 2 広島県

 広島県では、将来にわたって、「広島に生まれ、育ち、住み、働いて良かった」と心から思える広島県の実現を目指し、「行ってみたい広島」から「住んでみたい広島」へ魅力ある広島県づくりを進めている。そのために、「新たな経済成長」に取り組んでおり、新たな投資誘致戦略、イノベーション・エコシステムの共通基盤の強化、産業競争力の強化、世界と直結するビジネス支援、観光地ひろしま・瀬戸内 海の道構想、担い手が生活設計を描ける農林水産業の確立など、事業環境の構築、企業の成長に応じた支援や産業競争力の強化を図っているとのことだった。次に、「人づくり」として、少子化対策、女性の働きやすさ日本一への挑戦、若者の定着・就業の徹底支援、社会で活躍する人材の育成など、環境整備やファミリー・フレンドリーな魅力の創造を進めるとともに、グローバル化する社会や地域で活躍できる人材の育成を図るとのことだった。また、「安心な暮らしづくり」として、信頼される医療・介護提供体制の構築、がん対策日本一に向けた取り組みの強化など、県民がどこに住んでいても、安心して適切な医療や介護を受けることのできる環境の整備を進めるとのことだった。そして「豊かな地域づくり」として、中山間地域の地域力強化、多様な人材が集まる魅力ある地域環境の創出、「ひろしま」ブランド価値向上の推進、東京圏から広島への定住促進など、自立的で主体的な中山間地域や都市の魅力づくりにより、活力ある地域環境の創出を進めるとともに、「ひろしま」ブランドの価値を高め、東京圏から人を呼び込むということである。これらの事業の推進により、六百七十件を超える創業実績、人口の社会減少幅の縮小傾向、総観光客数が二年連続で過去最高、合計特殊出生率が全国平均を上回る等の様々な成果や変化が着実にあらわれていると説明を受けた。

 当県は、平成二十三年に、環境観光モデル都市づくり推進特区に指定されており、工場と家庭が一体となったエネルギーマネジメントを目指した地域づくりに取り組み、環境・エネルギー問題への解決モデルを提示し、特色ある環境技術を活かした産業観光や、観光手段の低炭素化に取り組むことにより、環境観光をコンセプトとした新たな地域振興モデルを構築することを目指している。

 対象地域を尾道市及び福山市とし、地域が培った環境技術や資源・ノウハウを生かした新たなモデルを創出するため、産業部門と民生部門が連携したエネルギー高度利用システムの構築、環境観光の振興の二つの観点から取り組んでいる。尾道市の百島スマートアイランド事業は、太陽光パネルや電気自動車等を導入し、再生可能エネルギーの利活用を行っている。これは、環境観光モデル都市づくり推進特区が実施している「ツネイシモデル」の他地域展開であり、条件不利地域におけるコミュニティ維持や再生可能エネルギーを利用した地域活性化に取り組んでいるものである。また、福山市では、環境施設が集積する箕沖地区を中心に、福山市次世代エネルギーパークを整備し、特色ある環境学習や環境観光を創出し、さらに学習の推進及び観光の提供を行っていると説明を受けた。

 3 国立大学法人広島大学(広島県東広島市)

 広島大学では、大学等が自治体と連携し、全学的に地域を志向した教育や研究、社会貢献を進め、課題解決に資する様々な人材や情報・技術が集まる地域コミュニティの中核的存在としての大学の機能強化を図るため、地(知)の拠点整備事業として行っている「平和共存社会を育むひろしまイニシアティブ拠点事業」の三つの柱のうちの一つである中山間地域・島しょ部対策について説明を受けた。

 地域を学生教育のフィールドとして位置付け、地域課題の解決につながる教育プログラムの推進を目指し、体験学習、フィールド研究及び地域貢献を三つの柱とし、第一段階では地域を知る、第二段階では地域と関わる、第三段階においては地域と協働する、と段階を分けて取り組んでいる。この教育プログラムのメリットは、地域にとっては課題を解決でき、大学では即戦力となる人材の育成ができることであるとのことであった。

 中山間地域・島しょ部からの短期的視点の期待としては、地域づくりに若者の発想を生かしたいというものが多かったが、中長期的視点の期待では、地域を理解し、地域に役立つ人材を大学と連携して育てたいというような人材育成に関するものが多かった。連携している七市町や九地域も、今後の連携について強化したいと考えているところが七割を超えている状況である。

 広島大学は、現場主義に基づいた地域志向型の教育研究活動に努めることとし、中山間地域・島しょ部は、地域の視点、農林水産業の活性化の視点から提案を行うこととし、行政は、中山間地域・島しょ部と大学との交流連携を地域振興の有効な手段の一つとして位置付け支援することを通じて、これらの三者は、次代を担う若い世代を育成していくとのことであった。

 4 福岡県

 福岡県では、地域の創意工夫を生かし、人口減少に効果の高い施策を全庁挙げて強力に推進するため、平成二十六年十一月に福岡県人口減少対策本部を設置した。具体的な施策の企画・推進のため、三つの部会として、雇用創出部会、少子化対策部会、地域活性化部会を設置し、検討している。平成二十七年度中のできるだけ早い時期に、若者が安心して子どもを生み育てることができる環境を整備すること、県民が住み慣れた地域で、安心して健康で元気に生活が続けられる社会にしていくこと、若者の定住を進めていくために魅力ある雇用の場を一つでも多くつくることを基本的な方向として、福岡県版人口ビジョン・総合戦略を策定するとのことであった。

 地域の特性や資源を生かした製造業の競争力の強化、企業の誘致、観光の振興、農林水産業の経営力の強化などにより産業を振興し、魅力ある雇用を創出し、安心して働けるようにするための事業を展開し、七十歳現役応援センターにより高齢者の就業や社会参加の支援を行っている。また、若い世代の出会い・結婚・出産・子育て・就職支援など人それぞれのライフステージに合わせたきめ細やかな施策を総合的に展開し、子育て女性就職センターにおいては、子育て中の女性を対象に、就業相談や就職あっせん、合同会社説明会の開催等を行っている。地域活性化策としては、快適な都市環境の整備や中山間地域の活性化による移住及び定住の促進のため、県外在住者が当県で一定期間働きながら生活する「ふくおかトライアルワーキングステイ」を実施している。

 5 オガール紫波株式会社(岩手県紫波町)

 紫波町では、町民の資産である町有地を活用して、財政負担を最小限に抑えながら、公共施設整備と民間施設等の立地による経済開発の複合開発を行うことを目的として、平成二十一年二月に公民連携基本計画を策定した。この計画に基づき平成二十一年度から始まった紫波中央駅前都市整備事業をオガールプロジェクトと称し、町、民間事業者及び住民がプロジェクトの推進のため連携し、住民や来訪者が、都市と農村の暮らしを愉しみ、環境に配慮した暮らしを実践する紫波スタイルを表現し、優れた街並みをつくり「こんな町に住みたい」といった住環境を整え、「こんな町で働きたい」といった雇用の場をつくり、訪れた人達にも満足あふれるまちづくりを行っている。

 オガール紫波株式会社及びオガールプラザ株式会社等の各事業者は、紫波町とともに、オガールプロジェクトに取り組んでおり、人口三万四千余人の自治体にあって、行政との適切な役割分担と情報交換を行いながら、公民連携手法による公共施設整備や経済開発を通じたまちづくりを進め、その成果が着実にあらわれてきているが、いずれの地方都市でも抱えている少子高齢・人口減少社会という状況下でのインフラ整備や福祉施策への取り組み等については、緊縮財政の中でもやむことなく求められる現状にあり、山積している課題を見据えつつ事業展開に挑戦を続けていると説明を受けた。

五 提言

 これらの調査結果を踏まえ、本委員会は、地方創生に向けた諸施策について、次のとおり提言する。

 1 地方における安定した雇用創出に係る対策の拡充について

 (一)安定的な雇用の確保及び雇用機会の創出について

  (1)地域の持つ特色や可能性、潜在力を最大限に生かした雇用創出の強化及び推進を図ること。

  (2)成長産業となる先端的産業の誘致や集積化の促進により新たな雇用創出をさらに推進すること。

  (3)地域における事業環境の整備を推進し、事業者に対する新規創業及び新規事業の展開に向けた支援策の強化を図ること。

 (二)若年層の就労支援について

  (1)民間団体等を活用し、関係機関が連携して、若年齢層の雇用の確保及び拡大を図り、若年者の就職希望のニーズ及び企業の人材確保ニーズの的確な把握と適切なマッチング等の取り組みを推進すること。

  (2)子どもの頃から就業に係る意識形成を図るとともに、就業に触れる機会を増やす等、一層のキャリア教育を推進し、就職のミスマッチを防ぎ、離職率の低減を図ること。

 (三)高齢者の活躍を促す就労支援について

  (1)人口に占める割合の増加が見込まれる高齢者が、その意欲に応じて取り組むことのできる活動環境の整備を推進すること。

  (2)求職者の希望する多様な就業形態に対して、雇用の拡大及び促進等の取り組みについて一層の充実を図ること。

 (四)子育て中の女性に対する就労支援について

  (1)仕事と生活の調和がとれた労働環境の整備を推進するとともに、仕事と家庭の両立を支援する制度や事業の周知を図ること。

  (2)関係機関と連携を図り、勤務時間及び勤務場所の制約等がある子育て中の女性に対する就労支援の取り組みについて一層の充実を図ること。

 (五)地方の産業競争力強化について

  (1)中小企業の積極的な取り組みが新たな事業の創出につながることから、取り組みにおける成功モデルの普及に力を入れるなど、中小企業の育成強化により地域経済の活性化を実現すること。

  (2)企業の地方分散を促進し、地域の特性を生かした戦略に主体的に取り組むための支援を推進すること。

  (3)本県産品の海外市場を開拓し輸出を拡大するため、現地向け情報発信や現地での相談体制の拡充、海外展開に向けた交渉を円滑化する等、国際競争力強に向けた取り組みを推進すること。

 (六)地方への人材環流及び人材育成について

  (1)学卒者の地元への定着支援、UIJターン希望者に対する就業支援など、労働力確保対策を講ずること。

  (2)医療、子育て、エネルギー、観光等の新産業分野において、企業が求める人材を育成し、事業者の人材確保を支援することにより、新たな地域雇用の創出を推進すること。

  (3)外国人観光客の受け入れ体制の充実を図るとともに、地域資源を生かした地域の観光及び文化資源を磨く整備に対する支援を図ること。

 2 地方への新しいひとの流れについて

 (一)企業の地方拠点強化等の促進について

  (1)経済波及効果や雇用拡大への貢献が大きい自動車関連産業、高度電子機械産業、クリーンエネルギー産業等を中心とした、地域経済の中核となる企業及びその関連企業の誘致を推進すること。

  (2)沿岸部の被災事業者に対する復興の進捗状況に応じた支援の強化を図ること。

  (3)首都圏向けの広報や就業体験の機会の提供等により、技術系人材のUIJターンの支援を図ること。

 (二)新産業創出・ベンチャー企業育成について

  (1)需要の高い成長分野である医療・介護、子育て、環境・エネルギー、観光等の生活産業の新サービスの創出や企業の事業展開や事業拡大を促進すること。

  (2)人口減少に伴い国内市場が縮小する中、輸出に取り組んでいる県内企業や農林水産業者の状況、潜在的ニーズ等を把握し、新たな輸出者の発掘、育成を図り、輸出に取り組む企業等の裾野を広げること。

  (3)意欲ある若者や女性自らが働く場を新たに生み出す創業の促進等により、地域経済の担い手の創出を図ること。

 (三)地元大学との連携による機能強化及び活性化について

  (1)地域活性化に貢献する地元大学との連携の強化と協働により、地域産業に貢献するなど地域を担う人材の育成を推進すること。

  (2)地元大学と連携して、中小企業の経営人材等を対象に、イノベーションによる新事業の創出を促進し、地域における新たな雇用機会の拡大と産業振興に貢献できる人材の育成を促進すること。

  (3)まちづくりや地域課題の解決及び地域活性化等について、地元大学との連携により、取り組みを強化すること。

 (四)地方への移住について

  (1)ふるさとや地方の魅力を積極的に広報するとともに、市町村や関係団体と連携を図りながら、大都市圏や他地域からの移住・定住を推進すること。

  (2)地方の住宅を有効活用し、移住希望者が住宅を容易に確保できるよう、空き家の改修及び撤去に対する支援を図ること。

  (3)移住及び定住と雇用のマッチング相談をワンストップで行える体制の整備、若者、女性及び高齢者による地方での新たなチャレンジを支援するための創業支援等を行うこと。

 3 若い世代の結婚・出産・子育ての支援について

 (一)若年者に対する相談体制の充実や職業選択機会の提供など、総合的な就業環境の整備を図り、若い世代の経済的安定策を講ずること。

 (二)安心して結婚・妊娠・出産・子育てができるよう、結婚や子育ての相談体制の充実を初め、出会いから出産後まで切れ目のない支援の充実を図ること。

 (三)少子化の流れに歯止めをかけるため、市町村や企業、関係団体等との連携及び協働により、地域の実情に応じた結婚支援や子どもを生み育てやすい環境づくりなどの少子化対策事業を推進すること。

 (四)仕事と生活の調和の実現に向けて、労働者の仕事と家庭の両立を支援するとともに、企業等における仕事と子育て等の両立に向けた取り組みを支援すること。

 4 時代に合った地域づくりと地域間の連携について

 (一)中山間地域等における小さな拠点やコンパクトシティの形成の推進について

  (1)地域おこし協力隊などを活用し、地域の活動を支援し、中山間地域等の条件不利地域におけるふるさとづくりの推進を図ること。

  (2)被災した沿岸市町において、将来を見据えたコンパクトシティの形成を推進すること。

  (3)拠点となるそれぞれの集落等の持つ機能をつなぎ支え合うネットワークコミュニティの形成等の相互補完の仕組みづくりの支援を図ること。

 (二)地域における経済・生活圏の連携について

  (1)新たなまちづくりに合わせて、地域の将来像に応じた景観形成への支援を図ること。

  (2)地域コミュニティの核となる商店街の形成及び活性化に対応するため、新しいまちづくりと調和した経営革新への支援などを行うこと。また、事業継続力の向上に向けた取り組みを推進すること。

  (3)豊かな自然環境や独自の伝統文化などを生かした集客交流や移住者や定住者による地域づくりなど、地域の実情に応じた集落維持及び活性化対策を講ずること。

 (三)安全で安心して暮らせる地域社会の構築について

  (1)東日本大震災の被災地のまちづくりに合わせた再生可能エネルギー等の導入への支援及び市町村に対するスマートシティの形成支援などの取り組みを推進すること。

  (2)クリーンエネルギー関連産業の誘致や振興を図るとともに、水素社会の実現も含め、クリーンエネルギー社会の実現に向けて事業を推進すること。

  (3)総合的なまちづくりを実現するため、第一次産業は、ナノテクノロジーやバイオテクノロジーの活用などによる生産方法の革新や流通コストの軽減、第二次産業においては、革新的な新技術導入や素材開発、第三次産業については、ビッグデータを含む情報の活用などにより、地域の実情に合った事業の展開を推進すること。

 以上、これらの提言が今後の県の関係施策に十分反映されることを期待して、報告とする。

  平成二十七年十月二日

             宮城県議会地方創生調査特別委員長 長谷川 敦

 宮城県議会議長 安藤俊威殿

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○議長(安藤俊威君) これより質疑に入ります。

 委員長報告に対し質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

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△子ども・子育て環境調査特別委員会調査結果報告



○議長(安藤俊威君) 日程第十二、子ども・子育て環境調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。

 本件について委員長の報告を求めます。子ども・子育て環境調査特別委員長、八番佐々木幸士君。

    〔八番 佐々木幸士君登壇〕



◆八番(佐々木幸士君) 子ども・子育て環境調査特別委員会の調査結果について御報告申し上げます。

 本委員会は、子ども・子育て環境に関する諸施策について調査・検討するため、平成二十六年十二月十六日に設置されました。付議事件、子ども・子育て環境に関する諸施策についてを受け、子ども・子育てに関する条例について、調査項目として参考人から意見聴取を行うとともに、県内、県外調査を実施したほか、精力的に委員間討議を行い、条例制定に向けた調査検討を重ねてまいりました。その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございます。

 なお、本委員会の総意として取りまとめ、発議第三号議案として提出したみやぎ子ども・子育て県民条例が皆様の御賛同いただき、本日可決されました。

 この条例施行により、本県の子ども・子育て支援に関する「施策が宮城県全土において一層推進されますことを期待いたしまして、御報告申し上げます。

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   子ども・子育て環境調査特別委員会調査結果報告書

 子ども・子育て環境調査特別委員会の調査・検討の結果について報告する。

 本委員会は、子ども・子育て環境に関する諸施策について調査・検討するため、平成二十六年十二月十六日に設置され、付議事件「子ども・子育て環境に関する諸施策について」を受け、次の事項を調査項目とした。

 子ども・子育てに関する条例について

 以上の項目について、参考人として招致した早稲田大学文学学術院文化構想学部教授の喜多明人氏及び明星大学教育学部教授の高橋史朗氏から意見聴取を行うとともに、条例について県民の意見を幅広く聴取するため、仙台市及び石巻市の会場において、計二十一の子ども・子育て関連団体との意見交換会を実施し、さらに他県の先進事例を参考とするため、福島県議会及び岩手県議会を訪問して調査を行った。

 その概要は、次のとおりである。

一 基本的事項

 本県議会においては、平成二十四年十二月及び平成二十五年十二月に「子ども・子育て環境調査特別委員会」を設置し、子ども・子育て環境に関する諸施策について調査を行ってきた。

 平成二十四年十二月に設置された特別委員会においては、「保育環境の充実と子育ての社会的支援について」及び「東日本大震災被災地の子ども・子育て支援について」を調査項目として、県内外において、子どもや子育てを取り巻く状況について広く調査を行い、平成二十五年十一月に取りまとめた報告書において、少子化対策、子育て支援対策等を強力に推進するためには、「子ども・子育てに関する条例の制定についても、検討を進めるべきである。」と提言した。

 これを受けて、平成二十五年十二月に設置された特別委員会においては、「子ども・子育てに関する条例について」を調査項目として加え、条例の必要性や方向性等について次のとおり取りまとめ、平成二十六年十一月に報告した。

 (1) 少子化の進行やライフスタイルの変化、地域のつながりの希薄化などにより、家庭や地域の子育て力が低下し、子育てに対する不安や負担が増大している。また、ひとり親家庭の増加や子どもの貧困が社会問題となるなど、子どもを取り巻く環境が大きく変化している。

 (2) そのような状況に対応するため、本県においても、少子化対策や子育て支援を県政の最重要課題の一つとして位置づけ、子どもに関わる施策を推進しているが、子どもが安心して、安全かつ健やかに成長していくための環境を総合的、継続的に保障し、向上させるためには、本県における子ども・子育て施策の基本姿勢や理念を明確に示し、施策を実施するための法的根拠となる条例を制定することが必要である。

 (3) 東日本大震災を経験した本県では、その復旧・復興の過程において直面した多くの課題や問題に、県民一丸となって対応してきたが、そのような経験を踏まえて、後世に伝えるべき忘れてはいけない視点も条例に反映するべきである。

 (4) 条例の制定に際しては、県民の意識啓発、理解を促進するとともに、家庭、学校、施設、地域、NPO、行政等の連携を具体的に進めていくため、県民参加のプロセスを経ることとし、これまでの調査・検討により明らかとなった課題をもとに、引き続き検討を行っていく必要がある。

 本委員会では、この基本的事項をもとに、子ども・子育てに関する条例の制定へ向けて調査・検討を行った。

二 参考人意見聴取

 参考人として早稲田大学文学学術院文化構想学部教授の喜多明人氏及び明星大学教育学部教授の高橋史朗氏を招致し、条例骨子案に対する意見を聴取した。

 1 早稲田大学文学学術院文化構想学部教授 喜多明人氏

 喜多氏は、子どもの自己肯定感が低下し、主体的に活動する意欲が減退しているということが、最優先に解決すべき子ども問題であるという認識を共有することがまず重要であり、子どもの目線に立って施策を考えることが求められていることから、条例の基本理念の中に、「子どもの最善の利益が優先されるよう努める」という文言を盛り込むべきであると述べた。

 また、子どもの自己肯定感を高めるためには、乳幼児期の親子関係が非常に重要であり、親子が共感的な関係を育むことのできるような家庭的な環境整備についても施策として進めるべきであると述べるとともに、子どものみではなく、保護者など子どもに身近な大人の自己肯定感も低下しており、その改善のためには、子どもや保護者などが周りに気を使わずに自分自身を見つめ直していくことのできる場という意味での居場所づくりを促進すべきであると述べた。

 さらに、子ども支援や子育て支援に関する知識や情報の提供等について条例に盛り込むべきであると述べたほか、子ども参加の仕組みづくり、子ども固有の総合的な相談や救済の仕組みづくり、施策の評価や検証を進めるための仕組みづくりの重要性などについて述べた。

 その上で、東日本大震災を経験した宮城県として、震災後に実施してきた子ども参加の実績を生かし、継続するための環境を整備するものとしてこの条例が位置づけられると、宮城県の新しいまちづくりが進んでいくのではないかと述べた。

 2 明星大学教育学部教授 高橋史朗氏

 高橋氏は、条例を検討するに当たっては、「子どもの最善の利益」とは何かという原点に立ち返ることが最も大事であるが、「子どもの最善の利益」が何であるのかということについては、必ず共通理解がされていないという問題があると述べ、子どもの意見を全て聞くことが必ず子どもの最善の利益につながるというのは誤った考えであり、子どもの発達段階に応じて、他律から自律、自律から自立へ導いていくという、教育の基本を逸脱しないような条例を期待したいと述べた。

 また、これまでの子育て支援は、総花的な福祉施策が中心であったが、これからは親が親として成長、発達することを支援するという視点及び親になるための学びを支援するという視点が重要であり、これらの視点を条例にも明確に盛り込むべきであると述べた。

 3 子ども・子育て関連団体との意見交換会

 県行政庁舎及び県石巻合同庁舎の二カ所において、県内で子ども・子育て支援を行う計二十一団体の方々に参加していただき、条例骨子案についての意見交換会を実施した。

 意見交換会では、条例制定に賛同する意見のほか多くの意見・要望等があった。

 主な意見は次のとおりである。

 (1) 保護者が子育てについての第一義的責任を有しており、保護者を社会全体で支えていくということが子育て支援のあり方であるという考え方が重要である。

 (2) 子どもが意見を表明し、その意見が適切に反映される環境を整備することや、子どもの社会参加を促進することは重要な視点ではあるが、これらは子どもに対する支援と考えるべきではなく、成長の途上にある子どもに対して大人が果たすべき義務であると考えるべきである。

 (3) 保育士や放課後児童クラブの指導員など、子ども・子育てを支える人材の不足が深刻であり、潜在資格者の掘り起こしも含めて、人材育成の取り組みが重要である。

 (4) 子どもは遊びを通してさまざまな経験を積むことによって多くのことを学び成長するものであり、子どもが自由に遊ぶことのできる環境を保障することが必要である。

 その他、条例の名称、子ども・子育て支援に関する行政と民間の団体等の連携及び協働の重要性、妊娠期から子どもの成長に応じた切れ目のない支援を行うための体制の整備、社会的養護を要する子どもに対する家庭的養護の推進及び自立の支援、子どもの権利条約の理念の尊重、東日本大震災による影響を受けた子どもに対する支援の継続など多岐にわたる意見・要望があった。

四 県外調査

 1 福島県

 福島県では、子どもを社会の宝ととらえ、社会全体で子育てを支援、応援するという理念のもと、平成二十一年度に子育て支援に関する県の行動計画である「うつくしま子ども夢プラン」の見直しが行われ、「仕事と生活の調和」が実現できる環境づくり、多様なニーズに対応できる子育て支援サービスを整備する視点を中心に、子育ち・子育て環境づくりがさらに推進されることになった。これを受けて、県議会では、当該プランを積極的に支援し、子どもたちが健やかに成長できるよう、子育て支援に関する条例を検討し、平成二十二年十二月に、「子育てしやすい福島県づくり条例」を議員提案により制定した。

 条例の特徴としては、文体を「ですます」体にしたこと、名称を県民に親しみやすいものとしたこと、条例の前文に江戸時代の会津藩の子どもへの教えである「什の掟」を記載したことが挙げられ、条例の制定後、東日本大震災とその後の東京電力福島第一原子力発電所の事故により、県を取り巻く状況が大きく変化したことを受け、県議会としても復興へ向けてさらに取り組みを強化し、復興を加速させるため、政策実現の手段として条例の見直しを行っているとの説明があった。

 条例制定の効果としては、子育て支援に関する施策の着実な推進が図られたことが挙げられ、子育て支援について部局横断的な施策展開を図るために、平成二十三年度から平成二十六年度までは部長相当職である「子育て担当理事」を設置し、平成二十七年度からは同理事を廃止するとともに、保健福祉部内に「こども未来局」を設置し、幼少期から青年期に至るまでの総合的かつ一体的施策を推進する体制を整備したとの説明があった。

 2 岩手県

 岩手県では、子どもや家庭を取り巻く環境が大きく変化する中で、県として、子どもを健やかに育むための基本理念等を定め、社会全体で支援に取り組んでいくことが必要であるとの考えから、平成二十七年三月に、「いわての子どもを健やかに育む条例」を制定し、条例に基づく基本計画を策定した上で施策を展開し、県民が安心して子どもを生み、育てることができる環境の整備を図り、婚姻数、出生数の増加などにより人口の自然減を食い止めることを目指している。

 岩手県の条例では前文を設ける例が少ない中、当該条例では、政策目的を強く県民にあらわす趣旨から前文を設けており、特に、条例の根底に子どもの権利の尊重を掲げていることから、子どもの権利条約に規定されている四つの権利を意識した文言を記載しているとの説明があった。

 当該条例の制定の時期と、子ども・子育てに関する県の行動計画である「いわて子どもプラン」の見直しの時期が同じであったため、条例の構成に合わせて計画の見直しを行うことができ、また、新たに若者への支援として結婚支援を盛り込むことができたとの説明があった。

五 委員間討議

 宮城県らしい条例の制定を目指し、条例に盛り込む内容等についてさまざまな視点で委員間討議を行った。

 条例の検討及び調整の過程で特に議論のあった項目は次のとおりである。

 1 子どもの権利及び最善の利益について

 子どもの基本的人権を国際的に保障するため、一九八九年に子どもの権利条約が国際連合の総会において全会一致により採択され、二〇一五年五月時点で、締約国・地域は百九十五となっている。日本も一九九四年にこの条約を批准しており、その後、日本国内においても子どもの権利という視点を盛り込んだ条例が多くの自治体で制定されている。

 このような流れを受けて、委員からは、いじめや虐待などの子どもに対する人権侵害が絶えない中で、子どもが権利の主体であるという「子どもの権利条約」の視点を条例に盛り込むことが重要ではないかという意見があった。

 これに対して、子どもの権利条約でいう「子どもの権利」、「最善の利益」という概念を明確化し、委員全員で認識を共有することができるか、独自の表現により同様の精神を組み込むことができるのではないかという点について協議を行った。

 委員からの意見として、「子どもの権利」については、権利には義務が伴うのではないか、権利がひとり歩きしたり、一部の大人が子どもの権利について誤った主張を行うことが懸念される、などの意見があり、また、「最善の利益」については、意味合いが時代とともに変わっていく言葉であり、見る人によっていろいろなとらえ方が出てくることから、慎重に議論してきた経過がある、などという意見があった。

 一方で、「子どもの権利及び最善の利益」は子どもの権利条約にも明記されており、世界的にもある程度確立された言葉である、権利に対する義務は必ずしも同じ人が負うものではなく、子どもの権利を保障する義務は国や自治体や保護者にある、権利は誰もが生まれながらにして持っているものであり、発達段階や年齢によって子どもが権利を主張できないこともあるので、大人がしっかり守る必要がある、といった意見があった。

 複数回にわたる協議の結果、言葉として権利や利益ということが明記されなければ、そのような理念を否定するということではない、議員がつくる条例であるので、条例の内容が県民に伝わらなければならない、委員会(議会)の議論の結晶として、自分たちの言葉で理念をあらわすということも非常に重要である、といった考えのもと、権利や利益という表現は盛り込まずに、子どもの個人としての尊厳と人としての権利をより広くあらわす表現として、基本理念において「全ての子どもは、かけがえのない存在であり、今を生き、未来を担う一人の人として尊重される」(第三条第一号)と規定することとした。

 2 子どもの意見の尊重及び子どもの社会参加の促進について(第九条及び第十条関連)

 子どもは常に支援される立場であるというとらえ方ではなく、子ども自身が主役であり、最大の当事者であるというとらえ方が重要であるという意見や、子どもも主体として発言をしたり、いろいろなことに参加をしたりすることができるという前向きな表現も盛り込むべきではないか、という意見があり、子どもの意見が各地域の震災復興計画に反映されてきたという例なども参考として、「子どもが社会の一員として、意見を表明することができ、かつ、その意見が適切に反映される環境の整備を図る」こと(第九条)及び「子どもの社会参加の仕組みづくりを促進するために必要な環境の整備を図る」こと(第十条)を規定した。

 3 子どもの居場所づくりの促進について(第十一条第二項関連)

 東日本大震災後、子どもの遊び場や学習の場づくりの重要性がクローズアップされたことから、この条例においても「子どもの居場所」づくりについて盛り込むべきであるとの意見があり、居場所とは具体的にどのような場所を指すのか、また、居場所づくりに関して県はどのような役割を担うのかということについて協議を行った。

 委員からは、子どもが安全に安心して過ごすことのできる場が子どもの居場所であり、県はそのような場所を直接つくるというよりは、そういう居場所がつくられていくような環境整備を行うものであるという意見があったが、居場所がどのようなものを指すのかある程度明確化するため、「市町村、個人及び団体が行う保育サービスの提供に対する支援、放課後における児童の健全育成に関する活動等に対する支援、児童及び生徒への学習支援活動に対する支援」を例示した上で、「子どもの居場所づくりを促進する」こと(第十一条第二項)を規定した。

 4 若者に対する支援について(第十九条関連)

 青少年健全育成条例において、青年期の若者を健全に育てることについて規定されているが、子どもが若者になり、そしてまた子どもが生まれて親になるという、サイクル的な概念に基づく切れ目のない支援が重要であるという意見があり、基本理念に、「結婚、出産及び子育てに関する個人の価値観が尊重され、一人一人の希望がかなえられるよう最大限配慮する」こと(第三条第五号)を規定するとともに、次代の子育てを担う者としての若者に対する支援として、「子ども及び若者に対し、次代の子育てを担う者としての育成を促進するため、子育ての喜びを知ることができる機会の提供その他の必要な施策を推進する」こと(第十九条第一項)及び、「若者が経済的に困窮していることが結婚及び出産をしない理由となることのないよう、就労支援等により若者の経済的自立を支援する」こと(第十九条第二項)を規定した。

 5 「ですます」調の条文について

 子ども・子育てに関する条例であるため、県民に親しみやすい表現とすべきであるとの意見があり、県外調査を実施した福島県議会の取り組みを参考として、宮城県の条例としては初めて、文体を「ですます」調とすることとした。

 6 条例の名称について

 条例の名称については、条例の内容を明確かつ簡潔にあらわすものであるという原則を重視し、シンプルな名称とすべきであるとの意見があった。

 また、子ども・子育て支援に県全体で取り組むという決意と、この条例を県民の総意として制定するという思いを込めて、条例の名称を「みやぎ子ども・子育て県民条例」とした。

六 パブリックコメントの実施

 条例の制定に当たり、県民の意見を幅広く募集するため、条例骨子案及び条例案に対するパブリックコメントを実施した。

 条例骨子案については、平成二十七年五月十八日から六月十五日までの期間、意見募集を行い、個人及び団体から、十五通、延べ百七十三件の意見が寄せられた。

 また、条例案については、平成二十七年七月十日から七月三十一日までの期間、意見募集を行い、個人及び団体から、十一通、延べ五十三件の意見が寄せられた。

七 条例案の決定

 これまで述べたとおり、参考人からの意見聴取、意見交換会、県外調査、パブリックコメントによる意見の結果等を踏まえ、条例に盛り込むべき内容について委員間で検討を重ねた結果、「みやぎ子ども・子育て県民条例」を本委員会の総意として取りまとめるに至った。

  平成二十七年十月二日

         宮城県議会子ども・子育て環境調査特別委員長 佐々木幸士

 宮城県議会議長 安藤俊威殿

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○議長(安藤俊威君) これより質疑に入ります。

 委員長報告に対し質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

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△六次産業化推進等調査特別委員会調査結果報告



○議長(安藤俊威君) 日程第十三、六次産業化推進等調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。

 本件について委員長の報告を求めます。六次産業化推進等調査特別委員長、十五番細川雄一君。

    〔十五番 細川雄一君登壇〕



◆十五番(細川雄一君) 六次産業化推進等調査特別委員会の調査結果について御報告申し上げます。

 本委員会は、六次産業化推進等に関する諸施策について調査・検討するため、平成二十六年十二月十六日に設置されました。付議事件、六次産業化推進等に関する諸施策についてを受け、一、六次産業化推進の諸施策について、二、六次産業化を担う人材の確保・育成等について、以上の二点を調査項目として、県関係部局から県施策の概要を聴取するとともに参考人からの意見聴取を行ったほか、県内外調査を実施して検討を重ねてまいりました。

 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、この報告が今後の関係施策に反映されることを期待して、御報告申し上げます。

……………………………………………………………………………………………

   六次産業化推進等調査特別委員会調査結果報告書

 六次産業化推進等調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。

 本委員会は、六次産業化推進等に関する諸施策について調査・検討するため、平成二十六年十二月十六日に設置され、付議事件「六次産業化推進等に関する諸施策について」を受け、調査項目を以下の二項目とした。

 一 六次産業化推進の諸施策について

 二 六次産業化を担う人材の確保・育成等について

 以上の項目について、県関係部局から県施策の概要を聴取するとともに、県内在住の有識者を参考人として招致して意見を聴取し、さらに、県内外の実情や事例、取り組みや施策などについて調査を行った。

 その概要は、次のとおりである。

一 現状と課題

 1 現状

 (1) 本県の六次産業化の取り組みの現状

 農林漁業者の高齢化や農地の耕作放棄地拡大などが進み、その経営環境が厳しさを増す中で、所得確保を図る重要な手段の一つとして六次産業化への取り組みが増加してきており、これまでの副業的な取り組みから、経営の重要な柱として六次産業化を位置づけ、経営の多角化・高度化に取り組む事例も県内各地で多く見られるようになってきた。特に、東日本大震災以降は、民間企業と連携して、あるいは民間・行政からの支援を受けて、若い世代を中心に六次産業化に取り組む生産者が、農業分野のみならず漁業分野等にも現れてきており、震災で失われた販路の回復や開拓を模索している。

 一方、国では、成長戦略で新たな市場の創出を掲げる中、本県でも、やる気のある担い手がコスト競争力のある大規模経営に取り組める諸施策の展開や国及び他県等と連携した県内事業者への輸出支援などにも取り組んでいる。

 (2) 六次産業化を担う人材の確保・育成策の現状

 本県では「みやぎ農業経営塾」や「アグリビジネス復興戦略塾」を実施し、アグリビジネス経営体の起業や育成を推進するとともに、六次産業化に取り組む農業者等に対しては、農業改良普及センターが主体となった集合研修の開催や農業法人等への経営上の個別相談を行っているほか、さらに高度な経営上の相談に対しては専門家を派遣し経営安定化に向けた支援を行っている。

 一方で、震災の影響により職を失った被災求職者や被災地で支援活動を行ったボランティアなどの中には、第一次産業への就労に高い関心を持つ人もふえているが、人材(労働力)確保におけるミスマッチのほか沿岸被災地では就業者の住居が不足している状況にある。

 2 課題

 (1) 本県の六次産業化の課題

 農林漁業者が生産のみならず、加工、流通、販売まで取り組むには、知識、ノウハウのほか経営者としての力量、多様なネットワークなどが必要であり、個々の生産者ごと、その取り組みの発展段階に応じたソフト・ハード両面からの多様な支援が必要となっている。また、国内市場が縮小傾向にある中、六次産業化による付加価値を強みとした食産業のサプライチェーン、換言すれば生産から消費までの全プロセスについてどのように構築していくかが課題となっている。

 一方で、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う一部出荷制限や風評被害が収束せず、依然として多大な影響を受けているほか、農林水産物及び食品に対する厳しい輸入規制を講じている国や地域もあることから、喪失した販路の回復や新たな販路開拓に向け、風評被害の払拭とともに、消費者や実需者のニーズに応じた総合的な支援も必要となっている。

 (2) 六次産業化を担う人材の確保・育成等の課題

 六次産業化を担えるだけの経営管理能力と企業的視点を持った経営者が必要不可欠であり、その育成や確保が急務となっているほか、経営上の課題を抱えている経営者も少なくないことから、その相談及び支援の体制の整備や充実が求められる。

 法人や経営体等が必要な人材の確保ができるよう、第一次産業に関心のある人に的確かつ詳細な情報をつなぎ、農林水産業を生業とすることや六次産業に従事することに対する理解を深める取り組みが必要である。

二 参考人からの意見聴取

 1 東北大学大学院農学研究科教授 伊藤房雄氏

 伊藤氏は、六次産業化を取り巻く現状と推進の諸課題について、次のように述べた。

 まず、六次産業化は古くて新しい政策用語であるが、三十年近く前には高付加価値農業や一・五次産業と呼ばれたように、農家が農産物をつくるだけではなく、そこにどのようにして価値を付け加えるかが政策課題であったが、生産から販売まで農業者・農家が全て取り組む狭義の六次産業化を推し進めていくことは現実的には非常に難しいので、農商工等連携といった広義の六次産業化もあり得ると最近は変わってきており、革新的技術の開発・普及やグリーン・ツーリズム、医福農連携などの新たな取り組みもこれに含まれると述べた。またこれらの背景として、米価が下落して農村経済が疲弊したことを挙げ、宮城の農業は米依存型の構造が変わらない中、食料消費構造やフードチェーン構造が大きく変化しており、生活様式の変化や消費生活、食料商品も多様化している旨の説明があった。

 今後の六次産業化マーケットの展開方向としては、相対的貧困層と無関心層が消費者の約八割であるといわれる中で、どの消費者層をターゲットにし、どう価格を設定できるかが大切であると述べ、高齢者や単身者向けの食の提供が有望であるとの解説があった。また、六次産業化及び農商工等連携等が成功するポイントとして、大切な事業パートナーとの出会い、事業全体のコーディネートや総合プロデュース、ものづくり(製造業)技術の優位性の三点を挙げるとともに、地域づくり型の六次産業化に不可欠なプレーヤーとして、「バカ者、キレ者、ヨソ者」と総合プロデューサーを、必要な要素として、5W1HにWhyとHow much を加えた6W2Hを挙げた。その上で、すべての農業者が六次化に取り組むことが適切なのではなく、製造や販売に関する情報を早めにキャッチできるアンテナが高く、かつて製造や販売で働いていた人たちが中心になるほうがリスクは少ないとも述べた。また、全国的に見ても都市部から農村部へ移り住む若者がふえており、移住者がその地域で生活でき、周りからもきちんと認知してもらえるようにつないでくれる人の存在が大切であるとの提言があった。

 2 株式会社ファミリア代表取締役 島田昌幸氏

 島田氏は、六次産業化推進の現状と取り組みについて、次のように述べた。

 我々が行っている六次産業化事業のモデルは、「食」というカテゴリーで、より消費者と生産者、生活者と生産者とを、ITや流通などでどのように関係性をつくっていくのかということであり、もはや生産や製造、包装して売ることが六次産業化ではなく、いかに右脳を刺激して「食」ファンにしていくためのプロデュースやストーリーづくりをしていくかということが今後の六次産業化ではないかと思っている。六次産業化は、最終的には、アイディアや企画力などの知的財産と流通の戦いになってくるというのが我々の結論である。六次産業化というのはストーリーをつくっていくことが重要、つまり、市場を変えていってしまうということである。六次産業化の関係性において、今まではつくる人が食べる人との距離感を縮めていくアプローチであったが、これからは食べる人がつくることを体験することや感じることなど、食べる人からの距離感を縮めていくようなアプローチになっていくと思うと述べた。

 また、六次産業化の例として、六丁目農園の福祉レストランやアタラタ・ファームにおいて、障がい者が活躍するモデルとして展開していることを紹介するとともに、出会いについて、不特定多数の人がすぐに向き合ってというのはあまりなく、今まで培ったネットワークの中で、口コミのような感じでやらせていただいているというのが現状である。やる気のある者同士が自然に出会うというかたちが正しい姿かたちであると感じている。それぞれのまちにいいものがあり、それをどうやって煮たり焼いたりしていくのかというところが腕の見せどころとなる。個性豊かな生産者がたくさんいるので、その人に合ったキャラクターづくりを行うことが六次産業化には必要であると述べた。

三 県内調査

 1 一般社団法人フィッシャーマンジャパン(石巻市)

 一般社団法人フィッシャーマンジャパンにおいては、未来の世代が憧れる水産業の形を目指す取り組みについて調査した。

 初めに、長谷川事務局長から、自身が東日本大震災後のボランティア活動を経て、漁業者の高齢化が進み若者が減っている現状と、沿岸被災地の惨状を目の当たりにして復興支援を志願する中で、より効率化を進めることで水産業者の収入がアップする可能性があることに着目し活動を開始した。会社を巻き込むかたちで、復興デパートメントというウェブサイトでPRしながら水産業を支援しようという活動を行ってきた経緯が紹介され、キリングループの復興応援プロジェクトの支援も受けて水産業が抱える課題解決に向けて勉強会や横の連携を強化し、そうした取り組みの中でできたのが、「フィッシャーマンジャパン」であるとの説明があった。

 また、イメージアップを図ることで現場の生産者と都会の消費者をつなぐことができると考えて活動しているとの説明があり、いわゆる3Kの良くないイメージをかっこよく、稼げて、革新的なことの新3Kへ転換するトップランナーを紹介していることであった。キリングループの支援もあって活動する中で昨年七月に法人化したものであり、メンバー十四名のうち八名が漁師でさらにそのうち三名は六次産業化を始めている。そのほか鮮魚店が三名、事務局が三名。水産業関係者をフィッシャーマンと呼んでもらうことで、なりたい職業のひとつとしてもらい、今後十年間で千人のフィッシャーマンをふやそうという目標を掲げているとの説明もあった。

 漁師が直接営業も行う六次産業化について、例えば、ワカメ漁師が他のワカメ漁師と組むことで高い評価が得られるのではないかと考え、東京の展示ブースに出店して入賞し注目を集めたり、商品開発では、大手企業とではなく、志をともにしてくれる加工業者と素材を最大に生かす方法を協議し進めており、商品開発の代表的なものでは、アカモクという邪魔者扱いされていた海草の商品化に成功していることや、ホヤの販路拡大に向けた加工品づくりも進めていることに加え、インターネット販売にも取り組んでいるとのことであった。さらに、地元鮮魚店の息子が、マレーシアを拠点に海外ビジネスを始めているとの説明もあった。そのほかには、毎月第一日曜日に開催する朝市で、直接消費者と触れ合う機会になっていることやバイヤーを石巻に招いて直接船に乗ってもらい、本当にいいもの、鮮度の高い物とはどういうものか直に見てもらうツアーも実施していることなどの説明もあった。

 フィッシャーマンジャパンは、個々のつながりを取り持つことで生産時期の調整や量の確保のお手伝いをすることはもとより、コーディネーター的な役割も担っていきたいとのことであり、ネットワークがあることで販路の開拓が可能になっていることから少しずつ工夫し組織体制も変えていくことで六次産業化を図っているところであるとのことであった。

 2 有限会社伊豆沼農産(登米市)

 有限会社伊豆沼農産においては、「農業を食業に変える」経営の取り組みについて調査した。

 伊藤代表取締役から、当社は、昭和六十三年創業で、創業前は規模拡大を進め、水稲と養豚との複合経営を行っていてそこそこ収入はあったが、感覚的にこのままでいけないと思い始め、ハムやソーセージの加工を行う一・五次産業へ方向転換し、さらに当時としてはあまり例がなかった直営レストランも始め、その整備には農業近代化事業補助金を活用し、ハム工場だけでなくレストランも補助金の対象にしてもらった。レストランを対象にしてもらう理由付けとして、農業は「食」につながっていることを説明した。農業は生産するところまでを行うものであるため、生産から加工・飲食を丸ごと行う取り組みを「食業」と呼ぶことにし、「農業を食業に変える」を原点に経営をしているとの説明があった。

 また、現在、当社の会員は八十数人で、農商工等連携でつながっているが、もとより産学官連携で事業を紹介してもらうことが多く、産学官連携でできた品種である赤豚を、赤豚生産者の会を通じ、県内で飼育されている二千六百頭の赤豚のうち一千八百頭を当社で仕入れて全頭を検食している。流通の仕組み上、上肉が美味しいわけではなく、流通の仕組みに一石を投じようと、全頭を実際に検食して再評価している。脂ののった中肉が上肉よりベストであり、このため中肉を上肉と同じ値段で買っている。

 さらに、昨年、直販施設棟をリニューアルし、新たに栗原の牛乳に自社のブルーベリーなどを加えたジェラートや伊豆沼から採取した酵母を使ったパンの製造・販売を始めたほか、登米市で得たどぶろく特区において許可を受け、瓶詰めも開始し、また、食農環境教育への取り組みとしては、農産物や生き物を通した交流事業に農家自らが取り組んでいかなければならないという使命感のもとに都市農村交流と命の教育を行う「食農体験ファーム」を開設していくとの説明もあった。

 食育が教育現場でも進められているが、食育だけでは伝えられない「食」の難しさがある。カエルの解剖が現在の理科の授業で行われなくなったためか、最近は子どもが関与した殺人に至る悲惨な事件が多くなってきたと感じている。そこで、新しい施設では動植物を殺して食料にしていることを、生き物を見せながら伝えていきたいと考えており、継続させていくために産業化に取り組んでいるとのことであった。

 また、外国人向けのレストランメニューには、日本語のほか英語、中国語(広東語)、韓国語版を用意し、タイ人のインバウンドも考えてタイ語もこれに加える予定としており、今後は「食農体験ファーム」を外国人向けの目玉にしたいと考えているところである。まず人を呼び込むことが大切であることから、東京から訪れてもらえるレベルでないと仙台からも来てもらえないという思いで事業に取り組んでいる。仙台は東北の玄関ではあるが、ハブ機能は担っていないと思うので、仙台から地方へ足を伸ばしてもらえるようにしてほしいと思っている。例えば、教育旅行におけるコースに食農教育もぜひ加えてほしいと思っており、ビジネスモデルをたくさん作ってほしいとの要望も述べた。

 3 株式会社みちさき(仙台市宮城野区)

 株式会社みちさきにおいては、新しい価値を創造し次世代へとつなぐ農業の道先を示す取り組みについて調査した。

 初めに、菊地代表取締役から、復興道半ばでまだ実績を残せていないのが現状であり、現在二期整備から三期整備に移行しようとしているが、我々の成功なくして次世代への道筋はつけられないだろうとの思いで命がけで頑張っている。農業を取り巻く環境は非常に厳しい中、次世代の方々がまねできるような成功事例をつくるため、さまざまな支援を受けながら懸命に取り組んでいるとあいさつがあり、その後、実際に施設を見ながら説明があった。

 同じハウス棟内の二種類の栽培施設を視察し、一つは湛水式で水があまり動かないタイプで、プールの上に浮かべて栽培しているイメージのものであり、ランニングコストも抑えやすく水菜やサンチュの栽培に適しているとのことであった。水菜は現在、毎日二百五十キログラムを親会社のカット野菜工場に出荷しており、コンビニエンスストアの店頭に並べられている。水菜はもちろん露地でも栽培されているが、雨後の泥や虫などを除去しなければならないことからハウスものが多く取引される。コストは高いが、歩留まりや異物混入のリスクが評価されて取引に至っており、徐々に需要を伸ばしているとの説明があった。また、もう一つのタイプの栽培施設は、皮膜型といって栽培ベッドに緩い傾斜をつけて水を流しっぱなしにしており、ホウレンソウを栽培している。出荷三日前から肥料の入った水を真水に替えてシュウ酸や窒素などの苦み成分を流し出して、生で食べられるようにしており、「サラダほうれん草」として出荷販売しているとのことであった。

 その上で、六次産業化については、できたホウレンソウをゆでて売ることであると思われがちだが、売る側が求める規格・品質に合わせて栽培し出荷することも六次産業化といえる。三次・二次から一次へのアプローチ、つまり三×二×一の六次化が今後農業にとって重要であり、そのためには消費者が求めているものを知ることが大切であると考えている。一×二×三も三×二×一も行うフル六次産業化に取り組んでいるとの説明があった。

 野菜工場について、野菜をつくるのは人間で、それを具現化する手段として制御システムがあると述べるとともに、一番のネックは、雇用を創出しなければならないにもかかわらず、システムのコストがかかることであり、燃料代と電気代が非常に高額になる。自分には経営感覚が足りなかったため二年間非常に苦労し、今も親会社からノウハウをたたき込まれているとも述べ、一年間の研修を受けたことで、四年目にして今年からようやく黒字化に転換できたと説明があった。

 さらに、震災復興で大事なことは、分かりやすい成功例とまねしやすい成功例をつくることである。そうでないと次の世代の人が取り組もうとしない。そのような例になるよう必死になって取り組んでいると語るとともに、目の前に百万都市仙台という大消費地があり、また、仙台うみの杜水族館もできることから、産直のテーマパークをつくりたいと考えているとの将来の展望が語られた。

四 県外調査

 1 栃木県

 栃木県においては、フードバレーとちぎ六次産業化推進事業の概要と取り組み状況等について調査した。

 初めに、栃木県農政部農政課戦略推進室から、「フードバレーとちぎ」とは、豊かな地域資源を背景に首都圏の食料基地として発展してきた高いポテンシャルを最大限に生かし、食をテーマとした地域経済の活力ある発展を目指し、全県を挙げた取り組みを推進する施策をいい、栃木県重点戦略「新とちぎ元気プラン」のとちぎづくり戦略の重点戦略プロジェクトの一つに位置づけるとともに、農業関係振興計画である「とちぎ農業成長プラン」でも重点戦略として農業を起点とした「フードバレーとちぎ」の推進に取り組んでいるとの説明があり、さらに、栃木県は豊かな水や食に優位性があり、人材、公的研究機関、多彩な産業基盤なども生かし、食料・飲料出荷額は全国十二位となっている。「一次から三次までの産業がバランス良く発展し、首都圏に近いという恵まれた立地条件にもある中で」一次から三次までが連携して「食」の産業振興を図りながら地域経済の発展を目指しているとの説明があり、個別事業とともにその取り組みについて説明があった。

 六次産業化に取り組んでいる農家等で、後継者の現状はどうかとの質疑に対し、栃木県では、パンフレットで紹介されている事例の箇所等では後継者は確保されている。具体的には、親が生産を行い、子が六次産業化に取り組む事例が多く、父親や婿が生産を担い、母親や妻が加工や販売を担う事例がふえている。また、法人化することでさらに担い手が増えていくという相乗効果もあり、後継者も育ってきているとの応答があった。

 2 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所(茨城県つくば市)

 本総合研究所においては、概要と取り組み状況等及び復興支援への取り組みについて調査した。

 初めに、大谷所長から、本総合研究所では、豊かな食生活を実現し我が国の食料問題を解決するために独創的な研究開発に挑戦し取り組むという目標を掲げ、農林水産物や食品の持つ価値を最大限高める技術を開発することや多様で安全な食品を支えるような技術を提供すること、科学的で正しい情報を発信することに取り組んでいること、食料研究の要として農業分野もしっかり研究していることの説明があり、さらに、「栄養健康機能性」について、栄養や健康に優れた食料の研究開発に厚生労働省の分野とすみ分けして取り組んでいることが説明された。また、高齢社会のもと、そしゃく系に関する研究を行っていることや、東日本大震災時に国内には文献が一切なかった「食」における放射能関係の研究も行っており、セシウムを食品から取り込んだときに最終的にはどれくらいのセシウムが体内に残るかなどもテーマにしているとの説明があった。

 次に天野震災復興研究統括監から、震災復興の取り組みとして、東日本大震災の際いち早く現場に駆けつけて被害状況を把握するとともに、農地の復旧に関して単に原状回復ということだけでなく、災害に強い農地や減災型の農地について提案したこと、除塩や海岸堤防等についても提案したという事例の紹介があった。

 また、東京電力福島第一原子力発電所事故後の対応として、チェルノブイリ原発事故後二十数年にわたりモニタリングしてきた国立研究開発法人農業環境技術研究所や福島県と連携し、事故後の農地の除染や放射能の農作物への移行低減の技術開発などに取り組んだこと、農地除染に関しては、セシウムは浸透しにくい性質であることから表土をはぎとり、地中深く反転耕した上で試験栽培し安全性を実証したことや、反転耕前に耕した農地では水を用いた土壌撹拌が有効であることも実証したこと、さらには、低減技術において、セシウムに化学式が似たカリウムを大量に土壌に投入すると農作物への放射能移行が抑えられることを実証したことなどの事例紹介があり、食品に移行した放射能の低減についても科学的に証明されたものについて、ホームページで公表し、安全安心に活用されていることの説明もあった。

 3 農事組合法人和郷園(千葉県香取市)

 農事組合法人和郷園においては、六次産業化の取り組みと現状等について調査した。

 初めに、佐藤理事から説明があり、和郷園は百名ほどが参加した農事組合法人で、千葉県の北東部、銚子まで六市町村(一部茨城県)にまたがったエリアで活動しており、野菜の販売額は約十八億円ほどで、大きな組織ではないが冷凍加工やカット野菜の加工事業の十六億円と合わせてトータル三十四、五億円、さらに、店舗や観光、海外展開も含めると売上高は約五十億円となるとの説明があった。また、組織の始まりについて、木内代表が野菜を直接東京で売り始めてうまくいった後、次にゴボウを短く切って袋詰めして売り出したところこれが爆発的にヒットし、一日に百万円も売れた成功体験が得られ、仲間を募って農事組合法人を立ち上げた。今、行っていることは当時の延長線上にある、と述べたほか、近年では海外の上海、バンコクでも事業の展開を始めており、海外で自ら生産しているのは、全国的にも珍しいのではないかとの説明もあった。また、平成十五年に冷凍加工工場を作ったが、野菜くずが大量に出たためリサイクルセンターを建設し、残渣をゴミ扱いせずに資源化した。今では、取引先スーパーの残渣も引き受けてリサイクルに取り組んでいる旨の説明もあった。冷凍加工工場及びリサイクルセンターの両施設については、概要説明の後、実際に現地に移動して視察した。

 4 藤崎農場(千葉県香取市)

 藤崎農場においては、不耕起栽培米の生産と販売の取り組みについて調査した。

 代表の藤崎氏から、今行っている農法は、不耕起栽培で冬期湛水の田んぼに、六十日かけて育苗した成苗を植え、農薬・化学肥料を一切使わずに米ぬかなどの有機肥料を使って栽培しているもので、ヒエなどどうしても取らなければならないもの以外は除草もしないが、草に負けない米をつくることで一反あたり七、八俵は収穫できるとの説明があった。また、販売方法はさまざまあり、かつては法制度が改正されて米の供出が自由化されたときに設立した米の販売会社を通じて出荷したが、経費を差し引かれると利益が出なかったため、基本的に値段は自分で決めて自分で売ることができるインターネットを利用した販売を独自に始めたこと、病院関係で有機病院食を取り入れているところや有機ストアなどは割合高く買ってくれることなどの説明があった。

 一方で、十年ほど前からグリーンオーナー制度を導入し、一口ごとに、契約された田んぼでとれた米をオーナーに送付している。契約料から見た米単価は安くはないが、安心できる環境を購入してもらっていることで、オーナーから一俵あたり三万円後半で米を買ってもらうこともあるとの説明もあった。

 目先のことに充てられることが多い補助金制度を使ったことはなく、減反していないため所得補償制度も対象外であり、結果的に農業行政に全く協力していないことになるが、こと六次産業化でいえば先駆者ではないかとの話もあった。

 5 キリン株式会社CVS本部(東京都中野区)

 キリン株式会社においては、「復興応援キリン絆プロジェクト」の取り組みについて調査した。

 野田絆づくり推進室長から、東日本大震災で被災したキリンビール仙台工場の復興過程で、東北地方のお客様との「絆」や感謝の気持ちを込めた地域密着の取り組みをさらに推進し、東北の復興に貢献しようという気運が大きくなり、三年間で六十億円を拠出した「復興応援キリン絆プロジェクト」をスタートさせた。

 そこでは地域食文化・食産業の復興支援や子どもの笑顔づくり支援、心と体の元気サポートの三つの幹で活動を推進している。プロジェクトは有期のイメージがあるために、恒久的な組織として「絆づくり推進室」を設置し、三年経過後も活動を継続している旨の説明があり、プロモーションビデオで展開している活動の紹介があった。中でも、地域食文化・食産業の復興支援では、営農再開支援を最優先にハード面の支援に取り組んだ第一ステージの活動から、現在進行中の第二ステージでは、六次産業化に向けた販路拡大支援、将来にわたる担い手やリーダーの育成などのソフト事業を展開しており、活動事例として、気仙沼茶豆のブランド育成や女川町や大船渡市での地域ブランド育成支援などの六次産業化支援や「東北復興・農業トレーニングセンタープロジェクト」などの担い手やリーダー育成支援などを行っているとの説明があった。

 また、販路拡大に有効なブランド化について、さまざまなブランド化に取り組み失敗もしているため、その難しさを承知している。固有名詞を知ってもらうことは当然だが、その背景となる情報、例えば、カキについていえば、商品をどういう人たちがどのような海でどのようにつくっているのかストーリーを紹介し、それではそれを買ってみよう、好きになりそうだと思ってもらうことが大切である。簡単ではないが、一度握手してもらえることでブランド化が見えてくる。少し長い目で徐々に顧客をふやしていくことがコツであるとも述べた。

 今後について、地域それぞれが課題を明確にして、課題解決に向けた取り組みをしようとしているところには、絆プロジェクトのノウハウを踏まえ、被災三県にとどまらずに地域が元気になるお手伝いをしていきたいとのことであった。

 6 株式会社Life Lab(ライフラボ)(東京都港区)

 株式会社Life Labにおいては、第一次産業求人事業の取り組みについて調査した。

 西田代表取締役から事業説明があった後、委員の質疑に対し次のような応答があった。

 第一次産業求人事業のニーズについて、少なくともここ十年ぐらいは需要は伸びると考えている。国が進める大規模化で個人経営から法人化が進むことで人材が必要になる。外国人はもとより、日本人でも必要な人材が求められると考えられる。また、ブランド力のある優良農産物を生産している農家が企業とマッチングして息子を社員に雇用してもらう事例については、個人より企業とのマッチングであれば雇用できる経営体である可能性も高いと考えられ、いいものを作っても情報として世に出ないと、農業をしたいと考えている若者にたどり着かないので、いい取り組みであると思うと肯定的であった。

 宮城県でのマッチング事例については、米どころであり、しかも機械化が進んでいることから、人材募集に至らない。酪農と組み合わせれば通年の募集となるが、通年での募集自体が少ない東北地方での募集実績は少なく、宮城県での実績は今のところない。生産法人もあまり大きなところがないため人材募集が少ないと考えられるとのことであった。

 第一次産業に対し若者が夢を描きにくい現状について西田氏は、経営者の問題が大きく、親から代々受け継いで家族経営でやっていることが多いのが現状で、第一次産業は雇用の歴史が浅いために経営側にノウハウがないことが多いとのことであった。農業希望者の自立には時間もかかるしリスクも大きいので、独立支援より既存の経営体への人材支援を行うほうが地域振興には有効ではないかとの意見を述べた。

五 総括・提言

 これらの検討結果を踏まえ、本委員会は、六次産業化推進等に関する諸施策について次のとおり取りまとめた。

 富県宮城の実現を目指す本県においては、付加価値を生み出す力の高いものづくり産業を重点分野に位置づける一方、地域産業の競争力強化を目指し、さまざまな取り組みがなされているが、付加価値を生み出す食品製造業や流通業、外食産業の多くが市街地に立地していることから、農山漁村は相対的に衰退しており、特に、東日本大震災以降、沿岸被災地を中心に一気に衰退が顕在化している。こうした中、地方創生に向けては、農山漁村の多面的機能に鑑みて第一次産業のさらなる振興・活性化が必要不可欠であり、みやぎ食と農の県民条例及びみやぎ海とさかなの県民条例の基本理念などを踏まえ、次世代につながる持続可能な六次産業化の推進が重要との認識を新たにした。

 六次産業化については、加工食品や外食産業の発展・普及に伴って消費者がそれらに支払う金額がふえてきているものの、農林水産物の市場規模がほとんど変わらないため、農家・漁家などが加工や販売・サービスまで行って農林水産物の付加価値を高めることで、所得向上や雇用創出につなげることを目指すものである。すでに本県においてもこれまでの施策において、さまざまな制度・事業が展開されるとともに、新たに宮城県六次産業化サポートセンターが設置され、専門家による相談体制等も確立されているが、六次産業化にはメリットもあるが、当然リスクを伴うものでもあり、その推進には慎重に取り組む必要がある。その一方で、志を持った前途ある若者の取り組みも増加していることから、見直し作業が進められている「第二期みやぎ食と農の県民条例基本計画」にも本提言の趣旨を反映させるなど、十分なサポート体制の充実が求められる。

 今後、取り組みが期待される施策は次のとおりである。

 1 持続可能なみやぎ型六次産業化の推進

 豊かな自然や風土、藩政時代からの米どころとしての歴史や文化に育まれ、また、世界有数の漁場や漁港を有する特長を踏まえた「食材王国みやぎ」のブランド化のさらなる推進はもとより、食の安全・安心の気運が一層高まる中で、生活者の求める安全で安心な食料を安定的に供給していくことが、ひいては競争力及び個性のある農業や水産業の持続的な発展につながる。そのため、専門スタッフの安易なローテーションを避け、長いスパンで信用と信頼を地道に築いていく取り組みを支援するとともに、特に園芸の振興を図り、競争力のある農畜水産物等を安定的に供給できる技術の導入や拠点整備、新しい流通システムの構築、的確な情報受発信の推進、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う風評の払拭等を生産者のみならず多様な人材と連携して実現できるよう支援していくこと。

 2 次代につながる農山漁村と都市交流の推進

 若い世代が取り組む六次産業化は、単に農林水産物の付加価値を高めて所得向上を目指すだけでなく、地域と連携を図りながら、農林水産業の復興に寄与していることが、被災地みやぎの実情から見てとれる。農山漁村の復興や再生に向けては、当該地域だけでの活動では成し得ないことが自明であり、人口が多く経済力のある都市との交流が有効であることから、六次産業化をツールにした地産地消、食育や命の教育、グリーン・ツーリズムなどを通し、消費者と農林漁業者の交流にとどまらない次世代につながる世代間の交流の取り組みも支援していくこと。

 3 世代間交流における理解と連携の推進

 六次産業化の推進において、起業する地域の理解が重要な課題であることから、若い世代の担い手が、農山漁村の伝統や文化等も共有しながら、地域の活性化につながる企画や構想に新たに取り組む場合には、地域の理解を得るために普段からの世代間の交流も重要となってくる。六次産業化へのサポートは、発展段階に応じた専門家のアドバイスもさることながら、地域内において、世代間の交流を図り相互理解を深めていく支援も必要であることから、各展開に応じて的確な支援を行うこと。

 以上、これらの提言が今後の関係施策に十分反映されることを期待して、報告とする。

  平成二十七年十月二日

           宮城県議会六次産業化推進等調査特別委員長 細川雄一

  宮城県議会議長 安藤俊威殿

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○議長(安藤俊威君) これより質疑に入ります。

 委員長報告に対し質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

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△空港民営化調査特別委員会調査結果報告



○議長(安藤俊威君) 日程第十四、空港民営化調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。

 本件について委員長の報告を求めます。空港民営化調査特別委員長、九番村上智行君。

    〔九番 村上智行君登壇〕



◆九番(村上智行君) 空港民営化調査特別委員会の調査結果について御報告申し上げます。

 本委員会は、空港民営化に関する諸施策について調査・検討するため、平成二十六年十二月十六日に設置されました。付議事件、空港民営化に関する諸施策についてを受け、仙台空港民営化に伴っての将来像について、仙台空港周辺地域の活性化等について、以上を調査項目として、県関係部局から県施策の概要を聴取するとともに、参考人からの意見聴取を行ったほか、県内、県外調査を実施して検討を重ねてまいりました。

 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、この報告が今後の関係施策に反映されることを期待して、御報告申し上げます。

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   空港民営化調査特別委員会調査結果報告書

 空港民営化調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。

 本委員会は、空港民営化に関する諸施策について調査・検討するため、平成二十六年十二月十六日に設置され、付議事件「空港民営化に関する諸施策について」を受け、調査項目を以下の二項目とした。

 一 仙台空港民営化に伴っての将来像について

 二 仙台空港周辺地域の活性化等について

 以上の項目について、県関係部局から仙台空港の現状や県施策の概要を聴取するとともに、東北観光推進機構と仙台空港国際化利用促進協議会より参考人を招致して意見を聴取し、さらに、仙台空港が所在する岩沼市、名取市及び国土交通省東京航空局仙台空港事務所の状況について調査を実施したほか、国土交通省航空局、観光庁、ANAホールディングス株式会社、沖縄県、那覇空港ビルディング株式会社を訪問して調査を行った。

 その概要は次のとおりである。

一 現状と課題

 仙台空港は、三千メートルと千二百メートルの二本の滑走路により、午前七時三十分から午後九時三十分まで十四時間運用されており、東北唯一の国管理の拠点空港である。平成二十七年四月一日現在の定期便は、国内線が十路線で一日五十二往復、国際線が五路線で週十五往復となっている。また、空港へのアクセスについては、仙台空港アクセス鉄道のほか、仙台東部道路の仙台空港インターチェンジが近くにあり、県内や東北各県への高速・高規格幹線道路網にも接続している。

 国では、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(以下「PFI法」という。)の公共施設等運営権制度を活用し、滑走路等の空港基本施設と旅客ビル施設や貨物ビル施設等の経営の一体化及び民間運営委託による空港経営改革を推進しており、仙台空港が国管理空港の民営化第一号として平成二十八年度には空港運営権者による運営が開始される予定になっている。

 県としては、この空港経営改革により、航空路線の拡充や空港ビル施設の充実により空港全体の利便性を向上させ、将来の目標として航空旅客年六百万人、航空貨物年五万トンの達成を目指している。それを達成するために「仙台空港六百万人・五万トン実現サポーター会議」を初めとする活動により、ひと・ものの交流拡大による空港の振興、空港を核とした周辺地域の活性化を図り、ひいては震災からの創造的復興を実現すべく、仙台空港民営化に取り組んでいる。

 仙台空港の旅客数については、東日本大震災の影響により大きく減少したが、復興に伴う需要やLCCの新規就航などにより、平成二十五年度には三百十六万人と六年ぶりに三百万人を超えた。そのうち、国内線については震災前を超える水準まで回復しているが、国際線については、大連、北京、長春線の運航休止やソウル線の減便と機材の小型化等によって、震災前の六割程度にとどまっている状況にある。

 航空旅客数と密接な関係のある宮城県を訪れる観光客について、国内観光客は、東北域内からが約七〇%、次いで関東からが約二三%となっており、航空機での来訪が多い中部以西からは約六%となっている。また、訪日外国人旅行者数については、平成二十六年に日本全体では千三百四十一万人と過去最高を記録しているが、そのうち東北を訪れた割合は一%にも満たない状況にある。

 このため、航空会社と連携したプロモーションや航空路線充実のためのエアポートセールスの強化とともに休止路線の再開が必要である。また、特にインバウンドへの強化として、東北各県や東北観光推進機構等の関係者が一体となった広域観光の充実、観光情報の発信、接続交通の拡充、Wi‐Fi環境の整備や多言語案内表示の設置など外国人観光客の受入環境の整備とあわせて、成長著しい東南アジア諸国や台湾等をターゲットにした戦略的な誘客活動への取り組みが課題となっている。

 また、仙台空港の貨物取扱量については、東日本大震災の影響を受けた平成二十三年度はピーク時の一割程度まで減少している。震災後のソウル便の減便や機材の小型化により、貨物の大半が首都圏の空港利用に移行しており、平成二十五年度で震災前の六割程度の回復にとどまっている状況にある。

 このため、コンテナ貨物が積載可能な大型機材の導入の促進や国際ハブ空港との路線の充実のほか、東北の貨物を仙台空港周辺地域に集荷するための仕組みづくりと体制の構築が課題となっている。また、海外市場が新たな販路として期待されることから、企業ニーズの掘り起こしや海外ビジネス人材の育成などのほか、東南アジアへの販路拡大のための積極的な市場開拓が課題となっている。さらに、東京電力福島第一原子力発電所事故に対する根強い風評がいまだ残っており、一部の国・地域においては日本からの食品等の輸入が規制され、海外販路が喪失・縮小しているため、風評の払拭と輸入規制の撤廃又は緩和が課題となっている。

 仙台空港周辺地域は民間主導による開発が進んでおらず、その特性が十分に生かされていない状況にあるため、臨空地域のポテンシャルを広く情報発信するほか、事業主体となり得る企業等への働きかけを行うなどして、空港と親和性のある施設の立地や地域特性を生かした魅力ある観光資源の創出が課題となっている。

二 参考人からの意見聴取

 1 東北観光推進機構推進本部副本部長兼事業部長 佐藤一彦氏

 東北観光推進機構は、東北の観光の魅力を発信し、官民一体となった広域的な取り組みにより東北への交流人口をふやして地域の活性化を図ることを目的に、平成十九年六月に設立された。

 仙台空港民営化への期待について、第一には、知事も発言しているが、民営化によってLCCを中心に新規路線の増加が見込まれるとともに、空港利用における諸条件についての緩和や、将来的には運用時間の見直しによって、国内外の航空路線の増加が期待できる。第二には、集客効果の高いイベントが開催できるようになるなど魅力向上による空港の集客機能が強化されるともに、利用者サービスの向上も期待できる。また、物流について、東北の魅力の一つとして果物があるが、沖縄貨物ハブを活用するなど、速やかに海外輸出ができる物流環境の整備が重要であり、物流拠点として機能強化が図られることを期待している。第三には、仙台空港からの二次交通について、各観光地等へのバス路線が乏しく、特に外国人旅行者は荷物を持っての乗り換えを嫌がる傾向があるため、今後、個人の外国人旅行者が増加していくことを見据えて、二次交通の更なる充実と、東北各県の空港との連携も含めて、交通結節点としての機能が強化されることを期待していると述べた。

 広域観光への取り組みについては、観光庁が募集した広域観光周遊ルート形成促進事業に東北観光推進機構として応募した「日本の奥の院・東北探訪ルート」が認定された。これは松尾芭蕉の奥の細道の英訳から引用しており、東北らしさが海外に伝わると考えて命名している。外国の方に東北の知名度は低いが、個別には青森のリンゴなど知られていることもあるので、そういったものや、春の桜、夏の祭りなど四季を背景として自然、歴史、文化などを組み合わせて広域ルートを形成し、売り込んでいきたいと考えている。

 広域観光連携の推進に当たって、その実施主体について、都道府県という枠組みの課題があるため、東北観光推進機構のような広域的な組織での取り組みが必要であり、重要となると考えている。しかしながら、課題としては、組織職員は各県や旅行会社などからの出向で、専門的知識を持つ人間が少ないこと、また、数年で人事異動があるため、これまで身につけた知識や人脈が無駄になってしまうこと、さらに事業の財源をどう確保するかということがある。また、広域観光連携を担う人材の育成に関しては、観光という裾野が広い産業をトータルで理解している人間が少ないこと、教育機関も、松島高等学校の観光科は全国的にも先進的な事例ではあるが、全国的に観光学部を持った大学がふえてきているのに、東北にはそのような大学が非常に少ないという実態があり、それが課題であると考えていると述べた。

 2 仙台空港国際化利用促進協議会 仙台商工会議所中小企業支援部長 清水勝敏氏

 仙台空港国際化利用促進協議会は、昭和五十七年六月に設立され、宮城県や仙台市、航空会社、旅行会社、経済団体などを会員として、事務局を仙台商工会議所に置き、仙台空港の利用促進を目的に活動している。

 仙台空港の利用促進のための取り組みとしては、国等に対する要望活動のほか、海外の航空会社に対するエアポートセールスとして、平成二十六年度には、副知事を団長として香港の航空会社を訪問している。また、チャーター便で仙台空港に来る外国人観光客用に、仙台空港起点の観光モデルコースのパンフレットを作成し配布している。一方、国内向けとしては、主要就航地でのプロモーション活動として、平成二十六年度は、中部以西となる名古屋、大阪、神戸、広島において、ブースを設置してPRを行ったほか、マスコミ等を訪問するなどの活動を実施している。また、各種助成として、新規就航や増便の際の記念行事費用や、旅行会社が仙台空港発着で企画する商品のパンフレット作成や広告費用、高校における修学旅行の事前調査の費用について、その経費の一部を助成している。さらに、アウトバウンド向けに旅行需要を活性化させるため、「ソラ行け旅フェスタ」や高校教員を対象に海外教育旅行セミナーなどのイベントを開催している。

 空港の利用促進における課題としては、仙台空港を宮城県だけの空港と考えるのではなくて、東北全体の仙台空港として、広域観光ルートや二次交通の整備など、東北が一体となって取り組んでいかなければならないと考えている。また、各種取り組みの財源について、会員からの負担金のほか、これまでは一般財団法人空港環境整備協会からの事業負担金があったが、仙台空港民営化に伴いこの事業負担金がなくなるため、事業財源の確保が必要である。さらに、空港の利用促進の前段として、東北地方はパスポート取得率が他の地域と比べて低いため、仙台空港を利用した旅行需要の喚起とあわせて、パスポート取得促進が課題となっていると述べた。

 空港民営化への期待としては、今後、民営化によって民間のノウハウやアイデアが出てくると考えられるので、当協議会の運営についても、これまでにない柔軟な発想で活動していきたいと考えており、また、空港自体の運営も変わると考えられることから、例えば、テナントも魅力のあるものとなり、空港の中で楽しむことが必要だと感じており、そのようになってほしいと考えていると述べた。

三 県内調査

 1 岩沼市

 岩沼市では、仙台空港を地域づくりの核として位置付け、空港を中心としたまちづくりを進めている。空港周辺地域となる市の沿岸部は、東日本大震災により甚大な被害を受け、かさ上げ道路や避難路の整備などに取り組んでいるが、玉浦西地区には、被災住民の防災集団移転先として新たな市街地が形成されており、平成二十七年五月にはほぼ移転が完了し、七月にはまち開きのイベントが行われている。また、相野釜地区では、復旧不能の被災農地において、稼働中のものでは東北最大級となるメガソーラーが建設され、四月から稼働している。さらに、貞山運河の東側には、津波の減衰や避難場所としての防災機能を備えたメモリアルパーク「千年希望の丘」を十五基整備することとしており、仙台空港周辺には、最大規模の公園を配置する予定であると説明があった。

 仙台空港周辺の工業用地について、既存の臨空・矢野目工業団地では、産業物流系の企業を中心に約二百六十社が立地しており、東日本大震災で大きな被害を受けたものの、その後、事業活動を再開、継続しており、周辺市町も含めた市民の大きな雇用の場ともなっている。その他、宮城県土地開発公社が事業主体となる中坪・荷揚場地区十七・五ヘクタールについては平成二十八年四月に、岩沼市が事業主体となる西原地区五・六ヘクタールについては平成二十八年十月に分譲開始予定となっており、岩沼市では、県とともに各種支援制度を活用して企業誘致活動に取り組むこととしている。また、中坪・荷揚場地区の南側となる矢野目西地区八十五・五ヘクタールについては、仙台空港に近接していることから岩沼市の長期計画及び国土利用計画において産業系の土地利用を図ることとされ、国際物流拠点地域として位置付けているが、仙台空港の現状の貨物取扱量から、沿道サービスや商業施設用地としての利用も検討中であるとの説明があった。

 今後、仙台空港が民営化され、宮城県が将来の目標数値である航空旅客年六百万人、航空貨物年五万トンを目指す中で、路線数や便数をふやすことや運用時間の延長が必要になると考えるが、便利になる反面、地元としては騒音問題が課題として出てくるため、地元とよく調整して、両にらみでバランスを取りながら進めてほしいと考えている。また、平成八年に策定された仙台空港臨空都市整備基本計画について、今年度が計画の最終年度となるが、計画に盛り込まれているものの中には進んでいないものもあるという認識であるため、空港民営化に向けて周辺地域をどのように整備し活性化させていくのか、県とともに岩沼市としても考えていきたいと述べた。

 2 名取市

 名取市では、これまで仙台空港を最大限活用したまちづくりを進めており、仙台空港アクセス鉄道を核とした開発が進んでいるが、一方で仙台空港周辺地域となる市の沿岸部は、東日本大震災により甚大な被害を受けたことから、現在でも復興事業に取り組んでおり、震災からの復興を牽引するプロジェクトとして、東北のゲートウェイとしての仙台空港周辺に観光・交流の拠点を形成し、仙台空港周辺が目的地となるよう各種事業を進めている。

 北釜地区は、防災集団移転事業により市有地と個人所有地が混在している状況にあるが、仙台空港に近接し高度な土地利用が可能となる地域であるため、地権者や企業への意向調査などを踏まえて土地活用方針を決定し、最終的には企業等から事業について提案を募集し、企業誘致を進めることとしている。また、閖上地区では、復興まちづくり事業として、平成二十八年三月の稼働を目標に第一期水産加工団地の整備を進めている。さらに、宮城県が被災沿岸部に計画している東日本大震災メモリアルパーク構想における中核施設を、仙台空港周辺に誘致したいと考えており、岩沼市の「千年希望の丘」とタイアップして、仙台空港の魅力アップにつなげていきたいと説明があった。

 平成二十六年五月には、名取市観光プラザを仙台空港ターミナルビルの国内線到着ロビーに開設し運営している。名取市や東北の観光物産に関するパンフレットを配置する観光物産PR施設としての機能のほか、名取市の被災状況や復旧・復興状況のパネル展示や震災関連ビデオを配置して震災ミュージアムとしての機能も有している。月に千人から二千人の方が利用しており、その大半は観光・交通案内での利用者となっているが、今後は、宮城県や仙台市、岩沼市との連携により内容の充実を図っていきたいと説明があった。

 3 国土交通省東京航空局仙台空港事務所(名取市)

 国土交通省東京航空局仙台空港事務所は、仙台空港民営化に向けて、業務を確実に引き継ぎ、空港運用の移行が円滑にできるよう準備を進めている。

 航空管制や無線関係施設の維持管理等の航空保安業務はそのまま事務所に残るが、民営化によって民間会社に移行する業務としては、保安・危機管理対策や警務、消防業務、騒音対策や苦情対応等の環境対策や地域対策業務、滑走路などの土木・建築関係や航空灯火などの施設の維持管理業務、エプロンなどの場面管理業務や有害鳥類対策業務になると説明があった。

 民営化までに予定している主な空港施設等の工事としては、現在十二バースあるエプロンを二バース増設する工事や、二つの滑走路の接続部分の誘導路標識等工事、また、国際基準に合わせるため三千メートル滑走路の海側の滑走路端の用地造成工事などを計画し施工していると説明があった。

 これまで実施してきた地元対策として、航空機の離発着などの騒音については、地元住民とのコミュニケーションを第一に考え、運用時間以外や定期便以外の特別な離発着がある際には、名取市及び岩沼市を通じて地元に情報提供をして、事前に協力を求めている。また、自治体ごとに協議会が組織され、協議会の場でさまざまな情報交換をしているほか、空港の実態を見てもらうための施設見学や、年一回のイベントとして「空の日仙台空港祭」を開催していると説明があった。

四 県外調査

 1 国土交通省航空局(東京都千代田区)

 国では、昭和四十年代から空港の配置的な整備を進めてきたが平成十年代には概成したことから、平成二十年に空港整備法を空港法に改正して、空港政策を整備から運営にシフトしている。空港の運営形態について、平成二十三年にPFI法が一部改正され、土地や空港の基本施設の所有権は国に残したままで、民間のノウハウや資金を使うために運営を民間に委託する「公共施設等運営権制度」が導入されている。空港民営化は空港を活性化し、交流人口を拡大することを最大の目的としており、平成二十五年にはPFI法の特別法として民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律(以下「民活空港運営法」という。)が制定されている。空港運営における課題として、国の空港の整備・管理は特別会計による一元管理であり、それぞれの空港において独自に料金設定などができないこと、また、空港の施設ごとに運営主体が異なるため迅速な意思決定や思い切った経営判断ができないことなどが挙げられるが、それらの課題を運営権制度で解消したいと考えており、例えば、着陸料を空港運営権者の判断で下げることができれば、それにより便数及び利用者がふえて、空港全体としての収益も上がっていくことが考えられると説明があった。

 国では、国管理となる二十八空港について、民活空港運営法に基づき、共通ルールとして基本方針を平成二十五年十一月に策定している。また、それぞれの空港については、地域の事情や経済状況、自治体の取り組みなどに違いがあるため個別空港ごとの対応になり、仙台空港については、宮城県のこれまでの取り組みもあり、平成二十六年四月に事業期間を最長六十五年として運営権者を公募する「仙台空港特定運営事業等実施方針」を公表し、これにより仙台空港民営化が公式に決定している。同年六月には募集要項を公表しており、応募者には、安全や緊急時の対応について一定以上の水準を求めるほか、出された提案について、利用者の利便性の向上や空港の活性化を通じての地域活性化への貢献、事業継続性などのほか、着陸料等について魅力的な提案をしているか、また、地元との関わりとして、地域との共生事業や空港の利用促進事業の考え方などを、さまざまな分野の有識者で構成する審査委員会で審査・評価して優先交渉権者を選定し、最終的に空港運営権者を決定することとしていると説明があった。

 2 観光庁(東京都千代田区)

 国では、「住んでよし、訪れてよし」という観光立国としての基本理念のもと、これまで各種事業に取り組んでおり、平成二十五年三月には観光立国推進閣僚会議を設置し、同年六月に「観光立国実現に向けたアクションプログラム」を決定して、政府一丸となった取り組みを強化している。その結果、平成二十五年には訪日外国人旅行者が一千万人を超え、さらに平成二十六年には千三百四十一万人を記録している。さらに、平成二十六年一月には、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを見据えた観光振興や、免税店の拡大など外国人旅行者の受入環境の整備などを柱として、平成三十二年に訪日外国人旅行者二千万人を目標とした「観光立国実現に向けたアクションプログラム二〇一四」を決定している。

 観光は裾野が広い産業であり、また、経済規模が非常に大きく、国内における旅行消費額は国全体で約二十三・六兆円となっているが、全体の九割は国内観光に係るものである。その中で、訪日外国人の旅行消費額は約一・七兆円と、全体に占める割合としては非常に小さいが、非常に伸びている部分であるため、訪日外国人への対応が大きなテーマとなっている。観光庁としては、中部・北陸九県の取り組みである「昇龍道プロジェクト」をモデルとして、新規事業として広域観光周遊ルート形成促進事業に取り組んでいる。これは複数の都道府県にまたがって、テーマ性やストーリー性を持った一連の観光地を交通アクセスも含めてネットワーク化し、訪日を強く動機づける広域観光周遊ルートを全国に数ルート形成して、あわせて、その情報を海外へ発信することによって、東京や大阪、京都といったゴールデンルート以外に訪日外国人旅行者を呼び込んで周遊を促進することにより地域の活性化を図っていくというものであり、都道府県や市町村、観光関係団体等の関係者による取り組みに対して、国が支援していくものであると説明があった。

 3 ANAホールディングス株式会社(東京都港区)

 航空会社として見た今後の航空需要として、日本の将来推計人口によれば、特に重要な顧客となる生産年齢人口が減少し、また人口が首都圏に集中していく傾向となることから、国内線は減少すると考えている。一方、国際線は、日本政府観光局(JNTO)のデータでも、訪日外国人が今後も右肩上がりで伸びていくと推計されており、特に韓国、台湾などアジア地域が約八〇%を占め、さらに、タイなどビザ発給条件を緩和した国も大きく伸びていることから、今後もアジア地域が伸びていくものと考えている。また、LCCの潜在需要については、国内線、国際線とも、今まで飛行機を使わなかった方の新規需要などにより、将来的には全体の三〇%程度のシェアを占めると考えていると説明があった。

 航空会社として見た東北地方の魅力について、他の地域と比べても観光資源が多い地域であると考えている。その観光資源を生かして、訪日外国人旅行者が東北地方を着地型観光で訪れるようにするためには、知名度、認知度を上げることが重要であり、東北の関係者が一体となった広域的な連携による取り組みとともに、外国人目線で、個人にまで届く情報発信の仕掛けが必要だと考えている。ANAとしては、飛行機で日本に来た外国人旅行者の方を対象に、地方にも行ってもらいたいということと、国内線の需要拡大にもつなげたいということで、全路線一区間一万八百円の均一料金を設定していると説明があった。

 航空会社として見た仙台空港民営化については、空港の一体的運用のメリットが最大限発揮されることが重要だと考えている。航空会社の立場からすると、民営化されたから着陸料が下がり、それにより路線開設や増便ができるというロジックはなく、将来も含めて需要があるかどうかで路線開設の判断をすることになる。仙台空港の着陸料は高い訳ではなく、全体の運航コストの中で負担は大きくないため、着陸料とあわせて、空港管理会社が航空会社から徴収している施設使用料を見直す必要があると考えている。現在は、旅客数がふえても減っても変わらない仕組みになっており、それが海外から新たな航空会社や路線を誘致する際のネックにもなると考えるが、使った分を使った分だけ負担して、また、航空会社が負担していたものを利用者一人一人から徴収する受益者負担方式に変える必要があり、これにより利用者がふえればそれだけ航空会社の収入もふえるので、それを利用者がふえたことに対応する新たな投資に回せる財源にもなると考えていると説明があった。

 4 沖縄県

 沖縄県は、中国を初めとする東南アジア諸国の経済発展により、その中心に位置している沖縄の地理的優位性が顕在化し、沖縄国際物流ハブを核として、その物流機能を活用する臨空臨港型産業を新たな産業として国際物流拠点の形成に取り組んでいる。

 平成十九年に沖縄県とANAの間で那覇空港の国際物流拠点形成に関する合意が締結され、平成二十一年十月には、貨物ターミナルが完成し国際物流ハブ事業を開始している。平成二十四年には、ヤマトグループがこの貨物機能を活用したドアツードアの国際物流事業を開始し、平成二十五年からは、全日空とヤマト運輸の輸送機能を活用したEコマースによる日本全国の特産品の海外向け通販が香港向けに始まっている。那覇空港の沖縄貨物ハブは、十一機体制で、国内の羽田、成田、中部、関西の四路線と、上海、香港、台北などアジア主要都市の八路線間を運航し、各地から深夜に那覇空港に向けて出発した貨物が、那覇空港で積み替えをして、翌朝には目的地の空港に到着するよう運航スケジュールが組まれていると説明があった。

 沖縄県では、国際物流拠点形成への取り組みについて、第一ステージとして、ANAの沖縄貨物ハブ事業のスタートを受けて、優遇税制などを受けられる国際物流産業集積地域(国際物流特区)を創設している。現在は第二ステージに進んでおり、アジア・欧州へのメンテナンスパーツの供給の在庫拠点として大手企業のパーツセンターが整備されている。また、全国特産品流通拠点化の推進として、国の農林水産物や食品の輸出額を拡大するという成長戦略を踏まえて、全国の新鮮な農林水産物などをアジア市場に供給するため、国際物流ハブの機能を活用して、全国特産品の流通プラットフォームの構築を目指している。さらに、県産品の海外への販路拡大のため、商談等に係る渡航費用や海外でのイベント経費についての一部補助や、県が航空コンテナスペースを借り上げて県産品輸出事業者等へ提供するなどの支援をしていると説明があった。

 5 那覇空港ビルディング株式会社(沖縄県那覇市)

 那覇空港ビルディング株式会社は平成四年十二月に設立され、総務課、施設課、企画課の三課体制であり、社員約八十名で旅客ターミナルビルの運営のほか国から委託を受けて駐車場事業を行っている。

 那覇空港は国管理空港であり、三千メートル滑走路一本で二十四時間運用されているが、平成三十二年三月の供用開始を目指して、沖合で滑走路増設工事に着手している。

 国内線については、那覇空港はリゾート空港であるとともに離島拠点空港でもあるため、羽田空港に次いで国内で二番目に多い三十路線で一日百五十一往復となっている。旅客数については、東日本大震災等により一時的に落ち込んだが、その後LCCの就航により需要が回復し、旅客数はふえ続けており、平成二十六年度には過去最高の約千五百九十万人となる見通しである。国際線については、九路線で週百二十三往復となっており、ソウル、台北、上海、香港など東アジアの都市が主な就航先となっている。旅客数については、ビザの発給要件緩和や東アジアの経済発展、また、沖縄県が行う国の沖縄振興一括交付金を活用した新規就航などに対する助成や、イベントへの出展など海外での誘客プロモーションにより、この数年で大幅に伸びており、平成二十六年度には過去最高の約百六十万人となる見通しである。また、誘客活動については、沖縄県と沖縄観光コンベンションビューローが行っているが、そこに社員を派遣して一緒に活動しているほか、日ごろから意見交換の場を設けて情報交換を密に行い連携を図っていると説明があった。

 現在は別々の建物となっている国内線と国際線のターミナルビルを平成三十二年までに一つに連結して、二百万人規模の旅客数に対応可能な施設にすることを検討している。その際には、特色のあるテナントを入れて、互いに競争させることによって活性化させて、魅力を高めていきたいと考えている。また、沖縄県が東南アジアへの誘客活動の強化を計画していることなどから、平成二十七年三月に、国際線ターミナルビル内に、特にイスラムの方が使えるように礼拝所を設置したと説明があった。

五 総括・提言

 これらの調査結果を踏まえ、本委員会は、空港民営化に関する諸施策について、次のとおり取りまとめた。

 1 空港運営権者と県、地元自治体等との連携について

 地元自治体においては、民営化によって利益優先となりこれまでの地元対策が後退するという懸念や、運用時間の拡大や便数の増加による騒音の増加についての懸念もあることから、これまでと同等以上の周辺環境対策や空港利用促進に係る事業の実施を確保するとともに、地元自治体等との意見交換の場として、空港運営権者との協議・検討のための組織の確実な設置と運営について、県が積極的に関わっていく必要がある。

 2 航空路線の新規開設及び既存路線の拡充について

 今後の航空需要の中で、LCCが一定の割合を占めると予想されているため、LCCに対してこれまで以上に積極的なエアポートセールスを行うとともに、特に国際線については、既存航空路線の運航便数の拡大や休止路線の再開、新規路線の開設のため、知事のトップセールスや空港運営権者と連携した誘致活動を展開する必要があり、また、新規就航等に対するインセンティブの付与についても検討の必要がある。

 路線の新規開設や既存路線の維持・拡充の際の判断基準の一つとなる旅客数をふやすため、国内では中部以西に、海外についてはアジア地域に対しての積極的かつ戦略的な誘客プロモーションなどを継続して実施していく必要があるとともに、仙台空港発の利用者をふやすため、教育委員会と連携して教育旅行での利用促進を図るための施策を充実させ、また、県内及び東北各県からの利用者をふやすため、積極的に宮城県から東北各県への働きかけや、旅行業者に対する商品開発の働きかけを行うなど需要喚起策を充実させることが必要である。

 3 広域観光連携の推進について

 広域観光連携の推進については、これまで東北各県や東北観光推進機構のほか経済団体等が取り組んできたが、県の枠組みがあることなどから不十分であったことは否めないため、宮城県にある仙台空港を東北のゲートウェイとする以上は、宮城県が主体的に関わっていくことが重要であり、東北各県に対して事業提案を行うなど積極的な働きかけや、海外に対するプロモーション活動、エアポートセールス活動などに東北各県や仙台市、関係団体が一体となって取り組んでいく必要がある。また、広域観光を推進する上で二次交通の充実が不可欠となるが、現状として仙台空港から東北地方の各都市や観光地を結ぶバス路線が不十分であることからその充実や、仙台空港アクセス線と仙山線の乗り入れの改善などについて、平成二十七年七月に東北運輸局内に設置された交通政策部及び観光部との連携も含めて、JR東日本など関係交通事業者への働きかけを強化していく必要がある。さらに、海外に対する情報発信については、外国人が興味を持つことを掘り起こして、個人にまで届くかたちで発信していくことが重要となるが、特に外国人には「都市」の認知度が高いため、「宮城」としての発信はもとより、仙台市や仙台市内の観光に関わる各種団体との連携を強化して、「仙台」の名前を使って発信していく必要がある。

 また、現在行われている旅行券発行事業については、中部以西からの観光客や外国人観光客に対して有効だが、一過性の需要で終わらないよう、広域周遊ルートの充実や、東北全体の外国語観光マップの作成、Wi‐Fi環境整備、県内の免税店拡充など受入環境の整備に関する施策をさらに推進していく必要がある。

 4 空港周辺地域の活性化について

 空港周辺地域の活性化のためには、県や関係自治体等が空港運営権者と連携して空港自体の魅力の向上を目指すとともに、地場産品や東北全域の物産の販売、観光情報を発信する観光拠点の整備などにより、空港及び空港周辺地域の観光地としての魅力を高める取り組みを推進していく必要がある。また、東日本大震災メモリアルパーク構想における中核施設の仙台空港周辺への設置について検討するとともに、仙台うみの杜水族館やアウトレットモールなど周辺観光施設との連携についての検討が必要である。

 国際物流拠点の形成について、岩沼市矢野目西地区での整備を継続して地元岩沼市と調整を含め確実に進めることが必要であるとともに、取扱貨物量の増加を図るため、東北各県の特産品などの貨物を仙台空港周辺地域に集荷するための仕組みづくりと、出荷先の確保のため沖縄貨物ハブの活用など、国際ハブ空港との路線の充実等についての体制構築を進めて、海外販路の拡大に取り組む必要がある。推進に当たっては、東北各県や民間事業者との連携が不可欠となるが、県が中心となって積極的に取り組んでいく必要がある。また、一部の国・地域においては日本からの食品等の輸入が規制されていることから、風評の払拭と輸入規制の撤廃・緩和について、国や関係団体等と一体となって取り組んでいく必要がある。

 5 仙台空港民営化の円滑な実施について

 平成二十七年七月に公表された今後のスケジュールにおいて、事業完全移管の時期が平成二十八年三月から六月末に変更されたが、国管理空港の民営化については、仙台空港が国内初のケースであり、スケジュールの遅れは関係者等に対しても影響が大きいことから、スケジュールどおり確実に履行される必要がある。また、県としても、空港運営権者に対して円滑に事業が移管されるようできる限りの措置を講じていく必要がある。

 以上、これらの提言が今後の関係施策に十分に反映されることを期待して、報告とする。

  平成二十七年十月二日

             宮城県議会空港民営化調査特別委員長 村上智行

 宮城県議会議長 安藤俊威殿

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○議長(安藤俊威君) これより質疑に入ります。

 委員長報告に対し質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

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△スポーツ振興調査特別委員会調査結果報告



○議長(安藤俊威君) 日程第十五、スポーツ振興調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。

 本件について委員長の報告を求めます。スポーツ振興調査特別委員長、一番太田稔郎君。

    〔一番 太田稔郎君登壇〕



◆一番(太田稔郎君) スポーツ振興調査特別委員会の調査結果について御報告申し上げます。

 本委員会は、スポーツ振興に関する諸施策について調査・検討するため、平成二十六年十二月十六日に設置されました。付議事件、スポーツ振興に関する諸施策についてを受け、一、地域におけるスポーツ振興について、二、スポーツ施設の整備について、以上二点を調査項目として、県関係部局から県施策の概要を聴取するとともに、参考人からの意見聴取を行ったほか、県内被災地、県外調査を実施して検討を重ねてまいりました。

 この結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、この報告が今後スポーツ振興等関係施策に反映されることを期待し、御報告といたします。

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   スポーツ振興調査特別委員会調査結果報告書

 スポーツ振興調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。

 本委員会は、スポーツ振興に関する諸施策について調査・検討するため、平成二十六年十二月十六日に設置され、付議事件「スポーツ振興に関する諸施策について」を受け、調査項目を以下の二項目とした。

 一 地域におけるスポーツ振興について

 二 スポーツ施設の整備について

 以上の項目について、県関係部局から県内の現状や県施策の概要を聴取するとともに、公益財団法人笹川スポーツ財団より参考人を招致して意見を聴取した。また、県内の実状を把握するため、東北電力名取スポーツパーク、気仙沼市、一般財団法人気仙沼市体育協会、石巻市、及び石巻市総合運動公園の現状や取り組みについて調査を実施した。さらに他県の事例を参考にするため、熊本県、愛知県及び学校法人梅村学園中京大学の施策や取り組みなどについて調査を行った。

 その概要は、次のとおりである。

一 現状と課題

 本県におけるスポーツの振興については、県民誰もがさまざまな形でスポーツに親しみ、充実したスポーツライフを送るため、生涯スポーツ社会の環境整備、国民体育大会等における競技力向上のための指導者の人材育成、地域におけるスポーツ活動や障がい者のスポーツ活動への支援、少子化の影響による諸課題への対策などさらなる取り組みが必要となっている。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催は、スポーツの振興や海外からの観光客の増加等により、国全体が活性化し、地域経済や地域社会へその効果を波及させる好機として期待されており、国においては、オリンピック・パラリンピックの開催国として、政府一丸となった準備体制を整えるとともに、スポーツに関する施策を総合的に推進するため、文部科学省にスポーツ庁が設置されることとなった。

 県においては、平成二十五年三月に策定した「宮城県スポーツ推進計画」において、「生涯にわたるスポーツ活動の推進」、「競技力向上に向けたスポーツ活動の推進」及び「スポーツ活動を支えるための環境づくりの充実」の三つを施策の柱として展開している。

 青少年スポーツについては、公益財団法人宮城県体育協会を中心に県内競技団体強化事業、中学校・高等学校体育連盟強化事業、ジュニア育成強化事業及び指導者育成対策事業を実施している。みやぎ「夢・復興」ジュニアスポーツパワーアップ事業では、被災した子供たちにスポーツや運動を通して希や勇気を与えるとともに、将来、オリンピックメダリストやトップアスリートとして活躍できるよう、子供たちの育成に取り組んでいる。また、中学校や高等学校の運動部活動においては、教員の技術的指導力を補完するため、「運動部活動外部指導者」の学校への派遣を行っている。

 生涯スポーツについては、競技スポーツに取り組む一部の競技者を除き、学校卒業後はスポーツに親しむ機会が少なく、誰もが、いつでも、どこでも、いつまでも各自の興味・目的に応じて、スポーツに親しめるような環境が整っていない。

 障がい者スポーツについては、スポーツが、障がいのある人自身の機能訓練、生きがいづくりや社会参加意欲の促進という観点からも大きな意味を持っており、障がい者のスポーツ人口の拡大が課題となっている。

 国際大会や全国規模のスポーツ大会の誘致について、平成二十七年度は、十二月に行われるクイーンズ駅伝を含め六つの競技大会が実施又は実施予定であり、平成二十九年度には、南東北三県において全国高等学校総合体育大会の開催が決定している。また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会では、ひとめぼれスタジアム宮城がサッカー競技の開催予定地とされている。

 県内の児童生徒は、体力合計点において全国平均に達せず、肥満傾向が高い。また、平成二十年度から開始した、四十歳から七十四歳を対象とした特定健康診査では、メタボリックシンドローム該当者及び予備軍の割合が、開始当初から五年連続で全国ワースト二位となっており、これらの改善が急務である。

 県立のスポーツ施設については、東日本大震災の被災に係る復旧工事は完了しているが、経年劣化に伴う施設の老朽化が進んでいる。市町村立の体育施設については、特に沿岸部において、東日本大震災の影響により、被災しいまだ復旧工事が未了であったり、仮設住宅が設置されたままとなっているなど、十分な利用ができない環境にある。また、少子化の影響も重なり、学校の統廃合が繰り返される状況の中で、地域ごとの諸事情とスポーツ振興を連携させた取り組みが求められている。

 東北電力名取スポーツパークの再開については、当議会に対し、「名取スポーツパーク愛島野球場の存続に関することについて」の請願が提出され、平成二十六年九月十七日に採択されたところであるが、十数億円にも及ぶ改修工事費用の負担に加え、年間一億数千万円の管理運営費等の負担が困難であることから、いまだ再開には至っていない。

二 参考人からの意見聴取

 公益財団法人笹川スポーツ財団 主任研究員 澁谷茂樹氏

 公益財団法人笹川スポーツ財団は、公営競技であるボート競技レースの収益金により、スポーツに関するさまざまな研究や調査活動のほか、国や自治体への政策提言や提案を行っている。

 澁谷氏は、国のスポーツ基本計画の施策について説明し、各自治体においてこの基本計画を指針として策定している地方スポーツ推進計画を、具体的に事業化することが重要であると述べた。

 地域スポーツ振興の課題として、学校開放施設においての一部の利用者による既得権化と新たな参加者の伸び悩み、少子化の影響による学校部活動の問題とスポーツ少年団活動の広域化があげられる。さらに地方財政の悪化により、学校の統廃合による学校体育施設の減少、指定管理料の縮減によるサービスの低下、体育協会

 やスポーツ少年団等への助成等の縮減などが想定されると述べた。そのような中、一部の自治体では、スポーツ担当課の教育委員会から首長部局への移管の動きが見られるが、教育委員会から離れたことにより学校現場との連携が難しくなる例もあるため、組織については、地域の実態に合わせて編成されることが重要であると述べた。自治体の財政が厳しい中で、青少年の健全育成、地域づくり、教育、観光等多方面的なスポーツの活用を最大化していくためにはさまざまな異なる業務の団体同士の連携も欠かせない要素であると説明した。

 従来型のスポーツ環境では、公共スポーツ施設や学校開放施設が飽和状態であることや、一部の指導者による子供の囲い込みのほか、運動の苦手な子供、障がいのある人、スポーツ経験の少ない高齢者などに対する受け皿不足等の課題があった。そのため、国では、多種目(複数の種目が用意されており、自分のやりたい種目に参加できる)、多世代(幼児から高齢者までが参加できる)、多志向(自分のレベルや目的に合わせて参加できる)という特徴を備え、公共スポーツ施設や学校開放施設などを拠点に地域住民が自主運営する「総合型地域スポーツクラブ」の育成を進めており、公共施設の効率的な利用、子供の多様なスポーツ種目の選択肢、世代間の交流及び中高の一貫指導などが期待されていると説明した。

 総合型地域スポーツクラブは、従来型の地域スポーツ環境の課題解決策として提示されたことを、全ての関係者が正しく理解することが必要不可欠であり、スポーツ関係者、学校関係者、地域づくり関係者も連携できる「装置」としての可能性を持っていると述べた。

三 県内調査

 1 東北電力名取スポーツパーク(名取市)

 東北電力名取スポーツパークは、平成四年三月から平成六年三月にかけて、東北電力株式会社が名取市愛島に建設した屋外型スポーツ施設であり、社員の福利厚生施設として整備され、平成十年五月より地域の発展に協力することを目的として、社員以外の利用も可能とし、全国高等学校野球選手権宮城大会などが開催されてきた。

 しかし、建設から二十年以上が経過し、老朽化により施設設備の大規模な修繕が必要となっていたことに加え、東日本大震災による被害を受けたことから、平成二十四年六月に閉鎖に至ったものである。東日本大震災による被害は、陸上競技場においては、トラックのひずみや段差、スタンド屋根の崩落、外壁の破損、建物内の雨漏りなどが、野球場においては、ファウルグラウンドの傾斜、ダグアウト前の側溝の沈下、スタンド外周の地盤沈下等が、その他においては、外周道路の亀裂、路面の地盤沈下、マンホール部分の隆起等があるとのことであり、大規模な改修が必要であるとの説明があった。

 2 気仙沼市

 気仙沼市では、活力あるまちづくりを推進するため、スポーツ活動の奨励とスポーツ環境の改善を図るとともに社会体育活動を行っている。学校体育施設開放事業として、学校の体育館を夜間や土日など学校として使用しない時間帯に開放し、市民の体力づくりに貢献しながら、地域の連携意識の醸成を図っている。市内には三つの体育館があるが、年間の利用者が五千人台である気仙沼市唐桑体育館は市の直接管理とし、九万人台の利用実績がある気仙沼市総合体育館と四万人台の利用実績がある本吉総合体育館は、市民の健康づくりの推進とスポーツ人口の増加を目指して、指定管理者制度の導入により一般社団法人気仙沼市体育協会に運営を委託している。

 本市は、フェンシングやラグビー、陸上競技などで日本代表を輩出するなどスポーツの盛んな地域であるが、近年、児童数の減少などにより、種目によっては、学校単位のチーム編成ができない事態が生じている。

 また、震災から四年以上が経過したが、応急仮設住宅の設置などのため、現在も多くの運動施設が使用できない状態が続いており、学校体育施設開放事業等により運動の場の確保に努めている。近隣自治体の運動施設に出向き、大会の開催や練習を行っている団体もある。今後は、有識者を含む関係者で構成される「気仙沼市運動施設の在り方検討委員会」を設置したので、整備を予定している南気仙沼地区復興市民広場、応急仮設住宅撤去後の運動場の復旧方針、統合後の学校運動施設の利活用などについて検討してもらい、提言を受け、スポーツ振興に関する施策に反映させることとしているとの説明があった。

 全国規模の大会誘致については、平成二十九年度全国高等学校総合体育大会が、山形、福島、宮城の南東北三県で開催する予定であり、本市においてはフェンシング競技の開催が決定している。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の関連では、大会期間前のトレーニング施設となる事前キャンプ地の誘致に取り組んでいると述べた。

 メタボリックシンドロームへの対策としては、特に健康調査の結果によると、応急仮設住宅入居者は、体を動かす機会が減少している人が多い状況にあるため、仮設住宅集会所を会場に、生活不活発病の予防に関する内容を加えた健康教室を実施している。メタボリックシンドロームの予防のためには、若年期から個人の健康意識を高め、より良い生活習慣を継続できるよう、地域における指導者等の人材確保が重要であるとの説明があった。

 3 一般社団法人気仙沼市体育協会(気仙沼市)

 一般社団法人気仙沼市体育協会は、指定管理者として、気仙沼市総合体育館と気仙沼市本吉総合体育館の管理運営を行っている。スポーツ振興の主な取り組みである「気仙沼市体育協会健康まつり」は、本協会の各加盟団体が主管となり、スポーツの日常化を図ることを目的に、五月から翌年三月までの間に、テニス教室やタグラグビー大会など、十六の教室や大会を開催している。また、地域スポーツクラブ普及推進事業として、市民にスポーツをする機会を提供し、スポーツを通じた健康づくりや楽しさの意識啓発をするため、公益財団法人宮城県体育協会からの補助により、親子・市民スポーツ教室及びスポーツ交流大会を開催しているとの説明があった。

 気仙沼市内の社会体育施設の状況は、市内小中学校の校庭のほか、市営野球場、市営テニスコート、五右衛門が原運動広場等、多くの社会体育施設に仮設住宅が建設され、東日本大震災から四年を経過しているが、今なお、運動施設として使用不能の状況は続いている。運動ができる公共施設が不十分であるため、市民は、一関市など近隣の市町の野球場や陸上競技場などを利用している。また、民間事業者のプールや運動ジムも被災したことから、本市体育協会の加盟団体においては、活動の休止を余儀なくされている団体が数多くあるとの説明があった。

 4 石巻市

 石巻市では、平成二十四年度より指定管理者制度により、特定非営利活動法人石巻市体育協会に、スポーツ施設の管理に加えスポーツ教室や各種大会事業の運営を委託し、「生涯スポーツ活動推進事業」、「競技スポーツ振興事業」及び「総合型地域スポーツクラブ育成・支援事業」を実施している。また、競技スポーツの振興、競技力向上及び体力向上を目的として、本市で開催される高校総体や社会人のスポーツ大会等、各種スポーツ大会への補助を実施している。平成二十六年度においては、スポーツ事業やイベントへの参加や、スポーツ実技の指導や企画立案への参画を通して、住民の身近な立場から本市のスポーツ振興を推進するため、スポーツ推進委員を五十三名委嘱しているが、委員の高齢化や委員の活用方法が課題となっていると述べた。

 学校体育施設開放事業の利用者は、学校部活動の延長やスポーツ少年団、社会人スポーツ団体が多く、開放校は常連の利用団体で年間の利用枠が決定している状況である。二十四年間、地元に親しまれ開催してきた石巻市のマラソン大会は、東日本大震災以降、中止を余儀なくされていたが、本年六月に「いしのまき復興マラソン」と名称を新たにして開催することとしているとの説明があった。

 メタボリックシンドロームへの対策としては、健康増進計画の中で、栄養・食生活、身体活動・運動及びこころの健康を最優先項目として市民の健康づくりへの取り組みを進めている。年代別の現状として、各種、直近の調査結果によれば、三歳児健診の結果では、七人に一人が肥満傾向となっていた。小中学生は、県児童生徒の健康調査結果によると、全国や県と比較して男女とも肥満者の割合が多く、成人期では、特定健診結果(四十歳から六十四歳)においては県内ワースト九位であり、運動習慣がない方の割合も高く、被災者特別健診結果(十九歳から三十九歳)でも、県内被災十五市町の平均よりも肥満者の割合が高かった。応急仮設住宅入居者健康調査によれば、震災後は、体を動かす機会が減少したとの回答が、約半数あり、狭い仮設住宅での生活や公園の減少等、住環境の変化等が影響していると思われると述べた。

 5 石巻市総合運動公園

 石巻市総合運動公園は、東日本大震災の直後、救助・支援・復興作業等の災害活動拠点となり、各方面の衛隊や救急隊が本施設を本部として活動を行っていたとの説明があった。

 市民球場は、自衛隊の野営テント及び大型車両の駐車地として約四か月間使用された後は球場の芝生の損傷が著しく、野球場としては使用できない状況となっていた。その後、平成二十三年十月、メジャーリーグ・ベースボール・ジャパン代表と石巻市長の会談がきっかけとなり、「TOMODACHIイニシアチブ寄付金」による石巻市民球場の人工芝の全面改修とスコアボードの改修を行ったとの説明があった。

 フットサルコートは、プロサッカー選手の本田圭佑氏が、スポーツを通じて将来を担う子供たちの健全育成とスポーツの推進を目的として設立した、「NOTICE of HONDA災害支援基金」によって建設され、本田選手の意向により、小学生以下の利用者は無料とされているとの説明があった。

四 県外調査

 1 熊本県

 熊本県では、平成二十六年二月に策定したスポーツ推進計画の計画期間を平成二十六年度から平成三十年度までの五年間とし「スポーツによる人が輝く豊かなくまもとづくり」を基本理念に、、「ライフステージに応じたスポーツ活動の推進」、「誰もが参加できるスポーツスタイルの拡大」「魅力あるスポーツイベントの充実」及び「競技力の向上と世界に羽ばたくトップアスリートの育成」の四つの基本施策に基づき事業を実施している。熊本県の課題としては、人口減少と少子高齢化の進行の問題、国の目標以下である県民のスポーツ実施率、瞬発力や筋力を要する種目の運動能力不足、小・中・高の運動部活動の指導に当たる教員の不足や負担感、実技指導力不足などの問題や、障がい者スポーツにおける指導者やボランティアの不足と施設環境の不十分さなどの問題がある。これらの課題解決への具体的方策は、総合型地域スポーツクラブへの加入促進、運動部活動の充実と地域との連携、高齢者に対して介護予防の必要性を広める取り組み、障がいの特性等に応じたスポーツへの参加促進やユニバーサルスポーツの普及等が挙げられると述べた。この説明の中で注目したのは、全国的にも珍しい小学生の運動部活動が存在していることであったが、平成二十七年度から四年間で、社会体育の枠組みに移行していく予定であるとのことであった。

 地域の特色でもある海や山の多様で豊かな自然環境は、アウトドアスポーツのフィールドであり、貴重なスポーツ資源となっているとの説明があった。スポーツ推進委員は千二百七十二人を委嘱し、スポーツ推進の調整役として期待されている。スポーツボランティア活動についてのアンケート結果によれば、「行いたい」と回答した方が三十四・六%、「行いたくない」と回答した方が四十六・七%を占めていることから、スポーツボランティア活動推進の機運の醸成が必要である。大規模スポーツイベント等の開催に関する県民アンケートによれば、七割以上が好意的な回答であった。

 次に健康増進への取り組みについては、平成二十六年七月から、県民の生活習慣を改善し、健康寿命を延ばすことを目的に、健康づくりを応援・推進する県民運動として、厚生労働省と連動した取り組みである「くまもとスマートライフプロジェクト」を開始しており、「栄養・食生活」、「身体活動・運動」をテーマに企業等から企画提案を募集し、五つのモデル事業を実施している。その中から、「ブルーサークルメニューの社員食堂版」と、「くまもとスマートライフアプリ(歩数計アプリ)」についての紹介があった。

 また、八つのスポーツ施設の運営状況と老朽化施設への対応について調査するとともに、熊本県民総合運動公園の視察を行った。九十七・六ヘクタールもの広大な敷地の熊本県民総合運動公園には、約三万二千人収容の陸上競技場を初め、全天候型の屋内運動広場「パークドーム熊本」、テニスコートなどがあり、県民のスポーツ活動と生涯スポーツの拠点となっている。陸上競技場は、プロサッカーチームであるロアッソ熊本のホームグラウンドであり、平成二十一年度には約三億円の大型映像設備の改修工事を実施している。「パークドーム熊本」は、「浮雲」と呼ばれる巨大な円盤形の二重空気膜と、テフロン屋根が楕円の独特な外観を形づくって目を引く施設であるが、過去には、台風被害や経年劣化により、億単位の改修工事を行っている。藤崎台県営野球場は、熊本城の敷地内の国有地に立地しており、大規模改修や防球ネットの高さ制限、スコアボード周囲の樹齢千年を超える特別天然記念物のクスノキの問題等があり、管理が難しい状況である。昭和三十五年に建設された同野球場と昭和四十六年に建設された熊本県武道館は、老朽化の問題もあり、所在している熊本市と県とで、今後の施設のあり方や維持管理の方法について検討を始めたところである。熊本県総合射撃場は、平成十一年の「くまもと未来国体」の射撃競技会場として整備され、交通アクセスの利便性が良く、県外からの利用者が多いのが特徴であるとの説明があった。

 2 愛知県

 愛知県では、今年度から、新たに知事部局にスポーツ振興課を設置し、全国・世界に打ち出せるスポーツ大会の招致・育成や地域の活性化につなげようとしている。「マラソンフェスティバルナゴヤ・愛知」等のスポーツ大会の支援、参加者や観戦者の増加を図り、地域の活性化につなげるため、フリーマガジンやソーシャルネットワークシステムを活用した情報発信、「あいちスポーツコミッション」の運営、フットサルワールドカップ二〇二〇の招致、ラグビーワールドカップ二〇一九の開催支援、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の招致及び合宿誘致について取り組むこととしている。

 平成二十五年三月に策定したスポーツ推進計画「いきいきあいち スポーツプラン」では、計画期間を平成二十五年度からの十年間とし、「学校と地域における子供のスポーツ機会の充実」、「ライフステージに応じたスポーツ活動の推進」「住民が主体的に参画する地域のスポーツ環境の整備」「競技力の向上を目指す取り組みの推進」の四つの基本施策に基づき事業を実施している。住民が主体的に参画する地域のスポーツ環境の整備については、総合型地域スポーツクラブ、大学、企業等が連携して地域スポーツの普及・発展を推進する取り組みが始まっているが、行政だけでなく、県民、学校、企業、スポーツ団体等が共助の精神で活動する「新しい公」を推進し、生涯スポーツ社会の実現を目指しているとの説明があった。

 大学や企業等との連携事業では、平成二十五年度及び二十六年度において、国の事業を活用した「大学・企業と連携したスポーツ推進事業」を実施した。平成二十六年度においては、プロジェクト?として、プロフットサルチームである名古屋オーシャンズによる小学生対象のフットサルクリニック、プロバスケットチームであるアイシンシーホーズ三河による小学生対象のバスケットボールクリニック、東海北陸車椅子バスケット連盟による車椅子バスケットボール体験、そのほか、県レクリエーション協会と連携したスポーツ指導教室等を行った。また、プロジェクト?として、東海学園大学、愛知淑徳大学、南山大学が有している充実した施設の活用や指導力の高いコーチや選手による指導を地域住民を対象に実施したとの説明があった。

 子供の体力については、平成二十二年度及び平成二十五年度に作成した「体力向上運動プログラム」の体育授業における活用方法の研究を進め、県内全域の小中学校への一層の普及に取り組んでいる。平成二十七年度は、「子供スポーツふれあい事業」として、オリンピック選手などのトップアスリートとともに小学生の親子を対象に「体力向上運動プログラム」講習会を開催することとしている。また、授業以外に放課後や休み時間に運動やスポーツを行っている優良校に対する顕彰や、運動能力テストの得点の高い児童や生徒に対する体力賞の交付を行っている。肥満対策に関連した取り組みとしては、小学生とその保護者の生活習慣病改善のため、あいち小児保健医療総合センターが行っている「アチェメック健康スクール」の利用について説明があった。

 スポーツ施設については、愛知県体育館、県武道館、県総合射撃場など、七施設が昭和三十九年度から平成五年度の間に設置されている。老朽化した施設の対応については、毎年度指定管理者からの改修整備要望を受け、危険性が高い順に改修工事を行っていると述べた。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会では、愛知県ゆかりの選手を多数輩出し、県民の一体感やスポーツの推進を支える好循環を創出するため、オリンピック実施競技の日本代表レベルにある強化指定選手を対象とした「競技力強化事業」及び「次世代の人材育成事業」を実施することとしている。その内、「次世代につなぐスポーツ人材育成事業」としては、県外の大学では日本体育大学と、県内の大学では中京大学、至学館大学及び東海学園大学と「体育・スポーツ振興に関する協定」を締結し、協定の主な内容は、優秀な指導者の派遣、県民の誰もが大学の施設を利用できること等となっている。トップアスリートが所属する企業とも連携し、講演会や最先端のスポーツ施設を利用した実技指導等を行うことにより、ジュニア選手のモチべーションを高め、競技の技術力向上を図ることとしているとの説明があった。

 障がい者の自立と社会参加を促進している。平成二十六年度は、全国障がい者スポーツ大会に五十八人、全国ろうあ者体育大会に四十九人の選手を派遣している。県内では、愛知県障がい者スポーツ大会や精神障がい者スポーツ大会を実施している。また、平成二十七年度は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機として、障がいがあっても、スポーツ活動に関心のある者又は既にスポーツ活動取り組んでいる者を対象に、愛知県ゆかりのトップアスリート・指導者による講演会及び実技指導を九月以降に実施することとしているとの説明があった。

 3 学校法人梅村学園中京大学(愛知県豊田市)

 中京大学では、スポーツ振興課において、スポーツに関することの強化、広報、地域貢献、普及に関する業務を行っている。

 地域貢献に関する業務では、キャンパス所在地である豊田市を中心としたスポーツ教室の開催、小・中・高へのクラブ活動指導者としての学生の派遣、地域イベントへの参加と協力を実施している。豊田市は、日本サッカー協会と協定を結び、アスリートが小学生にスポーツの意義と夢を持つことの大切さを教える「夢の教室」を、平成二十六年十月から始めている。平成二十七年五月から、新たにトヨタ自動車株式会社と本大学が支援団体として加わり、全国では初めての産学官連携事業として開催することとなった。「夢の教室」は、小学五年生を対象としており、アスリートが小学校を訪れて、夢を持つことの素晴らしさ、努力をすることやチームワークの重要性を伝えていくプロジェクトで、今年度は二十二校五十一学級において開催する予定である。本大学からは、大学院に在籍しているフィギュアスケートの小塚崇彦選手、陸上競技部の青戸慎司監督、バレーボール部の青山繁監督の三人を派遣することとしている。その他の地域貢献事業としては、硬式野球部による地元のシニアリーグの選手を対象とした野球教室やダンス部によるキッズダンス教室のほか、近隣の小中学校での部活動指導、地域スポーツクラブでの指導、スポーツイベントのスタッフとしての活動等がある。これらの地域貢献活動は、これまで学生個人として参加していたが、今年度からは、大学の事業として集約し、学生のキャリアとして就職活動に生かすほか、豊田市や愛知県内のニーズに対して、学生の紹介ができるよう、学生の情報をデータベース化し、活用することとしているとの説明があった。

 スポーツの普及に関する業務については、スポーツ応援の分野が難しい状況である。東海地区の大学スポーツの人気は薄く、東海地区においての良好な成績を収めた高校生は、関東地区や関西地区の人気のある大学に進学する傾向が強い。学内において今年度から、スポーツ政策課の設置と併せて「梅村学園・中京大学スポーツ将来構想会議」が理事長の諮問機関として発足し、スポーツ面での建学の精神の具現化を目指し梅村学園のスポーツ全般を見通した施策を考案し理事会に提言することとしていると述べた。

 文部科学省からナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点施設活用事業として指定を受けているアイスアリーナは、平成十九年五月に、世界のトップで活躍する選手の最高の練習環境を提供することと、このアリーナから世界で活躍できる選手を輩出するという二つの目的で建設された。トレーニング機器や理化学設備等を導入し、人的サポート体制等の整備も行っており、日本で唯一のフィギュアスケート専用リンクとなっている。また、このメインリンクに隣接して陸上トレーニング用施設、合宿等の際に利用できる宿泊施設及びサブリンクが整備されており、拠点施設として、学外の選手を含めた合宿練習等にも使用されている。また、地域貢献事業として、地元の中学生以下の選手には、サブリンクを無償で提供しており、夏休み期間には、一日平均約七十名の利用実績があるとの説明があった。

五 総括・提言

 これらの検討結果を踏まえ、本委員会は、スポーツ振興に関する諸施策について、次のとおり取りまとめた。

 1 スポーツの振興について

 (一)知事の強いリーダーシップを反映するため知事部局にスポーツ振興の担当課を設置し、積極的にスポーツができる環境整備と県外及び国外からのスポーツツーリズムの促進を図るよう早急に対応すること。

 (二)スポーツ庁の発足を機会に、県内市町村が進めるスポーツ推進計画を事業化し、実践的なものとするよう積極的に助言していくこと。

 (三)青少年のスポーツ、障がい者スポーツ、生涯スポーツ等各分野ごとに振興策を打ち出し、さらなるスポーツの振興を図ること。

 (四)県内の一部の大学にあっては、地域に施設を開放し、競技力向上に寄与しているところであるが、さらに競技力強化等を図るため、県と大学とで協定等を締結し、施設利用の幅を広げること。

 2 青少年のスポーツについて

 (一)一流アスリートのプレーを見る機会を創出し、子供たちが夢を持てる環境の醸成を図ること。

 (二)大学・企業と連携し、一流選手や指導者との交流を図るなど、ジュニア選手への効果的指導が活発にできるよう助成を含めた支援を行うこと。

 (三)少子化の影響により、学校の部活動等においてチーム編成が困難で、希望するスポーツができない状況について改善策を講ずること。

 (四)指導者不足のため、中学生及び高校生が指導者を求めて県外に進学していく状況から、早急に競技スポーツの指導者の確保と育成を図ること。

 (五)児童生徒の体力・運動能力が全国平均以下という現状を打開するため、多様な政策を打ち出し、児童生徒の体力・運動能力の向上に努めること。

 (六)スポーツ少年団に対し、県からの助成は皆無であり、指導者等については、全てボランティアとして活動している。スポーツを楽しみ、スポーツ活動を通じて協調性や創造性を養い、社会のルールや思いやりのこころを学ぶことのできるスポーツ少年団の活動に対し、県として支援を図ること。

 3 障がい者のスポーツについて

 障がい者のスポーツ活動を支援するため、障がいの特性に応じた対応のできる指導者とボランティアの養成を図り、障がい者が利用しやすいスポーツ施設を整備すること。

 4 生涯スポーツについて

 総合型地域スポーツクラブについて、各市町村と地域住民が連携しながら効率的な施設利用を図り、地域の実情にあったスポーツ活動が行えるよう、県が地域ごとの実態把握に努め、市町村に対し指導・助言すること。

 5 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等について

 (一)ひとめぼれスタジアム宮城が、サッカー競技の開催会場に予定されていることから、県民と一体となって誘致活動に取り組むこと。

 (二)二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の聖火リレーのルートについては、石巻市内を出発点として、被災の大きかった沿岸部を走るコースを検討すること。

 (三)関係団体等との緊密な連携を図りながら各競技種目の事前キャンプ地として、多くの市町村への誘致を実現させること。

 (四)震災から復興した我が県の姿を世界に向けて発信し、世界中から寄せられた支援に対して謝意を表する機会をつくるためにも、さまざまな国際大会を誘致していくこと。

 6 メタボリックシンドローム対策について

 (一)メタボリックシンドロームの予防として若年層から健康意識の啓発を図るため、食育を充実すること。

 (二)東日本大震災による応急仮設住宅の入居者等に対しては、生活不活発病の予防のため、スポーツ教室等を重点的に行うこと。

 7 スポーツ施設について

 (一)県及び市町村が所有するスポーツ施設の老朽化に伴う改修工事への対応、及び東日本大震災の影響によるスポーツ施設や、運動スペースの不足を解消することが喫緊の課題であることから、子供たちが伸び伸びと活動する環境を早急に整えること。

 (二)冬季オリンピック競技大会フィギュアスケートにおいて、二名の金メダリストを我が県から輩出しているにもかかわらず、練習環境が整わないため県外において活動しており、メダリストに続く若い選手が将来、県内での活躍を可能とするため、フィギュアスケート発祥の地である仙台市と協力し、公式競技のできるアイスリンクについて整備方法を検討すること。

 8 東北電力名取スポーツパークについて

 東北電力名取スポーツパークの再開に向けて、市町村、競技団体、大学、経済界等多くの団体と協議の場をつくるとともに、株式会社東北電力に対しては、地域に対する社会貢献の意識を継続するよう働きかけを

 行い、広大に開発されたスポーツパークが再び生かされるよう検討を重ねること。

以上、これらの提言が今後の関係施策に十分反映されることを期待して、報告とする。

  平成二十七年十月二日

            宮城県議会スポーツ振興調査特別委員長 太田稔郎

 宮城県議会議長 安藤俊威殿

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○議長(安藤俊威君) これより質疑に入ります。

 委員長報告に対し質疑はありませんか。−−質疑なしと認めます。

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△議員派遣について



○議長(安藤俊威君) 日程第十六、議員派遣についてを議題といたします。

 お諮りいたします。

 宮城県議会会議規則第百三十条第一項の規定により、お手元に配布のとおり、議員を派遣することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



○議長(安藤俊威君) 御異議なしと認めます。

 よって、さように決定いたしました。

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    議員派遣について

                         平成二十七年十月五日

 次のとおり議員を派遣します。

一 地方議会活性化シンポジウム2015

 (一)目的 地方分権時代における地方議会に対する市民の信頼と参加の確保に関する意見交換

 (二)場所 東京都

 (三)期間 平成二十七年十一月十六日(一日間)

 (四)議員 長谷川洋一議員、伊藤和博議員

二 第十五回都道府県議会議員研究交流大会

  (一)目的 都道府県議会議員の共通課題に関する意見交換

 (二)場所 東京都

 (三)期間 平成二十七年十一月十七日(一日間)

 (四)議員 仁田和廣議員、長谷川洋一議員、中山耕一議員、菅間進議員、

       岸田清実議員、高橋伸二議員、伊藤和博議員、遠藤いく子議員、

       石川利一議員、太田稔郎議員

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△委員会の継続審査・調査事件について



○議長(安藤俊威君) 日程第十七、委員会の継続審査・調査事件についてを議題といたします。

 各常任委員長及び議会運営委員長から、宮城県議会会議規則第七十四条の規定により、お手元に配布のとおり、閉会中の継続審査・調査事件の申し出がありました。

 お諮りいたします。

 各委員長から申し出のとおり、閉会中も継続審査・調査とすることに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



○議長(安藤俊威君) 御異議なしと認めます。

 よって、閉会中も継続審査・調査とすることに決定いたしました。

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    請願継続審査一覧表

     第三百五十三回宮城県議会(九月定例会)平成二十七年十月五日

  保健福祉委員会



請願番号
要旨


三四一の一
乳幼児医療費助成制度の拡充を求めることについて


三五〇の三
放射能被ばくに対する子どもの健康調査の実施を求めることについて



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    常任委員会及び議会運営委員会継続審査・調査事件一覧表

     第三百五十三回宮城県議会(九月定例会)平成二十七年十月五日

  総務企画委員会



番号
件名



行財政の運営について



県政の総合企画調整について



地域振興対策について



総合交通対策について



私立学校の振興及び公立大学の運営について



前記各号に係る放射線対策について





  環境生活農林水産委員会



番号
件名



環境の保全及び公害の防止について



県民生活の安定及び向上について



青少年の健全育成について



農業、林業及び水産業の振興について



農地関係の調整について



土地改良事業について



前記各号に係る放射線対策について





  保健福祉委員会



番号
件名



保健衛生及び医療対策について



社会福祉対策について



社会保障対策について



病院事業について



前記各号に係る放射線対策について





  経済商工観光委員会



番号
件名



商業及び工業の振興について



観光の振興について



雇用及び労働対策について



前記各号に係る放射線対策について



  建設企業委員会



番号
件名



道路及び河川事業について



都市計画及び住宅事業について



建築行政について



港湾及びその他の土木事業について



公営企業の運営について



前記各号に係る放射線対策について





  文教警察委員会



番号
件名



学校教育(私立学校及び公立大学関係を除く。)及び社会教育の振興について



スポーツの振興及び文化財保護対策について



交通安全対策について



防犯対策について



前記各号に係る放射線対策について





  議会運営委員会



番号
件名



定例会等の日程について



議員発議の議案、委員会条例及び会議規則について



議会運営に関する事項について



議長から諮問された事項について



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△知事あいさつ



○議長(安藤俊威君) 以上をもって、本日の日程は、全部終了いたしました。

 閉会に先立ちまして、知事からごあいさつがあります。知事村井嘉浩君。

    〔知事 村井嘉浩君登壇〕



◎知事(村井嘉浩君) 議長のお許しをいただきましたので、この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 先月三日に開会いたしました今議会も、間もなく一カ月に及ぶ日程を終えようとしておりますが、会期中に平成二十七年九月関東・東北豪雨に見舞われ、我が県も洪水等により大きな被害を受けました。ここに、改めて、お亡くなりになられました方々に哀悼の誠をささげますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。

 また、議員の皆様には連日にわたり慎重かつ熱心に御審議を賜り、平成二十七年度一般会計補正予算案を初めとする提出議案のすべてを原案どおり可決、認定していただきました。この場をおかりいたしまして、厚く感謝申し上げる次第であります。

 今議会は、議員の皆様にとりまして今任期中における最後の議会でありますので、その閉会に当たりまして、皆様にこの四年間の御礼を申し述べさしていただきたいと存じます。

 議員各位におかれましては、平成二十三年の選挙におきまして当選の栄誉を得られ、以来今日まで、県民の代表としてその重責を全うされ、県政の発展に多大な御尽力を賜りました。

 この四年間を振り返ってみますと、東日本大震災からの一日も早い復旧・復興を目指して、議会と執行部がともに汗をかきながら、時に熱い議論を交わし、時に励まし合い、手を携え合って日々歩み続けてきたものと感じております。この間、議会に対しましては、数度にわたって臨時会の開催をお願いしたばかりでなく、一つの会期中に二回三回と重ねて補正予算案を提案いたしましたほか、多数の工事関係議案を次々と提案し、しかも早期議決をお願いするなど、今になって考えれば、私といたしましても随分無理難題を申し上げたと思うようなこともございました。それにもかかわらず、これまでの前例にない申し出に対しましても議会として常に真摯に受けとめてくださり、速やかな御審議に精いっぱいの御努力を賜りました。

 また、復興に関する諸課題の解決に向けて、議会みずから国に対して繰り返し意見書を提出し、要望活動を行うなど積極的に取り組まれ、私も幾度となく心強い思いをしたところであります。私にとりましては、議会と執行部が県政の車の両輪であることを改めてかみしめることのできた四年間であり、一日も早い復旧・復興に議会として果たされた役割は極めて大きかったものと、衷心より御礼を申し上げる次第であります。

 また、この四年間に制定された議員提案条例は、先ほど可決・成立したものも含めて三件に上り、宮城県議会の高い政策立案能力を遺憾なく発揮されたたまものであると深く敬意を表するものであります。この四年間は、地方自治法の施行後六十八年にわたる宮城県議会の歩みの中におきましても、大変密度の濃い後世の記録に特筆される期間であったことは紛れもありません。

 ここに、県民の皆様を代表し、これまでの御労苦と御努力に対しまして、厚く感謝と御礼を申し上げます。

 皆様の任期もあとわずかになりました。目前に迫ります県議会議員の改選に臨まれる議員におかれましては、重ねて御当選の栄に浴され、引き続きこの議場で震災からの復興そして県政発展のために御活躍されますよう御健闘をお祈り申し上げます。

 また、今期をもちまして十二名の議員の方々が御退任され、後進に道を譲られると伺っております。御退任なされます今野隆吉議員、千葉達議員、中村功議員、石橋信勝議員、小野寺初正議員、横田有史議員、内海太議員、本多祐一朗議員、岩渕義教議員、小野隆議員、佐々木征治議員、佐藤詔雄議員におかれましては、長年にわたり県政発展のために多大な御尽力を賜りました。これまでの御功労に対しまして深甚なる敬意を表しますとともに、御健康に留意され、いつまでもお元気で御活躍されますことを心からお祈り申し上げる次第であります。

 以上、尽きぬ名残を込めまして、御礼のあいさつとさせていただきます。

 皆様、まことにありがとうございました。

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△議長あいさつ



○議長(安藤俊威君) 第三百五十三回宮城県議会を閉じるに当たり、一言ごあいさつを申し上げます。

 初めに、さきの平成二十七年九月関東・東北豪雨でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。

 ただいま村井知事からは大変心のこもったお言葉をいただき、全議員を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 私たちは、平成二十三年十一月の選挙により、宮城県議会議員として県民の皆様から選出されました。以来今日まで、県民の負託と信頼にこたえ、重責を果たすべく誠心誠意努めてまいりましたが、本日、ここに、任期最後となる定例会の最終日を迎え、まことに感慨深いものがあります。

 この四年間は、何よりも東日本大震災からの復旧・復興を第一に、議会としましても特別委員会を設置して精力的に調査活動を行い、執行部や他の被災自治体議会とともに、国への要望活動など積極的に取り組んでまいりました。

 被災地では復興が本格化しつつありますが、今なお多くの方々が仮設住宅での不自由な生活を余儀なくされているなど、震災からの復興はまだまだ道半ばであると感じております。

 今後、震災からの復興にとどまらず、人口減少や少子高齢化を初めとした現代社会を取り巻く諸課題を解決し、創造的復興を成し遂げるためには、今定例会で可決されました宮城県地方創生総合戦略の着実な推進を図り、執行部と議会が力を合わせて先進的な地域づくりに取り組むことが重要であります。また、昨今の地域経済や子ども・子育てを取り巻く環境の変化に対応するとともに、県民の安全安心を確保するため、議員提案による政策条例の制定に尽力してまいりましたほか、災害時の総合的なマニュアル作成など、継続して議会改革の歩みを進めてきたところでございます。

 今後とも、引き続き県政の重要課題を克服しながら、ふるさと宮城の発展を目指していくことが肝要であり、県議会の果たす役割はますます重要になってくるものと思われます。

 そのためにも、議員各位におかれましては、来る県議会議員選挙において見事当選の栄に浴され、再びこの議場で御活躍されますよう、御祈念を申し上げます。

 なお、今期をもちまして御勇退を表明されました今野隆吉議員、千葉達議員、中村功議員、石橋信勝議員、小野寺初正議員、横田有史議員、内海太議員、本多祐一朗議員、岩渕義教議員、小野隆議員、佐々木征治議員、そして佐藤詔雄議員におかれましては、これまでの御指導、御鞭撻に心より感謝申し上げますとともに、今後とも、議員礼遇者として大所高所から御意見を賜りますようお願いを申し上げます。

 最後に、私ごとになりますが、一昨年の十一月定例会におきまして、皆さん方の御賛同を賜り、第三十八代議長に選出されて以来今日まで、大過なく議長職を務めさせていただきました。この間、議員各位にはもちろんのこと、村井知事を初め執行部の皆様から多大なる御理解と御協力を賜るとともに、議会事務局の皆様方の支えにより、渥美副議長の御協力のもと、議長としての重責を果たすことができました。

 心より御礼を申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。

 まことにありがとうございました。

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△閉会



○議長(安藤俊威君) これをもって、第三百五十三回宮城県議会を閉会いたします。

    午後二時五十分閉会