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北海道 札幌市

平成17年(常任)厚生委員会−07月19日-記録




平成17年(常任)厚生委員会
 札幌市議会厚生委員会記録
           平成17年7月19日(火曜日)
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      開 会 午後1時2分
○小野正美 委員長  ただいまから、厚生委員会を開会いたします。
 報告事項は、特にございません。
 なお、陳情提出者から資料の提出がありましたので、お手元に配付してあります。
 それでは、議事に入ります。
 陳情第136号 高次脳機能障害の施策の充実を求める陳情を議題といたします。
 提出者から趣旨説明を受けるため、委員会を暫時休憩いたします。
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      休 憩 午後1時3分
      再 開 午後1時31分
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○小野正美 委員長  それでは、委員会を再開いたします。
 質疑を行います。
 質疑はございませんか。
◆馬場泰年 委員  私の方から、数点、お伺いいたします。
 まず、最近は、救命救急医学や医療の進歩によって、今、提出者の方からもお話がありましたとおり、交通事故などによって頭にけがを生じても、脳卒中などの病気でも命を助けることはできるようになってきている。このこと自身は大変喜ばしいことだと思いますけれども、その一方では、今、提出者の方からるる説明がありましたけれども、こうしたけがや病気で脳に傷がついて、そのことによって後遺症としての障がいに苦しんでいる人も、また少なくない現状になってきておるという状況であります。
 私は、今回の陳情にあります高次脳機能障がいとはおおよそそのように理解しているわけでありますけれども、この高次脳機能障がいの問題に関しては、平成13年度から本年度まで高次脳機能障害者支援推進モデル事業として行われてきているわけであります。それを受けて、札幌市も北海道との共同事業で問題に取り組んできている、そういうふうに伺っているわけであります。
 そこで、何点か質問いたしますけれども、まず、高次脳機能障がいとは一般の市民にとっても余り耳になじみがないというものではなかろうかなと。そればかりか、医療や福祉にかかわる専門家の間においても、十分理解されていない節もあるというふうに伺っているわけであります。
 そこで、1点目の質問でありますけれども、まず、具体的にどのような障がいであるのか、少々詳しく説明をいただきたい。また、どんな困難を生じているのか。
 それから、2点目は、支援モデル事業の目的と事業内容についてお伺いしたいと思います。
 今回の陳情にかかわる国の補助事業である高次脳機能障害者支援推進モデル事業、これは、何を目的に、どのようなことをするものなのか。どの程度の次元のものを求めてこれをやっておるのか、その事業の目的と内容、これについてもお伺いしたいと思います。
 それから、3点目でありますけれども、平成13年度からモデル事業として道と一緒に札幌市も取り組んできました。そこで、札幌市としては、取り組んできた成果をどのように受けとめておられるのか、この3点をちょっとお伺いしたいと思います。
◎佐藤 障がい福祉担当部長  今、3点のお尋ねでございますけれども、まず、高次脳機能障がいとはいかなる障がいかということでございます。
 今、陳情者の方から、お子さんの関係で具体的に十分なご説明がありましたけれども、一般論として若干ご説明申し上げます。
 医学、医療の専門家の間では、必ずしもコンセンサスが得られているという状況のものではありませんけれども、専門用語といたしましては、外傷性の認知障がいということです。これを平易に申し上げますと、頭のけがとか病気の後遺症で、脳に負った傷によって麻痺がないのに動作が行えなくなったり、物事を順序立てて行えなくなる、また、感情や行動のコントロールが難しくなる、それから、事柄を覚えたり思い出したりすることが困難になったり、注意を集中できなくなる、こういったような症状があらわれるものでございます。そのような症状のある人の中で、これに起因いたしまして日常生活あるいは社会生活への適応が困難となる、こういう人々のことを行政用語で高次脳機能障がいと呼んでおりまして、一連の施策の対象者として認識したものでございます。
 高次脳機能障がいにつきましては、福祉的な観点から言いますと、身体・知的・精神の三つの障がいの領域にまたがる場合も少なくないものでございます。三つの障がいの重なりの問題とともに、それぞれの制度の谷間の中で必要な支援が提供されにくくなる、こういったおそれがあることや、この種の障がいに関する知識と技術を持つ専門機関が少ない、こういったような医療福祉現場における問題点も指摘されているところでございます。
 次に、高次脳機能障害支援モデル事業の目的及び事業内容についてでございますけれども、平成13年から15年までの3カ年につきましては、高次脳機能障がいのある人の自立した日常の社会生活を支援するために、その具体的な支援方策を検討することを目的としたものでございます。
 事業内容といたしましては、先ほど来、話が出ております全国12の地方自治体及び国立身体障害者リハビリテーションセンター、ここに登録症例を集積いたしまして、評価基準あるいは訓練プログラム、支援プログラム、こういったものを作成したものでございます。その後の平成16年度、17年度の2カ年におきましては、それまでの成果を踏まえ、地域の関係機関の連携のもとに、各種の制度を活用したサービス提供を試行的に行い、支援体制の確立を図ることを目的としております。事業内容といたしましては、各自治体において支援対策整備推進委員会を設置し、登録した個々のケースの検討を行う、あるいは、効果的な支援方法、普及啓発方法について総合的な検討を行う、それから支援の拠点施設に支援コーディネーターを置いて社会復帰支援のための継続的な調整を行う、こういったものでございます。国におきましては、国立身体障害者リハビリテーションセンターにおいて、全国12カ所の拠点と連携して普及可能な支援体制の確立に向けた検討に取り組む、こういった事業内容でございます。
 次に、モデル事業の成果の、札幌市としての受けとめ方についてでございます。
 高次脳機能障がいのある人の総合的な支援に関しまして、全国で初めての事業ということでございます。この12の拠点の一つとして、札幌市におきましても参加をし、高次脳機能障がいのある人の状況を把握し、今後の支援のあり方の研究に貢献できたということにつきましては、今後の札幌市における施策の展開において大変有意義であったのかなというふうに思っております。このモデル事業を通じまして、札幌市内の当事者の方あるいはご家族の方々の自助的な活動が活性化されました。また、医療や福祉にかかわる専門職の方々の関心も喚起されるなど、地域医療、地域福祉に大変よい影響があったのではないかなというふうに受けとめております。今後とも、この成果が生かされるように施策を検討してまいりたい、そのように感じております。
◆馬場泰年 委員  答弁の中で、平成13年度から15年度までの前半3カ年では、高次脳機能障がいの診断基準、評価基準及び訓練プログラムが策定された、そして、国立身体障害者リハビリテーションセンターで専門的な検討が行われたということでありました。
 そこで、質問ですけれども、訓練プログラムの有効性というのはどういうものなのか。また、今後、この検討結果を踏まえて、それをどのように活用していくことが必要と考えているのか、この点、お伺いしたいと思います。
 次に、高次脳機能障がいの理解のための職員研修の部分についてです。
 障がいのある人と支援を結びつける重要な役割を担う、いわば保健師とか、相談員とか、ケースワーカーなどを初めとする市の職員が、まずは正しい知識に基づく適切な対応をとるということは殊のほか重要であると、皆さんも十分理解していることと思います。そのために、陳情の要旨の4項目めにも掲げておられますけれども、高次脳機能障がいに関する職員研修が積極的に実施されることは極めて必要性の高いことであると私も思うわけであります。
 まず、研修について、札幌市は、この間、どのように取り組んできておられたのか、その取り組み状況をお聞かせいただきたいと思います。
 また、この状況を踏まえて、今後どのようにしていこうとしているのか、この点をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
◎佐藤 障がい福祉担当部長  まず、国立身体障害者リハビリテーションセンターの標準的な訓練プログラムの有効性、こういったことでございます。
 これまでのいろんな調査や分析で明らかになっておりますことは、傷を受けた、あるいは回復した後、速やかに訓練に導入できた方については改善率が高い。したがいまして、できるだけ速やかに訓練に導入できる体制づくりがぜひとも必要であるというふうに思われております。今後につきましては、中央の研究結果をもとに、拠点病院、その他の意欲的な医療機関等と連携いたしまして、モデル事業の成果の普及に努めてまいりたいと考えております。
 次に、高次脳機能障がいの理解のための職員研修でございますけれども、保健福祉の相談支援等に携わる保健師、精神保健福祉相談員等の職員が高次脳機能障がいに対する知識とか理解を深めることにつきましては、極めて重要であるというふうに考えております。そのため、札幌市では、昨年度から精神保健福祉センターが毎年行っております精神保健関係職員研修の中で、高次脳機能障がいに関する講義を実施しているところでございます。本年は、5月に研修を行いまして、通常であれば30名から50名ぐらいの参加者でございますけれども、この日は約80名が受講しております。各区の保健センターの精神保健福祉相談員、保健センターあるいは保健福祉サービス課の保健師、それから保護課のケースワーカーなどの市職員のほかに、公共職業安定所あるいは障害者職業センター、こういった外部の関係職員の方も参加して行ったわけでございます。今後とも、できるだけ関係職員に対する研修を幅広く実施してまいりたい、そのように考えております。
◆馬場泰年 委員  関係職員の研修については、今説明のあったとおり、その重要性を認識されて昨年から行っているということであります。
 高次脳機能障がい者の総合的な支援に関しては、いわば専門的な領域を多く含んでおるものであります。それだけに、特に医療機関や外部の専門機関との連携は欠かすことのできない大切なことではなかろうかと。したがって、陳情にありますとおり、この点についてもモデル事業の成果が生かされるように、保健師などの市職員の研修に当たってはもちろんでありますけれども、そこと医療機関、他の支援機関との連携体制をきちんととっていかなければならないのではなかろうかなと。
 先ほどの提案者の説明では、いいお医者さんとのかかわりの中で、お子さんの状態に、認識の程度の違いといいますか、そういうものも実際生じてきておるようであります。したがって、特に医療機関との連携といいますか、それをこれからの施策に、いろいろとやっていかれるでしょうから、ぜひこの点を十分考えて今後の対応をとっていっていただきたい、このことをお願いして、終わります。
◆三宅由美 委員  今般の陳情では、要旨の1、2でありますけれども、センター機能を持つ拠点施設の設置、あるいは、高次脳機能障害支援センターの設置を求めると。高次脳機能障害支援センターとはどういったものなのか、どういう機能を必要と認識されているのか、このモデル事業を経た結果でお話し願いたいと思います。
 また、先ほど私の陳情者への質問で、数カ所、三重方式、あるいは福岡市の心身障害者センターがセンター的な役割を果たしている、名古屋は総合リハビリセンター、そして千葉は小児を対象に中核地域生活支援センターがセンター的な役割を果たしているとのお話がありました。陳情の中では、市独自ではなく、全道をカバーするような高次脳機能障害支援センター、総合センターが必要だともおっしゃっておりました。今の認識はどうなのかということをお伺いいたします。
 それから、2点目ですけれども、このモデル事業の成果が生かされ、高次脳機能障がいのある人への支援を継続していくためには、専門的なケアはもちろんですが、専門性はそれほど高くなくても、日常的で一般的なケアが地域において継続的に提供されていくことがぜひとも必要であるというふうに、私は趣旨説明を聞いていくうちに考えました。そのための方策について、札幌市としてはどのようにお考えなのか、まず、お伺いいたします。
◎佐藤 障がい福祉担当部長  1点目の高次脳機能障害支援センターについてでございます。
 現在のところ、施設としての基準が定められたものはございません。平成13年度から15年度までのモデル事業におきまして、支援について総合的に検討される中で、専門的な調整、支援力を有した拠点施設機能、それから、支援の中核となる人材を一定支援を提供する社会資源であるという認識をしております。当面、札幌市におきましては、既存のいろんな施設を利用しながら考えていきたいなというふうに思っております。
 その機能につきましては、これは、12拠点の中の病院関係者の集まった連絡協議会の中で協議されましたけれども、一つには、高次脳機能障がい者と家族及び地域の支援機関への相談支援を行うこと、それから、地域における支援体制の整備を図るとともに関係機関への技術的な支援を行うこと、このほかに、都道府県域に設置されるであるとか、あるいは支援コーディネーターが在籍していること、こういった機能がつけられるべきだというようなことをその中で話されております。
 次に、2点目の地域における日常的で一般的なケアの継続についてであります。
 委員ご指摘のとおり、専門性は余り高くなくても、日常的で継続的な支援が障がいのある人の身近なところで提供される、これは非常に大切なことでございます。そのためには、このモデル事業の試行結果を踏まえまして、各福祉施設等、あるいは就業、それから就学、在宅生活、こういった中で支援をする機関などにも積極的な情報提供をするなど働きかけていきたいというふうに考えております。
◆三宅由美 委員  私は、先般、コロポックル・レディースの会組織に行ってまいりましたら、近所の大勢の主婦の方々がボランティアとして参加されておりました。また、もう一つ、白石の本郷通では、商店街の方と連携をとりながらサポートしていくというような体制もとられておりました。
 街づくりの中で、やはり、これは大変重要な事業だと私は考えております。特に、障がいの種別によらないということで、障害者自立支援法がこれからできますけれども、必要とする方が生活圏域の中でそのようなケアを受けるということがまず何よりも大切だと私は考えているところなんです。一口にこう言いましても、高次脳機能障がいについてはなかなか難しいところがあります。特に、NPO法人として先行的にこのようなケアサポートを行っている事業所のノウハウを十分に地域の中に広げていくにはどうしたらいいかということを、工夫して広めていっていただきたいと考えているところです。
 再質問なんですけれども、要旨3にかかわることです。
 現在、国会では、障がいのある人の自立した日常生活と社会生活を保障するため、障がい種別によらない共通のサービスの枠組みづくり、いわゆる障害者自立支援法案が審議されております。その中では、陳情にありますとおり、障害福祉計画を策定し、具体的な支援計画を定めることとされています。
 しかしながら、まだ成立していない法律に基づいた制度について、ここで理事者のお考えをお聞きすることは必ずしも適切ではないと思いますので、方向性ということにとどめておきたいと思いますが、趣旨としましては、いわゆる3障がい共通の福祉サービスの推進が求められているということだと思います。つまり、これによって障がい種別ごとの谷間に落ちてしまうようなことのないよう、支援を必要としている人には、その必要に応じて確実にサービスが提供されるような支援策が講じられる必要があると考えております。
 そこで、3障がい共通の福祉サービスの推進ということでは、札幌市では平成15年に障害者保健福祉計画を策定しましたが、この中で高次脳機能障がいについての取り組みを盛り込んだのかどうか、確認しておきたいと思います。
 また、この計画の今後の見直しに当たっては、高次脳機能障がいをどう位置づけしていくお考えか、あわせてお伺いいたします。
◎佐藤 障がい福祉担当部長  札幌市の障害者保健福祉計画についてのご質問でございます。
 高次脳機能障がいへの取り組みにつきましては、精神保健施策の充実といったことから、高次脳機能障がいに対する支援策を、国あるいは北海道、関係医療機関、施設、こういったところとともに調査研究を進めていくというふうにのせてございます。具体的には、支援モデル事業の中で訓練プログラム、支援プログラムの調査研究を進める、こういったことでのせております。
 また、計画見直しに当たっての位置づけについてでございますけれども、この計画につきましては、平成15年度から24年度までの10年間の計画ということで策定しておりますが、社会経済情勢などの変化によりまして見直しの必要がある場合については見直しを行うというふうにしております。今後、必要な際には、これまでのモデル事業の成果を踏まえるとともに、国、北海道の施策展開に十分留意いたしまして、高次脳機能障がいの施策充実を図っていくように検討してまいりたいというふうに思っております。
◆三宅由美 委員  これまで、谷間の障がいということでなかなか認知されなかった高次脳機能障がいが、ようやくモデル事業も終わり、また、障害者自立支援法案の中でも語られるようになりました。ぜひ、強力にこのことを推進していくために、札幌市の障害者保健福祉計画の中にもきちんと盛り込んでいただきたいと思います。
 最後に、要望なんですけれども、今まで、北海道には炭鉱がありまして、低酸素脳症の方々が精神病院の中で一生暮らさなければならないといったようなことが多くあったんですけれども、これからはそうではなく、できるだけ地域で生活する、就労もできるといったようなことが大切になってくると思います。そのために、何より一番必要なのは、急性期を過ぎた後の早期のリハビリだということも先ほどの答弁の中でおっしゃっておりました。特に、私が要望したいのは、救急救命センターを持っている市立病院は、確かに命を助けてくださいますけれども、急性期を過ぎた患者さんへの対応、これが本当に十分なのかどうか、この辺のところも常にチェックしていただきながら施策を進めていただくことを要望して、質問を終わりたいと思います。
◆三浦英三 委員  段々の質問がありましたので、初めに、高次脳機能障がいのある人への支援に関しましては、我が党の、脳神経外科医でもあります渡辺孝男参議院議員が幾度となくこの問題を国会で取り上げさせていただきまして、診断基準の策定、さらには就労支援の必要性等々を何回も訴えられ、今回、このモデル事業の実現に我が党としても努力をしてまいりました。そういう意味からいきますと、平成13年度からのモデル事業の実施について、札幌市が北海道とともに全国の自治体に先駆けて率先して手を挙げ、コロポックルの皆さんとともに実施をしてきたということは、大変うれしく思っております。
 質問がたくさんありましたので、私からは、2点、ちょっと重なる部分もありますが、質問させていただきたいと思います。
 1点目に、先ほど来、馬場委員の質問の中でモデル事業の概略については答弁がありましたけれども、ここでは少し突っ込んで、具体的に札幌市ではどんな実態になっているのかということを改めてお聞きしたいと思います。
 また、モデル事業を行ってどんな成果が上がっているのかということも、具体的にお願いしたい。
 さらには、今後の課題は何かという点についても具体的にお答え願いたいと思います。
 2点目は、先ほど来ありましたけれども、救命率が向上して、その陰に取り残されて苦しんでこられた高次脳機能障がいを持つ方々に、やっと最近光が当たってきたな、こういう感があるわけであります。しかし、この問題は最近になって急に生じた問題ではなくて、先ほどもお話がありましたけれども、交通事故とか炭鉱事故など、この北海道でも昔から脳の損傷に基づいた障がいに苦しむ人々が少なくなかったのだということを聞いております。いわば古くて新しい障がいということでありますけれども、これまで必ずしも適切な診断とか対応がなされてこなかったと思うわけでございます。
 そういうことから、実際問題、陳情者の先ほどのご報告にもありましたけれども、お医者さんたちの間ですら、これまではこの障がいに対する正しい理解が進んでいない実態があった、こう思うわけでございます。今回、モデル事業がそういう実態を改善する大きなきっかけになればいいなということも、私は期待をしているわけであります。
 そこで、2点目の質問ですけれども、陳情にありました市民と札幌市職員の啓発というのはもちろんのこと、馬場委員からも要望のありました専門のお医者さんへの意識啓発の必要性について、札幌市ではどのように考えているのかということをお伺いしたいと思います。
◎佐藤 障がい福祉担当部長  まず、札幌市における高次脳機能障がいのある人の実態ということでございます。
 身体・知的・精神の三つの制度にまたがる、そういった対象者の一部で、かつ、範囲がややあいまいな部分がありますので、施策の対象者としての実数把握ということは現在のところ困難でございます。
 しかしながら、札幌市におきましては、平成13年度に北海道と共同でアンケート調査を行いました。全道のクリニックを除く400強の病院あるいは施設、そういった関係機関に対するアンケート調査でございますけれども、その当時で約690名の方がこういった高次脳機能障がいということで、うち約半数が札幌市内に在住しているというようなことがアンケート調査の統計からわかってきております。
 また、成果についてでございますけれども、平成13年度からの3年間は30名ほど、それから16年度からの2年間は40名ほどの高次脳機能障がいのある人を試行事業の対象者として登録し、実際の訓練あるいは支援のプログラムを提供してまいったわけでございます。前半3年間の約30名につきましては、訓練プログラムと支援プログラムが適時提供されたものでございますが、このうち約3分の2の方々に、やや改善、あるいは改善といった状況を得たということで、一定の効果があることがわかったものでございます。
 今後の課題といたしまして、今お話ししましたとおり、障がいの状態になって長期間たってからの訓練では必ずしも芳しい効果が得られていないということで、できるだけ早い時期の訓練の導入が大切であるということがございます。それから、罹病期間の長い障がい者の方に対しましては、やはり必要な支援が身近なところで継続的に提供される、こういったことが必要なのではないかなというふうに考えております。
 次に、医師等に対する情報提供についてでございます。
 関係する専門医師が、高次脳機能障がいに対する高い見識を持って、適切な診断と高い技術に基づいて早期に適切な訓練と支援に結びつけていただく、これが大変重要なことであるというふうに認識しております。今回のモデル事業の成果につきまして、北海道と連携しながら関係する医師等に積極的に情報提供をするなどして、早期に適切な訓練あるいは支援に結びつけるように図ってまいりたいというふうに考えております。
◆小川勝美 委員  私も、2点ほどお尋ねをしたいと思います。
 この陳情が出されてから、私も改めて高次脳機能障がいというものを勉強させていただきまして、北大のリハビリテーション科の私の知人がこの支援コーディネーターをしているということもお聞きしまして、直接電話をしてお尋ねをしたところであります。知能検査をするとIQが120ぐらいと高レベルなんだけれども、全体として、高次脳機能障がいになると、いわゆる記憶機能がなくなって自立した生活が送れない、こんなことなどが現実に起こってくるんだと。そして、今、やっとモデルケースがスタートしたところで、これに基づいた全国的な支援が切実に求められているので、今回、コロポックルの皆さんなどもそういう形で市議会に陳情されたんだと、私も北大のコーディネーターの方から改めて説明を受けて、そんなことだったのかということを改めて認識させられた次第であります。
 こういう形で3年間、さらに2年間、モデル事業をやって、しかも、このモデル事業で、北大のリハビリテーション科に支援のコーディネーターを置いているのは、国の補助を受けて札幌市の事業としてお金を出してやっている、こういうことであります。今、段々のご説明がありましたように、そういう中でのものでありますだけに、今回の陳情が生かされるような形で、モデル事業の成果が本当に生かされて、札幌市なり、国、道なりの支援が継続されるということが非常に重要だと思うし、陳情者の皆さんもそのことを切実に求められていると思うものですから、前向きな展望をぜひ示していただきたい、こういうふうに思いますので、その点をまずお尋ねしたいと思います。
 また、きょうの質疑を聞いておりますと、最後に陳情者の方は、情報の問題、相談だとか既存施設の活用、人材の育成、フォローアップ事業、広報啓発事業だということを言いながら、こういう今までやってきた事業をきちんと評価し、調整し、さらに研究も進めていくということで、名古屋の事例だとか神奈川の事例を挙げられました。神奈川県では、100万円の予算をつけて、研究会も立ち上げて来年度以降に向けた取り組みを進められていると。札幌市というのは、どうも陳情者のご説明だと、行政としての札幌市というより、札幌市域において道なり国と一体となってという意味も含めてだと思うんだけれども、支援センター構想をぜひ打ち立ててほしい、そういうふうに安心できる将来展望を示してほしいんだとご説明がありましたものですから、この点もあわせてお尋ねをしたいと思います。
◎佐藤 障がい福祉担当部長  支援モデル事業の今後の展望についてでございます。
 高次脳機能障がいの支援モデル事業につきましては、第1次、第2次の通算5カ年間をかけて実施されたわけでございます。中央におきましては、診断とか評価基準、訓練プログラム等の策定を行い、地方においては、拠点施設を中心として地域の支援体制の構築、こういったプログラムの試行と検証を行ってきたところでございます。国の補助事業でありますモデル事業そのものは今年度で終了する予定でございますけれども、このようにさまざまな成果と実績が残されまして、また、支援の必要性についても十分認識が高まってきましたので、国におきましても、これに引き続いてこれらの成果を全国的に普及する事業を計画しているものと思われます。
 現時点では、まだ時期的に確認はとれておりませんけれども、札幌市におきましても、こういった国の施策の動向を見きわめながら、北海道とも連携いたしまして、モデル事業の成果が生かされるように施策の検討を進めてまいりたいと思っております。今後とも、既に高次脳機能障がいのある人の相談支援に携わっている小規模作業所であるとか、あるいは地域生活支援センター、こういった機能を活用しながら支援の継続に努めてまいりたいと考えております。
 また、支援センター構想ということについてでございますけれども、今申し上げたこういった生活支援センター等の機能との関連で、ほかの12拠点の情報も収集しながら検討してまいりたいというふうに考えております。
◆小川勝美 委員  先ほど言いましたように、北大のリハビリテーション科に支援のコーディネーターがいる、これは、国の補助を受けた札幌市の事業としてやっております。去年、ことしと2カ年かけてモデル事業をやっていて、そのケーススタディーの研究などについては、札幌市はこころのセンターの築島先生も参加してことしの秋ぐらいにまとめていくということですから、ぜひそれらが生かされた形で、本当にこういう人たちが安心して支援を受けられるし、相談も受けられる、そういう機能を持ったきちんとした事業をと。
 建物が欲しいのではありませんというふうに、北大リハの方も言っている。建物とか新しい施設が欲しいのではなくて、そういう機能を持って、みんなが相談できるようにと。特に、最近だと、あちこちの役場だとか病院に行ったけれども、たらい回しにされ、インターネットで、北大のリハに行けばそういうことが相談できるというのがわかって、そこを初めて受診して、そういう相談も受けられる、こういうふうになってきていると思うんです。札幌市の行政の中にというふうに特定しなくてもいいと思うのですが、そういう機能をぜひ札幌市域の中に置いてほしい。特に、全道の4分の3は札幌の患者さんだということだそうですので、ぜひそういうふうにしていただきたいと要望して、終わっておきます。
◆小林郁子 委員  私からも、何点かお伺いします。
 先ほどお話がありましたけれども、モデル事業の中で北海道と札幌市が共同で行った実態調査のことがありました。その中で、道内には当該障がい者は約690人であろうということで、これは、部長もおっしゃいましたけれども、リハビリテーション科や精神神経科などのある病院だとか、施設だとか、当事者団体とか、保健所、そういう極めて限られたところの調査でもって把握した数だということですね。
 そういうことを考えますと、今までの高次脳機能障がいの特徴などからも、障がいとして非常にわかりづらい、そしてまた、お医者さんにとってもわかりづらいところがあるということであれば、私はかなりの数の方が潜在しているのではないかというふうに思うんです。そういうことを考えますと、やはり、なるべく多くの方がこのことについて知るということが大事かなと思います。交通事故が原因だという方が、この実態調査でも43%ということですね。そうしますと、これは、いつどこでも起こり得ることだということを考えますと、市民への啓発が非常に重要ではないかというふうに思います。
 先ほど来ありましたけれども、受傷後早期に対応している方ほど改善が早いということであれば、これはやはり知っているということが大事かなというふうに思うのです。そういう意味で、啓発を、それもなるべく具体的にやっていただくことが効果的だと思うんです。この障がいの特徴が、記憶障がいだとか注意障がい、行動と情緒の障がいと、そういったものでなかなかわかりづらいので、パンフレットなども使いながら具体的な啓発をしていただきたいというふうに思うんですが、そのあたりいかがか、お伺いしたいと思います。
 それから、先ほどとも少し重なるかもしれませんが、実態調査やモデル事業からわかってきたことといいますか、それは、相談が必要だということと、高次脳機能障がいの特性を踏まえた日常生活上の訓練だとか就労支援、こういうものが必要だということなんです。特に、札幌市や道がやった実態調査に先立って名古屋が1999年2月に実態調査をしていますけれども、そこでも、就労面では一般就労と福祉就労とあわせても27%ぐらいの人しか就労できていないという実態もあるわけです。そうした中で、今、リハビリテーションセンターだとか、デイケアセンターとか、コロポックルは、きょういただいた資料にも就労にいかに取り組んでいるかということもあるんですが、そういう訓練なり相談なり支援してくれるところがありますけれども、これだけではやっぱり不十分だというふうに思うんです。
 先ほど来、既存の施設の活用ということが出ていますけれども、やはり身近なところでそういうものをできるようにしていくということが必要だと思うのですが、そのあたりいかがお考えか、伺いたいと思います。
◎佐藤 障がい福祉担当部長  まず、市民への普及啓発の必要性についてでございます。
 委員ご指摘のとおり、高次脳機能障がいばかりでなくて障がい一般に言えることですけれども、だれの身の上にも起こり得る身近な問題と考えることは大変重要であるというふうに考えております。したがいまして、今年度末にまとめられる高次脳機能障がいの支援モデル事業の最終報告書、この成果を踏まえまして、モデル事業の共同実施主体であります北海道とも協議しなければなりませんけれども、やはり、効果的な普及啓発のための方策はどんな方法がいいのかということを含めて検討してまいりたいというふうに考えております。
 次に、地域における既存の社会資源を利用した支援の拡大ということでございます。
 新たに高次脳機能障がい者の支援に特化したような施設、あるいは制度を創設するということにつきましては、さまざまな困難性がありますので時間もかかりますけれども、既存の社会資源の柔軟な活用を図るということにつきましては、確かに支援のすそ野を緊急に広げていかなければならないという点では、やはり必要であるというふうに考えております。
 先日、ある精神障がい者の地域生活支援センターに照会したところ、既に数名の高次脳機能障がいのある方が利用の登録をしておりまして、特に、問題なく相談、支援を行っているというふうに聞いております。その法人では、受け入れに際しまして、職員に対して高次脳機能障がいの理解についての勉強会を実施したというふうにも聞いております。
 札幌市としましては、モデル事業の成果を踏まえまして、地域生活支援センターであるとか、あるいは身近な小規模作業所等、既存の社会資源を活用した相談・支援体制、こういったことの充実について、情報提供あるいは技術支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
◆小林郁子 委員  今回、札幌と同様にモデル事業に取り組んでいます埼玉県のリハビリテーションセンターというところがあるんですが、そこのホームページを見てみましたら、自分のところで出している市民向けの非常にわかりやすいパンフレットが掲載されていました。きょうちょっと持ってきましたが、どういう症状だとか、それへの対応だとか、相談機関や医療機関というのを、A4判の裏表で、黄色と黒で非常に目立ってわかりやすいんです。こういうものなどもぜひ考えていただきたいなというふうに思います。
 それから、2点目の既存の社会資源の活用ということについては、ぜひ進めていただきたいというふうに思います。
 あわせて、お伺いをいたしますけれども、高次脳機能障がいの方の現状を見てみますと、福祉あるいは介護のサービスを受けるためには、障がいとしてまず認定されなければならないということが今はあるわけです。身体か知的か精神かというふうに認定されなければいけないということなんですが、先ほど来出ていますけれども、お医者さんに行ってもなかなか適切な診断が出てこないと。精神科、脳外科、リハビリテーション科などが考えられるんでしょうけれども、やはり、そういうところのお医者さんに理解をしてもらうということが挙げられていましたが、いろいろなサービスを受けていく上で、適切な診断書をもらいまして、そして、手帳をもらいに行くという流れの中で、診断書に高次脳機能障がいとは書かれないわけですよね。これは行政用語だということで、医学的には、例えば器質性人格障がいとかいろいろな病名がつくのでしょうが、そのときに、その方が日常生活上どういうことに困るのかと、実態を具体的に書いてあれば、その症状として浮かび上がってくる。高次脳機能障がいという言葉がなくてもわかるのではないかと思うんですが、そのあたりのことを、実際に診断をされるお医者さんに、福祉のサービスとはこうなんだと、福祉というものの理解もある程度していただかないとなかなか通らないということになると思うんですね。
 ですから、今これからなさっていこうとおっしゃってくださったお医者さんへの理解を進めるという中において、障がい者の福祉に関する情報ということもぜひ入れていただきたいと思いますが、そのあたりいかがか、お伺いをします。
◎佐藤 障がい福祉担当部長  医師に対する障がい者の福祉に関する情報提供ということでございますけれども、確かに、高次脳機能障がいに限らず、障がい者の手帳の診断書を作成する医師が福祉の制度を十分に理解していないと、適切な手帳交付の判定はできないということになろうかと思います。今、自立支援法が国会の方にかかっていますけれども、こういった制度の大きな変革とともに、手帳の制度については基本的には従前どおりということでございますので、高次脳機能障がいのある人は、これまでどおり、その障がいの状況に応じて身体・知的・精神のいずれかの手帳を取得するということになります。そのため、障がいの医療を担当する医師には、手帳の制度を初め、障がいの福祉全般に対する適切な理解が必要であるというふうに考えております。今後、さまざまな機会をとらえて、他の関係機関とも連携しながら、医師に対してそのような理解を深める情報提供を行ってまいりたいと思います。
 また、昨日の新聞に一部出ておりましたけれども、厚生労働省の方で診断基準の策定を実施し、秋には通知をするというふうになっております。直接、情報収集をまだしておりませんけれども、こういったことも踏まえて適切な手帳交付につながるように努めてまいりたいと思います。
◆小林郁子 委員  障がい当事者とか家族がやはり一番望んでいるのは、高次脳機能障がいということがきちんと認定されて、その結果として手帳や年金などのサービスにつながっていくということだろうと思うんです。そういう意味では、詳細で客観的な指標に基づいた診断基準というものの導入が望まれてくるわけです。今おっしゃいました障がい者の自立支援法でもって、障がいの認定区分のあり方も変わってくるかもしれませんけれども、そこにおいても高次脳機能障がいの方の社会生活上の困難さというのが適正に評価されるような、そういう評価のあり方ということが求められると思います。そういうことに関して、やはり現場の医師の方が一番わかるんじゃないかと思いますので、ぜひご理解をいただきたいというふうに思います。
 最後に、先ほど小川委員もおっしゃったことですが、今までコロポックルの方が1998年からこの問題に取り組んで、さらにモデル事業がなされてきているという中で、私たちに何が見えてきたかというと、道とか札幌市とか、そういう中核になるところがまずあって、そこに対していろいろな関係機関や当事者団体の方々がネットワークを組み、実際に支援や相談に取り組むところがある、さらに、コーディネーターとしての配置が必要だ、こういう仕組みが浮かび上がってくるわけで、そういうことが、これからぜひとも必要だと思います。
 私も、モデル事業に参加しているところで、埼玉県、神奈川県、名古屋市に聞きましたところ、やはり、来年度に向けた予算要求、どういう要求をしていくかということも既に決めているわけですね。そんなことも考えますと、ここまでやってきて、札幌市も来年は何もないということはないと思います。そのあたりのことをぜひ取り組んでいただきたい。そこが、一番、当事者にとっても家族にとっても私たちにとっても気になるところですが、先ほどございましたけれども、改めて、局長になるのか理事になるのかわかりませんが、お聞かせいただきたいと思います。
◎横山 保健福祉局理事  各会派の委員の皆様から、非常に的確にいろいろなご指摘をいただきました。それから、きょうの陳情につきましても、実態が非常に明らかになっていると思います。国のモデル事業として、この5年間でやれることというのは、コロポックルを初め、当事者の家族会、国の機関、地方公共団体も含めて相当進んできているんだろうというふうに考えてよろしいかと思います。
 国におきましても、モデル事業としては一応5年間ですが、ただ、この問題につきましては、相当、今後の対応が必要だと、厚生労働省の担当セクションも認識してございます。我々も、国の予算がいろいろ厳しい状況の中でどういうような流れになるかというのは今後を待たなければなりませんけれども、その中にあっても、やはり、北海道あるいは関係機関、医療機関、そういうところと連携して対応できるような予算案になるよう検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○小野正美 委員長  ほかに質疑はございませんか。
 (「なし」と呼ぶ者あり)
○小野正美 委員長  なければ、質疑を終了いたします。
 それでは、取り扱いについてお諮りをいたします。
 いかがいたしますか。
 (「継続審査」と呼ぶ者あり)
○小野正美 委員長  継続審査という声がございますが、陳情第136号を継続審査とすることにご異議ございませんか。
 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○小野正美 委員長  ご異議なしと認め、陳情第136号は、継続審査と決定いたしました。
 以上で、委員会を閉会いたします。
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      閉 会 午後2時26分